2026年7月15日水曜日

IPO分析(ビーエイブル)

【スケジュール】

ビーエイブル 604A 東証スタンダード 建設業 100株 B
仮条件決定 2026/07/09
ブックビルディング期間 2026/07/13 - 07/17
上場日 2026/07/29

【事業内容】

当社は、設立以来、発電プラント機器のメンテナンス事業を主軸として業績を伸ばしてまいりましたが、2011年3月11日の東日本大震災発災、及び、福島第一原子力発電所事故の発生を経て、その社会的責任を貫徹し、地域社会の復興に少しでも貢献したいとの思いから、現在は工事事業、再生可能エネルギー事業、その他事業の3事業を展開しています。

 

(工事事業)

工事事業は、当社設立以来の中核事業であり、特に福島第一原子力発電所における廃炉作業を主力としております。東日本大震災以降、当社は同発電所における事故収束作業及びその後の廃炉作業に継続的に従事しており、現在では元請として各種廃炉作業を受注するなど、当該分野において重要な役割を担っております。当社は創意工夫に基づく工法提案やロボティックス技術の開発を通じて、付加価値の高い工事に取り組んでおります。

さらに、東京電力ホールディングス株式会社の柏崎刈羽原子力発電所、中部電力株式会社の浜岡原子力発電所、東北電力株式会社の女川原子力発電所といった、様々な原子力発電所を中心としたプラント建設工事及び定期点検工事、BWR型原子力発電所(※2)の耐震補強工事など再稼働に向けた準備工事を行っております。

また、一般産業分野においては、産業プラント設備に関する配管・設備の保守点検、改修工事、新設工事等を行っているほか、京葉・京浜工業地域を中心として、鉄骨の製作から現地での建方までを一貫して行う鉄骨工事及び一般構造物工事等を展開しております。

2011年3月11日の東日本大震災発災、及び、福島第一原子力発電所事故の発生以降、当社は、同年12月16日に政府によって発電所の事故そのものは終息に至った(冷温停止状態の完了)宣言が行われるまでの間、同発電所における原子炉の冷却及び安定化を目的とした各種支援業務、ならびに事故鎮静化業務(圧力容器と格納容器の温度が100度以下となる2011年12月25日迄の作業)に従事しました。その後も現在に至るまで、同発電所の廃炉作業に継続的に携わっております。

その過程において、作業員の放射線被ばく低減を目的として、遠隔操作ロボットによる同発電所1・2号機共用排気筒の上部解体工事に取り組みました。当該工事においては、当社独自のアイディアでグランドデザインを描き、既製品のみでは対応が困難な現場特有の課題を切断機構・制振機構・無線システム・常時放射線監視システム等を組み合わせて解決するため、既製品部材とメーカーの特注品を組み合わせた遠隔操作ロボットの構成を採用しております。当社はこれらの装置について、基本構想から基本設計、詳細設計、部品調達、組立、モックアップによる検証、現場での作業に至るまで一貫して対応し、当該解体工事を完遂いたしました。本件は国内外から高い評価を得て総理大臣賞を受賞しております。このような実績を背景に当社ではロボティックス技術及び新工法を活用した廃炉作業の受注拡大につなげております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


遠隔操作ロボットによる排気筒の解体

 


3Dモデルによる検討~製作・組立~モックアップ試験

 

福島第一原子力発電所の廃炉作業については、今後40年以上にわたり継続することが見込まれております。国及び東京電力ホールディングス株式会社においても、継続的に廃炉に取り組む方針が示されております。

当社としても、当該廃炉事業を重要な事業領域と位置付け、これまで培ってきた技術力、人材及び現場対応力を活かしながら、必要な経営資源を適切に投入し、継続的に取り組んでまいります。

なお、当社は震災前より原子力プラントの保守点検業務に従事しておりましたが、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故の発生後は、事故収束対応及び廃炉作業に経営資源を重点投入してまいりました。その後、原子力発電所の再稼働の進展に伴い、再稼働準備工事や再稼働後の定期検査工事を通じて、原子力プラントの保守・点検業務にも再び取り組んでおります

また当社は、停止していた原子力発電所の再稼働に向けた準備工事や、再稼働後の原子力発電所における定期検査工事にも従事しております。これらの工事においては、発電所の安全性と信頼性を確保するため、厳格な検査や補修作業を実施し、安定的な運転の継続に寄与しています。再稼働後のプラントは毎年、定期的に定期検査が実施され、その中で当社の技術が必要とされる機器の点検が行われております。

さらに、海外においては、安全性の向上及び避難範囲の限定を特徴とする小型モジュール原子炉(SMR)が注目されております。当社は、小型モジュール原子炉向けの検査装置の開発についても、国内メーカーと連携し、これまで培った技術力を活かした製品提供を行っております。

 

当社は、原子力関連工事に加え、一般産業分野においても事業を展開しております。プラントに関する一般産業分野においては、京浜・京葉地区の石油化学プラント等における各種鉄骨構造物の製作及び据付工事、一般産業プラントに係る鉄骨加工及び建方工事を行っております。また、プラント分野にとどまらず、大型レジャー施設やオリンピック関連モニュメントの骨組等の製作も手掛けております。

また、プラント関連工事に加え、各種産業施設等における解体工事についても対応しており、一般産業分野における事業基盤の拡大を図っております。

一般産業分野においては、千葉県富津市に新工場の竣工を予定しており、これにより生産能力の向上が見込まれております。今後は、当該設備の稼働により、受注対応力の強化及び事業規模の拡大を図ってまいります。

 

(再生可能エネルギー事業)

再生可能エネルギー事業については、当社が発電プラントの設備工事で培ってきた発電に関するノウハウを活かし、電力のエキスパートとして、再生可能エネルギー発電所の建設、オペレーション、メンテナンスに携わっております。

東日本大震災発災後に、当社は廃炉作業に従事する社員の雇用維持及び事業の多角化を目的として、再生可能エネルギー事業への参入を決定しました。具体的には、福島県浜通り地域において、合計で5MW太陽光発電所を開発し、2013年から2020年にかけて順次運転を開始しております。当該は発電所については、用地取得から系統接続、建設、メンテナンスまでを一貫して自社で実施しております。

また、持分法適用関連会社であるエイブルエナジー合同会社が運営する福島いわきバイオマス発電所(国内最大級である112MW規模の木質バイオマス発電所)は、2022年4月より運転を開始しており、当社は発電設備の運転業務及び日常保守業務等を担っております。自社設備である太陽光発電所の売電収入に加え、数年後以降には、当該発電所の運営会社から、有償減資及び配当等による収益を見込んでおります。

また、当社は、同発電所における運営支援を通じて蓄積した知見・ノウハウを活かし、他の木質バイオマス発電所に対するオペレーション&メンテナンス業務の展開を進めてまいります。

さらに、木質バイオマス発電所は、栃木県佐野市で次年度から建設が始まる案件を手掛けており、そこでも長期のオペレーションとメンテナンスの契約を締結しております。また、陸上風力発電所のメンテナンス事業においては、GEベルノバ・インターナショナル・エルエルシー製(以下、「GE製」という。)の機種を中心にメンテナンスを実施するとともに、その他機種への水平展開も図っており、安定的な収益源としております。当該業務の受注にあたっては、第三者機関による審査及び承認が必要であり、参入障壁の高い事業領域となっております。当社は現在、55基のメンテナンス業務を受注しており、国内にはGE製風車が数百基以上設置されていることから、今後の受注拡大余地は大きいものと考えております。

また、陸上風力発電の開発についても複数案件を推進しており、最も早い案件では環境アセスメントの手続きに着手しております。

国内ではまだ実用化の事例がない「波力発電」についても実用化に向けた研究開発に取り組んでおり、海上試験において発電することまで確認ができており今後大きな期待が持てます。

当社は、福島県双葉郡大熊町の「2050ゼロカーボン宣言」に地元企業として貢献することを目的として地域新電力会社である「大熊るるるん電力株式会社」を通じて電力小売事業に参入しております。その後、当該事業で培った知見を活かし、当社が開発した再生可能エネルギー発電設備により発電したクリーンな電力を、地元である福島県浜通り地域を中心とした地産地消化の推進を目的として、2025年11月より電力小売事業を開始しております。

 

 

(その他事業)

その他事業については、「地域貢献を通じて共に成長する事業」と位置付け、当社が培ってきた「安全」「地域貢献」という当社の理念に根差した事業を通じて社会課題への対応と地域に信頼される企業を目指しております。

介護事業においては、高齢化の急速な進行や、担い手不足が地域でも深刻な課題となっています。当社は、事業活動を行う中で、インフラ整備だけでなく、地域で暮らす人々の生活そのものを支える分野への貢献が必要であると考え、福島県浜通り地域を中心に、2018年から機能訓練型デイサービス、居宅介護支援事業、訪問看護事業などを展開しております。

また、秋田県鹿角市において市及び地元商工会からの要請を受け地域活性化を目的として地元食材を活用した料飲事業を2022年5月から開始しております。

 

※2:BWR型原子力発電所(Boiling Water Reactor:沸騰水型原子炉)とは、原子炉で水を直接沸騰させ、その蒸気でタービンを回して発電する方式であり、東京電力ホールディングス株式会社が採用している原子力発電所の型式

:木材を燃料にして発電する、再生可能エネルギーの発電所(木質バイオマス専焼では国内最大級)

 

これらの事業に関するセグメント等の関係性、及び、これら事業の商流は、下記図記載のとおりとなります。

セグメント

分野

事業内容

内容

工事事業

廃炉・原子力分野

廃炉作業

福島第一原子力発電所で発生した放射性物質の放出による事故に伴う同発電所の廃炉作業を行っています。当社の強みである遠隔操作ロボットを活用した工事に注力しており1・2号機の排気筒(120m)の上部を遠隔ロボットで解体を成功させ2020年に内閣総理大臣賞を受賞しています。福島第一原子力発電所内で発生するがれきの減容処理設備の設置工事・オペレーション&メンテナンス作業を担当するなど廃炉に向けた様々な工事業務を担っています。

原子力プラント配管・設備の保守・交換作業

原子力プラントの付帯設備の工事で機器や装置、配管などをリニューアルする工事や、原子力発電所の保守メンテナンス工事を多数手がけています。

特に当社は、原子力発電所内の重要設備(非常用設備、制御棒駆動装置等)のメンテナンス専門技術を有していることが強みとなって、再稼働プラントにおいては毎年、定例の工事が発生します。

一般産業分野

プラント配管・設備の保守・交換作業

産業プラント設備の保守点検や改修工事、新設工事

鉄骨工事・一般構造物

京葉・京浜工業地域をメインに鉄骨の製作から現地での建方までを行っています。

再生可能エネルギー事業

発電所建設、オペレーション&メンテナンス

当社が出資する関係会社の木質バイオマス発電所のオペレーション&メンテナンスを実施しています。その他、風力発電所のオペレーション&メンテナンスは風車メーカーより請け負っています。また、当社が出資する関係会社の木質バイオマス発電所の建設工事の受注に向けて準備を進めています。

再生可能エネルギー

電源開発事業

風力発電所の開発を中心に木質バイオマス発電所、小水力発電所などの開発も行っております。

日本ではまだ実用化されていない、波力発電の技術開発は今後期待される事業です。

再生可能エネルギー

発電事業

開発した太陽光発電設備による発電事業を行っております。

電力小売事業

市場(日本卸電力取引所)からの電力調達にて2025年11月より電力小売事業を開始しております。現状は、当社及び関連会社が保有する再生可能エネルギー発電設備により発電された電力は、FIT制度に基づき一般送配電事業者である東北電力ネットワーク株式会社へ売電しており、当該電力を当社の小売事業において直接活用することはできません。このため、当社の電力小売事業においては市場からの電力調達を基本としておりますが、今後は、自社及び関連会社の再生可能エネルギー設備にて発電した電力の調達に切替え、電力の地産地消化にて差別化し地元を中心に販売していく計画です。

その他事業

介護事業

株式会社ルネサンスとフランチャイズ契約を締結し、福島県いわき市内3箇所で介護事業「リハビリ特化型デイサービス元氣ジム」を運営しています。その他、当社直営で居宅介護支援事業、訪問看護事業も行っています。

料飲事業

当社は、地域活性化を目的として、地産地消・地域連携を重視して、地元産食材の活用や地域事業者との連携を図りながら、現在秋田県鹿角市のホテルにおいて料飲事業(レストランびバンケット)を運営しております。

また、こうした地域との連携を基盤として、鹿角市で進めております再生可能エネルギー事業等においても地域経済に貢献できる事業を目指してまいります。

 

 

 

【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2026/07 単独3Q累計実績 7,347 880 897 620
2026/07 単独会社予想 9,783 1,131 1,110 729
2025/07 単独実績 8,984 671 656 475
2024/07 単独実績 8,680 750 767 526

決算期 種別 EPS BPS 配当
2026/07 単独会社予想 97.16 755.68 20.00

上場時発行済株数 10,175,000株(別に潜在株式644,800株)
公開株数 3,769,100株(公募2,577,500株、売り出し700,000株、オーバーアロットメント491,600株)
調達資金使途 研究開発センターの設備投資資金、工場の設備投資資金、借入金の返済


PER:7.2
PBR:0.92
配当利回り:2.85%
公募時吸い上げ資金:26.3億
公募時時価:71億
​   
【株主構成】 

エイブル興産(株) 代表取締役社長の資産管理会社 5,015,000 63.14%  売出700,000 180日
佐藤順英 代表取締役社長 1,800,000 22.66% 180日
ビーエイブル従業員持株会 特別利害関係者など 250,000 3.14% 180日
(株)大東銀行 取引先 160,000 2.01% 180日
(株)IHI 資本業務提携先 72,500 0.91% 
鈴内浩二 取締役副社長 25,000 0.31% 180日
渡辺靖 常務取締役 25,000 0.31% 180日
根本義和 常務取締役 24,400 0.30% 180日
匿名 従業員 24,000 0.30% 180日
緒方浩之 取締役 22,500 0.28% 180日

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるエイブル興産株式会社並びに当社の株主である佐藤順英、ビーエイブル従業員持株会、株式会社大東銀行は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2027年1月24日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すことは除く。)等は行わない旨合意しております。

また、当社は主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換される有価証券の発行又は当社普通株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行(ただし、本募集、株式分割、ストック・オプションとしての新株予約権の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、2026年6月25日開催の当社取締役会において決議された主幹事会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)等を行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 佐藤 順英(上場時70歳5カ月)/1956年生
本店所在地 福島県双葉郡大熊町夫沢(実質上:双葉郡広野町上北迫)
設立年 1991年
従業員数 218人 (2026/05/31現在)(平均45.7歳、年収536.6万円)
事業内容 原子力発電所の建設・保守・廃炉工事、再生可能エネルギー事業の開発・運営(オペレーション&メンテナンス)、
URL https://www.able-can.jp/
株主数 6人 (目論見書より)
資本金 36,695,000円 (2026/06/25現在)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ 2,687,700 82.00%
引受証券 大和 262,200 8.00%
引受証券 野村 262,200 8.00%
引受証券 SBI 32,700 1.00%
引受証券 マネックス 32,700 1.00%


【参考類似企業】今期予想PER

1945 東京エネシス 13.3倍 (連結予想)
1968 太平電 13.4倍 (連結予想)

【私見】

 原発のメンテナンス事業で、東電に対する売上が多く妙味はないと思っていましたが、初物感はあり、技術力は高く、今後の需要も高そうで中期で妙味はありそうな銘柄です。 
 スタンダードであることからも、業績は急拡大するような業種ではありませんが、今期の利益の伸びは良く、PERは他社の半分ほどと割安感はあります。PBRも1倍割れで、配当利回りも3%弱と悪くはなく、しかも7月の配当取りも可能なことから上値余地は十分ありそうです。売出しは少なく、ロックアップも問題ないことから需給での不安もありません。地味な銘柄なので初値は高いとは思いませんが、初値が高騰しなければ中期でセカンダリーも面白いかもしれません。

想定価額:660円
仮条件上限:700円
初値予想:900円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立~やや強気(中期)

総合評価3.5

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