2024年1月27日土曜日

IPO分析(Veritas In Silico)

 【事業内容】

​(1) 事業の背景

 疾患の発症のメカニズムは多種多様ですが、主に疾患の原因となるタンパク質(以下「疾患関連タンパク質」という)の異常な働きによって引き起こされ、現在の医薬品市場は、直接疾患関連タンパク質に結合し、その機能を制御することで異常な働きを止める医薬品(低分子医薬品、抗体医薬品など)が主流です。しかし、これらの医薬品が創薬標的として狙うことのできる疾患関連タンパク質の数はもともと限られているため、長年にわたる医薬品の研究開発※9の結果、新薬開発が求められている医療ニーズの高い疾患に対して新たに医薬品を創出することが難しくなっています。このように、創薬標的となる疾患関連タンパク質が限られてきている現状、すなわち「創薬標的の枯渇」が、製薬業界共通の課題となっています。

 mRNAは、DNAから特定のタンパク質に関する遺伝情報を書き写した設計図です。疾患関連タンパク質の設計図であるmRNAの機能を制御することができれば、疾患関連タンパク質の機能を直接医薬品で制御する場合と同様に、その疾患関連タンパク質が原因となる疾患を治療することが可能になり、「創薬標的の枯渇」の解決策につながることが期待されます。

 mRNAを標的とする医薬品は、核酸医薬品(DNAやRNAといった遺伝情報を司る物質「核酸」そのものを利用した医薬品のこと)によって実現されています。しかし、核酸医薬品は経口投与が困難であるだけでなく製造コストが高く、市場の拡大には限界があると考えられます。当社は、低分子医薬品のように経口投与が可能で患者様の負担が少なく、開発・製造技術が確立している安価な医薬品でmRNA標的創薬を実現することが、製薬業界の真のニーズであり、mRNA標的低分子医薬品は今後の成長市場になる可能性があると考えております。それにもかかわらず、mRNA標的低分子医薬品はこれまでほとんど創出されておりませんでした。低分子創薬では、創薬標的全体の構造を精密に解析し、創薬標的上に低分子医薬品が結合して薬効を示すことが期待できる構造を最初に特定すること(このプロセスを、以下「ターゲット探索」という)が重要です。しかしながら、mRNAは1つの決まった構造をとらず、創薬研究を始める際に精密な構造の解析を行うことが困難であるため、mRNAを創薬標的にして低分子創薬を実施することは難しいという業界の常識がありました。このような状況において、当社の創業者である中村が2000年代前半より技術開発してきたインシリコ※11RNA構造解析技術により、mRNAを創薬標的としたターゲット探索が可能になり(詳細は「(2) 当社の事業領域 ② ibVISⓇプラットフォーム c mRNA標的低分子創薬を可能にするインシリコRNA構造解析技術」を参照)、ターゲット探索の結果を活用した実用的な低分子化合物のスクリーニング※12法(様々な化合物の中からある一定の基準を満たす化合物を選択するためのプロセス)と合わせて、当社の創薬プラットフォームの基礎となっています。

 現在の医薬品市場の中心の一つであるタンパク質標的低分子医薬品とその創薬標的であるタンパク質の関係は、ちょうど「鍵」と「鍵穴」の関係に例えられ、低分子創薬とは、創薬標的上に「鍵穴」を探索し、様々な工程(「鍵候補」を見つけるスクリーニングなど)を経て「鍵穴」にピタリとはまる「鍵」を創出する一連のプロセスであると言えます。

 当社は、独自のインシリコRNA構造解析により、多くのmRNA上には局所的に低分子医薬品(「鍵」)が結合できる構造(「鍵穴」)があること(当社では、mRNA上に局所的に存在する構造を「部分構造」、そのうち標的として定める構造を「ターゲット構造」と呼んでおり、「鍵穴」は「ターゲット構造」に該当します)、しかも多くの場合、複数の「鍵穴」が存在することを見いだしました。また、これらの「鍵穴」に対して「鍵候補」を見つけるための独自改良したスクリーニング法の確立等により、タンパク質標的低分子創薬と同様に、新しい創薬アプローチであるmRNA標的低分子創薬の実施が可能になっています。

 mRNA標的低分子創薬は、当社のインシリコRNA構造解析の技術を用いることにより、新薬開発のニーズが高いにもかかわらず、タンパク質を標的とした従来創薬ではこれまで医薬品の研究開発が不可能もしくは困難であった様々な疾患に適用できる潜在性を秘めており、疾患関連タンパク質において大きな割合を占めるブルーオーシャン(競争相手のいない又は競争相手の少ない未開拓な市場)を開拓できる創薬アプローチであると考えております。患者様、製薬業界、そして経済的観点から社会に望まれている低分子医薬品の創出に取り組むことができることから、mRNA標的低分子創薬は次世代創薬の本命の一つとして期待されています。


(2) 当社の事業領域

 インシリコRNA構造解析技術をはじめとしたデジタル技術(informatics)と創薬技術(biology)を統合したibVISⓇプラットフォームを活用したmRNA標的低分子創薬を主事業としており、製薬会社との共同創薬研究を通じて、mRNA標的低分子医薬品の創出に取り組んでいます。

 また、将来の事業の多角化のため、インシリコRNA構造解析技術を応用した各種RNA関連創薬の取り組みも開始しています。

① mRNA標的低分子創薬

a mRNA標的低分子医薬品の作用メカニズム

私たちの体は、各部位の機能に応じて、その機能を発揮するために必要なタンパク質で構成されています。各部位の細胞内では、細胞の核の中にあるDNAがもつ全ての遺伝情報から、各部位に必要なタンパク質の遺伝情報のみがmRNAに書き写されます(転写)。mRNAは核内から外に運び出された後、書き写されたタンパク質の遺伝情報を設計図として、リボソーム※13というタンパク質合成機構に遭遇することでタンパク質の合成が開始されます(翻訳)。タンパク質の翻訳の際、まずリボソームがmRNAの一方の端(5'末端)に取り付き、このリボソームがもう一方の端(3'末端)に向かって進行しながらmRNAの遺伝情報を読み取り、20種類のアミノ酸(タンパク質の構成要素)の中から遺伝情報に対応するアミノ酸をつなげていくことでタンパク質が生成されます。この時、mRNA上にある程度安定な構造があっても、通常ならリボソームが構造をほどいて翻訳していきますが、より強固でほどけにくい構造がmRNA上にある場合には、リボソームによる翻訳反応の進行が妨げられます。

 当社のmRNA標的低分子創薬は、mRNA上にある程度安定で低分子医薬品が結合できそうな部分構造を見いだしてターゲットとし、そのターゲット構造に結合し安定化する低分子医薬品によって、mRNA上により強固でほどけにくい構造体を意図的に構築させることで、リボソームによるタンパク質の翻訳を阻害もしくは制御することを狙っています。これにより、疾患の原因となる疾患関連タンパク質の生成を抑えられれば、従来の低分子医薬品や抗体医薬品等で直接疾患原因タンパク質の機能を阻害もしくは制御する場合と同等の効果が得られると考えられます。


b mRNA標的低分子創薬の特徴 ― 研究開発 ―

 一般的に医薬品の研究開発は、創薬標的を決定した後、医薬品候補化合物※14を創出するまでの創薬研究(研究段階)後、非臨床試験、臨床試験、承認取得(開発段階)完了までに長い年月を要します。当社が製薬会社と実施しているmRNA標的低分子創薬では、タンパク質を標的とした従来の低分子創薬と創薬標的は異なりますが、最終目的物は同じ化学的特性をもつ低分子化合物であることから、表1に示す創薬研究以外の非臨床試験、臨床試験、承認審査、さらには承認後の製造・販売で必要となる技術及びインフラは従来の低分子創薬と共通しています。mRNA標的低分子創薬で臨床試験以降の開発に進んでいる例は世界的にみてもまだありませんが、化学的特性がタンパク質標的低分子創薬の医薬品候補化合物と同等であることに鑑みると、開発以降のリスクや成功確率は概ねタンパク質標的低分子創薬の医薬品候補化合物と同程度であると考えられます。また、低分子医薬品の場合には開発ガイドラインも確立されているため、開発段階以降の障壁は他の新規創薬技術と比較して小さいと考えられます。

  

c mRNA標的低分子創薬の特徴 ― 薬物動態・安全性 ―

 医薬品の創薬研究では、タンパク質標的低分子医薬品の場合には疾患関連タンパク質の機能を抑制する効果など、医薬品の主作用(薬効)だけではなく、医薬品が投与されてから血中へ吸収されるか、血中から目的とする組織・細胞へ移行するかといった点や、医薬品が体内で代謝や排泄される過程、さらには安全性を確保するための毒性の低減、といった様々な課題について検討し、最適化する必要があります(医薬品を投与してから「吸収」「分布」「代謝」「排泄」される過程を「薬物動態」という)。

 mRNA標的低分子創薬の創薬研究においても同様に薬物動態や安全性等の検討・最適化が必要ですが、タンパク質標的低分子医薬品と比べてmRNA標的低分子創薬の研究過程に特有の検討課題は、細胞内で標的とするmRNAに作用して疾患関連タンパク質を減少させられるかという「細胞内での効果」の工程のみであり、それ以外はタンパク質標的低分子創薬と共通しています。つまり、創薬研究段階におけるmRNA標的低分子創薬の新規創薬技術として特有のリスクは、概ね「細胞内での効果」が得られるか、という点になります。もちろん他の工程にもリスクはありますが、そのリスクはタンパク質標的低分子創薬と同様であると考えられ、この点については、長年の創薬研究を通じて各製薬会社には技術やノウハウが豊富に蓄積されています。逆に言うと、「細胞内での効果」は十分にあっても、mRNA標的低分子創薬特有ではない薬物動態や安全性により、創薬研究が中断するリスクがあるため、かかるリスクに対応した上でmRNA標的低分子創薬により患者様に医薬品を届ける観点からは、長年の創薬研究を通じて蓄積された各製薬会社の技術やノウハウが重要であると考えられます。当社ではこのリスクを鑑み、mRNA標的低分子創薬により患者様に医薬品を届けるためには、より多くの製薬会社と共同創薬研究を実施することが重要であると考え、「プラットフォーム型」のビジネスに注力しています。

 

② ibVISⓇプラットフォーム

a 多種多様な疾患に適応可能

当社は、これまで国内外の多くの製薬会社に、当社のibVISⓇプラットフォームの創薬技術及びデジタル技術を紹介してきました。これらの製薬会社より、ibVISⓇプラットフォームでmRNA標的低分子創薬を実施したいと開示をうけた創薬対象遺伝子(Gene of Interest;GOI)の数は既に100を超え、そこから推定される疾患領域は、がん領域、中枢神経、各種希少疾患の順に多く、その他は循環器疾患、免疫疾患、感染症など多種多様です。これは、製薬会社という創薬の専門家から見て、ibVISⓇプラットフォームが様々な疾患に適応可能であると考えられていることを示唆していると当社では考えております。中でも市場の大きいがん領域の割合が突出しており、医薬品が血液脳関門(神経細胞に影響のある物質をブロックする保護システム。Blood Brain Barrier;BBB)を通過する必要のある中枢神経疾患の割合ががん領域に続いております。これらは、製造コストが低く巨大な市場にも供給可能であり、BBBを通過できる低分子医薬品の強みを活かせる疾患領域であると考えられます。


 b ワンストップで医薬品候補化合物まで取得

当社のibVISⓇプラットフォームは、mRNA上に存在する低分子医薬品の「鍵穴」の候補となる部分構造を網羅的に解析し、その中から標的に適した「鍵穴」すなわちターゲット構造を定める「ターゲット探索」から、数万から数十万の低分子化合物の中からターゲット構造に対して結合が認められる化合物を実験的に選択する「スクリーニング」、スクリーニングで取得したヒット化合物※15とターゲット構造の結合の強度や結合の特徴を詳細に検証する「ヒット化合物検証」、ヒット化合物検証により取得したリード化合物※16を医薬品レベルにまで効果を高める「リード化合物最適化」により、最終的に非臨床試験以降に進める医薬品候補化合物を取得するまで、mRNA標的低分子創薬に必要な全ての創薬技術とデジタル技術を備えていると当社は考えております(図8、表2)。さらに、それらの創薬技術とデジタル技術が単に個々の技術としてではなく、一つの創薬システムとして統合されており、各製薬会社はibVISⓇプラットフォームを活用することで、mRNA標的低分子創薬で直面する多くの課題をワンストップで解決することが可能になると当社は考えております。特に当社の「ターゲット探索」は、独自のデジタル技術を活用したインシリコRNA構造解析により、製薬会社が任意に選択したmRNAから高速かつ正確に複数のターゲット構造を探索することが可能であり、当社の競争優位性の一つとなっています。


c mRNA標的低分子創薬を可能にするインシリコRNA構造解析技術

mRNAは分子内で相互作用して立体構造をとる巨大分子であり、細胞内の環境下では1つの決まった立体構造をとらず、様々なパターンの構造をとってそれらが混在するという性質があります。よって、一般的に一定の構造をとるタンパク質を標的とする既存創薬と同様の理論では、mRNA標的低分子創薬を実現することはできませんでした。

 当社の中村は、約20年にわたる創薬研究の経験に基づき、1つの決まった状態をとらない事象を取り扱う統計力学理論及び熱力学理論がmRNAの性質を解析する上で有用な方法であることを見出しました。具体的には、統計力学理論によりmRNA上に局所的に存在する部分構造の存在確率を計算し、熱力学理論により各部分構造のエネルギー状態の計算から安定性・不安定性を評価します。このように、既存創薬の研究領域(化学~生物学)に統計力学理論及び熱力学理論を適切に応用することにより、mRNA上の各部分構造を存在確率や安定性・不安定などの各指標にもとづき定量的に評価する方法論を確立し、その結果、mRNA上にはいつも同じ構造を取ろうとする安定な部分構造が存在することを明らかにしました。

   

③ その他のmRNA関連創薬の取組み

 インシリコRNA構造解析は、mRNA標的低分子創薬のターゲット探索だけではなく、mRNAの構造を詳細に解析できるという一般性から様々な創薬への応用が可能であると考えております。当社は、事業の安定性を担保する観点から、主事業のmRNA標的低分子創薬に続く将来事業を準備しています。

 具体的には、これまで理論的な配列設計が困難とされてきた核酸医薬品の一種であるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)※28の配列設計にインシリコRNA構造解析を応用しております。当社のインシリコRNA構造解析により、短期間で医薬品候補化合物を取得でき(当社では最短8カ月で取得)、その結果研究開発費を抑えることが可能になると考えております。当社はこれまでに、ASOの創薬研究で医薬品候補化合物を獲得し、物質特許を取得した実績もあるため(詳細は「(4) プロジェクトの進捗状況 ③ その他プロジェクト(自社研究)」を参照)、将来的に社内でもパイプラインを保有する方針に転換(ビジネスモデル転換)する際には、低分子化合物と同様にASOを有力な自社パイプライン候補とすることを想定しています(詳細は「(3) ビジネスモデルの特徴 ④ ビジネスモデルの転換」を参照)。

 

(3) ビジネスモデルの特徴

① ビジネスモデルの概要

 より多くのmRNA標的低分子医薬品を迅速に社会に届けるため、製薬会社の幅広いニーズに応える汎用性の高いibVISⓇプラットフォームを武器として、複数の製薬会社と多数の共同創薬プロジェクトを同時に進行させる「プラットフォーム型」のビジネスを展開しています(図12)。製薬会社との契約では、契約一時金、研究支援金にとどまらず、マイルストーン、ロイヤリティ等の対価を規定することにより、契約締結直後から長期的かつ継続した事業収益の確保を目指します。当社のようなバイオテク企業にとって、複数の共同創薬プロジェクトを同時進行するプラットフォーム型ビジネスは、安定した事業収益を確保する観点や、製薬会社との提携によってmRNA標的低分子医薬品の潜在的な市場のシェアを確保して数多くの医薬品を患者様にお届けする観点から、合理的なビジネスモデルであると考えております。

 

② 契約形式

 製薬会社と医薬品候補化合物を取得するまでの創薬研究を共同で実施する共同創薬研究契約を締結することを基本としています。共同創薬研究契約では、製薬会社から創薬対象とするmRNA(標的遺伝子)の情報を受領後、その標的遺伝子ごとにプロジェクトを設定し、各プロジェクトの進捗状況に応じて一連の継続的な事業収益が得られるように規定しています。

 当社と製薬会社の共同創薬研究契約に基づくパートナーシップ(以下、当社と共同創薬研究契約等に基づき、共同で創薬研究を実施する製薬会社を「パートナー」という)は、当社技術を用いて当社とパートナーが共同で医薬品候補化合物を創出する創薬研究段階と、医薬品候補化合物の創製における当社貢献部分をパートナーに譲渡し、パートナーが医薬品候補化合物の開発・販売を行うことで、当社に事業収益が発生する開発・販売段階で構成されます。各段階において当社が計上する主な事業収益は以下の通りです。


a 創薬研究

当社の共同創薬研究契約では、通常締結時にibVISⓇプラットフォームの使用に対する技術アクセスフィー等として「契約一時金」をパートナーより受領します。研究開始後、研究実施に対する費用支援・対価等として標的遺伝子ごとに設定された「研究支援金」を研究期間中毎年受領します。また、創薬研究中に追加的な研究が必要となる場合には、追加の「研究支援金」を標的遺伝子ごとに受領します。さらに、パートナーと事前にいくつかの研究達成目標、すなわちマイルストーンを設定し、当該マイルストーンを達成した場合には、パートナーより「研究マイルストーン」を受領します。


b 開発・販売

 当社の共同創薬研究契約では、基本的に、創薬研究における成果の当社貢献度に基づき、当社が開発・販売において受領する「開発マイルストーン」、「ロイヤリティ」、「売上マイルストーン」等の経済条件についても以下のとおり規定しています。

 創薬研究で医薬品候補化合物を取得し、パートナーにより非臨床試験に進む判断がされた場合には、当社はこの段階で、最初の「開発マイルストーン」を受領します。その後、医薬品候補化合物の開発はパートナーに委ねられますが、パートナーによる開発が進み、臨床試験に移行した場合には、臨床試験の段階ごとに追加的に「開発マイルストーン」を受領します。さらに、最終的に医薬品として上市された場合には、売上金額に一定の料率を乗じて得られる金額を「ロイヤリティ」として受領します。加えて、上市された医薬品の年間の売上高が所定の売上額に達した場合には、「売上マイルストーン」を受領します。


③ 知的財産戦略(特許及びソフトウェア著作権)

 ibVISⓇプラットフォームの「ターゲット探索」と「スクリーニング」の特許による権利化と、各種自社製作ソフトウェアで構成されるデジタル技術の秘匿化により、プラットフォーム全体の独占性を二重に担保しています。

 特許「RNAの機能を制御する化合物のスクリーニング方法」により権利化した技術は、デジタル技術の「MobyDick2D」と創薬技術の「qFRET」です。主に、これらの技術を利用するibVISⓇプラットフォームの「ターゲット探索」と「スクリーニング」では、権利化した特許によって他社の利用を排除でき、当社の優位技術として製薬会社に活用いただいています。

 

④ ビジネスモデルの転換

 mRNA標的低分子創薬の潜在的な市場のシェアをある程度確保した後に、プラットフォーム型ビジネスにくわえ、自社でパイプラインの開発も進めるハイブリッド型ビジネスへの転換を計画しています。プラットフォーム型ビジネスによりパートナー数を増やし、パートナーから中長期的に充分な収益が見込めるようになった段階(当社では2026年頃と想定)で、自社パイプラインの開発を開始することを目指しますが、当面は、開発の早い段階で製薬会社にライセンスアウトする方針です。

 自社パイプラインの候補としては、「(4) プロジェクトの進捗状況 ② mRNA標的低分子創薬のプロジェクト(自社研究) ③ その他プロジェクト(自社研究)」のmRNA標的低分子医薬品及び核酸医薬品のプロジェクトのほか、当社では核酸医薬品の医薬品候補化合物を取得するまでに要する期間が最短8か月と短いことから、新規の核酸医薬品のプロジェクトも自社パイプラインとして有力な候補になると考えています。


(4) プロジェクトの進捗状況

① mRNA標的低分子創薬のプロジェクト(共同創薬研究)

mRNA標的低分子創薬のプラットフォーム型ビジネスを展開する当社は、多額の開発費を投入して少数の自社パイプラインを育てる代わりに、共同創薬研究のパートナー数を増やすとともに、各パートナーとのプロジェクトを進捗させることで、相乗的な事業拡大を図っています。当社はこれまでに、プラットフォーム型ビジネスの特徴を活かしたパートナーとの共同研究を通じてibVISⓇプラットフォームの技術力向上を達成し、より高収益の共同創薬研究契約の締結が可能になりました(図16)。現在、共同創薬研究のパートナー4社(東レ株式会社、塩野義製薬株式会社、ラクオリア創薬株式会社、武田薬品工業株式会社)とのプロジェクトが進捗しています。

創薬ニーズへの対応や、当社の将来の自社パイプラインの準備等で本格的に事業提携することを想定しています。


 共同創薬研究中のパートナー4社とのプロジェクトが進捗しており、4社とのプロジェクト中で最も進んでいるプロジェクトは、現在「ヒット化合物検証」を実施中の段階です。

 当社は、共同研究及び共同創薬研究の契約にもとづき、これまでに合計5.5億円の事業収益を獲得しています(2023年9月末現在)。今後は、共同創薬研究中のパートナー4社との契約にもとづき、短期的(創薬研究期間中)には17.8億円(このうち5.5億円は取得済)の研究支援金又は研究マイルストーン、中期的(開発期間中)には80.5億円の開発マイルストーンを事業収益として獲得する可能性があります。さらに、医薬品が上市した場合には、長期的(販売期間中)に、1桁台前半パーセント(%)のロイヤリティ及び販売額に応じたマイルストーン収入(最大1,050億円)が見込まれます。ただし、東レの場合には、医薬品候補化合物の権利は東レと当社で共有することになっており、当社は化合物の持分に応じた収益を受領することになります。

 なお、研究・開発・売上のマイルストーンについては、いずれも既存のプロジェクトが全て成功した場合の最大値を示しています。創薬の成功確率は相対的に高くはなく、現実的に全てのプロジェクトが成功するわけではなく、一部又は全部のプロジェクトが成功に至らない場合や、成功に至った場合であっても当初想定した売上が達成できない場合等には研究・開発・売上のマイルストーンが減少する可能性がある点に十分ご留意ください。

 

② mRNA標的低分子創薬のプロジェクト(自社研究)

 mRNA標的低分子創薬は様々な疾患への応用展開が可能なことから、共同創薬研究開始後、パートナーあたりのプロジェクト数が積み上がる場合がある一方、パートナー側の社内優先順位等の関係で、一部のプロジェクトが中止される場合もあります。当社は、パートナーとの契約締結の際に開発・製造・販売ライセンスに関する取り決めを盛り込む場合を除き、中止されたプロジェクトの成果の当社への譲渡について契約書に規定することにより、自社プロジェクトへ転用することを可能にしています。実際に、中止されたプロジェクトのうち有望なプロジェクトについては自社プロジェクトに転用しており、事業開発や創薬プラットフォームの技術開発のために活用しています。

 当社のmRNA標的低分子創薬のプロジェクトは、医療ニーズの高いがん領域が中心であり、将来的に当社のビジネスモデルをハイブリッド型に移行する際には、これらのプロジェクトが自社パイプラインの有力な候補になると考えております。現時点においては、一部のプロジェクトについて、事業開発や創薬プラットフォームの技術開発を目的とした社内研究を実施するにとどめており、具体的に自社パイプライン候補として進捗しているプロジェクトはありません。


③ その他プロジェクト(自社研究)

 希少疾患を中心に、将来のハイブリッド型ビジネスを見据えた核酸医薬品 (核酸医薬品の一種であるASO) のプロジェクトを保有しています。また、mRNA医薬品及びncRNA標的医薬品のプロジェクトは、現在基礎研究(ターゲット探索)を実施中です。

 核酸医薬品のプロジェクトは、急性腎不全や脱毛症を対象疾患とした遺伝子p53に対するASO、及び東京慈恵会医科大学の岡野ジェイムス洋尚教授との共同研究により創出された、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患を対象疾患としたASOであり、両プロジェクトともに医薬品候補化合物を取得して物質特許を出願し、p53のASOについては日本で特許が権利化されました。

 mRNA医薬品(mRNA補充療法)では、タンパク質補充療法の実例があるファブリー病とハンター症候群に着目し、これら疾患の治療で補充すべきタンパク質の設計図となるmRNAをもとに、血中で安定し、自己凝集しないmRNA医薬の配列設計を開始しています。

 ncRNA標的医薬品のプロジェクトとしては、ncRNAの中でも機能が解明され、多発性骨髄腫への関与がわかっているncRNAに対して、核酸医薬品を創出するプロジェクトを開始しています。

 

【業績等】

決算期 種別 事業収益 営業利益 経常利益 純利益

2023/12 単独3Q累計実績 279 39 37 35

2023/12 単独会社予想 359 35 34 31

2022/12 単独実績 178 -138 -138 -141

2021/12 単独実績 59 -235 -240 -232


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/12 単独会社予想 5.67 286.03 0.00


募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


上場時発行済株数 6,301,314株(別に潜在株式611,256株)

公開株数 920,000株(公募800,000株、オーバーアロットメント120,000株)

調達資金使途 研究開発費、設備投資資金、運転資金


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:9.2億

公募時時価:63億

​ 

【株主構成】 

中村慎吾 代表取締役社長 1,426,000 23.33% 180日

三菱ガス化学(株) 特別利害関係者など 731,256 11.96% 180日

New Life Science1号投組 投資業(ファンド) 556,444 9.10%

三菱UFJライフサイエンス1号投組 投資業(ファンド) 512,640 8.39%

上村孝 取締役 498,000 8.15% 180日

IEファスト&エクセレント投組 投資業(ファンド) 344,000 5.63%

梨本正之 研究顧問 298,390 4.88%

名大・東海地区大学ベンチャー1号投組 投資業(ファンド) 285,834 4.68%

エムスリー(株) 特別利害関係者など 240,000 3.93%

松岡弘之 取締役 208,000 3.40%

みずほ成長支援第3号投組 投資業(ファンド) 166,666 2.73%


 本募集に関連して、貸株人である中村慎吾並びに当社株主(新株予約権者を含む。)である三菱瓦斯化学株式会社、上村孝、梨本正之、松岡弘之、小南欽一郎、篠阿弥宇、甲田伊佐男、森下えら、木下広志、高田遼平、萩原宏昭、牟田祐子、黒田ほづえ、神田希、杉浦愛妙、大津舞菜、河合剛太、岡野ジェイムス洋尚、中谷和彦、楢原芽吹、廣岡穣、秋葉薫、渡邊伸一及び古谷誠は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2024年8月5日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等を行わない旨合意しております。

 また、当社株主であるNew Life Science 1号投資事業有限責任組合、三菱UFJライフサイエンス1号投資事業有限責任組合、IEファスト&エクセレント投資事業有限責任組合、名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー1号投資事業有限責任組合、エムスリー株式会社、みずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合、新生企業投資株式会社、SMBCベンチャーキャピタル4号投資事業有限責任組合、みずほライフサイエンス第1号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合、グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合、KDDI新規事業育成3号投資事業有限責任組合及びイノベーション・エンジンPOC第2号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の2024年5月7日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 中村 慎吾(上場時51歳8カ月)/1972年生

本店所在地 東京都品川区西五反田

設立年 2016年

従業員数 15人 (2023/11/30現在)(平均44.2歳、年収682.4万円)

事業内容 mRNA(メッセンジャーリボ核酸)を標的とする低分子創薬や核酸創薬のプラットフォーム事業

URL https://www.veritasinsilico.com/

株主数 19人 (目論見書より)

資本金 90,000,000円 (2024/01/05現在)

代表者生年月日 1972年06月07日生まれ

代表者略歴

2003年10月 武田薬品工業株式会社入社

2011年05月 Dow Chemical Japan 入社 営業部長補佐

2011年11月 Catalent Pharma Solutions 入社 事業開発部長

2015年07月 株式会社産業革新機構 入社 戦略投資ディレクター

2016年11月 当社 代表取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 あかつき - -


【参考類似企業】時価総額(1/10)

4571 NANO 704億円

4583 カイオム 71億円

4587 ペプチド 1,360億円

4591 リボミック 39億円


【私見】

 バイオ銘柄ですが、mRNAバイオベンチャーということで強みはあり黒字なので、赤字の創薬系VCとは一味違った銘柄と感じます。短期的な収入を確保しつつ、中期的にはビックマネーも狙える仕組みにはなっており夢のある銘柄ですが、世界的にみると現実難しいのかとも思います。長期では分かりませんが、短期的には仮条件も想定を下回り、ロック基準も甘いので公募前後の動きと予想します。


想定価額:1120円

仮条件上限:1000円

初値予想:1000円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

2024年1月26日金曜日

上場承認(光フードサービス)

 02/28 光フードサービス 138A 小売業 東グロ 東海東京証券     

事業内容:立呑み居酒屋を中心とした飲食店の展開

公開株数合計 320,000 OA 48,000(7.4億)

公募株数 320,000 売出株数 0

発行済み株数⇒992,000(20億)

ブックビルディング2/09~2/16

引受証券会社 東海東京証券 SMBC日興証券 岡三証券 極東証券 楽天証券 水戸証券 

想定価額:2000円 予想レンジ2500円~4000円 期待度3.5

東海の小規模な案件ですが、完全ロックで需給は良いので悪くはないでしょう。

上場承認(Cocolive)

 2/28 Cocolive 137A 情報・通信業 東グロ SMBC日興証券     

事業内容:不動産業界向けマーケティングオートメーションツール「KASIKA」の開発、顧客への提供その他関連する業務

公開株数合計 615,300 OA 92,200(12.6億)

公募株数 150,000 売出株数 465,300

発行済み株数⇒2,918,600(52億)

ブックビルディング2/09~6

引受証券会社 SMBC日興証券 みずほ証券 楽天証券 松井証券 SBI証券 

想定価額:1780円 予想レンジ1800円~2800円 期待度3.5

業績は良いですが、類似業種も多く、VCもいるので大きくは上がらないでしょう。

2024年1月23日火曜日

IPO分析(SOLIZA)

 【事業内容】

​1. 当社グループの事業の構成

 3Dプリンターによる試作品の製作から製品開発支援の事業をスタートし、エンジニアリングパートナー企業として開発支援領域におけるサービスを拡大して参りました。現在は、試作品の製作だけでなく、試作の前工程である研究開発・デザイン(スタイリング)・制御・設計・解析や、後工程である生産準備・3Dプリンターによる最終部品の製作など製品開発のエンジニアリングチェーンを幅広く支援できる体制を構築しております。また、ソフトウエア開発やサイバーセキュリティへの対応としてのデジタルリスクマネジメントまで製品開発の全工程に関わるエンジニアリングパートナー企業です。

 当社グループのエンジニアが顧客企業の製品開発に対し、直接的に製品開発ノウハウ・技術等を提供する「デザイン事業」と、顧客企業に対して当社グループ所有の3Dプリンター等の設備による試作モデル製作及び最終製品に使用出来る少量多品種製品の製作や3Dプリンターの代理販売・保守サポート等を行う「マニュファクチュアリング事業」の2つのセグメントで構成されております。


(1) デザイン事業

 主に自動車業界の開発部門を中心にサービスを提供しており、自動車開発に強みを持つエンジニアが多数所属しております。サービス構成としては、直接的に顧客企業の製品開発をサポートする「エンジニアリングサービス」と顧客企業の競争優位性確保を支援する「コンサルティングサービス」により構成されております。

 エンジニアリングサービスは、当社グループのエンジニアが保有する製品開発ノウハウやデジタル技術等を顧客企業の開発現場にて直接提供するオンサイト支援(契約形態としては請負契約・準委任契約・派遣契約など)もしくは、顧客企業から依頼を受け取り決めたアウトプット等を提供するオフサイト支援(契約形態としては請負契約・準委任契約など)にて提供しております。エンジニアリングサービスは、デザイン & シミュレーション領域、ソフトウエア & シミュレーション領域、デジタルリスク領域の3領域にて提供を行っており、また日本を始め米国・欧州・中国・インドにてサービスを展開しております。

 コンサルティングサービスは、企業のビジネスモデルや製品開発の業務プロセスの変革等の実行力を提供するサービスです。暗黙知(意思決定ロジック)まで踏み込む徹底した可視化・数値化技術をベースとした当社独自の方法論とエンジニアリングサービスで培った開発現場での経験・ノウハウ、デジタル技術を融合させて、技術課題の解決や組織横断的なプロセス最適化により顧客企業の競争優位性強化に向けた変革を推進します。製造業だけでなく、非製造業の顧客にもサービス展開しております。


① エンジニアリングサービス

[デザイン & シミュレーション領域]

■製品設計

 自動車業界を中心に長年培ってきた製品設計技術・ノウハウ及び3D CAD(※2)技術と知見を有するエンジニアが、自動車、航空機、建設機械、重工業、電気、機械、精密機器、医療機器など製造業を中心とした様々な企業に対して、デザインから設計、解析、試作、金型製造、生産に至る製品開発工程へのエンジニアリングサービスを提供しております。また3D CAD等のデジタル技術を有効活用したツール開発サービスも提供しております。3D CADはハイエンドCADからミドルエンドCADまで幅広く対応が可能です。

 世界的なカーボンニュートラルへの取り組みを背景に、環境に配慮した設計も重要となってきております。そのためライフサイクルエンジニアリングの観点を踏まえた設計業務への取り組みも開始しております。


■解析・シミュレーション

 性能を高め、開発コストを抑え、最適な設計を導き、開発期間を短縮するため、構造解析・機構解析・熱流体解析・電磁界解析など様々な解析業務を行っております。また、自動車1台分の大規模解析用メッシュデータ(※4)の構築や3Dスキャンしたデータからのリバース解析(※5)にも対応しております。

 設計領域のエンジニアとの連携によって最適化解析による製品付加価値向上に向けた最適設計の支援や、MBD領域のエンジニアとの連携によって制御モデルを含めた車両システム全体としてのシミュレーション支援等も実行可能です。


[ソフトウエア & シミュレーション領域]

■MBD

 自動車業界においては、自動運転や電気自動車(EV)開発の拡大を背景に自動車制御の複雑化が進み、制御プログラム開発の重要性がますます高まっております。また、IoT(Internet of Things)などの新たなサービス拡大などからセンシング技術やソフトウエア開発の重要性も増しています。このような複雑・高度な開発動向において、設計のやり直しや手戻りが少なく、開発期間の短縮や開発コストの削減といった利点のあるシミュレーションを行いながら開発を進めるMBDは、主要な開発技術の一つとなっております。

 本領域において、要件定義を最適化する要求仕様分析から制御モデル・プラントモデルの構築、HILSの環境構築・HILSテストの自動化ツール開発、自動運転シミュレータの構築などに対応できる技術を要し顧客企業へのサービス提供を実施しております。


■ソフトウエア

 製造業をはじめ、ビジネス全体においてソフトウエアの需要が急増し、ソフトウエアファーストと言われるほどソフトウエアの重要性が年々増しております。

 本領域において、ソフトウエア開発そのものの支援としてシステム設計・ソフトウエア設計から、複数のプログラミング言語におけるコーディング、検証領域まで対応したサービスを提供しております。また、国際規格や業界標準規格に準拠した規格適合プロセス構築や改善・運用支援サービス、また主にWeb系や業務系ソフトウエア向けに、システムやソフトウエア製品の品質特性を考慮したテスト計画をはじめとする各種テスト設計及び実行、品質強化施策のマネジメント支援等の第三者検証サービスを提供しております。デザイン & シミュレーション領域にて長年にわたり車載機器やデジタル機器等の製品や機構を熟知したエンジニアとともにハード・ソフト両面でのサービス提供が可能です。


■XR

 XRとはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実世界と仮想世界を融合することで現実には無いものを知覚できる技術の総称で、今後様々な領域での活用が期待されている技術です。デバイスの進化とともに、仮想的に体感できる環境が整いつつあり、その質も向上しています。

 本領域において、作り手と使い手を体験価値でつなぐコミュニケーションツールと位置付け、主にVR(仮想現実)技術と当社グループが以前より保有する3D技術を組み合わせ、コンテンツの制作やVR空間データ等の構築のサービス提供を行っております。ものづくりの開発効率や品質向上への貢献に加え、リアリティがあり、かつ、制約の少ないバーチャル空間上で体験型コンテンツを繰り返し利用することでエンジニアや学生の人材育成にも寄与します。


[デジタルリスク領域]

 自動車業界をはじめとする製造業では、製品がソフトウエアにより制御される割合の増加、製品そのものが通信機能を有することや工場等においてはDXやIoT等への対応で設備がインターネット網と接続されることが急増しております。それに合わせて、ものづくりにおけるサイバーセキュリティや法規・国際規格などへの対応が急務となっております。

 本領域において、ものづくり及びものづくりの開発プロセスを熟知したエンジニアがデジタルリスクに関する脅威/脆弱性分析・リスクアセスメント、開発フェーズにおけるセキュリティ設計・実装・各種テスト設計・環境構築・テスト実行等へのサービス提供を実施しております。またインシデント発生後のデジタル鑑識として法的証拠を作成するデジタル・フォレンジックサービスも実施しております。


[エンジニアリングサービスの支援体制、教育/人材育成について]

■支援体制について

 特に製品設計、解析・シミュレーション、MBDの各領域においては、当社グループのエンジニアが自動車業界における完成車メーカーや部品メーカーなどでお客様の開発の現場にて長期にわたり数々の製品開発プロジェクトに携わってきており、製品開発の経験10年以上の中堅・ベテランが数多く育ち、お客様の開発支援に貢献出来る体制を形成しております。その他のデジタルリスク・ソフトウエア・XR領域については設計等の前述のサービスを提供しているお客様に対し、より広範囲かつ総合的なサービス提供を可能とするために近年開始したサービスとなっております。お客様の要望や状況に応じ、領域単体もしくは複数領域において、オンサイトとオフサイトを柔軟に組み合わせたサービス提供の支援体制を構築しております。


■教育/人材育成体制について

 多くの開発現場で培ってきた経験やノウハウをもとに、各領域においてエキスパートとなるエンジニアを育成するため、実際の開発業務の場面等を想定した当社独自のトレーニング教材とカリキュラムによりエンジニアとしての教育を徹底して行っております。お客様のオンサイト支援においても、当社エンジニアがチームを組み開発プロセスや製品等における知識・ノウハウを相互に伝授するなどの体制を構築しております。

 

② コンサルティングサービス

■変革コンサルティング

 エンジニアリングサービス及びマニュファクチュアリング事業で培ってきたものづくりの開発工程及び各種技術等の知見を活かし、自動車、電気、重工業等の製造業や建設業、さらに金融やサービス業など非製造業までの幅広い顧客に対して、競争優位性を高めることを目的とし、組織横断的な課題解決や技術課題の解決等のコンサルティングを行うサービスです。当社グループは、業務において人が判断する際の判断材料や判断基準など、通常では言語化が難しい思考プロセスまでを洗い出し分析する当社独自の方法論により、現状の業務を徹底的に可視化・数値化し分析することで、顧客企業が目指す状態と現状のギャップを明らかにします。目指す姿と現状を可視化することにより、現状課題や取り組みの方向性など、顧客企業の経営トップから現場の担当者まで共通の課題認識を生み出し、組織が一丸となって変革に取り組む推進力を生み出しております。


■AI搭載のSaaSプロダクト、ソフトウエアの導入コンサルティング

 近年、変革コンサルティングサービスに対し、ソフトウエア・AI技術を業務に活用し、企業パフォーマンスを向上させるための取り組みを行い、AI技術を活用する業務プロセスの構築やAI製品の提供を実施しております。

 AI製品は、AI技術を用いたSaaS型のサービス提供となります。具体的には、当社独自の自然言語処理AIエンジン(アスペクトAI™)を搭載したSpectAシリーズにより、熟練者が培ってきた経験・ノウハウや着眼点を組織全体での利用が可能な形に変換し、ダイナミックな知恵の活用を実現します。

 また幾何学的ディープラーニング技術の業界リーダーである米国Physna社が提供する、革新的な幾何学AI検索を持つ3次元データ管理システムであるPhysnaを米国・日本・インドにて代理店契約を締結しライセンス販売及び導入サポート支援を実施しております。設計・製造のみならず購買・調達等の広範囲な業務において3Dデータ運用の促進が可能となります。

 ソフトウエア製品は、子会社のインド法人であるSOLIZE India Technologies Private Limitedが仏Dassault Systemes社製などのものづくりの開発工程に活用される各種ソフトウエア製品の販売・導入支援等を実施しております。


(2) マニュファクチュアリング事業

 1990年に3Dプリンターを導入し、30年以上にわたり蓄積してきた3Dプリンティングにおける技術とノウハウ、並びに自社で保有する3Dプリンター等の造形設備を活用し、製品開発における評価・検証等に使用される試作部品や、最終製品に使用される量産部品の提供を行っております。また、3Dプリンターの販売・保守サポート、材料販売、3Dプリンティングにおける長年の経験と実績を活かし、3Dプリンターの新材料の開発、AM(※10)技術導入支援サービスも行っております。これらの3Dプリンターにおける幅広いケイパビリティを活用し、次の2つのワンストップサービスを提供できることが特徴です。


・3Dプリンターの活用を推進するワンストップサービス

 AMの特性を活かすための開発上流からのエンジニアリング支援と自社保有の3Dプリンターでのベンチマーキング製造にて性能評価を行った上で、適切な3Dプリンター装置の選定・販売が可能です。また装置の保守、3Dプリンター用の材料の開発及び販売のサービスを行っております。


・設計、データ作成から部品製造に至るまでの部品供給のワンストップサービス

 お客様が3次元データを持っていない場合、3次元データの作成から、用途に応じ適切な精度や材料にて部品を製造し納入するワンストップサービスです。当社設備で製造できない工法や加工については、協力会社と連携し部品製造をとりまとめることで一括して納入することが可能です。


[デジタルものづくり領域]

■樹脂・金属3Dプリンティング

 顧客企業の開発精度を高めるため、用途や試験内容をあらかじめヒアリングし、弾性、強度、透明度、耐熱性など様々なパラメータをもとに、そのニーズに最適な工法を提案します。また、外注業者と協力し注型や鋳造、切削等の併用や、塗装やメッキ処理等の多様な二次処理により、そのまま機能評価試験に使用可能な風洞試験(※11)、衝突試験、組付確認向けなどの「試験モデル」や、少量多品種向けの「最終部品」の納品まで対応しております。

 国内最大級のハイエンド3Dプリンターのキャパシティを誇る光造形機・粉末造形機や金属造形機等の設備と、豊富な材料バリエーションにより、顧客企業の要望に合わせタイムリーなデリバリーを行っております。大和工場(神奈川県大和市)、横浜工場(神奈川県横浜市都筑区)及び豊田工場(愛知県豊田市)の3拠点に合計40台(2023年11月末時点、詳細は表に記載)を導入し、試作品から最終部品まで用途及び提案のバリエーションを拡大し、お客様のニーズに柔軟に対応する体制が整っております。最終部品の製造への対応として、大和工場には3Dプリンターによる量産ラインを構築しております。


 ■Additive Manufacturing技術導入支援

 近年、3Dプリンター装置やソフトウエア、造形材料の開発・進化が進み、AM(Additive Manufacturing)の適用範囲は広がっております。既存工法では実現の難しい性能や形状への対応が可能となる一方で、AM技術は既存工法と異なる点が多くあり、メリットを感じても実際の製品への適用へは多くのハードルがあります。そのようなお客様に対し、AM活用の加速に向けた共同プロジェクトを推進するサービスを提供しております。技術テーマに応じ、デザイン事業の設計領域や解析領域等のエンジニアメンバーも含めたチームを編成し幅広い対応が可能です。具体的には金属AM材料の開発研究・支援、AM(樹脂、金属)応用技術開発支援、AMを活用した設計効果検証、AM生産技術構築・生産プロセスの構築支援等を提供しております。


[3Dプリンター装置導入領域]

 3D Systems社及びHP社の日本国内正規代理店として、3Dプリンターの販売・運用サポート等を行っております。当社グループは、1990年から3D Systems社の造形機を導入し、日本でいち早く光造形の試作サービスを開始しているため、単なる装置販売ではなく、蓄積した生産技術ノウハウを有効活用し、顧客企業が装置を導入する際には、そのニーズに合った生産技術も併せて提案する形で販売しております。また、3Dプリンターの各種材料販売並びにメンテナンスサービスも行っております。


2. 当社グループの特徴

(1) デジタルものづくりの革新を牽引

 1990年の設立時に、日本の製造業が海外に遅れを取ることなく競争力を高めていくために、3D技術及び光造形技術を活用した製造業の開発支援を開始したことが当社グループの起源です。

 当初は3D CADを活用したエンジニアリングサービス及び光造形による試作事業を中心として事業を運営しておりましたが、その後、3D技術を始めとしたデジタル技術のニーズの高まりにより、これらの事業で得られた知見を活用して3D CADの活用強化やより高度な設計への対応、解析・MBD・ソフトウエア・XR・デジタルリスク等の各種エンジニアリングサービスの開始といったサービスの変遷が発生し、さらに製品開発の過程で得られたノウハウを活用し変革コンサルティングサービスも開始するなど、現在のデザイン事業の基礎が築かれました。この過程で、グループ全体としての収益構造が設備投資主体からエンジニアを主体とした収益の獲得へとシフトし、収益性の向上を進めて参りました。

 このように、3D技術からスタートし、それぞれの時代における最新のデジタル技術を積極的に取り入れ、自動車業界並びに製造業全体への3次元化に対する支援や、3Dデータを活用して金型製作期間を短縮するなど、デジタルものづくりの革新を牽引して参りました。

 現在においても、製品に対する市場・顧客からのニーズは多様化し、製品開発の現場ではそのニーズに応えるべく、日々変化が起こっております。例えば、自動車開発における自動運転や電気自動車に代表されるような製品開発における電子制御領域の拡大、電気化、コネクティッド化など急速な変化と技術開発が進んでいます。また、多様なニーズに応える製品を開発するため、3Dプリンターを有効活用した少量多品種なものづくりを可能とする技術への期待が高まり、同時に環境に配慮をしたエンジニアリングの重要性が増しております。

 このような背景の中、これからの技術として期待が高まっているMBDや3DプリンターによるAdditive Manufacturingの活用や量産品への適用、環境に配慮したものづくりへの取り組みをさらに加速するために、当社グループは2018年4月にSOLIZEテクノロジーラボ、2020年4月にデジタルマニュファクチャリング開発統括部(2022年1月に現 デジタルエンジニアリング開発統括部へ名称変更)を研究開発部門として設立しました。

 SOLIZEテクノロジーラボは、次世代のものづくりのあり方についての調査・研究、先行開発を目的とし、社会課題を含むより長期的テーマへの取り組み、デジタルエンジニアリング開発統括部は技術開発やお客様の技術課題への取り組みやお客様との共同研究など多様化するお客様のニーズへの対応を主要な活動と位置づけております。今後も技術への取り組みと人材育成を通じて、デジタルものづくりの革新に貢献して参ります。


(2) 実践力と変革力の両方を備え持つ独自のケイパビリティ

 設立以降、事業を通じ多様な開発現場で培っているデジタルエンジニアリング、デジタルマニュファクチュアリングでのデジタルものづくりの実践力の提供を行って参りました。また、その経験から得たデジタル技術の習得やノウハウをもとに意思決定ロジック(暗黙知)まで踏み込む徹底した可視化・数値化技術をベースとした組織知を活性化させる当社独自の方法論に基づく部門横断での変革力の提供も行っております。この両方のケイパビリティを同時に保有し事業活動を実施していることは当社の独自性です。この独自性を最大限に発揮し、顧客に対し長期に渡る開発及び変革のパートナーとなり価値提供を行って参ります。


(3) グローバルでの開発支援体制及び優れた現地エンジニアの活用

 顧客企業においては、最終消費地のニーズをとらえて製品開発を行う必要性や、世界中のエンジニアの能力を活用するといった観点から、海外拠点に製品開発組織を設置し、ネットワークを介してデータを共有しながら製品開発を進めるといった、グローバルでの製品開発が進んでいます。

 顧客企業のグローバル製品開発を支援する体制を持つこと及び、グローバルで優秀な人材を獲得することを目的として、日本、米国、中国、インド、欧州の5極体制を構築しております。

 特に、インド、米国については、2016年5月に、ESO(Engineering Services Outsourcing)の会社であるCSMグループのCSM Software Private Limited(現SOLIZE India Technologies Private Limited)及びCSM Software USA,LLC(現SOLIZE USA Corporation)を買収し、インド及び米国における支援体制をさらに強固なものとしております。また、インドについては、グローバルオフショアリングセンターと位置付け、世界中からの設計・解析業務を請け負う体制を構築しております。

 2022年末時点において、当社には自動車等の開発に従事することができるハイエンドエンジニアがグローバルに1,451名所属しています。内訳としては、日本1,205名、インド148名、米国75名、中国23名となっております。


 【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/12 連結3Q累計実績 14,492 425 433 282

2023/12 連結会社予想 19,818 867 866 603

2022/12 連結実績 17,827 680 711 566

2021/12 連結実績 15,854 130 480 292


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/12 連結会社予想 130.94 2,403.45 44.00


上場時発行済株数 6,000,000株(別に潜在株式555,600株)

公開株数 1,144,400株(公募995,200株、オーバーアロットメント149,200株)

調達資金使途 設備投資、運転資金


PER:11.2

PBR:

配当利回り:3.0%

公募時吸い上げ資金:16.8億

公募時時価:88億

​   

【株主構成】 180日

SOLIZE従業員持株会 特別利害関係者など 1,326,600 28.80%

古河未由紀 元取締役会長の相続人 796,800 17.30%

篠原敬一 元取締役会長 348,000 7.56%

東京中小企業投資育成(株) 投資業(ファンド) 300,000 6.51%

古河摩耶 元取締役会長の相続人 202,500 4.40%

古河慶純 元取締役会長の相続人 202,500 4.40%

古河陽純 元取締役会長の相続人 202,500 4.40%

古河真季 元取締役会長の相続人 202,500 4.40%

宮藤康聡 代表取締役社長CEO 108,000 2.34%

堤寛朗 執行役員 78,000 1.69%

田中瑞樹 執行役員 78,000 1.69%

村田直樹 執行役員 78,000 1.69%

後藤文男 従業員 78,000 1.69%


 本募集に関連して、当社の株主であるSOLIZE従業員持株会、古河未由紀、篠原敬一、東京中小企業投資育成株式会社、古河摩耶、古河慶純、古河陽純、古河真季、宮藤康聡、堤寛朗、田中瑞樹、村田直樹、後藤文男、阿部浩之、髙野学、佐藤武朗、猪俣孝、木下和重及び一般財団法人SOLIZE財団は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目の日までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 加えて、当社の新株予約権を保有する古河未由紀、篠原敬一、宮藤康聡、堤寛朗、田中瑞樹、村田直樹、後藤文男、阿部浩之、髙野学、佐藤武朗、猪俣孝、木下和重、村田光、鈴木貴人、吉井強、井上雄介、乃村嘉裕、斎藤拓弥、兼子慶司、小林紀知、髙橋克英、福島康弘、皆川裕司、田村圭、太田亨、川村茂寛、一之瀬誠、岡﨑匡純、平嶺伸樹、竹澤武敏、櫻井敦、鈴木伸、西田公祐、緒方良太、児玉佳亮、西来路正彦、原貴政、山岡糾、大竹剛之、荻原勇志、中島直樹、青木晃、神山顕久、地主亮、増田秀仙、西﨑豊、根津純、長坂佑一、勝又輝之及び澤謙太は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。

 

【代表者】

代表者名 宮藤 康聡(上場時57歳8カ月)/1966年生

本店所在地 東京都千代田区三番町

設立年 1990年

従業員数 1683人 (2023/11/30現在)(平均35.9歳、年収592.7万円)、連結1983人

事業内容 エンジニアの派遣・請負による設計支援、3Dプリンターによる試作/最終製品の製作、および製品開発を革新するコンサルティング

URL https://www.solize.com/

株主数 19人 (目論見書より)

資本金 10,000,000円 (2023/12/25現在)

代表者生年月日 1966年05月30日生まれ

代表者略歴

1990年04月 本田技研工業㈱入社

2001年05月 ㈱ファーストリテイリング入社

2005年11月 ㈱インクス(現当社)入社、㈱インクスエンジニアリングサービス(現当社)出向 人事総務部長

2008年03月 ㈱インクスエンジニアリング(現当社)取締役

2012年09月 英知創機械科技(上海)有限公司董事

2017年11月 SOLIZE Engineering㈱(現当社)代表取締役社長

2018年11月 英知創機械科技(上海)有限公司董事長

2020年01月 当社代表取締役社長CEO(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

引受証券 野村 - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】今期予想PER(12/27)

2136 ヒップ 10.8倍 (単独予想)

2186 ソーバル 17.3倍 (連結予想)

3444 菊池製作 236.4倍 (連結予想)

4371 CCT 35.5倍 (連結予想)

4641 アルプス技 16.5倍 (連結予想)

5704 JMC 20.5倍 (単独予想)

6028 テクノプロHD 23.7倍 (連結予想)

6087 アビスト 20.1倍 (単独予想)

6143 ソディック - (連結予想)

6554 エスユーエス 10.8倍 (連結予想)

7088 フォーラムエンシ 24.5倍 (連結予想)

7637 白銅 12.0倍 (連結予想)

7999 MUTOH-HD 13.1倍 (連結予想)

9744 メイテックGHD 18.7倍 (連結予想)


【私見】

 3Dプリンタと派遣関連銘柄で、成長性は高くなく類似業種も多く妙味はそれほどありません。今12月期の決算は良く、PERからは割安水準で、次の決算次第で上昇は狙えそうな水準です。売出しなし、完全ロック、配当3%は好感がもて、年初のIPO第一弾としては初値プレミアムが付く可能性はありそうです。そうは言っても、成長性から1500円から1800円くらいが妥当な水準で、初値は妥当水準より高くなる可能性が高いでしょう。


想定価額:1380円

仮条件上限:1470円

初値予想:2000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

2024年1月19日金曜日

上場承認(VRAIN Solution)

 2/22 VRAIN Solution  135A       情報・通信業      東グロ  SMBC日興証券

事業内容:製造業向けAIソリューションの提供

公開株数合計      1,107,900            オーバーアロットメントによる売出し:166,100公募株数             210,000 売出株数       897,900(35.1憶)

発行済み株数⇒10,110,000(279憶)

ブックビルディング2/06〜13

幹事会社 SMBC日興証券 野村證券 大和証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 マネックス証券 松井証券 楽天証券 東海東京証券 岩井コスモ証券

想定価額:2760円 予想レンジ:2600円〜3800円 評価:3.5

業種・業績は悪くないのですが、規模が大きく、株主ジャフコのロック条件などから短期的には人気化しないでしょう。


2024年1月15日月曜日

直近高配当銘柄

今はプライムの中心銘柄の買いで良いと思いますが、直近銘柄の高配当銘柄にスポットを当てたいと思います。マークしているのが3銘柄。

全保連 
公募→終値 600円→862円
EPS 79.81  PER7.5→10.1
配当 25円→30円  4.2%→3.48%
増配などを発表し株価が上昇しましたが、いまだ悪くない水準。業績期待もあるので800円台前半は狙っても良い水準だと思いました。


ダイワサイクル
公募→終値  1610円→2037円
EPS 230.67  PER7.0→8.8
配当 42円   2.6%→2.1%
配当は高い水準ではなくなってきましたが、今月決算で、PERも低いことから2000円以下は狙っても良い水準だと思いました。


早稲田学習研究会
公募→終値  970円→1126円
EPS 106.72  PER9.1→10.7
配当 52.8円      5.4%→4.7%
5%は切りましたがいまだ高水準です。低PERでインカムも狙えそうで、1100円以下は狙っても良い水準だと思いました。





2024年1月7日日曜日

上場承認(Veritas In Silico)

 2/08 Veritas In Silico  130A 医薬品 東グロ みずほ証券      

事業内容:mRNAを標的とする低分子創薬および核酸創薬のプラットフォーム事業

公開株数合計 800,000  オーバーアロットメントによる売出し:120,000株(10.3億)

公募株数 800,000 売出株数 0

発行済み株数⇒6,301,314(71億)

ブックビルディング1/24~30

引受証券会社 みずほ証券 SMBC日興証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 楽天証券 松井証券 あかつき証券 

想定価額:1120円 予想レンジ1000円~1800円 期待度3

mRNAという特徴はあり、規模感・完全ロックなどプラス材料はありますが、業績と成長性から人気にはならないでしょう。


2024年1月4日木曜日

上場承認(SOLIZE)

 2/07 SOLIZE  5871 サービス業 東スタ 大和証券      

事業内容:エンジニアの派遣・請負による設計支援、3D プリンターによる試作/最終製品の製作、および製品開発を革新するコンサルティング

公開株数合計 995,200 オーバーアロットメントによる売出し:149,200株 (15.8億)

公募株数 995,200 売出株数 0

発行済み株数⇒6,000,000(83億)

ブックビルディング1/23~30

引受証券会社名 大和証券 野村證券 SMBC日興証券 みずほ証券 SBI証券 マネックス証券 楽天証券 

想定価額:1380円 予想レンジ1400円~2500円 期待度3.5

業績と需給は良いのですが、業種からそれほど人気化しないでしょう。