2020年8月4日火曜日

IPO分析(ニューラルポケット)


【事業内容】
 「AIエンジニアリングで未来の社会を形にする」をミッションに掲げ、独自開発のAIアルゴリズムによる画像・動画解析と端末処理技術を活用することで社会に貢献し、ビジネスにインパクトを与える「AIサービス」を創出しております。顧客の成長に資するAI技術の開発を進め、AIエンジニアリング事業を展開しております。

当社技術の特徴と優位性
① 独自の深層学習技術のライブラリの開発
当社は、技術分野として、独自の深層学習技術のライブラリを開発し、当社AIエンジニアリング事業に活用しております。深層学習の開発にあたっては、汎用のオープンアルゴリズムを転用せず、独自の学習データを収集して構築した高い検出精度の学習モデルを使用しております。また、当社は、光学分野の専門家等を有しており、画像の認識・解析の際に、カメラ特性等を踏まえた独自の前処理、後処理による精度の向上、新しい学習データによるAI技術の使用目的に合わせたカスタマイズをおこなうことができます。当社では、深層学習における学習データ準備に深い知見をもつアノテータチームがサービス開始後もAIの精度の持続的な向上を進めております。

② 端末処理(エッジコンピューティング)による深層学習モデルの低コスト活用
当社は、端末処理による深層学習モデルの低コスト活用を進めております。これまでのAI解析では、動画や写真、音声やデータといった容量の大きな情報を、通信網を用いてサーバールームにアップロードし、サーバーで大規模処理を行う必要がありました。こうしたサーバールームの活用は、通信網やサーバールームなどへの負担に加え、通信料やサーバールームの運用コスト、電気代などが大きく膨らむことから、AI活用の大きな障壁となってきました。エッジコンピューティングを使うと動画などの情報を収集する端末内でAI解析を行い、解析した後のメタデータのみが必要に応じてサーバーに送信され、サーバー上でリアルタイムでマーケティングやセキュリティーデータとして活用されるため、大規模なサーバールームを設置する必要がなくなります。

当社のエッジコンピューティングによる深層学習モデルでは、これまでAI実装には不可欠とされていた大容量サーバーが不要となるため、低コスト、省電力なだけでなく、柔軟にプラットフォーム化が可能な拡張性の高いサービスを提供できます。携帯電話が使える程度のインターネット環境と電源さえあれば、当社のAIを搭載した機器の設置ができるため地方の道の駅などの観光施設でも当社サービスの活用が始まっております。また、当社技術はデバイスとプロセッサ種別に横断的に搭載することが可能です。国内、海外メーカーが製造する5種類のエッジ機器のすべてに搭載でき、NVIDIA製のJETSON TXシリーズや、スマートフォンといった汎用エッジデバイス上で当社の深層学習モデルを稼働させることができます。特にJETSONでは、商用基準を満たすパッケージへのAI実装は非常に高い技術力が必要となりますが、当社は、商用基準を満たすパッケージを用いた開発の経験を有しており、社会インフラとして設置できる信頼性を担保した製品を開発することができます。また、内蔵のメモリに負荷をかけない最適化されたアルゴリズムを実装する開発に深い知見を有しており、スマートフォンにもこれまでになかった高度なAIを組み込むことが可能です。
 
③ 独自に開発する軽量・高精度な深層学習モデルと、エッジコンピューティングの親和性の活用
AIとエッジコンピューティングの親和性は、従来から求められておりましたが、エッジコンピューティングに深層学習モデルを搭載するには、モデルの軽量化が必須要件であり、オープンな汎用ライブラリを組み合わせて活用するだけでは、深層学習モデルの大きさが障壁となっていました。当社は、独自に開発する軽量・高精度な深層学習モデルと、エッジコンピューティングの親和性を最大限に活用し、サイネージ広告やスマートフォン・ドライブレコーダーアプリなど拡張可能性を担保した深層学習の開発と事業化に成功しております。当社は、エッジAI技術によるビジネス創出基盤を持つAIエッジプラットフォーマーとして事業を推進しております。

  (4) 展開するAIサービスと販売形態
① スマートシティ関連サービス
人口の都市集中や高齢化が進む中で、AI活用による小売業の効率化、物流や工場の効率化(スマートファクトリー)、AIを利用したモビリティ(乗物・移動手段)を用いた地方都市再生、犯罪や危険が起こりやすかった工事・作業現場空間の空間認識・デジタル化を通じた作業改善といった、多岐に渡るテーマについて、AIの活用が期待されております。

スマートシティ関連サービスでは、サイネージ広告関連サービスなどで蓄積されたAIライブラリを組み合わせて、それぞれの街、地域が抱える課題にソリューションを提供しております。これらに関連して、端末処理を実装する多種のエッジ機器に当社の深層学習モデルを搭載するための基盤整備や、深層学習を用いたアノテーションツールの提供等、スマートシティプロジェクトにおける当社技術の横断的な活用を視野に入れたソリューションを提供しております。具体的には、官公庁や自治体、MONET Technologiesと連携して国内8拠点の街づくりプロジェクトの実証実験等に携わり、海外大手デベロッパーと当社顧客企業が共同で進めるASEAN/OCEANIAの3ヶ国でスマートシティ案件に関与しております。

スマートシティ関連サービスにおいて、当社が特に注力しているサービスは以下のとおりです。
(i) スマート物流/スマートファクトリー
当社は工場のスマート化も推進いたします。これまで暗黙知とされてきた熟練工の経験・ノウハウに基づく動きについて、AIカメラを用いて可視化し、新人工員の稼働管理に役立てます。また、工場内にAIカメラを設置することによって、機械などの非デジタル設備の稼働状況を常時監視したり、工場の導線解析を実施したり、異常が発生した際に迅速な対応ができる工場運営体制の整備に役立てます。2019年度において、物流施設内の作業効率・動線可視化ソリューションを提供し、売上を計上しております。

(ⅱ) AI搭載スマートフォン・ドライブレコーダー
当社は、AI画像解析技術及びエッジ処理技術を応用することで、スマートフォンで運用可能なAI搭載のドライブレコーダー「スマートくん」を提供しています。当該アプリケーションをダウンロードすることで、ユーザーのスマートフォンがドライブレコーダーとして使えるようになります。本サービスでは、録画機能を搭載するだけでなく、急発進・急ブレーキ検知や前方車両発信アラートなどの機能を搭載しております。当社は、これを無償で提供し、ユーザーの同意のもと当該ドライブレコーダーが取得した運転データや道路情報のAI解析の基となるビックデータを取得します。当該情報は、自動車会社、タクシー会社や保険会社といった事業者へ有償で提供され、様々な事業に役立てられると想定しております。本サービスについて現時点では、売上実績はございません。

(ⅲ) パーキング
当社は、AI画像解析技術及びエッジ処理技術を応用した駐車場サービスの本格展開に向けた取り組みを進めております。当社のAIカメラを活用することで、駐車場全体の満空状態だけでなく、どのスペースが空いているかといった詳細な満空情報を把握することができます。また、事前登録などにより、車両番号撮影によるパーキングチケットのチケットレス化を推進し、精算時の混雑を緩和し、より快適なパーキング運営になることを想定しております。本サービスについて現時点では、売上実績はございません。

② サイネージ広告関連サービス
従来のデジタルサイネージは、広告を掲示するだけで、視聴者の属性や視聴率、視聴後の動向などを解析できませんでした。また、ネットワークに接続されておらず、設置するデバイス毎に個別でシステムを設定する必要がありました。そのため、設置の際の初期投資が大きく、作業にも時間がかかり、また、設置後も定期的なメンテナンスや緊急の不具合対応が必要な場合には、エンジニアが設置場所作業しなければならず、人的にも負担がありました。そうした課題に応えるべく、広告主や不動産企業、商業施設等の施設運営者に向けたAIデジタルサイネージ広告サービスの本格提供に向け、当社、大手通信事業者及び大手広告代理店が連携して取り組みを進めてまいります。

当社が提供するAIを搭載したカメラとエッジデバイスを使ったデジタルサイネージでは、オンラインで一斉に端末の設定を行うことができます。また、広告コンテンツを放映しながら、通行人の動きを感知し、視聴情報や施設内の人の流れなどの空間情報を各端末がその場で取得します。服装や人数によってビジネス利用か、家族連れかなどをAIが判定します。そうした属性情報は、その人が端末を見ていた時間などの視聴情報と一緒に解析され、施設運営者と広告主にそれぞれ報告されます。施設運営者においては、施設の来館者数や人の流れ、属性情報を取得でき、それに合わせてクーポンなどを活用したテナントマーケティング支援などによって来訪者行動の流動化を促すことができます。広告主は、サイネージ広告の視聴に係る詳細情報を把握することで、効果を測定し、広告内容を改良することができます。また、来館者等の属性を把握できることで、時間帯ごとの視聴者属性に合わせて放映する広告を変更するターゲティング広告も可能になります。

(i) 本サービスにおける当社の位置づけ
大手通信事業者は、本事業の旗振り役として各関係者との調整のハブを担います。主な役割としては、サイネージ機器の発注・調達・設置前の保管、設置作業・保守メンテナンス、顧客窓口対応、設置先(商業施設、オフィスビル等)への営業活動、サイネージ機器への通信機能提供を担います。

大手広告代理店は、サイネージで放映する広告コンテンツの広告主集め、及び広告コンテンツの制作・集約を担当します。また営業で獲得した設置先ごとの広告枠の管理や配信準備、AI機能で検知した数値の広告主向けのレポーティング準備など、サイネージ展開を実際の広告メディアとして構築する一連の活動を担います。

当社は、AIアルゴリズムの提供・機能更新、AIで検知した数字(広告視聴率、属性解析等)のデータレポーティングを行います。
  本サービスの収益については、契約に基づき大手通信事業者から固定報酬を受領しております。今後、本格運用が進んだ段階においては、現行の固定報酬に加え、大手通信事業会社が大手広告代理店から受け取る広告収益のうち一定の割合を受領する報酬形態とするべく、協議が進んでおります。

(ⅱ) 本サービスの特徴
・サイネージ機器で取得できる数値・指標の多さ
本サービスで使用するサイネージ機器では、従来品では取得できなかったものを含め、年齢・性別の推定、視線の検知、ペルソナ判定、歩行速度解析、ビジネスパーソンのグループか家族連れかなど多くの数値・指標をリアルタイムで取得できるという特徴を有しております。

③ ファッショントレンド解析関連サービス
(i) 本サービスにおける当社の位置づけ
当社は、本サービスにおいて独自の画像解析エンジン(特許 第6511204号)を用いて、SNSなどにおける2500万枚以上のファッションコーディネート画像をAIが解析し、ファッションのアイテム(シャツ、ポロシャツなど)、色彩(ホワイト、グレーなど)、シルエット(半袖、長そでなど)、素材感(ナイロン、レザーなど)などをビッグデータ化します。
 本サービスのユーザーとなるアパレル企業は、そのデータ解析結果により、それまで属人的な勘と経験によって断定されていたファッション特性を定量化し、MD(商品企画)業務をデジタル化・強化しております。

(ⅱ) 本サービスの特徴
AIによるファッション解析を行うことで、トレンドに合わせた投入計画を策定できるようになり、プロパー消化率(定価で販売した割合)を向上させることができると考えております。また、直近のトレンドデータに基づき、値引き判断を最適化することができると考えております。結果として、投入商品が最適化され、在庫水準も最適化され、営業利益率の改善につながると考えております。当社サービスを活用して企画された商品は大手アパレルブランドをはじめ、全国の店舗で販売されております。当社サービスを導入している顧客企業の一部ではプロパー消化率を改善する成果があがるなど、粗利改善に貢献しております。


【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(単独実績)2018.12 60 -182 -182 -182
(単独実績)2019.12 311 -133 -139 -139
(単独予想)2020.12 776 165 139 115
(単独1Q実績)2020.12 163 25 24 24

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当
(単独予想)2020.12 8.55  344.33 0
調達資金使途 採用費および人件費、運転資金

上場時発行済み株数 13,784,000株 (別に潜在株式1,221,500株)
公開株数  630,800株(公募415,000株、売り出し133,600株、オーバーアロットメント82,200株)

PER:105
PBR:
PSR:15.9
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:6.0億
公募時時価:124億
    

【株主構成】
重松路威(資産管理会社分含む) 代表取締役社長 10,000,000 68.54  90日
UTEC4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,074,000 7.36  90日・1.5倍
(株)SMBC信銀(特定運用金外信託) ベンチャーキャピタル(ファンド) 698,000 4.78
(株)オフィス千葉 ベンチャーキャピタル(ファンド) 485,000 3.32  90日
篠塚孝哉 特別利害関係者など 309,000 2.12
ミシュースティンドミートリ 特別利害関係者など 294,000 2.02
佐々木雄一 取締役CTO 288,000 1.97  90日
シニフィアン・アントレプレナーズファンド投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 199,000 1.36
染原友博 取締役CFO 177,000 1.21  90日
周涵 取締役COO 135,000 0.93  90日
SMBCベンチャーキャピタル4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 99,000 0.68
みずほ成長支援第3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 99,000 0.68


【代表者】
代表者生年月日 1980年08月23日生まれ
代表者略歴 
2006年04月 マッキンゼー・アンド・カンパニー入社
2016年01月 同社パートナー就任
2018年01月 当社設立 代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】
主幹事証券 みずほ 445,000 81.12
引受証券 野村 54,800 9.99
引受証券 SMBC日興 16,400 2.99
引受証券 大和 5,400 0.98
引受証券 いちよし 5,400 0.98
引受証券 SBI 5,400 0.98
引受証券 マネックス 5,400 0.98
引受証券 楽天 5,400 0.98
引受証券 岡三 5,400 0.98

【参考類似企業】 今期予想PER 7/16現
3653  モルフォ 26.4倍(連結予想 )
3993  PKSHA 182.4倍(連結予想 )
4052  フィーチャ 370.9倍(連結見込 )
4382  HEROZ 328.5倍(単独予想 )
4425  Kudan 7,285.7倍(連結予想 )


【私見】
 AIアルゴリズム、スマートシティ構想など業種妙味があり注目度が高い銘柄です。まだ小規模ですが、売上・利益共に急増しており、比較すると直近のフィーチャ、一昔前のPKSHAあたりで高PERでも容認される成長性を感じます。また、社長を含め経営陣はコンサル出身で、売上の半分以上がソフトバンク系できな臭さはありますが、株価的には短期で期待がもてます。不安材料は需給で、ロックきれのVCもおり、不安はあります。これほどの銘柄が、仮条件で想定価額を大幅に下回ったのは謎ですが、時価総額が小さくなったことはプラス材料で、300憶は通過点で500憶までは許容範囲と予想します。

想定価額:1320円
仮条件上限:900円
初値予想:4000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立~やや強気
総合評価4

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