2026年10月20日火曜日

IPO分析(トグルホールディングス)

 【概要】

トグルホールディングス
652A 東証グロース 不動産業 100株
ブックビルディング期間 2026/10/15 - 10/21
上場日 2026/10/30
代表者名 伊藤 嘉盛(上場時42歳6カ月)/1984年生
本店所在地 東京都港区六本木
設立年 2020年
従業員数 141人 (2026/08/31現在)(平均33.1歳、年収716.2万円)、連結239人
事業内容 独自のAI(人工知能)技術を活用した再開発可能土地の仕入れ販売およびAIシステム/AIエージェント開発など
株主数 58人 (目論見書より)
資本金 50,000,000円 (2026/09/28現在)

【事業内容】

 当社グループは、「不動産業界における属人知の超克を礎として、産業社会に革命をもたらす。」というミッションのもと、不動産領域を起点に、土地・建物・事業に関する知見、判断及び業務プロセスを、データとソフトウエアを活用して再現可能な仕組みへと変えていく事業を展開しております。

当社グループは、不動産領域で培ってきた専門的な知見、判断や業務の流れを、個人に閉じた経験にとどめず、会社に残り、次の実行に活かせる仕組みとして蓄積・活用しております。また、「つくる・かえる・かわる」というパーパスのもと、不動産領域で事業をつくり、その現場で生まれる判断や知見を仕組みにかえ、日々の事業運営に活かしております。

当社は持株会社として、グループ全体の経営戦略策定、資源配分やガバナンス体制の構築を通じて、各事業子会社の成長を支援しております。具体的には、Land Creationにおいては、つくる地所が不動産開発・不動産売買等を、つくる資産が富裕層の不動産投資家向けの不動産情報の提供及び資産運用コンサルティングを展開しております。また、Agentic Platformにおいては、つくるAIがSaaSプロダクトの開発・提供、当社内のAIソリューションユニットでAIを活用したコンサルティング等を展開しております。

 

(1) 事業の概要

当社グループは、「不動産業界における属人知の超克を礎として、産業社会に革命をもたらす」というミッションの実現に向け、「産業変革事業」の単一セグメントのもと、不動産市場に流通していない土地の中から新たな開発用地を創出する「Land Creation」と、企業内に蓄積される会話、判断及び知見を業務の実行につなげることで効率化・収益化を図る「Agentic Platform」の2つのサービスを展開しております。現時点において、当社グループの収益の殆どはLand Creationによるものでありますが、Land Creation自体がAgentic Platformによってもたらされた事業基盤の上で成り立っているため、当社グループの事業はLand Creation単体では存在し得ず、Agentic Platformがすべての事業の根幹を成す構造となっております。

 

 

2025年9月期

売上高

Land Creation

12,288,930千円

Agentic Platform

64,421千円

 

 

 Agentic Platformは、業務を観測・構造化・自動化することにより、業務効率並びに生産性及び収益性の向上を図る仕組みです(図1)。Land Creationで展開する不動産再開発についても、2020年10月につくる地所をグループ化した後、Agentic Platformを活用して業務の標準化及び効率化を進めることで、属人的な業務への依存を低減し、再現性のある事業運営体制を構築してまいりました。当社グループは、今後もAgentic Platformを基盤として、様々な産業における業務の非効率を改善するとともに、M&Aを通じて自ら事業運営に関与することで、事業の成長及び収益性の向上を図ってまいります。

 


(図1)Land CreationとAgentic Platform

<Land Creation>

Land Creationは、複数の土地を取りまとめることで価値の向上が見込まれる土地を見つけ出し、地権者その他の関係者との協議及び合意形成を通じて、開発可能な用地を新たに創出するサービスです。複数の土地を一体化することにより建築可能な床面積等を拡大し、個々の土地のままでは実現し得なかった開発価値を創出することで、地権者及び不動産デベロッパー等の各関係者に新たな価値を提供しております。当社グループは、主として東京を中心とした一都三県において、複数の土地を一体化することにより開発価値の向上が見込まれる比較的小規模な土地を対象としております。住宅、ホテル、オフィス等の開発用地としての活用を想定し、地権者その他の関係者との合意形成後に土地を取得し、権利調整、既存建物の解体、建築計画の具体化等を行った上で、不動産デベロッパーに販売しております。土地の取得から販売までの保有期間は、案件ごとに異なるものの、概ね6か月程度となっております。また、東京都内を中心に事業基盤を強化するとともに、大阪及び福岡にも営業拠点を設置し、各地域における需要及び案件の収益性等を検証しながら対象地域を拡大しております。

こうしたLand Creationを効率的に行うため、独自開発の土地解析システム(グループ内専用システム)を活用し、不動産市場に流通していない土地の中から、複数の土地を一体化することで開発価値の向上が見込まれる候補地を特定しております。複数の土地を取りまとめて開発用地を創出する不動産再開発事業は従来から存在していたものの、再開発候補地の発見、建築可能規模の検証、多数の地権者との合意形成及び案件進捗の管理等が担当者個人の経験や勘に依存しやすく、継続的かつ組織的に事業規模を拡大することが難しい領域であると、当社グループは認識しております。このプロセスにおける大きな障壁の1つが、再開発候補地の発見及び建築可能規模の検証を、膨大な土地情報に対して継続的に行うことが困難な点にあります。土地に建築可能な建物の規模及び形状は、公図(注1)、地番(注2)及び筆界(注3)等により特定される土地の位置及び形状、土地の面積、道路幅員(注4)、接道条件(注5)、都市計画(注6)、用途地域(注7)、容積率(注8)、建蔽率(注9)その他の条件によって決まり、道路幅員等のわずかな差異が建築可能な延べ床面積に大きく影響する場合があります。これらの不動産・建築情報は、国、地方公共団体その他の管理主体に分散しており、紙、PDF、画像その他の異なる形式で管理されている場合があります。また、個々のデータは単体では利用可能であっても、作成基準、更新時期及び位置情報等が異なることにより、同じ地区のデータであっても住所、地番、筆界、道路及び緯度経度等が相互に一致しない場合があります。当社グループは、これらの不動産・建築情報を収集及びデジタル化し、緯度経度その他の位置情報と照合しながら補正・統合することで、土地ごとの法規制及び開発条件を一体的に解析するための独自の地図データ基盤を構築しました。その結果、不動産事業者であってもアクセスすることのできないオフマーケットに存在する潜在的な開発用地情報にアクセスすることが可能になりました。図2では、東京都における不動産市場のうち、オンマーケット(公開情報)とオフマーケット(非公開情報)の割合を示しております。東京都では、1年間で市場に出回る土地情報が約2.4万件にとどまる一方、公開情報だけでは捉えにくい膨大な土地情報が存在します。当社は、そのようなオフマーケットの土地情報を解析対象としております。

 

 


(図2)東京都の不動産規模と公開情報の割合

(注) 1.東日本不動産流通機構「不動産市場動向(統計)表6 土地(全体)の基本指標[東京都]」より、2025年の土地の新規登録件数

2.東京都「東京の土地2024(土地関係資料集)」第3章「土地所有状況」表3-1-4「民有地の所有者数及び面積」より、東京都内の民有地所有者数。時点は同資料記載年次に基づく

 

土地の位置、形状及び法規制に関する情報を統合した後には、当該土地に建築可能な建物の規模及び形状を算定するボリュームチェック(注10)が必要となります。建築可能規模の算定に当たっては、建築基準法(注11)をはじめ、日影規制(注12)、天空率(注13)、斜線制限(注14)、接道条件その他の複数の法令上及び幾何学上の条件を同時に考慮する必要があります。特に、天空率を考慮した建築可能規模の算定においては、あらかじめ作成された建物が規制に適合しているかを確認するだけではなく、複数の制約条件を満たす建物の規模及び形状を逆算する必要があります。そのため、法令の内容並びに地域又は審査機関ごとの実務上の運用を計算可能なルールに置き換え、複数の条件を組み合わせて処理する数理的なアルゴリズム(注15)が必要となります。これらの計算は、確率的に回答を生成する大規模言語モデル(LLM)(注16)等の汎用モデルとは性質が異なり、あらかじめ定められたルールに基づく決定論的アルゴリズム及び数理計算を中核としております。当社グループは、土地及び建物の形状並びに関連法令等を踏まえ、建築可能な建物の規模及び形状を半自動的に試算する独自のアルゴリズムを開発し、不動産・建築に関する専門人材による検証及び実際の案件で生じた個別事例を継続的に反映しております。

これらの地図データ基盤及びボリュームチェック技術を組み合わせることで、従来は建築の専門家への依頼により数週間から数か月を要していた、複数の土地を一体化した場合の建築可能規模、想定用途及び事業性の検証を、最短約1分で可能にし、再開発候補地の解析の半自動化を実現しております。

Land Creationのビジネスフローは図3のとおりです。当社グループは、再開発候補地を特定した後、地権者との継続的な対話を通じて、複数の土地を一体的に利活用することについて協議し、合意形成を進めます。並行して、建築可能規模及び事業性を検証するとともに、当社グループが有する不動産デベロッパー等の顧客基盤や過去の取引実績等をもとに、対象用地の立地、規模及び想定用途等に応じた開発投資家を選定し、開発意向及び価格水準等を確認します。こうした地権者及び開発投資家双方の意向並びに対象用地の開発可能性を踏まえ、再開発事業計画を検討し、地権者への提案条件を設定しております。対象となる複数の土地について必要な地権者との合意形成が整った後、原則として一括して土地を取得し、賃借人等を含む関係者との権利調整、既存建物の解体、建築計画及び事業計画の具体化等を行います。その後、不動産デベロッパー等の開発投資家が開発に着手できる状態まで整えた開発用地として販売しております。

 

 

 

 

 


(図3)Land Creationのビジネスフロー

また、当社グループは、再開発候補地の特定に加え、地権者との合意形成及び案件管理についても、Agentic Platformを含むグループ内専用システムを活用し、可視化、分析及び標準化を進めております。具体的には、主に以下の取組みを行っております。

地権者訪問数の最適化

営業対象地、訪問先及び訪問順序の最適化による、営業担当者の生産性及び営業品質の向上

地権者ごとの案件ステータス等を踏まえ、訪問先及び訪問順序を数理的に最適化

地権者との交渉における属人性の排除

地権者との接触履歴、意向、再訪時期及び案件進捗の記録・分析、市場データ分析及び案件管理における属人性の低減

営業員の行動分析

営業担当者の行動及び成果並びに採用経路、研修及び定着状況等の分析結果の、採用、育成及びマネジメント方法への反映

不動産デベロッパーの需要調査

不動産デベロッパー及び投資家の用途別の需要、投資基準及び価格水準の蓄積並びに、取得前の販売可能性及び収益性の検証への活用

 

 

さらに、当社グループは、営業活動から得られたデータを、営業担当者のマネジメント、研修及び人材育成並びに採用活動にも活用しております。営業活動の進め方や案件管理の方法を組織として蓄積・標準化することで、新たに採用した営業担当者についても早期に営業活動を開始し、案件創出に取り組むことができる体制を整備しております。

 

このように、当社グループは、再開発候補地を特定する土地解析技術と、地権者その他の関係者との合意形成を担う営業組織を組み合わせるとともに、営業活動及び案件管理をデータに基づき計測・分析・標準化しております。これにより、従来は担当者個人の経験や技能への依存度が高く、多数の案件を同時並行で進めることが難しかった不動産再開発について、再現性をもって案件を創出・推進できる体制を構築し、営業人員の拡大を稼働パイプライン及び事業規模の拡大につなげております。

 

I)グループ内専用システム

当社グループでは、再開発候補地の特定から、建築可能規模及び事業性の検証、地権者への営業活動、案件管理、不動産デベロッパー等への販売可能性の検証まで、Land Creationにおける一連の業務を一体的に支援するグループ内専用システムを開発・運用しております。本システムでは、国土交通省、法務局、各市区町村が提供するデータや各種法令・条例等を、当社グループ独自のアルゴリズムにより解析し、不動産市場に流通していない土地の中から、複数の土地を一体化することにより開発価値の向上が見込まれる再開発候補地を効率的に特定しております。

また、ボリュームチェック機能により、公図、地番、道路幅員、都市計画、容積率及び建蔽率等の不動産・建築データ並びに建築基準法、日影規制及び天空率等の法令・規制を解析し、対象用地における建築可能な建物の規模及び形状等をシミュレーションしております。これにより、複数の土地の組み合わせごとの開発余地及び事業性を短時間で検証し、地権者への提案条件及び再開発事業計画の検討に活用しております。

営業活動及び案件管理においては、地図上で営業対象地及び案件の進捗状況を一元的に管理するとともに、地権者への訪問実績、接触履歴、対応状況及び再訪時期等を記録し、訪問候補地及び訪問順序の最適化や継続的な営業活動に活用しております。また、複数の地権者が関係する案件について、各地権者への対応状況及び案件全体の進捗を一元的に把握することで、多数の再開発案件を同時並行で進めるための営業活動及び案件管理を支援しております。

さらに、当社グループが不動産デベロッパー等との継続的な取引及び営業活動を通じて蓄積した、用途別の需要、投資基準及び価格水準等に関する情報を集約しております。これらの情報を活用し、対象用地の立地、規模及び想定用途等に応じた開発投資家を選定するとともに、取得に先立って販売可能性及び価格水準を検証しております。

このように、本システムを通じて、土地の探索・分析、営業活動、案件管理及び販売可能性の検証を一つの基盤上で連携させることで、Land Creationにおける一連の業務の効率化、可視化及び標準化を図っております。

 


(図4)ボリュームチェック画面

 

<Agentic Platform>

Agentic Platformは、当社グループがLand Creationを含む自社業務の効率化及び高度化を目的として開発・運用してきた、企業の業務内容(主にPC作業内容)を可視化し、実行及び自動化につなげるための業務基盤です。当社グループは、営業活動、案件管理、会議、商談、社内コミュニケーション、タスク管理及び各種業務システムの利用を通じて発生するあらゆる情報を蓄積・整理し、各業務がどのような工程で行われ、誰が担当し、どの部署又は担当者を経由し、どの段階で誰の確認又は承認を必要とするかを可視化しております。これにより、各業務に要する時間、担当者の作業内容、業務上のボトルネック、承認手続及び次に実行すべきタスク等を把握し、業務フローの改善、業務の標準化及び従業員の人事考課フィードバックに活用しております。また、チャット及び会議の内容から実行すべき業務を抽出してタスクを生成し、必要に応じて複数の作業工程に分解したうえで、従業員が対応すべき業務、他の担当者へ依頼すべき業務及びAIエージェントによる自動化が可能な業務を判別し、それぞれの担当先へ振り分ける仕組みを構築しております。自動化が可能な業務については、エージェントが必要な情報を取得し、資料の作成、各種システムへの入力、関係者への連絡及び進捗管理等を実行する一方、判断、承認、交渉及び顧客対応等を必要とする業務については従業員が担います。このように、人による確認及び判断を介在させながら、自動化可能な業務の範囲を継続的に拡大することで、従業員がより付加価値の高い業務に注力できる環境の構築を進めております。

Agentic Platformは、特定の大規模言語モデル等に依存するものではなく、業務内容、求められる性能、情報管理上の要件及び利用コスト等に応じて、外部事業者が提供する複数の汎用モデルを選択し、又は組み合わせて利用できる構成としております。これらの汎用モデルは、Agentic Platform上でエージェントが情報処理等を行うための構成要素であり、当社グループは、その上位において、業務手順、権限、承認条件、参照情報及び各種システムとの連携等を管理する運用基盤を提供しております。

Agentic Platformは、自社業務における活用に加え、外部顧客に対してもプロダクト又はサービスとして提供しております。プロダクトとしては、主に不動産・建築業界に向けて、ボリュームチェック技術を提供する「デベNAVI」、「VCプロ」や、不動産業務の効率化を目的とした「Gate.」等を販売しており、いずれも月額課金での収益を得ております。また、自社で実現した効率化・自動化についても一部機能を外販しており、外部顧客の業務内容、既存システム及び情報管理体制等を踏まえて業務プロセスを可視化し、業務フローの再設計、各種業務の自動化及び導入後の運用定着を支援することで、顧客企業の生産性及び収益性の向上を図っております。こちらのサービスも月額課金の収益体系となっております。加えて、Agentic Platformとの親和性、顧客基盤、継続的な収益及び業務改善余地等を有する企業については、協業その他の事業上の連携に加え、M&Aを中心とした資本面での連携を含む事業機会を慎重に検討し、当社グループの顧客接点、事業領域及び収益基盤の拡大につなげていく方針です。

 

I)グループ内専用システム(一部社外に提供している機能も含む)

チャット、会議議事録、ノート、カレンダー及びタスク管理等の機能を統合したグループ内専用の業務基盤です。各従業員の業務上のコミュニケーション、会議、タスク及び各種業務システムの利用状況等を収集・整理することで、業務の工程、担当者、関係部署及び承認プロセスを可視化しております。また、チャットや会議の内容からタスクを生成・分解し、従業員が対応すべき業務、他の担当者へ依頼すべき業務及びシステムによる自動化が可能な業務を判別して振り分けております。自動化可能な業務はシステムが処理し、判断や承認を要する業務は従業員が担うことで、人による確認を介在させながら業務効率の向上を図っております。これらの機能及び知見は、Agentic Platformを通じて外部顧客にも提供しております。

 


(図5)自社開発のチャットツール。チャット内の会話から直接タスクが生成されエージェントや社員に振り分ける

ことができる(図中右が生成されたタスク)

 

II)外部向けに提供するプロダクト

当社グループは、Land Creationで培った不動産・建築データの解析技術及び業務効率化のノウハウを活用し、不動産開発事業者、金融機関及び不動産会社等に対して、以下のプロダクトを提供しております。

 

<VCプロ、デベNAVI>

「VCプロ」は、従来、専門家が多くの時間と手間をかけて行っていた開発用地のボリュームチェックを、データとソフトウエアを活用して効率化するSaaSプロダクトです。利用者は、地図上で土地を選択することで、関連法規に基づいた建築可能ボリュームや簡易的なプランニング結果を確認することができ、用地取得に係る意思決定の迅速化と精度向上に寄与しております。

また、「デベNAVI」は、不動産開発事業者を対象とした業務支援プラットフォームです。用地情報の収集・管理から、事業収支シミュレーション、プロジェクトの進捗管理に至るまで、開発業務の主要なプロセスをデジタル上で一元的に支援し、業務全体の効率化に寄与しております。

 


VCプロ

 


デベNAVIによるボリュームチェック

<Gate.>

 不動産業務パッケージ「Gate.」は、約5億件の不動産ビッグデータと人工知能(AI)による分析機能を搭載した、不動産価値分析のためのAIクラウドサービスで、延べ10行以上の金融機関・900社以上の不動産会社でご利用実績があります。「Gate.」は、収益物件・実需物件を査定する「AI査定」、購入・売却を試算する「シミュレーション」、エリアレポート作成の「市場分析」、賃貸・販売事例の「事例検索」などから構成され、主観を排除した資料作成やサポート体制により、顧客における不動産業務の効率化及び生産性向上に貢献しております。

 

【業績等】

2027/09 連結会社予想 43,034 6,280 5,851 4,005
2026/09 連結3Q累計実績 13,179 871 673 471
2026/09 連結会社予想 25,560 2,798 2,517 1,674
2025/09 連結実績 12,353 1,137 926 564
2024/09 連結実績 9,914 538 412 145

決算期 種別 EPS BPS 配当
2027/09 連結会社予想 274.50 1,457.28 0.00

上場時発行済株数 14,762,285株(別に潜在 株式1,954,760株)
公開株数 3,874,900株(公募2,244,600株、売り出し1,124,900株、オーバーアロットメント505,400株)
調達資金使途 採用費・教育研修費、M&A資金、長期借入金の返済
本募集の発行株式のうちの一部が、共同主幹事会社の関係会社等を通じて、欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して販売されることがあります。また、引受人の買取引受による売出しに係る売出株式のうちの一部が、共同主幹事会社の関係会社等を通じて、欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して販売されることがあります。以下は、かかる本募集における海外販売及び引受人の買取引受による売出しにおける海外販売の内容として、企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第1号に掲げる各事項を一括して掲載したものであります。

PER:14.7
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:157億
公募時時価:596億
​ 

 【株主構成】 

伊藤嘉盛 代表取締役 5,494,215 37.96% 売出760,000  180日 
Funi(株) 代表取締役の資産管理会社 5,000,000 34.55% 180日
ブーストキャピタル1号投組 投資業(ファンド) 442,285 3.06% 180日・1.5倍
(株)SMBC信託(金外信 未来創生3号F 投資業(ファンド) 441,200 3.05% 180日・1.5倍
三鬼紘太郎 特別利害関係者など 222,655 1.54% 売出11,300 180日・1.5倍
日本郵政キャピタル1号投組 投資業(ファンド) 221,140 1.53%
(株)レアゾン・ホールディングス 投資業(ファンド) 199,845 1.38% 売出75,000 180日・1.5倍 
山崎聡史 取締役など 171,005 1.18% 180日
ALL STAR SAAS F THREE Pte.Ltd. 投資業(ファンド) 165,860 1.15%
高崎将充 子会社の代表取締役 147,335 1.02%
ACF-2 Ltd 特別利害関係者など 131,200 0.91%
AA7JNI Ltd 特別利害関係者など 122,450 0.85%

その他売出

HERO Impact Capital1号投資事業有限責任組合  111,300 株

㈱オールアバウト 55,600 株

MetaProp Ventures IV, L.P. 48,100 株 

㈱BeGoodJapan 11,100 株

佐藤 俊介 11,100 株

柴垣 拓也 11,100 株

山本 悠太7,400 株 

㈱9st 5,500 株

稲田 武夫 5,500 株

PKSHA アルゴリズム 2号投資事業有限責任組合4,300 株 

㈱マフィン 2,700 株

加藤 恭輔 2,700 株 

塗矢 眞介 2,200 株  

本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である伊藤嘉盛、当社株主であるFuni㈱、山﨑聡史、髙﨑将充、新家隆介、紫原友規、榎本佑介、新谷健、伊藤嘉恵、山口孝太、古谷昇及びその他14名並びに当社新株予約権者である上木夏実、竹内真、北田幹直及びその他41名は、共同主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2027年4月27日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

売出人であるHERO Impact Capital 1号投資事業有限責任組合、㈱レアゾン・ホールディングス、三鬼紘太郎、山本悠太、PKSHA アルゴリズム 2号投資事業有限責任組合、㈱マフィン、加藤恭輔及び塗矢眞介並びに当社株主であるブーストキャピタル1号投資事業有限責任組合、㈱SMBC信託銀行(特定運用金外信託 未来創生3号ファンド)、杉山勝彦、㈱7garden及びその他8名は、共同主幹事会社に対して、ロックアップ期間中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上で行う売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

また、当社は、共同主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は、SMBC日興証券株式会社の事前の書面による承諾を受けることなく、当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利あるいは義務を有する有価証券の発行又は売却等(本第三者割当増資に係る新株式発行並びに株式分割による新株式発行等、ストック・オプションに係る新株予約権の発行及び新株予約権の行使による当社普通株式の発行等を除く。)を行わないことに合意しております。

【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -
主幹事証券 UBS - -
主幹事証券 SBI - -

【参考類似企業】今期予想PER

2980 SREHD 13.5倍 (連結予想) 時価374億 売上418億 純利益28億
3277 サンセイランデ 5.8倍 (連結予想)
3491 GATECH 9.7倍 (連結予想) 時価515億 売上323億 純利益54億

【私見】

 Aiを駆使した不動産銘柄で、見た目は派手さがあり良い銘柄かと思いましたが、中身を見ると他の不動産業とほぼ変わらないかと思います。
業績は非常に良いのですが、大幅に上昇した来期予測で、PER14という数字で、不動産業では高いPERとなっております。規模からも純利益で上回っているGAの515億を超え、成長性が追いつくかどうかという判断になります。更に、金利高で不動産業としては厳しい局面になり、業績が維持できるか心配ではあります。判断が分かれるとは思いますが、個人的にはブック段階で消極的です。

想定価額:4030円
仮条件上限:4040円
初値予想:4100円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

IPO初値予想2026

2/13 TOブックス 日興 3810円  4500円 3.5 3595円 ▲5.7%

2/24 イノバセル 野村 1350円  1400円 3   1248円 ▲7.5%

2/27 ギークリー 野村 1900円  1900円 3.5  1757円 ▲7.3%

3/10 グリーンライト・再エネインフラ投資法人 みずほ 80000円 80000円 3   80000円  0 ±0

3/25 ベーシック 岡三 870円  800円 3

3/25 ジェイファーマ SBI 880円 809円 2.5

3/27 セイワHD SBI 1250円 1400円 3.5 1220円 ▲2.4

4/2 レクメド 野村 1120円 1000円~1500円 2.5  中止

4/2 ビタブリッドジャパン SBI 1370円 1370円 3

4/6 システムエグゼ みずほ 950円 1100円 3.5  1061円 11%

4/7 ヒトトヒトHD 野村 430円 430円 3 422円 ▲1.7%

4/9 ソフトテックス 岡三 1940円 2600円 3  3200円 65%

4/21 バトンズ 大和 660円 1500円 4    1674円 154%

4/22 SQUEEZE  SBI 3110円 3110円 3.5  3250円 4.5%

4/23 犬猫生活 SBI 2990円 3600円 3.5   3500円 17%

4/24 梅乃宿酒造 日興 600円 700円 3   900円 50%

6/16 GO 野村 2400円 3,800 4 2910円 21%

6/23  LiNKX 野村 790円 1200円 3.5 1075円 36%

6/30 ネイス 岡三 1320円 1800円 3.5  1476円 12%

7/15  チャットプラス 丸三 1080円 1500円 3.5 2280円 112%

7/22  ティアフォー 三菱・日興 1015円 1200円 3.5  1009円 △7%

7/26 ビーエイブル みずほ 700円 900円 3.5  1016円 45%

7/29 アイ・グリッド・ソリューションズ  野村 770円 770円 3  953円 24%

8/4 エブリー 日興 230円 280円 3  294円 28%

9/11  KOMPEITO SBI 1600円 1487円 3  1480円 △7.5%

9/16 オーディオストック  SBI 1060円 1300円 3.5 1554円 47%

9/16 オリバー 野村・大和 305円 280円 2.5 310円 2%

9/17 Skyfall SBI 1500円 1500円 3 1760円 17%

9/18 テクノクラフト 日興 650円 700円 3 620円 △4.6%

9/18  ベルテックス 東海 550円 650円 3 607円 10%

9/18  かがやきホールディングス 東海 720円 1200円 3 1206円 68%

9/18 akippa SBI 570円 1000円 3.5 1244円 182%

9/25 レイヤード SBI 1400円 2000円 3.5 2230円 59%

10/13 アイビスホールディングス フィリ 520円 600円 2.5 800円 54%

10/15 ルクレ 野村 1480円 2000円 3.5 2030円 37%

10/30トグルホールディングス  日興 4030円 4100円 3

11/2  MabGenesis 東海 830円 830円 2.5

11/4 Allganize Holdings 日興 1260円 1200円~2500円 3.5

11/5 LTV-X Jトラ 560円 560円~1000円 3

11/6 estie 日興 1100円 1000円~1500円 3

11/10 RECEPTIONIST SBI 820円 1000円~1800円 3.5 

2026年10月19日月曜日

IPO分析(MabGenesis)

 【概要】

MabGenesis
653A 東証グロース 医薬品 100株
ブックビルディング期間 2026/10/15 - 10/21
上場日 2026/11/02
代表者名 新庄 勝浩(上場時66歳7カ月)/1960年生
本店所在地 神奈川県横浜市港北区新横浜
設立年 2019年
従業員数 13人 (2026/08/31現在)(平均47.8歳、年収536.9万円)
事業内容 ペット用抗体医薬品の研究開発
URL https://mabgenesis.com/
株主数 18人 (目論見書より)
資本金 90,000,000円 (2026/09/28現在)

【事業内容】

 当社は、自社で構築したイヌ及びネコのファージディスプレイ抗体ライブラリー(注1、2)とモノクローナル抗体単離技術(注3、4)をビジネスの基盤として、創業以来、ペット用抗体医薬品(注5)の創出に取り組んでおります。当社の保有する抗体ライブラリーと単離技術は、従来困難とされていた創薬標的抗原(注6)に対するモノクローナル抗体の提供を可能とするものです。当社は、自社主導の研究開発と動物用医薬品企業等との共同研究を事業の両輪として、動物用抗体医薬領域での創薬活動を推進しております。なお、当社は、医薬品の研究開発事業のみの単一セグメントであります。

 

(1)当社のビジネスモデル

 ① ビジネスモデルの概略

 当社は、以下の事業系統図で示しますように、当社保有の抗体ライブラリーより取得する抗体について、その開発・製造・販売する権利を製薬企業に導出(注7)することで対価を得ております。

 

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図1.MabGenesisの事業系統図

 

当社は、藤田医科大学及び宮崎大学が保有するファージディスプレイ抗体技術に関するノウハウの独占実施権許諾を受けて、ペット(イヌ、ネコ)用抗体医薬品にフォーカスしたバイオ医薬品の研究開発を行う企業として創業しました。創業後の早い段階でイヌ及びネコそれぞれのファージディスプレイ抗体ライブラリーを構築することで、当社の基盤アセットを確立しました。当社は、これらの抗体ライブラリーから独自の抗体単離技術(「(2)当社の基盤技術」参照)を用いて取得する創薬標的抗原に対する抗体の開発・製造・販売の権利を製薬企業に導出することで収益を得ています。なお、取得した抗体の特性を評価する過程で必要となる各種試験は、大学等の公的研究機関との共同研究や、医薬品開発業務受託機関(Contract Research Organization: CRO)(注8)への業務委託も活用しデータを取得しています。

当社では、抗体を取得する研究の総体をプロジェクトと称します。当社のプロジェクトは、当社が設定する標的抗原に対して当社が単独で抗体を取得するもの(以下、「自社プロジェクト」)と、製薬企業との合意に基づいて設定する標的抗原に対して抗体を取得するもの(以下、「共同研究プロジェクト」)とがあります。自社プロジェクトでは、抗体を取得後、一定の前臨床試験(注9)を当社主導で実施したのち開発から製造販売までを実施できる製薬企業(以下、「パートナー」)への導出のための事業開発活動を行います。一方、後者の場合は、当社の基盤技術を評価するパートナーと標的抗原及び取得する抗体の品質条件について同意した共同研究契約を締結後、抗体取得(共同研究)を開始し、品質条件を満たす抗体は、契約に基づきパートナーへ導出します。

 

 図2に現時点におけるプロジェクトの一覧を示します。

 ヒト臨床段階フェーズ1、フェーズ2に相当する動物用医薬品の前臨床段階に本書提出日現在7件のプロジェクトがあり、うち4件はパートナーであるCeva Santé Animale S.A.(以下「Ceva社」)、Virbac S.A.(以下「Virbac社」)、日本曹達(株)及び共立製薬(株)へ、抗体の研究、開発、製造、販売に関する権利を導出済であり、各パートナーが開発を進めております。このうちVirbac社と日本曹達(株)に対しては自社プロジェクトで取得した抗体の導出で、Ceva社と共立製薬(株)に対しては共同研究プロジェクトで品質条件を満たす抗体の取得に成功し、その権利を導出したものです。

 探索段階にある11件のペット用抗体医薬品プロジェクトのうち10件は国内外の大手動物薬企業との共同研究プロジェクトであり、進捗に応じたマイルストーン受領条件を定めた契約に基づいて研究を進めております。また、すい臓がんを適応としたヒト用抗体は国内公的研究機関との共同研究を実施中です。

 共同研究プロジェクト及び導出済プロジェクトについては、動物種、標的分子、適応疾患、開発ステージ等に関する具体的な内容は、提携先の重要な研究開発上の機密情報に該当する場合がありパイプライン情報を明示しておりません。また、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載する各契約との対応関係についても、秘密保持上の理由から明示しておりません。

 

 

 

 

 

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図2.当社進行中プロジェクトの一覧(2026年8月末現在)

 

  自社プロジェクト及び共同研究プロジェクトの契約によって得られる収益の構造は、以下のとおりです。

 

表1.当社の収益構造

収益の種類

内容

契約時一時金

アップフロントとも呼ばれ、契約締結時に受領する収入

研究マイルストーン

共同研究の進捗に応じて受領する収入

開発マイルストーン

導出後、研究開発の進展や承認取得に応じて受領する収入

販売ロイヤリティ

製品の売上金額の一定料率を受領する収入

販売マイルストーン

製品の年間売上が所定の金額に達した際に受領する収入

 

 共同研究プロジェクトでは、1つの標的抗原に対してはパートナー1社とのみ独占的な共同研究契約を結び、同一の標的抗原に関する共同研究を複数のパートナーと実施しないように管理しております。また、パートナーの経営判断等により共同研究プロジェクトが中止される場合には、パートナーに付与した標的抗原に対する独占的権利は消滅し当該プロジェクトは当社の判断により自社プロジェクトとして当社が継続できる旨を可能な限り契約で定めております。これまでに2件の共同研究プロジェクトがパートナー企業の戦略的な判断で中止に至りましたが、現在自社プロジェクトとして研究・開発を継続しております。

 

② ビジネスモデル選択の背景

 当社は、以下の理由により、現在はペット用、具体的にはイヌ用及びネコ用の抗体医薬品の研究開発に注力しております。

a) ペット用医薬品市場は現在世界的に急速に拡大していること

世界的にペット飼育数は増加傾向にあり、中でもペット用医薬品の主要市場である欧米においては、イヌ、ネコそれぞれ人口の20~25%に相当する約1億8,000万頭が飼育されています。また、中国、ブラジルにおいても5,000万頭以上のイヌ、数千万頭のネコが飼育されています(出典:Pet Population in Major Markets, HealthforAnimals)。

 

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図3.世界のペットの飼育頭数

 

近年のペットの家族化と飼育環境の改善による長寿化に伴い、獣医療、医薬品、フード・サプリ等のペットケア関連市場は、2023年の3,200億米ドルから2030年には5,000億米ドルに達すると予測されています(Bloomberg, March 24, 2023)。その中でもペット用医薬品の世界市場は、年成長率11.1%で拡大が見込まれており、2034年には670億米ドルに達すると予測されています(出典:Grand View Research 2025)(図4)。また、主要慢性疾患である、イヌアトピー性皮膚炎、ネコ慢性腎疾患、イヌ変形性関節症(関節痛)、イヌがんの獣医療の主要市場である欧米のマーケットポテンシャルを、参考文献(Veterinary Medicine; Research and Reports (2024), International Renal Interest Society (IRIS), Journal of American Veterinary Medical Association (2010), American Veterinary Medical Association, Cancer in Pets) に基づき、ペット数(1億8,000万頭、15歳以上のネコ数1,800万頭)、罹患率(15~70%)、受診率(20%)、年間治療費用(2,400米ドル)として当社で推計したところ、それぞれ129.6億米ドル、60.5億米ドル、172.8億米ドル、216.0億米ドルと算定され、いずれも高いマーケットポテンシャルがあることが想定されます。

 

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図4.ペットケア及びペット用医薬品の市場規模

 

b) 世界の大手動物薬企業がペット用抗体医薬の研究開発に活発に取り組んでいること

既にヒト医療において約220種類が製造販売され有効な治療形態としての地位が確立されている抗体医薬品は、その有効性、安全性及び作用時間の長さ(利便性)の観点と、近年の製造技術の進歩(製造コストの低下)により、ペットへの応用が検討されてきました。2016年末に、米国Zoetis社が世界初のペット用抗体医薬品であるサイトポイントⓇ(イヌのアトピー性皮膚炎及びアレルギー性皮膚炎治療薬)の販売を開始し、2022年には世界売上が6.3億米ドルに達しました(出典:The Business Research Company)。その後Zoetis社が製造販売開始したネコ及びイヌ用の変形性関節症に対する抗体医薬品であるソレンシア®とリブレラ®は、2024年には世界で合わせて5.81億米ドルの売上を記録し、ペット用抗体医薬品のポテンシャルの大きさが証明されました(出典:Fourth quarter and 2024 full year financial results, Zoetis Inc.)。ペット用抗体医薬品は、現時点で、欧米ではZoetis社が5品目、業界2位のMSD Animal Health (MAH)社が1品目、業界4位の米Elanco社が2品目と合計8品目が販売されており(表2)、本邦においてはZoetis社の3品が販売されています。Grand View Research, Inc.の最新のレポートによれば、世界のペット用抗体医薬品市場規模は2034年までにグローバルで約61億米ドルに達すると予測されており、2024年から2034年にかけて年成長率(CAGR)18.1%で拡大する見込みです(図5)。

 

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図5.イヌ・ネコ用抗体医薬品市場の成長性

 

上述のZoetis社のイヌ、ネコ用抗体医薬品の爆発的な売り上げと市場規模の拡大に呼応し、現在、世界の大手動物薬企業は一斉にペット用抗体医薬の研究開発に活発に取り組んでいます。例えば当社が共同研究契約又は譲渡契約を締結した業界第2位のMAH社、3位のBoehringer Ingelheim Animal Health(BIAH)社、5位のCeva Santé Animale社、6位のVirbac社及び11位の共立製薬(株)はペット用抗体医薬の研究開発を活発的に推進しています(表2)。

 

c) ペット用抗体医薬品(完全イヌ型抗体、完全ネコ型抗体)(注10,11)創出のための基盤技術を有する企業が限られていること

上述のように、現在、世界の大手動物用医薬品企業の多くは、成長著しいペット用抗体医薬品を重点領域として位置付けております。しかし、医療目的の抗体取得のための基盤技術確立には高い専門性と経験・ノウハウが必要とされるため、大手動物用医薬品企業のほとんどは抗体の創製技術の内製化に至っておりません。

そのため、当社のようなペット用抗体医薬品創製の基盤技術を有するベンチャー企業との提携又は買収(米Zoetis社による米Nexvet社(2017年、表2)、米Elanco社による米KindredBio社(2022年、表2)、Zoetis社による英PetMedix社と独Adivo社(2023年、表2)、英Dechra社による米Invetx社(2024年))により基盤技術と医薬候補抗体を取得し抗体薬を創出している状況です(出典:各社ホームページ)。さらに、既にヒト用抗体薬では主流となっている安全性に優れた種特異的抗体(注12)(ペット用としては、完全イヌ型抗体、完全ネコ型抗体)を創出できる独立企業は当社の知りうる限り、現時点で世界的に見ても完全イヌ型抗体は当社と米Vetigenics社のみ、完全ネコ型抗体は当社のみです。このような状況下で、当社は今後のビジネス展開において優位性を保ち、リーディングポジションを確立していると考えております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表2. 抗体医薬に取り組む世界の動物用抗体医薬品企業

世界

売上高

ランキング

企業名

売上高

(2024年)

抗体医薬品(一般名)

買収スタートアップ

(ディール規模)

1

Zoetis(米)

9,256百万米ドル

サイトポイントⓇ(ロキベトマブ)、対象疾患:イヌ皮膚疾患

リブレラⓇ(ベジンベトマブ)、

対象疾患:イヌ変形性関節症

レニヴィアⓇ(イゼニベトマブ)、

対象疾患:イヌ変形性関節症

ソレンシアⓇ(フルネベトマブ)、

対象疾患:ネコ変形性関節症

ポルテラⓇ(レルフォベトマブ)、

対象疾患:ネコ変形性関節症

NexVet(8,500万米ドル)

PetMedix(2億1,000万米ドル)

Adivo(不明)

2

MAH(米)

(当社提携先)

5,877百万米ドル

ギルベトマブ、対象疾患:イヌがん

 

3

BIAH(独)

4,749百万ユーロ

なし

 

4

Elanco(米)

4,439百万米ドル

トルテクトTM(アニボベトマブ)、   対象疾患:イヌパルボウイルス感染症

ベフレナTM(ティルノベトマブ)、

対象疾患:イヌ皮膚疾患

KindredBio(4億4,400万米ドル)

5

Ceva Santé Animale(仏)

(当社提携先)

1,770百万ユーロ

なし

 

6

Virbac(仏)

(当社提携先)

1,397百万ユーロ

なし

 

11

共立製薬(株)(日)

(当社提携先)

約63,200百万円

なし

 

 

d) 開発成功確率が高く、開発に要する時間が短く、研究開発コストが低いこと

ペットの高齢化に伴って発症する慢性疾患の多くは、上述のようにヒトと共通しています。ヒトでは、そのような疾患の治療標的となる生体内物質(以下、「標的抗原」)が多く特定されており、その結果、種々の安全で高い治療効果を示す抗体医薬品が製造販売されています。ペットとヒトで共通する疾患では、その標的抗原も共通していることから、改めて標的抗原を特定する必要が無く、かつ、そのような標的抗原に対して開発されたペット用抗体医薬品は有効性、安全性が合理的に期待できるといえます。

開発については、前臨床段階で対象動物(イヌ、ネコ)を用いて探索的有効性試験(注13)及び安全性試験(注14)を実施し有効性、安全性を確かめることにより(出典:VICH Guideline)、それに続く臨床試験の成功確率を上げることが可能です。このように、ペット用抗体医薬品の開発は、ヒトにおいて既に同様の標的抗原に対する同様のメカニズムを持った抗体医薬品が販売されている状況と、対象動物を用いた前臨床試験が可能である点から医薬品としての開発の成功確率はヒトバイオシミラー(微生物や動物の細胞を使って製造されるバイオ医薬品の特許切れ後に作られる医薬品のことで、完全に同じ構造を作ることは不可能なため「同等・同質のシミラー」と呼ばれる。バイオシミラーのベースとなる医薬品(先行品)は、既に治療効果も安全性も証明済みであり、製造技術を確立できれば臨床試験で失敗するリスクは下がり、医薬品開発の成功確率が高いことが特徴)の開発の成功確率(出典:Biologics: Targets and Therapy, 2025:19 125–135)と同程度の約70%と高いことが想定されます。

 

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図6.ペット用抗体医薬品の開発の利点

 

ヒト用医薬品は、製造販売承認を得るまでに前臨床試験の後にフェーズ1からフェーズ3の原則3段階の臨床試験(注15)を実施する必要があり、これらの実施に7~8年程度を要するといわれています(出典:Research Paper Series No.82, 日本製薬工業協会)。一方、ペット用医薬品の開発は、前臨床試験段階まではヒトとほぼ共通しますが、その臨床試験は大きく異なります。臨床試験は、VICHのガイドライン(VICH, Guideline, Good Clinical Practice)(注16)に則り、実施地域の規制当局(米国における規制当局であるFDA(米国食品医薬品局)又はUSDA(米国農務省)、欧州における規制当局であるEMA(欧州医薬品局)、農林水産省)との合意の下、臨床試験(pivotal study)を行いその安全性と有効性を証明します。ヒトと異なり、3つのフェーズに分かれておらず、有効性、安全性を担保できる1つ以上の臨床試験の結果によって製造販売申請が可能です(出典:Clinical Trials of Veterinary Medications Differ From Drugs for Human Use 2022, Volume 88, Pharmacy Times)。疾患によって異なりますが、通常1-3年程度で完了するといわれています(出典:当社によるグローバル動物用医薬品企業インタビュー)。このような制度の違いのため、新薬開発に必要な期間はヒト用医薬品の約10年に対し、ペット用医薬品では約5年と短いことから、医薬品開発企業にとってペット用医薬品の開発はヒト用医薬品に比べ低リスクであり、また、そのような企業をパートナーとする当社にとっても開発マイルストーンや販売ロイヤリティを得られるタイミングがヒト用医薬品よりも早いという利点があります。また、上記の開発期間の短縮に応じて、新薬開発に必要な開発コスト(研究開発から臨床試験に至る総開発コスト)も、ヒト用医薬品の1,000億円以上(出典:医薬品産業の現状、厚生労働省)に対しペット用医薬品は約30億円と抑えられます(出典:Animal Health Institute.org)。このように、ペット用医薬品は一般的なヒト用医薬品開発と比較して、新薬開発に必要な期間を4~6年短縮し、コストは90~95%削減可能であると言えます。

 

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図7.動物用医薬品の開発プロセスの特徴

 

 

(2)当社の基盤技術

当社の基盤技術は、ファージ抗体ライブラリー(完全イヌ型、完全ネコ型、完全ヒト抗体及びラクダVHH抗体の各抗体ライブラリー)、及び抗体ライブラリーから目的とする抗体を効率よく取得する技術・ノウハウから成立しています。

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図8.当社の基盤技術

 

① 抗体ライブラリー

 当社がビジネスの基盤とする完全イヌ型及び完全ネコ型の各抗体ライブラリーは、当社が独占的に保有するファージディスプレイライブラリー作製技術を応用して構築したもので、それぞれイヌMOURA(網羅)ライブラリー、ネコMOURAライブラリーと称しています。MOURAライブラリー構築の基となる技術は、元藤田医科大学学長 黒澤良和教授が30年以上にわたる抗体研究をもとにして構築したものを、さらに宮崎大学 森下和広教授(創業当時、現在は当社従業員で医学専門家)と藤田医科大学 黒澤仁講師(創業当時、現在は当社従業員で最高技術責任者)が発展させ確立させたもので、その商業目的での使用権は当社が独占しております。各MOURAライブラリーは、対象とする動物種の脾臓等から取り出した抗体産生細胞より抽出した抗体遺伝子を鋳型として、独自の技術・ノウハウで個体が持つ抗体を網羅するように抗体遺伝子群を増幅させることで作製します。当社のMOURAライブラリーは、生体由来の抗体群から構成されるナイーブライブラリー(注17)であり、抗体の研究開発効率と品質、安全性面で優れた方法といえます。

 表3にモノクローナル抗体取得技術の比較を示します。モノクローナル抗体の取得方法には大きく分けて動物に抗原を免疫する免疫法(注18)と、抗体の遺伝子を試験管内で発現させるディスプレイ法の2つの方法があります。免疫法ではマウスなどの動物にその抗原を投与し免疫を行い、脾臓からモノクローナル抗体産生細胞を分離した後、細胞融合技術を用いてモノクローン抗体産生細胞を作成しその中から求める抗体を産生する細胞を特定します。一方、ディスプレイ法では、動物を用いずに、予め作製した抗体ライブラリーから試験管内で抗原に結合する抗体を絞り込み、求める抗体を特定する方法です。当社の強みであるファージディスプレイ法を含むディスプレイ法の特徴を以下に説明いたします。

 a) 各動物種が持つ抗体産生細胞(注19)を用いて抗体ライブラリーを作製するため、完全(100%)種特異的抗体を取得することができます。すなわち、イヌ用の抗体薬の探索には完全イヌ型抗体ライブラリー、ネコ用の抗体薬の探索には完全ネコ型抗体ライブラリーを作製し、各ライブラリーから完全種特異的抗体を取得するため、取得した抗体は生体適合性が高く、安全性の高い抗体医薬品になることが期待されます。

 

 b) ディスプレイ法で使用される抗体ライブラリーは、大きく二つに分類されます。一つは抗体の構造のうち抗原に結合する領域に人工的に多様性を持たせるために核酸配列(注20)を挿入した合成ライブラリー(注21)であり、もう一つは、生体が保有する抗体遺伝子をそのまま組み込んだナイーブライブラリーです。当社のMOURAライブラリーはナイーブライブラリーに分類され含まれる抗体のアミノ酸配列がもともと対象とする動物種が持っている配列であるため、その種に投与した場合の安全性が高いことが期待されます。

 

 c) ファージディスプレイ法は免疫法に比べて、動物に免疫反応を引き起こすために要する時間は必要なく、また、モノクローン化のために細胞融合技術を用いないため、比較的短期間で抗体が取得できることが期待されます。

 

 d) 近年、世界的に、特にEUでは、医薬品開発のための実験動物の使用規制が厳しくなっており、抗体を取得する過程で動物を使用しないファージディスプレイ法は、世界的に実験動物の使用削減方針に則った方法といえます。

 

 

 

 

表3.モノクローナル抗体取得技術の比較

 

当社採用技術

 

 

 

抗体取得技術

ナイーブライブラリーを用いるファージディスプレイ法

 

対象とする動物種の血液や脾臓等から取り出した細胞より抽出した抗体遺伝子をもとにPCR法(注22)を用いて作成した抗体ライブラリーから、目的とする抗体を取得する

合成ライブラリーを用いるファージディスプレイ法

 

抗体遺伝子の抗原結合領域にランダムなアミノ酸配列が生じるようにPCR法を用いて作成した抗体ライブラリーから、目的とする抗体を取得する

トランスジェニックマウスを用いる免疫法

 

イヌまたはネコの抗体遺伝子を組み込んだトランスジェニックマウスに対して抗原を免疫し、目的とする抗体のみを産生する細胞から抗体を取得する

通常マウスを用いる免疫法

 

 

遺伝子改変を行っていない通常のマウスに対して抗原を免疫し、目的とする抗体のみを産生する細胞から抗体を取得する

動物の使用

不要

不要

必要

必要

非免疫原性抗原/毒性抗原に対する抗体の取得

可能

可能

困難

困難

抗体取得に要する時間

短い

短い

長い

長い

取得できる抗体の種類(注)

完全イヌ型/ネコ型抗体

人工抗体(注23)

イヌ化/ネコ化抗体(注24)

キメラ抗体(注25)

開発効率

良い

 

イヌ/ネコ生体の抗体配列のレパートリーを再現するため、効率的な抗体スクリーニングが可能。

悪い

 

生体で効果を示さない抗体がライブラリーの多くを占めるため、抗体スクリーニングに工数を要する。

悪い

 

免疫(動物体内で抗体が作られるようになるまで)に長時間を要する。
マウスの免疫機構が働かない抗原に対しては抗体が産生されない。

悪い

 

免疫に長時間を要する。
マウスの免疫機構が働かない抗原に対しては抗体が産生されない。

抗体の品質

高

 

イヌ/ネコ生体由来の配列が100%であるため、取得される全ての抗体に免疫原性(注26)はなく、安全性が高い。

低

 

取得した抗体がイヌ/ネコの生体では存在し得ない抗体の場合、免疫原性を有する可能性がある。

中

 

イヌ/ネコ生体に由来しない配列が10%程度含まれるため、取得した抗体が免疫原性を有する可能性がある。

低

 

イヌ/ネコ生体に由来しない配列が30%程度含まれるため、取得した抗体が免疫原性を有する可能性がある。

(注) 完全イヌ型/ネコ型抗体:抗体タンパク質の配列すべてが、イヌ又はネコが生体内で産生する抗体と同一である抗体(相同性100%)。

人工抗体:抗体のうち抗原結合部位のタンパク質の配列について、イヌ又はネコが生体内で産生する抗体との相同性は不明です。配列を人工的にデザインするためイヌ又はネコの生体に存在しない抗体が含まれます。

イヌ化/ネコ化抗体:イヌ・ネコ以外で産生された抗体をイヌ又はネコの生体で産生される抗体との類似性を高めるために、抗体タンパク質のうち可変領域の結合性に関わらない部分と定常領域をイヌ又はネコの配列に改変した抗体。イヌ又はネコが生体内で産生する抗体との相同性は90%程度といわれています。

キメラ抗体:イヌ又はネコ以外で産生された抗体をイヌ又はネコの生体で産生される抗体との類似性を高めるために、抗体タンパク質の配列のうち定常領域のみをイヌ又はネコの配列に改変した抗体。イヌ又はネコが生体内で産生する抗体との相同性は70%程度といわれています。

 

② 抗体単離技術

 上述のイヌ及びネコMOURAライブラリーは、約10億種類の抗体から構成されています。そのため、特定の抗原に対する抗体をライブラリーから効率よく取得する技術が必要となります。例えばサイトカイン(注27)や膜タンパク質(注28)は、外界からのシグナル伝達(受容体)(注29)や物質輸送・チャンネル機能などを担う重要な役割を果たしていることから、それらの多くが創薬標的分子になりうると考えられています。当社はこれらの分子に対して、基盤技術であるMOURAライブラリーと抗体単離技術とノウハウを組み合わせて、高機能性、高親和性の医薬品候補抗体を効率よく取得することに成功しております。図9の左のグラフは、当社が取得した抗体を用いて試験管レベルで機能阻害活性を測定したグラフで、抗体の濃度(X軸)が高くなるにつれて、阻害活性(Y軸)が強くなることを示しています。この抗体は、医薬品が特定の生体機能の働きを示す指標で「50%阻害するのに必要な濃度」として知られるIC50(Half maximal inhibitory concentration)が、130 pM(ピコモル、注30)という一般的に薬品として高い有効性が期待できるレベルの阻害活性を保有しています。また、右のグラフは抗原タンパク質と抗体の分子間相互作用(親和性)を測定した試験のグラフを示します。光を透過するチップの先端に抗体を貼り付け、チップを抗原溶液に浸すと抗原と抗体が結合し、センサーグラムが上昇します(X軸の0-1000秒)。その後、チップを抗原を含まない溶媒に浸すと親和性の弱い抗体は抗原との結合を失い、センサーグラムが下降しますが、当社の取得した抗体は親和性が高いため、抗体が結合を失わず、センサーグラムは高い値を示しています(X軸の1000-2000秒)。この反応を6水準の抗原濃度溶液を用いて試験を行い、平衡解離定数(KD)を測定し、当社の抗体のKDは31 pM(ピコモル)という強い親和性を示しました。

今後も基盤技術の向上を進め、安全で治療効果の高い完全イヌ型・完全ネコ型抗体を新たな治療選択肢としてパートナー企業、獣医師、ペットオーナー・ペットに提供していきます。

 

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図9.当社の抗体単離技術を用いて取得した抗体の機能性及び親和性に関する評価データの一例

 

(3)当社事業の優位性・可能性

当社の所有する各種のMOURAライブラリー及び抗体単離技術・ノウハウに関しては、その技術の詳細を保持、秘匿していることから、同業他社の模倣が困難な優位性を確立しています。ファージディスプレイ抗体ライブラリーは、上記「(2)当社の基盤技術①b)」で述べたように、合成ライブラリーとナイーブライブラリーに大別されます。抗体ライブラリーを有する企業の多くは合成ライブラリーですが、生体内に人工的な配列を持つ抗体を投与した場合、生体の免疫機能によって、それが異物として認識され、結果的に抗体が排除されることで効果が現れなくなる可能性も示唆されています。一方、当社が保有するMOURAライブラリーは、ナイーブライブラリーでイヌ及びネコそれぞれに特化したものであり、その生体内で産生され得る抗体のみを網羅しています。その結果、このライブラリーから取得される特定標的に対するモノクローナル抗体は、生体内で産生される抗体に等しいものです。すなわち、MOURAライブラリーより取得されるモノクローナル抗体は、合成ライブラリーにより取得されるモノクローナル抗体に比して、医薬品として開発が成功する可能性が高いことが想定されます。このようなナイーブライブラリーの構築には、技術、ノウハウ及び経験が必要であり、競合他社が新規に構築するには高い障壁が存在するといえます。また、当社独自の抗体単離技術・ノウハウは、従来の方法では難しいとされている膜抗原に対するモノクローナル抗体の取得を可能としています。このようなビジネス基盤上の優位性をもとに、当社は、動物用抗体医薬品に特化して創薬ビジネスを展開しています。

また、当社が展開する動物用抗体医薬品は、競合する企業も製品もまだ限定的です。さらに動物用抗体医薬品は、ヒト用医薬品として既に製品化され販売されている実績のある抗体薬と作用機序(注32)を同じくすることから、開発の成功確率が高いことが想定されます。このような背景から、当社は、現在動物用医薬品としての抗体薬の研究に事業資源を集中させております。複数の国内外の大手動物用医薬品企業とは、当初単独案件の提携から複数案件の提携へと移行しており、当社のMOURAライブラリー及び抗体選別法は高く評価されております。当社の独自技術の有用性に基づくこれら大手動物用医薬品企業との関係性構築の実績から、同様の協働関係が今後も継続すると期待されます。

また、当社は、VHHラクダ抗体ライブラリー、完全ヒト抗体ライブラリー(ヒトMOURAライブラリー)も保有しています。現在は、イヌ用、ネコ用抗体医薬品に集中してビジネスを進めておりますが、近い将来ウシ、ブタ等の産業動物、また、安定的な収益を見込める状況になった時点で、成功確率を精査した上でヒト用抗体医薬品の分野にもビジネスを拡大していくことを計画しております。

【業績等】

2027/03 単独1Q実績 41 -37 -36 -36
2027/03 単独会社予想 352 -5 -11 -11
2026/03 単独実績 337 35 36 36
2025/03 単独実績 144 -116 -103 -103

1株あたりの数値(単位:円)
2027/03 単独会社予想 -1.58 164.85 0.00

上場時発行済株数 8,054,700株(別に潜在 株式562,000株)
公開株数 2,285,900株(公募940,700株、売り出し1,047,200株、オーバーアロットメント298,000株)
調達資金使途 設備資金、研究開発費、運転資金

PER:

PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:19億
公募時時価:66億 


 【株主構成】 

名大・東海地区大学ベンチャー2号投組 投資業(ファンド) 1,225,000 15.96%  売出285,000 90日・1.5倍
九州広域復興支援投組 投資業(ファンド) 1,000,000 13.03% 売出200,000 90日・1.5倍
新庄勝浩 代表取締役 954,000 12.43% 180日
黒沢仁 従業員 930,000 12.12% 180日
アクシル・ライフサイエンス&ヘルスケアファンド2号投 投資業(ファンド) 625,000 8.14%  売出125,000 90日・1.5倍
小泉信一 取締役 510,000 6.64% 180日
(株)アニヴェルセルHOLDINGS 特別利害関係者など 500,000 6.51% 売出125,000  90日・1.5倍
森下和広 従業員 480,000 6.25% 180日
柴崎友一朗 執行役員 338,000 4.40% 180日
みやぎん宮崎大学夢応援投組 投資業(ファンド) 250,000 3.26% 売出200,000  90日・1.5倍
その他売出し

SMBC ベンチャーキャピタル産学連携2号投資事業有限責任組合 40,000 株

みやざき未来応援2号ファンド投資事業有限責任組合 20,000 株

きぼう投資事業有限責任組合 15,000 株

㈱ベクトル 15,000 株

みやざき未来援3号ファンド投資事業有限責任組合 10,000 株

古田 晃浩 7,000 株

長久 厚 5,200 株


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人である新庄勝浩、売出人である長久厚、古田晃浩並びに当社株主(当社新株予約権の保有者を含む。)である黒澤仁、小泉信一、森下和広、柴崎友一朗、前田龍、河合昭好、初澤寛成、工藤利秋、西井大輔は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2027年4月30日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)を行わない旨合意しております。

また、売出人である名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー2号投資事業組合、みやぎん宮崎大学夢応援投資事業有限責任組合、九州広域復興支援投資事業有限責任組合、株式会社アニヴェルセルHOLDINGS、アクシル・ライフサイエンス&ヘルスケアファンド2号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル産学連携2号投資事業有限責任組合、みやざき未来応援2号ファンド投資事業有限責任組合、株式会社ベクトル、きぼう投資事業有限責任組合及びみやざき未来応援3号ファンド投資事業有限責任組合は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2027年1月30日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及び売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通じて株式会社東京証券取引所で行う売却等を除く。)を行わない旨合意しております。

加えて、当社は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2027年4月30日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換される有価証券の発行又は当社普通株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行(ただし、本募集、株式分割、ストック・オプションとしての新株予約権の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、2026年9月28日開催の当社取締役会において決議された主幹事会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)を行わない旨合意しております。

【幹事団】

主幹事証券 東海東京 - -
引受証券 SBI - -
引受証券 丸三 - -
引受証券 マネックス - -

【参考類似企業】時価総額(10/2)

4579 ラクオリア 158億円

【私見】

  ペット用のバイオということで、初物感はありますが、業績未知数のバイオ銘柄で人気が出るとは思えません。仮条件は想定価額を下回っており、厳しさが見えます。救いは規模の小ささで、バイオにしては吸収金額が大きくはないので、下値不安はなさそうですが、上がる要素もないのかと思います。

 
想定価額:902円
仮条件上限:830円
初値予想:830円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立

総合評価2.5