2024年12月11日水曜日

IPO分析(GVA TECH)

 【事業内容】

​ リーガルテック事業として、主に法務部門や法律事務所向けに法務業務のDXを推進する「LegalTech SaaS事業」及び社内に法務機能が無いようなスタートアップ企業や中小企業でも簡単に登記手続きが行える「登記事業」の2つのサービス群を主要なサービス群として提供しております。


(1) LegalTech SaaS事業

 LegalTech SaaS事業として、全社を支える法務OS「OLGA」を、SaaS型のクラウドサービスとして自社開発し、提供しております。「OLGA」は、「AI法務アシスタント」「法務データ基盤」「AI契約レビュー」「契約管理」の4つのモジュールから構成されており、法務部門の業務におけるデータベース構築・ナレッジ活用・リスクの可視化・円滑な事業部門側とのコミュニケーションを通じて、組織全体の工数削減と業務クオリティ向上を最大限に支援します。なお、「OLGA」の各モジュールは、個別に導入することも可能であり、顧客企業のニーズや既存業務に応じたソリューションを提供することが可能です。


「OLGA」の各モジュールについて、ご説明いたします。

①AI法務アシスタントモジュール/法務データ基盤モジュール

 法務部門では、契約書のチェックや新規事業のリスク調査等、日々様々な案件依頼が発生します。従来は、依頼部門から電話・メール又は汎用的なワークフローツールにより案件を受付し、それらの案件の進捗状況をExcelに手入力して管理することが一般的です。また、依頼された案件に関するやり取りは電話やメール、ビジネスチャットツール等様々な手段で行うことが多く、やり取りの内容が散在している、又は担当者個人の管理にとどまり、組織内に共有がされていないことも多くあります。そのため、法務部門内で担当している案件の進捗管理ができず納期遅延に気づかない状況の発生や、過去のナレッジが蓄積されていないことから業務の非効率化および担当者の退職・異動による案件のブラックボックス化が生じるリスクがあります。法務部門の業務において、過去の規範や法律の解釈、交渉した経緯等の過去のナレッジは非常に重要であり、これらを体系的に集約するナレッジマネジメントは非常に高い関心を持たれております。

 法務データ基盤モジュールでは、メールやビジネスチャットツールと連携することにより、法務案件を一元的に集約し、案件の進捗管理やタスク管理、メンバーの工数管理等を実現します。また、事業部門とのコミュニケーションも、すべてモジュール内で行うことができるため、案件に関わるあらゆる法務の情報が集約され、これまでは蓄積・管理されずに散逸していた情報についても容易に検索・抽出・活用することができます。

 また、データ分析ダッシュボード機能により、月別の依頼案件数や依頼部署ごとの案件内容の傾向、メンバー毎の対応件数等を把握することができ、業務効率化施策の検討や、法務部門の人員計画や育成計画の立案等にも活用することができると考えております。

 AI法務アシスタントモジュールは、法務データ基盤モジュールで一元管理されたこれらのデータを活用して、定型的な相談内容を自動データベース化して事業部門に回答してくれたり、依頼案件に対して過去に対応したことのある案件の中から類似の案件を検索・提案する等の機能をチャットボット形式で提供します。法務部門だけでなく、事業部門も利用することができるため、法務部門の対応工数の削減に加えて、事業部門では定型的な相談であれば瞬時に解決するため事業を進めるスピードの促進を図ることが可能と考えております。


②AI契約レビューモジュール

 企業が取引を開始する場合、基本的にはすべての取引において契約書を作成する必要があります。契約書に不備がある場合、取引先等から過大な損害賠償を受けるリスクや、事業に必要な知的財産権が喪失してしまうといった、事業継続上、非常に重大なリスクが生じることがあります。

 これらのリスクを防ぐため、法務部門は事前に契約審査という業務によりチェックを行い、取引先との交渉に応じて都度契約書の確認や修正を行います。法務担当者は、取引開始までのスケジュールに合わせるために、短いリードタイムでの確認が必要であり、かつ様々な部門からの依頼に並行して多くの契約書の確認を行う必要がある一方で、昨今では様々な先進技術やビジネスモデルの出現に伴う各種法規制への対応が必要になり、法務担当者の契約審査に求められるレベルは年々高度化しております。

 AI契約レビューモジュールでは、以下の機能を提供することにより、従来はほとんど人力でチェックをしていた膨大な量の契約書の審査業務において、業務品質の向上・業務効率化を実現することができると考えております。


 ③契約管理モジュール

 多くの企業では契約書は締結するものの、適切に管理が行われておらず、契約期間が必要以上に更新されることで経費が過大にかかったり、過去の契約書の探索に非常に時間を要して業務の生産性が低下してしまうといった事態が生じております。「OLGA」の契約管理モジュールでは、契約書のデータをアップロードするだけで、AIが自動で以下の項目を抜き出し、管理台帳を自動で作成・管理することが容易になるとともに、契約期限のアラートを自動で通知することにより、更新や終了の漏れのリスクを低減します。

 

 (2) 登記事業

 登記事業のサービス群として、商業登記における変更申請の書類を簡単に作成することができる「GVA法人登記」、法人の履歴事項全部証明書等を簡単に請求できる「GVA登記簿取得」を提供しております。

①GVA法人登記

 商業登記とは、商法や会社法等の法律で定められた、会社において登記すべきと定められた事項を、商業登記簿に記載することで一般に公示する制度です。記載された事項を変更する場合、必ず変更申請の手続きを行う必要があります。

 これらの変更申請のための書類は、会社の種類や機関設計等により、提出する書類や内容が変わるため、専門家以外が自力で作成する場合非常にミスが多くなってしまいます。そのため、司法書士に依頼するケースも多いですが、その場合は費用や期間がかかる、自分に合った司法書士を探すのに手間がかかると言った課題があります。

 GVA法人登記では、指定したフォームに必要事項を入力すれば、変更登記に必要な書類が自動作成され、自力で作成するよりも「簡単・確実に」、司法書士に依頼するよりも「スムーズに・安く」手続きを行うことができます。

 特徴としては、法務局から連携される登記情報PDFから変更前の情報を自動で反映する「登記情報自動反映機能」と、書類を製本して法務局送付用のレターパックや収入印紙等を購入者にお届けする「かんたん郵送パック」のオプションを提供することにより、より簡単・確実に変更登記の申請が行えることです。特に「登記情報自動反映機能」は、従来であれば申請書類に現在登記されている会社名や住所等の基本情報を正確に手入力する必要があるところを、この機能を利用するとシステム内で現在の登記情報を取得し、基本情報が書類作成画面に自動反映されるため、申請書類作成上の手間や入力ミスを減らすことができます。

 累計で約20,000社の企業に利用いただいておりますが、政府の統計によると、年間約100万件の変更登記申請が行われているため、認知を拡大しよりシェアを拡大するように努めてまいります。

 なお、利用顧客のアンケートでは、約9割の顧客が「必ず利用する」又は「たぶん利用する」と回答しており、顧客満足度の高いサービスと考えております。また、同アンケート調査により、登記申請の際に、申請書等の不備で訂正等が発生する比率(補正率)がGVA法人登記経由の場合一部の手続きにおいて9.9%の結果で、法務省の目標値である20.4%を大きく下回る結果が出ており、行政手続きの効率化へ貢献しております。


②GVA登記簿取得

 履歴事項全部証明書等を法務局に請求し入手する場合、対応時間が限定されていること、支払方法が限定されていること等から、取得に制限があり、ニーズに適さない場合があります。また、法務省よりオンラインで取得できるWebサービスも公開されておりますが、使いづらいUI/UXや事前の手続きがやや煩雑なサービスになっております。

 GVA登記簿取得では、24時間365日、Webサイト上から交付請求ができ、またシンプルなUI/UXによりわかりやすいWebサービスで、最低限の情報入力とクレジットカードでの支払いにより、最短1分程度で請求ができます。

 なお、登記事業の収益モデルは、トランザクション型の収益が中心であり、利用者による手続きの都度、サービス利用の料金および書類の印刷、製本等を代行するオプション料金を受領しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2024/12 単独3Q累計実績 800 -390 -396 -398

2024/12 単独会社予想 1,166 -557 -565 -568

2023/12 単独実績 728 -416 -430 -431

2022/12 単独実績 418 -291 -296 -297


決算期 種別 EPS BPS 配当

2024/12 単独会社予想 -154.44 - 0.00


上場時発行済株数 4,620,498株(別に潜在株式551,834株)

公開株数 1,305,300株(公募800,000株、売り出し335,100株、オーバーアロットメント170,200株)

調達資金使途 運転資金、広告宣伝費


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:9.0億

公募時時価:32億

​   

【株主構成】 

山本俊 代表取締役社長 1,044,943 23.90% 180日

DBJキャピタル投組 投資業(ファンド) 573,987 13.12% 180日

SALESFORCE VENTURES LLC. 投資業(ファンド) 257,400 5.89% 180日

MS・HAYATE1号投組 投資業(ファンド) 202,842 4.64% 180日

(株)シグマクシス・インベストメント 投資業(ファンド) 193,610 4.43%

INNOVATION HAYATE V Capital 投資業(ファンド) 145,124 3.32%

BREW(株) 投資業(ファンド) 86,394 1.98% 180日

(株)SBI新生銀行 特別利害関係者など 77,220 1.77% 180日

鄭炳吾 特別利害関係者など 65,857 1.51% 180日

TIS(株) 特別利害関係者など 64,350 1.47% 180日

フリー(株) 特別利害関係者など 64,350 1.47% 180日

(株)あおぞら銀行 特別利害関係者など 64,350 1.47% 180日 売出64,300

TSV1号投組 投資業(ファンド) 64,350 1.47% 180日


 本募集による募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である山本 俊、売出人である合同会社マイアセット、鄭 炳吾及び株式会社kubell並びに当社株主であるDBJキャピタル投資事業有限責任組合、SALESFORCE VENTURES LLC.、MS・HAYATE1号投資事業有限責任組合、BREW株式会社、株式会社SBI新生銀行、TIS株式会社、フリー株式会社、TSV1号投資事業有限責任組合、福留 大士、康 潤碩、西武しんきんキャピタル企業投資3号投資事業有限責任組合、東海東京インキュベーション投資事業有限責任組合、有賀 之和、きぼう投資事業有限責任組合、秦野 元秀、板倉 侑輝、新進気鋭スタートアップ投資事業有限責任組合、株式会社 IRRobotics、GA3号投資組合及びGA4号投資組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2025年6月23日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(但し、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 山本 俊(上場時41歳5カ月)/1983年生

本店所在地 東京都渋谷区代々木

設立年 2017年

従業員数 68人 (2024/10/31現在)(平均35.5歳、年収643.7万円)

資本金 153,268,000円 (2024/11/21現在)

代表者生年月日 1983年06月28日生まれ

代表者略歴

2010年01月 弁護士登録(第二東京弁護士会)

2010年01月 鳥飼総合法律事務所 入所

2012年01月 GVA法律事務所 創業 代表弁護士就任(現任)

2017年01月 当社創業 代表取締役社長就任(現任)

2022年08月 一般社団法人AI・契約レビューテクノロジー協会設立理事就任(現任)

【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 あかつき - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 極東 - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】今期予想PER(11/29)

2158 FRONTEO 76.3倍 (連結予想)

3788 GMOGSHD 34.0倍 (連結予想)

6027 弁護士コム 58.8倍 (連結予想)


【私見】

 法務のDX銘柄で、司法書士の業務などを脅かすほどのポテンシャルがありそう銘柄で、業種妙味のある銘柄です。問題は赤字で、年明け2月の決算発表で黒字転換になれば株価としても上がりそうなのですが、直近の赤字推移から黒字になるかは微妙です。主要VCはロックかかっており、残りのVCが売り出していないことからも目線は上で、中期で気にかけたい銘柄ですが、初値段階では静かなスタートと予想します。

想定価額:790円

仮条件上限:690円

初値予想:800円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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