2022年6月18日土曜日

IPO分析(AViC)

 【事業内容】

 広告予算が中・小規模のクライアントに対しても高品質のデジタルマーケティングサービスを提供することを目的に、「マーケティングで人・企業・社会をより良くする」をミッションに掲げ、メディア運営会社から広告枠を仕入れ、広告効果を計測した上で、クライアントに対し広告運用代行を行う等のインターネット広告サービスを行っております。加えて、対象となるWebサイトの内部構造の最適化、掲載するコンテンツの作成等、SEO対策の効果を計測した上で、総合的なソリューションの提供・適切なクライアントの情報発信を行うSEOコンサルティングサービスを提供しております。両サービス提供においては、提供サービスの付加価値を維持した上で生産性を高めることを目的に、作業時間短縮及び自動化による効率化のための、自社開発のマーケティングDXツールを積極的に活用しております。

  

(1)インターネット広告サービス

 インターネット広告サービスとして提供しているものとしては、主に検索連動型広告、ディスプレイ広告、インフィード広告等の運用型広告になります。当社は、メディア運営会社から広告枠を仕入れ、クライアントにコンサルティングを行った上で広告枠を販売し、その対価として媒体費とコンサルティング手数料を収受し、メディア運営会社に媒体費を支払っております。当社がコンサルティングのみを行い、クライアント自身で広告枠を仕入れるケースもあり、その際はコンサルティング手数料のみを収受します。また、クリエイティブ制作を受注し、納品するケースもあります。

 運用型広告は、広告運用者が広告を配信するための設定を行い、ほぼリアルタイムに広告配信結果を確認したうえで当該確認結果を踏まえた設定の改善ができるため、運用者によって広告効果に大きな違いが出ることが特徴です。メディア運営会社は、広告主、ユーザー、メディア運営会社のニーズ・収益性を最大化するためのアルゴリズムを追求し、機械学習等のテクノロジーを進化させることでアルゴリズムの精度を高めております。また、そのアルゴリズムはメディア運営会社ごとに固有性があります。主要なメディア運営会社であるGoogleの検索連動型広告を例に取ると、検索連動型広告はユーザーの検索するキーワードからユーザーのモチベーションを推測しやすいため、Googleのアルゴリズムではユーザーの過去の行動より、検索行為そのものに対して最適化が働きます。同アルゴリズムにおいて重要なのは、「いかに検索された語句に対して意図した広告を反応させられるか」という点です。

 3C分析、ターゲットとなるユーザーのペルソナ像の作成及びそのユーザーにどの媒体で接触するべきかのメディアのプランニング、ユーザーのインサイトを深掘った上で、どういう訴求や表現の広告で運用を行えばスムーズにクライアントのサービスを利用するに至らせることができるのかのプランニングを行います。さらに、当社は、プランニングしたものを実現するために、各メディアのアルゴリズムの特徴を理解・把握した上で、各種運用施策の設計(広告アカウントの構造、検索キーワード選定と購入方法、ターゲティングや配信方法の設定、目的と目標の設定、予算配分と予算設定及び、クリエイティブ制作)を行っております。Googleの検索連動型広告を例に取ると、「獲得につながる可能性のあるクエリに、漏れなくリーチできるキーワードの網羅」、「登録しているそれぞれのキーワードに対し、キーワード種別毎に適切なマッチタイプの設定」、「キーワードが余計なカニバリゼーションを起こさないための適切なグルーピングと構造設計」、「効率的に獲得につながるキーワードに対して、予算による機会損失が起こらない予算設定」及び、「広告文に検索された語句を挿入する等、重要なキーワードに対してのユニークな広告文の設定」等の施策を行っております。また、「あるべき状態」の定義をした上で、当該数値をリアルタイムにモニタリングし、入札額やクリエイティブ、ターゲット等を変更・改善しながら広告配信を行っております。なお、モニタリングと、広告配信を実施した際の広告効果のシミュレーションには、マーケティングDXツールを用いております。


(2)SEOコンサルティングサービス

 検索結果画面における、検索順位の上昇可能性を踏まえた対策キーワードの選定・現状分析/競合分析からの戦略の立案・対象Webサイトの構造の最適化、施策実行によって得られる成果のシミュレーションの提示・Webサイト内記事ページの企画と制作を行い、その対価として主にコンサルティング手数料及び記事コンテンツ制作料等を収受しております。

 SEOは依然重要ではあるとされていますが、Google等の検索エンジンのアルゴリズムのアップデートの都度SEO対策が必要であり、かつ、「どこでどう戦うか」という戦略設計が重要であるものの、その難易度が高く、多くの工数も必要であるため、当社のようなサービス提供事業者の差別化が生じやすい市場環境にあります。

 当社のSEOコンサルティングサービスは、マーケティングDXツールを用いることで従来よりも高効率で、データの収集・分析・施策の立案・シミュレーションの算出までを行うことができ、以下のメソッドに基づいてソリューションを、提供しております。


① 対策キーワード選定の分母となるキーワードの網羅的な洗い出し

 Googleサジェストワード、Googleキーワードプランナー経由で取得するキーワード、競合他社のWebサイト流入キーワード等を活用し、マーケティングDXツールを用いてキーワードの洗い出しと組み合わせを生成することで、対策キーワード選定の分母となるキーワードを網羅します。

 

② 競合Webサイトの対比に基づく検索順位上昇のための要素の特定と実現性の定量判定

SEOコンサルティングサービスで対策可能な業種・事業領域であるのか、マーケット環境や競合企業の集客構造を透明化するための「領域診断」(例えば、医療の領域のキーワードである場合、クライアントはその領域の事業従事者もしくは専門機関である必要がある)、Webサイトのドメインパワーを簡易的に測る「サイト診断」(キーワードにおけるドメインパワーの現時点での順位)、具体的なキーワードにおける各順位を調査する「キーワード診断」という流れで判定を行います。

 当社は、対象キーワードの検索結果で上位に表示されるWebサイトにおいて、検索順位結果と強い相関のある要素と、競合Webサイトとの差分を、マーケティングDXツールを用いて定量的に調査します。


③ 定量的な根拠に基づいたポテンシャル算出・キーワード戦略設計・施策設計・シミュレーション

 まず、マーケティングDXツールを用いて、キーワードの検索ボリューム・前述した競合Webサイトとの差分状況から、蓋然性の高い精緻なポテンシャルの見極めを行います。その後、重要度の定量化・検索順位の上昇可能性の見極めを踏まえ、優先順位を付けた対策キーワード選定を行います。次に、対策の実現性や必要工数の掛け合わせを踏まえ、施策設計・シミュレーションに落とし込みます。具体的には、対象Webサイトの構造の最適化(基礎~応用まで約200項目の網羅的な打ち手リストの保有)、検索順位上昇のための目標に至るまでの高精度なシミュレーションの提示、検索順位上昇のための記事コンテンツの企画・納品、GoogleビジネスプロフィールやSNS・調査PR活用・動画SEO対策を実施しています。

  

【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/09 単独予想 1,215 312 292 203

2022/09 単独中間実績 561 150 148 103

2021/09 単独実績 1,329 120 111 78

2020/09 単独実績 696 120 122 86


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/09 単独予想 36.43 118.12 0.00


上場時発行済株数 5,691,300株(別に潜在株式531,000株)

公開株数 1,296,500株(公募150,000株、売り出し977,400株、オーバーアロットメント169,100株)

調達資金使途 人件費、開発費


PER:28.0

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:13.2億

公募時時価:58億

​   

【株主構成】 

市原創吾・ミダス投組 役員らが議決権の過半数を所有する会社 2,676,520 44.07% 180日

岩田匡平・ミダス投組 岩田匡平氏が実質的に支配 1,688,080 27.80% 180日

吉村英毅・ミダスA投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 500,000 8.23% 180日

みずほ成長支援第3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 270,000 4.45%  90日・1.5倍

MICイノベーション5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 270,000 4.45% 90日・1.5倍

コタエル信託(株) 新株予約権信託の受託者 243,000 4.00% 

笹野誠 取締役CFO 80,500 1.33% 180日

瓜生翔 執行役員 63,500 1.05% 180日

静岡キャピタル8号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 53,000 0.87%

高野英樹 従業員 46,300 0.76%

UUUM(株) 資本業務提携先 42,400 0.70%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である市原創吾・ミダス投資事業有限責任組合、売出人である岩田匡平・ミダス投資事業有限責任組合及び吉村英毅・ミダスA投資事業有限責任組合並びに当社株主である笹野誠、瓜生翔、高野英樹、UUUM株式会社及び幸田涼佑は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2022年12月26日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)等を行わない旨合意しております。

 また、売出人であるみずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合及びMICイノベーション5号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の2022年9月27日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、東京証券取引所における初値が形成された後に主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等を除く。)等を行わない旨合意しております。


【代表者】

本店所在地 東京都港区赤坂 赤坂アークヒルズ・アーク森ビル4階

設立年 2013年

従業員数 47人 (2022/04/30現在)(平均30.1歳、年収628万円)

事業内容 デジタルマーケティングサービス{インターネット広告サービス、SEO(検索エンジン最適化)コンサルティングサービス}の提供など

URL https://avic.jp

株主数 11人 (目論見書より)

資本金 98,564,000円 (2022/05/27現在)

代表者生年月日 1986年11月10日生まれ

代表者略歴

2009年04月 (株)サイバーエージェント入社

2018年03月 当社入社、代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

幹事証券 SBI - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 いちよし - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 あかつき - -

引受証券 極東 - -

引受証券 静銀ティーエム - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 水戸 - -


【参考類似企業】今期予想PER(6/10)

2159 フルスピード 21.1倍 (連結見込)

2389 デジタルHD 4.8倍 (連結予想)

2459 アウンコンサル 241.7倍 (連結予想)

4293 セプテーニHD 27.8倍 (連結予想)

4499 Speee 31.1倍 (連結予想)

6026 GMOTECH - (連結予想)

6533 オーケストラHD 27.2倍 (連結予想)

7036 イーエムネットJ 24.7倍 (単独予想)

7357 ジオコード 16.5倍 (単独予想)

9244 デジタリフト 13.7倍 (単独予想)


【私見】

 ネット広告関連でやや飽きられた感はあり、大きな優位性は感じないので業種評価はできません。業績も大きく伸びているわけではないので、PER等からも妥当な水準かと思います。規模的には適度で、上位株主にはロックが付されており、VCの1.5倍ロック基準が一旦の目安になるでしょうか。


想定価額:970円

仮条件上限:1020円

初値予想:1400円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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