2023年5月30日火曜日

IPO分析(Globee)

 【事業内容】

■ 英語学習におけるAI学習プラットフォーム

 主に、スマートフォン向けアプリ及びウェブ上で利用できるAI英語教材「abceed(エービーシード)」の企画・開発・運営を行っております。当社の提供するサービスは、教育主要4分野と呼ばれる「学習ツール」、「教材」、「テスト」、「スクール」をデジタル化し、融合させた英語学習におけるAI学習プラットフォームを構築しております。単語学習、問題演習、シャドーイング(英語を聞きながら発音する練習法)、ディクテーション(英語を聞きながら書き取りする練習法)、辞書など様々な学習機能、蓄積された学習データに基づくAIレコメンド、学習管理者向けの管理機能など学習者及び利用者にとって最適なユーザビリティを追求した「学習ツール」に、700タイトル以上の幅広いジャンルの学習教材を豊富に取り揃えた「教材」のプラットフォームを形成し、オンライン模試といった「テスト」の機能も搭載しております。加えて、厳選されたプロのコーチによる解説動画など、「スクール」の要素を「abceed」に融合したコンテンツも利用することができ、さらに「abceed」を活用して、AIが個人の具体的な弱点を可視化するとともに、「いま必要な、本当に有効な学習」を抽出し、問題を作成することができるような、個別最適化されたカリキュラムで行うTOEIC®対策のコーチングサービスである「ABCEED ENGLISH」も提供しております。


■ サービスライン・顧客・収益形態

 「abceed」は有料プラン(サブスクリプション)である「Proプラン」が中心(売上高全体に占めるサブスクリプション売上比率は2022年5月期で約90%)となっており、音声再生、自動採点マークシート、学習時間計測機能などの基本的な機能に加え、問題レコメンド、予測スコア機能など多種多様な学習機能を利用することができます。「Proプラン」では、200タイトル以上の人気教材、ニュース(英字新聞)、解説・講義動画などが使い放題(一部対象外の教材有)で、TOEIC®・英検®のオンライン模試も利用することができます。

 一部コンテンツの単品での販売も行っております。また、法人向けには、学習管理者に月額制の管理画面の機能も提供しており、学習状況の管理や課題の配信などに対応しております。さらに、プロのコーチのサポートが付いた英語スクールである「ABCEED ENGLISH」も提供しており、さらなるサポートを得て学習したいユーザーにご利用いただいております。

 対象となる顧客については、「abceed」の有料プランと管理画面「abceed for school」を中心に、一般ユーザー(個人)と法人(企業・大学等及び学校)に提供しております。学校向けには「Proプラン」に加え、検定教科書に対応したプランを展開しております。売上高に占める一般ユーザー(個人)と法人の内訳につきましては、2023年5月期第3四半期累計期間で一般ユーザー(個人)が約90%となっております。

  

■ 当社の競合優位性

 次の3つの要素により、「英語学習に特化したAI学習プラットフォーム」という競合優位性を堅持し、独自のポジショニングを確立していると考えております。

①教材コンテンツプラットフォーム

 人気の教材コンテンツを豊富に揃えているため、幅広い学習者から認知されやすく、自然流入でのユーザー獲得が実現できていると考えております。

 創業初期から地道に出版社との関係を構築した結果として、当社は多くの教材のライセンス提供を受けることにより、それらの教材コンテンツを「abceed」に対応できており、豊富な人気教材を使って学習することができます。また、教科書にも対応しており、学校現場への展開も可能となっております。

 語学学習の教材市場においては、学習者に従前から長年利用されてきたベストセラーとなっている馴染みのある教材が利用され続けやすい傾向にあります。学習者にとって、今まで全く知らなかった教材やサービスによるオリジナルなコンテンツは取り掛かりにくく、長年信頼されていた人気の教材、慣れ親しんだ教材の方が始めやすいため、それらを豊富に取り揃えた教材プラットフォームとなっている「abceed」は、幅広い学習者からの認知を得ることができていると考えております。

 その結果、競合他社がマーケティング及び営業コストをかける必要があると考えられる一方で、広告宣伝や営業に関するコストをあまりかけずとも、オーガニックでユーザーを獲得することができており、オーガニックユーザー獲得率は約96%となっております。


②英語特化によるユーザビリティの追求

 「abceed」は、英語学習者に最適なユーザビリティを担保しております。これは多科目ではなく英語に特化することにより実現できたと考えております。

 単語対策、4技能対策(リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング)、辞書、MY単語帳など30以上の豊富な学習機能を搭載しておりますが、英語という1つの科目だけでも、学習者にとって最適なユーザビリティを担保するには、様々な要素を深掘りする必要があるため、これらのユーザビリティの担保は多数の科目ではなく英語に特化したことに起因しております。従来型の学習教材をオンライン化した学習ツールや既存のデジタル教材とは一線を画す、AIを活用しつつ英語に特化したユーザビリティを追求しているサービスが「abceed」であります。学習者にとって最適なユーザビリティを追求したことが、法人向けではなく一般ユーザーから先行して口コミで広がり、高い評価を受け続けていることの主な要因となったと考えております。

 学習管理者向けの管理画面についても、英語学習に最適な管理ツールとして予測スコア、学習時間、課題進捗率など学習成果を一括管理することが可能であり、目標に沿った課題を配信、自主学習の習慣化を支援することができます。


 ③AIの活用

 「abceed」は、14億件超の解答データの蓄積をもとに、AIレコメンドによる個別最適化で高い学習効率を実現しており、リアルタイムスコア予測によりユーザーの成長を可視化します。当社では大量の教材コンテンツ、問題に対する大量の学習データやユーザーのTOEIC®公開テストなどの実績データを保有しているのが強みでありますが、それらに加えて英語学習及びTOEIC®等の対策に精通したスタッフによるノウハウも反映しており、以下の2つの特徴によるユーザーの学習成果の向上の強化を図っております。


・AIレコメンド

それぞれのユーザーにとって、「ギリギリ解けそうな問題」、「忘却曲線に沿って復習すべき問題」などを最適なタイミングで学習できるように、問題データベース(2万超)の中からAIによるレコメンドにより個別最適化して出題し、ひとりひとりに最適な「パーソナライズ教材」を作成します。「abceed」では、膨大な学習データを解析し、問題のレベル別、カテゴリ別に最適な問題を出題しますが、例えば、似ている問題に正答できていれば出題せず、間違いやすいカテゴリの問題を優先して出題する、などの工夫を施しており、学習効率の向上に繋がります。また、ユーザーにとって難易度が高すぎず、低すぎない問題を優先的に解くことができることにより、ユーザーのモチベーションの向上及び学習量の確保に繋がります。その結果として、ユーザーの学習成果やTOEIC®や英検®のスコア向上に貢献していると考えております。


・リアルタイムスコア予測

「ユーザーが各カテゴリ、各難易度の問題を何%正解できそうか」という予測に基づき、本番のTOEIC®公開テストにおけるカテゴリ別、難易度別の出題分布と組み合わせて、「abceed」での学習データから本番のTOEIC®公開テストでのスコア予測を行っております。予測スコアにより学習状況が可視化され、成長の実感やモチベーションの向上にも繋がると考えております。また、「abceed」のオンライン模試は累計受験者数が100万人を突破しており、本番同様の難易度での出題及び予測スコアにより本番に近い体験が可能です。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/05 単独3Q累計実績 679 166 166 110

2023/05 単独会社予想 943 240 239 170

2022/05 単独実績 709 64 62 54

2021/05 単独実績 411 -23 -24 -25


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/05 単独会社予想 34.96 - -


上場時発行済株数 4,996,800株(別に潜在株式146,587株)

公開株数 952,500株(公募110,800株、売り出し717,500株、オーバーアロットメント124,200株)


PER:32.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:11.0億

公募時時価:57億

​   

【株主構成】 

幾嶋研三郎 代表取締役社長 4,000,000 79.48% 180日

NVCC8号投組 投資業(ファンド) 446,000 8.86% 90日・1.5倍

上赤一馬 取締役CTO 400,000 7.95% 180日

(株)としすみ 役員らが議決権の過半数所有 96,000 1.91%  180日

指田恭平 取締役CFO 39,087 0.78% 継続

(株)SEKAISHA 役員らが議決権の過半数所有 24,000 0.48% 180日

守安淳志 従業員 2,500 0.05% 継続

鈴木俊裕 従業員 2,500 0.05% 継続

石渡幹大 従業員 2,500 0.05% 継続

飯山祐弥 従業員 2,500 0.05%

斎藤悠紀 従業員 2,500 0.05%

屋代昌也 従業員 2,500 0.05%

蔵下雅之 従業員 2,500 0.05%

樋口大輔 従業員 2,500 0.05%

星友規 従業員 2,500 0.05%

田村凌 従業員 2,500 0.05%


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である幾嶋研三郎及び売出人である上赤一馬並びに当社の株主である株式会社としすみ及び株式会社SEKAISHAは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2023年12月10日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。また、当社の株主であるNVCC8号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2023年9月11日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 さらに、当社の新株予約権を保有する指田恭平、守安淳志、鈴木俊裕、石渡幹大及びマイケルスタインは、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した普通株式の売却を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 幾嶋 研三郎(上場時32歳0カ月)/1991年生

本店所在地 東京都港区東麻布

設立年 2014年

従業員数 27人 (2023/03/31現在)(平均35歳、年収434.5万円)

事業内容 オンライン英語学習プラットフォームの開発・運営

URL https://www.globee.io/

株主数 5人 (目論見書より)

資本金 32,476,000円 (2023/05/11現在)

上場時発行済株数 4,996,800株(別に潜在株式146,587株)

公開株数 952,500株(公募110,800株、売り出し717,500株、オーバーアロットメント124,200株)

調達資金使途 借入金の返済、ソフトウエアおよびコンテンツ開発費

代表者略歴

2014年06月 当社設立、代表取締役社長就任(現任)

2015年04月 ソフトバンク株式会社入社


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】今期予想PER(5/15)

3933 チエル 13.9倍 (連結見込)

3998 すららNT 16.5倍 (連結予想)

4427 EduLab - (連結予想)

4686 ジャスト - (連結予想)

6096 レアジョブ 28.8倍 (連結予想)

7043 アルー 15.4倍 (連結予想)

8057 内田洋 11.2倍 (連結予想)

9345 ビズメイツ 20.7倍 (連結予想)

9471 文溪堂 12.4倍 (連結予想)

9560 プログリット 34.3倍 (単独予想)

9783 ベネッセHD 16.2倍 (連結予想)


【私見】

 同業も多い英会話銘柄で、AIを使っているという多少の優位性はありますが、大きくは影響しないと思います。PERは今決算の数字といはいえ、やや高めの価額と感じます。規模的には大きくはないですが、1.5倍でロックが外れるVCもおり、セカンダリーも人気になる要素はないと思います。


想定価額:1080円

仮条件上限:1150円

初値予想:1600円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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