2024年11月29日金曜日

IPO分析(ラクサス・テクノロジーズ)

 【事業内容】

​ 日本国内の一般消費者に対して、ブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービスである「ラクサス」を提供することを主な事業としております。

 同サービスは、良質なブランドバッグを気軽に利用できる機会を一般消費者に提供すること及びサステナブルな社会の実現へ貢献することを目的として、2015年2月にスタートしました。定額課金制のサブスクリプションサービスを通じて気軽に良質なブランドバッグを利用できる機会を一般消費者に提供するとともにブランドバッグという資産を大切にメンテナンスしながら最大限に活用し、モノの価値を社会に循環させていく事業となります。

 スマートフォンアプリやインターネットサイトを通じて一般消費者が良質なブランドバッグを「お手軽に」「使いたいときにいつでも使える」機会を提供することに取り組んでおります。これらの活動により、「購入は躊躇するが利用してみたい」というユーザーの潜在的な需要を喚起することでサービス継続率の向上を図っております。

 また、サービスの用に供するブランドバッグは、主にリユース市場を通じて調達し、自社の専門スタッフが大切にメンテナンスすることで長く良好な状態を維持しており、サービス開始以来、仕入れたバックの直接廃棄はゼロとなっております。配送に使用するBOXもリユースするなど細部にわたって環境に配慮することでサステナブルな社会の実現に貢献しております。

 更には、当社は、ユーザーがレンタル中のバッグで気に入ったものについては購入することも可能なサービス「買えちゃうラクサス」に加え、バッグの市場価値に応じて国内リユースセレクトショップやオークション、又は、海外ECサイト等より適切な販売先を選択するBtoB/C販売も開始しました。

 従来、一般消費者は、ブランドバッグを購入して所有することに価値を見出しておりました。当社は、ブランドバッグをシェアリングという「使用価値」、一定期間使用しても残価が残るという「時間的な価値」等を有しているアイテムだと考えております。そのため、当社は、現在のラクサス事業を起点として「使用(シェアリング)」と「販売」を組み合わせた仕組みを世の中に提供することで1つのバッグの価値を最大限引き出し、バッグの生涯収益を最大化する「モノの価値循環モデル」の構築を目指しております。

 当社のビジネスモデルは、ブランドバッグという資産の付加価値を高め、多数のユーザーが持続的に価値をシェアすることで資産価値の最大化を図り、収益を生み出すとともにサステナブルな社会の実現に貢献することを目指すビジネスであると考えております。


(1)事業の概要

 主な収益は、「ラクサス」サービスの提供により会員から得られる月額の会費収入です。当社は、ユーザーに対し、好みのブランドバッグを一つ選択し、交換自由・使い放題で楽しむことができるシングルプランを月額9,800円(税別)のサブスクリプション型料金で提供しております。

 なお、当社は、サービスの質の向上を企図し、2023年12月よりシングルプランの月額料金を従来の月額6,800円(税別)より月額9,800円(税別)へ変更しております。

 また、同時に2つのバッグを利用したいユーザー向けにダブルプラン(月額13,600円/税別)を併せて提供し、更なる収益機会の獲得に努めております。

 「ラクサス」ユーザーの年齢層は、20代から50代と幅広く、特に30代、40代が中心となっております(2024年2月実績)。中でも働く女性が全体の約73%を占めており、サービス利用の用途は「日常と通勤」=「オンとオフ」でブランドバッグを使い分けるユーザーが多数見られます。また、子供を持つ女性が約44%を占め、学校行事やプライベートでの外出、旅行などの用途でブランドバッグを使い分けるユーザーも多数存在します。

 当社が定期的に実施しているユーザーインタビューの結果によると、ブランドバッグをスタイリングアイテムに入れてファッションを楽しみたいが価格が高く購入を躊躇する層が一定数存在します。これらのユーザーは、気軽に様々なブランドバッグを試し、気に入ったら購入できる選択肢として「ラクサス」を活用しております。

 その他、当社は、ユーザーがレンタル中のバッグを購入できる「買えちゃうラクサス」サービスを提供しており、バッグのシェアから更に一歩踏み込んだ、試用販売施策の展開に加え、バッグの生涯価値最大化を目指しバッグの市場価値を見極めながら、リユースマーケットでの販売も行っており、バッグ資産をベースとしたモノの価値循環モデルの基盤構築に取り組んでおります。


(2)事業の強み

 「シェアリング+販売」という「モノの価値循環モデル」の先駆けとして事業を行ってきた結果、ユニークな事業の強みを保持していると考えております。

① 保有資産の価値

 現在当社は、国外ラグジュアリーブランドバッグを固定資産として保有し、減価償却を進めながらシェアリングサービスの用に供しております。一般にブランドバッグは、残余価値が残りやすいとされており、シェアリングビジネスで収益を上げながら、将来的には、販売による利益も獲得できるともいえます。


② 資産価値の維持と組み換え

 サブスクリプション型シェアリングサービスにおける顧客満足度と収益の最大化の両立を図るため、使用状況/相場データベースを組みわせた最適な在庫入れ替えと、資産価値を維持し・向上させるメンテナンス・リペアオペレーションを実現しております。その具体的な取り組みは、以下のとおりとなります。

(a)最適な仕入れを可能にする蓄積されたデータ

・蓄積された豊富な貸出データ及び販売データにより、失敗しない仕入を実現

・豊富な取引実績を背景に、競争力ある価格での仕入れ交渉が可能


(b)豊富な在庫を実現する目利き調達ルート

・これまで60ブランド4万点以上のバッグ仕入れで磨き上げた目利き力

・世界的にも優良市場である日本の二次流通市場において安定した調達ルートを確立


(c)在庫をアップデートするメンテナンス

・壊れたバッグでも独自技術や培ったノウハウによって貸出可能な状態に修復

・一般社団法人 日本流通自主管理協会(略称 AACD)に加盟するとともに、偽物排除の取り組みを推進し、本物のみを提供


(d)在庫を最適に配分する自社倉庫

・ITを活用したフリーロケーションによる効率的な保管を実現した在庫管理

・内製で構築したジャストインタイムの在庫管理システム


(e)不正排除のための独自審査

・豊富な経験により培った当社独自の入会審査の仕組みを確立

・使用状況に応じた不正ユーザー検知の仕組みを確立


③ 成長を担保するコミュニティ

 当社の会員構成は、利用期間が12か月を超える会員が全会員数の66.0%を占めており会費収入拡大の基盤となっております。また、当社は、継続して新規加入者を獲得しており、これまでに当社のサービスを利用したことがある会員の累計は18.1万人となっております。会員の中には、一度サービスを休止しても利用再開するユーザーも存在し、その割合を示す復活率は21.0%と安定的な会員数の確保に繋がっております。

 サービスを利用するたびに体験価値が重ねられるため、月額会員の退会率は登録当初から約3か月を境に緩やかになり、顧客獲得コスト(CAC:Customer Acquisition Cost)を約2.9か月で回収し、その後も長期的に収益を生み出す構造を確立しております。

 また、当社は、更なるサービスの質の向上を企図し、2023年12月よりシングルプランの月額料金を従来の月額6,800円(税別)より月額9,800円(税別)へ変更しておりますが、2024年9月現在、有料会員数は、19,847名であり、価格改定後、減少を続けておりました会員数は、2024年9月に対前月に対して純増へ転換しております。

 なお、有料月額会員の月平均顧客単価は、8,766円となっております。

 

④ 試用販売による価値の最大化(アップセル)

 月額の会費収入に加えて、レンタル中の商品を現状有姿で販売するサービスを実施しております。ブランドバッグは、一般的に高額品ですが、レンタル期間は「長い使用体験」とも言えます。愛着の湧いたバッグを長く所有したいという保有効果により、レンタル中のバッグを購入する会員も存在します。


【業績等】

業績動向(単位:百万円)

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/03 単独中間実績 1,284 338 337 283

2025/03 単独会社予想 2,693 634 576 455

2024/03 連結実績 2,251 473 503 431

2023/03 連結実績 2,007 330 332 273


決算期 種別 EPS BPS 配当

2025/03 単独会社予想 21.64 114.55 0.00


上場時発行済株数 25,654,383株(別に潜在株式1,031,700株)

公開株数 8,593,200株(公募6,543,600株、売り出し928,800株、オーバーアロットメント1,120,800株)

調達資金使途 レンタル用資産購入資金、マーケティング関連費用、システム投資、採用費・人件費や業務委託費など


募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(但し、米国及びカナダを除く。)


PER:13.0

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:24.1億

公募時時価:72億

​   

【株主構成】 以下180日

(株)ワールド 親会社 11,943,934 59.30%

児玉昇司 取締役、創業者 7,166,849 35.58%

高橋啓介 代表取締役社長執行役員 286,400 1.42%

竹増浩司 取締役執行役員 165,100 0.82%

匿名1 従業員 147,400 0.73%

中尾聡志 取締役執行役員 124,600 0.62%

匿名2 従業員 67,400 0.33%

匿名3 従業員 64,400 0.32%

匿名4 従業員 53,000 0.26%

匿名5 従業員 49,600 0.25%


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である株式会社ワールド及び児玉昇司並びに当社株主(新株予約権者を含む。)である高橋啓介、竹増浩司、中尾聡志他10名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2025年6月10日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(但し、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すことは除く。)等は行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 高橋 啓介(上場時46歳2カ月)/1978年生

本店所在地 広島県広島市中区中町

設立年 2006年

従業員数 42人 (2024/10/31現在)(平均38.1歳、年収488.3万円)

事業内容 ブランドバッグのサブスクリプション型シェアリング事業

URL https://corp.laxus.co/

株主数 2人 (目論見書より)

資本金 821,901,000円 (2024/11/12現在)

代表者生年月日 1978年09月20日生まれ

代表者略歴

2002年10月 株式会社ローランドベルガー入社

2018年01月 同社 パートナー

2019年01月 同社 社内バーチャルカンパニーヘッド

2020年08月 株式会社ワールド 執行役員グループ企画本部長

2021年04月 同社 ネオエコノミー事業本部長兼グループ企画本部長

2022年04月 同社 SDGs推進室長兼ネオエコノミー事業本部長兼デジタルリテール推進本部/グループ企画本部副本部長

2022年06月 当社 代表取締役社長執行役員(現任)

【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 松井 - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 極東 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 ひろぎん - -


【参考類似企業】今期予想PER(11/18)

3612 ワールド 7.8倍 (連結予想)

9557 エアクロ 327.9倍 (単独予想)


【私見】

 ブランドバックのレンタルということで、エアクロは唯一の同業ですが、バッグということでは初物業種ということで評価は出来ます。ワールドの子会社で、親子上場ということでマイナス評価は受けるでしょう。エアクロに比べて、業績は良く、PERからは適度といったころでしょうか。吸収金額は適度にあり、VCなしの完全ロックなので需給は問題ないでしょう。単独上場で資金の分散がないことで初値人気はありそうです。


想定価額:281円

仮条件上限:281円

初値予想:400円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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