【事業内容】
(1) 開発システムの特徴
独立系(資本依存、ベンダー依存がない)システム開発会社として、創業以来、官公庁に向けシステム開発を行う「公共系事業」を展開してまいりました。2007年より、銀行、生命保険会社、証券会社に向けシステム開発を行う「金融・法人系事業」を新たに開始し、現在はこの2事業が当社の主力事業となっております。
公共系事業、金融・法人系事業のいずれにおいても、国家機構や社会インフラを支える重要システムであることから、安定したシステム稼働が必須であり、システム開発後も継続的な保守、サポート及びシステム改修、アップデートが必要となります。
また、ITシステムとしても個々に固有なシステムであることから、その開発はスクラッチ開発が基本となります。そのため、1プロジェクト案件ごとに、開発だけでなく、その後の保守やアップデートも含めて、長期の継続的な案件となることが当社事業の特徴の1つとして挙げられます。
(2) システム受注の特徴
公共系事業、金融・法人系事業の案件受注は、当社が直接クライアントより受注するのではなく、発注者である官公庁や金融機関から、資本力や実績を有するメーカーやシステムインテグレーターに発注されます。
メーカーやシステムインテグレーターが案件を受注するにあたっては、単体(1社)で受注するケースはほとんどなく、システム開発や運用、保守、サポートを行う複数のパートナー企業と共同で提案内容を構築し、受注している状況です。
当社などのパートナー企業は、メーカーやシステムインテグレーターが官公庁や金融機関より案件を一括受注後、担当領域について個別発注する形となります。
官公庁、金融機関からの発注は、基本的には入札制度に基づき決定されております。入札にあたって提案内容のうち、参画するパートナー企業(履行体制)も評価の対象となることから、パートナー企業においても過去の開発実績や信用力が重要となります。
また、メーカーやシステムインテグレーターに選ばれる技術力を有していることが必須となります。当社は、創業以来、40年近くの官公庁システムの開発実績を有しており、当社自らが官公庁の入札に直接に参加するための入札資格を有していることから、システムインテグレーターやメーカーからも実績等含め厚い信頼を得ております。
加えて、首都圏に取引実績のある78社(2024年12月期実績見込:38社)を持ち、当社では対応できない特殊案件、スポット開発など短期の契約への対応を図っております。
案件選定については、システムインテグレーター各社によって、プロジェクトのマネジメント手法が多岐にわたり、またその中でも事業部門別によっても特徴がございます。そのため、不採算案件になるリスクが高い業態でもあります。しかしながら当社では、案件選定の段階からシステムインテグレーターから要求されるQCD(品質・コスト・納期)と当社の強みやエンジニアの強みを総合的に判断し選定しているため、不採算案件に繋がるリスクを低減することが出来ております。
当社は、2008年に株式会社NTTデータのアソシエイトパートナーに認定されております。また、株式会社NSD及び株式会社CIJのコアパートナーに認定されております。
(3) 公共系事業の特徴
「公共系事業」の特徴といたしましては、当社が創業当時より注力している分野であり、官公庁、自治体、教育分野におけるシステムの開発をシステムインテグレーターと共に行っており、官公庁向け基幹業務の大規模なシステム更改を着実に受注し、システムのライフサイクル全般にわたり、継続的に事業を展開することを事業の柱としております。
主なシステムの関与実績は以下のとおりです。
① 国税電子申告・納税システム(e-Tax)
国税庁が運営する、国税に係る申告・申請・納税に係るオンラインサービスで、所得税、消費税、贈与税、印紙税、酒税などの申告や法定調書の提出、届出や申請などの各種手続を、インターネットを通じて行うことができるものです。
また、税金の納付も、ダイレクト納付やインターネットバンキング、ペイジー(Pay-easy)対応のATMを利用して行うことができます。
e-Taxを利用することで、自宅や事務所などから申告や納税などの手続を行うことが可能です。また、e-Taxに対応した税務・会計ソフトを利用すれば、会計処理や申告などのデータ作成から提出までの一連の作業を電子的に行うことができ、事務の省力化やペーパレス化につながります。
当社は、2003年より税務署にて取り扱う2,000種類にも上る書式類の電子化作業、システム利用開始に向けた環境整備、申告・申請等の税務署受付システム構築、及びダイレクト納付機能の拡充に関与してまいりました。現在は次期環境に向けて性能向上の実施、電子申告システムの運用支援及び免税販売管理システムの運用支援にも関与しております。
② 総合的物流情報プラットフォームシステム(NACCS)
NACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)は、入出港する船舶・航空機及び輸出入される貨物について、税関その他の関係行政機関に対する手続及び関連する民間業務をオンラインで処理するシステムです。
システムでは、船舶・航空機の入港、輸入貨物の到着から国内引取するまで、輸出貨物の運送引受けから船舶・航空機搭載までの一連の税関手続及び関連民間業務を一元的に処理しています。
当社では、貿易関連物流情報処理システム、NACCSに関連する民間業務側の従量課金制物流パッケージ開発などにも関与しております。
③ 社会保険関連システム
厚生労働省及び日本年金機構では、「提供するサービスの質の向上」、「業務運営の効率化」、「業務運営における公正性の確保」を基本理念として、公的年金に係る業務・システムの抜本的な見直しによる最適化の取り組みを進めており、当社では、この取り組みにおいて、株式会社NTTデータのパートナー企業として、当該システム構築に関与しております。
公的年金業務として、国民年金及び厚生年金保険等の被保険者の適用、各種保険料の徴収、年金給付等の各種給付及びこれに関する相談対応を行っており、この業務に使用する社会保険オンラインシステムとして、記録管理システム、基礎年金番号管理システム、年金給付システムが存在します。今回の取り組みでは、年金記録問題や社会保障・税番号制度などを踏まえながら、3つのシステムのうち、記録管理システム及び基礎年金番号管理システムを刷新し「年金業務システム」として再構築を図っております。
④ 航空交通管制情報処理システム
航空交通管制情報処理システムは、航空機の安全運航及び定時運航を図り、かつ管制業務等の円滑な実施を支援するためのシステムであり、各空港・航空交通管制部に設置されているもので、当社では、空路設計システム、航空交通管理システムに携わるほか、シミュレータ開発などにも関与しております。
(4) 金融・法人系事業の特徴
「金融・法人系事業」の特徴と致しましては、金融系のシステム開発に必要な深い業務知識・理解をもつ経験豊富な技術者が主に業務を担当しており、メガバンク、地銀、信託などの銀行業務、生命保険、損害保険などの保険業務、証券会社の基幹システム及び周辺システムの開発を行っております。Fintech分野における個人財務管理システムの開発実績を保有し、時代変化に合わせた市場深耕を実施しております。代表的な開発事例と致しましては、下表表-2の実績を有しております。また、国内地域開発にも対応しており、国内地域の協力会社のコントロール等を実施しております。
① 銀行
勘定系システムでは、流動性預金、固定性預金、内国・外国為替など銀行業務の基幹となる機能についての開発実績がございます。情報系システムでは、データウェアハウス、データマート、与信審査、顧客管理、収益管理、不動産、リテール分析についての開発実績がございます。その他、合併対応、外接系では全銀システム・日銀ネット、SWIFTなど、店頭取引デリバティブの分析・評価、インターネットバンキング、営業店端末などチャネル系システム等の実績もございます。メガバンクをはじめとした業態変更に合わせ、オムニチャネルやバックオフィス系業務のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)についての開発及び導入支援を実施しています。
② 証券会社
証券会社のフロントシステムにおける顧客情報やファンド情報等各種照会、コンプライアンス関連、口座開設、注文約定管理、銘柄管理などの営業店販売支援などの開発実績を保有しております。バックオフィスシステムにおいては、各種属性管理、残高管理、注文や約定計算、決算処理、帳票管理などの開発実績を保有しております。外部接続系では証券保管振替機構や日本銀行との照合や決済機能、また、デリバティブ取引におけるリスク管理や外国為替証拠金取引におけるレート生成、カバーロジックなどついても開発支援を行っております。証券業務に長けたエンジニアが豊富な経験とノウハウを駆使し、お客様のニーズに的確にお応えしております。
③ 生命/損害保険会社
生命保険各社向けには新契約管理・保全、収納・請求、代理店管理、成績/業績管理、データウェアハウス・分析などのシステムや営業職員向けの顧客管理、営業支援、設計書・申込書作成などのシステム、定額年金・変額年金、保険数理(保険料計算・責任準備金)についての実績を有しております。損害保険各社向けには契約管理、請求、満期管理など、また、保険商品や業務解析力を活かした損害調査についての開発実績がございます。保険業界全体のグローバル進出を念頭に事業の展開を行っております。
④ クレジットカード会社
世界的にキャッシュレス化が進む中、キャッシュレス化は世界の潮流であります。経済産業省が提唱するキャッシュレスビジョン2018などの政策的な後押しもあり、今後より一層拡大していく流れでございます。一次元バーコード、QRコード含めた複数のコード決済事業者との共同接続サービスなど決済業務のペイメントサービス、BCP(ビジネス・コンティニュイティ・プラン)、営業支援、関連請求、与信管理、顧客管理システム、カードブランドの統合等の開発実績がございます。
【業績等】
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2024/12 単独3Q累計実績 2,171 109 103 68
2024/12 単独会社予想 2,915 114 109 71
2023/12 単独実績 2,731 41 37 26
2022/12 単独実績 2,404 64 57 39
決算期 種別 EPS BPS 配当
2024/12 単独会社予想 104.12 841.76 18.00
上場時発行済株数 804,000株
公開株数 207,000株(公募120,000株、売り出し60,000株、オーバーアロットメント27,000株)
調達資金使途 技術系人材の採用・育成費、銀行借入金の返済
PER:5.3
PBR:
配当利回り:3.3%
公募時吸い上げ資金:1.1億
公募時時価:4.4億
【株主構成】
奥山宏昭 代表取締役社長 550,700 80.50%
奥山伸子 代表取締役の配偶者 98,000 14.33%
田村信裕 特別利害関係者など 19,200 2.81%
川東卓時 取締役執行役員 3,200 0.47%
田中進吾 取締役執行役員 3,200 0.47%
関谷久 取締役執行役員 3,200 0.47%
町野公彦 取締役執行役員 3,200 0.47%
尾形朋輝 監査役 3,200 0.47%
(株)CIJ 取引先 100 0.01%
(1) TOKYO PRO Marketにおける当社普通株式の取引(気配表記を含む。)がブックビルディング方式による発行価格及び売出価格の決定に影響を及ぼすおそれを可及的に排除する観点から、本募集による売出しに関連して、当社役員かつ貸株人である奥山宏昭、当社大株主である奥山伸子、田村信裕、株式会社CIJ、当社役員である川東卓時、田中進吾、関谷久、町野公彦、尾形朋輝は、Jトラストグローバル証券株式会社(主幹事会社)に対し、本書提出日から当社普通株式に係るTOKYO PRO Marketからの上場廃止予定日である2024年12月22日までの期間中は、本書提出日現在に自己の計算で保有する当社普通株式の売却等又はこれらに係る注文を行わない旨を約束しております。
(2)本募集並びに引受人の買収引受による売出しに関連して、当社役員かつ貸株人である奥山宏昭、当社大株主である奥山伸子、田村信裕、株式会社CIJ、当社役員である川東卓時、田中進吾、関谷久、町野公彦、尾形朋輝は、主幹事会社に対し、当社普通株式の名古屋証券取引所ネクスト市場上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2025年6月20日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買収引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)等は行わない旨合意しております。
【代表者】
代表者名 奥山 宏昭(上場時69歳8カ月)/1955年生
本店所在地 東京都千代田区西神田
設立年 1983年
従業員数 223人 (2024/10/31現在)(平均37歳、年収501.3万円)
事業内容 システム開発および関連サービス
URL https://www.noar.co.jp
株主数 9人 (目論見書より)
資本金 90,000,000円 (2024/11/20現在)
代表者生年月日 1955年04月07日生まれ
代表者略歴
1980年04月 ラブリー株式会社入社
1983年05月 有限会社日本オーエー研究所を共同で設立専務取締役就任
2003年10月 株式会社日本オーエー研究所代表取締役就任(現任)
【幹事団】
主幹事証券 Jトラストグローバル 153,200 85.11%
引受証券 SBI 10,300 5.72%
引受証券 楽天 6,200 3.44%
引受証券 岡三 6,200 3.44%
引受証券 丸三 4,100 2.28%
【参考類似企業】今期予想PER(11/22)
4719 アルファシステム 15.8倍 (単独予想)
4826 CIJ 20.0倍 (連結予想)
9613 NTTデータG 29.5倍 (連結予想)
9682 DTS 18.5倍 (連結予想)
9759 NSD 23.2倍 (連結予想)
【私見】
独立系ベンダーで、国税関係など優良な仕事はしていますが、ほぼ下請けで、成長性という意味ではあまりなさそうです。PERは低く、配当利回りも3%を超えて、規模も小さく内容としては悪くないのですが、名証・Jトラ案件で短期的にはノーマーク銘柄で良いでしょう。
想定価額:570円
仮条件上限:550円
初値予想:550円
ブック申し込み度・・・弱気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価:2.5
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