(ブルームバーグ): 半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(HD)が早ければ10月に東京証券取引所に新規株式上場(IPO)する方針であることが16日、分かった。米ウエスタンデジタル(WD)との統合は引き検討するが、単独のIPOを優先させる。複数の関係者が明らかにした。
関係者らによると、キオクシアは東証への上場申請の準備に入る。半導体関連ビジネスには世界的に追い風が吹いていることから、IPOによる資金調達が可能と判断した。IPO後に改めてWDとの統合を進める方針だという。
関係者らによると、キオクシアは6月に約9000億円の銀行融資の借り換え期限を控えており、銀行団から資本増強策や成長戦略などについての説明を求められていた。IPOによる単独での成長戦略を示されれば、銀行団は借り換えに応じる方針だ
関係者らよると、15日に筆頭株主で米投資ファンドのベインキャピタルと銀行団との協議が開かれ、キオクシアへの対応が話し合われた。
キオクシアは、前身である東芝メモリがベインを中心とする企業連合に売却された2018年6月から3年以内の上場を目指す方針を取ってきた。20年10月のIPOで東証から承認されたものの、市場動向などを理由に手続きは延期された。
その後はIPO方針を維持しながらWDとの統合を断続的に協議。昨年9月には、統合に向けた協議が進展し、銀行団も統合支援のために2兆円の融資を行う方向で検討していた。しかし、ベインが組成したファンドに出資する韓国のSKハイニックスが両社の統合に反対姿勢を崩さず計画は頓挫。SKは現在も統合を認めていない。
キオクシアが単独で上場後の成長戦略を示せるかには不透明さも残る。関係者の1人は、再建の第一歩として上場案は評価できるとしつつ、調達した資金でいかに企業価値を高めるかを描けないと実現は難しく、他社との提携検討は引き続き必要だとしている。
キオクシアの業績は通期では23年3月期に営業損益が990億円の赤字に転落。四半期ベースでは23年10-12月期まで営業赤字が続いていた。ただメモリー市況は在庫水準の正常化により需給バランスの改善が続いており、販売価格は上昇に転じている。
キオクシア広報担当の山路航太氏は、ブルームバーグの問い合わせに「適切な時期の上場を目指して準備を進めていることは変わりない。ただIPOについて今日時点で新しく共有できる情報はない」と答えた。べインの広報担当者はコメントを控えた。
読売新聞は16日付朝刊で、ベインが銀行団にキオクシアの上場案を説明したと報じていた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-16/SC0GDNT0AFB400
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