2021年1月21日木曜日

IPO分析(QDレーザ)

 【事業内容】

 当社はレーザ技術を用いた製品の開発・製造・販売を行っており、レーザデバイス事業とレーザアイウェア事業を展開しております。非連結子会社QD Laser Deutschland GmbHはレーザアイウェア事業における欧州での臨床検査試験を目的としております。


当社のコア技術として、下記6点があります。

● 半導体結晶成長・・・半導体基板の上に半導体材料を作製することを半導体結晶成長といいます。

● レーザ設計・・・所望の機能を満たす半導体レーザを作製するために、必要なパラメータ(例えば半導体レーザの長さ)を決定することです。

● 小型モジュール・・・半導体レーザは半導体レーザチップをパッケージの中に入れますが、そのパッケージのことをモジュールと言い、当社の532nmや561nmレーザのモジュールサイズは、他社に比べて小さいため、小型モジュールと呼んでおります

● VISIRIUM Technology・・・メガネ型フレームに内蔵された超小型レーザプロジェクタから、網膜に直接画像を投影する技術です。

● 回折格子・・・半導体レーザ内部に波長を選択するための周期100ナノメール程度の凹凸を作り込んでおり、これを回折格子と呼んでおります。

● 量子ドット・・・半導体材料で出来たナノメートルサイズの塊で、電子をこの中に閉じ込めることによって、温度特性を改善させることでできます。


(レーザデバイス事業)

 当社のレーザデバイス事業は、結晶成長を自社で実施し、半導体レーザチップ加工及びモジュール実装を、社外協力会社に製造委託する水平分業体制によるファブレス製造を実現し、ハイエンド技術を基にした事業となっております。

 当社は半導体レーザの特性を決める活性層成長を担っており、特に量子ドットの結晶成長については他社にはないノウハウを有しております。また、研究機関からの基礎技術の研究開発や、メーカの新規アプリケーションの光源開発を行う開発受託業務も行っています。 


(レーザアイウェア事業)

 レーザアイウェア事業は、レーザ網膜投影技術を使ったメガネ型ディスプレイ(網膜走査型レーザアイウェア)を、ファブレス製造にて、製品開発・製造を行っております。

 ファブレス製造とは、製品の企画、設計を自社内で行い、部品製造及びコントローラーユニットと、メガネユニットの製造から組立てを協力会社に依頼しているものです。当社からは、コントローラーユニット・メガネユニットの製造・調整に必要な製品仕様、部品リスト、部品仕様書、回路図、実装図、プリント配線板製造データ、組み立て指示書、検査指示書、ソフトウエアを協力会社に供給し、製品製造・検査を委託しております。

 また販売に関しましては、一般顧客向けには販売パートナー(メガネ店、通販業者)を通じ販売し、法人顧客向けには直販を行っております。

 網膜走査型レーザアイウェアは、メガネ型フレームに内蔵された超小型レーザプロジェクタから、網膜に直接画像を投影(VISIRIUM Technology)し、装着者の視力やピント位置に影響を受けることなく、カメラの撮像画像や外部入力されたデジタル情報を見せることができる製品となっております。装着者のピント調整能力に依らず、ボケのない画像を見せられる(フリーフォーカス)ことから、全盲ではないものの、視覚に障がいのあるロービジョン(矯正視力が0.3未満(WHO定義)及び0.5未満(米国定義))と一部の社会的失明者(矯正視力が0.05未満(WHO定義))に対する視覚支援機器として、生活の質の向上に資する性質を有しております。なお、ロービジョン人口(日本国内)については、約145万人と推計されております。

  医療用機器「Rシリーズ」は現在、日本で医療機器としての承認を取得しており、ヨーロッパで医療機器としての治験実施及び許認可の申請を行っております。Rシリーズは、眼鏡フレームの中央にカメラを内蔵した網膜走査型レーザアイウェアで、カメラで撮影した画像をリアルタイムに装着者の網膜に投影します。

 日本においては2018年10月に治験を終了し、2020年1月に国内医療機器製造販売承認を取得いたしました。ヨーロッパでは2018年8月に治験を開始し、2019年10月に治験は終了いたしました。


(レーザデバイス事業)

 独自技術を駆使した半導体ウェハを作成し、協力会社に当該ウェハを組み込んだ半導体レーザチップの作製及びモジュールの実装を委託し、当社で品質基準への適合性を検査した後、お客様に製品をお届けしております。


(レーザアイウェア事業)

 網膜走査型レーザアイウェアを製造しております。一般顧客の場合、販売パートナーを通し、法人顧客からは当社が直接受注しております。製造は協力会社に対して、当社が供給した仕様書に基づき、メガネユニット及びコントロールユニットの製造及び組立を委託し、当社にて検査を行った後に販売パートナーまたは直接お客様へ製品をお届けしております。



【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.3 960 -976 -996 -1,040

(単独実績)2020.3 756 -1,207 -1,225 -1,240

(単独予想)2021.3 974 -688 -739 -904

(単独中間実績)2021.3 339 -392 -419 -581

3Q 2月予定


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.3 -35.98 -  - 

調達資金使途 運転資金


上場時発行済み株数 34,584,180株 (別に潜在株式3,068,000株)

公開株数 15,593,300株(公募9,451,800株、売り出し4,107,600株、オーバーアロットメント2,033,900株)

 本募集の発行株式のうちの一部が、共同主幹事会社の関係会社等を通じて、欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して販売されることがあります。また、引受人の買取引受による売出しに係る売出株式のうちの一部が、共同主幹事会社の関係会社等を通じて、欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して販売されることがあります。


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:53億

公募時時価:118億

    


【株主構成】 

東京センチュリー(株) 特別利害関係者など 3,671,360 13.02 180日

MGI Global Fund L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 3,511,040 12.45 180日

グローバル・イノベーション・ファンド ベンチャーキャピタル(ファンド) 3,187,860 11.30

グローバル・イノベーション・ファンドⅡ ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,468,000 8.75 180日

アクサ生命保険(株) 特別利害関係者など 1,916,680 6.80

グローバル・イノベーション・ファンドⅢ ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,857,140 6.59 180日

菅原充 代表取締役社長 1,458,000 5.17

Beyond Next Ventures 1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 754,160 2.67 180日

第一生命保険(株) 特別利害関係者など 754,160 2.67

リアルテックファンド1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 750,000 2.66

DGベンチャーズ ベンチャーキャピタル(ファンド) 666,720 2.36

Nikon-SBI Innovation Fund ベンチャーキャピタル(ファンド) 666,720 2.36

 

本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、売出人であるMGI Global Fund L.P.、グローバル・イノベーション・ファンドⅡ及びグローバル・イノベーション・ファンドⅢ、当社株主かつ当社役員である菅原充及び幸野谷信次並びに当社株主である東京センチュリー株式会社は、共同主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しにかかる元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2021年8月3日までの期間中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。


当社株主であるBeyond Next Ventures1号投資事業有限責任組合、第一生命保険株式会社、リアルテックファンド1号投資事業有限責任組合、株式会社DGベンチャーズ、Nikon-SBI Innovation Fund、SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合、参天製薬株式会社、NTTインベストメント・パートナーズファンド3号投資事業有限責任組合、リード・グロース3号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合、MSIVC2016V投資事業有限責任組合、UNICORNファンド投資事業有限責任組合、みらい創造一号投資事業有限責任組合、協創プラットフォーム開発1号投資事業有限責任組合、きらぼしキャピタル夢・はばたき1号投資事業有限責任組合、東京神奈川イノベーション応援1号投資事業有限責任組合、おおいた中小企業成長ファンド投資事業有限責任組合及び大分ベンチャーキャピタル株式会社は、共同主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2021年5月5日までの期間中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、SMBC日興証券株式会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。


【代表者】

代表者名 菅原 充(上場時62歳2カ月)/1958年生

本店所在地 神奈川県川崎市川崎区南渡田町

設立年 2006年

従業員数 50人 (11/30現在)(平均50.33歳、年収766.9万円)

株主数 31人 (目論見書より)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

主幹事証券 SBI - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 水戸 - -

引受証券 極東 - -


【参考類似企業】今期予想PER(1/5)

6656  インスペック 91.7倍(連結予想 )

6702  富士通 18.8倍(連結予想 )

6863  ニレコ 14.2倍(連結予想 )

6920  レーザーテク 95.0倍(連結予想 )

7713  シグマ光機 16.4倍(連結予想 )

7725  インタアクション 21.1倍(連結予想 )

8031  三井物 17.6倍(連結予想 )


【私見】

 半導体関連のVCで、半導体関連銘柄が爆上げしている中でタイムリーな上場です。業績は赤字でバイオVCのような銘柄で未知数な部分は多いです。規模としては適度で投資対象には

良いのですが、ロックなしVCや1.5倍でロックの外れるVCもおり、需給面では不安があります。半導体ということで上にいくか、需給不安で停滞するか判断が難しい銘柄ですが海外販売もあり上と予想します。


想定価額:275円

仮条件上限:340円

初値予想:500円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5

4 件のコメント:

  1. 訂正事項を読むと規模が小さくなったようです。しかも海外に435万株です。

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  2. 海外の評価が高いとなるとセカンダリー期待でしょうか。

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  3. 第2回訂正文によると
    国内公募 945万株を509万株に変更。発行価格の総額24.1億円を13億円に変更。海外売出 435万株。   

    主幹事の引受が大幅に減っています。日興 800万株が431万株、SBI証券 132万株が71万株。これはどのようにとらえればよいのでしょうか?

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  4. 公募945万株は変わらずで、509万株は国内に、435万株は海外に配分ということで決定したということではないでしょうか。半分近くが海外ですね。

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