2022年6月30日木曜日

初値分析(AViC)

  AViC 

公募 1020円

初値 1266円(24.1%)

終値 1100円

割れなかっただけ良かったのでしょう。


上場承認(日本ビジネスシステムズ )

 8/02 日本ビジネスシステムズ  5036 情報・通信業 東スタ 三菱UFJモルガン・スタンレー証券     

事業内容:マイクロソフト製品を中心とした、DX計画策定からクラウドによる効果創出までの一貫したITサービスの提供

公開株数合計 2,438,000 OA 365,700

公募株数 2,438,000(34.6憶)

発行済み株数⇒24,183,200(343憶)

ブックビルディング7/15~22

公募価格決定日 2022/07/25

引受証券会社 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 みずほ証券 野村證券 SMBC日興証券 東海東京証券 SBI証券 岡三証券 岩井コスモ証券 東洋証券 むさし証券 

想定価額:1420円 予想レンジ1300円~1800円 期待度3

規模が大きく真新らしさはないので初値人気はないのかと思います。

2022年6月29日水曜日

前日予想(AViC)

 AViC 

公募 1020円

初値予想 1400円

初値買い 中立

買いゾーン 公募割れ

極端に安かった場合のみマーク予定。

初値分析(マイクロアド)

 マイクロアド

公募 1400円

初値 1290円(−7.9%)

終値 1203円

買いは少なく公募割れとなりました。


IPO分析(INTLOOP)

 【事業内容】

 プロフェッショナル人材ソリューション&コンサルティング事業の単一セグメントですが、具体的には、新規事業や業務改革など様々な経営課題を抱える顧客企業に対して、コンサルティング業務やシステム開発における知見やノウハウを有する専門性の高いプロフェッショナルフリーランス人材を提供するプロフェッショナル人材ソリューションサービスを中心に、顧客企業の課題解決支援を行っております。また、コンサルティングサービスの提供に当たっては、当社の強みである戦略、業務、IT及びDX領域におけるコンサルティング業務における知見やノウハウを有する自社社員も加えた、顧客企業のニーズに合わせた形でハイブリッドチーム支援も行っております。

 事業の特徴は、顧客企業のニーズに応じて、下図のとおり、フリーランス人材(コンサルタント/ITエンジニア)を1名単位で支援することで、人材不足の要求に迅速に応えるだけでなく、自社社員とフリーランス人材を組み合わせることで、様々な経営課題に対してワンストップでのサービス提供が可能なことです。


(1) プロフェッショナル人材ソリューションサービス

 フリーランス(コンサルタント/ITエンジニア)向けの案件紹介サイトとして、High Performer Consultant、 High Performer PMO、TECH STOCK、バチグマ、転職支援サービスのサイトとして、High Performer Career、テクストキャリアといったサービスで構成されます。

 これらのサイトに登録されたフリーランス人材(コンサルタント/ITエンジニア)に対し、当社は顧客企業の各種プロジェクト等の案件を紹介し、フリーランス人材の希望に応じてマッチングし、顧客企業への提案を行います。顧客企業が提案内容に合意後、実際のサービス提供が開始されます。

 顧客企業としては、人材不足の課題を抱えた企業であり、大手を含む外資系コンサルティングファームやSIer及び大手事業会社が中心となっています。コンサルティングファームやSIerの顧客でもある事業会社におけるデジタル化に向けた投資は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けず活発であり、これまでのビジネスに拘泥しないニューノーマルに対応したビジネスやシステムを実現できるプロジェクトを遂行できる人材は常に不足している状況です。

 このような状況が追い風となり、当社サービスでは、顧客向けのマーケティング活動を特別に行うことなく、一定の新規引き合いを獲得し、下のグラフのとおり顧客企業数も増加しております。また、特に既存顧客については、顧客からの依頼を受けてから24時間以内にフリーランス人材の提案を行っており、顧客の要望に合わせた柔軟な対応を取ることにより、案件の獲得につなげています。

一方、当社に登録したフリーランス人材は、2022年4月末現在、コンサルタント14,760名(うち月間稼働人数532名)、ITエンジニア12,059名(うち月間稼働人数438名)となっており、Webマーケティングを中心に、積極的に広告宣伝費を投下することで、下のグラフのとおり登録者は増加しており、結果としてコンサルタント/ITエンジニアの稼働人数も増加しております。(なお、稼働人数には当社社員の稼働人数も含めております。以下同じ。)

 フリーランス人材の特徴としては、元大手コンサルティングファーム・システム会社の出身者等で専門性を持ち、経験・実績を積んだプロフェッショナル人材を扱っております。具体的な専門性別の構成は下図のとおりです。

  フリーランス人材の方々にとっては、個人で受注できないような案件を当社が受託することで、収益源とすることができます。また、フリーランス人材への支払いは末締め15日支払いと短い支払いサイトを実現しており、フリーランス人材の収入の安定化に貢献できています。フリーランスの登録の際は、直接面談を行うことで、本人のキャリアの要望に沿った案件をご紹介するだけでなく、本人と顧客の特性を見極めた上でのマッチングを行っております。また、後述するWebサービスの一つとして、フリーランス向け福利厚生サービス「fukurint」を提供しており、当社に登録することで様々な特典を受けることが可能です。

 また、参画形態としてはフルタイムが基本となっています。コンサル案件は、顧客企業からの受注単価が140万円から300万円程度、契約期間は3ヶ月から6ヶ月が中心です。ITエンジニア案件は、顧客企業からの発注単価が100万円前後、契約期間は1年以上が中心です。

 当サービスの収益源としては、顧客企業から業務委託を受け、当該フリーランス人材を案件にアサインして案件支援を行うことで受領する業務委託料を収益としています。フリーランス人材の転職支援サービスでは、転職の成立を契機とした、顧客企業からの成功報酬を収益としています。


① フリーランスコンサルタントの案件紹介サービス「High Performer Consultant」

 基本的に案件を一次請けしており、平均月額報酬110万円程度の高単価案件を中心としています。案件の種類としては、SAP案件やPMO案件の紹介実績が多くなっています。サービスサイトについては、案件を探すための検索をスピーディーに実施できるようなUIデザインを構築する等、常に他社サイトとベンチマークし、ユーザーにとっての使い勝手を良くするよう努めています。また、「フリーランス、コンサル」でインターネット検索すると、当社のサイトが広告枠、検索上位に表示される等、仕事を探す人をサイトに呼び込む動線が構築できています。

② フリーランスPMOの案件紹介サービス「High Performer PMO」

 「High Performer Consultant」のPMO人材特化版です。高付加価値なPMOキャリアの構築を支援するWebサービスとなっています。PMO案件を指揮型PMO、管理型PMO、支援型PMOに分類し、それぞれの案件を豊富にご紹介しています。様々なPMO案件をご用意していますので、コンサルファーム出身者、事業会社出身者、SIer出身者のいずれの方でも「次のキャリア」を視野に入れて、挑戦していただくことが可能です。

 ③ コンサルタントの転職支援サービス「High Performer Career」

 コンサルタント専用のキャリアカウンセリングです。主に非公開求人のご紹介から、フリーランス独立支援のフォローアップ、独立後の案件紹介も提供しています。 当社のコンサルティングサービスの実績を基に、コンサル業界の変化やコンサルタント特有の悩みを把握していますので、コンサルタントに最適なキャリアプランを提案することが可能です。

④ フリーランスITエンジニアの案件紹介サービス「TECH STOCK」

 上流工程経験者向けの一次請け案件や、平均月額報酬80万円程度の高単価案件を中心としています。案件の種類としては、基幹システム開発等、大規模の案件の紹介実績が多くなっています。高単価案件を提供できる背景としては、フリーランスコンサルタントの案件紹介で培った顧客ネットワークやコンサルティングファーム出身者が持つ独自のネットワークを活用することで、幅広い顧客から、大規模のIT投資のニーズの把握や、プロジェクトの初期段階での参画を行うことで、下請けにとどまらないビジネスパートナーとしての関係を築くことができているためです。また、当サービスは、競合となるサービスが非常に多いため、高額案件を多く提供していることや、翌月15日の支払い等を訴求することで、高収入を求めるフリーランス人材の獲得を実現しています。

⑤ ITエンジニアの転職支援サービス「テクストキャリア Performed by TECHSTOCK」

 キャリアアップを目指すITエンジニアに特化した、転職支援、求人紹介サービスを提供しています。これまでのITエンジニアの支援の中で、フリーランスITエンジニアの方から、「このままフリーランスを続けていくことで最適なキャリアを積んでいけるのか心配だ」「転職の選択肢を含めて最適なキャリア形成を考えたい」といったご相談を受けることが多く、戦略的な転職で、望むキャリアを描くためのサービスとして開始いたしました。

⑥ フリーランスマーケターのための案件紹介サービス「バチグマ」

 「案件紹介を通して、マーケターが成長していける場を提供する」をポリシーにマーケティングの仕事を紹介しています。


(2) コンサルティングサービス

 顧客企業の様々な経営課題の解決や企業の変革を支援し、中長期的視点において利益創出を実現するためのコンサルティングサービスを提供しています。

 当社では、社員であるコンサルタント/ITエンジニアが中心となり提供するサービスをコンサルティングサービスと位置づけております。

 サービス提供にあたっては、顧客企業のニーズに応じて、当社社員1名からの支援も行っております。また、当社社員を中心としたコンサルタント/ITエンジニアが、前述したフリーランスのコンサルタント/ITエンジニアとチームを組成することで、顧客企業の支援を行っています。

 顧客は事業会社が中心であり、社員は100名程度と小規模ながらもフリーランスのコンサルタントの知見も活用することで、顧客からの多様なコンサルティングニーズに対応することが可能です。以下のとおり、大手のコンサルティングファームと同様のレベルの、戦略からIT導入に至るまで、また上流工程から下流工程まで、多様なサービスの提供が可能であり、かつフリーランスの活用によりコンサルタントの平均販売単価は130万円程度と比較的安価に提供が可能です。また、特定のITサービスやシステムに依存したサービス提供を行っていないため、中立的・客観的な立場からコンサルティングサービスを提供することが可能です。

 当社のコンサルティングサービスは、顧客企業のニーズによって、ご支援の形態も変わります。コンサルティングサービスを利用していなかった企業に対してはコンサルティングの重要性を理解してもらい、顧客企業の全体の業務改革や新システム導入等、総合的に支援するビジネスパートナーとなる一方で、大手コンサルティングファームとの取引のある企業の場合は、大手コンサルティングファームに不足する役割を補充するために、プロジェクトの一部を支援する場合もあります。当社正社員及び当社のフリーランスネットワークから構成することで、小規模~大規模まで柔軟に対応することが可能です。

 また、顧客企業は製造業を中心とした大手企業が中心となっていますが、支援する領域は多岐に渡り、全社IT戦略の立案から、ERPの導入支援等の全体的なものから、調達部門の業務改革や、タレントマネジメントの導入、新規事業立案支援等、様々なニーズに対応しています。

 そのため、競合となるコンサルティングファームは大手となるケースも多く、大手SIerは当社を協業先として顧客企業への提案を行うこともあるなど、柔軟な営業活動も行っています。

 なお、収益源としては、コンサルティングサービスの提供における、役務提供もしくは成果物納入による業務委託料を収益としています。


(3) Webサービス

 おける売上のほとんどはプロフェッショナル人材ソリューションサービス及びコンサルティングサービスで占められますが、顧客企業の多様なニーズに対応することと、営業先の開拓を目的としたWebベースでのIT関連の情報サービス提供を行っています。当社は、当サービスを通じ、サービスの利用料や、広告掲載料で収益を上げています。

① 課題解決ポータルサイト「QEEE」

QEEEは以下の4つのサービスで構成されています。

a. 専門知識をもつ「アドバイザー」と、専門的な情報を必要としている企業や個人が、直接Webサイト上でマッチングを行い、1時間から相談ができる仕組みを提供する「スポットコンサル」

b. 最新のITトレンドを紹介する等、ビジネス課題に必要なソリューションに関する知見を最新のニュースや記事で学ぶことが可能な記事等を提供する「マガジン」

c. 当社のコンサルティング事業で培ったノウハウや知見をアセット化しホワイトペーパー・テンプレート、製品比較表、製品資料等、ビジネス課題を解決する方法を見いだせる「お役立ち情報」

d. 業務効率化に必要なBtoBクラウドツールを比較検討し、最適なSaaSサービスの導入を支援し、法人向けサービス・プロダクトを比較して資料請求も可能な「製品情報」

 これらの複数のサービスを連動させることで、大企業だけでなく中小企業の課題解決に役立つ情報の提供や直接相談可能な専門人材を活用する場を提供しています。

顧客企業はこのサービスを活用することで、必要に応じて、記事等のコンテンツ利用から、スポットコンサル、最終的には、フリーランス人材での支援や当社によるコンサルティングサービスまでも活用することができます。

 なお収益としては、1時間から利用できる短時間・短期間のスポットコンサルティング案件のマッチングサービスでは、顧客企業からのサービス利用料を収益としています。また、「製品情報」「お役立ち資料」のサービスの収益については、顧客企業へのリードが獲得できた場合のアフィリエイト料や記事広告、バナー広告等の広告料を収益源としています。


② オンライン教育サービス「BOOSTA」

 2019年3月に経済産業省より発表された「IT人材需給に関する調査」によれば、2030年にはAI人材は最大14.5万人不足すると試算されており、当社は、AIやデータサイエンティストを育成する目的でオンライン教育コンテンツを提供しています。

 ITに関する知識・スキル・トレンド情報を獲得したい顧客企業の人事部門等に対し、社員のスキルチェンジや業績向上に具体的に寄与できる人材育成を目指しています。


③ フリーランス向け福利厚生サービス「fukurint」

フリーランスの方々が、仕事だけでなく実生活でも充実できるようなサポートをご紹介しております。


 【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/07 単独予想 13,099 793 747 500

2022/07 単独3Q累計実績 9,434 580 579 387

2021/07 単独実績 9,249 401 418 341

2020/07 単独実績 7,157 40 55 36


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/07 単独予想 123.85 656.55 -


上場時発行済株数 4,600,000株(別に潜在株式121,420株)

公開株数 1,351,200株(公募600,000株、売り出し575,000株、オーバーアロットメント176,200株)

調達資金使途 人材採用費、広告宣伝費、システム開発費


PER:28.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:47.3億

公募時時価:161億

​   

【株主構成】 

林博文 代表取締役 2,986,600 72.47% 180日

KSM(株) 代表取締役の資産管理会社 1,000,000 24.26% 180日

長谷川宏志 外部協力者 20,000 0.49%

内野権 取締役 15,000 0.36%

林真理子 代表取締役の配偶者 10,000 0.24% 180日

田口正剛 外部協力者 10,000 0.24%

住吉恵理子 従業員 6,000 0.15%

的池将輝 従業員 6,000 0.15%

加藤哲弥 従業員 6,000 0.15%

中磯和敏 従業員 6,000 0.15%

岡村優一 従業員 6,000 0.15%


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である林博文、当社株主であるKSM株式会社、林真理子、長野絵理子、川端章夫、小山史夫及び下稲葉耕治は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2023年1月3日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すことは除く。)等を行わない旨合意しております。


 【代表者】

代表者名 林 博文(上場時49歳11カ月)/1972年生

本店所在地 東京都港区赤坂

設立年 2005年

従業員数 288人 (2022/04/30現在)(平均32.7歳、年収516.9万円)

事業内容 フリーランスを活用したコンサルティング・システム開発支援など

URL https://www.intloop.com/

株主数 7人 (目論見書より)

資本金 50,000,000円 (2022/06/06現在)

代表者生年月日 1972年07月11日生まれ

代表者略歴

1996年04月 アンダーセンコンサルティング(株)(現アクセンチュア(株))入社

2000年03月 カタログシティジャパン(株)入社

2001年02月 アクセンチュア(株)入社

2005年02月 当社設立、代表取締役(現任) 7月:IT BPO(株)(現(株)モンスターラボホールディングス)設立、取締役

2006年01月 IT BPO P&M(株)設立、取締役 10月:(株)アイ・ビー・シー設立、代表取締役(現任)

2008年05月 オリエント・ユニオン(株)設立、代表取締役

2012年10月 上海殷図麓普貿易有限公司設立、董事長

2018年11月 KSM(株)設立、代表取締役(現任)



【幹事団】

主幹事証券 東海東京 - -

引受証券 香川 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 あかつき - -


【参考類似企業】銘柄 今期予想PER(6/16)

3697 SHIFT 66.3倍 (連結予想)

3900 クラウドワクス 21.5倍 (連結予想)

4484 ランサーズ - (連結予想)

4490 ビザスク 1,836.3倍 (連結予想)

6560 LTS 48.6倍 (連結予想)

6563 みらいWK 19.3倍 (単独予想)

7033 MSOL 46.6倍 (連結予想)

7060 ギークス 20.9倍 (連結予想)

7352 Bエンジニア 93.7倍 (連結予想)

7379 サーキュ 51.9倍 (単独予想)

9246 プロジェクC 42.2倍 (単独予想)

【私見】

 業種としてはフリーランスに特化したサービスで優位性もあり面白いと思います。業績も売上・利益共に伸びており評価出来ます。問題は規模の大きさで、VCなしでロックはしっかりしているので問題ないのすが、規模が大きいので時価総額200憶となると、東海主幹事で上値余地はそこまで大きくないと予想します。


想定価額:3480円

仮条件上限:3500円

初値予想:4500円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

2022年6月28日火曜日

前日予想(マイクロアド)

 マイクロアド

公募 1400円

初値 1500円

初値買い やや弱気

買いゾーン なし

ノーマーク予定


初値分析(ヌーラボ、M&A総合研究所)

 ヌーラボ

公募 1000円

初値 955円(−4.5%)

終値 910円

動きは少なく、ノーマーク案件でした。


M&A総合研究所 

公募 1330円

初値 2510円(88.8%)

終値 2292円

初値が高すぎなので見送りました。また安くなったらマークします。


上場承認(エアークローゼット)

 7/29 エアークローゼット 9557 サービス業 東グロ みずほ証券     

事業内容:月額制ファッションレンタルサービス『airCloset』の運営

公開株数合計 869,700 OA 130,400(8.7憶)

公募株数 733,000 売出株数 136,700

発行済み株数⇒8,109,000(71憶)

ブックビルディング7/12~19

引受証券会社 みずほ証券  大和証券 SBI証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 いちよし証券 岩井コスモ証券 岡三証券 東海東京証券 松井証券 マネックス証券 楽天証券 

想定価額:870円 予想レンジ1000円~1500円 期待度3.5

業種は初物感はあり妙味はありますが、VCが多いので上値は限定的でしょう。


上場承認(unerry)

 7/28  unerry 5034 情報・通信業 東グロ SMBC日興証券      

事業内容:人流データによるビッグデータプラットフォームの運営、小売・メーカー・自治体へのデータ分析や広告サービスの提供

公開株数合計 467,600 OA70,100 (6.3億)

公募株数 140,000 売出株数 327,600

発行済み株数⇒3,526,400(41憶)

ブックビルディング7/12~19

引受証券会社 SMBC日興証券 SBI証券 みずほ証券 いちよし証券 楽天証券 岩井コスモ証券 松井証券 極東証券 マネックス証券 丸三証券

想定価額:1170円 予想レンジ1500円~2300円 期待度3.5

業種妙味はあり成長性は感じますが、VCが多いので大人気とまではいかないでしょう。

2022年6月27日月曜日

前日予想(ヌーラボ、M&A総合研究所)

 ヌーラボ

公募 1000円

初値予想 1000円

初値買い 中立

ノーマーク予定


M&A総合研究所 

公募 1330円

初値予想 2000円

初値買い 中立〜やや強気

価額次第ですがマーク予定

初値分析(イーディーピー、サンウェルズ)

  イーディービー 

公募 5000円

初値 8200円(64%)

終値 9010円

少し上のラインだったので見送り。


サンウェルズ 

公募 1970円

初値 2300円(16.7%)

終値 2800円

ここは狙っていたので初値買い。中期計画みると物凄い数字ですが、一日だけで終わる場合もあるので様子見。

上場承認(HOUSEI)

 7/28 HOUSEI 5035 情報・通信業 東グロ みずほ証券     

事業内容:情報システム開発・運用・保守事業、及び自社開発の情報システム・ソフトウエア・クラウドサービスを提供する事業、並びに中国の消費者向けに日本製品を販売し、そのためのクラウドサービスを提供する事業

公開株数合計 1,813,000 OA 271,900(8.8億)

公募株数 850,000 売出株数 963,000

発行済み株数⇒6,754,000(28憶)

ブックビルディング7/11~15

引受証券会社 みずほ証券 SBI証券 楽天証券 あかつき証券 いちよし証券 松井証券 マネックス証券 想定価額:420円 予想レンジ700円~1200円 期待度3.5

業種は普通ですが、低単価で需給は良いのでマネーゲーム的な買いは入るでしょう。

2022年6月25日土曜日

前日予想(イーディービー、サンウェルズ)

 イーディービー 

公募 5000円

初値予想 6500円→7500円

初値買い 中立〜やや強気

買いゾーン 7000円以下

人気はありそうなので上方修正。価格次第ですがマーク予定。



サンウェルズ 

公募 1970円

初値予想 2800円→2500円

初値買い やや強気

買いゾーン 2500円以下

BBの状況を見ていると人気はなかったようなので下方修正。中期でマーク予定。

2022年6月24日金曜日

初値分析(マイクロ波化学)

 マイクロ波化学

公募 605円

初値 550円(−9.1%)

終値 650円

公募割れは予想外でしたが、そこからのストップ高も難易度高い動きでした。

2022年6月23日木曜日

前日予想(マイクロ波化学)

マイクロ波化学

公募 605円

初値予想 700円

初値買い 中立

買いゾーン 公募近辺

海外配分も多くテーマ性もあるのですが、VCが株主でロック解除ラインを考えると参戦意欲はありません。

初値分析(ホームポジション、坪田ラボ、JWS)

 ホームポジション

公募 450円

初値 465円(3.3%)

終値 453円

動き少なく無難な動きでした。


坪田ラボ

公募 470円

初値 794円(68.9%)

終値 849円

初値が高かったので見送りで正解だと思っていましたが、最後は強烈な切り返しでした。


ジャパンワラントサービス

公募 1640円

初値 1480円(−9.8%)

終値 1235円

人気にならないとは思いましたが、想像以上に不人気でした。


2022年6月22日水曜日

前日予想(ホームポジション、坪田ラボ、ジャパンワラントS)

ホームポジション

公募 450円

初値予想 500円→450円

初値買い 弱気

買いゾーン なし

ノーマーク予定


坪田ラボ

公募 470円

初値予想 650円

初値買い 中立

買いゾーン 600円以下

安ければ参戦も考えますが、無理には参戦しない予定。


ジャパンワラントサービス

公募 1640円

初値予想 1640円

初値買い 弱気

買いゾーン なし

ノーマーク予定


2022年6月21日火曜日

初値分析( ヤマイチ・ユニハイムエステート)

 ヤマイチ・ユニハイムエステート

公募 950円

初値 878円(−7.6%)

終値 788円

大方の予想通り見せ場はありませんでした。


2022年6月18日土曜日

前日予想(ヤマイチ・ユニハイムエステート)

ヤマイチ・ユニハイムエステート

公募 950円

初値予想 950円

初値買い 弱気

買いゾーン なし

ノーマーク予定。


IPO分析(AViC)

 【事業内容】

 広告予算が中・小規模のクライアントに対しても高品質のデジタルマーケティングサービスを提供することを目的に、「マーケティングで人・企業・社会をより良くする」をミッションに掲げ、メディア運営会社から広告枠を仕入れ、広告効果を計測した上で、クライアントに対し広告運用代行を行う等のインターネット広告サービスを行っております。加えて、対象となるWebサイトの内部構造の最適化、掲載するコンテンツの作成等、SEO対策の効果を計測した上で、総合的なソリューションの提供・適切なクライアントの情報発信を行うSEOコンサルティングサービスを提供しております。両サービス提供においては、提供サービスの付加価値を維持した上で生産性を高めることを目的に、作業時間短縮及び自動化による効率化のための、自社開発のマーケティングDXツールを積極的に活用しております。

  

(1)インターネット広告サービス

 インターネット広告サービスとして提供しているものとしては、主に検索連動型広告、ディスプレイ広告、インフィード広告等の運用型広告になります。当社は、メディア運営会社から広告枠を仕入れ、クライアントにコンサルティングを行った上で広告枠を販売し、その対価として媒体費とコンサルティング手数料を収受し、メディア運営会社に媒体費を支払っております。当社がコンサルティングのみを行い、クライアント自身で広告枠を仕入れるケースもあり、その際はコンサルティング手数料のみを収受します。また、クリエイティブ制作を受注し、納品するケースもあります。

 運用型広告は、広告運用者が広告を配信するための設定を行い、ほぼリアルタイムに広告配信結果を確認したうえで当該確認結果を踏まえた設定の改善ができるため、運用者によって広告効果に大きな違いが出ることが特徴です。メディア運営会社は、広告主、ユーザー、メディア運営会社のニーズ・収益性を最大化するためのアルゴリズムを追求し、機械学習等のテクノロジーを進化させることでアルゴリズムの精度を高めております。また、そのアルゴリズムはメディア運営会社ごとに固有性があります。主要なメディア運営会社であるGoogleの検索連動型広告を例に取ると、検索連動型広告はユーザーの検索するキーワードからユーザーのモチベーションを推測しやすいため、Googleのアルゴリズムではユーザーの過去の行動より、検索行為そのものに対して最適化が働きます。同アルゴリズムにおいて重要なのは、「いかに検索された語句に対して意図した広告を反応させられるか」という点です。

 3C分析、ターゲットとなるユーザーのペルソナ像の作成及びそのユーザーにどの媒体で接触するべきかのメディアのプランニング、ユーザーのインサイトを深掘った上で、どういう訴求や表現の広告で運用を行えばスムーズにクライアントのサービスを利用するに至らせることができるのかのプランニングを行います。さらに、当社は、プランニングしたものを実現するために、各メディアのアルゴリズムの特徴を理解・把握した上で、各種運用施策の設計(広告アカウントの構造、検索キーワード選定と購入方法、ターゲティングや配信方法の設定、目的と目標の設定、予算配分と予算設定及び、クリエイティブ制作)を行っております。Googleの検索連動型広告を例に取ると、「獲得につながる可能性のあるクエリに、漏れなくリーチできるキーワードの網羅」、「登録しているそれぞれのキーワードに対し、キーワード種別毎に適切なマッチタイプの設定」、「キーワードが余計なカニバリゼーションを起こさないための適切なグルーピングと構造設計」、「効率的に獲得につながるキーワードに対して、予算による機会損失が起こらない予算設定」及び、「広告文に検索された語句を挿入する等、重要なキーワードに対してのユニークな広告文の設定」等の施策を行っております。また、「あるべき状態」の定義をした上で、当該数値をリアルタイムにモニタリングし、入札額やクリエイティブ、ターゲット等を変更・改善しながら広告配信を行っております。なお、モニタリングと、広告配信を実施した際の広告効果のシミュレーションには、マーケティングDXツールを用いております。


(2)SEOコンサルティングサービス

 検索結果画面における、検索順位の上昇可能性を踏まえた対策キーワードの選定・現状分析/競合分析からの戦略の立案・対象Webサイトの構造の最適化、施策実行によって得られる成果のシミュレーションの提示・Webサイト内記事ページの企画と制作を行い、その対価として主にコンサルティング手数料及び記事コンテンツ制作料等を収受しております。

 SEOは依然重要ではあるとされていますが、Google等の検索エンジンのアルゴリズムのアップデートの都度SEO対策が必要であり、かつ、「どこでどう戦うか」という戦略設計が重要であるものの、その難易度が高く、多くの工数も必要であるため、当社のようなサービス提供事業者の差別化が生じやすい市場環境にあります。

 当社のSEOコンサルティングサービスは、マーケティングDXツールを用いることで従来よりも高効率で、データの収集・分析・施策の立案・シミュレーションの算出までを行うことができ、以下のメソッドに基づいてソリューションを、提供しております。


① 対策キーワード選定の分母となるキーワードの網羅的な洗い出し

 Googleサジェストワード、Googleキーワードプランナー経由で取得するキーワード、競合他社のWebサイト流入キーワード等を活用し、マーケティングDXツールを用いてキーワードの洗い出しと組み合わせを生成することで、対策キーワード選定の分母となるキーワードを網羅します。

 

② 競合Webサイトの対比に基づく検索順位上昇のための要素の特定と実現性の定量判定

SEOコンサルティングサービスで対策可能な業種・事業領域であるのか、マーケット環境や競合企業の集客構造を透明化するための「領域診断」(例えば、医療の領域のキーワードである場合、クライアントはその領域の事業従事者もしくは専門機関である必要がある)、Webサイトのドメインパワーを簡易的に測る「サイト診断」(キーワードにおけるドメインパワーの現時点での順位)、具体的なキーワードにおける各順位を調査する「キーワード診断」という流れで判定を行います。

 当社は、対象キーワードの検索結果で上位に表示されるWebサイトにおいて、検索順位結果と強い相関のある要素と、競合Webサイトとの差分を、マーケティングDXツールを用いて定量的に調査します。


③ 定量的な根拠に基づいたポテンシャル算出・キーワード戦略設計・施策設計・シミュレーション

 まず、マーケティングDXツールを用いて、キーワードの検索ボリューム・前述した競合Webサイトとの差分状況から、蓋然性の高い精緻なポテンシャルの見極めを行います。その後、重要度の定量化・検索順位の上昇可能性の見極めを踏まえ、優先順位を付けた対策キーワード選定を行います。次に、対策の実現性や必要工数の掛け合わせを踏まえ、施策設計・シミュレーションに落とし込みます。具体的には、対象Webサイトの構造の最適化(基礎~応用まで約200項目の網羅的な打ち手リストの保有)、検索順位上昇のための目標に至るまでの高精度なシミュレーションの提示、検索順位上昇のための記事コンテンツの企画・納品、GoogleビジネスプロフィールやSNS・調査PR活用・動画SEO対策を実施しています。

  

【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/09 単独予想 1,215 312 292 203

2022/09 単独中間実績 561 150 148 103

2021/09 単独実績 1,329 120 111 78

2020/09 単独実績 696 120 122 86


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/09 単独予想 36.43 118.12 0.00


上場時発行済株数 5,691,300株(別に潜在株式531,000株)

公開株数 1,296,500株(公募150,000株、売り出し977,400株、オーバーアロットメント169,100株)

調達資金使途 人件費、開発費


PER:28.0

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:13.2億

公募時時価:58億

​   

【株主構成】 

市原創吾・ミダス投組 役員らが議決権の過半数を所有する会社 2,676,520 44.07% 180日

岩田匡平・ミダス投組 岩田匡平氏が実質的に支配 1,688,080 27.80% 180日

吉村英毅・ミダスA投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 500,000 8.23% 180日

みずほ成長支援第3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 270,000 4.45%  90日・1.5倍

MICイノベーション5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 270,000 4.45% 90日・1.5倍

コタエル信託(株) 新株予約権信託の受託者 243,000 4.00% 

笹野誠 取締役CFO 80,500 1.33% 180日

瓜生翔 執行役員 63,500 1.05% 180日

静岡キャピタル8号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 53,000 0.87%

高野英樹 従業員 46,300 0.76%

UUUM(株) 資本業務提携先 42,400 0.70%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である市原創吾・ミダス投資事業有限責任組合、売出人である岩田匡平・ミダス投資事業有限責任組合及び吉村英毅・ミダスA投資事業有限責任組合並びに当社株主である笹野誠、瓜生翔、高野英樹、UUUM株式会社及び幸田涼佑は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2022年12月26日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)等を行わない旨合意しております。

 また、売出人であるみずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合及びMICイノベーション5号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の2022年9月27日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、東京証券取引所における初値が形成された後に主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等を除く。)等を行わない旨合意しております。


【代表者】

本店所在地 東京都港区赤坂 赤坂アークヒルズ・アーク森ビル4階

設立年 2013年

従業員数 47人 (2022/04/30現在)(平均30.1歳、年収628万円)

事業内容 デジタルマーケティングサービス{インターネット広告サービス、SEO(検索エンジン最適化)コンサルティングサービス}の提供など

URL https://avic.jp

株主数 11人 (目論見書より)

資本金 98,564,000円 (2022/05/27現在)

代表者生年月日 1986年11月10日生まれ

代表者略歴

2009年04月 (株)サイバーエージェント入社

2018年03月 当社入社、代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

幹事証券 SBI - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 いちよし - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 あかつき - -

引受証券 極東 - -

引受証券 静銀ティーエム - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 水戸 - -


【参考類似企業】今期予想PER(6/10)

2159 フルスピード 21.1倍 (連結見込)

2389 デジタルHD 4.8倍 (連結予想)

2459 アウンコンサル 241.7倍 (連結予想)

4293 セプテーニHD 27.8倍 (連結予想)

4499 Speee 31.1倍 (連結予想)

6026 GMOTECH - (連結予想)

6533 オーケストラHD 27.2倍 (連結予想)

7036 イーエムネットJ 24.7倍 (単独予想)

7357 ジオコード 16.5倍 (単独予想)

9244 デジタリフト 13.7倍 (単独予想)


【私見】

 ネット広告関連でやや飽きられた感はあり、大きな優位性は感じないので業種評価はできません。業績も大きく伸びているわけではないので、PER等からも妥当な水準かと思います。規模的には適度で、上位株主にはロックが付されており、VCの1.5倍ロック基準が一旦の目安になるでしょうか。


想定価額:970円

仮条件上限:1020円

初値予想:1400円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

2022年6月17日金曜日

IPO分析(マイクロアド)

 【事業内容】

 ​データプラットフォーム事業の単一セグメントである為、セグメントごとの記載はしておりません。セグメントを構成する主要なサービスとして、(1)データソリューションサービス、(2)海外コンサルティングサービス、(3)デジタルサイネージサービスの3つのサービスによって事業展開しております。

 また、3つのサービスに対して、労働集約的なビジネスモデルである「コンサルティング」と、プロダクト販売による収穫逓増型のビジネスモデルである「データプロダクト」の二つに分類することで、それぞれのビジネスモデルに応じた経営戦略の立案や収益性の分析を行っております。それぞれのビジネスモデルと、提供するサービスの関係は下図のとおりです。特に当社では収益性の高い「データプロダクト」のビジネスモデルに属する「UNIVERSE」へ注力しており、当該領域のプロダクト開発への投資を積極的に行うことで、データプラットフォーム事業の拡大を目指してまいります。

 ビジネスモデル「データプロダクト」は、企業のマーケティング課題を解決するための、デジタル広告ソリューション群になります。外部から仕入れたデータを活用し、消費者の行動特性をとらえ、その行動データに基づいた広告配信を行うことで、企業の様々なマーケティング課題の解決を目指します。「データプロダクト」のビジネスモデルの構造は下図の通りです。

 ビジネスモデル「コンサルティング」は、企業のデジタルマーケティングにおける課題を解決する為に当社グループの製品に加え、他社の製品を組み合わせることで、企業のマーケティング活動における、より広範なソリューションを提供しております。「コンサルティング」のビジネスモデルの構造は下図の通りです。


当社のデータプラットフォーム事業を構成する、3つのサービスそれぞれの特徴は以下のとおりです。

(1)データソリューションサービス

1.UNIVERSE

 消費者の購買行動や消費行動のプロセスは、業界や業種によって多種多様であり、消費者は多様なプロセスを経て、企業の製品やサービスの認知・購買に至ります。UNIVERSEは、そのような多様な購買・消費行動を分析し、その分析データを活用して、顧客企業の様々なマーケティングの課題解決を行うサービスです。UNIVERSEでは、自社開発した二つのプラットフォームによって構成されております。

 一つ目がデータプラットフォームである「UNIVERSE DATA PLATFORM」になります。「UNIVERSE DATA PLATFORM」では、消費者のライフスタイルの変化をとらえるデータや、消費者の性別・年齢等を推定したデモグラフィックデータなどの一般的なデータ群と、様々な購買・消費行動をとらえるための、業界・業種に特化したデータ群が蓄積されております。具体的なデータ例としては、自動車購買までの消費行動を分析する際に活用するデータとして、各種自動車関連のインターネットメディアの閲覧履歴等のデータや、飲料・食品業界の消費行動を分析する際に活用するデータとして、コンビニ、スーパーマーケット等の実店舗での決済データやポイント利用データ等になります。これらのデータは、2022年3月時点で211の外部データ保有企業・メディアからデータを収集・集約して構成されております。その大量のデータを組み合わせて分析を行うことで、消費者の様々な購買消費行動の分析を行います。

 二つ目が広告プラットフォームである「UNIVERSE Ads」になります。顧客企業のマーケティング課題を解決する為に「UNIVERSE DATA PLATFORM」によって分析されたデータを活用し、UNIVERSE Adsを通して適切な消費者に広告配信を行います。UNIVERSE Adsは「RTB(Real Time Bidding)」という技術を用いて、消費者毎にリアルタイムに最適な広告を選択し、オークション形式で広告配信を行うプラットフォームです。UNIVERSE Adsでは社内外の様々なSSPと接続することで、多くの消費者へ広告配信を行うことが可能です。広告配信技術であるRTBでは、オークションによって広告配信金額が決定する為、顧客企業のマーケティングの費用対効果を最大化する為には、最適な消費者に、最適な金額でオークションへの入札を行う必要があります。そこで、UNIVERSE Adsでは、AIを活用した最適化アルゴリズムを導入しております。AIによる分析では、企業の製品・サービスのカテゴリ、掲載面の品質やコンテンツの内容、配信を行う時間、広告クリエイティブの種類(静止画・動画・ネイティブ広告等)など、広告の費用対効果を決定づける数十の変数を解析し、最適なアルゴリズムのモデルを構築することで、リアルタイムに最適解を導き出し、広告配信(入札)を行っております。この独自のAIアルゴリズムは配信・入札アルゴリズムを改善するための専任のデータサイエンティストが、様々なモデルの比較検討を行いながら日々改良を重ねております。加えて、UNIVERSE DATA PLATFORMとのリアルタイムなデータ連携によって、特定の製品カテゴリの比較検討を開始した消費者や、最終的な購買検討段階に移行した消費者、特定商品の購買意欲が急激に高まった瞬間など、消費者ひとりひとりの製品認知・購買プロセスの段階に応じて広告配信を行うことで、顧客企業のマーケティング課題を解決します。

 顧客企業へのサービス提供を行う際には、業界・業種毎のプロダクトとして、二つのプラットフォームを組み合わせた製品を多数展開しております。主要なプロダクトとして、BtoB業種に特化した「シラレル」、飲料・食品業界に特化した「Pantry」、医療・製薬業界に特化した「IASO」、自動車業界に特化した「IGNITION」、エンタメ業界に特化した「Circus」などがあります。これらのプロダクトを顧客企業が利用し、広告配信を行う上で、「UNIVERSE」のアカウントを発行いたします。なお、当社プロダクトを利用する企業は、その企業が提供する製品ブランドやサービス毎に広告宣伝費を設定しているケースが多いため、単一企業であっても製品ブランドやサービス毎に複数のアカウントを発行しております。


2.国内コンサルティングサービス

 メディア企業向けの広告収益最大化サービス「MicroAd COMPASS」と、企業の総合的なマーケティング課題の解決を行う「マーケティングコンサルティング」の二つのサービスがあります。

・「MicroAd COMPASS」

 インターネット広告を掲載するメディア企業向けの広告収益最大化サービスとして、「MicroAd COMPASS」の提供を行っております。MicroAd COMPASSは2022年2月時点で2,100を超えるインターネットメディアに導入されており、RTBを通じて様々なDSPと接続しております。RTBによるオークションによってリアルタイムに最も収益が見込まれる広告を瞬時に選択することで、メディア企業の広告収益の拡大に貢献しております。MicroAd COMPASSでは、メディア企業へ支払われる広告収益の一部をプラットフォーム利用料として自社の収益としています。


・マーケティングコンサルティング

 企業のデジタルマーケティングのコンサルティングサービスとして、株式会社マイクロアドと株式会社エンハンスがサービス提供を行っております。当社グループが提供する各種データソリューションを活用し、企業の課題解決に向けた総合的なデジタルマーケティングのコンサルティングを行うことで、企業の製品・サービスの売上拡大に貢献しております。株式会社マイクロアドでは、広告主企業に対するコンサルティングサービスを提供し、広告主企業から支払われる広告配信費の一部を販売代理手数料として収益を上げています。株式会社エンハンスでは、主にメディア企業の広告収益拡大に向けたコンサルティングサービスを提供し、コンサルティングフィーとして収益を上げています。


(2)海外コンサルティングサービス

 企業のデジタルマーケティングにおける総合的な課題解決を行うコンサルティングサービスとして、現地企業及び進出済日系企業にサービス提供を行っております。具体的な内容としては、各企業に対する現地でのプロモーション施策の立案、広告枠の買付け及び運用、広告クリエイティブの制作などになります。

 また、台湾においては、そのサービスの一環として、独自のネイティブ広告プラットフォーム「COMPASS-FIT」の提供、及び自社運営の訪日インバウンドWebメディア「Japaholic」でのタイアップ広告などマーケティングサービスの提供を行っております。

 海外コンサルティングサービスでは顧客企業に対するメディア買付業務、メディア運用業務、クリエイティブ制作業務などの各対価を収益としております。台湾での自社独自サービスは、当社子会社同様にデジタルマーケティングサービスを提供する競合他社に対しての営業上の差別化要因となる点、FacebookやGoogle及び台湾現地企業が提供するサービスを販売した場合と比較して自社サービスを販売した方が粗利率が高く収益性に優れる点を理由に展開しており、今後も強化していく方針であります。


(3)デジタルサイネージサービス

 屋外広告や、交通広告のデジタル化の促進と、インターネットを通じたネットワーク化による一元的な広告配信サービスとして、株式会社マイクロアドデジタルサイネージによる「MONOLITHS」の提供を行っております。「MONOLITHS」はデジタルサイネージを設置しているロケーションオーナー向けのCMSで、ロケーションオーナーは「MONOLITHS」によりデジタルサイネージに掲出するコンテンツをWebブラウザよりリアルタイムで配信管理することができます。「MONOLITHS」の機能の一つとして広告配信機能があり、ロケーションオーナーは「MONOLITHS」の管理画面上より広告枠の設定が可能で、ロケーションオーナー独自でデジタルサイネージ広告事業を展開する際のアドサーバーとしての機能と、その広告枠をアドネットワークの広告在庫として提供する機能を有しています。

 株式会社マイクロアドデジタルサイネージは「MONOLITHS」を通じた広告在庫をアドネットワーク化しており、これらの広告枠を広告主企業や広告代理店に販売しております。「MONOLITHS」アドネットワークは、天気、気温などの外部データとの連携が可能で、従来の屋外広告・交通広告では実現が難しかった天気、気温などの変化によってサイネージに掲出する広告内容をリアルタイムに変更させるなどの配信管理が可能です。また、広告業界の流れとしてPC,スマートフォンといったデバイスのみならずデジタルサイネージ広告枠への既存DSP経由での広告配信もスタートしており、その際には「MONOLITHS」はSSPとしての役割を果たします。

現在「MONOLITHS」は複数のDSPとの接続を果たしており、今後もその接続先を拡充していく計画です。

「MONOLITHS」を通じて広告配信可能なデジタルサイネージは、主要都市の大型屋外ビジョン、ドラッグストア、スーパー、美容サロン等の商業施設、バスやタクシーなどの交通広告と多様なロケーションで、2022年3月時点で13万面を超える規模に拡大しております。デジタルサイネージサービスにおいては、広告主及び広告代理店からロケーションオーナーへ支払われる広告収益の一部をプラットフォーム利用料とし、また、ロケーションオーナーからのCMS利用料を、自社の収益としています。


 【業績等】

業績動向(単位:百万円)

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/09 連結予想 12,228 564 510 130

2022/09 連結中間実績 6,122 431 395 241

2021/09 連結実績 11,671 186 153 -38

2020/09 連結実績 10,917 254 258 43


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/09 連結予想 15.50 214.41 0.00


上場時発行済株数 8,921,000株(別に潜在株式804,200株)

公開株数 2,661,100株(公募669,000株、売り出し1,645,000株、オーバーアロットメント347,100株)

調達資金使途 人材採用費、システム開発資金


PER:90.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:37.5億

公募時時価:126億

​   

【株主構成】 

(株)サイバーエージェント 親会社 5,202,800 57.45% 180日

ソフトバンク(株) その他の関係会社 1,630,000 18.00% 90日

(株)SWAY 役員らが議決権の過半数を所有する会社 650,000 7.18% 180日

SCSK(株) 資本業務提携先 411,200 4.54% 180日

田中宏幸 常務取締役など 166,000 1.83% 180日

渡辺健太郎 代表取締役社長など 150,000 1.66% 180日

マイクロアド従業員持株会 特別利害関係者など 142,800 1.58% 180日

穴原誠一郎 子会社の代表取締役 88,000 0.97% 180日

榎原良樹 取締役など 60,200 0.66% 180日

瀧本岳 特別利害関係者など 46,000 0.51%

 ​

 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である株式会社サイバーエージェント、売出人である株式会社SWAY、当社株主であるSCSK株式会社並びに当社株主かつ当社新株予約権者である田中宏幸、渡辺健太郎、穴原誠一郎及び榎原良樹は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2022年12月25日までの期間(以下「ロックアップ期間①」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む)の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)等は行わない旨合意しております。

 また、売出人であるソフトバンク株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2022年9月26日までの期間(以下「ロックアップ期間②」といい、ロックアップ期間①とあわせて以下、「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等は行わない旨合意しております。

 

【代表者】

代表者名 渡辺 健太郎(上場時48歳5カ月)/1974年生

本店所在地 東京都渋谷区桜丘町

設立年 2007年

従業員数 195人 (2022/04/30現在)(平均30.7歳、年収648.1万円)、連結362人

事業内容 データプラットフォーム事業

URL https://www.microad.co.jp/

株主数 11人 (目論見書より)

資本金 482,545,000円 (2022/05/26現在)

代表者生年月日 1974年01月16日生まれ

代表者略歴

1997年04月 (株)大塚商会 入社

1999年03月 (株)サイバーエージェント 入社

1999年07月 同社大阪支社支社長

2003年10月 同社ブログクリック事業責任者

2005年10月 同社アメーバ事業本部本部

2006年12月 同社取締役 就任

2007年07月 当社設立 代表取締役 就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 大和 - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 アイザワ - -

引受証券 極東 - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 水戸 - -

引受証券 むさし - -


【参考類似企業】今期予想PER(6/10)

2497 UNITED 7.9倍 (連結予想)

3688 CARTAHD 12.0倍 (連結予想)

3906 ALBERT 48.0倍 (単独予想)

4751 サイバエージ 28.4倍 (連結予想)

6094 フリークアウト 32.3倍 (連結予想)

6185 SMN 36.1倍 (連結予想)

6562 ジーニー 29.2倍 (連結予想)

7072 インテM 181.6倍 (連結予想)


【私見】

 業種としてはデータプラットフォーム事業で真新しさはありませんが、SAの子会社で、SBも2位株主といったところは面白さを感じます。売上規模は大きいのですが、割安感は感じず上値余地は大きないと予想します。需給からは売り圧力なないのですが、SBI主幹事で売りたい人は多くても、買いたい人は少なく公募近辺の動きと予想します。


想定価額:1380円

仮条件上限:1410円

初値予想:1500円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

2022年6月15日水曜日

IPO分析(M&A総合研究所)

 【事業内容】

​(M&A仲介事業)

(1)当社事業の特徴

 従来のM&A仲介サービスにテクノロジーを組み込み、効率化を推し進めることでマッチング相手を探索するスピードや成約までのスピードを短縮化し、1社でも多くの企業のM&Aの成約をサポートすることを目標としております。

 M&A仲介サービスは、譲渡希望企業もしくは買手候補企業との間でアドバイザリー契約を締結し、マッチング相手探索や、マッチング後のディール進行過程における利害関係者との各種調整業務等のサポートを行い、両者が円満に成約できるよう取引をリードするものであります。M&A成約時に仲介手数料を収受することが主な収益となります。

 当社はAIの活用とDXの推進によりM&Aの効率化を図っており、それぞれ以下のように業務に組み込んでおります。

①   AIの活用

 M&Aを実施する際には無数に存在する企業の中から譲渡希望企業もしくは買手候補企業と親和性の高い企業を探す必要があり、従来はM&Aアドバイザーの属人的な知見によるところが大きかったため、候補先が自然と限定されてしまうおそれや抜け漏れの発生、マッチングに時間を要することがありました。このような問題を解消すべく、当社は候補先企業のリストアップにAIを導入し、提案スピード及び質の向上、また、ヒューマンエラーの防止に活かしております。


②   DXの推進

 M&Aをスピーディーに進めるため、自社内でシステム開発を行うことで徹底的に社内業務の効率化を進めております。自社開発環境を整えることにより、システムベンダーに外注する際とは異なり、日々タイムリーにマイナーバージョンアップを繰り返すことが可能となっており、効率化の速度を高めております。


(2)事業フロー

①ソーシング(譲渡希望企業の探索からアドバイザリー契約締結まで)

 当社ではアウトバウンド、インバウンドという2種類のソーシングルートから案件を獲得しております。

 ⅰアウトバウンド

 企業に対し当社からダイレクトメールや手紙を送付し、反応があった企業について、M&Aアドバイザーが面談を行いM&Aに対するニーズや財務状況等をヒアリングします。当社ではダイレクトメールや手紙の文面や封筒のデザイン等についても徹底して改良を続けており、開封率や返信率を向上させるべく種々のテストを繰り返し実施しております。


ⅱインバウンド

 当社WEBサイトからお問合せを頂く、もしくは直接お電話にてお問合せを頂いた企業に対し、M&Aアドバイザーが面談を行いM&Aに対するニーズや財務状況等をヒアリングします。当社はWEBサイトからの集客に強みをもっており、当社が運営するM&A情報サイトのオーガニック検索数は国内M&A仲介事業者の中でも高水準であります。WEBサイトへの流入がそのまま問い合わせに繋がるケースも多く、インバウンドでの案件獲得に寄与しております。

 譲渡希望企業と秘密保持契約を締結し、譲渡希望企業の事業内容や財務内容、M&Aを希望する経緯等を確認し、企業価値評価を行ったうえで譲渡可能性等を検討します。譲渡可能性が高い場合には当該企業とのアドバイザリー契約受託の可否について社内で審査を行います。

 当社は譲渡希望企業とのアドバイザリー契約の締結時に着手金を収受しておらず、ディールの進行時にも中間報酬を収受しない完全成功報酬制を採っております。競合他社ではこれらの報酬を収受するケースが一般的であり、当社は料金体系において競合優位性を築いております。


②マッチング(案件化から買手候補企業と譲渡希望企業がトップ面談を行うところまで)

 譲渡希望企業とアドバイザリー契約を締結した後、買手候補企業に対する提案書となる企業概要書を作成します。この業務は「案件化」といわれます。譲渡希望企業の事業内容や財務内容、事業エリア等、複数の情報をAⅠマッチングアルゴリズムに登録することにより、親和性の高い買手候補企業をAⅠが自動で抽出し、ロングリストを作成します。

 M&Aアドバイザーは自動作成されたロングリストに加え、社内に蓄積されたM&A情報等を鑑みアプローチ先を100件程度に絞り込み、メール、電話、訪問等による営業活動を実施しております。買手候補企業が興味を示し、譲渡希望企業と正式にM&Aに関する話を進めることになった場合、当社と買手候補企業の間でアドバイザリー契約を締結します。当社ではAIマッチングアルゴリズムを利用することにより、マッチング業務の効率化、品質の底上げに取り組んでおります。

 従来のM&A仲介業務におけるマッチングは属人性が高く、担当者の経験に基づいて買手候補企業をピックアップしていました。この場合、適切なマッチングが行われないおそれや、ヒューマンエラーによりピックアップ時に漏れが生じるおそれがありますが、全員が同じAIマッチングアルゴリズムを利用しシステマチックに買手候補企業を抽出し、アプローチすることにより、それらの課題を改善しました。M&A仲介の経験者と未経験者の間に生じる提案品質の差を埋めることも可能となっております。

 買手候補企業と当社の間でアドバイザリー契約を締結した後は買手候補企業と譲渡希望企業との間でトップ面談や条件交渉が行われます。


③エグゼキューション(意向表明の提出から成約まで)

 買手候補企業から譲渡希望企業に対し買収の意向表明書が提出された時点、もしくは基本合意の締結、買収監査の実施時点で、買手候補企業から中間報酬を収受します。中間報酬額は、原則として買手候補企業が当社に支払う仲介手数料想定額の10%になります。この際においても譲渡希望企業からは中間報酬は収受いたしません。

 買手候補企業と譲渡希望企業の間で株式譲渡契約が締結され、クロージング条項等が全て満たされた時点で仲介手数料が発生し、双方から収受します。これらを表で示すと以下のようになります。


 (その他)

 その他の事業として、WEBマーケティング支援事業を行っております。当事業はユーザー(消費者)のWEBサイトへの流入経路、行動パターンを収集し、クライアント企業のWEBサイトへ対策を実施することにより、流入数を向上させるための支援を行うサービスを提供しております。

 具体的なサービス内容としては、WEBサイトを訪れるユーザーの行動を分析し、流入数や滞在時間を上昇させる記事の作成、納品となります。顧客自身がWEBサイトを保有していない場合には、WEBサイトの立ち上げを代行いたします。毎月の記事の納品本数に応じて業務委託手数料を収受しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/09 単独会社予想 2,997 1,271 1,246 882

2022/09 単独中間実績 1,752 1,066 1,059 727

2021/09 単独実績 1,328 563 557 368

2020/09 単独実績 376 3 3 4


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/09 単独会社予想 47.71 91.98 0.00


上場時発行済株数 18,530,000株(別に潜在株式2,284,944株)

公開株数 4,783,800株(公募50,000株、売り出し4,109,900株、オーバーアロットメント623,900株)

調達資金使途 人員採用費用


欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して海外販売が行われる予定であります


PER:25.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:63.6億

公募時時価:246億

​   

【株主構成】 以下180日

佐上峻作 代表取締役社長 15,329,166 73.82%

(株)SMBC信託(特定金外信アルゴ1号) ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,980,000 9.54%

Reo Asset Management1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,050,000 5.06%

コタエル信託(株) (信託口) 新株予約権信託の受託者 924,000 4.45%

矢吹明大 取締役 277,440 1.34%

荻野光 取締役 221,940 1.07%

辻亮人 従業員 184,800 0.89%

梅田裕真 特別利害関係者など 92,400 0.44%

西沢建造 従業員 88,548 0.43%

鎌田実築 従業員 83,484 0.40%

向井崇 従業員 83,484 0.40%

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人である佐上峻作、売出人である株式会社SMBC信託銀行(特定金外信 PKSHA SPARXアルゴリズム1号)、当社株主であるReo Asset Management1号投資事業有限責任組合、梅田裕真及び松本恭攝並びに当社新株予約権者であるコタエル信託株式会社(信託口)、矢吹明大及び荻野光は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2022年12月24日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 佐上 峻作(上場時31歳4カ月)/1991年生

本店所在地 東京都千代田区丸の内

設立年 2018年

従業員数 82人 (2022/04/30現在)(平均29.2歳、年収686.8万円)

事業内容 DX(デジタルトランスフォーメーション)・AI(人工知能)技術を活用したM&A仲介事業

URL https://masouken.com/

株主数 5人 (目論見書より)

資本金 205,565,000円 (2022/05/24現在)

代表者生年月日 1991年02月25日生まれ

代表者略歴

2013年09月 (株)マイクロアド入社

2015年11月 (株)Alpaca(現 ㈱スマートメディア)設立 代表取締役就任

2018年10月 当社設立

2019年01月 当社代表取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 大和 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 あかつき - -


【参考類似企業】今期予想PER(5/31) 時価総額 売上

2127 日本M&A 39.5倍 (連結予想) 4700憶

4792 山田コンサル 12.5倍 (連結予想) 227憶

6080 M&Aキャピ 24.1倍 (連結予想) 1046憶 150憶 43憶

6196 ストライク 26.0倍 (単独予想) 710憶  90憶 24憶

7076 名南M&A 17.2倍 (単独予想) 32憶

7360 オンデック 35.3倍 (単独予想) 39憶


【私見】

 M&A仲介ということで時流には乗っており評価はできます。同業との比較になりますが、売上規模などからも価額は適度で、成長性を加味すると上値余地はあると思います。キーエンスや証券会社出身の社員も多く営業力は高そうなので、日本M&Aセンターの市場を食っていく可能性もあるかもしれません。短期よりも中期でのセカンダリー銘柄と予想します。


想定価額:1210円

仮条件上限:1330円

初値予想:2000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価:3.5

2022年6月14日火曜日

IPO分析(ヌーラボ)

 【事業内容】

​(1) Backlog

①Backlogの概要

 プロジェクト管理ツールの「Backlog」は、チームで協力しながら作業を進めるためのコラボレーション型プロジェクト管理ツールであり、主にSaaS型で提供しています。その用途は大規模なソフトウエア開発から保守運用、デジタルマーケティングキャンペーンの管理、ウェブサイトの制作まで多岐にわたります。さらには、一般的なオフィスワークのタスク管理や、カスタマーサポートの課題管理にも採用されています。どんな分野のビジネスパーソンでも使いこなせるという特徴により非IT分野での利用が拡大しています。

 また、一部のプランを除き定額でユーザー数無制限での利用が可能となるサブスクリプション型の料金体系を採用していることや契約主体以外のメンバーとの共同利用が可能であるため、複数の法人や組織にまたがったプロジェクト推進が容易となります。これにより、自社で未導入であってもBacklogを活用したプロジェクト推進を体験したユーザーが口コミで自身が属する企業などにBacklogの導入を促すといった循環が生じ、製品主導での成長を可能としております。

 さらに、絵文字の採用や柔らかな色使いのUIによって、ITツールへの抵抗感を軽減し、非エンジニアであってもプロジェクト管理がしやすくなる操作性を目指すだけでなく、メンバー間のコミュニケーション機能やチーム間・組織間でのコラボレーションを助ける機能の充実にも注力しています。


②プロジェクト管理に必要な基本機能

 Backlogは、下図に記載のような契約スペース内で業務ごとにプロジェクトを作成し、特定の職種に限定されずにプロジェクト管理を行うための基本的な機能を提供しております。また、プログラムのソースコードなどを管理するバージョン管理システムを使用しソースコード等をプロジェクトに紐づけて管理することや、モバイルアプリの提供やAPIの提供をはじめとする拡張性を備えております。さらに、Backlogは契約主体以外の社外メンバーもひとつの契約スペースでプロジェクト進行が可能であり、適切な権限付与により権限管理や情報管理が容易となります。


③チームコラボレーションを促進するための機能

 Backlogは、シンプルでわかりやすいデザインで、開発、デザイン、マーケティング、バックオフィスなど職種を超えたコラボレーションが促進するような様々な機能が付与されております。例えば、プロジェクトや課題に関するメモ、会議の議事録、作業マニュアル、仕様書などチームメンバーに向けた情報を文書で管理できるWiki機能を備えています。その他、プロジェクトメンバーに対する感謝などを伝えることができる絵文字やスター機能、特定のメールアドレスを設定することで自動的にタスクが登録される機能、大容量のファイルの共有、ExcelやCSVによるデータのエクスポート等の機能を備えています。


(2) Cacoo

 ビジュアルコラボレーションツールの「Cacoo」は、プロジェクトのアイデアやウェブサイトのレイアウト、作業計画などをオンライン上で簡単に作成し、チーム内に共有できるウェブサービスです。ワイヤーフレーム、フローチャート、組織図、マインドマップ、オフィスレイアウトまで、豊富なテンプレートや図形を元にあらゆる図が作成・共有できます。世界中の様々な業種・チームで利用されています。


(3) Typetalk

 ビジネスチャットツール「Typetalk」は、「組織に新しいアイデアを生み出す」をコンセプトに、様々なチームの会話を実現するビジネスチャットツールです。他のチャットツールと異なる特徴として、Typetalk独自の「まとめ機能」、「ライン返信機能」や「いいね機能」を備えており、これらの機能がチームのコミュニケーションをより楽しく、より円滑となるように設計されています。また、プロジェクト管理ツール「Backlog」との高い連携性も特徴です。


(4) Nulab Pass

 組織内のIDの一括管理を容易にし、組織の情報セキュリティ・ガバナンスを高めるツール「Nulab Pass」は、当社グループが提供するサービスのアクセス管理を強化したい組織や、利用する社員のアカウントを一元管理したい管理者に向けた、セキュリティとガバナンス強化のためのサービスであり、ユーザー数に応じた料金体系で提供しております。Nulab Passを利用することで、より安心して当社グループのサービスをご利用いただけるようになります。Nulab Passは、不正なアクセスを防ぐために推奨されている「SAML認証方式によるSSO(シングルサインオン)」、「監査ログ」を提供し、システム運用時のセキュリティリスクを軽減します。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/03 連結会社予想 2,771 87 76 77

2022/03 連結実績 2,328 167 164 197

2021/03 連結実績 1,938 -6 -8 -25

2020/03 連結実績 1,585 -39 -48 -52


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/03 連結会社予想 12.31 227.61 0.00


上場時発行済株数 6,450,397株(別に潜在株式584,473株)

公開株数 2,230,100株(公募510,300株、売り出し1,429,000株、オーバーアロットメント290,800株)

調達資金使途 広告宣伝費・外注費、人件費・採用費


募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:81.2

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:22.3億

公募時時価:65億

​   


【株主構成】 

橋本正徳 代表取締役 1,658,742 25.42% 360日

田端辰輔 取締役など 1,653,397 25.34% 360日

(株)アリオト 特別利害関係者など 1,566,655 24.01% 180日

Founder Foundry1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 321,428 4.93% 360日・1.5倍

ヌーラボ従業員持株会 特別利害関係者など 292,349 4.48% 180日

XTech1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 178,571 2.74% 360日・1.5倍

イーストベンチャーズ2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 165,000 2.53% 360日・1.5倍

イーストベンチャーズ3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 115,511 1.77% 360日・1.5倍

新生ベンチャーパートナーズ1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 95,238 1.46% 360日・1.5倍

 

本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、売出人である橋本正徳及び田端辰輔は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して360日目の2023年6月22日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。


 売出人かつ貸株人である株式会社アリオト、当社株主であるヌーラボ従業員持株会並びに当社新株予約権者である馬場保幸、吉澤毅、平山真、松浦祐亮、中原正二、金悠、藤田正訓、吉田太一郎、白川宏昭、田畑真理子、砂川祐樹、江口和宏、渡邉祐一、谷本陽介、井上義浩、佐久間仁志、内田嘉洋、桶谷幸平、安立沙耶佳、鶴田克英、Reza Fatahilah Shah、Julius Rikardo Sirait、内田優一、川上力也、岡藤佳祐、芦川滋、髙橋明、Norberg Johan Kristoffer、中村壮一、國廣輝夫、村中慎治、吉澤政洋、田畑剛、新谷圭子、秋山愛、下川拓治、高倉潤二、川端慧、木村幸平、中野雅之、渡邉潔、原彩香、吉本友香及び他41名は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2022年12月24日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 当社株主であるFounder Foundry1号投資事業有限責任組合、XTech1号投資事業有限責任組合、イーストベンチャーズ2号投資事業有限責任組合、イーストベンチャーズ3号投資事業有限責任組合及び新生ベンチャーパートナーズ1号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して360日目の2023年6月22日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

【代表者】

代表者名 橋本 正徳(上場時46歳3カ月)/1976年生

本店所在地 福岡県福岡市中央区大名

設立年 2004年

従業員数 127人 (2022/04/30現在)(平均36.1歳、年収690.3万円)、連結146人

事業内容 Backlogなどのクラウドサービスの開発・提供

URL https://nulab.com/ja/

株主数 9人 (目論見書より)

資本金 382,397,000円 (2022/05/24現在)

代表者生年月日 1976年03月17日生まれ

代表者略歴

1998年04月 (有)橋本建装 入社

2001年04月 メディアファイブ(株) 入社

2004年03月 当社設立 代表取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 西日本シティTT - -

引受証券 SBI - -


【参考類似企業】今期予想PER(6/2)

00000 米アサナ - (連結予想)

00001 豪アトラシアン 112.0倍 (連結予想)

3826 システムインテ 12.5倍 (単独予想)

3922 PRTIMES 26.1倍 (連結予想)

3923 ラクス 480.5倍 (単独予想)

4448 Chatwork - (単独予想)

4475 HENNGE 121.0倍 (連結予想)


【私見】

 プロジェクト管理ツールということで、競合も多く上にも下にもいく可能性はある銘柄です。売上はそこそこあるのでPSRからは問題ないのですが、利益の伸びが物足りなく、PERからは想定価額を大幅に下げたことにより割高感がようやく薄れた印象です。規模は半分ほどになったのですが、VCの1.5倍基準も多く、買いは入らないと予想します。


想定価額:2130円

仮条件上限:1000円

初値予想:1000円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

2022年6月13日月曜日

IPO分析(サンウェルズ)

 【事業内容】

a.介護施設の運営事業

 老人福祉法、介護保険法、健康保険法及び障害者総合支援法に基づく必要な許認可等を取得したうえで、利用者の身体の状態や環境に合わせて以下の各種介護サービスを提供しております。当社の売上高は、主にこれらのサービスの提供によって各都道府県の国民健康保険団体連合会及び社会保険診療報酬支払基金の審査支払機関から得る介護保険、健康保険及び障害福祉サービスによる保険給付と、利用者から得る自己負担金及び保険適用外であるホテルコスト(家賃、光熱費、食事管理費、管理費)等により構成されております。

  介護施設の運営事業における主なサービスの特徴は下記のとおりです。

(1)パーキンソン病専門ホーム(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅):「PDハウス」

 高齢者向け住宅を運営し、それぞれ利用者のニーズに適した「住まい」をご提案しており、中核事業としてパーキンソン病専門の有料老人ホーム(住宅型有料老人ホーム並びにサービス付き高齢者向け住宅)として「PDハウス」を2022年4月末時点で12施設(2019年3月期末 2施設 130床、2020年3月期末 3施設 160床、2021年3月期末 6施設 296床、2022年3月期末 12施設 613床)を展開しております。

 パーキンソン病は高齢化とともに患者数が増えている病気の一つで、脳内のドーパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変性疾患であり、国の指定難病にも指定されております。パーキンソン病の主な症状には、「手、足が震える」、「動きが遅くなる」、「筋肉がこわばる」、「倒れやすくなる」が挙げられます。その他では、自律神経症状、精神症状、認知障害、睡眠障害などの症状もあります。これらの症状が徐々に進行するのがパーキンソン病の特徴であり、症状は多岐に渡り、世界的にも根治する治療法の確立には至っておりませんが、適切な薬剤コントロールとリハビリテーションを組み合わせることで、進行を遅らせることが可能になります。ただ、通いリハビリには限度があるため入院以外では十分なリハビリテーションを受けられる場所が少ないこと、症状により病院に通うことに支障が出始めるため専門医による診察が受けにくくなること、薬の量や服薬頻度の増加に伴い適切な服薬管理が難しくなることが課題として挙げられます。さらに、症状は患者によって多種多様で、1日の中でもその症状が変化することがあり、介護をするには高度な専門知識と豊富な経験が必要となりますが、専門医が少ないため効果的な治療を受けられる施設も少ないのが現状です。

 「PDハウス」は、パーキンソン病患者の症状に合わせた十分なリハビリテーションを高い頻度で受けることが可能なパーキンソン病専門の有料老人ホームであり、大学病院や専門医と連携することにより、専門医監修によるパーキンソン病に特化したリハビリプログラムや最新の情報をリハビリテーションに取り入れ、入居後にアセスメントを行い、入居者様お一人お一人の状態に応じたリハビリを提供し評価していきます。また、専門の医師が訪問診療を行う事で入居後も安心して専門的治療を継続できる体制を整えており、早期診断・治療が可能となります。さらに「PDハウス」の看護師・介護・リハビリ職員とのチーム医療体制を築いており、安心・安全で豊かな生活環境を目指しています。パーキンソン病は特に薬剤コントロールが重要となりますが、当施設は看護師による適切な服薬管理などを24時間体制で支援しており、細かな症状の変化や副作用の状況も適切に把握することができ、看取りまで対応可能としております。また、医療処置も施設内で提供が可能なため、脳神経内科の訪問診療医師の指導の下、安心して生活いただけます。

 「PDハウス」では、ケアの技術を特定の疾患に集中させることで、質の高いサービスを提供することが可能と考えております。また、「PDハウス」では、医療保険・障害保険のサービス対象となるパーキンソン病患者を受け入れているため、介護保険売上と賃料・食費等売上に加え、医療保険売上と障害保険売上が上乗せされることで、入居者一人当たりの単価が増加します。

 なお、当社の有料老人ホームにはサービス付き高齢者向け住宅も含みます。有料老人ホームとは老人福祉法により介護等のサービス提供を目的とした施設であり、サービス付き高齢者向け住宅とは高齢者の居住の安定確保に関する法律により介護・医療と連携し(別途契約)、高齢者が安心して暮らしていけるようなサービスを提供する賃貸住宅です。


(2)医療特化型住宅(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅):「太陽のプリズム」

 医療特化型の有料老人ホームとして「太陽のプリズム」を2022年4月末時点で7か所にて運営しております。

 「太陽のプリズム」は、認知症、がん、難病の患者を対象に暮らしながら医師や看護師の医療ケア、生活支援を受けられる施設です。また、がん治療や難病の方のケアについては、スタッフ間での情報共有や社内外の研修受講等により、提供するケアの水準を統一し、サービス品質の向上に努めております。

 医療特化型住宅の特徴としましては、当社では看護師の配置もしくはオンコール対応により看護師の対応を24時間可能としており、末期がんや難病の方の不安定な状態をモニタリングし、緊急時には迅速に対応することが出来る体制を整備しております。また、24時間体制で看護師や介護士が医師と連携して、高いQOL(生活の質)の提供にこだわっております。さらに、在宅医との連携により的確な医療処置を提供しております。末期がんや難病の方、そのご家族の声に応えられるように、そして1日でも長く、利用者の方が病院と在宅の間の最期まで自分らしい暮らしができるよう、サービスの提供に取り組んでおります。


(3)認知症対応型共同生活介護(グループホーム):「太陽のプリズム窪」、「太陽のプリズム徳光」

 認知症の診断を受けた方を対象に、少人数で共同生活をしながら専門的なケアを提供する認知症対応型共同生活介護(以下、「グループホーム」と言います。)サービスを提供しております。

 グループホームでは、共同住宅の形態で、認知症の方が少人数(9人×2ユニット)で生活をしており、2022年4月末時点で2か所にて運営しております。家庭的な雰囲気の中、食事の支度や掃除、洗濯などの日常生活をスタッフと共同で行うことにより、認知症状が穏やかになり安定した生活を実現しております。

 畑で野菜や花を育てたり、出来る家事を行ったり、好きな趣味を楽しんだりと、利用者の方の能力を最大限に発揮できるような環境を提供し、楽しみや潤いのある日常の生活を送ることができるように支援しております。


 (4)通所介護(デイサービス):民家型デイサービス「太陽のひだまり」、リハビリ型デイサービス「太陽のリゾート」

 日常生活機能の向上を目的として、利用者の方が日帰りで通いながら入浴や食事の生活支援、個別リハビリ、機能訓練レクリエーションの他、癒しや娯楽などのサービスを受けられる通所介護(デイサービス)サービスを提供しております。また、認知症患者に対応した施設もあります。

 当社のデイサービスは民家型及びリハビリ型の2種類があります。民家型デイサービス「太陽のひだまり」は“家”をコンセプトにしており、2022年4月末時点で3か所にて運営しております。施設ではなく、“我が家”で過ごす1日をコンセプトとしてサービスを提供しており、それぞれの事業所に異なる特徴があります。「太陽のひだまり窪」はエステサービス、「太陽のひだまり木津」はお泊りデイサービス、「太陽のひだまり徳光」は認知症の方を専門としております。リハビリ型デイサービス「太陽のリゾート」では、作業療法士・理学療法士・言語聴覚士が利用者のお体の状態にあったリハビリプログラムを提供しており、2022年4月末時点で3か所にて運営しております。専用ツールを使った全身ストレッチや、コンピュータ管理の機能訓練マシン等を活用し、リハビリの効果を実感していただけるよう取り組んでおります。


(5)訪問看護/介護予防訪問介護

 利用者に対する訪問看護サービスを提供し、このことに対して、国民健康保険団体連合会等の審査支払機関から得た報酬(医療保険制度による場合は診療報酬、介護保険制度による場合は介護報酬)を主に売上として計上します。(一部利用者の自己負担(1~3割)あり、以下各報酬に対する売上について同じ)

 訪問看護は、老人福祉法の改正により創設された老人訪問介護制度に基づき事業化されたもので、何らかの病気や障害のある方が、自宅で療養生活を送ることを希望した際に、主治医から交付される訪問看護指示書に基づき、療養上の世話及び診療の補助を実施していくものであります。

 当社では、国家資格又は都道府県知事資格免許をもった看護師、准看護師、保健師、理学療法士、作業療法士等が訪問し、住み慣れた地域やご家庭で、その人らしい療養生活を送れるよう支援するサービスを提供しております。具体的には日々の健康管理、医師の指示による医療処置、人工呼吸器等の医療機器の管理、在宅リハビリテーション、ご家族等への介護相談及びアドバイス等を実施しております。

 当社では、「PDハウス」及び医療特化型住宅の同一敷地内に訪問看護事業所を併設し、入居者に対し、訪問看護サービスを提供しております。


(6)訪問介護/介護予防・日常生活支援総合事業

 利用者に対する訪問介護サービス等を提供し(5)同様、国民健康保険団体連合会等の審査支払機関から得た報酬を主に売上として計上します。

 訪問介護員(ホームヘルパー)や介護福祉士が要介護者の自宅を訪問し、食事、入浴、排せつなど直接身体に触れる身体介助、及び掃除、洗濯、調理などの家事面における生活等に関する相談、助言(生活援助)を受けることができます。

 当社では、「PDハウス」及び医療特化型住宅の同一敷地内に訪問介護事業所を併設し、入居者に対し、訪問介護サービスを提供しております。訪問介護サービスは介護支援専門員(ケアマネージャー)(※)作成のケアプランに基づき提供しております。

 当社が提供したサービスの対価は、原則として、サービス利用料の1〜3割を利用者に請求し、残り7〜9割を国民健康保険団体連合会等の審査支払機関に請求します。


(7)居宅介護支援

 介護サービスを利用する際に必要な要介護認定の取得を含む介護保険申請及び介護支援専門員(ケアマネージャー)による介護計画(ケアプラン)の作成の支援を行っております。

 当社では、「太陽のプリズム才覚寺」、「PDハウス白山」、「太陽のプリズム河原」、「太陽のプリズム戸板」に居宅介護支援事業所を併設しておりますが、当社の利用者は外部の居宅介護支援事業所のサービスを受けることが可能であり、その選択は自由であります。また、当社の介護支援専門員(ケアマネージャー)が、当社の利用者以外の利用者への外部提供も行っております。

 当社の介護支援専門員(ケアマネージャー)がケアプランを作成するなど、要介護認定者の介護保険サービス利用を支援した場合、介護保険での報酬を請求し、これを売上として計上いたします。報酬額はサービス利用者の介護度に応じて設定されており、居宅介護支援サービスについては、利用者の負担はなく全額が介護保険から給付されます。


(8)居宅介護/重度訪問介護

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づき、障害のある方が住み慣れた地域で生活するため、日常生活や社会生活の総合的な支援を目的とした居宅介護サービス及び重度訪問介護サービスの提供を行うものです。

 重度訪問介護とは、重度の肢体不自由者で常に介護を必要とする方(2014年4月より対象者が重度の知的障害者・精神障害者に拡大)に自宅で、入浴、排泄、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行うものであります。

 これらのサービスは、個々の方の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)を踏まえ、個別に報酬の支給決定が行われます。当社ではこれらのサービスの提供に基づく報酬を売上として計上します。


b.福祉用具のレンタル、販売及び住宅のリフォーム事業(福祉用具事業)

 介護に関連する事業として、車いす、歩行器、ベッド等の福祉用具のレンタル・販売事業及びバリアフリー工事の提案・施工を行う住宅のリフォーム事業を展開しております。福祉用具のレンタル・販売事業では、当社の福祉用具専門相談員の資格を持つ専任スタッフが、利用者に最適な福祉用具のご提案やアフターメンテナンスを行っております。また、住宅のリフォーム事業では、利用者の状態に合わせて、ご自宅に手すりを取り付けたり、段差を解消したりといったバリアフリー工事を行っております。

 

c.加圧トレーニングジムの運営事業(加圧トレーニング事業)

 上記のほか、当社では加圧トレーニングジムを運営しております。加圧トレーニングとは、腕と脚のつけ根を専用のベルトで締め、血流を制限した状態で行うトレーニングです。各店舗には無料の貸出アメニティ(ウエア・タオル等)を揃えており、何も用意せずに来店してもトレーニングを受けることができます。

 なお、当社の報告セグメントは、上記のとおり介護事業の単一セグメントですが、サービス別では①パーキンソン病専門ホーム(PDハウス)、②医療特化型住宅、③認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、④通所介護(デイサービス)、⑤居宅介護支援、⑥福祉用具事業、⑦加圧トレーニング事業となり、各サービスと売上内容は、以下のとおりです。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/03 単独会社予想 12,990 1,320 1,001 655

2022/03 単独実績 8,419 490 348 255

2021/03 単独実績 5,404 322 316 241

2020/03 単独実績 4,379 262 229 148


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/03 単独会社予想 72.19 488.66 25.27


上場時発行済株数 11,740,000株(別に潜在株式220,000株)

公開株数 3,375,200株(公募1,761,000株、売り出し1,174,000株、オーバーアロットメント440,200株)

調達資金使途 新規施設の設備資金、借入金返済


 本募集の発行株式のうち一部について、欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して海外販売が行われる予定であります。


PER:26.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:65.5億

公募時時価:228億

​   

【株主構成】 

(株)杏 役員らが議決権の過半数を所有する会社 4,500,000 56.53% 90日

苗代亮達 代表取締役社長 3,240,000 40.70% 90日

越野亨 専務取締役 15,000 0.19%

長山知広 取締役 15,000 0.19%

中山美智代 取締役 15,000 0.19%

上野英一 取締役 15,000 0.19%

長戸優也 従業員 10,000 0.13%

青山剛之 従業員 10,000 0.13%

石浦志乃 従業員 10,000 0.13%

勝木ひかる 従業員 10,000 0.13%

瀬角由美子 従業員 10,000 0.13%

樋口恵美 従業員 10,000 0.13%

木戸口史則 従業員 10,000 0.13%

村田賢司 従業員 10,000 0.13%

高山光男 従業員 10,000 0.13%

下地一彰 従業員 10,000 0.13%

青山晃正 従業員 10,000 0.13%

岩洋一 従業員 10,000 0.13%

丸山徳之 従業員 10,000 0.13%

森恭彦 従業員 10,000 0.13%

金森光子 従業員 10,000 0.13%

清水啓史 従業員 10,000 0.13%


  本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である苗代亮達並びに当社株主である株式会社杏は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2022年9月24日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)を行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 苗代 亮達(上場時48歳11カ月)/1973年生

本店所在地 石川県金沢市二宮町

設立年 2006年

従業員数 1172人 (2022/04/30現在)(平均38.8歳、年収316万円)

事業内容 パーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」を中心とした介護事業などの運営

URL https://sunwels.jp/pdh/

株主数 3人 (目論見書より)

資本金 35,000,000円 (2022/05/23現在)

社員数 1172人(2022年04月30日現在)

代表者生年月日 1973年07月20日生まれ

代表者略歴

2002年03月 (株)アイテム 代表取締役就任

2006年09月 (株)ケア・コミュニケーションズ(現:当社)設立 代表取締役

2007年07月 (株)セントラルケアスタッフ 設立 代表取締役

2011年04月 当社 代表取締役社長就任(現任)

2014年09月 (株)SUN整骨院 設立 代表取締役

2015年02月 (株)SUNエステート 設立 代表取締役 7月:(株)サンメディカルサポート 設立 取締役

2017年03月 (株)杏設立 代表取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 2,641,800 90.01%

引受証券 SMBC日興 146,700 5.00%

引受証券 東海東京 29,300 1.00%

引受証券 SBI 29,300 1.00%

引受証券 みずほ 29,300 1.00%

引受証券 楽天 29,300 1.00%

引受証券 今村 29,300 1.00%


【参考類似企業】今期予想PER(5/27)

7061 日ホスピス 25.9倍 (連結予想)

7071 アンビス 59.3倍 (連結予想)


【私見】

 介護サービスということで人気業種ではありませんが、パーキソン病に特化していることは大きな優位性で評価できます。施設を作れば売り上げは伸びるので、成長性は高く、PERからも他社に比べ割高感はありません。吸収金額が大きいのが難点ですが、海外配分もあり、VCなしのロック付きなので売り要素は少なく、初値よりも中期のセカンダリー銘柄と予想します。


想定価額:1940円

仮条件上限:1940円

初値予想:2800円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・やや強気

総合評価:3.5

2022年6月12日日曜日

IPO分析(イーディーピー)

 【事業内容】

 人工宝石を製造する手法の一つである気相合成法において、宝石を成長するための元となる「種結晶」を主要製品として、販売しております。この種結晶を成長させて原石を作り、これをカットと研磨を行い、宝石を作ります。最終的には宝飾品に加工して、消費者に届きます。従って、当社は、LGD市場のサプライチェーンにおいて、最上流のポジションに位置しております。当社は産総研の開発した大型ダイヤモンド結晶製造技術を移転し、それによって種結晶製造し、人工宝石を製造する企業へ販売を行っております。

 当社の販売しております種結晶は、5~11mmの正方形で、厚さが0.2や0.3mmの薄い板であります。人工宝石製造会社は、これを気相合成法によって、3~8mmの厚さまで成長させます。成長しますと形状としては粒状の宝石の原料となる結晶が出来あがります。このような結晶を、カットし研磨しますと、ルースになり、これを宝飾品に取り付けます。当社のユーザーは原石を作っている企業でありますが、多くの場合、原石を製作する企業は、ルースまで製作し、宝飾業者や宝石店に販売しております。

 当社は種結晶は直接もしくは商社を通じて人工宝石製造会社等に供給し、そこでできた宝石は、直接もしくは宝石販売会社等を通じて消費者に販売されております。一方、当社の生産技術は、産総研が開発した手法を元にしており、この技術の知的財産権は産総研が有し、当社は特許実施権許諾契約(契約期限2023年10月31日)を締結しており、当該契約に基づき、他の製品を含み、販売した製品金額から算出した実施料を、産総研に納入しております。


 宝石や研磨剤は、粒状のダイヤモンドを利用していますが、電子部品や光学部品等として利用する場合は、通常は板状の材料を使用しております。当社は、ダイヤモンドの単結晶を、ガスから成長させる人工的な手法で製作し、これを電子材料の分野などへ工業材料として販売しておりますが、板状の単結晶ダイヤモンドを製造できることが大きな特徴です。これによって、砥粒分野以外の応用分野にとっては適用しやすいとともに、当社が採用する気相合成法以外の他の製造手法や競合他社に比べ大型の単結晶が製造できるという、優位性を持っております。

 現在では、次第に一般的になってきている人工宝石生産に用いる元となる結晶(以下、「種結晶」という。)、ダイヤモンドを半導体材料として様々なデバイスへ使うための基板、高発熱のデバイスを冷やすための材料(ヒートシンク)、原子レベルまでの精度が要求される精密加工切削工具等の分野において利用されております。当社はこれ等の分野へ製品を開発し、出荷しております。人工宝石を製造するための種結晶が、主要な製品となっており、2021年3月期売上高の87.7%を占めております。

 ダイヤモンドは硬度が最も高いことから、従来から、石材などの硬質材料を切断、研磨する砥石として広く使われており、このための微小(0.3mm以下のもの)なダイヤモンド砥粒も、従来から一般的に人工合成技術によって作られておりました。一方で、ある程度のサイズを持ったダイヤモンド単結晶は、宝石としては多くの人の目に入るものですが、切削工具や光学部品として、工業用にはごく少量しか使われておりませんでした。最近になって、人工合成手法によって、ダイヤモンド宝石材料を製造する技術が完成し、大量の生産が行われるようになりました。当社のダイヤモンド単結晶は、この製造において重要な役割を果たす種結晶として使用されております。

 当社のダイヤモンド単結晶製造技術は、産総研によって基本技術が生み出され、当社がこれを実用化するために、数々の開発を進めてきました。産総研はこの技術について基本的な知的財産権を持っており、当社は「産総研発ベンチャー」としてこれらの知的財産権の独占実施権を有しています。

 なお、当社はダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。


(1) 当社の製造技術

①ダイヤモンドの人工合成技術

 ダイヤモンドは一般には天然に産するものと考えられていますが、現在使用されている工業用ダイヤモンドのほとんどは人工合成で製作されています。ダイヤモンドの人工合成法は1955年に超高圧合成法が確立し、その後当社が採用する気相合成法を含む他の2種法が登場しました。

 この中で気相合成法は、メタンなどの炭素を含んだガスを、何等かの手段で活性化し、1,000℃程度の温度でダイヤモンドを生成する方法であります。物質形成手法の一つで、基本的には気相(ガス)から物質が生じる現象を利用します。気相へ元素を取り出す方法が2種類あり、物理的な手法と、化学的な手法の2つに分類されます。この内、CVD法のみでダイヤモンドを生成することができます。

 CVD法では、ガスを原料として使用し、温度を上げる方法やその他の手段により、目的の物質を作り出すための反応を促進します。ガスの活性化の手段の一つが放電現象によって発生するプラズマ(注4)であり、プラズマを利用することで、目的の物質を作り出すことが可能であります。当社は、ダイヤモンドを成長させる手段として、プラズマを利用する「プラズマCVD法」を使用しております。

 プラズマCVD法以外のいずれの手法でも、金属やセラミックス上にダイヤモンドを形成できますが、その場合は多結晶(非常に小さい単結晶粒子が固まったもの)のダイヤモンドとなります。単結晶のダイヤモンドを生成させるには、ダイヤモンド単結晶の上に成長させることが必要です。CVD法の中には、成長したダイヤモンドに、金属などの不純物が結果的に混入してしまう手法があります。当社のような単結晶を利用する製品用途では、純粋なダイヤモンドを成長させることが必要で、そのために成長させるための手法は限定されます。また、厚さ方向への成長速度が速すぎると、結晶が乱れることがあり、成長速度を制御できることも重要な要素です。

 不純物の混入がほとんどなく、成長速度を制御できる方法は、プラズマCVD法です。この方法は、反応ガスを放電などで生成するプラズマによって分解するもので、プラズマ生成手段は色々ありますが、当社は、代表的には2.45GHzの電波であるマイクロ波を採用しております。

 各プラズマ発生源(装置)がダイヤモンド成長にとって有効であることは確かめられていますが、安定性と不純物制御の観点から、当社はマイクロ波を選択しています。使用できるマイクロ波の周波数は電波法などで管理されており、2.45GHzもしくは915MHzを使うことができます。当社は現在、2.45GHzのマイクロ波を使った装置で、ダイヤモンドを成長させています。この装置では、概ね直径5cmの領域に、ダイヤモンドを形成できることが知られています。この装置の大きな特徴は、長時間の運転を安定して行うことができることや、数mmといった厚いダイヤモンドを製造することができることであります。


②ダイヤモンド単結晶を成長させる技術

 単結晶とは、一つの結晶(構成する分子が規則正しく並んでいる状態)でできているもので、天然に産するダイヤモンドはほとんどが単結晶です。多結晶は、微小な単結晶が集まったもので、結晶と結晶の隣り合う部分は結晶粒界と呼ばれています。

 ダイヤモンド単結晶を、CVD法のダイヤモンドが成長できる条件下に置くと、その上を覆うように単結晶が積み上がってきます。成長させるための結晶を「親結晶」と言い、成長した結晶を「子結晶」と称します。成長した子結晶は、成長させた親結晶と同じ原子配列となるので、成長後には一体の単結晶となります。成長装置としての限界はありますが、数mmといった厚さまでの成長は、各種の成長装置で実現しています。

 単結晶の成長速度は1時間当たり1µm~20µmとされています。つまり、1mm程度の厚さを作るのに、50時間(20µm/時間)~1,000時間(1µm/時間)が必要な成長速度です。成長速度によってでき上がった結晶の特性は変化し、遅い成長速度である程、高品質の結晶が得られます。成長速度が遅ければ、成長に要する製造コストは高くなります。従って、求められる結晶品質によって、成長の条件を選択することが重要です。

 気相成長した結晶の品質は、成長速度だけで決まるのではなく、混入する不純物や子結晶を成長させる親結晶の品質によっても左右されます。不純物としては窒素(N)が代表的な元素ですが、成長中の反応ガスに含まれる窒素濃度が変化すれば、広い範囲の結晶品質の変化が見られます。高窒素濃度の成長では、見た目にも黒くなり、結晶品質が悪くなります。また、親結晶に結晶欠陥が多数あると、成長した結晶にこの欠陥が引き継がれます。引き継がれる程度は、成長条件によってある程度制御は可能ですが、よりよい親結晶を使うことは、よりよい子結晶を成長させることになります。また、同じ成長条件で同じ親結晶を使っても、成長前の親結晶の表面が汚れていれば、それが子結晶の品質悪化の原因ともなります。

 多くの半導体材料(シリコン、ガリウムひ素、炭化ケイ素等)は、小さな種結晶を成長させて大きくしており、シリコンの場合では30cm(12インチ)の直径を持つ単結晶ウエハも製作できます。ダイヤモンドの気相からの成長では、この様に結晶の面積を拡大する方法は見つかっていません。すなわち、あるサイズの親結晶から成長させても、親結晶のサイズより大きくはならず、ただ単に厚さが増すだけです。従って、ダイヤモンド単結晶の成長では、必ず最終的に必要なサイズの親結晶を使う必要があります。

 単結晶を大型化するには、結晶の成長方向を変えて、繰り返し成長することが唯一の方法です。当社でも4x4mm程度の小さな元結晶から、成長させる方向を6回ほど変更することで、12x12mm以上の面積を持つ大型単結晶を作製しています。しかし、この手法を使っても、装置内でダイヤモンドが成長できる大きさには限界があり、作製できる形状も限られます。また、複数回の成長を繰り返すため、大型結晶にするには非常に長時間の成長を安定的に行うことが必要です。

 このようにして成長したダイヤモンドは、原子の配列が完全なダイヤモンド単結晶であり、不純物を少なく制御できれば、純粋なダイヤモンドとなります。宝石として使用されている天然ダイヤモンドのほとんどは、0.2%程度窒素を含有していますが、上記のように製作したダイヤモンドは、窒素量を0.0001%以下(1ppm)まで制御することが可能です。純粋で欠陥の少ないダイヤモンドほど、宝石としての価値も高くなりますが、高品質が必要となる半導体材料や光学材料としても適した性質を実現しています。


③当社の大型単結晶製造技術

 当社は産総研の技術を基にして、量産技術を確立してきました。産総研の開発した大型単結晶の製造技術は、以下の2つの特徴ある技術によって構成されており、その特許を産総研が保有しています。


a.イオン注入法を用いた、成長した単結晶の親結晶からの分離技術

 ダイヤモンド単結晶上にダイヤモンド単結晶を成長させると、一体になった単結晶ができます。親結晶と子結晶は、同じ結晶であるので境界は存在しません。子結晶を親結晶から剥がさなければ、親結晶をもう一度使うことができません。ダイヤモンドの切断は、レーザーによって行うことができるため、成長したダイヤモンドをレーザーによって切り離すことが考えられます。

 数mm程度の小型のダイヤモンドをレーザー切断するのは短時間で可能で、大出力のレーザーも必要ありません。切断部分が10x10mmといった大きさになると、レーザーがダイヤモンドに入り込む深さが限定されますので、切断に非常に長時間を要します。このことによって、切断コストが高くなるだけではなく、工業的に切断できる大きさに限界があります。ダイヤモンドデバイス生産で要求されているのが2インチ(5cm)ウエハと呼ばれる円盤状のダイヤモンド単結晶で、この場合は直径5cmを横に切る必要があり、実現はかなり難しいと考えられています。そこでレーザー切断以外の方法で、以下の図に示す成長した結晶を切り離す技術を開発しました。


b.モザイク結晶の製造法(複数の単結晶を接続し、大面積の疑似単結晶を製作する技術)

 2インチのウエハを作るために、2インチの単結晶を作る必要がありますが、これはまだ実現していません。現実的には、10x10mmの単結晶が最大級の形状であり、2インチにするためにはこれを接続して、2インチの大きさにすることが考えられます。そこで、横方向の接続方法が開発されました。

 上記の分離技術を使い、同じ親結晶から複数枚の子結晶を作製します。この子結晶を横に並べ、その上にさらにダイヤモンドを成長させると、複数の子結晶は新たに成長した部分でつながります。このようにして、1個の結晶ではなく、複数個の連結した結晶を得ることが可能です。当社ではこのような連結した結晶のことを「モザイク結晶」と呼んでいます。

 モザイク結晶を作る際の問題はモザイク結晶の連結部分の結晶の品質にありました。連結部分はいわゆる結晶粒界になるのですが、この状態が悪くなると、その部分に多結晶ができ、見た目にも黒い線ができます。隣り合わせる結晶は、表面の結晶方位を合わせなくては、きれいに接続できませんが、それでも微妙な結晶方向の違いが発生するために、境界をきれいにすることは難しいことが知られています。

 産総研の開発した技術は、以下の図に示すように、複数個の結晶を同じ親結晶から、上記の技術を使って分離します。


(2) 当社製品の特長

①大型の単結晶

当社は、大型の単結晶を、大量に製造することができます。10x10mmの四角形の単結晶、30x30mmのモザイク結晶を製作できます。

②板状の形態

ダイヤモンド単結晶は、通常は粒子状です。用途の多くは板状で使用するため、粒子から板を切断によって製作することが求められます。これに対し、当社の単結晶は、元々板状で製作しますので、このような工程が必要ありません。このために、板状の製品を製作するコストが安くなります。

③広い厚さ範囲

当社の生産プロセスにおいて、成長させる結晶が薄いうちに(短時間で)成長を止めれば、薄板を製作できます。一方、ある程度の厚さの板を作った後で、追加の成長を行えば厚板ができます。当社の生産手法は、板厚に対する制限がほとんどないところが特徴で、板厚0.03~3mmまでの2桁の範囲の製品を生産することが可能です。

④様々な仕様の基板

ダイヤモンドデバイスの研究開発は、未だ基礎的な研究段階です。このため、研究者ごとに必要な基板が異なりますが、当社はこれに対応できる様々な仕様の基板を製品化しています。高品質の基板、半導体層を基板上に形成したもの、表面の結晶面を特定したもの、等々を生産することができます。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/03 単独会社予想 2,415 762 737 486

2022/03 単独実績 1,562 520 527 374

2021/03 単独実績 1,139 267 270 253

2020/03 単独実績 704 76 74 95


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/03 単独会社予想 197.47 1,569.81 0.00


上場時発行済株数 2,545,300株(別に潜在株式135,300株)

公開株数 493,300株(公募360,000株、売り出し69,000株、オーバーアロットメント64,300株)

調達資金使途 設備資金


PER:25.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:24.7億

公募時時価:127億

​   


【株主構成】 

藤森直治 代表取締役社長 275,000 11.85% 180日

Cornes&Company LTD. 資本的関係会社 250,000 10.77% 180日

コーンズテクノロジー(株) 取引先 215,000 9.26% 180日

竹内工業(株) 取引先 185,000 7.97% 180日

旭ダイヤモンド工業(株) 特別利害関係者など 160,000 6.89% 180日

DCIハイテク製造業成長支援投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 109,100 4.70% 90日・1.5倍

(株)新生銀行 ベンチャーキャピタル(ファンド) 105,500 4.55% 90日・1.5倍

ファインテック(株) 特別利害関係者など 100,000 4.31% 180日

東京都ベンチャー企業成長支援投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 90,900 3.92% 90日・1.5倍

CBC(株) 取引先 88,800 3.83% 180日


本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である藤森直治、当社株主かつ当社役員である加茂睦和、北城恪太郎及び髙岸秀滋、当社株主であるCornes&Company Limited、コーンズテクノロジー株式会社、竹内工業株式会社、旭ダイヤモンド工業株式会社、ファインテック株式会社、CBC株式会社、株式会社槌屋、三星ダイヤモンド工業株式会社、株式会社フューチャーパートナーズ、アダマンド並木精密宝石株式会社、村井勝、フジビーシー技研株式会社、安達新産業株式会社、伊藤満、中野純司及び森永実並びに当社新株予約権者である林雅志、池見達穗、古橋匡幸、河野智昭、小山高弘、小川雅史、藤田優子、三浦和恵、阪口哲也、西川和穂、葉木佳子、井田義行、橋本淑子、山内正規、松本茂、柿沼光之及び高下奈緒は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2022年12月23日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、貸付け、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 当社株主であるDCIハイテク製造業成長支援投資事業有限責任組合、株式会社新生銀行、東京都ベンチャー企業成長支援投資事業有限責任組合、名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー1号投資事業有限責任組合及びHigh-ValueC1st投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2022年9月24日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、貸付け、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出し価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。 

【代表者】

代表者名 藤森 直治(上場時72歳11カ月)/1949年生

本店所在地 大阪府豊中市上新田

設立年 2009年

従業員数 47人 (2022/04/30現在)(平均46.7歳、年収486.4万円)

事業内容 単結晶ダイヤモンドとその関連素材の製造・販売・開発

URL http://www.d-edp.jp/

株主数 29人 (目論見書より)

資本金 497,420,000円 (2022/05/20現在)

代表者生年月日 1949年07月03日生まれ

代表者略歴

1975年04月 住友電気工業(株)入社

2003年04月 独立行政法人産業技術総合研究所 (現国立研究開発法人産業技術総合 研究所)入所

2009年09月 当社設立 当社取締役

2010年04月 東京大学生産技術研究所顧問研究員

2010年05月 一般社団法人ニューダイヤモンドフ ォーラム顧問(現任)

2010年05月 当社代表取締役社長(現任)

2012年04月 独立行政法人産業技術総合研究所 名誉リサーチャー(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 373,800 87.13%

引受証券 SBI 21,400 4.99%

引受証券 丸三 8,500 1.98%

引受証券 野村 8,500 1.98%

引受証券 楽天 4,200 0.98%

引受証券 マネックス 4,200 0.98%

引受証券 大和 4,200 0.98%

引受証券 岡三 4,200 0.98%


【参考類似企業】今期予想PER(5/30)

1514 住石HD 5.1倍 (連結予想)

2736 フェスタリアHD 7.3倍 (連結予想)

6521 オキサイド 55.7倍 (単独予想)

7810 クロスフォー 144.0倍 (連結予想)

7872 エステールHD 15.7倍 (連結予想)

7937 ツツミ 42.5倍 (単独予想)

8008 4℃HD 20.6倍 (連結予想)

8139 ナガホリ 64.8倍 (連結予想)

9904 ベリテ 20.6倍 (単独予想)


【私見】

 ダイヤモンドの人工合成技術ということで、完全な類似業種はなく、優位性から評価はできます。業績の伸びは良いものの、近い業種のPERからはやや高めで、成長性を加味してでしょう。吸収金額は適度に大きく、1.5倍でロックが外れるVCがいるのもやや気がかりです。1,5倍のロックラインが上限の目安でしょうか。


想定価額:4500円

仮条件上限:5000円

初値予想:6500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

2022年6月11日土曜日

IPO分析(マイクロ波化学)

 【事業内容】

​(1) マイクロ波プロセスの原理、優位性および歴史

 伝統的なモノづくりの方法においては、エネルギー伝達手段として、伝熱プロセスが用いられています。ガス、熱媒、蒸気といった熱エネルギーを、空間のある場所から対象物質に移動させることによって、反応を起こそうとするプロセスです。このプロセスにおいては、エネルギー伝達が外部から間接的なものとなり全体を加熱するためにエネルギーロスが生じることから、対象物質の反応に必要である以上のエネルギーが必要となります。また、大規模生産をしようとすると、対象物質へのエネルギー伝達が不均一になってしまうため、収率低下、品質劣化という問題が生じます。

 一方、マイクロ波プロセスにおいては、エネルギー伝達の方法が全く異なります。マイクロ波とは,波長約1 mm~1 m(300 MHz~300 GHz)の電界と磁界が直交した電磁波です。

 マイクロ波は、特定の物質に内部から直接かつ選択的にエネルギーを伝達できるという特徴を有しており、これにより媒体を介してのエネルギー伝達が不要となるため、必要最小限のエネルギーしか要しません。また、目的とする物質のみが共鳴する周波数のマイクロ波を照射することで、均一にエネルギー伝達することができるため、ムダ・ムラを排除し高収率・高品質を達成します。

 このような特徴を有するマイクロ波の化学への適用は、1980年代の電子レンジの改造ラボ装置からスタートしました。そして、現在に至るまで、有機合成を始めとした各種の化学反応において、反応時間短縮、高収率、素材の性能向上などの圧倒的な効果がラボスケールで報告されてきました。しかしながら、2000年に入っても化学プロセスとして大型産業化された例は無く、「化学反応においては、マイクロ波を制御することが困難であり、産業利用することは不可能である」という見解が化学業界の常識となっていました。


(2) 技術プラットフォームの構築

 2007年の創業以来、上述のような常識に挑み、ついにマイクロ波プロセスを用いて年産3,000トン規模での商業生産を実現しました。当社は、その過程で「デザイン力の獲得と強化」および「要素技術群の開発と蓄積」の2点に着目し、技術プラットフォームを築いてきました。


①デザイン力の獲得と強化

■ 反応系のデザイン

 各々の物質において、マイクロ波を吸収できる能力(マイクロ波吸収能)は異なり、周波数依存性と温度依存性を示します。最適な反応を得るためには、ターゲット物質に合わせてマイクロ波の周波数を選定する、すなわち「反応系のデザイン」が重要となります。しかし、様々な状態におけるマイクロ波吸収能を測定できる手法は確立されておらず、加えて、膨大なデータおよびノウハウの蓄積が必要となるため、マイクロ波が汎用的なモノづくりプロセスとして採用されるための大きな障壁となっていました。当社はマイクロ波吸収能の測定方法を独自開発・確立し、データベース化を進め、それに基づいた反応系デザインのパターン認識とノウハウ蓄積を進めることで体系化しました。


■ 反応器のデザイン

 マイクロ波プロセスにおいては、反応器という閉鎖空間の中でマイクロ波を照射しますが、研究段階では小さな反応器でマイクロ波の優位性検証を行います。一方で、マイクロ波を産業利用するためには、研究段階の小さな反応器を数千から1万倍程度の大きさにスケールアップする必要がありますが、マイクロ波プロセスの反応器デザインにおいては、従来の熱伝導を利用したプロセスにおけるそれとは全く異なった技術が必要となります。

 マイクロ波反応器デザインでは、波の特性(吸収、透過・反射)を加味し、マイクロ波の分布(電磁界分布)を制御することが重要となります。しかしながら、反応系デザインに基づいた電磁界分布をデザインする必要があること、加えて、電磁界分布をシミュレーションするためには、各々の物質のマイクロ波吸収能が解析上必要となることにより、スケールアップが困難とされてきました。当社はシミュレーション技術の開発を進め、加熱対象物温度分布等のシミュレーション結果を、実際の反応器内部において高い精度で再現させるために、電磁場解析、熱流体解析を連成させました。また、スーパーコンピューターを導入することにより反応器の大型化、およびマイクロ波分布と流動している加熱対象物とが相互に作用し合う複雑系にも対応可能になりました。さらに、反応器製作後に、その実証データとシミュレーションの齟齬を認識、フィードバックを繰り返すことで精度を上げ、スケールアップの最適解を導くことができました。


②要素技術群の開発と蓄積

 要素技術群とは、マイクロ波環境下で化学プロセスを実施するために保有している複数の要素技術で、スケールアップ過程で開発を行ってきたものです。これは、4つのカテゴリに分類され(下表)、さらに20の各技術に細分化されます。


③技術プラットフォームの確立

 マイクロ波プロセスを産業化する過程で「①デザイン力」と「②要素技術群」を構築・強化し、これらで構成される技術プラットフォームを確立しました。そして、この技術プラットフォームを用いることで、化学・エネルギー産業における多様な課題に対して最適なソリューションを提供しています。

 具体的には、顧客から得た課題に対して、蓄積してきた課題解決データベースから類似系を抽出することにより、顧客から得た課題を解決するための要素技術を複数選定し、初期的な概念検証であるラボ開発フェーズ、または実機導入を見据えた実証開発フェーズにおいて、デザインを行います。

 なお、当社が、上述のような技術プラットフォームを確立し、マイクロ波プロセスの産業化に成功した背景として、以下のような点が挙げられます。


1) チーム

 問題解決のために、多様な分野の知識を融合したことが挙げられます。具体的には、反応系デザインに関しては、化学、物理、電気、電磁気の知見を有するサイエンティスト、反応器デザインに関しては、化学工学・機械工学の知見を有するエンジニア、シミュレーションのための専門家、加えて、生産技術確立のための、製造技術者といった様々なバックグラウンドを持つ人材が当社には集結しています。また、要素技術や特定のプロジェクトに関しては、先端的な研究を行っている大阪大学の複数の研究者を技術アドバイザーとして迎え、共同研究を実施して体制強化をしています。


2) インフラ

 当社が有するラボは、マイクロ波に特化した大規模な研究設備を備えており、プロセス検討の初期的な研究開発を担っています。特に反応系デザインに重要な周波数のバリエーションは豊富で、一般的な産業部門やラボ機で用いられる周波数は2.45GHzの1種類がほとんどのところを、当社は主に5種類の周波数を使い分けます。また、大阪事業所の「実証棟」は、実機導入のためのパイロット実証施設として機能しています。このように、当社は、研究・開発→実証→事業化すべてのフェーズにおいてソリューションの提供が可能なインフラを有しています。


3) データベース・ノウハウ・実証経験

 当社は10年以上にわたり、様々な化学企業と多種多様な化学品に関する共同開発を重ねているため、データベース・ノウハウ・実証経験において、膨大な蓄積を有しております。


(3) 当社の事業内容

 顧客課題に応じて、研究開発からエンジニアリング・製造支援までをワンストップでソリューションとして提供しています。技術プラットフォームを様々な化学製品の製造プロセスに応用することを目指していますが、化学産業は研究開発段階から商業化まで時間とコストがかかるため、顧客との長期的な関係を構築し安定的な収益を確保します。

 当社は、顧客の課題解決を目指して研究開発を行う研究開発会社としての側面と、マイクロ波プロセスを設計して反応器を納入するエンジニアリング会社的な側面を併せ持っております。研究開発及びエンジニアリングのソリューションは4つのフェーズで提供していますが、各フェーズの具体的な実施内容は以下の通りであります。

 開発段階のフェーズ1乃至2では、共同開発費や実証機の設計費という形で収益を計上します。顧客が事業化するフェーズ3乃至4では、プロジェクトマネジメントフィーや設計費を計上した上で、顧客がマイクロ波プロセスを導入することによって生み出すことができたコスト削減や付加価値向上などの価値の一部、及び当社が所有するバックグランドIPの使用料としてライセンス収入を、一時金やロイヤリティという形で計上します。

 中長期的には事業化したパイプラインから得るロイヤリティをはじめとした継続的な収益が当社の利益に貢献することを想定しています。

 事業の成功率を高めるためには、当社内でフェーズ0と位置づけている初期段階における開発課題の特定、事業仮説や期待値の設定が重要であり、事業開発チームによる徹底的なヒアリングを実施します。ヒアリング内容をデータベース化し成功パターンを認識し、必要に応じて簡単な試験をすることで、効率の良い案件獲得に繋げていきます。さらに、その前段階となる顧客からの引き合い数を増やすことに注力することで、事業性の高い案件の受注を目指します。


(4) 好循環、自律拡張性、標準化

 顧客課題にソリューションを提供すると、これが当社の技術プラットフォームの強化とこれを支える要素技術群の充実につながり、この強化された技術プラットフォームが顧客課題のソリューション力向上に貢献するという、好循環を実現可能な事業モデルです。これは、ソリューションの提供を通して獲得した装置・プロセスを中心とした知財・ノウハウを当社がある程度自由に展開できる自律拡張的な仕組みとしているからですが、顧客から見ても過去に積み重ねたバックグランドIP・ノウハウを含む技術プラットフォームを低コストで活用でき、メリットを享受することができます。

 さらに、技術プラットフォームを「標準化」し、特定の顧客ではなく、業界・市場に共通した「課題」に対するソリューションを提供することで、技術を横展開しスケールする事業を実現します。具体的な例としては、ケミカルリサイクル事業や医薬関連事業などがあります。ケミカルリサイクルは、サーキュラーエコノミー構築の為に、廃棄プラスチックを分解し、再度、化学品の原料として利用できるようにする事業ですが、マイクロ波熱分解技術を標準化して、家電や車などに使われているプラスチックからレジ袋まで多様な廃棄プラスチックに対応することで、事業の横展開を目指しています。

 成長性・収益性向上という観点から見ると、自律的な技術プラットフォームの強化は技術の完成度につながり前述の各フェーズ間のステージアップ確度の向上、要素技術の充実は対象となる市場領域の拡大に繋がります。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/03 単独会社予想 1,133 67 30 45

2022/03 単独実績 860 -87 -98 -110

2021/03 単独実績 458 -348 -355 -1,036

2020/03 単独実績 1,052 28 27 32


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/03 単独会社予想 3.08 103.11 0.00


上場時発行済株数 15,143,400株(別に潜在株式1,607,100株)

公開株数 3,486,600株(公募1,700,000株、売り出し1,331,900株、オーバーアロットメント454,700株)

調達資金使途 設備投資、借入金の返済


売出しを行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:159

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:21.1億

公募時時価:92億

​   

【株主構成】 

UTEC2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,985,700 19.84% 90日・1.5倍

ジャフコSV4共有投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,151,000 14.29% 90日・1.5倍

(株)INCJ ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,893,600 12.58% 90日・1.5倍

吉野巌 代表取締役社長CEO 1,484,300 9.86% 180日

塚原保徳 取締役CSO 1,424,300 9.46% 180日

三井化学(株) 資本業務提携先 771,700 5.13% 180日

PNB-INSPiRE EthicalFund1投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 642,800 4.27% 90日・1.5倍

OUVC1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 532,800 3.54% 90日・1.5倍

(株)新生銀行 ベンチャーキャピタル(ファンド) 280,000 1.86% 90日・1.5倍

DBJキャピタル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 255,700 1.70% 90日・1.5倍

本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人である吉野巌、当社株主かつ当社役員である塚原保徳、当社株主である三井化学株式会社、千島土地株式会社、石塚章斤、フタムラ化学株式会社、山内智央及び太陽化学株式会社並びに当社新株予約権者である下條智也、渡辺久夫、村田究、大山求一、鐘ヶ江延恵、和田雄二、菅野雅皓、木谷径治、今井将太、大谷寛、萩本陽和、澤木直子、伊藤圭介、和田直之、緒方俊彦、奥村治樹、貝原加奈子、髙元保、植村和史、堀直樹、森川智史、村田孝信及びその他新株予約権者26名は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2022年12月20日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。


 売出人であるUTEC2号投資事業有限責任組合、ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合、株式会社INCJ、株式会社新生銀行及び岩谷ベンチャーキャピタル合同会社並びに当社株主であるPNB-INSPiRE Ethical Fund 1 投資事業有限責任組合、OUVC1号投資事業有限責任組合、DBJキャピタル投資事業有限責任組合、Mitsui Kinzoku-SBI Material Innovation Fund、SMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合、ハック大阪投資事業有限責任組合、第一生命保険株式会社、池田泉州キャピタルニュービジネスファンド5号投資事業有限責任組合、SBIベンチャー企業成長支援3号投資事業有限責任組合、SBIベンチャー企業成長支援4号投資事業有限責任組合、SBI Ventures Two株式会社、SBIベンチャー企業成長支援2号投資事業有限責任組合及びSBIベンチャー企業成長支援投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2022年9月21日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。


【代表者】

代表者名 吉野 巌(上場時54歳11カ月)/1967年生

本店所在地 大阪府大阪市住之江区平林南(最寄りの連絡所:吹田市山田丘)

設立年 2007年

従業員数 55人 (2022/04/30現在)(平均42.5歳、年収594.2万円)

事業内容 マイクロ波化学プロセスの研究開発やエンジニアリング、ライセンス事業

URL https://mwcc.jp/

株主数 26人 (目論見書より)

資本金 2,298,446,000円 (2022/05/19現在)

社員数 55人(2022年04月30日現在)

代表者生年月日 1967年07月19日生まれ

代表者略歴

1990年04月 三井物産(株) 入社

2002年05月 カリフォルニア州立大学バークレー校経営大学院修了(MBA)

2007年05月 (株)ナラプロ・テクノロジーズ 代表取締役社長

2007年08月 マイクロ波環境化学(株) (現当社)設立 代表取締役社長(現任)

2015年04月 ティエムティ(株) 代表取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 2,728,900 90.01%

引受証券 SBI 151,500 5.00%

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 121,200 4.00%

引受証券 楽天 30,300 1.00%


【参考類似企業】今期予想PER(5/30)

9212 GEI 108.5倍 (単独予想)


【私見】 

 世界的なテーマであるカーボンニュートラル銘柄としては時流に乗ったビジネスモデルで評価出来ます。しかし、GEIなどもそうですがバイオ銘柄に近く、業績面では赤字の現状で、来期予想で何とかプラスと言った状況で時間はかかりそうです。低単価で、規模的には大きくないので公募割れはないと思いますが、最初に買われて、材料がなければ売られる展開が予想されます。


想定価額:580円

仮条件上限:605円

初値予想:700円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5