2025年3月18日火曜日

決算(TENTIAL)

 TENTIAL <325A> [東証G] が3月17日大引け後(15:30)に決算を発表。25年1月期の経常利益(非連結)は前の期比3.0倍の14.3億円に急拡大し、26年1月期も前期比11.4%増の16億円に伸びを見込み、4期連続で過去最高益を更新する見通しとなった。6期連続増収、3期連続増益になる。


順調な数字なので下値不安はなくなったと思います。来期予想でサプライズはなかったので、次の決算発表前あたりでもう一段上はありそうです。


株探ニュースより

実績

前期【実績】

決算期売上高営業益経常益最終益修正1株益修正1株配発表日会計基準
    2023.012,0333938-12-2.20
ー
単独
    2024.015,40947347750676.60
ー
単独
    2025.0112,8371,4521,4381,061160.10
2025-03-17
単独
前年同期比2.4倍3.1倍3.0倍2.1倍2.1倍%

前期実績と従来予想との比較

決算期売上高営業益経常益最終益修正1株益修正1株配発表日会計基準
予   2025.0111,9551,3211,300855121.20
2025-02-28
単独
実   2025.0112,8371,4521,4381,061160.10
2025-03-17
単独
修正率+7.4+9.9+10.6+24.1+32.1%

今期の業績予想

上期業績

決算期売上高営業益経常益最終益修正1株益修正1株配発表日会計基準
    24.02-074,00930330720430.90
ー
単独
予   25.02-07ーーーー-0
2025-03-17
単独
前年同期比-----%

今期【予想】

決算期売上高営業益経常益最終益修正1株益修正1株配発表日会計基準
    2024.015,40947347750676.60
ー
単独
    2025.0112,8371,4521,4381,061160.10
2025-03-17
単独
予   2026.0116,9731,6191,6021,111157.50
2025-03-17
単独
前期比+32.2+11.5+11.4+4.7-1.7%

前日予想(TalentX)

TalentX 

公募価額 750円

初値予想 1050円

初値買い 中立

気になる銘柄ではありますが、ロックが甘いので無理には参戦しない予定。

IPO分析(ジグザグ)

 【事業内容】

​ 当社は「世界中のワクワクを当たり前に」をミッションに掲げ、海外カスタマー向け購入支援サービス「WorldShopping」と、国内ECサイト向け越境EC支援サービス「WorldShoppingBIZ」からなる越境ECプラットフォームをワンストップで提供するテクノロジーカンパニーです。なお、当社の事業は越境ECプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 「世界中の欲しいに応える、世界中に想いも届ける」ために、Eコマースにおける国境の壁をフラットにして、国内ECサイトと世界228の国と地域(※)のカスタマーを繋ぐサービスを提供しています。国内のローカルECサイトにも、実は海外カスタマーからのアクセスが存在します。しかし、言語・物流・決済の壁によって海外カスタマーが欲しい商品を購入できていないという課題があります。同時に、国内ECサイトの運営事業者にとって越境対応は、多言語カスタマーサポート、国際物流や不正決済対応等、その実現には非常に高いハードルが存在するという課題もあります。これら双方の課題を、ECショップのWebsiteに当社の発行するJavaScriptタグを1行追加するだけで必要な機能とオペレーションを一気通貫で提供することで簡単に解決し、導入後最短1日で世界228の国と地域への販売を可能としております。

 当社が提供する「WorldShopping」と「WorldShoppingBIZ」は、両者が一体となって価値を提供するプラットフォームであり、具体的には「WorldShopping」が海外カスタマー向けの購入代行サービスであり、「WorldShoppingBIZ」は国内ECショップ向けに上記の「WorldShopping」の機能を設置可能とする越境EC対応サービスという構成となっています。

 

それぞれのサービスの特徴は、以下のとおりと考えております。

(1)海外カスタマー向け購入支援サービス「WorldShopping」

A)多言語カスタマーサポート、海外配送まで含んだフルサポートの購入代行サービス

 海外対応していない国内ECサイトであっても当社が海外カスタマーから注文を受け付け、代わりに購入して海外配送まで提供しています。当社が間に入り多言語カスタマーサポートを提供すると共に、Alipay、銀聯、PayPal、海外版Amazon Pay、各国向けローカル決済、後払い決済等、海外カスタマーの利便性に配慮した多様な決済手段を提供することで、海外カスタマーは安心・安全に海外対応できていないECサイトの商品を購入することが可能になります。当社は、海外カスタマーから商品代金(送料を含む)、配送手数料及び購入代行手数料を受け取り、フルサポートのサービスを提供しています。


B)ECサイト内での自然な購入体験

 従来の海外カスタマー向け個人輸入代行サービスは、ECサイトとは異なる購入代行専用サイトへ遷移して商品を選択したり、購入代行依頼フォームへの情報入力等、煩雑なステップを必要としていました。当社が提供するサービスでは、国内ECサイトを訪れた海外カスタマーは、当該ECサイト内で商品選択から購入までのすべてのプロセスを完了することができ、通常のECサイト利用と変わらない自然なカスタマー体験を実現しています。


C)ECサイト公認の信頼性

 これまで、多くの海外カスタマーは海外対応していない国内ECサイトにアクセスした際に「諦める」か「個人輸入代行サービスを探す」手段しかありませんでした。いわゆる「個人輸入代行サービス」は非公認の民間サービスであり、前もって代金を決済することに海外カスタマーは少なからず不安を覚えます。当社の「WorldShoppingBIZ」はECサイトと正式に契約を締結している公認サービスであり、当該ECサイト内でサービスをシームレスに提供するため、非公認の個人輸入代行サービスと異なり、海外カスタマーは安心して購入することができます。


(2)国内ECサイト向け越境EC支援サービス「WorldShoppingBIZ」

A)最短1日で開始できる導入スピード

 ECサイト側がサービス開始に必要となるのは、ECサイトに当社の発行するJavaScriptタグを1行追加するという工程のみです。また、ECショップ構築サービスを提供するECカート事業者と連携したECシステムを利用する企業の場合は、カート管理画面より簡単な操作で導入が完了できます。データ連携やシステム改修は一切不要であり、導入後最短1日で世界228の国と地域への海外対応が可能になります。


B)国内オペレーションそのままで海外対応

 「WorldShoppingBIZ」を通じた海外カスタマーからの注文は当社で受け付け、国内ECサイトでは当社名義で購入を行っています。つまり、国内ECサイト事業者から見れば当社は国内販売における一顧客にすぎず、通常業務のとおりに受注処理から当社が利用する外部倉庫に国内配送をするだけで販売ができる仕組みです。海外カスタマー向けの多言語カスタマーサポート、海外配送等は当社がすべて行うため、国内ECサイト事業者は通常の業務フローを一切変更する必要がありません。


C)気軽に申し込める価格設定

 海外カスタマー向けの「WorldShopping」は海外カスタマーが送料や手数料を負担するビジネスモデルであるため、国内ECサイトの運営事業者にはそれらの費用が一切掛かりません。代わりに「WorldShoppingBIZ」の利用料が必要となりますが、少額かつ月額固定(初期費用3万円、月額5千円)で提供しており、小規模のECサイト事業者でも気軽に申込み頂ける設定にしております。

 「WorldShoppingBIZ」利用ショップへは、海外からのアクセス、購買情報を一覧化できるダッシュボードを無償提供しております。また、海外販売を成長させるためのノウハウや機能を紹介すると共に、当社のショップサクセス部隊が売上拡大のための支援を実施しております。

 当社事業は、日本の人口減少による内需縮小や労働力減少という社会課題の解決策となるビジネスと考えております。縮小する国内市場においては、各事業者が越境ビジネスによって海外売上を獲得していくことが重要であり、当社事業はそれを支えるインフラを担っております。2024年5月期における海外売上高比率は94%であり、地域別売上高比率は、アジアが54%、北米が31%、その他地域が15%となっています。アジア地域の主要販売国は香港、台湾、韓国、中国及び東南アジア諸国等が含まれます。また、その他地域には欧州、オセアニア等が含まれます。当社はこれまで世界160以上の国と地域へ販売実績があり、累計70万件以上の受注に対応してカスタマーサポートや配送オペレーションの実績があります。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/05 単独中間実績 693 174 164 106

2025/05 単独会社予想 1,427 285 284 206

2024/05 単独実績 1,106 221 177 163

2023/05 単独実績 802 36 31 47


決算期 種別 EPS BPS 配当

2025/05 単独会社予想 105.09 - 0.00


上場時発行済株数 2,300,440株(別に潜在株式326,175株)

公開株数 866,400株(公募340,000株、売り出し413,400株、オーバーアロットメント113,000株)

調達資金使途 プロダクト開発(人件費や販売促進費など)、事業開発(人件費や広告宣伝費、販売促進費など)


PER:14.2

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:13.0億

公募時時価:35億

​   

【株主構成】 

MICイノベーション4号投組 投資業(ファンド) 635,700 27.80%  売出211,900 90日・1.5倍

仲里一義 代表取締役 529,350 23.15% 売出45,000 180日

仲里亜美 代表取締役の配偶者 300,000 13.12%  売出45,000 180日

(株)Zカンパニー 役員らが議決権の過半数所有 240,000 10.50% 180日

鈴木賢 取締役 60,930 2.66%  売出4,800 180日

木村寿人 元取締役、従業員 59,835 売出2,800 2.62% 180日

松本浩介 取締役 55,050 2.41% 180日

今西隆幸 元取締役、従業員 51,960 2.27% 売出300 180日

北村康晃 取締役 44,040 1.93% 180日

海老根智仁 特別利害関係者など 30,000 売出15,000 1.31% 180日

大谷寛 特別利害関係者など 30,000 売出18,000 1.31% 180日


その他売出し

川田 尚吾30,000株

杉山 全功30,000株

一般財団法人都築国際育英財団9,400株

赤嶺 加寿子1,200株


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である仲里一義、売出人である仲里亜美、鈴木賢、木村寿人、赤嶺加寿子、今西隆幸、及び当社の株主である株式会社Zカンパニー、松本浩介、金城里恵、新垣江利子、赤嶺美智代、宮城りつ子、株式会社インターファクトリー、GMOメイクショップ株式会社、株式会社コマースOneホールディングス並びにその他1名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2025年9月26日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 また、売出人であるMICイノベーション4号投資事業有限責任組合、川田尚吾、杉山全功、大谷寛、海老根智仁、一般財団法人都築国際育英財団、及び当社の株主である小山太一、株式会社グルーヴオンは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2025年6月28日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格または売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 加えて、当社の新株予約権を保有する、仲里一義、鈴木賢、木村寿人、松本浩介、今西隆幸、北村康晃並びにその他8名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2025年9月26日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。

 ​

【代表者】

代表者名 仲里 一義(上場時50歳11カ月)/1974年生

本店所在地 東京都渋谷区桜丘町

設立年 2015年

従業員数 52人 (2025/01/31現在)(平均37.6歳、年収579.6万円)

事業内容 海外カスタマー向け購入支援サービス「WorldShopping」および国内EC(電子商取引)サイト向け越境EC支援サービス「WorldShoppingBIZ」の提供

URL https://www.zig-zag.co.jp

株主数 24人 (目論見書より)

資本金 90,000,000円 (2025/02/25現在)


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 極東 - -


【参考類似企業】今期予想PER(3/7)

3328 BEENOS 27.7倍 (連結予想)

5027 AnyMind 23.6倍 (連結予想)

7044 ピアラ 10.4倍 (連結予想)

7694 いつも - (連結予想)


【私見】

 越境 EC 支援サービスということで、円安の中、以前ほどではありませんが業種妙味はあります。売上・利益共に大きくは伸びてはいませんが、着実に伸びており、PERから割安感はあるので上値余地はあるかと思います。VCが筆頭株主で、1.5倍で外れることには不安はあり、ロックラインでの攻防はありそうですが、40万株と数は多くないので、VCが売り切った後まで気にかけたい銘柄ではあります。IPOラッシュも終わり、期間は空くので初値段階で人気になる可能性はありそうです。


想定価額:1490円

仮条件上限:1500円

初値予想:2500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

2025年3月17日月曜日

IPO分析(トヨコー)

 【事業内容】

(SOSEI事業)

 高度経済成長期に造られた多くの工場のスレート屋根は、老朽化に加え近年の大型台風や線状降水帯の発生、ゲリラ豪雨など相次ぐ異常気象により製造に直結する大きな被害が出ており、含有アスベスト飛散による健康被害も懸念されていることから、今後これらの改修ニーズが拡大する事が見込まれます。

 2006年に当社が独自に開発したSOSEI工法は、これらを解決できる工法として、2024年12月までに累計152万㎡の施工実績に達し、主として自動車や電機メーカーの工場を修繕してきました。SOSEI事業は、塗装業が出自である当社が自社工事に限定して行ってきました。工法だけ自社で開発し、施工は他社に任せて収入を得るのではなく、工事会社として、現場の作業者の目線で、作業者が使いやすい道具や工法の開発を行い、自社で責任をもって施工する「責任施工」にこだわって事業を展開してきました。屋根上工事は危険が伴うため、安全基準の整備などに強いこだわりを持ち、企業経営を行ってきました。

 SOSEI工法は、瞬間硬化する特殊な樹脂を老朽化した屋根上に吹き付け補強する工法です。2層目(SOSEIコート)まで吹き付ける事で、作業員がスレート屋根上に乗っても踏み抜けない強度が生まれるため、この範囲に作業員が乗り、転落事故を防ぎながら新たな範囲を施工する工法の特許を取得しております(特許第7332142号、第6815548号)。

 また、1層目に断熱効果のあるウレタンフォームを吹く事で、夏場の屋根裏温度が最大20℃程度低下するため、空調の効率化を通じて電気代やCO2排出量が削減し、脱炭素化の時代に向けても相応しい工法となっております。

 SOSEI事業は、発注者である施工対象の工場や建物の所有者(メーカーや流通業者など)から、当社が元請ないし、他の建設会社などが元請として、さらに協力施工会社に吹き付け作業を外注する事で、工事の役務を提供しております。当社の施工管理者1名を現場に常駐させる責任施工により、作業品質の向上や、徹底した安全対策の実施を行っております。この責任施工の実施が発注者から評価され、リピート発注にも繋がっているものと考えております。


(CoolLaser事業)

 高出力サビ取りレーザー施工装置CoolLaser(クーレーザー、以下、「CoolLaser」という。)は、これまで工場内部で切断工程や溶接工程に使われていた高出力レーザーをクリーニング用途に応用し、橋梁や鉄塔などの分厚いサビ・塗膜除去を行う事ができる技術です。屋外で高出力レーザーを使用する事例が一般的では無かった2008年に基礎研究を開始し、2018年に初めて外部資本調達を行って以来、開発を加速させてきました。2019年には当社が主導で一般社団法人レーザー施工研究会を立ち上げ、労働安全衛生総合研究所の研究員や各大学教授、レーザーメーカーや大手ゼネコンなど業界各社104社(2024年12月末時点)に加盟頂き、屋外で高出力レーザーを利用するための安全ガイドラインを制定する他、経済産業省とのJIS規格制定、国土交通省の土木研究機関である国立研究開発法人土木研究所との共同研究など、国の各機関と二人三脚で、社会実装に向けたルール整備も行って参りました。当社は、①橋梁分野(道路・鉄道)、②鉄塔分野(通信・送電)、③海事(海運・ドック)、④その他(プラント・保管)という4つの重点分野を掲げており、これらに関連する企業・団体などを想定顧客としております(図2)。橋梁のうち、道路については日本の場合は国・地方自治体が道路橋全体の約9割を保有し維持管理していますが、これ以外の分野については基本的には民間企業が顧客となります。

 現在、米国やイタリア、台湾など世界各国で橋が落橋し、多くの人が巻き込まれ亡くなる死亡事故が発生しております。橋梁の維持管理は、人命に直結する重要なテーマであり、我が国でも建設後50年を経過する橋梁が年々増加しております。この橋梁の維持管理において、現状主流である事後保全(設備に不具合が生じてから交換等を行うこと)から予防保全(設備に不具合が生じる前に修繕等を行うこと)にシフトしていく事の必要性が国土交通省にて提言されています。

 しかし、予防保全として行われている橋梁塗替工事(サビや旧塗膜を除去し、新塗膜により鋼材の腐食を防ぐ工事)は3K仕事(キツい、汚い、危険)であります。特に「危険」の部分において、塗替工事に用いられる剥離剤では、過去に剝離剤中毒事故や引火性による火災事故、ウォータージェットで手足の切断事故が起きるなど、事故が発生しており、若い作業者を確保する事が年々困難となっており、高齢化が進んでおります。また、ブラスト工法で用いられる研削材は、大量の産業廃棄物となり、地球環境への負荷も大きいと考えております。これらの課題を解決し、重要なインフラ構造物を地球環境や作業員への負荷が少ない手法で、次世代に安全・安心に受け継ぐための新たな工法の確立が必要であると考えております。

 鋼橋のメンテナンスにおいては、腐食因子である塩分が含まれる進行するサビ等に対して、塩分を除去することの重要性が叫ばれております(注7)。既存工法であるブラスト工法は、鋼材表面に付着した塩分を研削材により鋼材の奥に押し込めてしまい、塩分が残ったまま新塗膜が塗られる事で、塗替工事の数年後にサビが再発する再劣化の問題もはらんでおりました。CoolLaserは、既存工法に無い価値の一つとして、塩分除去効果があげられます。レーザー光が、塩分を蒸発プロセスにより除去する事で、再劣化を防ぎ塗替工事の周期を長期化させ、橋梁のライフサイクルコストを低減させる事が期待されています。人口減少社会において、これまでのように再劣化に伴い塗替工事を繰り返す人的余裕は無くなってくると考えられます。以下の価値を兼ね備えたCoolLaserは、まさに次世代のインフラメンテナンス手法として貢献できると考えております。


1.産業廃棄物を大幅に削減することが期待されます(光を用いる事で、ブラスト工法の研削材や、ウォータージェットの汚水、剝離剤の廃液の様な、二次産業廃棄物が一切発生しません)。

2.サビや塩分の高品質な除去が可能で、塗替工事の頻度を低減させ、ライフサイクルコストを削減させることが期待されています。

3.ブラスト工法やウォータージェット工法の様な反力が無いため、作業負荷が軽くなります。また、生じる粉塵も即座に自社開発した特殊な集塵機で吸引する事で、作業環境がクリーンに保たれるため作業者に優しいと考えられます。クリエイティブな新技術を導入する事で、若い担い手などをインフラメンテナンス現場の労働力として確保することに繋がる事も期待されます。

4.反力が無い事で制御がしやすいため、省人化・高効率化に向けたロボット化が容易になります。

 プロダクト・技術の強みとして、当社は、「レーザー光の円形照射による対象物(サビ・塗膜)の除去」を日米で権利化しており、競争優位性を築いております(特許第5574354号、US-9868179 図4)。


 塗替工事における下地処理等のメンテナンスには、これまで塗膜除去(剥離剤など)、素地調整(ブラストなど)、塩分除去(ウォータージェットなど)と、各工程に異なる装置を用いる必要がありましたが、CoolLaserであればこれら3つの工程を一気通貫で完結させる事も可能となります。また、現在橋梁の素地調整に用いられるブラスト工法では、研削材が大量に産業廃棄物として生まれ、鉛やPCBが含まれる塗料を除去する場合には、産業廃棄物の処理コストも高額となりますが、CoolLaserは研削材等の産業廃棄物が生じないため、産廃処理コストを大幅に削減する事が出来ます。CoolLaserは、ドイツや米国、中国などにおける他のレーザークリーニング装置と比較して、以下の優位性(強み)があります(図5)。

・一般的には100W~1kWのレーザー出力が主流である一方で、5.4kWの高出力化を実現できます。

・レーザー光の長距離伝送は難しい技術ですが、当社は屋外工事用途にフォーカスし、開発を進めてきた結果、屋外土木工事に対応できる最大100mの光ファイバーケーブルを通じたレーザー光の長距離伝送により、施工範囲を実現できます。

・高出力のレーザー光が一点に照射され続けると、溶接や切断に使われる様な溶融現象が起き、鋼材にダメージを与えてしまうため、レーザー光を高速でスキャン(走査)する必要があります。当社の円形照射の特許技術は高速スキャンの方法として、同一方向に100%の運動エネルギーを利用できる円運動であるため、高出力レーザーの熱影響回避の技術として他のスキャン方法に比べ優位性があります。


 CoolLaserはこれらの特許技術を活かす事で、5.4kWの高出力を実現出来ており、表面処理の品質や施工スピードの速さの観点から、この工法のフロントランナーとして確固たる優位性を築いております。


=装置売上=

 「CoolLaser G19-6000」シリーズを製造し、CoolLaserを用いてメンテナンス工事を受注・提供していきたい建機レンタル会社や工事会社、及び自社のインフラをメンテナンスしたいインフラオーナー等のユーザーに対して、1億円程度で装置の販売を行います。なお、組み立てについて、レーザーヘッド部分については当社にて組み立てを行い、それ以外の部分は製造委託先工場にて組み立てを行います。出荷前に当社でこれらを結合し、性能評価を行ったのち、出荷を行います。

 また、CoolLaserは工事に用いられる事でいくつかの消耗品が発生します。例えば、レーザーヘッド先端部で粉塵からヘッド内の光学系を守る保護レンズや集塵機のフィルター、作業者の目を守るためレーザー光の波長を減衰させる保護メガネなどの保護具を、当社から装置所有者に対して販売を行います。

=保守売上=

 CoolLaserはシステムやレーザーヘッドについて定期的なメンテナンスを行う必要があります。これについては、当社は装置所有者と保守契約を締結し、役務の提供を行います。


=施工売上=

 主に装置の研究開発や市場分野開発を目的とした試験施工を中心とし、依頼内容によっては本施工も行っております。すなわち、CoolLaserの導入の検討や、CoolLaserによるサビや塗膜除去などの工事を依頼したい発注者(施工対象のインフラ構造物の所有者であり、道路や橋は国・地方自治体が主体、鉄道橋や鉄塔、プラントは民間企業が主体)から、当社が元請ないし下請となり、工事の役務を提供しております。なお、当社はCoolLaser工法を当社に限定せず、全国のインフラオーナーや工事会社に活用頂き、日本のインフラメンテナンスに共に取り組んで頂きたいと考える事から、施工売上を積極的に伸ばす事をせずに、先述の装置売上及び装置提供後の保守契約や、消耗品の販売などの継続収益により企業成長して参りたいと考えております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/03 単独3Q累計実績 1,538 264 247 268

2025/03 単独会社予想 1,891 184 165 161

2024/03 単独実績 1,095 -189 -157 -158

2023/03 連結実績 1,119 -212 -117 -119


決算期 種別 EPS BPS 配当

2025/03 単独会社予想 13.60 140.79 0.00


上場時発行済株数 13,026,600株(別に潜在株式1,167,000株)

公開株数 4,255,000株(公募1,000,000株、売り出し2,700,000株、オーバーアロットメント555,000株)

調達資金使途 CoolLaser事業における応用開発、CoolLaser事業における新規拠点の設備投資、借入金返済


欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:53.6

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:30.8億

公募時時価:95億

​   

【株主構成】 

豊沢一晃 代表取締役CEO 5,083,025 38.53% 売出250,000株 180日

豊沢弘康 元代表取締役 1,135,000 8.60% 売出535,000 180日

白井元 取締役CFO 984,410 7.46% 売出250,000  180日

建装工業(株) 資本業務提携先 500,000 3.79%

(株)トヨコー従業員持株会 特別利害関係者など 464,850 3.52% 180日

大和ハウスグループ共創共生1号投組 投資業(ファンド) 428,500 3.25%

鈴与建設(株) 資本業務提携先 425,500 3.23% 180日

鈴木紀行 取締役COO 390,000 2.96% 売出210,000 180日

匿名 従業員 312,685 2.37%

前田建設工業(株) 資本業務提携先 300,000  売出300,000  2.27%

第一カッター興業(株) 資本業務提携先 300,000 2.27%

太平電業(株) 資本業務提携先 300,000 2.27%


その他売出し

合同会社M&H400,000株

株式会社ikplanning200,000株

第一カッター興業株式会社150,000株

NCBベンチャー投資事業有限責任組合125,000株

日本郵船株式会社105,000株

臼木 和臣100,000株

静岡キャピタル9号投資事業有限責任組合75,000株


​ 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である株式会社ikplanning、売出人である豊澤一晃、白井元、豊澤弘康、合同会社M&H、鈴与建設株式会社、臼木和臣及び第一カッター興業株式会社並びに当社株主である株式会社トヨコー従業員持株会、株式会社エヌエスティー、株式会社グリンティー、デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社、株式会社フォウス、佐々木輝、藤田和久、山本光学株式会社、阿部洋、茂見憲治郎及びその他1名は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2025年9月23日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 当社株主である鈴木紀行は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2025年9月23日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び株式会社日本政策金融公庫から買取る予定の第2回新株予約権並びに当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 売出人である静岡キャピタル9号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2025年6月25日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。


【代表者】

代表者名 豊沢 一晃(上場時48歳6カ月)/1976年生

本店所在地 静岡県富士市青島町

設立年 1996年

従業員数 39人 (2025/01/31現在)(平均43.4歳、年収628.1万円)

事業内容 3層の樹脂をスプレーコーティングして強靱な屋根によみがえらせる「SOSEI」の施工および老朽化したインフラのサビや塗膜などをレーザーで除去する「CoolLaser」の製造・販売

URL https://www.toyokoh.com/

株主数 33人 (目論見書より)

資本金 20,000,000円 (2025/02/25現在)

代表者生年月日 1976年09月03日生まれ

代表者略歴

1996年04月 株式会社ジャパンアートプランニングセンター 入社

1999年01月 個人事業主としてデザイン業を開始

2003年07月 当社 入社、当社 取締役 就任

2014年05月 当社 代表取締役CEO 就任(現任)

2017年06月 株式会社ikplanning 代表取締役 就任 (現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

引受証券 大和 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -


【参考類似企業】今期予想PER(3/7)

1433 ベステラ 17.8倍 (連結予想)

1450 田中建設 8.7倍 (単独予想)

1716 第一カッター 8.8倍 (連結予想)

1972 三晃金 8.5倍 (単独予想)

5451 淀川鋼 13.6倍 (連結予想)

5699 イボキン 7.5倍 (連結予想)

5935 元旦 6.5倍 (単独予想)


【私見】

 SOSEI工法という独自の技術で、以前のベステラのようなイメージはあり業種妙味のある銘柄です。赤字が続いていましたが、今期黒字予想で中期では伸びていきそうであります。ですが、建設業でPER50超と割安感はないので、高い成長力は求められるのでしょう。吸収金額はそこそこあり、ロックなしのVCもいるので、初値段階では大きく上がらなそうですが、時価総額はそこまで大きくはないので中期では注目したい銘柄です。


想定価額:700円

仮条件上限:730円

初値予想:850円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

2025年3月16日日曜日

IPO分析(プログレス・テクノロジーズ グループ)

 【事業内容】

​ (1)当社グループ概要

 当社グループはメーカーがフォーカスすべき独自の製品開発技術領域を「コア技術」と定義し、それらの進化に必要となるデジタル特化技術である「ニアコア技術」に注力する形で、メーカーに様々なソリューションやサービスを提供しています。日本の製造業がグローバルマーケットでのプレゼンスを高め、競争力を強化していく上で、製品開発プロセスのデジタル化は避けて通ることは出来ず、当社のニアコア技術の重要性は今後一層高まっていくものと認識をしております。

 特定の技術領域への注力に加え、サービス提供を行う工程についても、特定の領域に特化する形で価値提供を行っています。当社グループは製品開発プロセスの上流工程である設計開発領域に特化し、様々なソリューションやサービスを提供しています。設計開発領域はモノづくりの頭脳に相当する最上流工程であり、製造業界のデジタル化や提供価値の向上を実現していくためには、当該分野での変革が必要であると考えています。また、製品開発プロセスの下流工程に行くほど、業界や製品特有の知識・ノウハウが必要となりますが、上流工程においては業界が異なったとしても、ロジックや設計言語は共通する部分が多く、水平展開することが可能であります。

 製品開発プロセスの上流工程に特化し、高水準のデジタル技術を活用し、メーカーがコア技術に注力することが出来るニアコア技術を提供していくことで、QCD(品質・コスト・納期)の改善とイノベーションの創出を実現しています。


(2)グループ各社の概要

 プログレス・テクノロジーズ株式会社は、当社グループの主力事業会社であり、メーカーの設計開発現場の課題の把握からデジタルプロセスの検証、デジタル特化技術やツール・システムの選定、プロセスの整理・標準化、運用の定着支援まで、一連のソリューションをワンストップで提供しています。メーカー側は、設計開発部門、プロセス改革部門、IT部門が連携してデジタル化や業務プロセスの改革が行われることを期待していますが、多くのケースにおいて、単一部署におけるピンポイントソリューションで部分最適化を行うに留まっています。当社グループはメーカーの課題解決に真に必要となるソリューションを部門横断かつワンストップで提供している点で高い評価を受けていると考えております。

 S&VL株式会社は、9軸アクチュエータを搭載した可動域・加速度・応答性の観点で高性能なドライビングシミュレータを活用したバーチャルテストの実施や物理現象を正確にシミュレートできる高度なモデル開発を用いたコンサルティング等のサービスを提供しています。当社グループの強みであるシミュレーション技術を活用し、仮想空間で試作や走行実験を行うことで、実機を用いた従来型の設計・開発・試作・テストのプロセスと比較し、開発リードタイムの短縮やコストの削減を実現しています。群馬県太田市に設立した技術研究所の立ち上げ以降、自動車OEMやTier1サプライヤーから多くの引き合いをいただいております。

・ソリューション事業

 お客様の設計開発のプロセスそのものを設計するコンサルティングサービス、最先端のデジタルツールの導入から定着支援までを行うデジタルエンジニアリングサービス、製品開発をプロジェクト単位で引き受けるプロジェクトサービスなど、様々なサービス形態でお客様の設計開発現場の課題解決を行う事業。

・デジタルツイン事業

 最先端のデジタル技術を活用し、お客様の課題解決を行う事業。9軸アクチュエータを搭載した可動域・加速度・応答性の観点で高性能なドライビングシミュレータを用いたバーチャルテストの実施や物理現象を正確にシミュレートできる高度なモデル開発を用いたコンサルティング等のサービスを提供。

・エンジニアリング事業

 設計開発領域に特化し、お客様の開発リソースの不足や技術課題の解決を実現するサービス。メカ・エレキ・ソフトの各分野において、お客様のプロジェクトの一員として設計開発業務の支援を実行。


(3)各事業のサービス形態別内容等について

①ソリューション事業

 コンサルティングサービス、デジタルエンジニアリングサービス、プロジェクトサービスの3つのサービスに大別されます。

(a)コンサルティングサービス

 顧客の「設計のやり方を設計」するサービスであります。PT DBS(Progress Technologies Design Basis Solution)という独自の方法論を用い、熟練コンサルタントの頭の中にある設計手順や知見をデータ化・システム化することで、顧客メーカーの設計力を強化しています。

 グローバル競争の激化や製品要求の多様化・高度化が進む中で、メーカーは、高品質・高付加価値な製品を早いサイクルで開発することが求められています。この流れに対応するために3DCADやCAE、データ管理システムなどのツールを導入するだけでは不十分であり、あるべき姿のグランドデザインを描き、優先順位をつけて仕組み化・システム化を進めることが重要となります。当社グループのコンサルティングサービスは、設計開発のあるべき姿の策定から仕組みの構築・運用定着までを顧客と共に推進するというアプローチで顧客からの高い評価を得られていると考えております。


(b)デジタルエンジニアリングサービス

 最先端のツール導入から定着支援までを行うサービスであります。最先端の設計ツールを熟知したコンサルタント・エンジニアが顧客の課題に合わせて適切なツールを導入し、定着化を図ることで設計開発のデジタル化を推進しています。メーカーでは慢性的な開発リソース不足といった課題を抱えており、多様なバリエーションの製品をより多く・より早く世に出していくために、従来のものづくりの方法を大きく変革する必要性が高まっていることから、当社のデジタルエンジニアリングサービスに多くのニーズが寄せられています。


(c)プロジェクトサービス

 製品開発をプロジェクトチームとして引き受け、「技術課題」「リソース課題」の両側面から製品開発を支援するものであります。豊富な業務経験・キャリアをもつコンサルタント・エンジニアが1つのチームとして動き、お客様の求める成果物を提供しています。エンジニアリングだけ、コンサルティングだけを担うのではなく、上記の様々なサービス形態の元、設計開発領域をコンサルティング~デジタルソリューション~製品開発支援までをワンストップで支援できる点が当社グループの特徴となっております。

 また、顧客との共同研究や共同開発、最先端の技術を活用した受託開発・設計開発といったR&D案件についても、プロジェクトサービスとして提供しております。


②デジタルツイン事業

 最先端のデジタル技術を用いて、お客様の課題解決を行う事業であります。現時点においてはグループ会社であるS&VL株式会社において、最先端の高性能ドライビングシミュレータを活用し、バーチャルテスト環境の提供からプラントモデルの開発・評価、開発プロセスの改革の提案までの一連のソリューションをワンストップで提供しています。

 市場のニーズが多様化、複雑化している中、フロントローディング(注1)による開発のリードタイム短縮の重要性が高まっております。従前の製造プロセスにおいては、製品の検証中や製造中に不具合が生じると、その場で修正を行っており、その都度製造ラインをストップしたり、金型の調整や設備の確認に時間がかかったりすることで、開発工数が増え、コストも大きくなるという問題がありました。3Dモデルや最新のテクノロジーを駆使し、開発の初期段階に検証やテストを実施することで、リードタイムを短縮するだけでなく、走行テストのための試作車数を削減することによる大幅なコスト削減が可能となります。

 特に自動車業界においては、「100年に一度の大変革期(注2)」とも言われ、開発に係る業務工数や難易度、複雑度が大幅に増加しています。上記の考え方に基づき、走行試験の一部をバーチャルで行うことによる効率的な開発がヨーロッパを中心に広がっており(注3)、国内においてもこの流れが加速しています。


③エンジニアリング事業

 設計開発の領域に特化して、開発リソースの提供と技術課題の解決を実現するものです。メーカーの設計開発の現場では技術の高度化・多様化が加速しています。それに伴って開発ボリュームが増大し、設計者不足が深刻な課題になっています。

 当社グループのエンジニアリングサービスは、メカ・エレキ・ソフトの各設計分野において、お客様のプロジェクトの一員として設計・開発業務の支援をしています。技術力と人間力を兼ね備えた技術者集団が、メーカー顧客のハイエンド領域の設計・開発支援を行っています。


(4)当社グループの事業の収益モデル

 製品開発プロセスの上流工程である設計開発プロセスに特化し、メーカーの課題解決に真に必要となるソリューションを部署横断的にワンストップで提供しております。技術のトレンドやお客様からのニーズを踏まえた高品質なソリューションの提供することで、お客様からの支持を得て、継続的な売上収益の成長を実現しております。

 特にソリューション事業は、設計開発に特化した良質なDXコンサルティングやソリューションをお客様に伴走しながら提供することで、プロジェクトを継続的に受注できております。製造業のDX支援において、ツールの選定や業務フローの構築などのコンサルティングサービスを提供するだけでなく、その後の実務支援までをワンストップで行える企業は限られており、市場ニーズが旺盛である中、各メーカーからの案件引き合いを多くいただいています。

 また、2024年2月期より開始したデジタルツイン事業は、シミュレーション&バーチャルテスティングサービスとして性能開発のプロセス構築から実車相当の車両モデル開発、車両OEM品質の実走行実験までのワンストップソリューションを展開することで、メーカーに対し高い価値を提供しています。現時点において、同事業の連結業績に占める売上・利益の割合は僅少ですが、当社グループにおける新たな成長の柱として成長させていく方針です。


 【業績等】

決算期 種別 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益

2026/02 連結会社予想 6,388 1,580 1,518 1,050

2025/02 連結会社予想 5,625 854 799 576

2024/02 連結実績 5,116 1,150 996 696

2023/02 連結実績 4,780 1,190 1,071 730


決算期 種別 EPS BPS 配当

2026/02 連結会社予想 135.95 - -


上場時発行済株数 7,779,400株(別に潜在株式369,980株)

公開株数 4,378,200株(公募707,200株、売り出し3,100,000株、オーバーアロットメント571,000株)

調達資金使途 採用費・人件費などの運転資金、借入金返済


ウィンボンド・エレクトロニクス株式会社・・・取得金額1,000百万円を上限として要請を行う予定であります。

丸紅I-DIGIOホールディングス株式会社・・・取得金額850百万円を上限として要請を行う予定であります。

ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社・・・取得金額500百万円を上限として要請を行う予定であります。

ミラクシア エッジテクノロジー株式会社・・・取得金額500百万円を上限として要請を行う予定であります。


PER:13.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:72億(親受け28.5億)

公募時時価:147億

​   

【株主構成】 以下90日

ジャフコSV6投組 投資業(ファンド) 5,657,800 売出2,480,000 76.02%

ジャフコSV6-S投組 投資業(ファンド) 1,414,400 売出620,000 19.01%

中山岳人 代表取締役 250,580 3.37%

沢井大輔 取締役 37,940 0.51%

長友一郎 取締役 16,120 0.22%

匿名1 子会社の従業員 7,000 0.09%

匿名2 子会社の従業員 5,020 0.07%

村松英行 子会社の代表取締役 4,000 0.05%

匿名3 子会社の従業員 4,000 0.05%

匿名4 子会社の従業員 2,500 0.03%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるジャフコSV6投資事業有限責任組合及びジャフコSV6-S投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2025年6月25日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨合意しております。

 加えて、当社新株予約権者である中山岳人、澤井大輔、長友一郎及び村松英行は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2025年6月25日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 中山 岳人(上場時52歳1カ月)/1973年生

本店所在地 東京都江東区青海

設立年 2020年

従業員数 23人 (2025/01/31現在)(平均36.5歳、年収527.9万円)、連結561人

事業内容 大手製造業向けデジタルソリューション・デジタルエンジニアリングサービスの提供

URL https://progresstech-group.jp/

株主数 2人 (目論見書より)

資本金 10,000,000円 (2025/02/21現在)

代表者生年月日 1973年02月25日生まれ

代表者略歴

1995年04月 株式会社大塚商会入社

2000年01月 PTCジャパン株式会社入社

2003年06月 アセンシャル・ソフトウェア株式会社(現日本IBM株式会社)入社

2005年08月 プログレス・テクノロジーズ株式会社 入社・取締役就任

2007年09月 プログレス・テクノロジーズ株式会社 代表取締役就任(2018年7月退任)

2020年09月 プログレス・テクノロジーズ株式会社 代表取締役就任(現任)

2023年03月 当社代表取締役就任(現任)

2023年03月 S&VL株式会社取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 SBI - -

引受証券 大和 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 アイザワ - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 あかつき - -


【参考類似企業】今期予想PER(3/6)

2136 ヒップ 12.2倍 (単独予想)

2163 アルトナー 16.1倍 (単独予想)

2359 コア 11.4倍 (連結予想)

2479 ジェイテック 9.8倍 (連結予想)

3771 システムリサ 12.5倍 (連結予想)

4371 CCT 11.5倍 (連結予想)

4641 アルプス技 13.7倍 (連結予想)

9739 NSW 10.2倍 (連結予想)


​【私見】

 製造業向けデジタルソリューション事業ということで、業種としては悪くないですが、ジャフコの売出し案件で投資妙味は薄れます。訴訟の関係で、前年は大幅減益となりましたが、増収率も高く、PERからは成長性を考慮すると割高感はありません。吸収金額が大きいのですが、台湾の会社の親受けの規模が大きく、それを除いても規模はそこそこ大きく吸収できるのか不安はあります。ジャフコのロックが90日ということを考えると、セカンダリーに妙味はなく、初値段階で上がるかどうかの判断になるでしょう。


想定価額:1890円

仮条件上限:1950円

初値予想:2050円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

IPO分析(ダイナミックマッププラットフォーム)

 【事業内容】

​ 当社は、官民一体となって知見や技術を結集し、自動運転実現に貢献するHDマップの研究開発を進めてまいりました。HDマップとは、正式名称を「High Definition Map(高精度3次元地図データ)」と言い、自動運転機能を持つ自動車両の安全な走行に重要な役割を担うものです。中長期的には、自動運転や先進運転支援システムをはじめとした自動走行向けだけではなく、インフラ維持管理システムや防災・減災システムにおいても活用することで、高精度位置情報の提供を通じて、あらゆる産業における共通基盤を目指すことを当社グループビジョンに掲げております。

 自動運転や先進運転支援システムを開発・提供する自動車メーカー等に整備したHDマップをライセンス供与することで収益化しております。また、車両に搭載されたHDマップは道路の経年変化に合わせてアップデートを行うことが必要であるため、その更新に関する対価も収受しております。HDマップをご利用いただく自動車メーカー、搭載車種・搭載車両台数の増加に伴い、業容を拡大してまいりました。

 また、自動運転や先進運転支援システム向け以外へのHDマップの用途拡大、HDマップに関する技術を活用したソリューション提供を行い、一層の業容拡大につなげるべく事業展開してまいりました。


 <国内>

 国内の自動車専用道路、高速道路及び一般道の計測及び図化を行い、それらを統合して自動運転や先進運転支援システムに有用なHDマップを生成・販売しております(以下、オートモーティブビジネス)。また、HDマップの生成の過程における計測業務を通じて収集される高精度3次元点群データ(注3)の活用による、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供(以下、3Dデータビジネス)も行っております。


 <海外>

 北米、欧州、中東及び韓国における高速道路、一般道の計測及び図化を行っており、国内オートモーティブビジネスと同様、自動運転及び先進運転支援システム用HDマップを生成・販売しております。また、国内と同様、3Dデータビジネスの顧客開拓に向けたマーケティング活動やアライアンス構築に取り組むことで、事業の立ち上げを進めております。なお、2025年1月末時点において、当社グループは26か国(日本を含む)においてHDマップの整備等の事業を展開しております。 

 これらの事業で取り扱っている製品・ソリューションの特徴は次のとおりです。

(1)オートモーティブビジネス

 自動運転や先進運転支援システム向けにHDマップを生成・販売するビジネスには、その取引の性質から、自動車メーカー等から指定される地図カバレッジ・仕様に基づくHDマップの整備・更新を受注し対価を収受するプロジェクト型売上、量産車へのHDマップ搭載に際して販売台数に応じて受領するライセンスフィー及びメンテナンスフィー、法人向けHDマップライセンス等(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー、HDマップの利用対価として自動車メーカーより収受する開発利用料等)のライセンス型売上の2つの類型があります。現時点では、プロジェクト型売上が、オートモーティブビジネスの売上の中心となっております。売上カテゴリー別の収益モデルについては、後述の(売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル)をご参照ください。


 <自動車向けHDマップの特徴>

①  高い技術力を要する生成過程

 当社グループのHDマップは、衛星測位、計測、図化(3Dモデル化)、統合等の高い技術力を用いて生成しています。具体的には、衛星測位においては、Multi-GNSS(注4)を利用した位置補正技術が必要となります。計測においては道路構造や交通状況に配慮した計測計画の立案、取得した点群データに対する衛星測位状況を考慮した歪除去やデータ間接合などの技術が必要となります。図化(3Dモデル化)業務においては点群からの正確な地物(注7)情報の抽出、属性付与を効率的に実施するとともに整備データ全体にわたる高度な品質管理が必要となります。当社グループの自動運転/先進運転支援システム開発や測量士等の多様な経験や資格を有する技術者陣がこれらの技術力を支えていると考えています。最後に統合業務において各顧客に応じた最終調整を行いデータ提供しております。国内のHDマップは、日系自動車メーカー10社(以下五十音順にて、いすゞ自動車株式会社、スズキ株式会社、株式会社SUBARU、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、日野自動車株式会社、本田技研工業株式会社、マツダ株式会社、三菱自動車工業株式会社)の要求に基づき共通の仕様を定義しております。

 また、海外のHDマップについても生成プロセスは国内と同一のものとなっておりますが、マップ整備のための計測機材やソフトウェアツールは必要に応じて地域に最適と判断したものを活用しています。なお、海外においては、Dynamic Map Platform North America, Inc.の事業開始当初より開発してきた汎用仕様をベースとして顧客ごとの要望に合わせた仕様を策定しております。


HDマップの生成プロセス

 計測フェーズにおけるcm級の位置精度を有するデータの取得は、当社グループが有する測量技術によるものであり、データ収集に際しては、モービル・マッピング・システム(以降、MMSと記載)を用いております。整備に利用されるMMSは、高精度かつ地物の高い再現性を確保するために、Multi-GNSS対応受信機、衛星不可視区間で比較的高精度を維持する高性能IMU(Inertial Measurement Unit) 、道路情報を精緻に再現する高密度レーザスキャナ(LiDAR)、高解像度カメラを搭載しており、各機器が衛星時刻情報で同期されることにより計測時の状態を正確に再現可能となります。MMS車両を走行させながら、LiDARで道路面及び周辺情報をスキャンして点群データを取得することで、実際の道路とほぼ同一形状、同一サイズのデジタル空間上の道路データを表現できます。

 MMSにより取得した高精度3次元点群データを基に、自動運転や先進運転支援システムに必要な様々な情報、例えば区画線や道路標識、交差点領域等の地物を抽出して3Dモデル化することを図化と呼びます。図化は予め地物毎に定められた取得基準に基づき行われ、自動・手動の組合せで実施されます。手動で実施する作業は当社グループが保有するIT技術の採用により順次自動化していくことで品質を維持・向上させながら効率化を図っております。

 なお、スマートフォンのアプリケーションやカーナビゲーションシステムに用いられる従来の一般的な地図データ(SDマップ)において車線数や交差点などの情報は具備されますが、各々の物理的な3次元位置情報は高精度には保有されていません。


②  従来地図とは異なる情報・精度

 HDマップは機械が読み込み、制御に活用されることを目的としております。このため、従来の一般的な地図データ(SDマップ)と比べ、立体性(道路の構造や起伏を表す高度情報や標識などの立体構造物情報など)・保有情報(道路の曲率や勾配、停止線と信号機の対応付けなど)・位置精度において、より精度の高い情報が求められます。

 データの精度に関しては上述の計測プロセスにより、衛星測位システムの受信が良好な状況においては、絶対精度10cm以内、相対精度1㎝以内のデータ収集が可能であり、このデータを基にした図化業務を含め、全体プロセスとしてcm級の精度を実現しております。


③  自動運転高度レベル2以上に有用な機能

 国内外で共通認識となっている自動運転のレベルは、米国の自動車技術会(SAE:Society of Automotive Engineers)によって定義され、レベル0からレベル5の6段階に区分されます。レベル1やレベル2では、HDマップによる機能強化はあり得るものの、車体制御は主にカメラ、ミリ波レーダー、LiDARを用いて行われております。一方、高度レベル2(レベル2+とも言われていますが、レベル2に加えて、ハンズオフ走行、自動レーンチェンジなどが可能になるものを指します)ではより高度な車体制御を実現する観点からHDマップが広く採用されており、システム主体の車両制御となるレベル3・レベル4・レベル5では、機械の可読性、制御への利用容易性の観点で特に有用な技術とされています。

 自動運転のレベル0からレベル2まではドライバーによる監視を必要とし、レベル3以上ではシステム主体の監視となり、一部もしくは全部をドライバーの操作を介さずに自動運転を行います。

 HDマップは、主には自動運転高度レベル2以上に有用な機能であり、当社グループのHDマップは自動運転及び先進運転支援システム双方に適用可能な仕様となっております。

 

<HDマップの機能>

 車両に搭載されたカメラやLiDAR、ミリ波レーダーなどのセンサーが周辺の車両や歩行者、道路上の白線、標識などを認知することで、アクセルやブレーキ、ステアリング(ハンドル)の操作などの制御が可能となり自動運転及び先進運転支援システムが実現されます。しかし、センサー情報のみでは認知性能に限界があるため、HDマップと組み合わせることで、センサーが取得した画像やGPS(注12)情報等を照合しながら正確かつ安全な走行を実現しています。HDマップには、以下の3つの機能があります。


a   先読み情報

 複雑な道路形状・急勾配のカーブ等でセンサーでは検知できない先読み情報を提供し、車両制御に活用


b   センサー補完

 経年変化による白線かすれや悪天候時での検知機能の低下等、センサー性能の限界を補完


c   高精度自己位置推定(地図照合)


 GPSのみでは実現できないレーン単位の位置情報を提供し、自動運転及び先進運転支援システムに有用な自車位置特定を実現

これらのHDマップの機能は、自動運転及び先進運転支援システムにおける、安定したカーブへの進入、信号機情報を把握した停車の判断、安全な交差点の右折、走行車線の選択、走行不可領域の認識、緊急時の安全な位置への自動停車などに有用であり、当社グループが提供するHDマップがより高度かつ安全な自動運転及び先進運転支援システムの実現に寄与できるものと考えております。

 また、自動運転及び先進運転支援システム以外の自動車向けHDマップの活用領域としては、今後市場の拡大が見込まれるV2X(Vehicle-to-Everything=車両とあらゆるモノを通信技術で接続し連携させること)への展開や半導体メーカー等における自動運転システム開発への適用可能性があると考えております。V2Xに関しては、2024年米国運輸省は道路上の安全性や効率性を高めるため、「V2X展開加速計画」(V2Xを促進するため、アリゾナ州、テキサス州、ユタ州の3州で、約6,000万ドルの助成金を交付。米国内の全高速道路にV2Xを適用し、2036年までに自動車メーカー6社の新車にV2X技術を搭載することを目指す計画)を発表し、関連して、米国の自動車技術会(SAE、Society of Automotive Engineers)は、「V2Xシステムのための高精度ポジショニング標準」を制定し、V2Xのアプリケーションでは、車線レベルまたはそれ以上の精度のマップが必要と定義されています。2024年10月、当社は本計画の一部として、ユタ州運輸省よりHDマップ提供を受注しております。

 さらに半導体メーカー等における自動運転システム開発では、各種センサー情報と共に高精度地図データを統合処理可能なソフトウェア環境を構築しており、HDマップは自己位置を特定する為の重要な要素として活用されています。また自動運転システムのAI/機械学習においても、詳細な道路情報を有するHDマップの活用余地は大きいと考えており、自動運転システムによる自動車制御能力向上に繋がると考えております。当社では、より安全な自動運転及び先進運転支援システムを実現する上で、その開発及び運用においても、正確な位置情報の特定に有用なHDマップの利用が重要になっていると考えております。

 以上のように、当社グループが提供するHDマップは、量産車への搭載に加えて、海外大手地図メーカー、大手半導体メーカー、大手車載システムメーカー等の法人に対して固定価格でのHDマップの使用許諾を行うことによる利用拡大が見込め、これらの法人向けライセンスによるHDマップのライセンス売上のさらなる拡大に取り組んでおります。

 当社グループのHDマップが採用されている販売車種及び販売予定が公表されている主な車種は、次のとおりです。なお、下表の他に、顧客との守秘義務契約に基づき現時点で公表していない社名・車種が複数存在し、合計で35車種に当社グループのHDマップが搭載されております。


(2)3Dデータビジネス

(高精度3次元データの多用途展開)

 高精度位置情報の提供を通じて、あらゆる産業における共通基盤を目指す中長期ビジョンの実現に向けて、高精度3次元データ(HDマップ及び高精度3次元点群データ)の活用による、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供を行っております。

 高精度3次元点群データは、最先端かつ高度な「計測技術」を用いたMMSにより、日本・北米・欧州・韓国・中東で計測しており、その膨大な計測データを繋ぎ合わせた形でデータを提供しています。また、新規延伸や道路状況の変更にも対応できるよう、データメンテナンスを行い鮮度の保持に取り組んでいます。

 当社グループが提供する高精度3次元データは、道路交通上の課題解決をはじめ多彩な用途に使用でき、様々な側面で省人化や効率化の実現、安心・安全な環境づくりに貢献できると考えています。具体的には、自動車、航空機、船舶、自律移動ロボット等の移動体の自己位置推定や周辺環境認識に有用であり、これらの制御への活用(自動走行・自動運行など)を通じて、今後進展が期待される産業のデジタル化・効率化に大きく貢献するものと考えております。

 これらの産業のデジタル化・効率化に際しては、交通渋滞情報、事故情報、天候の変化、人流、荷物情報などの動的情報の統合と活用が重要であり、静的な位置情報である高精度3次元データは、これらの動的情報を紐づける為のデータ基盤となり得るものです。これら静的な情報と動的な情報を統合したものは、ダイナミックマップと呼ばれ、今後、産業界のデジタル化・効率化を支える共通基盤(プラットフォーム)の役割を果たすことが出来ると考えております。当社グループは高精度3次元データを生成・提供するなかで培った技術や知見、保有するデータアセットを活用して、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供にも取り組んでおり、具体的なデータライセンスのプロダクトとして、高精度3次元点群データを見える化するViewer機能、HDマップの生成技術を応用したGuidance機能について、それぞれ商品化し有償で提供しております。

 また、高精度3次元データの更なる多用途展開に向けた取り組みとして、政府プロジェクトの受注を通じた社会課題解決に向けた研究開発に取り組んでいる他、自治体・企業等とのプロジェクト・実証実験に取り組んでおります。これらの政府・自治体・企業等との取り組みは、受注業務を通じて当社グループが保有するデータ及び高精度3次元データ関連技術、各種知見を提供することにより、社会課題解決に向けた取り組みに貢献する他、当社グループにとっては自己投資を抑制しながら新たなライセンス商品の開発に取り組むことが出来る重要な研究開発・商品開発の機会となっています。後述の除雪支援システムは、自治体と共同で取り組んだ実証実験を経て、商品開発・ライセンス商品化されたもので、政府・自治体・企業等との取り組みを通じて、当社グループが保有するデータ及び高精度3次元データ関連技術を活用する3Dデータビジネスの拡大に資するライセンス商品化を実現した事例です。現時点では、政府・自治体・企業等からの受注業務に係るプロジェクト型売上が、3Dデータビジネスの売上の中心となっております。売上カテゴリー別の収益モデルについては、後述の(売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル)をご参照ください。


①  3Dデータビジネス – Viewer

 当社グループが取得した高精度3次元点群データを確認・分析可能なWebサービス「3Dmapspocket®」を商品化、有償(契約ユーザー数及びデータ閲覧の実績に応じた従量課金)で提供しております。高精度な3次元点群データをどこからでもWebブラウザで閲覧可能で、現地へ行かずに、cm級の計測、角度計算を行うことが出来ます。このアプリケーションを活用した事業の1つとして事故調査が挙げられます。「3Dmapspocket®」を損害保険会社に有償で提供することで、高精度3次元データを用いたデジタル道路空間上において、交通事故査定における事故発生現場の調査を行うことを可能にしております。これにより、現地作業負荷の低減が可能となり、現地作業員の削減効果が期待されております。また、事故調査の他、インフラ管理にも利用されており、自律移動モビリティ(注13)やMaaS(Mobility as a Service)(注14)シミュレーションへの利用に向けた事業開発に取り組んでおります。


 ②  3Dデータビジネス – Guidance

 当社グループが有する高精度3次元データをタブレットに搭載し、測位端末と組み合わせることで、高精度なガイダンス機能を提供しています。具体的なプロダクトとして、雪で覆われた障害物を3Dで可視化し除雪車両の運行をガイダンスすることで除雪作業を支援する「除雪支援システム」を降雪地域の自治体・民間企業に提供しております。ガードレールやマンホールの位置など雪に覆われて見えない部分の地物の把握は、これまで熟練者の長年の経験に依存して作業がなされていましたが、当該支援システムにより経験の少ない作業員でも容易に道路構造を把握出来る為、効率的かつ安全に除雪作業を行うことが可能になります。ガイダンス機能は、除雪支援のほか、空港・港湾における輸送車両の運航ガイダンスや、高精度3次元データが有する勾配情報を活かした燃費の良いルートの探索、トラックドライバーへの燃費の良い運転方法のガイダンス、といった実証実験に活用されています。


 ③  3Dデータビジネスの拡大に向けた取り組み

 高精度3次元データの更なる多用途展開を通じた3Dデータビジネスの拡大に向けた、国内の政府・各自治体・企業等との具体的な取り組みは以下のとおりです。


a 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業

 総額2兆円の予算の元、20プロジェクトが推進されており、当社は産業構造転換分野に分類されるプロジェクトの一つである“スマートモビリティ社会の構築”に採択されました。当該プロジェクトにおいて、地物の高さや道路のレーン情報、EV充電器の位置情報等を含む当社のHDマップを、物流・人流事業者の全体最適を達成するためのシミュレーションモデルの構築及びCO2排出量の評価基盤として使用し役立てることを想定して推進しております。このプロジェクトへの参画により、シミュレーションデータを日本全国に配信するという当社グループの目標をさらに前進させることができると考えております。 


b デジタルライフライン全国総合整備計画

 社会課題解決や産業発展のデジタルによる恩恵を全国津々浦々に行きわたらせるため、約10カ年の計画として日本国政府により策定されつつあるものです。そこでは官民で集中的に大規模な投資を行い、自動運転やAIによるイノベーションを線・面で社会実装することで働き手の賃金の向上を実現するとともに、人手不足や災害激甚化といった社会課題の解決を図ることが意図されています。そうした取り組みの中で、当社は3次元空間情報基盤に係わる開発、ダイナミックマップの基盤となるデータ連携システム(車両情報連携システム等)の開発を担当しております。

 そうした役割・取り組みの一つとして空間IDがあります。空間IDは、3次元空間を網のように並んだ格子状に分割し位置情報を付与することで3次元空間の位置を特定するもので、日本国土の空間に位置情報を持たせ、動的情報の検索を可能にすること等が期待されております。3次元情報と現実世界の異なる情報をリンクさせる、一般ユーザーが使用可能なデジタルインフラとして日本政府が開発を推進する中、当社は、本空間ID、及び3次元空間情報基盤に関するアーキテクチャや同基盤の仕様を前提として、3次元空間情報及び実証用基盤システムの仕様検討や整備手法の開発等に関する調査を受託して進めております。この空間IDはドローン(注15)の航路として用いられ、素性の異なるデータ同士を紐付けることでより安全な運行を可能にする等、将来における自律移動モビリティの社会実装に大きな役割を果たすことが期待されております。また、当社は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)公募「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」における「自動運転支援道」事業の実施予定先として採択されております。同事業において、当社は、自動運転運航に係るデータ連携システム(「自動運転支援道」の整備事業に関わる事業者全体と連携し、自動運転運行に必要な各種データの処理・接続ができるようにするためのデータ流通システム、既存の交通情報提供者や路側インフラ、車両等から提供される各種情報と当社もしくは当社グループが有する高精度3次元データを統合した情報を配信し、自動運転車両の安全走行を支援するシステム(車両情報連携システム))の開発に取り組んでいます。


c 公共エリア向けダイナミックマップの開発

 乗用車向けに開発・生産中のHDマップを、MaaS(Mobility as a Service)シャトル(注16)・ドローンなどあらゆる自律移動モビリティに展開し、高齢化社会における作業効率化や自動化の実現に必要となるデジタルインフラデータの整備に向けた取り組みを進めております。具体的な取り組み例としては、「研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム(Bridge)」における「公共エリア向けダイナミックマップの開発」事業を受託し、空港や港湾などをはじめとする公共エリアにおいて様々な自動運転車両が安全かつ効率的に運行する為に必要となる高精度3次元地図およびダイナミックマップの開発に取り組んでおります。


(売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル)

 当社グループの売上高については、収益モデルの違いから、プロジェクト型とライセンス型に大別できます。

 プロジェクト型売上には、主にHDマップデータ整備等による事業基盤の構築や官公庁向けプロジェクトを通した研究開発投資見合いの性質があり、オートモーティブビジネスにおけるHDマップ新規整備に係る開発プロジェクト及び固定価格で受注するHDマップ更新整備に係るメンテナンスフィー、3Dデータビジネスにおける官公庁からの開発プロジェクトが含まれます。これらプロジェクト型売上は主に原価に一定のマージンを上乗せすることにより決まり、コストは受注業務履行に掛かる費用が主で売上規模に比例する変動費が中心です。

 ライセンス型売上には、主に整備済みのデータやシステムをベースに、車載用や多用途向けに商品を提供するものが含まれます。オートモーティブビジネスにおける量販車へのHDマップ搭載に際し、販売台数に応じて受領するライセンスフィー及びメンテナンスフィー、法人向けHDマップライセンス等(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー、HDマップの利用対価として自動車メーカーより収受する開発利用料等)が含まれます。また、3DデータビジネスにおけるViewerやGuidance商品を通じたライセンスフィー、法人向けデータライセンス(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー等)が含まれます。これらライセンス型売上は主に単価に販売量(距離、台数、アカウント数、データ閲覧数など)を掛けることにより決まり、コストは整備済みのデータ更新費用、システム運用費用が主で売上規模に比例しない固定費が中心です。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/03 連結3Q累計実績 4,012 -1,421 -1,530 -1,538

2025/03 連結会社予想 7,072 -1,890 -1,734 -1,794

2024/03 連結実績 5,567 -2,554 -2,490 -4,049

2023/03 連結実績 3,681 -3,999 -3,453 -4,117


決算期 種別 EPS BPS 配当

2025/03 連結会社予想 -95.05 1,385.98 0.00


上場時発行済株数 23,158,850株(別に潜在株式2,807,800株)→23,624,850株

公開株数 5,363,700株(公募4,344,000株、売り出し320,100株、オーバーアロットメント699,600株)→7,084,000株(公募4,810,000株、売り出し1,350,000株、オーバーアロットメント924,000株)

調達資金使途 高精度3次元位置情報の整備・更新、海外におけるHDマップの整備・更新、研究開発


募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:

PBR:

PSR:3.95

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:64.3億→85億

公募時時価:277億→283億

​   

【株主構成】 

(株)INCJ 投資業(ファンド) 8,840,000 40.88% 売出1,350,000 90日・3倍

海外交通・都市開発事業支援機構 特別利害関係者など 3,478,350 16.09%  90日・1.5倍

三菱電機(株) 特別利害関係者など 1,560,000 7.21% 180日

三菱HCキャピタル(株) 特別利害関係者など 1,000,000 4.62% 90日・1.5倍

三井物産(株) 特別利害関係者など 710,500 3.29% 90日・1.5倍 180日

吉村修一 代表取締役社長など 571,450 2.64%

SBI4&5投組 投資業(ファンド) 508,400 2.35% 90日・1.5倍

(株)ゼンリン 取引先 480,000 2.22% 180日

(株)パスコ 特別利害関係者など 480,000 2.22% 180日

アイサンテクノロジー(株) 特別利害関係者など 400,000 1.85% 180日

ジオテクノロジーズ(株) 特別利害関係者など 320,000 1.48%  売出320,000

(株)トヨタマップマスター 特別利害関係者など 320,000 1.48% 180日

​

 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である株式会社INCJは、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2025年6月24日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の3倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。さらに株式会社INCJからは、2025年3月末以降も含めて、株式市場で当社株式の売却を行う場合には、株価下落圧力とならないような譲渡または売却方法を可能な限り模索するとの意向を確認しております。詳細につきましては、「第二部 企業情報 第2 事業の概況 3 事業等のリスク」の「(3) その他のリスク ⑥ベンチャーキャピタル等投資事業者の株式所有割合に伴うリスクについて」をご参照ください。

 当社株主である株式会社海外交通・都市開発事業支援機構、三菱HCキャピタル株式会社、三井物産株式会社、SBI4&5投資事業有限責任組合、TriKnight Capital Corp.、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合、みずほ成長支援第4号投資事業有限責任組合及びヒューリックスタートアップ1号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2025年6月24日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

 当社株主である三菱電機株式会社、株式会社ゼンリン、株式会社パスコ、アイサンテクノロジー株式会社、株式会社トヨタマップマスター、いすゞ自動車株式会社、スズキ株式会社、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、日野自動車株式会社、株式会社SUBARU、本田技研工業株式会社、マツダ株式会社及び三菱自動車工業株式会社並びに当社新株予約権者である吉村修一、Thibodeau, Christopher、稲畑廣行、細谷昌良、雨谷広道、山田浩司、麻生紀子、鈴木秀和、加藤徹行、中山達也、大橋俊之及びその他162名は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2025年9月22日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。


【代表者】

代表者名 吉村 修一(上場時42歳10カ月)/1982年生

本店所在地 東京都渋谷区渋谷

設立年 2016年

従業員数 72人 (2025/01/31現在)(平均42.5歳、年収917.8万円)、連結225人

事業内容 自動運転・先進運転支援システムなどに利用される高精度3次元地図データ(HDマップ)の生成・販売および、HDマップ関連技術を用いた(自動運転以外の)多用途での高精度位置情報・ソリューションの提供

URL https://www.dynamic-maps.co.jp/

株主数 25人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2025/02/19現在)

代表者生年月日 1982年05月18日生まれ

代表者略歴

2005年04月 三井物産株式会社入社

2012年07月 株式会社産業革新機構(現株式会社産業革新投資機構)入社、アソシエイト、2015年7月 同社ヴァイス プレジデント、2017年7月 同社 ディレクター

2017年06月 当社社外取締役

2020年11月 当社取締役副社長、Ushr,Inc.(現Dynamic Map Platform North America, Inc.)Director

2021年06月 当社代表取締役副社長

2022年01月 当社代表取締役社長CEO(現任)、10月:株式会社DMP Axyz(現ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社)取締役(現任)

2024年06月 Dynamic Map Platform North America, Inc. Chairman(現任)、Dynamic Map Platform North Europe, GmbH Managing Director(現任)

役員名


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

幹事証券 大和 - -

幹事証券 みずほ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 野村 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 あかつき - -


【参考類似企業】予想PER(3/4)

2303 ドーン 16.9倍 (単独予想)

4667 アイサンテク 38.4倍 (連結予想)

7911 TOPPANHD 16.8倍 (連結予想)

9233 アジア航 10.7倍 (連結予想)

9474 ゼンリン 21.5倍 (連結予想)

9475 昭文社HD 21.0倍 (連結予想)


【私見】

 自動運転銘柄で、海外売り上げも多く業種妙味がある銘柄です。現状、GMへの売上が多く、トランプ政権で不安はありますが、技術力は高く、将来的にロボットやドーロンなどの分野にも広げていけば将来楽しみな会社ではあります。赤字は気になりますが、売上の伸びは良く、PSRで考えても4ほどなので、市場規模を考えると上値余地は大きいのかと思います。国策VCで、VCの出資額は高く目線は高そうなので、1.5倍のロックラインを超えればひと相場ありそうな予感はします。公募数も増やし、仮条件も上げたことから人気は高く、イメージ的にはテラドローンのような動きを想定します。


想定価額:1130円

仮条件上限:1200円

初値予想:1800円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価:4

2025年3月10日月曜日

IPO分析(ZenmuTech)

 【事業内容】

​ 「データの保護、データの利活用を追及する」をミッションとして、安心・安全なデータセキュリティを社会に提供するため、自社開発した秘密分散技術「ZENMU-AONT」を活用した「秘密分散ソリューション『ZENMU』シリーズ」の展開、及び国立研究開発法人産業技術総合研究所により開発された理論と「ZENMU-AONT」開発のノウハウを生かした「秘密計算(※2)ソリューション」(「QueryAhead」)の開発を進めております。なお、当社は情報セキュリティ事業の単一セグメントであります。


(1) 秘密分散ソリューション「ZENMU」シリーズ

 従来、セキュリティで用いられる一般的な暗号化技術では、暗号化された元データを暗号鍵やパスワードで管理するため、暗号鍵やパスワードを詐取されてしまうと、情報漏洩のおそれがありました。しかも、パスワードは増え続けることで管理が難しくなり、同一のパスワードを使い回す懸念もあります。これに対して当社の「ZENMU-AONT」は、「データ自体を無意味なものとして扱う」という新しい発想のセキュリティであり、データを暗号化したうえで複数の意味のないデータに変換・分散し、分散片単独では元のデータの復元や解析をできないようにする処理(データの無意味化)を行います。データの復元には暗号鍵やパスワードによる管理ではなく、全てのデータの分散片をそろえることで復元するアルゴリズムを実現しています。暗号鍵やパスワードによる管理を必要とすることなく、データを守ることを実現しました。また、分散片の数やデータサイズを任意に設定可能であり、データサイズは最小で32バイトであるため、ネットワークやストレージに大きな負荷をかけることがなく、分散処理や復元処理の高速化が可能となっています。

 当社の秘密分散ソリューションのうち主力である情報漏洩対策ソリューション「ZENMU Virtual Drive」は、シンクタンク、コンサルティングファーム、金融機関、ITベンダーなどで活用されておりますが、特定の業界や企業規模に限定されず利用することが可能です。当社ソリューションにおいては、契約先で使用されるPC端末毎にライセンスを付与することとしておりますが、ライセンスの販売形態として、①ライセンスのみを一括して販売するフロー型、②ライセンス契約と保守契約及びアプリケーションのアップデート対応が一体となったサブスクリプション契約、③ライセンス利用に係る保守単独契約の三形態があり、②③をストック型形態と位置づけております。販売経路は主に代理店を介しており、近年はライセンス数1,000件以上の大規模案件を代理店との協業により獲得していくことが多くなっております。こうしたフロー型及びストック型のビジネスモデルの概況は以下のようになっております。


 当社の秘密分散ソリューション「ZENMU」シリーズの主なサービス・製品の詳細は次のとおりです。

①情報漏洩対策ソリューション「ZENMU Virtual Drive」

 「ZENMU Virtual Drive」は秘密分散技術を使用したPC向けの情報漏洩対策ソリューションであり、上の図の「ZENMU for PC」」や「ZENMU Virtual Drive Enterprise Editon」の総称です。サーバー、クラウド、USB、スマートフォン、ウエアラブル端末などあらゆるデバイスに、PCに内蔵されているデータの一部を自由に分散保管し、分散片を外部で管理する仕組みとなっています。保管先も、無意味化されたデータであれば、高価なストレージである必要はないため、新規にサーバー等の追加投資をする負担が少なく、パブリッククラウドの利用も可能です。

  また、PCの操作に不慣れな方にも複雑な操作を必要とすることなく快適に利用できる、ユーザビリティの高さをコンセプトに開発を進め、シンプルな画面設計で通常のPC上の操作とほぼ同様に扱えるようになっております。データを分散保管したPCと外部のデバイスとの接続時に自動で分散片をPC上でマウント(結合)し、復元されたデータにアクセス可能な状態にしています。

 仮に、データの分散片が保管されているデバイスの紛失や盗難に遭ったとしても、管理者が分散片へのアクセスを停止すればデータを復元することができなくなるため、セキュリティリスクは軽減されます。データの無意味化により、分散片の一部のデータだけでは元のデータを推測することは、現実的な処理時間では不可能な状態となることから、個人情報保護委員会が規定する「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」上の「漏洩等事案に係る個人データ又は加工方法等情報について高度な暗号化等の秘匿化がされている場合」に該当する状態であり、当社では分散片の一部の漏洩は情報漏洩には該当しないものと判断しております。

 従って、社外へのPCの持ち出しやリモートワーク等の際、紛失・盗難時の有効な対策になり得ると考えております。エンドポイントセキュリティ(※5)として、従業員のリモートワークなどの多様な働き方を重視し、セキュリティインシデント発生の抑制及び発生時の被害のリスクを減少したい顧客への導入が増加し、他社ブランドとしてOEM提供しているものを含め本書提出日現在約10万人の方にご利用頂いております。

 さらに、オフラインでも利用でき、ネットワーク環境に影響されず、安定的なパフォーマンスを維持することができます。ネットワーク環境には依存せず、アクセスの集中時やWeb会議で通信負荷が増大した際のレスポンスの悪化や処理速度の低下といった事態は生じず、大量の処理を実行するサーバー等のリソースが不要であるため、情報セキュリティソリューションの選択肢の一つであるVDIと比較して、導入・運用に係るコストを抑えられる特徴があります。

 また、顧客が必要としている時に即時に試用・提供が可能であり、顧客側においても、サーバー等の新たな固定資産の設備投資への負担が少ないため、ソフトウエア開発等の受託開発型に比して、導入までの意思決定期間を短くすることができます。

 当社では、常にカスタマーサポート部門と技術開発部門が連携してサービスの改善・強化に努め、顧客から選ばれるサービスの継続を目指しております。


②秘密分散ソフトウエア開発キット「ZENMU Engine」

 「ZENMU Engine」は「ZENMU-AONT」の秘密分散技術を顧客のソリューションに組み込むことができるようにするための製品(ライブラリ)であり、ソフトウエア開発キットとして提供しています。また、顧客の要望に応じて「ZENMU Engine」を組み込んだOEM商品の開発に対するコンサルティングなどの技術支援を行っております。

 「ZENMU Engine」に係る課金形態として、顧客の利用目的に応じたソフトウエア開発キットのライセンス収入を得るほか、ライセンス利用に伴う保守契約を締結し、保守料を収受しております。また、OEM商品の開発に際して、コンサルティング料を収受するほか、OEM商品の収益に応じたロイヤルティを得る収益形態となっております。


<ZENMU EngineのOEM商品の事例>

a.デジタルウォレット

 NFT及び暗号資産の取扱もできるデジタルウォレットの保護の要として、秘密鍵の秘匿化処理に「ZENMU Engine」の技術が採用されました。デジタルウォレットは、今後、メタバースと言われるインターネット上の3次元の仮想空間におけるサービスやNFTマーケット、暗号資産決済等、Web3サービスでは必要不可欠となるため、今後の利用拡大も期待されます。


b.防犯・監視カメラ

 個人の顔が識別できる映像データは個人情報にあたりますが、秘密分散技術によって映像データを分散保管することによりセキュリティが強化され、漏洩や盗聴、窃取から守ることができ、株式会社日立システムズエンジニアリングサービスから「秘密分散フォービデオ」として提供されております。


 (2) 秘密計算ソリューション

 当社では、秘密分散技術を応用し、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究を基に秘密計算ソリューション「QueryAhead」を開発しました。秘密計算技術を用いることで、データを秘匿化したまま計算や通信、保存などの処理を行い、クラウドや社内サーバーなど環境を問わずに安全にデータの受け渡しや加工・分析が可能となり、データの利活用の活性化によるビジネス機会の創出、産業の活性化が期待されます。

 当社では、複数の企業と連携して、秘密計算技術の開発・改良などの研究開発を進めるほか、秘密計算ソリューション「QueryAhead」を利用したサービスの事業化を目指すパートナーの開拓や委託研究の受託役務等を進めております。


(3) その他

 秘密分散ソリューションおよび秘密計算ソリューションの開発・提供とは別に設立当初から行っております、シンクライアント用「Windows Embedded OSのカスタマイズ」及び「シンクライアント基盤最適化コンサルティング」を「Embedded」ソリューションとして提供しており、既存代理店の案件や導入済顧客からの追加導入やPC更新時などのリピート案件について顧客の運用に応じたコンサルティングやカスタマイズ作業などの受託役務から収益を得ております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/12 単独会社予想 850 112 145 159

2024/12 単独実績 648 76 84 78

2023/12 単独実績 440 46 56 72

2022/12 単独実績 232 -124 -113 -115


決算期 種別 EPS BPS 配当

2025/12 単独会社予想 126.65 - -


上場時発行済株数 1,312,800株(別に潜在株式116,400株)

公開株数 331,200株(公募240,000株、売り出し48,000株、オーバーアロットメント43,200株)

調達資金使途 人件費・人材採用費


PER:12.5

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:5.2億

公募時時価:21億

​   

【株主構成】 

岡積正夫 元代表取締役 145,400 12.21% 売出 40,000 180日

セグエグループ(株) 特別利害関係者など 119,800 10.06% 180日

田口善一 代表取締役社長CEO 84,000 7.06% 180日

四国電力(株) 特別利害関係者など 65,200 5.48%  売出8,000 90日・1.5倍

(株)Win4 役員らが議決権の過半数所有 63,600 5.34% 180日

(株)テクノスジャパン 特別利害関係者など 61,600 5.17% 180日

TNPスレッズオブライト投組 投資業(ファンド) 53,400 4.49% 90日・1.5倍

松倉泉 従業員 44,200 3.71% 180日

北陸電力ビジネス・インベストメント(同) 投資業(ファンド) 43,800 3.68% 180日

ミツイワ(株) 取引先 40,000 3.36% 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人である岡積正夫、貸株人である田口善一及び当社株主であるセグエグループ株式会社、株式会社Win4、株式会社テクノスジャパン、松倉泉、北陸電力ビジネス・インベストメント合同会社、ミツイワ株式会社、富士通クライアントコンピューティング株式会社、林勢二、中国電力株式会社、井上雅之、國井晋平、阿部泰久、佐藤哲平、酒井茂輝は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2025年9月22日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等は行わない旨合意しております。

 加えて、売出人である四国電力株式会社及び当社株主であるTNPスレッズオブライト投資事業有限責任組合、イノベーション・エンジン産業創出投資事業有限責任組合、JIA1号投資事業有限責任組合、TUSキャピタル1号投資事業有限責任組合、ニッセイ・キャピタル7号投資事業有限責任組合、イノベーション・エンジンPOC投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2025年6月24日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその価格が「第1 募集要項」の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却は除く。)等は行わない旨合意しております。

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【代表者】

代表者名 田口 善一(上場時63歳9カ月)/1961年生

本店所在地 東京都中央区銀座

設立年 2014年

従業員数 35人 (2025/01/31現在)(平均48.9歳、年収676.5万円)

事業内容 暗号技術の応用である秘密分散技術を利用したセキュリティーソリューションおよび秘密計算ソリューションの開発・販売

URL https://zenmutech.com/

株主数 66人 (目論見書より)

資本金 219,650,000円 (2025/02/21現在)

代表者生年月日 1961年05月28日生まれ

代表者略歴

1984年04月 株式会社SRA 入社

1994年05月 日本オラクル株式会社 入社

2000年09月 株式会社エコス 入社

2002年04月 株式会社サン・ジャパン 入社

2004年04月 有限会社Win4(現 株式会社Win4) 設立 代表取締役(現任)、6月:Harness有限責任事業組合(現 株式会社Harness LLP)設立 組合長

2014年03月 株式会社シンクライアント・ソリューション総合研究所(現 当社) 設立 代表取締役社長

2019年04月 当社 取締役副会長、9月:当社 取締役社長

2021年04月 当社 代表取締役社長CEO(現任)


【幹事団】

主幹事証券 岡三 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 松井 - -

引受証券 アイザワ - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 むさし - -


【参考類似企業】今期予想PER(2/28)

3968 セグエ 21.0倍 (連結予想)

4020 ビートレンド - (単独予想)

4662 フォーカスS 11.2倍 (単独予想)

8056 BIPROGY 17.2倍 (連結予想)


【私見】

 暗号技術の応用である秘密分散技術を利用したセキュリティソリューションとうことで馴染みのない言葉ですが、業種面では独自性があり楽しみな銘柄です。この技術が業績に結び付くかが焦点で、現状は厳しいかもしれませんが、上場後に官公庁や大手企業から採用されることがあれば株価も跳ね上がる可能性もありそうです。PERは高くなく、1.5倍でロックが外れるVCもそう多くないことから需給面では心配はなく、初値段階で人気になる可能性は高いです。岡三主幹事でセカンダリーで高値を追うかは検討が必要です。


想定価額:1470円

仮条件上限:1580円

初値予想:3500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価:4