2021年6月8日火曜日

IPO分析(アイ・パートナーズフィナンシャル)

 【事業内容】

 (1)事業の特徴

 当社の事業の特徴としては、対面型営業の金融機関において実在する「事業者とお客様の利益相反」や「事業者に所属する販売員の葛藤」等のお客様本位の業務運営を阻害する制度及び仕組みを反面教師としたビジネスモデル、具体的には、「IFAとの契約形態」と「プラットフォーム提供の対価(システム使用料)の徴収」の2点にあります。

 当社が行うIFAビジネスでは、お客様に資産運用のアドバイスを行うIFAと当社は主として業務委任契約の関係にあり、IFAは委託金融商品取引業者及び当社の都合に縛られることなく、自分とお客様のためだけに自分の時間と能力のすべてを費やし、真のお客様重視を実現することができます。

 また、業務委任契約であるが故、営業成績に基づく昇給や昇格・昇進という概念は存在せず、IFAは個人事業主としてお客様との長期的な信頼関係を構築することが不可欠となります。IFAは、お客様からの信頼がIFAの経営基盤のすべてであり、お客様からの信頼を失ったIFAはその事業を継続することはできません。

 当社は、「真のお客様重視を実現する金融サービス」を追求するためには、IFAがお客様のために個々の能力や人間性を発揮できる環境が不可欠であるとの考えのもと、IFAがファイナンシャル・アドバイス業務に専念できるプラットフォームを提供し、IFAからその対価としてシステム使用料を徴収しております。

 IFAとして独立することは起業することであり、自身で起業した場合には金銭面だけでなく事務・管理面等の業務に忙殺され、お客様へのサービス提供に支障が生じるケースが少なくありません。ファイナンシャル・アドバイス業務を行う上での情報が不足することも考えられます。

 当社は、個人事業主であるIFAが本業に特化できるビジネス環境提供の対価としてシステム使用料を徴収することで、IFA数の増加に伴い安定的かつ継続的な収入を獲得し続けることができるため、当社とIFAはWin-Winの関係にあると考えております。


(2)具体的なサービスの内容

 当社グループは、「IFAによる金融サービス提供事業」の単一セグメントでありますが、「金融商品仲介業」と「その他金融サービス」の2つのサービスを展開しております。

 当社グループは、当社と100%出資の連結子会社(株式会社AIPコンサルタンツ)の2社で構成されており、当社はIFAがファイナンシャル・アドバイス業務に専念できるビジネスプラットフォームを提供する金融商品仲介業者として「金融商品仲介業」を展開し、子会社は保険その他お客様の幅広いニーズに対応する「その他金融サービス」を担っております。


当社グループが展開する具体的なサービスの内容は、以下のとおりです。

① 金融商品仲介業

「平均的な高齢夫婦無職世帯の毎月の赤字額は約5万円となっており、この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。」という内容が話題となった金融審議会の報告書には、「個々人に的確なアドバイスができるアドバイザーの存在が重要であり、顧客の最善の利益を追求する立場に立って、顧客のライフステージに応じ、マネープランの策定等の総合的なアドバイスを提供できるアドバイザー」の必要性が記載されております。

 これまで当社は金融商品仲介業者として、IFAがファイナンシャル・アドバイス業務に専念できる環境を提供してまいりました。当社に所属するIFAは下図のとおり増加の一途を辿っておりますが、お客様に必要とされる金融サービスはIFAが担うとの信念のもと、当社が提供するIFAビジネスプラットフォームの付加価値を高めることで、更なる事業規模の拡大を図ってまいります。


a 資産の運用・保全・形成のための金融商品仲介業務

2020年12月末現在、当社は楽天証券株式会社、株式会社SBI証券、エース証券株式会社、あかつき証券株式会社と金融証券仲介業に係る業務委託契約を締結し、当社が運営する全国20のIFAオフィスに所属するIFAがお客様に金融商品・サービスの提案を行いつつ、株式や債券、投資信託等の金融商品の売買注文を証券会社へ取次ぎます。当社は、お客様が金融商品の売買や預かり資産残高に応じ証券会社へ支払った手数料のうち所定割合を証券会社から報酬として受け取り、その報酬のうち所定割合をIFAへ報酬として支払います。


b IFAビジネスプラットフォーム提供等のIFAサポートサービス

 当社は、IFAビジネスの拡大にはIFAの知名度向上の他、IFAへのサポート力の向上が不可欠だと考えており、前記のとおり、IFAがファイナンシャル・アドバイス業務に専念できる環境やIFAとしてのスキル向上を図る研鑽機会等のIFAビジネスプラットフォームを提供しております。更に、社内掲示版やSNSを用いた成功事例やビジネスの切り口の全体共有、IFAビジネスの進捗状況を踏まえた個別コンサルティングの実施等、国内有数のIFAを擁する金融商品仲介業者としてのアドバンテージと黎明期よりIFAビジネスに邁進した多数の役社員の知見を活かしたサポートを行っております。


② その他金融サービス

 資産運用以外にも、保険、不動産、相続・贈与、事業承継、等々、お客様にはライフステージに応じたニーズや悩みがあり、解決するためには個々の案件毎に専門家に相談しなければならず、その都度背景や経緯を説明する必要があります。

 このようにIFAはお客様のライフサイクルの伴走者として、そして、お客様のワンストップ・チャネルとして、一義的にはお客様のすべてのニーズや悩みに対処でき、「複数の専門家のハブ機能」と「お客様のライフ・パートナー」の観点からもその役割を期待される存在に成り得ると考えられるため、当社グループとしてはその他金融サービスの拡充に努めております。


 a ライフサイクルへの総合コンサルティングとしての保険募集業務

 昨今、保険・証券の総合コンサルティングに対する有用性の認識が高まり、保険代理店を母体とした金融商品仲介業者も増加しております。当社子会社は以前より、保険の取扱いを希望するIFAと雇用契約を結び保険募集人とする形で保険代理店を営んでおりましたが、保険募集業務は金融商品仲介業との親和性が高く、当社グループとしてのシナジーが発揮できることから、積極的に保険募集人の獲得に努め、お客様のライフイベントに沿った総合コンサルティングの実施に取り組んでおります。

  

【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2019.3 2,379 55 56 38

(連結実績)2020.3 2,467 6 7 0

(連結実績)2021.3 4,034 245 239 152

(連結予想)2022.3 4,540 229 226 150


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2022.3 217.41 1,220.87  - 

調達資金使途 出店、人件費・採用費、システム投資、プラットフォーム増強


上場時発行済み株数 791,000株 (別に潜在株式86,600株)

公開株数 115,000株(公募100,000株、オーバーアロットメント15,000株)


PER:14.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:3.6億

公募時時価:25億

    

【株主構成】  

石原章太郎 委任契約先 89,200 11.47 90日

中道謙 特別利害関係者など 80,000 10.29 90日

田中譲治 代表取締役社長など 47,000 6.04 90日

原田茂行 委任契約先 28,000 3.60 90日

塩本かおり 執行役員 27,800 3.58 90日

守屋顕一 取締役など 27,800 3.58 90日

島田和紀 取締役など 27,800 3.58 90日

浜崎洋 従業員、子会社取締役 26,200 3.37 90日

諸富滋 執行役員など 22,200 2.85 90日

清田秀彦 委任契約先、子会社従業員 22,000 2.83 90日・1.5倍

松波精二 取締役 22,000 2.83 90日

吉川昌利 取締役(監査等委員) 18,600 2.39 90日


  本募集に関連して、貸株人かつ当社株主である田中譲治並びに当社株主である石原章太郎、中道謙、原田茂行、塩本かおり、守屋顕一、島田和紀、濵﨑洋、諸富滋、松波精二、吉川昌利、株式会社博真舎、中川洋、村瀬博明、大木百合子、藤本寿美夫、柳田里美、糟谷真理子、小林恭子、佐藤泰幸、管駿介、松隈由紀、沖本真季、清水祐司、松澤英樹、木皿亜里沙、大西均、岡野隆、田中梨花、山口由佳里、髙梨清香、成田周平、平絵理香、中沢英美、大石由麻、大沼雄太、田中いすず、金岡秀明、片渕聖一郎、富田剛太郎、髙杉美加、松江有美、細田万平及び佐藤諒は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年7月6日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等は行わない旨合意しております。

 また、当社株主である清田秀彦は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年7月6日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等は行わない旨合意しております。

 

【代表者】

代表者名 田中 譲治(上場時64歳1カ月)/1957年生

本店所在地 神奈川県横浜市西区南幸

設立年 2006年

従業員数 34人 (1/31現在)(平均43.9歳、年収867万円)、連結38人

株主数 165人 (目論見書より)

資本金 144,585,000円 (3/5現在)

代表者生年月日 1957年02月21日生まれ

代表者略歴

1979年04月 大和証券(株)入社

1987年01月 モルガン・スタンレー証券会社東京支店入社

1998年08月 メリルリンチ日本証券(株)入社

2002年08月 IFAとして独立 日興コーディアル証券(株)(現SMBC日興証券(株))とのIFA委任契約締結

2009年02月 (株)アイ・ブレーン(現当社)入社 同年3月:当社取締役就任

2014年05月 当社代表取締役就任(現任)

2015年09月 (株)アイ・パートナーズホールディングス設立 取締役就任

2018年03月 (株)AIPコンサルタンツ代表取締役辞任・同社取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI 85,000 85.00

引受証券 楽天 5,000 5.00

引受証券 エース 1,000 1.00

引受証券 あかつき 1,000 1.00

引受証券 みずほ 1,000 1.00

引受証券 マネックス 1,000 1.00

引受証券 藍沢 1,000 1.00

引受証券 岩井コスモ 1,000 1.00

引受証券 エイチ・エス 1,000 1.00

引受証券 東洋 1,000 1.00

引受証券 水戸 1,000 1.00

引受証券 むさし 1,000 1.00


【参考類似企業】今期予想PER(5/24)

4755  楽天G -倍(連結予想 )

7169  NFCHD 22.7倍(連結予想 )

7325  アイリック 36.4倍(連結予想 )

7343  ブロドマイン 25.5倍(連結予想 )

8473  SBI 12.7倍(連結予想 )

8601  大和証G 8.9倍(連結予想 )

8604  野村HD 8.3倍(連結予想 )

8737  あかつき 7.0倍(連結予想 )

8798  アドバンスク 17.3倍(連結予想 )


【私見】

 金融のIFAということで完全な類似業種はないことは評価できますが、参入障壁が高いわけではなく大きな評価はできません。しかし、金融系で大手・外資証券会社の経験のある社長の手腕から株価対策には力を入れ、株高になる可能性は非常に高いです。しかも、需給は良く、規模も極端に小さいので、初値高騰は確実です。また、SBI主幹事であることからアフターで近づくのはリスクが高いでしょう。


想定価額:2940円

仮条件上限:3120円

初値予想:9000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価4

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