2022年6月15日水曜日

IPO分析(M&A総合研究所)

 【事業内容】

​(M&A仲介事業)

(1)当社事業の特徴

 従来のM&A仲介サービスにテクノロジーを組み込み、効率化を推し進めることでマッチング相手を探索するスピードや成約までのスピードを短縮化し、1社でも多くの企業のM&Aの成約をサポートすることを目標としております。

 M&A仲介サービスは、譲渡希望企業もしくは買手候補企業との間でアドバイザリー契約を締結し、マッチング相手探索や、マッチング後のディール進行過程における利害関係者との各種調整業務等のサポートを行い、両者が円満に成約できるよう取引をリードするものであります。M&A成約時に仲介手数料を収受することが主な収益となります。

 当社はAIの活用とDXの推進によりM&Aの効率化を図っており、それぞれ以下のように業務に組み込んでおります。

①   AIの活用

 M&Aを実施する際には無数に存在する企業の中から譲渡希望企業もしくは買手候補企業と親和性の高い企業を探す必要があり、従来はM&Aアドバイザーの属人的な知見によるところが大きかったため、候補先が自然と限定されてしまうおそれや抜け漏れの発生、マッチングに時間を要することがありました。このような問題を解消すべく、当社は候補先企業のリストアップにAIを導入し、提案スピード及び質の向上、また、ヒューマンエラーの防止に活かしております。


②   DXの推進

 M&Aをスピーディーに進めるため、自社内でシステム開発を行うことで徹底的に社内業務の効率化を進めております。自社開発環境を整えることにより、システムベンダーに外注する際とは異なり、日々タイムリーにマイナーバージョンアップを繰り返すことが可能となっており、効率化の速度を高めております。


(2)事業フロー

①ソーシング(譲渡希望企業の探索からアドバイザリー契約締結まで)

 当社ではアウトバウンド、インバウンドという2種類のソーシングルートから案件を獲得しております。

 ⅰアウトバウンド

 企業に対し当社からダイレクトメールや手紙を送付し、反応があった企業について、M&Aアドバイザーが面談を行いM&Aに対するニーズや財務状況等をヒアリングします。当社ではダイレクトメールや手紙の文面や封筒のデザイン等についても徹底して改良を続けており、開封率や返信率を向上させるべく種々のテストを繰り返し実施しております。


ⅱインバウンド

 当社WEBサイトからお問合せを頂く、もしくは直接お電話にてお問合せを頂いた企業に対し、M&Aアドバイザーが面談を行いM&Aに対するニーズや財務状況等をヒアリングします。当社はWEBサイトからの集客に強みをもっており、当社が運営するM&A情報サイトのオーガニック検索数は国内M&A仲介事業者の中でも高水準であります。WEBサイトへの流入がそのまま問い合わせに繋がるケースも多く、インバウンドでの案件獲得に寄与しております。

 譲渡希望企業と秘密保持契約を締結し、譲渡希望企業の事業内容や財務内容、M&Aを希望する経緯等を確認し、企業価値評価を行ったうえで譲渡可能性等を検討します。譲渡可能性が高い場合には当該企業とのアドバイザリー契約受託の可否について社内で審査を行います。

 当社は譲渡希望企業とのアドバイザリー契約の締結時に着手金を収受しておらず、ディールの進行時にも中間報酬を収受しない完全成功報酬制を採っております。競合他社ではこれらの報酬を収受するケースが一般的であり、当社は料金体系において競合優位性を築いております。


②マッチング(案件化から買手候補企業と譲渡希望企業がトップ面談を行うところまで)

 譲渡希望企業とアドバイザリー契約を締結した後、買手候補企業に対する提案書となる企業概要書を作成します。この業務は「案件化」といわれます。譲渡希望企業の事業内容や財務内容、事業エリア等、複数の情報をAⅠマッチングアルゴリズムに登録することにより、親和性の高い買手候補企業をAⅠが自動で抽出し、ロングリストを作成します。

 M&Aアドバイザーは自動作成されたロングリストに加え、社内に蓄積されたM&A情報等を鑑みアプローチ先を100件程度に絞り込み、メール、電話、訪問等による営業活動を実施しております。買手候補企業が興味を示し、譲渡希望企業と正式にM&Aに関する話を進めることになった場合、当社と買手候補企業の間でアドバイザリー契約を締結します。当社ではAIマッチングアルゴリズムを利用することにより、マッチング業務の効率化、品質の底上げに取り組んでおります。

 従来のM&A仲介業務におけるマッチングは属人性が高く、担当者の経験に基づいて買手候補企業をピックアップしていました。この場合、適切なマッチングが行われないおそれや、ヒューマンエラーによりピックアップ時に漏れが生じるおそれがありますが、全員が同じAIマッチングアルゴリズムを利用しシステマチックに買手候補企業を抽出し、アプローチすることにより、それらの課題を改善しました。M&A仲介の経験者と未経験者の間に生じる提案品質の差を埋めることも可能となっております。

 買手候補企業と当社の間でアドバイザリー契約を締結した後は買手候補企業と譲渡希望企業との間でトップ面談や条件交渉が行われます。


③エグゼキューション(意向表明の提出から成約まで)

 買手候補企業から譲渡希望企業に対し買収の意向表明書が提出された時点、もしくは基本合意の締結、買収監査の実施時点で、買手候補企業から中間報酬を収受します。中間報酬額は、原則として買手候補企業が当社に支払う仲介手数料想定額の10%になります。この際においても譲渡希望企業からは中間報酬は収受いたしません。

 買手候補企業と譲渡希望企業の間で株式譲渡契約が締結され、クロージング条項等が全て満たされた時点で仲介手数料が発生し、双方から収受します。これらを表で示すと以下のようになります。


 (その他)

 その他の事業として、WEBマーケティング支援事業を行っております。当事業はユーザー(消費者)のWEBサイトへの流入経路、行動パターンを収集し、クライアント企業のWEBサイトへ対策を実施することにより、流入数を向上させるための支援を行うサービスを提供しております。

 具体的なサービス内容としては、WEBサイトを訪れるユーザーの行動を分析し、流入数や滞在時間を上昇させる記事の作成、納品となります。顧客自身がWEBサイトを保有していない場合には、WEBサイトの立ち上げを代行いたします。毎月の記事の納品本数に応じて業務委託手数料を収受しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/09 単独会社予想 2,997 1,271 1,246 882

2022/09 単独中間実績 1,752 1,066 1,059 727

2021/09 単独実績 1,328 563 557 368

2020/09 単独実績 376 3 3 4


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/09 単独会社予想 47.71 91.98 0.00


上場時発行済株数 18,530,000株(別に潜在株式2,284,944株)

公開株数 4,783,800株(公募50,000株、売り出し4,109,900株、オーバーアロットメント623,900株)

調達資金使途 人員採用費用


欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して海外販売が行われる予定であります


PER:25.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:63.6億

公募時時価:246億

​   

【株主構成】 以下180日

佐上峻作 代表取締役社長 15,329,166 73.82%

(株)SMBC信託(特定金外信アルゴ1号) ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,980,000 9.54%

Reo Asset Management1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,050,000 5.06%

コタエル信託(株) (信託口) 新株予約権信託の受託者 924,000 4.45%

矢吹明大 取締役 277,440 1.34%

荻野光 取締役 221,940 1.07%

辻亮人 従業員 184,800 0.89%

梅田裕真 特別利害関係者など 92,400 0.44%

西沢建造 従業員 88,548 0.43%

鎌田実築 従業員 83,484 0.40%

向井崇 従業員 83,484 0.40%

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人である佐上峻作、売出人である株式会社SMBC信託銀行(特定金外信 PKSHA SPARXアルゴリズム1号)、当社株主であるReo Asset Management1号投資事業有限責任組合、梅田裕真及び松本恭攝並びに当社新株予約権者であるコタエル信託株式会社(信託口)、矢吹明大及び荻野光は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2022年12月24日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 佐上 峻作(上場時31歳4カ月)/1991年生

本店所在地 東京都千代田区丸の内

設立年 2018年

従業員数 82人 (2022/04/30現在)(平均29.2歳、年収686.8万円)

事業内容 DX(デジタルトランスフォーメーション)・AI(人工知能)技術を活用したM&A仲介事業

URL https://masouken.com/

株主数 5人 (目論見書より)

資本金 205,565,000円 (2022/05/24現在)

代表者生年月日 1991年02月25日生まれ

代表者略歴

2013年09月 (株)マイクロアド入社

2015年11月 (株)Alpaca(現 ㈱スマートメディア)設立 代表取締役就任

2018年10月 当社設立

2019年01月 当社代表取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 大和 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 あかつき - -


【参考類似企業】今期予想PER(5/31) 時価総額 売上

2127 日本M&A 39.5倍 (連結予想) 4700憶

4792 山田コンサル 12.5倍 (連結予想) 227憶

6080 M&Aキャピ 24.1倍 (連結予想) 1046憶 150憶 43憶

6196 ストライク 26.0倍 (単独予想) 710憶  90憶 24憶

7076 名南M&A 17.2倍 (単独予想) 32憶

7360 オンデック 35.3倍 (単独予想) 39憶


【私見】

 M&A仲介ということで時流には乗っており評価はできます。同業との比較になりますが、売上規模などからも価額は適度で、成長性を加味すると上値余地はあると思います。キーエンスや証券会社出身の社員も多く営業力は高そうなので、日本M&Aセンターの市場を食っていく可能性もあるかもしれません。短期よりも中期でのセカンダリー銘柄と予想します。


想定価額:1210円

仮条件上限:1330円

初値予想:2000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価:3.5

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