2018年5月16日水曜日

IPO分析 ラクスル

【事業内容】
 主たる事業内容は、印刷事業(印刷・集客支援のシェアリングプラットフォームである「ラクスル」)及び運送事業(物流のシェアリングプラットフォームである「ハコベル」)であります。 
 インターネットの普及及び技術革新により、既存産業におけるサプライヤー(当社の場合、印刷事業における提携印刷会社や配布会社及び運送事業における提携運送会社)を統合するコストが大幅に低下しました。当社は、産業ごとにプラットフォームを創出することで、1社が全ての製造及び販売機能を持つのではなく、サプライヤーと顧客の需給を効率良く結び付ける産業形態の在り方を提示したいと考えております。 

(1)印刷事業 
 当社は、現状非効率な印刷業界にとってより良いビジネス環境をつくりたいと考え、インターネットを使って全国の顧客から印刷の注文を集め、その注文を当社がネットワークとして築いている印刷会社に発注し、印刷機の非稼働時間を使って印刷をする仕組みを開発、提供しております。具体的には、まず、顧客が「ラクスル」のウェブサイト上で印刷物の部数や納期等を選び、印刷データをアップロードします。その後、当社は印刷データを印刷に適したデータに加工し、提携印刷会社へ印刷を委託します。印刷会社は当社から受領した印刷データを印刷後、直接顧客へ品物をお届けします。当社との取引を通して、提携印刷会社の印刷機の稼働率の向上を図り、印刷会社の経営にも資する形での事業展開を実施しております。なお、現状国内の印刷EC市場は約920億円程度の規模であると言われております。 
 また、当社は印刷事業の海外展開の一環で、当社の100%子会社であるRAKSUL INTERNATIONAL PTE. LTD.を通じて、インドネシア及びインドにおいて現地の印刷EC企業に対するベンチャー投資を行っております。 
 加えて当社は、ネット印刷の事業を基軸に、印刷物のデザインサービスや、印刷したチラシの新聞折込・ポスティングといった、狭商圏内での“集客支援のワンストップサービス”を提供しております。新聞折込やポスティングは、当社のウェブサイト上で、オンラインの地図上からチラシを配布したい地域と配布希望日を選択すると、自動的に配布枚数と料金が算出され注文することが可能となっております。既存の広告代理店では数百枚程度の小ロットのチラシの配布の場合、単価が低すぎるために営業のコストを回収できず、対応は難しいとされてきました。当社はほとんどのプロセスをEC化することで人件費を中心とした営業費用をなくし、小ロットでも低単価で配布できる体制を築いております。結果として、これまで予算が足りず新聞折込やポスティングを使えなかった中小企業・個人事業主のマーケティング活動を可能にしました。また、更なる顧客の利便性を目的として広告枠の販売(地方局のTVCMや駅貼りポスター)の提供を始めております。 

(受発注形態) 
 当社は、商品の仕入販売に関しては、店舗・営業所・印刷工場を保有せず、顧客からの受注機能、受注商品の提携印刷会社への発注機能、及びコールセンターにおける顧客サポート機能のみを保有しており、受発注管理のほぼ全てをインターネットを通じて行っております。商品・仕様・納期に応じて当社が設定した価格で顧客に印刷物や配布サービスを販売し、印刷会社・配布会社へは事前に合意した仕入価格で委託を行っております。仕入価格は随時見直しを行っており、販売価格と仕入価格は直接的な連動はしておりません。また、自社ホームページを通じて商品を購買する顧客の情報をデータベース化し、顧客ごとの購買特性を販売活動に反映させることを可能にする仕組みを構築しております。 
 顧客に対するアプローチは、電子メールによるダイレクトメールの送信、インターネットを通じた広告の掲載及びテレビ等のマス媒体広告を利用しており、各手法を組み合わせることにより新規獲得、追加販売並びに離脱防止に努めております。 

(2)運送事業 
 運送事業は、荷物を送りたい顧客と運送会社のドライバーをマッチングして、インターネット上で荷物の配送予約から支払までを行うことができる物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」を運営しております。顧客がパソコンやスマートフォンから「ハコベル」のウェブサイトを通じて依頼すると、その情報が「ハコベル」に登録したドライバーのパソコンやスマートフォンに届きます。その中で条件が合うドライバーが受注し、依頼時間にトラックで向かい、荷物を積んで、配送先にお届けします。顧客には様々な利用目的でご注文頂いておりますが、特に都市内輸送とラストマイル配送でご活用頂いております。 
 本サービスでは、インターネットを使って各運送会社の非稼動時間を有効活用し、低価格な配送サービスの仕組みの実現を目指しております。サービス利用後には顧客がドライバーを評価する仕組みを設け、優良ドライバーのみをネットワーク化することで、高品質のサービスを提供していく方針です。「ハコベル」は平成27年12月にサービスを開始し、登録累計ユーザー数は12,000ユーザー(平成30年1月末現在)を超えております。 
 「ハコベル」がターゲットとする国内の運送業界は、14兆円という巨大な市場にもかかわらず、上位数社で売上の大部分を占める状況にあると考えております。しかしながら、実際の運送は大手運送会社ではなく、40,000社以上の中小運送会社(車両数20台以下)が下支えしているという、多重下請け構造となっております。
 また、車両の手配は電話・FAX等が主流で、1社1社運送会社へ連絡をして車両の空き状況を確認するという人力に頼った運用が一般的となっております。このような業界をインターネットの力で効率化・フラット化することで、新たな価値を顧客・運送会社双方に提供することを目指して、運送業界に参入しております。「ハコベル」では、荷主とドライバー間のやり取りを全てウェブサイトやスマートフォンのアプリで行います。トラックの手配、案件の伝達・管理、納品書や請求書のやり取り等、これまで電話やFAXを使い紙や表計算ソフトで管理していたものを全てデジタル化しました。手間を大幅に削減できることで運送会社やドライバーの生産性が向上し、またコミュニケーションミスによる誤配送も減少します。 
 料金については、まず顧客から当社へ利用代金が支払われ、当社から運送会社へは事前に合意した配送委託代金を支払います。原則として車種と配送距離によって決まる明瞭な料金体系としており、カーゴ便や軽トラックに積載できる範囲であればどれだけ荷物を積んでも一律の料金となっております。さらに、24時間365日いつでも簡単に予約申し込みができ、また、配送状況をリアルタイムで確認することができるようになっております。 
 これにより、利用者が思い立ったときに“すばやく”“かんたん”に“信頼できる”配送サービスを利用することができることを目指しております。一方ドライバーはスマートフォンの専用アプリへダイレクトに配送依頼が届くことで、仕事が入っていない時間帯を有効活用し、稼働率を高めることができ、ドライバー不足や待遇改善等、日本が抱える物流危機を解決する取り組みの一つになると考えております。さらに今後は、利用者からの評価をドライバーに開示することで仕事に対するモチベーションを喚起し、サービス品質の更なる向上に努めてまいります。 


【業績等】
     (百万円) 経常収益 営業利益 経常利益 純利益 
(単独実績)2016.7 5,082 -1,434 -1,438 -1,448 
(単独実績)2017.7 7,675 -1,145 -1,163 -1,175 
(単独予想)2018.7 10,515 50 9 6 
(単独中間実績)2018.7 4,903 -121 -129 -132 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(単独予想 )2018.7 0.31 242.20 0  
調達資金使途 広告宣伝費、システム外注費、人材採用費・人件費など 

上場時発行済み株数 27,517,000株 (別に潜在株式1,832,800株) 
公開株数 12,592,000株(公募2,500,000株、売り出し8,449,900株、オーバーアロットメント1,642,100株) 
シンジケート 公開株数10,949,900株 (別に1,642,100株)

PER:
PBR:6.2
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:188億
公募時時価:412億
  

【株主構成】
松本 恭摂 代表取締役社長CEO 5,787,000 21.55 
(株)オプトホールディング 特別利害関係者など 4,773,300 17.78 
(株)日本政策投資銀行 特別利害関係者など 2,391,100 8.91 
グローバル・ブレイン5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,965,300 7.32 
WilFundI,L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,793,800 6.68 
テクノロジーベンチャーズ3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,304,200 4.86 
YJ1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,298,700 4.84 
永見 世央 取締役CFO 724,000 2.70 
(株)リンクアンドモチベーション 特別利害関係者など 517,200 1.93 
AT-I投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 517,200 1.93 
日本生命保険(相) 特別利害関係者など 475,000 1.77 


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ当社株主の松本恭攝、株式会社日本政策投資銀行、グローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合、WiL Fund I,L.P.、テクノロジーベンチャーズ3号投資事業有限責任組合、YJ1号投資事業組合、永見世央、株式会社リンクアンドモチベーション、利根川裕太、株式会社ミクシィ、エムスリー株式会社及び古田英之、並びに当社の株主である株式会社オプトホールディング、日本生命保険相互会社、梅田裕真、福島広造、田部正樹、ヤマトホールディングス株式会社、田口弘、泉雄介、守屋実及び佐俣安理は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(平成30年11月26日)までの期間、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を共同主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。 
 さらに、当社の新株予約権を保有する松本恭攝、永見世央、福島広造、田部正樹、泉雄介、守屋実、山下雄太、田島裕也、西田真之介、朝倉祐介、宮武晋也、安井一浩、有澤高介、仲田雄也、狭間健志、水島壮太、手塚裕亮、森泰彦、吉岡渉、森尚美、渡邉恭平及びその他38名は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(平成30年8月28日)までの期間、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等(ただし、新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、共同主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。また、当社の新株予約権を保有する電通ストラテジック・パートナーズ株式会社は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(平成30年11月26日)までの期間、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。 

【代表者】
代表者生年月日
1984年10月10日生まれ 

代表者略歴
2008年04月 A.T.カーニー(株)入社 
2009年09月 当社設立 代表取締役社長CEO(現任) 

【幹事団】
主幹事証券 大和 - - 
主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - - 
主幹事証券 みずほ - - 
引受証券 SBI - - 
引受証券 SMBC日興 - - 
引受証券 マネックス - - 


【私見】
   アワードを受賞したりとVCとしての評価は高いのですが、印刷業という伸びている業種でないことが引っ掛かり私的には評価は高くない銘柄です。逆に配送に関しては業種評価出来るのですが、全体の占める割合が数パーセントではやや厳しいように思います。
業績からは、売上の伸びが良いことは評価出来ますが、黒字にようやくなったところでは物足りなさを感じます。
一番の問題は需給で、規模が非常に大きく市場が吸収するには難しいと思います。やり手の社長のようなので、半年後くらいに気にかけたい銘柄です。

想定価額:1400円
仮条件上限:1500円
初値予想:1500円
ブック申し込み度・・・やや弱気
セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

4 件のコメント:

  1. 担当さんから電話がありました。この後のメルカリがあるのでブックをしました。

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  2. 今のところ勧誘はないのですが、出来れば枠は使いたくないですね。

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  3. SBIからBBしました。 ポイント集めの為、当選しないで欲しいです。

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  4. 最低単位の申し込みです。
    上限で決まるのか??

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