2024年5月12日日曜日

上場承認(学びエイド)

 【事業内容】

​ 当社の主なビジネスモデルは、鉄人講師等の「教えたい」ひとから映像授業のコンテンツを調達し、学習塾等の「教えたい」ひとに、当社が開発した映像授業・学習管理サービスを提供することで、エンドユーザー(生徒)等の「教わりたい」ひとに教育を届けるほか、当社の映像学習サービスを直接「教わりたい」ひとに届けることであります。「学びエイドマスター」「学びエイドマスターforSchool」「学びエイドforEnterprise」が主要サービスであり、3サービスで売上の98.3%(2023年4月期時点)を占めております。

 

(a) 学びエイド(無料の一般会員/プレミアム会員)

 無料の一般会員と有料のプレミアム会員むけに映像学習サービスを提供しており、1コマ5分程度のマイクロ講義を登録した会員がオンライン上で視聴することができます。学びエイドの映像授業は、生徒はわからない箇所だけを効率的に学習することができ、中学から高校まで幅広く対応しているため、参考書や問題集の説明・解説を読んでも理解が難しい生徒でも、わかりやすく動画で理解を促します。映像授業は、大手予備校等の指導経験を持つ講師を中心とした鉄人講師自らが制作に関わり、授業を行っております。提供している映像コンテンツは約62,000コマ以上、当社が登録している鉄人講師は100名以上(科目換算)となっております

 これまで大手予備校で提供されるような質の高い授業は大手予備校に通わなければ、受講することができませんでした。しかし、学びエイドでは、大手予備校で登壇している予備校講師等が提供する個性あふれる多様な授業の中から、生徒が自分にあった講義を選ぶことができます。無料の一般会員は1日3コマまでの受講となりますが、プレミアム会員は、毎月定額で中学・高校の学習範囲を全科目見放題となることに加え、倍速再生、教材テキストの購入が可能となります。月額898円から利用でき全科目が視聴できるというサービスは学生のみならず、大人の学び直しのニーズにも対応しており、当社の教育の「意欲」の機会均等という理念をあまねく達成するために提供しております。

 利用料の受領形態は、月額払い・半年払い・年間払いがありますが、いずれも利用期間にわたって月次で売上計上しております。

「映像授業」については、鉄人講師が制作した映像コンテンツを調達し、これを顧客に提供しておりますが、当社は鉄人講師とコンテンツ使用許諾を締結し、その使用許諾料を、顧客に提供した実績に応じて、レベニューシェアの方式(当該コンテンツを利用して得られた売上高の約5%を提供本数に応じて按分)により支払うこととしております。


(b) 学びエイドマスター及び学びエイドマスターforSchool

①学びエイドマスター

 「学びエイドマスター」とは、小規模~中規模の学習塾むけに「学びエイド」で提供する映像授業に加え、学習塾専用の「映像授業」、塾運営の効率化を支援する「管理機能」を提供するサービスです。また、「学びエイドマスター」では中規模~大手(全国展開)学習塾本部向けに、「学びエイドマスター」をベースに顧客の指導スタイルや塾運営に合わせた「学習管理機能」や「映像コンテンツ」をカスタマイズ(共同開発)する「学びエイドマスターforSchool」を全国の教室に提供しています。

 「学びエイドマスター」の映像授業は、「学びエイド」サービスと同様に、1コマ5分程度のマイクロ講義で、中学から高校まで幅広く対応しているためあらゆる指導スタイルに対応することができます。また、映像授業や管理機能を用いることで、講師不足やアナログ管理といった課題に対応することができます。

 また、2023年11月から提出した小論文の添削が自分専用の動画で届くオンライン小論添削サービス「総合型選抜対策 添削道場」や2024年1月から学習塾の生徒を当社が直接指導し、専門性が必要となる高校生・大学受験指導や人員不足を解決するオンライン学習指導サービス「テツヨビ」といった、学習塾の教室運営を支えるサービスも展開しております。

 なお、2024年3月末日現在において、契約教室数400教室以上となります。

学びエイドマスターでは映像授業に加え、以下の管理機能も提供しており、学習塾の運営方法に合わせて使いたい機能を組み合わせて利用することができます。

 当社が「学びエイドマスター」を提供する顧客(小規模~中規模の学習塾)は、当社サービスを活用して生徒に対して教育サービスを提供します。当社は学習塾から学びエイドマスター利用料を受け取りますが、利用料には大きく分けて初期導入費用と月額料金があります。初期導入費用は、サービス利用にあたって一時に受領する対価であり、本サービスの平均契約期間にわたって売上計上しております。月額料金は、主として月額基本費用と生徒アカウント費用があり、月額基本費用は1教室あたりの定額を毎月受領し、生徒アカウント費用は1生徒あたりの定額を毎月受領しており、いずれも利用期間にわたって月次で売上計上しております。


②学びエイドマスターforSchool

 当社は「学びエイドマスターforSchool」を提供する顧客(中規模~大手(全国展開)学習塾本部)から、学びエイドマスター利用料を受けとる他に、カスタマイズの規模に応じて必要な開発費等を受領しております。実質的に請負契約と判断される場合(開発費等)、システム開発については作業工数によるインプット法、コンテンツ制作については引渡し(検収)基準によるアウトプット法にて売上計上しております。また、実質的に請負契約と判断される場合以外(例えばシステム利用や動画利用料の受領)については、契約期間にわたって売上計上しております。また、こちらのカスタマイズにつきましては、近年増加している学力以外の能力も入学選抜項目とする新入試である学校推薦型選抜、総合型選抜対策講座の開発やカスタマイズも含まれています。

 

(c) 学びエイドforEnterprise

「学びエイドforEnterprise」とは、教育現場におけるデジタル化のニーズに対応するため、参考書や教科書など紙媒体の「映像授業化」と映像授業化したコンテンツを配信するための「配信サービス」を開発・提供するサービスであります。

 当社では、創業から現在に至るまで、「学びエイド」「学びエイドマスター」で公開しているコンテンツ数と本サービスで制作したコンテンツ数を合わせて70,000コマ以上のコンテンツを鉄人講師・登録講師(※4)と共に研究し制作した莫大な映像制作ノウハウと講師ネットワークに加え、学習塾を中心に教育現場の声を反映して作成してきたシステムを活かし、映像制作とシステム構築を行ってまいりました。映像制作とシステム構築を1社で提供することで、デジタル化の導入コストを大幅に削減することが可能となります。

 当社が学びエイドforEnterprise を提供する顧客は教育関連事業者(例:教科書会社・参考書出版会社)であり、企業は当社サービスを活用してエンドユーザーに対して教育サービスを提供します。当社は契約内容に応じて、企業からコンテンツ・システム開発費、システム利用料、動画利用料、レベニューシェアを受け取ります。コンテンツ・システム開発費は、契約内容に応じて主として一定期間にわたって売上計上しております。システム利用料、動画利用料、レベニューシェアは、企業がエンドユーザーに提供した対価に応じて、企業から当社に支払われるものであり、一定期間において計算された結果に基づき、売上計上しております。


(d) 学習塾

 学習塾とは、当社が運営する学習塾空間にて、「学びエイドマスター」による指導を提供するサービスであります。

学習塾では、「学びエイドマスター」を使用し、多様な映像授業と生徒一人ひとりにあわせた独自学習プログラムで効率的に学べる指導を行っております。また、学びエイドマスターの効率的な利用方法等を活かした運営ノウハウを、「学びエイドマスター」等のサービス提供を行っている学習塾に提供することにより、「学びエイドマスター」の利用促進のために活かしております。


当社の事業及びサービスの特徴として、以下があげられます。

(a) 豊富な鉄人講師・登録講師ネットワークが生み出す個別最適化への対応

 当社が顧客に提供する映像授業・学習管理サービスや参考書や教科書など紙媒体の「映像授業化」は、良質な映像コンテンツを、網羅的に調達することが可能であります。これらが可能になる理由としては、当社の「教育の機会均等を達成すること」、「教わるだけではなく、教えたい、というひとの場を提供すること」という大義に対し、創業当時からご賛同いただいた鉄人講師とのネットワークがあげられます。また、「登録講師」という形で、鉄人講師としてデビュー前の講師とのネットワークも広がっており、当社の受託コンテンツの制作等を通じて、講義力を高め鉄人講師を目指す講師も増えてきております。

 学びエイドマスター(forSchoolを含む)のような映像授業配信サービスは、一般的には、映像コンテンツを買い取り、買い取った時点では最新の情報に基づき制作されていたとしても、いずれは陳腐化する可能性があるほか、映像コンテンツの質を求めると価格が高くなる傾向にあります。当社では、鉄人講師が制作した映像コンテンツを調達し、これを顧客に提供しておりますが、当社は鉄人講師とコンテンツ使用許諾を締結し、その使用許諾料を、顧客に提供した実績に応じて、レベニューシェアの方式(当該コンテンツを利用して得られた売上高の約5%を提供本数に応じて按分)により支払うこととしております。鉄人講師からみると、使用許諾料は一般的な映像コンテンツの販売価格と比較して、必ずしも有利な価格とは言えませんが、当社の売上高が増えれば、鉄人講師が得られる使用許諾料も高くなる可能性はあります。

 一方で、鉄人講師は、当社の経営理念に賛同し、「教えたい」という自らの使命感をもって、当社にご協力いただいております。一般的な予備校で講師が生徒に教える場合、使用する教材等の制約がありますが、当社の映像コンテンツの場合、「講師の顔は出さない」、「1コマ5分」といった最低限の制約のみとしており、教えるにあたっての自由度が高く設定されております。鉄人講師は自らが理想と考える映像コンテンツを制作することが可能となり、自らの「教えたい」という使命を果たすことができます。

 また、学びエイドforEnterprise(学びエイドマスターforSchoolのカスタマイズを含む)では、これらの鉄人講師・登録講師の豊富なネットワークを持つことで、顧客からの指導法、対象学年、求める講師のキャラクターといった細かなニーズに応えるオリジナルな映像コンテンツの制作が可能となります。予備校講師を始めとする鉄人講師は、少子化、浪人生の減少、総合型選抜の増加による一般入試の減少により、「教える場」が減りつつあります。教育関連事業者からの学習コンテンツ制作やテキストの映像化といった需要は、講師にとっても新たな「教える場」となり、指導力をもつ講師の新たな活躍の場を提供することに繋がっていると考えております。


(b) タイムパフォーマンスを重視した映像授業の制作実績

 映像コンテンツの開発コンセプトとしてマイクロ講義という形態を採用しております。マイクロ講義では、1コマを5分で区切ることで、生徒が能動的・効果的に学習することが可能になります。具体的には、分からない箇所だけを繰り返し視聴することができる、キーワード検索でピンポイント視聴ができるなどがあげられます。

 エンドユーザーである生徒は「Z世代」と呼ばれ、タイムパフォーマンス(※6)を重視する傾向が強まり、対応したSNSを中心としたサービスや商品が増加しています。

 特に動画分野においては、「短時間」「倍速再生」「要点まとめ」 等をキーワードに、対応したサービスやコンテンツが増加しています。当社の映像授業は、こうした個別最適化をはじめとする教育業界のニーズと、タイムパフォーマンスの向上させたいエンドユーザーのニーズに対して、マイクロ講義の形態を採用しております。


(c) 教育分野に特化した映像制作による専門性と安心感の提供

 教育現場では、「教材の著作権処理」「学習指導要領への対応」「教育的配慮に基づいた指導である事」等、通常の映像制作とは異なる専門性が求められます。創業より教育分野に特化した映像授業の制作を継続し、専門性と教育的配慮に基づいた内容であるか、学習指導要領と逸脱がないか等をチェックし、安心感のあるサービスを提供していると考えております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2024/04 単独3Q累計実績 388 46 45 54

2024/04 単独会社予想 623 143 139 115

2023/04 連結実績 501 111 110 93

2022/04 単独実績 290 -47 -47 -60


決算期 種別 EPS BPS 配当

2024/04 単独会社予想 55.93 - -


上場時発行済株数 2,248,100株(別に潜在株式131,400株)

公開株数 841,800株(公募180,000株、売り出し552,000株、オーバーアロットメント109,800株)

調達資金使途 事務所拡張のための設備投資、採用費・人件費、広告宣伝費


PER:17.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:8.2億

公募時時価:22億

​   

【株主構成】 

広政愁一 代表取締役社長 1,163,700 52.91% 180日 △280,000

K&Pパートナーズ2号投組 投資業(ファンド) 514,300 23.38% 90日・1.5倍 △102,900

K&Pパートナーズ3号投組 投資業(ファンド) 171,200 7.78% 90日・1.5倍 △34,300

鈴木健一 取締役 158,000 7.18% 180日 △112,500

共同印刷(株) 資本業務提携先 70,000 3.18% 180日

旺文社イノベーションファンド1号投組 投資業(ファンド) 22,300 1.01% △22,300

野田亮太 従業員 11,200 0.51% 180日

松本英二 取締役 9,400 0.43% 180日

杉浦久恵 取締役 8,000 0.36% 180日

平林明日樹 取締役 8,000 0.36% 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である廣政愁一、売出人である鈴木健一並びに当社株主(当社新株予約権の保有者を含む。)である共同印刷株式会社、野田亮太、松本英二、杉浦久恵、平林明日樹及び当社従業員14名は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2024年11月23日までの期間(以下「ロックアップ期間①」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む。)の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)は行わない旨合意しております。

 また、売出人であるK&Pパートナーズ2号投資事業有限責任組合及びK&Pパートナーズ3号投資事業有限責任組合は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2024年8月25日までの期間(以下「ロックアップ期間②」といい、ロックアップ期間①とあわせて以下、「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及び売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通じて行う株式会社東京証券取引所で行う売却等を除く。)を行わない旨を合意しています。


【代表者】

代表者名 広政 愁一(上場時56歳11カ月)/1967年生

本店所在地 東京都文京区本郷

設立年 2015年

従業員数 30人 (2024/03/31現在)(平均42.7歳、年収470.5万円)

事業内容 インターネットによる教育サービスの企画開発・提供

URL https://corp.manabi-aid.jp/

株主数 6人 (目論見書より)

資本金 120,122,000円 (2024/04/22現在)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 極東 - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】今期予想PER(4/25)

3933 チエル 14.5倍 (連結予想)

3998 すららNT 13.4倍 (連結予想)

4686 ジャストシステ 12.7倍 (連結予想)

5134 POPER 54.7倍 (単独予想)

9783 ベネッセHD 33.3倍 (連結予想)


【私見】

 インターネットを通じた教育ビジネスで、発想は面白いものの、類似業種も多く大きな優位性はないと感じます。PERからは他社の10台後半と適度ではあるので、決算次第ですが大きな上澄みはないと上げるには厳しいような気はします。需給面では、小型ではありますが、1.5倍でロックが外れるVCも残っており、初値以外は魅力はないでしょう。


想定価額:970円

仮条件上限:970円

初値予想:1500円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

0 件のコメント:

コメントを投稿