2019年5月18日土曜日

IPO分析(大英産業)

【事業内容】
(1)マンション事業
 当社グループのマンション事業は4つの事業で構成されております。第一の事業は自社ブランド「サンパーク」を冠した新築の「マンション分譲事業」であり、主に沖縄県を除く九州全域と山口県において提供しております。当事業ではデベロッパーとして商品企画部門と販売部門を一体としており、供給地域のお客様のニーズやトレンドを直接商品企画に反映することができる体制を構築しております。1986年の事業開始からの供給実績は、7,000戸を超えております。
 主な商品群は、主力商品である上質な住空間を追及する「レジデンス」シリーズ、女性目線での使いやすさを追求する「グラッセ」シリーズ、その両者を併せ持ち、空間・開放感をテーマにした上位クラスの「テラス」シリーズ、都市生活を最新鋭の住宅設備で支える先進的な「イクシア」シリーズ、コストパフォーマンス追求型の「バイズ」シリーズとなっており、取得した立地条件から求められるライフスタイルに合わせた提案ができる商品群となっております。マンション分譲事業の主要顧客はファミリーであり、初めて家を持つ第一次取得者層としております。
 第二の事業は「賃貸マンション販売事業」です。当社グループは、前述の地主や不動産仲介業者のみならず、金融機関や他業種からも土地情報を取得できるようになって参りましたが、当該土地情報の中には分譲マンションにおける適性こそ満たさないものの、別の観点では事業化に繋げられる可能性のあるものもあります。そういった土地情報から事業化した「サンクレシア」シリーズとは、賃貸マンションを建設し、土地と建物を一括で不動産投資を検討されている方へ販売するものです。過去の豊富な分譲実績に裏付けられた土地情報収集力と選定力・建物プランの企画力をトータルでご提案出来る事が最大の強みと認識しております。 
 第三の事業は「タウンハウス分譲事業」です。タウンハウスとは、複数の木造一戸建てが連なって長屋のような外観を持ち、権利関係や管理方法は分譲マンション同様、区分所有の形態を採る住宅です。当社のマンション・戸建づくりのノウハウを生かせる要素が多く、今後注力すべき商品として認識しております。
 第四の事業は「マンション総合管理事業」です。当社の連結子会社である株式会社リビングサポートにおいて、主に当社が供給した分譲マンションの管理事業を行っております。マンションの管理組合から業務委託を受け、清掃や修繕といった日常的な管理業務を主業務としながら、管理組合の決算業務等の代行も行っており、住まう方々の「入居後の顧客満足向上」を至上命題に掲げております。また、ITの導入によるサービスの向上と業務の効率化も推進しており、各物件のエントランス部分に掲示される連絡事項を、デジタルで受信し掲示できるデジタルサイネージの設置や、入居者のスマートフォンへ情報を届けられるアプリの導入等があります。日常的なものから災害などの緊急時にも必要事項をリアルタイムに配信でき、また、遠方の物件に対してもタイムラグが無く情報をお届けできるメリットがあります。日常からご購入者様との繋がりを深め、永くご愛顧頂ける仕組みを実現しております。

(2)住宅事業 
 住宅事業は4つの事業で構成されております。第一の事業は、自社ブランド「サンコート」を冠した新築一戸建ての「分譲住宅事業」であります。「サンコート」は、家事・育児・収納を重視した女性にとっての使いやすさがコンセプトであり、無駄なスペースを出来るだけ作らずに収納空間として活用するコンパクト設計と、工事の分離発注により建設コストの削減に努めていることに特色があります。2009年の当社グループにおける分譲住宅事業再編からの供給実績は2,500戸を超え、創業時からの供給実績を合わせると3,000戸超となっております。また、分譲住宅の土地仕入に関しては、マンション事業同様、地主や不動産仲介業者などから土地情報収集を行い、学校、スーパー、病院などの生活利便施設や公共交通機関の利便性のある土地を中心に土地仕入選定を行っております。更に、新たな商品群として、日本オーガニックアーキテクチャー株式会社のフランチャイズ商品「オーガニックハウス」を導入しました。当該商品に関しては、住宅事業の対象顧客を拡げる新たな商品として位置付けています。
 第二の事業は「注文住宅事業」で、分譲住宅事業でカバーできない需要に対して規格型の注文住宅を展開する事業です。分譲住宅事業で確立した豊富な土地情報網を生かし、土地取得から施工まで一貫してお任せ頂ける体制を構築しております。人気のある立地条件を持つ土地は、一般の方には入手が困難である場合が多いため、当社グループが仕入れた分譲住宅用の土地の一区画を提供するなど、お客様の希望に可能な限り沿った場所にお求めやすい価格で高品質な注文住宅を建てることを可能にしております。建物プランは、分譲住宅事業で実際に販売したプランをベースにしておりますので、既に住まわれている数多くのお客様の声を反映し、改良された間取りです。規格型ですので、間取りの変更には対応できませんが、住宅設備や壁紙、建具までは変更することができますので、お好みの立地に考え抜かれた間取りで、フルオーダーの注文住宅より予算を抑えることができるというメリットがあります。主要顧客は若いファミリー層が中心であります。 
 第三の事業は「不動産流通事業」で、仕入れた中古住宅にリフォームを施し付加価値を付けた上で転売するというビジネスモデルです。分譲住宅事業、注文住宅事業では予算条件を満たさないお客様のニーズに応えられる商品群を用意しております。当社グループが販売する中古物件には、顧客への訴求ポイントとして、①当社が売主となるため仲介手数料不要 ②当社にて瑕疵担保保険を付与 ③当社調査による隣地との境界確定 ④シロアリ防蟻工事施工済 ⑤いつでも入居可能なリフォーム済 を掲げております。マンション事業、分譲住宅事業の供給・販売実績などで培ってきた様々な経験とノウハウを活かした物件選定により、顧客のニーズに合わせた物件仕入を行っております。 
 第四の事業は「土地分譲事業」です。前述のとおり、当社のデベロッパーとしての強みである地主や不動産仲介業者との信頼関係は、「サンコート」建設用地の仕入でも活かされております。これにより、土地情報の早期取得が可能となっております。また一方で、お客様に土地を紹介したい大手ハウスメーカーから転売の要請を受けることも増えてまいりました。そこで、造成までされた宅地の状態での販売を開始しました。当社グループにとって商品化が難しい広さの土地を、競合しない価格帯の大手ハウスメーカーや、工務店等の建設会社で注文住宅建設を予定しているお客様へ効率良く提供することが出来ており、新たな販路拡大へ繋がると認識しております。 

 2019年3月末日現在、「住まいの情報館」は北九州市を中心に、小倉店、イオンタウン黒崎店、下関店、下曽根駅前店、ひびきの店、飯塚店の6店舗がそれぞれ営業しております。お客様のご要望に幅広く対応ができる受け皿となるよう、今後も店舗を拡充し、地元地域からの信頼とシェア獲得を目指しております。また、その他お客様のご要望に応じて、不動産仲介・リフォーム工事なども手がけております。販売時のみならず、住み始めてからのお悩みにも、長期に渡ってサポートできる体制を整え、お客様との生涯に渡る関係性の構築を目指しております。 

 なお、連結子会社の株式会社大英工務店は、全国的に人手不足の中、特に深刻化している大工職人の育成を目的として設立いたしました。当社の知名度を活かし確保した若手の人財に対し、長年の取引実績がある工事業者との提携により、ベテラン職人による指導を受けながら、当社の分譲住宅や注文住宅の建築を行うことで技術が継承できる体制を構築しております。現状ではグループ内部からの受注のみであるため、直接収益は生んでおりませんが、同社の成長は将来的な当社グループの住宅事業の成長へ寄与することが期待され、社会的にも意義が大きいと考えております。

(3)その他
 上記の2事業の他、以前分譲した大型団地等に上水や下水道などの供給を行う「水道供給事業」と、当社グループの所有する居住用物件と駐車場を賃貸する「不動産賃貸事業」を行っております。


【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 
(連結実績)2017.9 23,396 1,176 1,030 724 
(連結実績)2018.9 27,831 1,183 971 583 
(連結予想)2019.9 31,113 - 1,813 1,201 
(連結1Q実績)2019.9 3,668 -293 -260 -174 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(連結予想)2019.9 394.88 1,778.57 36 
調達資金使途 借入金返済 

上場時発行済み株数 3,252,000株 (別に潜在株式307,500株) 
公開株数 450,000株(公募312,000株、売り出し123,000株、オーバーアロットメント15,000株) シンジケート 公開株数435,000株 (別に15,000株) 

PER:3.8
PBR:0.84
配当利回り:2.3%
公募時吸い上げ資金:6.8億
公募時時価:49億
    

【株主構成】
大園信 代表取締役社長、子会社の役員 1,441,800 44.40  180
一ノ瀬知子 代表取締役社長の血族、常務取締役の配偶者 821,400 25.29  180
大園英彦 代表取締役社長の血族、創業者 300,000 9.24  180
つむぐ(株) 役員らが議決権の過半数を所有する会社 285,000 8.78 180 
従業員持ち株会 特別利害関係者など 72,840 2.24  
宮地弘行 専務取締役、子会社の役員 52,350 1.61  180
一ノ瀬謙二 常務取締役、子会社の役員 41,685 1.28  180
岡本達暁 取締役 24,975 0.77  180
茅原嘉晃 取締役 24,975 0.77  180
竹内和紀 取締役 24,975 0.77  180

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である大園信、売出人である一ノ瀬知子、並びに当社株主である大園英彦、つむぐ株式会社、宮地弘行、一ノ瀬謙二、岡本達暁、茅原嘉晃及び竹内和紀は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2019年11月30日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式(潜在株式を含む。)の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等は行わない旨合意しております。
 また、当社の第1回新株予約権者である芥川耕造、藤崎孝範、幸田良隆、福士耕治、米川勲、木附尚美、本田晃一、田中真吾、田村良紀、榎本和弘、月成拓也、谷崎真吾、武部秀基、竹下哲平、森圭太郎、伊藤義人、小川朗範、廣谷良範、大塚能史、鎭西孝行、浅野高志及び中川高徳は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2019年9月1日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式(潜在株式を含む。)の売却等は行わない旨合意しております。
 加えて、当社は主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換される有価証券の発行または当社普通株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行(ただし、本募集、株式分割、ストックオプションとしての新株予約権の発行、ストックオプションの行使による新株式発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、2019年4月25日開催の当社取締役会において決議された主幹事会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)等を行わない旨合意しております。


【代表者】
代表者生年月日
1949年02月18日生まれ 

代表者略歴
1971年08月 当社入社 
1977年03月 取締役副社長就任 
1999年01月 代表取締役副社長就任 
2001年10月 代表取締役社長就任(現任) 
2010年06月 (株)リビングサポート 代表取締役社長就任(現任) 
2017年12月 (株)大英工務店 代表取締役社長就任(現任) 


【幹事団】
主幹事証券 エイチ・エス 304,400 69.98 
引受証券 SMBC日興 30,500 7.01 
引受証券 岡三 26,100 6.00 
引受証券 SBI 26,100 6.00 
引受証券 FFG 17,400 4.00 
引受証券 西日本シティTT 17,400 4.00 
引受証券 マネックス 8,700 2.00 
引受証券 ひろぎん 4,400 1.01 


【参考類似企業 今期予想PER(4/26)】 
2970  グッドライフ 6.5倍(連結予想 ) 
3246  コーセーアールイ 8.3倍(連結予想 ) 
3280  エストラスト 5.0倍(連結予想 ) 
8894  原弘産 -倍(単独予想 ) 


【私見】
 不人気に不動産業で、福岡市場では厳しいスタートが予想されます。PERからはこれ以上の下はないでしょうが、将来の業績不安から上値余地もないと思われます。久々のHS案件で失敗はしたくないでしょうが、参加者限定の案件でノーマークで良いでしょう。

想定価額:1500円
仮条件上限:1520円
初値予想:1520円
ブック申し込み度・・・弱気
セカンダリー期待度・・・弱気
総合評価2

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