2019年7月12日金曜日

IPO分析(ブシロード)

【事業内容】
1.エンターテイメント事業 
 トレーディングカードゲーム部門、モバイルオンラインゲーム部門、音楽ソフト販売や声優のマネージメント等を行う音楽部門、自社・他社のIPに関連するグッズの企画・発売等を行うMD部門、関連書籍の出版や広告代理店業務を行うメディア部門の5部門に分かれており、それらを担う当社と連結子会社の相互作用によって独創性が高いIPを開発(または良質なIPを取得)し、時代の潮流を読みながら多角的なメディアミックスを行うことでIPを発展させ、事業を拡大しております。 
 2015年1月に発表した「BanG Dream!(バンドリ!)」プロジェクトは、キャラクターの声を演じる声優が実際に楽器を演奏し、生のライブ活動を行うというユニークな発想を起点として開発したIPであり、こうした音楽活動をはじめ、アニメ、モバイルオンラインゲーム、トレーディングカードゲーム、MDといった様々なメディアミックスと幅広い広告宣伝によって多様なチャネルからユーザーを獲得しております。収益の面においてもモバイルオンラインゲームやトレーディングカードゲームのみならず、子会社が担う音楽ソフトやMDの売上が順調に伸びており、IPが発展することによって子会社を含む各部門の成長が牽引され、それによって収益面においてボラティリティの高い部門を他の部門が補うことができるという当社が理想とするビジネスモデルを体現したIPとなっております。 
 2017年4月に発表した「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」は、昨今エンターテイメント業界で話題となっている「2.5次元ミュージカル(2次元の漫画・アニメ・ゲームを原作とする3次元の舞台コンテンツの総称)」の多くがアニメのミュージカル化であることに対し、ミュージカルを原点としたアニメとの二層展開式プロジェクトという発想から開発されたIPであり、ミュージカル、アニメともに同一のキャストが演じることがプロジェクトに一体感をもたらし、どちらの入り口からも相乗的にファンを獲得できるIPとなっております。また、こちらも「BanG Dream!(バンドリ!)」同様にIPをさらに発展させるべく、モバイルオンラインゲームやトレーディングカードゲーム、MDなど様々な展開を実施しております。 

①トレーディングカードゲーム部門 
 1対1の対面で遊べるアナログゲームであり、現在「カードファイト!! ヴァンガード」、「ヴァイスシュヴァルツ」、「フューチャーカード バディファイト」、「ラブライブ!スクールアイドルコレクション」の4タイトルを展開しております。
 このうち「ヴァイスシュヴァルツ」は、自社他社問わずアニメやゲームなど様々な有力IPを取り入れたプラットフォーム型TCGであり、2008年3月の発売以降100を超えるIPに参入いただいております。これは当社が積極的かつ総合的なプロモーションを実現している事から、「ヴァイスシュヴァルツ」への参入が単なる商品化としての側面だけでなく、IP自体のプロモーションに寄与することが1つの要因であり、当社が「協業先から選んでいただけるIPプロデュース会社」であることを意味しています。
 一方で「カードファイト!! ヴァンガード」はオリジナルIPとしての側面も持つトレーディングカードゲームであり、発売以来国内のTCG市場上位に位置し続けております。また、当社の有力IPの1つとしてアニメやコミック、MD、コンシューマーゲームなど様々な形のメディアミックス展開も盛んに行っております。
 いずれのトレーディングカードゲームにおいても対戦相手が必要なアナログゲームであるため、販売小売店での大会開催支援や当社主催での大型大会及びイベントの開催などユーザーが遊べる場所の提供をインフラ整備として積極的に行っており、その運営ノウハウが他の部門でも生かされております。
 海外展開においては日本語版の輸出や英語版の発売の他、「カードファイト!! ヴァンガード」ではイタリア語、タイ語、韓国語などでもローカライズ(翻訳、仕様変更等)を行っており、2019年5月時点では海外60カ国以上で発売しております。海外での主催大会においても、アメリカやフランス、ドイツ、シンガポール、中国、タイなど世界20カ国以上で毎年開催するなど意欲的に展開を進めております。

② モバイルオンラインゲーム部門 
 ゲームブランド「ブシモ」を冠してGoogle LLC.及びApple Inc.等が運営するプラットフォームを介しユーザーに無料で提供され、一部アイテムを購入する際に課金される課金型のビジネスモデルを導入しており、2019年5月時点で「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」「少女☆歌劇 レヴュースタァライト-ReLIVE-」等自社IPを題材としたタイトルや「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」「戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED」等他社IPを題材としたタイトルなど、主にIPを中心とした計13タイトルを提供しております。
 当事業において提供しているタイトルはすべて外部のパートナー会社と共同で展開をしているものであり、その収益モデルは(1)当社がゲームの企画、製作、宣伝、配信を行って課金収入を得、外部のパートナー会社に開発及び運営を外注又は委託するケース、(2)当社がゲームの企画、製作、宣伝を、プロジェクトパートナー会社が開発、運営、配信を担い、収益は一定割合で分配するケースの2通りに分けられます。現在の主力タイトルである「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」、「少女☆歌劇 レヴュースタァライト-ReLIVE-」はいずれも(2)の収益モデルに該当しております。
 海外展開においてはパートナー会社と協力しながら、グローバル版(英語)、繁体字版、簡体字版、韓国語版をメインに展開しております。

③ 音楽部門 
 自社IPを中心に、音楽ソフトの販売や楽曲の権利開発、ライブやイベント運営などを行っております。またそれらの音楽ソフトやライブは、同じく連結子会社の㈱響に所属する声優を中心に展開しているため、他社では模倣する事が困難なフットワークの軽さによって良質なパフォーマンスを実現しており、多くのユーザーから支持を頂いております。 

④ MD部門 
 ㈱ブシロードクリエイティブにおいては自社や他社の有力IPを用いたグッズの企画・制作・販売を行っております。販売チャネルは全国にあるアニメショップなどでの一般流通のほか、全国のカプセル玩具自動販売機向けの販売や、アミューズメント施設向け景品の商品化も行っております。またIPのファンが集うイベント会場や商業施設での期間限定ポップアップストアなどコアなファンに向けた商品展開にも積極的に取り組んでおり、IPに対するユーザーのロイヤリティをさらに高める役割を果たしております。また当社でも主催イベントでのグッズ販売やトレーディングカードゲーム関連のサプライ用品などを企画・発売しております。また、これらのMDや③の音楽ソフト等を取り扱うオンラインショップ「ブシロードEC SHOP」を運営しております。 

⑤ メディア部門 
 「カードファイト!! ヴァンガード」「BanG Dream!(バンドリ)」「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」を看板タイトルに掲げた雑誌「月刊ブシロード」を制作・発行しております。「月刊ブシロード」の名を冠した実写情報バラエティ番組「月刊ブシロードTV」の制作・放送・配信も併せて行っており、雑誌単体では成し得ない複合的なプロモーションが可能となっております。また、㈱響にてWEBラジオの配信プラットフォームである「響 -HiBiKi Radio Station-」を運営しており、自社、他社問わず有力IPのWEBラジオを配信しております。アニメコンテンツのジャンルでは数少ないWEBラジオのプラットフォームであるため、業界の最新情報や有力IPの取得にも貢献しております。 

2.スポーツ事業 
 2012年1月に連結子会社化した新日本プロレスリング㈱と、2016年8月に設立した連結子会社㈱キックスロードの2社において、興行部門、グッズの企画・販売等を行うMD部門、試合を中心とした動画コンテンツの企画・制作・配信を行うコンテンツ部門を展開しております。新日本プロレスリング㈱は45年を超える歴史を持ち、日本で唯一1989年から現在まで毎年東京ドームでの興行を開催し続けているプロレス団体です。連結子会社化以降、興行の動員人数や全体の売上は伸張し続けており、2018年7月期においては、過去最高の売上額を達成いたしました。 
 なお、2018年7月期のスポーツ事業における売上高の内訳は興行部門がおよそ5割、MD部門がおよそ3割、コンテンツ部門がおよそ2割となっております。 

 ① 興行部門 
 新日本プロレスリング㈱は1972年に旗揚げした歴史あるプロレス興行会社であり、年間およそ160試合を開催し、2018年には延べ400,000名ほどを動員いたしました。また北米を中心とした海外での興行にも注力しており、2019年4月に開催された米国ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン大会では、アメリカの団体ROHとの合同興行で16,534名(札止め)の観衆を集めました。 
 また㈱キックスロードはキックボクシングイベント「KNOCK OUT(ノックアウト)」を主催しており、2018年7月期においては年間7試合を開催、延べ17,000名ほどを動員しております。 

② MD部門 
 選手や団体名に関連するモチーフを使用したアパレルや雑貨などグッズの企画、販売を行っております。販売チャネルは興行時の会場内物販や各種イベントを主としており、新日本プロレスリング㈱では直営ECサイト「闘魂SHOP」でも販売を行っております。 

③ コンテンツ部門 
 新日本プロレスリング㈱は㈱テレビ朝日との共同事業として、主要大会の生中継や過去の名勝負等現在から過去まで豊富な映像資産を有しており、それらを有力なコンテンツとして月額動画配信サービス「新日本プロレスワールド」(約100,000名)などの各種動画メディアにて配信しております。また、こういった映像コンテンツは今後の海外展開においてもファン獲得の肝であり、外国語実況及び字幕をつけるなど海外の視聴者にも向けたコンテンツ作りへより一層注力し、さらなる海外ファンの掘り起こしを促進しております。 


【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 
(連結実績)2017.7 22,759 306 323 -22 
(連結実績)2018.7 28,889 2,929 2,996 1,637 
(連結予想)2019.7 31,354 - 2,739 1,713 
(連結3Q累計実績)2019.7 23,522 2,500 2,522 1,450 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(連結予想)2019.7 125.79 709.72 0 
調達資金使途 アニメ制作の開発費 

上場時発行済み株数 15,706,000株 (別に潜在株式1,408,000株) 
公開株数 4,350,400株(公募2,100,000株、売り出し1,683,000株、オーバーアロットメント567,400株) 
シンジケート 公開株数3,783,000株 (別に567,400株)

PER:15.1
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:82.1億
公募時時価:297億
    

【株主構成】 
三井住友信託銀行(株)信託口甲9号 取締役の血族の信託財産 5,064,000 33.73 180
木谷高明 取締役、子会社の代表取締役 2,614,000 17.41  180
(株)中野坂上 役員らが議決権の過半数を所有する会社 2,500,000 16.65 
グリー(株) 特別利害関係者など 1,679,000 11.18  180
ハロルド・ジョージ・メイ 取締役CSO、子会社の代表取締役 452,000 3.01 
木谷恵 取締役の配偶者 124,000 0.83 180 
広瀬和彦 取締役 122,000 0.81 180
里見哲朗 特別利害関係者など 120,000 0.80 180 
岡田真澄 特別利害関係者など 120,000 0.80  180
国本哲秀 特別利害関係者など 120,000 0.80  180
高津祐一 監査役 120,000 0.80 180

 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、売出人である木谷高明、グリー株式会社、森瀬教文、岩倉亜貴及び成田耕祐、貸株人である株式会社中野坂上、当社株主かつ当社役員である広瀬和彦、高津祐一、橋本義賢、村岡敏行及び桶田大介並びに当社株主である木谷惠、島村匡俊、長畑克也、中山淳雄及び有本慎は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2020年1月24日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)の売却等を行わない旨を約束しております。
 三井住友信託銀行株式会社信託口(信託口甲9号)(以下「本件信託」という。)における委託者兼受益者である木谷奈津子並びに本件信託における委託者兼受益者である木谷加奈子及び木谷翔太郎の親権者である木谷高明及び木谷惠は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2020年1月24日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、本件信託の解約を行わないこと、元引受契約締結日に信託財産として信託されている普通株式を三井住友信託銀行株式会社に譲渡又は売却を行わせないこと、及び本件信託の終了により交付を受ける普通株式の譲渡又は売却を行わないことを約束しております。 
 売出人である小原正司、榎本武士、住友正信、金原威也、末原香織及び東保裕之、当社株主である里見哲朗、岡田真澄、国本哲秀、中村聡、稲田洋一、浅尾慶一郎、都田和志、筆谷芳行、源生哲雄、安藝貴範、馬場隆博、戸塚恵一、佐藤允彦、松村和俊及び鳥羽史郎は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2019年10月26日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)の売却等を行わない旨を約束しております。
 また、当社は、主幹事会社に対し、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2020年1月24日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利あるいは義務を有する有価証券の発行又は売却(本第三者割当増資に係る新株式発行並びに株式分割による新株式発行等及びストック・オプションに係る新株予約権の発行を除く。)を行わないことに合意しております。 
  

【代表者】
代表者生年月日
1964年10月25日生まれ 

代表者略歴
1987年04月 日本アイ・ビー・エム(株)入社 
1995年05月 (株)コスチュームパラダイス(現(株)コスパ)設立 
2006年04月 ブリエ・コミュニケーションズ(株)(現コスパグループホールディングス(株))設立 
2012年01月 当社顧問 
2015年09月 当社取締役 
2017年10月 当社代表取締役社長(現任) 


【幹事団】
主幹事証券 SMBC日興 - - 
引受証券 大和 - - 
引受証券 みずほ - - 
引受証券 SBI - - 
引受証券 楽天 - - 
引受証券 マネックス - - 
引受証券 エース - - 
引受証券 水戸 - - 


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【私見】
 ゲームから音楽・プロレスまで多岐にわたるエンターテイメント銘柄で優位性もあり業種的には悪くないと思います。しかし、PERからは割高でもないと思いますが、昨期は減益でで、ここからの成長性を考えると大きな上値はないかと思います。需給は、一部ロックなしもあり、吸収金額・時価総額共に大きいので公募やや上の動きと予想します。


想定価額:1840円
仮条件上限:1890円
初値予想:2000円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

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