2023年2月6日月曜日

IPO分析(プライム・ストラテジー)

 【事業内容】

(1) 当社グループの製品

「KUSANAGI」(クサナギ)

 「KUSANAGI」は、WordPress等のCMSやWebシステムを高速かつ安全に動作させるための実行環境です。

「KUSANAGI」は当社グループがWordPressのシステムインテグレーターとして培ってきたCMSの高速動作やセキュリティに関する知見をもとに開発を重ねた製品であり、「KUSANAGI」を搭載しない標準的な実行環境 と比べ、メディアサイトなどすべての閲覧者に同一のページを表示するサイトにおいて、ページキャッシュ使用時に約2,330倍の、会員サイトなど閲覧者(会員)ごとに個別のページを表示するサイトにおいて、キャッシュ非使用時に約20倍の高速化を実現します。この高速化により、ページ閲覧者には素早いページの表示や、「KUSANAGI」を利用しているユーザーにおいてはアクセス集中時等、サーバ負荷が高い時でも安定的に閲覧可能なサイト環境の運営が可能になるというメリットを享受することができます。

 また、「KUSANAGI」はフリーミアムモデルを採用しており、製品を無償提供することでプロダクトの認知を向上させ、そこから有償の運用保守サービスや有償版のライセンス販売等の有償サービスへ繋げる戦略をとっております。

 その結果、高速化やその他「KUSANAGI」が提供する利便性が認められ、国内外の主要な28クラウド事業者と直接提携し、2022年12月現在34カ国251リージョンで利用可能となり、2022年9月末現在の累計稼働台数は6.5万台を超えております。

 また、「KUSANAGI」は無償版の他、上位版として「KUSANAGI Business Edition」「KUSANAGI Premium Edition」も提供しております。「KUSANAGI Business Edition」はビジネス用途としてベースとなるオペレーティングシステムのEOLまでのアップデートを保証しており、「KUSANAGI Premium Edition」には「WEXAL® Page Speed Technology®」と「ONIMARU® David」を搭載しております。価格は利用するCPUのコア数に比例し、以下のとおりとなっております。

 なお、競合製品として各種のWordPress高速化プラグインもありますが、これらは、WordPress(アプリケーション)本体にのみ効果がある単一機能のものです。「KUSANAGI」は、アプリケーションだけではなくサーバ(PHPやデータベース等)の処理まで高速化させるため、競合製品と比べて高速化の割合が高くなります。


 「WEXAL® Page Speed Technology®」(ウェクサル ページ スピード テクノロジー)

 「KUSANAGI」がCMS等のサーバ上でのアプリケーション実行速度を高速化させるのに対して、「WEXAL® Page Speed Technology®」は主としてWebページを構成するHTMLや画像等のリソースの最適化を行い、Webページを閲覧するユーザーの利用するスマートフォン等のクライアント端末とWebページを配信するサーバ間のネットワーク通信の高速化や通信量の削減、ユーザーの閲覧するWebページのブラウザ上でのページ描画の最適化を行うWebサイトの表示高速化エンジンです。


「ONIMARU® David」(オニマル デイヴィッド)

 当社が開発する戦略AIを総称して「David」と呼称しており、ONIMARU®はWebシステム・Webサイトのページを解析し最適な高速化戦略を立案するWebサイト最適化版AIソフトウェアです。もともと「WEXAL® Page Speed Technology®」単体では高速化戦略をエンジニアが設定する必要があるところを、本製品により自動的に設定することが可能となり、「WEXAL® Page Speed Technology®」の効果をより高めるための製品となります。


「KUSANAGI Stack」(クサナギ スタック)

 個別製品ではありませんが、超高速CMS実行環境「KUSANAGI」を中心としたWeb表示高速化エンジン「WEXAL® Page Speed Technology®」、戦略AI「ONIMARU® David」によって構成される当社グループのプロダクト群を総称した名称です。

 Webページが表示されるためには「データ作成」と「データ表示」の2つの処理が必要となります。「データ生成」であるサーバ側の処理を「KUSANAGI」が高速化し、サーバ処理後の「データ表示」を「WEXAL® Page Speed Technology®」と戦略AI「ONIMARU® David」が高速化するため、これらのプロダクト群である「KUSANAGI Stack」を利用することで、トータルで高い高速性が実現でき、閲覧者にストレスの無い閲覧環境を提供することができます。


(2) 当社グループのサービス

 サービスは「KUSANAGI Stack」とその開発元としての技術力と知見により顧客のWeb運用に関わる課題を解決するものであります。

(a) KUSANAGIマネージドサービス

 主としてパブリッククラウド上の「KUSANAGI」を中心に展開されたクラウドコンピューティングリソースおよび「KUSANAGI」上で動作するWordPressを中心とするCMSアプリケーションで構成された法人顧客のWebサイト保守・運用をサブスクリプション型の月額課金にて行う、当社グループの主力サービスであります。

 監視、障害対応、ソフトウェアのアップデート、バックアップの取得、システムパフォーマンスの改善提案やWordPress関連の技術サポートの提供等のフルマネージドサービスをワンストップで提供しております。オペレーションについてもハイパーオートメーションなどの自動化により省力化を図ることで戦略的な価格設定が可能となっております。


  当サービスの特徴は以下のとおりであります。

・クラウドインフラから具体的な顧客固有のCMSの動作状況まで一貫したサポートが可能である。

・「KUSANAGI」上で動作させるCMSアプリケーションの動作速度が高速になることから標準的なオペレーティングシステム等の実行環境上での運用に比べて、Webページの応答にかかる時間を短縮できるため、Webサイトを閲覧するユーザーには高いUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供でき、また、より少ないクラウドコンピューティングリソースでの運用が可能となるためWebサイトの運営者にとってはコストメリットを得やすい

・CMSの構築が他社である場合であっても保守・運用を引き受けることが可能である。

 KUSANAGIマネージドサービスの料金体系は月間ページビュー(PV)数を元にしており、具体的な料金表は以下のとおりとなります。なお、2022年10月時点の顧客数は113社であり、顧客単価は453千円/月、MRRは51,245千円となっております。


(b) クラウドインテグレーションサービス

 A サービス導入時のシステムインテグレーション

 新規にクラウド事業者の環境上で顧客のWebサイトを「KUSANAGI」を利用して構築する際や、顧客の既存のWebサイトをクラウド事業者の環境上で「KUSANAGI」を利用して構築された環境へ移行する際などのクラウド基盤の構築、「KUSANAGI」の初期設定や追加開発、WordPressを中心とするWebアプリケーションの新規または追加開発等を提供しております。

 あわせて、アプリケーションやミドルウェアの最新化対応やセキュリティの強化、負荷ボトルネックの解消等、運用においてリスクとなる点を社内の検知システムを利用して事前に対応することで安定した運用を開始できるようにしております。


  B サービス運用時のシステムインテグレーション

 顧客のWebサイトを「KUSANAGI」を利用して当社が運用している際のクラウド基盤の追加構築、「KUSANAGI」の追加開発、WordPressを中心とするアプリケーションの追加開発等を提供しております。


(c) ライセンス販売

 前述のとおり「KUSANAGI」は無償版の他、上位版として「KUSANAGI Business Edition」、「KUSANAGI Premium Edition」も提供しており、これら有償版のライセンスはパブリッククラウドサービスを提供する各クラウド事業者のマーケットプレイスを通じて顧客へ販売しております。

 また、「KUSANAGI」は高速のCMS実行環境をパブリッククラウド上にある顧客の専用サーバに構築して提供するものであるため、共用サーバを用いるレンタルサーバ利用者に対して「KUSANAGI」は提供しておりませんが、レンタルサーバ事業者に対して当社の持つ高速化技術や出願済み知的財産を有償にてライセンス販売しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/11 連結会社予想 920 358 335 232

2022/11 連結見込 770 296 291 197

2021/11 連結実績 559 147 145 95

2020/11 連結実績 567 54 48 27


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/11 連結会社予想 72.54 - 0.00


上場時発行済株数 3,314,000株(別に潜在株式275,200株)

公開株数 1,112,300株(公募464,000株、売り出し503,300株、オーバーアロットメント145,000株)

調達資金使途 「KUSANAGI」や「KUSANAGI Stack」の開発費用、採用・育成に係る費用や人件費、広告宣伝費、借入金の返済など


PER:19.1

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:15.4億

公募時時価:46億

​   

【株主構成】 

中村けん牛 代表取締役 1,772,800 56.73% 180日

中村八千代 代表取締役の配偶者 738,800 23.64% 180日

(株)エアトリ 資本業務提携先 116,000 3.71% 180日

大島義裕 従業員 60,200 1.93% 180日

渡部直樹 取締役 57,000 1.82%

中村順子 代表取締役の血族 46,800 1.50% 180日

(株)イントラスト 資本業務提携先 37,200 1.19% 180日

フィンテック グローバル(株) 資本業務提携先 37,200 1.19% 180日

相原知栄子 取締役 32,200 1.03% 180日

萩原崇 取締役 31,400 1.00%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である中村けん牛、売出人である中村八千代、中村順子、西牧敬三、西牧拓朗、野村葉子及び相原知栄子並びに当社株主である株式会社エアトリ、大島義裕、株式会社イントラスト、フィンテック グローバル株式会社、大曲仁及び吉政忠志は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2023年8月20日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等は行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 中村 けん牛(上場時51歳10カ月)/1971年生

本店所在地 東京都千代田区内神田

設立年 2002年

従業員数 23人 (2022/12/31現在)(平均41.8歳、年収616.7万円)、連結23人

事業内容 超高速CMS(コンテンツ管理システム)実行環境「KUSANAGI」を中心とした製品群「KUSANAGIStack」の開発・提供、「KUSANAGIStack」を用いたウェブサーバーの構築・保守運用サービス、高速化技術や出願済みの知的財産のライセンス提供

URL https://www.prime-strategy.co.jp/

株主数 13人 (目論見書より)

資本金 40,000,000円 (2023/01/19現在)

代表者生年月日 1971年03月30日生まれ

代表者略歴

1993年04月 野村證券株式会社入社

1994年01月 TAC株式会社入社

1997年09月 有限会社モータースパル コーポレーション 取締役就任

1998年10月 中村けん牛会計士補事務所設立 所長就任

2002年12月 当社設立 代表取締役就任(現任)

2014年05月 PT. Prima Softindo(現 PT. Prime Strategy Indonesia) 監査役就任

2015年09月 Prime Strategy Singapore Pte,Ltd.設立 Director就任(現任) PRIME STRATEGY NEW YORK, INC.設立 President就任(現任)

2018年03月 一般社団法人BOSS-CON JAPAN 理事就任


【幹事団】

主幹事証券 SBI 822,500 85.03%

引受証券 野村 58,000 6.00%

引受証券 大和 33,800 3.49%

引受証券 みずほ 33,800 3.49%

引受証券 岩井コスモ 9,600 0.99%

引受証券 松井 4,800 0.50%

引受証券 あかつき 4,800 0.50%


【参考類似企業】

銘柄 今期予想PER(1/23)

3687 フィックスタース 29.3倍 (連結予想)

3961 シルバエッグ 34.4倍 (連結見込)

3984 ユーザローカル 24.7倍 (単独予想)

4173 WACUL 23.4倍 (単独予想)

7068 FフォースG 52.7倍 (連結予想)

9561 グラッドキュ 21.1倍 (単独見込)


【私見】

 IT関連で、代表者のプログラミング歴も長く技術力はありそうな会社です。売上の伸びも良く、利益率も高く、PERから見た割高感もないので上値余地は十分ありそうです。時価総額は小さめで、ロックもほぼかかっているので問題はないのですが、SBI主幹事で、やや吸収金額が大きめなのは気になります。初値人気はありそうですが、セカンダリーが規模的に微妙なところです。


想定価額:1220円

仮条件上限:1390円

初値予想:3000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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