【事業内容】
当社はデジタルビジネスプラットフォーム事業を展開し、膨大・複雑なデータから必要な情報を的確に抽出する検索テクノロジーを基盤としたシステム開発やサービス提供、コンサルティングを行っています。創業以来、情報検索の分野で高度な課題解決に取り組み、データ処理技術の研究を重ねてきました。その成果として技術基盤「Spook(スプーク)」を産み出しました。Spookは、膨大で複雑なデータを迅速かつ効率的に検索できる当社独自の技術であり、「データの整理・統合」「データ圧縮・軽量化」「データベース高速処理」「UI/UX最適化」といった要素技術を組み合わせ、データ検索を速く、賢く、無駄のない形で提供しています。幅広い検索条件に対応しながら高速かつ正確な結果を提供できる点がSpookの強みです。この技術を活用し、当社は複雑なデータを扱う大手旅行会社の予約サイトや、多数の商品を管理する専門商社のECサイトなど、高度なデータ処理が求められる業界でのデジタルビジネス強化に貢献しています。近年、当社のビジネス領域は「検索」からデジタルトランスフォーメーション(DX)分野へと拡大し、これまでに培った業界知見をもとに、顧客のビジネス変革を支援する事業展開を推進しています。特に、旅行・観光業界に向けては、旅行商品造成・販売プラットフォーム「webコネクト」を展開し、複数チャネルへのデータ連携やダイナミックプライシング対応など、事業者の多様な課題に応えています。オンライン販売比率の上昇や、パッケージツアーからダイナミックパッケージへの顧客ニーズの変化を追い風に、webコネクトの売上高・顧客数は大手・中堅旅行会社、鉄道事業者、会員制サービス事業者を中心に順調に増加しています。なお、ここでの会員制サービスとは、福利厚生サービス等で宿泊施設等の予約サービスを会員に対して提供する会社を指しております。
(1) 事業の重点領域
DX分野における当社の重点領域は、創業当初から長く事業展開を進めてきた旅行・観光業界向けのサービス提供です。日時や場所、部屋タイプや食事条件、交通手段や経路などが組み合わされ、それらの在庫状況も刻一刻と変化する旅行業のデータは複雑で、取り扱いには深い業界知識が求められます。当社はオフラインからオンラインへと変わりゆく旅行業界のビジネス変革をいち早く察知し、料金・在庫がダイナミックに変動する旅行商品の高速検索、販売実績を基にした商品レコメンド、外部販売チャネルへのデータフィード、オンライン広告の運用サポート等を行ってまいりました。 旅行・観光業界へのサービス提供を通じて蓄積した技術・ノウハウの集大成として開発したプロダクトが、旅行商品造成・販売プラットフォーム「webコネクト」です。商品のオンライン販売に求められる素材登録(宿泊施設や交通手段、アクティビティなど、旅行商品の販売を構成する情報・在庫・料金等の登録)、検索、予約管理、電子クーポン発行、外部接続ゲートウェイといった機能群をモジュール化し、必要な機能全般をインフラも含めてサービス提供するSaaS型のビジネスモデルを採用することによって、顧客との強固なパートナーシップの構築並びに、安定した収益確保の両立を実現しています。
国内旅行市場はコロナ禍による低迷期から脱却し、2023年以降急回復を遂げています。政府主導での観光DX推進を追い風に、観光地までの交通手段と宿泊、観光スポットなどを最適に組み合わせてワンストップで検索・予約・決済等を完結させる「観光MaaS(Mobility as a Service)」の市場は急拡大すると予想されています。事業者間のデータ連携・共有ニーズが高まるなかで、鉄道事業者を始めとするMaaS関連事業者からのwebコネクトへの注目度は高まっており、当社の顧客層は更なる広がりを見せていくと想定しております。
(2) 収益構造
デジタルビジネスプラットフォーム事業の単一セグメントです。膨大・複雑なデータから必要な情報を的確に探し出す技術基盤「Spook」を基に顧客の課題解決を行う「ソリューション型サービス」と、顧客課題に向き合う中で得た技術・知見をノウハウとして蓄積し複数顧客が共通で抱える課題の解決策を当社が提供する共通基盤上で提供する「SaaS型サービス」という2つの軸で事業推進しています。ここでの「サービス」は、特定の契約形態を必ずしも意味するものではなく、顧客に対する価値提供を表現したものです。
当社の強みは、SaaSの導入スピードとコスト効率を最大限に活かしながら、各企業のニーズに柔軟に対応できるカスタマイズを提供できる点にあります。これにより、短納期での導入が可能になるだけでなく、企業の業務プロセスに最適化されたシステムを提供できています。この「ハイブリッドモデル」は、当社の競争優位性を支える重要な要素であり、競合との差別化を実現しています。 当社のビジネスは、売り切り型の受託開発でもなく、先行投資型の一般的なSaaSでもありません。ライセンスやサービス提供の形で、顧客の課題解決に取り組むたびに、その技術を資産として蓄積しています。これにより、継続的な技術の進化と安定的な収益の確保を両立した独自のビジネスモデルを構築しています。
① ソリューション型サービス
技術基盤「Spook」を活用し、膨大かつ複雑なデータを高速かつ正確に処理することで、顧客が直面する特有の問題に対する効果的な解決策を提供しています。例えば、大手旅行会社の予約サイトや、膨大な商品を扱う専門商社のECサイトなど、複雑なデータを扱う企業に対して、デジタルビジネスを強化する検索ソリューションを提供し、ユーザーの利便性向上に貢献しています。また、Spookの高い拡張性により、ビジネス拡大に伴う安定したシステム運用を実現し、顧客の長期的な競争力維持をサポートします。
システム開発にかかる開発費とリリース後の運用・保守費、さらには当社が保有する技術・ノウハウを継続使用することについての対価(使用許諾費)によって構成されています。Spookは顧客の自社サーバーやデータセンターに設置される「オンプレミス型」の形態で提供され、企業ごとのカスタマイズ要件に柔軟に対応できる仕組みを採用しています。
一般的な受託開発でのビジネスモデルは、システムリリース時点の売上が収益の大半を占め、取扱案件数や規模に左右されやすいという特性があります。また、顧客との接点もシステムリリース以降は希薄になりがちです。それに対し、当社のビジネスモデルは独自の技術基盤「Spook」に基づく開発の成果物を当社の資産とし、ライセンス型で提供するビジネスモデルを確立してきました。このビジネスモデルによって、課題解決の積み重ねが技術資産として蓄積されていくストック型の事業構造を実現しています。
② SaaS型サービス
蓄積された技術と知見を活かし、複数の顧客に共通する課題に対して汎用的な解決策を提供しています。旅行・観光業界向けに開発したwebコネクトは、素材登録、検索、予約管理、電子クーポン発行、外部接続ゲートウェイなど、総合的なEコマース機能を備え、日本国内の多くの旅行会社に導入されています。SaaS型の提供形態により、顧客は自社でサーバーを設置・管理する必要がなく、インターネット経由でサービスを利用できます。また、複数の販売チャネルへのデータ連携やダイナミックプライシングに対応し、在庫管理や販売業務を含むビジネスオペレーション全体の効率化を実現します。
当社のSaaS型サービスの強みは、一般的なSaaSビジネスに見られる画一的な便益提供ではなく、顧客要望に応じた柔軟かつ機動的なカスタマイズ対応を含めた総合的な便益提供にあります。提供する機能ごとに設定された初期設定費、月額サービス利用料に加え、顧客ニーズに応じた個別カスタマイズ部分の開発費・運用保守費も収受する「SaaS型とカスタマイズ型を融合させたハイブリッド型」のビジネスモデルです。
一般的なSaaSは、初期費・月額費が比較的低価格で導入のハードルが低い一方、開発費を回収するために同一サービスを多数販売する必要があり、サービスの陳腐化や顧客の離脱リスクが高いという特性があります。これに対し、当社では、顧客の要望に応じたカスタマイズ対応を行うことで、顧客ごとに最適化したサービスを提供しています。この「ハイブリッドモデル」は、SaaSとしての継続的な売上に加えて、カスタマイズや機能追加によるアップサイドも見込めるため、事業の成長と収益の安定化を両立するビジネスモデルです。
(3) 基盤技術及びサービスの特徴
① ソリューション型サービス
a 技術基盤「Spook」
フォルシアの技術の特異性、それは独自の技術基盤「Spook」です。情報の全体像を俯瞰し、目的とする情報にストレスなくたどり着くための独自技術を磨き上げ、一般的な検索エンジンとは異なる切り口でのデータ処理を行っています。
当社のSpookは、膨大かつ複雑なデータを迅速かつ効率的に検索する独自の技術であり、特に多様な検索条件が組み合わさる場面でその真価を発揮します。この技術は、大量のデータであっても効率的に処理し、必要な情報を即座に抽出する優れた検索能力を備えています。また、日時や場所、規格など複数の条件が同時に含まれる場合でも、柔軟かつ正確に対応できる高度な検索が可能です。さらに、業界ごとに異なる複雑なデータ構造にも適応できる点が特長です。
一般的な検索エンジンは、少量かつシンプルなデータを対象に、特定キーワードに基づいた簡易な情報検索に最適化されています。しかし、この手法は、条件が少なくデータ項目が限定的な場合にのみスムーズに機能します。一方、当社のSpookは、多層構造を持つデータ環境に対応できるよう設計されており、膨大・複雑なデータ制御が求められる場面で優れた性能を発揮します。一般的な検索エンジンが苦手とする場面でも、Spookは迅速かつ正確に必要な情報へアクセス可能です。
Spookの最大の特徴は、一般的な検索エンジンとは異なる検索アプローチにあります。通常の検索エンジンはキーワードを軸に段階的に情報を絞り込む「ドリルダウン型」の手法を採用していますが、Spookは「条件を軸にした多方向からの属性検索」を採用しています。この方式により、情報の全体像を俯瞰しながら瞬時に絞り込むことが可能です。この違いにより、一般的な検索エンジンでは対応が難しい高度な検索精度が求められる場面でも、Spookは強力な検索ツールとして機能します。
当社の検索技術が最も力を発揮しているのは、旅行・観光業界です。創業当初から「検索」を強みとし、業界に深く関わりながら個別の顧客課題に対応してきました。その経験を活かし、要素技術の開発を進め、業界全体の共通課題にも応えています。
例えば、旅行予約サイトにおける宿泊施設検索では、日時や場所、部屋タイプなど詳細な希望条件を設定しつつ、条件の変更を行ってもその設定を維持したまま迅速に結果を表示します。さらに、リアルタイムで変動する空室情報を取り込み、予約可能なものだけを絞り込む高度な検索制御も行っています。また、宿泊施設検索における「先回り検索」も、当社技術の優位性を活かした機能の一つです。ユーザーが指定していない条件を先読みして検索を行い、目的地や日付、人数のクリックに連動して件数を瞬時に変動させます。これにより、ユーザーは検索結果の表示を待つことなく、必要な情報を即座に把握できます。このように、当社はユーザーの利便性を大幅に向上させる検索体験を提供しています。
② SaaS型サービス
a 旅行・観光業界向け商品販売プラットフォーム「webコネクト」
webコネクトは、在庫と料金が動的に変動するダイナミックプライス型商品におけるリアルタイムな料金計算と高速な一覧表示を実現する旅行・観光業界向けのSaaS型サービスです。
基本的に他のシステムに依存せず独立して機能するよう設計されており、クラウド上で提供されるため、企業が迅速にシステムを利用開始できます。ただし、既存のシステムとのデータ連携やチャネル統合が必要な場合には、他の大手開発会社が提供するシステムと接続して活用することも可能です。また、国内・海外の多種多様な素材提供会社との連携によって動的な商品登録(造成)・商品検索・商品流通を、柔軟かつスピーディに実現します。ここでの素材提供会社とは、宿泊施設や交通手段、アクティビティなど、旅行商品を構成する要素を提供する事業者を指します。webコネクトを活用することで旅行会社、鉄道会社をはじめとする旅行・観光商品を販売する事業者や素材提供会社は、例えば目的地までの交通手段(航空・鉄道)と、宿泊、アクティビティ、現地交通(レンタカー等)の手配が一括で済むような仕組みをスムーズかつローコストで導入することができます。
当社では、原則として60カ月の継続利用を前提に初期開発費及び月額費(提供する機能に応じて算定された固定のサービス利用料)を収受し、顧客の要望に応じたカスタマイズ対応を行うことで、顧客ごとに最適化したサービスを提供しています。これにより、顧客との強固なパートナーシップの構築と安定した収益確保を実現しています。
b データクレンジングツール「Masstery」
MassteryはECサイト等の運用の前提となる、商品データ等の整備・統合作業を自動的に行うデータクレンジングツールです。商品の仕様が複雑であり、仕入先が多岐にわたるECサイト運営事業者に対して、商品データ整備の仕組みを提供しています。データ整備作業の非効率性、属人化、商品フォーマット整備における手作業の発生といったECサイトの運営にあたって担当者が課題と感じる点を解消し、さらにカテゴリ付与の自動化等の効率化を促進する機能も搭載しています。Massteryがターゲットとするのは、Spook導入顧客である専門商社の取引先となる企業群(メーカー・流通・小売業等)です。かかる企業においては、コロナ禍による業務プロセス変革の意識の高まりを受け、積極投資への気運が高まっております。
c Googleホテル広告導入支援サービス
Googleホテル広告はGoogle検索、Googleマップにホテルの空き状況と料金を表示するものです。ホテルの自社公式サイトで部屋のタイムリーかつ正確な空き状況や料金を表示することで、自社公式サイトに顧客を誘導し、予約の獲得につなげる広告サービスです。当社は旅行商品情報の検索技術力とその豊富な実績により、「Google ホテル広告」サービスを日本で展開していく上でのパートナーとして、2015年11月にGoogleホテル広告に関する「インテグレーションパートナー」に認定されました。公式パートナーとして、本プログラムで必要となるデータフィードや広告運用・入札管理の支援サービスを提供しています。
【業績等】
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2025/02 単独中間実績 1,064 80 80 52
2025/02 単独会社予想 2,281 202 186 115
2024/02 単独実績 1,946 139 140 99
2023/02 単独実績 2,146 102 106 130
決算期 種別 EPS BPS 配当
2025/02 単独会社予想 111.81 1,544.92 0.00
上場時発行済株数 1,200,000株
公開株数 245,000株(公募200,000株、売り出し13,100株、オーバーアロットメント31,900株)
調達資金使途 採用費・人件費、インフラ費用
PER:15.2
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:4.2億
公募時時価:20億
【株主構成】 以下180日
屋代哲郎 代表取締役COO 409,800 40.98%
屋代浩子 代表取締役社長 394,900 39.49%
フォルシア社員持株会 特別利害関係者など 110,200 11.02%
山田尚紀 常務取締役 32,000 3.20%
フォルシア役員持株会 特別利害関係者など 26,400 2.64%
谷本真一 監査役 10,000 1.00%
吉村龍吾 監査役 10,000 1.00%
西弘子 従業員 4,700 0.47%
近藤崇宏 元従業員 2,000 0.20%
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人及び売出人である屋代哲郎並びに当社株主である屋代浩子、フォルシア社員持株会、山田尚紀、フォルシア役員持株会、谷本真一、吉村龍吾及び西弘子は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2025年6月23日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。
【代表者】
代表者名 屋代 浩子(上場時59歳8カ月)/1965年生
本店所在地 東京都新宿区新宿
設立年 2001年
従業員数 130人 (2024/10/31現在)(平均36.2歳、年収691.8万円)
事業内容 膨大・複雑なデータから必要な情報を的確に探し出す検索テクノロジーを基にしたシステム開発・サービス提供ならびにコンサルティング
URL https://www.forcia.com/
株主数 9人 (目論見書より)
資本金 50,000,000円 (2024/11/22現在)
代表者生年月日 1965年03月31日生まれ
代表者略歴
1988年04月 野村證券株式会社入社
1993年04月 ゴールドマン・サックス証券会社(現ゴールドマン・サックス証券株式会社)入社
2001年03月 当社設立、代表取締役社長就任(現)
2018年06月 (株)セゾン情報システムズ 社外取締役就任
【幹事団】
主幹事証券 野村 - -
引受証券 マネックス - -
引受証券 SBI - -
引受証券 楽天 - -
引受証券 岡三 - -
引受証券 東海東京 - -
引受証券 松井 - -
【参考類似企業】今期予想PER(11/28)
2477 手間いらず 22.5倍 (単独予想)
3836 アバントG 23.5倍 (連結予想)
4075 ブレインズ 53.0倍 (単独予想)
4814 ネクスウェア 179.8倍 (連結予想)
4845 スカラ 23.0倍 (連結予想)
5136 tripla 51.5倍 (連結予想)
【私見】
業種としてはSaas銘柄で、野村・GS出身の社長で、株価対策も期待できそうです。業績は伸びていますが、旅行業界中心ということで業績の限界はあるでしょうか。PERからは割安感があり、上値余地は充分ありそうです。一番の魅力は需給で、品薄銘柄で、ロックも万全で、地合いさえ良ければ需給主導のマネーゲームが起きるかもしれません。
想定価額:1700円
仮条件上限:1750円
初値予想:4000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価:3.5
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