2022年3月15日火曜日

IPO分析(ギッグス)

 【事業内容】

 戦略コンサルティングの“データを用いて考える”という思考法と“データを考える材料に昇華する”高度なアナリティクス能力を組み合わせた、新しいタイプのプロフェッショナルサービス集団です。クライアント企業の経営課題解決、競争力強化のために、データを用いて物事を理解・判断する「データインフォームド」を推進しています。

 データインフォームド、すなわち、DI/Data-Informedは、データを用いて考える思考態度です。Data-Driven(データドリブン)という言葉が広く知られていますが、この用語には「データによって(自動的に)答えが導かれる」という期待が込められています。当社は、データ“だけ”で物事を判断するのではなく、人間の思考にデータ“も”加えることによって、その判断がより一層高度なものになることが理想であると考えています。当社は「あらゆる判断を、Data-Informedに。」をパーパス(企業の目的)として掲げ、クライアント企業の判断業務の変革を支援しています。

 昨今、DXという単語も非常に注目を集めていますが、その定義は曖昧です。Digital Transformationという言葉を字義通りに捉えれば、デジタル技術による変革、ということになります。ここで変革すべき対象はUXです。ユーザーの体験、経験を、デジタル技術を用いることで変化させていくことが、DXの本質であると当社は考えます。しかしながら、UXに影響を与えない単なるデジタル化も、DXと呼ばれてしまっているのが実情です。当社の提唱するDIは、人間が判断を行うというシーンにおけるUXを大きく変化させます。デジタルは強力なツールです。しかし、あくまでも手段にすぎません。当社は、デジタルという手段・手法に目を向けるのではなく、AIやクラウド技術などの最新のデジタル技術を活用しながら人間の思考能力を拡張し、より高度で精度の高い判断を可能とする環境を築き上げたいと考えています。

 当社は、クライアント企業の事業課題を理解し、競争力強化の道筋を検討する「Strategy」、膨大なデータを用いて網羅的体系分析や高度な予測、数理最適化を行う「Analytics」、仕組みに実装していく「Technology」、の3つのケイパビリティ(能力)を保有しています。これらを有機的に連携させ、各業界の東証一部上場企業をはじめとする大手企業のDI変革を支援しています。また、その中で得られた課題への深い理解、解決のためのノウハウや独自開発されたツール群を活用することで、幅広いお客様に活用いただけるプロダクトを開発し、DIの思想の浸透を加速させていると考えております。

 当社事業はData-Informed事業の単一セグメントであるため、事業セグメントを開示しておりませんが、提供するサービスの特徴から大きく「個別課題解決」と「共通課題解決」に分類しております。また、「個別課題解決」は、個別の企業・事業の状況に応じた、データを活用した判断の在り方を検討する「DIコンサルティング」と、その判断を継続的に行うために必要な、データ活用の仕組み(基盤)を構築・運用する「DIプラットフォーム」の2つのサービスで構成されます。「共通課題解決」は、先述したDIコンサルティング、DIプラットフォームの中で得られたノウハウや独自のツール群を活用し、ソフトウェア・サービスである「DIプロダクト」を提供しています。


「個別課題解決」

(DIコンサルティング)

 データインフォームドな判断を行う、と一口に言っても、各社各人の置かれた状況は千差万別で、取り組むべき課題も様々です。単一の方法論や、単一のソリューションによって、簡単に解決することはできません。クライアント企業の成長戦略や経営課題、経営方針を深く理解し、クライアント企業が抱える解決したい経営課題をヒアリングし、この最初の課題に対し関連する全件・全量・全粒度のデータをお預かりするところから我々のサービスは始まります。受領した全件・全量・全粒度のデータを分析ができる状態にクレンジングを行い、データを様々な角度から分析していきます。網羅的な事象の可視化をするというこの分析をプロジェクト開始後間もない段階で行い、その可視化結果をもってクライアント企業と対話し、クライアント企業の課題を再定義していきます。

 企業の抱える課題は、定性的で、概念的であるケースが多いため、データを用いて論理的・合理的に判断を行うためには、事前の検討が重要です。そこで最も大切なのは「課題を、計算可能な問いとして再定義する」ことです。データという客観的事実を通じて課題を俯瞰し、構造的に課題をとらえなおすことが「計算可能な問い」を導き出すための最良の方策です。当社の豊富なプロジェクト実績を元にしたデータ活用の適用範囲・方法の知見により、複数種類のデータを整形・結合し分析可能な構造にし、また、各クライアント企業の様々な状況に合わせた「人と機械の役割分担」を定めることができます。DIの根幹である「人間が判断する」という思想に基づき、機械(AI/アルゴリズム)が、どういう情報加工を行い、どういうアウトプットを提供するべきか、を定義すると共に、機械の担うべき役割の実現性を実際のデータを用いて検証していきます。

 検証に際しては、機械学習、数理最適化等の分析の方法論を適用します。起きている現象の裏に潜むメカニズムを機械学習の結果を通じて把握したり、機械によって提示された最適解に業務的な解釈を加えたりすることで、課題に対する「解法」を導き出し、その事業への適応余地(課題の解決策)を見極めます。当然ながら、このステップも一度で済むものではありません。実データを用いて分析結果を確認可能なツールを作成したうえで、クライアント企業との議論を重ね、可視化、分析、解釈のサイクルを繰り返すアジャイル型のアプローチで実施しております。

 また、当社が独自に開発した体系的な分析手法やアルゴリズム、プログラム群などが、再利用可能な形で当社内に蓄積されています。これらの分析ノウハウ、ツール群を様々なプロジェクトに転用可能な状態に準備することで、高品質かつ高速なプロジェクトの推進を目指しています。また、プロジェクト終了時にこれらのノウハウ・ツール群はアップデートされ、次なるプロジェクトに活かすために追加・更新されていきます。


(DIプラットフォーム)

 上述した通り、DIコンサルティングサービスでは、クライアント企業及びその企業の営む事業それぞれの状況に応じたData-Informedな業務の在り方が定義され、また、その業務を実現するための一連のアルゴリズムや簡易ツールが生成されます。いわゆる「プロトタイプ」と呼ばれるものが利用可能な状態になります。その上で、当該業務をクライアント企業が自ら実行できるように環境を整備するステップに移ります。DIプラットフォームは、DIコンサルティングによって生成されたプロトタイプ(アルゴリズムや分析手法、分析結果レポート等)を、クライアント企業が日常の判断に用いることができる仕組みとして構築していくサービスです。

 DIコンサルティングにおいてはインプットデータとして人間の手を介した非定型な作業で抽出・加工されたデータを用いるケースも多いのですが、DIプラットフォームでは、クライアント企業の保有する各種システムに接続し、直接的に、また自動的にデータ取得を行う仕組みを設計・構築します。自動的に連携されたデータを分析アルゴリズムに流し込むことで、「人間の判断材料」となる情報をタイムリーに提供できるようになります。

 機械学習アルゴリズムをはじめとした、経営課題の“解法”の実装は、一度の開発で完成するものではありません。その“解法”を織り込んだ業務が果たしてどうあるべきかは、実際に業務変革を推進していく中で初めて見えてくることも多く、かつ最適な“解法”そのものが進化していくことも多くあります。そのため、プロジェクト開始時にすべての要件を定義し、それを作り上げることを目指すウォーターフォール型開発では、期待された成果を得ることは困難です。その状況を踏まえ、当社は、DIコンサルティングと同様、DIプラットフォームにおいても、アジャイル型アプローチを採用しております。クライアント企業の業務変革を推し進めるにあたっては、「業務」の変化に合わせて、「システム・機能」も柔軟に変化していくことが求められます。そうした柔軟性を担保するためには、中長期目線で考えられたアーキテクチャ(基本的なシステムの設計構造)が重要となります。当社では、将来的な業務ニーズ変化を見据え、先端的な最新のクラウド技術も含めた、最適な技術選定を行い、メンテナンス性と拡張性を両立させたデータ基盤を設計します。

 上記方針で基盤構築を行うにあたり、当社では、以下のように「本当に業務で使えるかどうか」を確認しながら開発を進めていくことで、役立つ仕組み・使える仕組みを実現しています。


 上記2つのサービスは、事業上の課題を理解し、最適な分析手法を見定め、それを実装するための最適な技術を選定することによって初めて成立します。そのため、先に述べた当社のコアケイパビリティである「Strategy」「Analytics」そして「Technology」のいずれが欠けても実現できません。この3つの能力が有機的に連携していることが、「データに基づく判断(=Data-Informedな判断)」をクライアント企業に提供するための鍵であり、競合企業との差別性の源泉であると考えております。


 「共通課題解決」

(DIプロダクト)

 個別課題解決を提供する中で、新たに創造された解法やアルゴリズム、ツール、ノウハウを活用し、特定業界、あるいは、より広く社会一般に共通する課題に対する解決策として提供可能な「プロダクト(製品)」を複数開発しています。これらのプロダクトは、対応する課題の性質に応じて、クライアント企業のサービス内にエンジンとして組み込まれるケースもあれば、独立したサービスとして広く提供されるケースもあります。


 2021年6月期の売上高構成比は、Data-Informed事業100.0%。主な販売先はJR西日本28.5%、アサヒグループホールディングス19.8%、三菱UFJ銀行14.0%。


【業績等】

業績動向(単位:百万円)

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/06 単独予想 966 20 14 6

2022/06 単独中間実績 443 17 16 10

2021/06 単独実績 722 54 50 51

2020/06 単独実績 617 42 42 36


上場時発行済株数 5,493,400株(別に潜在株式143,700株)

公開株数 1,190,800株(公募300,000株、売り出し735,500株、オーバーアロットメント155,300株)

調達資金使途 研究開発費、採用・人件費


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/06 単独予想 1.30 270.19 -


PER:823

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:12.7億

公募時時価:59億

​   

【株主構成】 

網野知博 代表取締役CEO 2,033,400 38.10% 90日

田中耕比古 取締役 933,300 17.49% 90日

花谷慎太郎 取締役 933,300 17.49% 90日

FinTechビジネスイノベーション投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 571,000 10.70% 90日

(株)JR西日本イノベーションズ ベンチャーキャピタル(ファンド) 311,200 5.83% 90日継続

日本ユニシス(株) 資本業務提携先 261,200 4.89% 継続

鴨居達哉 特別利害関係者など 100,000 1.87% 90日

三菱UFJキャピタル7号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 50,000 0.94% 継続

安藤祐輔 外部協力者 48,300 0.90%

岡大勝 外部協力者 48,300 0.90%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人である網野知博、売出人であるFinTech ビジネスイノベーション投資事業有限責任組合、田中耕比古及び花谷慎太郎、当社株主である株式会社JR西日本イノベーションズ及び鴨居達哉並びに当社新株予約権者である山田洋、加部東大悟、柳優樹、堀越豪、加藤翔也、遠藤朱寧、堀川大夢、竹内豊、久保圭太、郷沙央里、緒方覚司及び茂木和美は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2022年6月27日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。


 また、当社は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)180日目の2022年9月25日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換される有価証券の発行又は当社普通株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、株式分割、ストックオプションとしての新株予約権の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、2022年2月22日開催の当社取締役会において決議された主幹事会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)を行わない旨合意しております。

 上記のほか、当社は、取引所の定める有価証券上場規程施行規則の規定に基づき、上場前の第三者割当等による募集株式等の割当等に関し、当社株式の割当を受けた者(日本ユニシス株式会社、株式会社JR西日本イノベーションズ、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合)及び当社新株予約権の割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っております。


【代表者】

代表者名 網野 知博(上場時48歳10カ月)/1973年生

本店所在地 東京都港区三田

設立年 2012年

従業員数 31人 (2022/01/31現在)(平均33.7歳、年収858.2万円)

事業内容 アナリティクスを用いたデータインフォームド事業、データを活用した各種コンサルティング業務およびツールの研究開発、上記ツールを用いた各種サービスの提供

URL https://www.gixo.jp

株主数 8人 (目論見書より)

資本金 95,000,000円 (2022/02/22現在)

代表者生年月日 1973年05月12日生まれ

代表者略歴

1988年04月 (株)CSK(現SCSK(株))入社

2004年11月 アクセンチュア(株) 入社

2011年04月 日本IBM(株) 入社

2012年12月 当社設立 代表取締役CEO(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 いちよし - -


【参考類似企業】参考類似企業 銘柄 今期予想PER(3/9)

1447  ITbookHD 57.1倍 (連結予想)

3636 三菱総研 10.8倍 (連結予想)

3666 テクノスJPN 13.5倍 (連結予想)

3719 ジェクシード 267.4倍 (連結予想)

3753 フライトHD - (連結予想)

3798 ULS-G 19.7倍 (連結予想)

3962 チェンジ 34.6倍 (連結予想)

3996 サインポスト - (単独見込)

4373 シンプレクスH 18.6倍 (連結予想)

4687 TDCソフト 11.8倍 (連結予想)

4722 フューチャー 19.0倍 (連結予想)

6088 シグマクシスH 26.4倍 (連結予想)

6532 ベイカレント 39.0倍 (単独見込)

9240 デリバリコン 17.4倍 (連結予想)


【私見】

 業種としてはコンサルで、JRやアサヒなど大手中心で評価はできます。業績は売上の伸びは良いのですが、利益が出てないなのは物足りなく、先行投資でいずれ追いつくのでしょうか。需給は、中規模で、ロックや継続保有など制限はあるので問題はなく、そこそこの初値は期待できるでしょう。


想定価額:1070円

仮条件上限:1070円

初値予想:1500円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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