【事業内容】
(1)建設事業
建設事業として、山口県・広島県を中心に主として流通店舗の設計施工を行っています。なお、当社は元請を主としており、実際の施工は当社の協力会社(下請会社)が行っております。
創業以来、土地の有効活用を希望する土地オーナーの情報、事業に適した用地の情報、新しい事業展開のために拠点を求めるテナント企業の情報を収集してまいりました。これらの情報をもとに、土地オーナーとその土地に適したテナント企業を引き合わせ、双方のニーズをつなげることで建築工事の受注に結び付けるビジネスモデルを「カドスLANシステム」と呼び、当社にとって強みと言えるビジネスモデルであると考えております。これにより、土地の特性に合わせた最適な事業プランの提案から店舗の設計施工、テナント企業の出店までをトータルプロデュースしております。なお、社名の「CADOS」は、「Construct=建設」「Architecture=建物」「Design=設計」「Of」「Survey=測量」の頭文字を組み合わせて命名したものであり、「カドスLANシステム」の「LAN」は、「Land=土地」「Application=活用」「Network=情報網」の頭文字を組み合わせて当社が作った造語です。いずれも、土地活用の提案から設計・施工までをトータルプロデュースするという、当社の事業スタンスを意図して表現しております。
競合企業の多くが、テナント企業の出店が決定した案件の施工を請負うことに集中しているのに対し、当社は創業当初から土地を活用したい土地オーナーへのアプローチを進め、活用することについて、土地オーナーから承諾を得た土地の情報を店舗設計図案とともにテナント企業に紹介し、土地の賃貸借契約につなげるマッチングを進めてまいりました。その結果、出店用地を探したいテナント企業の評価や土地を活用したいと考える土地オーナーの認知度も高めることができました。土地オーナーとテナント企業のマッチングは、テナント企業からの特命受注につながり、競合他社との価格競争も回避できております。また、当社は、店舗施工後においても物件の修繕対応や物件の土地オーナーとの関係性構築を行っております。土地オーナーとの関係性構築の一環として、土地オーナーそれぞれに管理番号を設定のうえ賃貸借契約管理書(管理カード)の発行を行っており、管理番号により物件名や担当者を即時に把握し、適切な対応を行えるようにしております。当社では、賃貸借契約締結後においても、土地オーナーに直接テナント企業から連絡があった場合には内容を確認し、テナント企業との面談に同席を行うなど、必要なアドバイスも行っており、また土地オーナーが所有する他の土地の相談等に応じるなど、土地オーナーのアフターケアを行うことで、賃貸借契約満了時には当社で新たな土地活用方法を提案し、永続的なトータルコーディネートを行うべく事業を推進しております。上記の賃貸借契約管理書(管理カード)を発行したオーナーを施工物件土地オーナーとして管理しており、2023年7月期末現在の管理数は235人(社)となりました。また、当社が土地オーナーから土地活用の依頼を受け、テナント企業に土地の紹介と出店の提案を行い、出店の合意をもとに土地オーナーとテナント企業が土地賃貸借契約を締結するまでのマッチング期間の中間値(2021年7月期~2023年7月期)は約4か月(119日)であります。契約締結までに2か月を要しないケースもあり、早期の契約締結が実現できておりますが、地域環境の変化や競合企業の参入などにより、ビジネス機会を逃すことのないよう、今後もマッチング期間の短縮は重要であると認識しております。
2023年7月期の完成工事高(売上高)は4,503百万円、新築工事件数(売上計上分)は34件、新築完工件数(施主引渡分)は23件(ドラッグストア10件(43.5%)、飲食店8件(34.8%)、その他店舗2件(8.7%)、事務所2件(8.7%)、コンビニエンスストア1件(4.3%))であり、売上高のうち、当社のメインターゲットであるナショナルチェーン(山口県隣県以外にも出店しているチェーン店)店舗関連は4,051百万円(90.0%)、ナショナルチェーン以外のローカル店舗(地場企業、オフィス・事業拠点など)関連が452百万円(10.0%)でありました。
当社設立から2023年7月期までの新築完工件数の累計は511件(コンビニエンスストア163件(31.9%)、飲食店127件(24.9%)、ドラッグストア86件(16.8%)、その他店舗77件(15.1%)、オフィス・事業拠点58件(11.4%))と実績を積み上げております。新築完工累計件数は、当社設立から2013年7月期までの15年間で207件に対し、約2.5倍となっております。ナショナルチェーンの件数は404件(79.1%)、ナショナルチェーン以外のローカル店舗は107件(20.9%)であります。ブランド数は165件であり、ナショナルチェーン77件(46.7%)、ローカル店舗88件(53.3%)であります。1ブランド当たり平均店舗数は3.1店舗であり、ローカル店舗1.2店舗に対し、ナショナルチェーンは5.2店舗と4倍超となっております。
ナショナルチェーン404件のうち、同一ブランド10店舗以上のブランドは8ブランド274件(67.8%)、同一ブランド3店舗以上(~9店舗)は16ブランド64件(15.8%)、同一ブランド3店舗未満のブランドは53ブランド66件(16.3%)であります。
交通要地という好立地の提供・紹介により、ナショナルチェーンの割合は着実に上昇しております。また、ナショナルチェーンの割合を増やすことで、当社が営業エリアを拡大する際には一からテナント企業を開拓することなく、新たな営業エリアでも既存エリアのテナント企業に営業活動が可能となることから、営業エリア拡大にも寄与するものと考えております。
(2)不動産事業
建設事業の営業活動の中で土地オーナーとテナント企業とのニーズがマッチングしないケースがあることから、当社が両社の間に入り双方のニーズをつなぎ合わせることで案件を成立させております。例えば、土地オーナーの希望は土地の賃貸、テナント企業の希望は建物の賃借の場合では案件は成り立ちませんが、当社が土地オーナーより土地を賃借し、当社費用で建物を建築のうえテナント企業に土地・建物を賃貸(建貸)することで双方のニーズがマッチングします。また、土地オーナーの中には、テナント企業と直接賃貸借契約を結ぶことに不安を持たれる方もおられますので、当社が土地オーナーから土地を賃借してテナント企業に転貸することで、テナント企業から店舗施工の受注につながるとともに不動産賃貸収入を得られる場合もございます。これらのビジネスモデルにより、土地オーナーとテナント企業のマッチングを促進させ、店舗施工の受注成約率を高めるとともに、当社にとって長期安定収入となる不動産賃貸収入を得ています。また、中古の店舗・事務所・ビル等を取得し、必要な改装等を施したうえでの賃貸、出店を予定している企業と土地オーナー間の不動産売買の仲介、保有設備である太陽光発電システムによる売電も不動産事業として展開しており、建設事業と不動産事業の両輪でビジネス機会を最大化する構造を構築しております。さらに、収益規模の拡大を目的とし、採算性を十分に検討したうえでの不動産売買にも着手しております。
なお、当社の不動産事業における不動産賃貸借パターンは以下のとおりです。
1.土地オーナーから当社が土地を賃借し、当社費用で建物を建設のうえ当社が土地建物をテナント企業に賃貸するケース
2.土地オーナーから当社が土地を賃借し、当社がテナント企業に土地を賃貸するケース
3.土地オーナーから当社が土地を購入し、当社がテナント企業に土地を賃貸するケース
4.土地建物オーナーから当社が土地建物を購入し、当社がテナント企業に土地建物を賃貸するケース
5.土地オーナーから当社が土地を購入し、当社費用で建物を建設のうえ当社が土地建物をテナント企業に賃貸するケース
6.土地オーナーから当社が土地を賃借し、自社で運用するケース:駐車場など
7.土地建物オーナーから当社が土地建物を賃借し、当社がテナント企業に土地建物を賃貸するケース
8.建物オーナーから当社が借地上の建物(敷地の借地権含む)を購入したうえで、土地オーナーから当社が土地を賃借し、当社がテナント企業に土地建物を賃貸するケース
9.土地オーナーから当社が土地を購入し、自社で運用するケース:太陽光発電所など
同事業は、山口県及び広島県を中心に事業展開しており、2023年7月期の不動産事業売上高は1,156百万円(対象物件数は95件)であり、内訳は、建物賃貸収入863百万円(74.7%)、土地賃貸収入233百万円(20.2%)、売電収入33百万円(2.9%)、仲介手数料収入25百万円(2.2%)でありました。
2023年7月期末現在の不動産賃貸件数は95件となっており、2013年7月期末時点の不動産賃貸件数52件と比較すると10年間で約1.8倍となっております。なお、2023年7月期末現在の不動産賃借件数は73件であります。
当社は、建設受注と不動産賃貸の両面からアプローチすることにより、例えば当社が不動産を賃借することで建設受注にもつながるなど、建設事業と不動産事業の複合案件を生み出し、不動産賃貸による不動産収入の獲得、さらには期間満了後には新たな建設受注の獲得も期待できることから、将来にわたって長期間安定した不動産収入と建設受注を獲得しうる事業構造(プラットフォーム)を確立しています。事業系統図によって示すと次のとおりです。
【業績等】
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2024/07 単独3Q累計実績 4,654 426 415 272
2024/07 単独会社予想 6,300 623 585 385
2023/07 単独実績 5,659 521 511 365
2022/07 単独実績 4,522 484 471 312
決算期 種別 EPS BPS 配当
2024/07 単独会社予想 508.20 4,102.79 85.00
上場時発行済株数 948,000株(別に潜在株式104,400株)
公開株数 494,500株(公募198,000株、売り出し232,000株、オーバーアロットメント64,500株)
調達資金使途 賃貸用不動産の取得・建築に係る設備資金、借入金の返済
PER:5.7
PBR:
配当利回り:2.99%
公募時吸い上げ資金:14.3億
公募時時価:28億
【株主構成】 以下180日
(株)ネクストライト 役員らが議決権の過半数所有 240,000 28.09% 売出42,500
(株)せんじゅ 役員らが議決権の過半数所有 240,000 28.09% 売出77,500
杉田茂樹 代表取締役会長 181,800 21.28% 売出112,000
カドス従業員持株会 特別利害関係者など 55,800 6.53%
工藤博丈 代表取締役社長 15,000 1.76%
杉田千佳子 代表取締役の配偶者、従業員 13,500 1.58%
井上一志 従業員 6,600 0.77%
松本浩美 特別利害関係者など 6,000 0.70%
従業員1 従業員 5,400 0.63%
従業員2 従業員 5,100 0.60%
本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である杉田茂樹、売出人である株式会社ネクストライト及び株式会社せんじゅ、当社役員である工藤博丈及び那須聖並びに当社株主であるカドス・コーポレーション従業員持株会、杉田千佳子、井上一志、松本浩美、井上裕子、杉田幹雄及びその他1名は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しにかかる元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2025年1月13日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。
【代表者】
代表者名 工藤 博丈(上場時53歳11カ月)/1970年生
本店所在地 山口県山口市小郡黄金町
設立年 1999年
従業員数 97人 (2024/04/30現在)(平均45.2歳、年収672万円)
事業内容 土地活用の提案から設計・施工までトータルプロデュースすることにより、流通店舗の建築工事を受注する建設事業および当該店舗などをテナント企業に賃貸する不動産事業
URL https://cados.jp/
株主数 13人 (目論見書より)
資本金 33,000,000円 (2024/06/14現在)
代表者生年月日 1970年08月10日生まれ
代表者略歴
1997年04月 ㈱一条工務店入社
2002年08月 当社入社
2016年08月 取締役本店営業部長
2020年08月 常務取締役事業本部長
2022年08月 当社代表取締役社長(現任)
【幹事団】
引受証券 野村 - -
引受証券 大和 - -
引受証券 SBI - -
引受証券 東海東京 - -
引受証券 ひろぎん - -
【参考類似企業】今期予想PER(6/21)
1401 エムビーエス 14.3倍 (連結予想)
1418 インターライフ 11.5倍 (連結予想)
1446 キャンディル 25.1倍 (連結予想)
1764 工藤建設 22.6倍 (単独予想)
1766 東建コーポ 16.8倍 (連結予想)
1793 大本組 20.6倍 (単独予想)
1878 大東建 14.2倍 (連結予想)
1905 テノックス 12.7倍 (連結予想)
1925 大和ハウス 10.7倍 (連結予想)
5078 セレコーポ 10.8倍 (連結予想)
8848 レオパレス21 10.8倍 (連結予想)
【私見】
地方の不動産事業で業種妙味はありません。業績は緩やかに伸び、PERは低めの設定で、公募価額以下はないという水準だと思います。需給も完全ロックで売られる要素はないので、公募割れでもするようならリバ狙いで狙っても良い銘柄かもしれません。
想定価額:2850円
仮条件上限:2900円
初値予想:3000円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価:3
0 件のコメント:
コメントを投稿