2022年1月19日水曜日

IPO分析(Recovery International)

 【事業内容】

 看護師等が利用者様の自宅等に訪問して、その方の病気や障がいに応じた看護を行う訪問看護サービス事業を行っております。主治医が訪問看護を必要と認めた方に対して、当社の看護師等は医師の指示書に基づき、医療処置を行い、健康状態の悪化防止、回復、予防に向けて看護を行います。代表的な処置は、褥瘡(床ずれ)の処置や服薬の管理・指導、点滴、摘便(徒手的に便を出す医療行為)、入浴介助、呼吸器管理、カテーテルの交換等です。

 国民健康保険法及び健康保険法その他の関連法令に定められた医療保険制度並びに介護保険法その他の関連法令に定められた制度に基づき事業を展開しております。訪問看護サービスの対価は、医療保険制度の場合は健康保険組合等の保険者及び被保険者である利用者様から、介護保険制度の場合は国民健康保険団体連合会(保険者)及び被保険者である利用者様から、厚生労働省の省令により定められた報酬額をサービス提供料として受け取っております。


 当社の訪問看護サービス事業の具体的な特長は以下のとおりです。

1.看護師等の医療職の専門性を活かした新規利用者獲得力の強化

当社では、在宅医療において、訪問看護の利用者様を地域で支えていくため、医療機関のみならず地域の住民をはじめとした居宅介護支援事業所、医療機関、施設サービス事業所等の地域連携先へ訪問・面談し、医療専門職である看護師等が専門性を活かし連携を密に行うことを重視しております。当社は、病院等特定の系列に属さない独立型であるため、柔軟な連携ができることが強みです。


2.ITの活用による経営の効率化

① 効率性を重視した訪問エリアの設定による訪問看護モデルの確立

 従来、新規の利用者様の依頼があった場合、受託の可否は当該利用者様の居宅と事業所等からの距離や時間だけで決定していましたが、2020年12月期以降、サービスを提供している利用者様の訪問実績データ、訪問間距離や居住地等の地理的データ及び後期高齢者数や競合他社等のマーケットデータを組み合わせ、最適な訪問効率を確保する訪問エリアを定義した上で受託の可否を決定することとし、この訪問エリアをデジタル地図上で全役職員が視覚的に把握できるように致しました。

 これにより、事業所単位で随時、自転車や車両等を利用する移動時間を極力短縮した訪問サイクルの設計や管理を行うことが可能となり、業務効率が向上し、1日当たり及び看護師当たりの訪問件数の増加に繋がってまいりました。また、新規利用者様の受託も設定した訪問エリア内が中心であるため、1訪問当たりの移動時間が短縮化し、訪問の効率性が益々高まるものと考えております。

② IT化推進による事務作業の効率化

 訪問看護サービスを提供している利用者様の情報、保険者への請求情報をクラウド管理することで、事業所毎に事務処理専門の従業員を置くことなく、本社で一括集中管理を行っております。保険者への請求業務や認可を受けている都道府県への報告または届け出に関する事務は煩雑であり、提出する書類の一部にペーパーレス化できないものがありますが、ペーパーレス化の制約を受けない事務処理は本社においてクラウド上で完結しており、効率的な事務管理体制の構築に努めております。

③ クラウド管理による経営指標(KPI)の共有化

 日次または月次の訪問件数や移動距離、現場で発生したインシデントの情報等をクラウド管理し、経営陣と現場との情報格差を極力小さくすることに努めております。役職員全員が売上と直結するKPIを共有することにより、現場レベルで新規利用者様の獲得や訪問の効率化を速やかに進めることが可能となり、またインシデント情報の速やかな共有化が、現場における事故発生の抑止力となっている等、情報の共有化が全社的な業績向上や訪問看護の品質向上に寄与していると考えております。

 このため、当社では共有化されている情報を適宜閲覧する組織風土の構築に努めており、特に各事業所の管理責任者については、KPIを意識した業務運営を行うことを習慣づけるため、クラウドでの情報共有を推進するように指導しており、人事評価上も考慮することとしております。

④ ITツールを使用したコミュニケーション力の強化

 主な通信手段が固定電話やFAXである訪問看護業界の中で、当社では、看護師等の各従業員にはスマートフォンを貸与し、ChatやTV会議による部門を跨いだコミュニケーションを行い、速やかな情報伝達による効率性の向上に努めています。新規依頼の利用者様に関する情報、担当する利用者様に関する情報や引継ぎ等の連絡についても、訪問看護から帰社後に知るのではなく、訪問の合間に本社からChatにて共有される情報を把握できるため、タイムリーな対応が可能となり、利用者様や地域と強い信頼関係を構築でき、安定した新規利用者の依頼獲得につながっていると考えております。


3.訪問看護未経験者の積極採用と早期育成

 当社に入社する看護師等の従前は病院勤務者であることが多く、9割以上が訪問看護未経験者となっております。このため、未経験者であっても概ね入社後3ヵ月で1人で訪問看護ができるレベルまで引き上げる育成プログラムを整備し、看護師等の早期戦力化を図っております。


4.利用者対応力の強化

① 24時間365日利用者様を支える体制

当社が運営する事業所全拠点において、オンコールの担当を配置し、24時間365日利用者様を支える体制を整備しております。様々な疾患を抱える利用者様が住み慣れた地域で、安心して自分らしい生活を続けるために、緊急時の体制を整えることで、継続的な医療・介護の提供を行うことができるよう努めております。

② 幅広いニーズへの対応力

看護師、准看護師のみならず、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も配置することで、看護のみならず、リハビリを含む幅広いニーズの利用者様を受け入れております。

③ ドミナント戦略による事業所展開

 ドミナント戦略を志向しており、東京都内の拠点においては事業所単独、看護師等単独ではなく拠点相互、看護師等相互で1人の利用者様を診る体制を整備しております。

訪問看護サービスでは、従来1人の利用者様について1人の看護師等が担当することが一般的でありましたが、当社では情報のクラウド管理により、利用者様に関する情報や引継ぎ等の連携を徹底することを前提として、複数の看護師等でサポートする体制としており、これにより看護師等の退職による利用者様への影響を軽減すると共に、看護師等の休暇取得も容易になる等、働きやすさの観点でもメリットがあると考えております。


拠点数の計画は以下の通り

2021年12月期 15

2022年12月期 19(+4)

2023年12月期 26(+7)


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.12 699 19 20 13

(単独実績)2020.12 766 17 20 27

(単独予想)2021.12 1,123 143 148 98

(単独3Q累計実績)2021.12 810 85 90 55


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.12 89.65 157.52  - 

調達資金使途 人件費・人材採用費


上場時発行済み株数 1,386,000株 (別に潜在株式63,000株)

公開株数 629,600株(公募70,000株、売り出し477,500株、オーバーアロットメント82,100株)


PER:34.1

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:19.2億

公募時時価:42億

【株主構成】 

大河原峻 代表取締役社長 497,000 36.04 180日

NVCC7号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 259,000 18.78 90日・1.5倍

(株)水島酸素商会 特別利害関係者など 140,000 10.15

SKコンサルティング(株) 特別利害関係者など 140,000 10.15

柴田旬也 取締役 91,000 6.60 180日

ニッセイ・キャピタル6号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 70,000 5.08 90日・1.5倍

グループ従業員持株会 特別利害関係者など 70,000 5.08

ファイブアイズネットワークス(株) 役員らが議決権の過半数を所有する会社 28,000 2.03 180日

黒木一也 従業員 21,000 1.52

三浦里佳 従業員 21,000 1.52

坂田敦宏 特別利害関係者など 14,000 1.02

小幡嘉信 特別利害関係者など 14,000 1.02


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である大河原峻、売出人かつ新株予約権者である柴田旬也並びに当社株主であるファイブアイズネットワークス株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2022年8月1日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)を行わない旨合意しております。

 加えて、売出人であるNVCC7号投資事業有限責任組合及びニッセイ・キャピタル6号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2022年5月3日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその価格が「第1 募集要項」の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却は除く。)等は行わない旨合意しております。 ​


【代表者】

代表者名 大河原 峻(上場時38歳3カ月)/1983年生

本店所在地 東京都新宿区西新宿

設立年 2013年

従業員数 154人 (11/30現在)(平均31.3歳、年収405.3万円)

株主数 12人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (12/28現在)

代表者生年月日 1983年10月09日生まれ

代表者略歴

2005年04月 組合立橿原総合病院 入職

2009年06月 友愛会豊見城中央病院 入職

2011年11月 社会保険横浜中央病院 入職

2013年11月 当社設立 代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 岡三 - -

引受証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 エイチ・エス - -

引受証券 静銀ティーエム - -

引受証券 松井 - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 むさし - -


【参考類似企業】今期予想PER(1/4)

2373  ケア21 11.0倍(連結予想 )

2374  セントケアHD 10.2倍(連結予想 )

2425  ケアサービス 12.9倍(連結予想 )

7061  日ホスピス 85.2倍(連結見込 )

7062  フレアス 16.6倍(連結予想 )

7071  アンビス 77.8倍(連結予想 )


【私見】

 在宅療養ということで時流に乗っていることは評価でき、在宅薬局のヒューガが高値を維持していることからも地味ながらも個人ではなく機関からの評価は受けるかもしれません。業績も拠点が増えれば業績も連動して伸びると思いますので、2月に発表される決算を考えると上値余地はあるかと思います。需給からは、1.5倍でロックが外れるVCはいるので、1.5倍前後が上限ラインと思っています。


想定価額:3060円

仮条件上限:3060円

初値予想:4200円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5

2 件のコメント:

  1. 公募で複数当たりましたが、業績は良いものの如何せん地合いが悪すぎて購入するか迷ってます。
    こたさんの分析ではいかがでしょうか?突っ込むべきでしょうか?ご教示ください。

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  2. 迷いますね。
    初っ端なので少しは上がるとは思いますが、悪い流れが続くと様子見の人も多く買いが入らない可能性もありますし。

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