2019年7月25日木曜日

IPO分析(ステムリム)

【事業内容】
 当社が創業以来、その実現を目指し研究開発に取り組んできた「再生誘導医薬」は、怪我や病気により損傷し機能を失った生体組織の機能的再生・治癒を促進する、新しい作用メカニズムにもとづく医薬品です。
再生誘導医薬は、従来型の再生医療/細胞治療とは異なり、生きた細胞の投与を必要とせず、物質=医薬品の投与によって、患者自身の体内に存在する幹細胞(※2)を活性化する方法で、より簡便かつ安全に、治療効果の高い再生医療を実現します。再生誘導医薬開発により、生きた細胞製剤では難しい安定した品質による迅速な再生医療を実現する製品供給が可能となることから、広く普及可能な新しい再生医療となり得ます。
 再生誘導医薬の投与によって患者の体内で誘導される幹細胞は、血液循環を介して体内を巡り、損傷した組織特異的(※3)に集積します。損傷部位に集積した幹細胞は、神経や皮膚、骨、軟骨、筋肉、血管など、様々な種類の組織に分化する能力を有するため、再生誘導医薬という共通のプラットフォームによって、脳梗塞や脊髄損傷などの中枢神経系疾患、心筋梗塞や心筋症などの循環器系疾患、難治性皮膚潰瘍などの上皮系疾患、難治性骨折などの間葉系疾患など、組織損傷をともなう数多くの難病に対して幅広い治療効果をもたらすことが期待されます。
 当社で最も開発の進む開発品は、現在、大阪大学医学部附属病院・慶應義塾大学病院・東邦大学医療センターにおいて難治性遺伝性皮膚疾患(表皮水疱症)を対象とした臨床試験(医師主導治験)第Ⅱ相試験を実施中です。当該開発品をはじめとして、当社はこれまでの研究開発活動を通じて、複数の疾患に対する複数の研究開発パイプライン(医薬品候補群)を保有しており、再生誘導医薬の実現に向けた多面的・多層的な創薬研究開発事業を展開しております。

(1)事業の内容
① 事業モデル
 当社は、医薬品の研究開発を主たる業務としております。自社研究若しくは大学等研究機関との共同研究を通じて、生体内における組織再生誘導メカニズム(※6)の解明と幹細胞の特性解析、幹細胞の制御技術(※7)に関する基礎研究をおこない、その成果を活用したスクリーニング系によって、再生誘導医薬シーズの探索をおこなっております。
 同定した候補物質については、自社単独若しくは共同研究を実施した大学等研究機関と共同で特許を出願し、研究開発活動の果実である知的財産の構築を進めております。大学等研究機関と共同で出願した特許については、当社が独占的な実施権の許諾を受け、以後の製品化に向けた研究開発を当社主導で進めております。
 候補物質については、自社若しくは大学等研究機関/パートナー企業と共同で、製造方法の開発、非臨床薬効薬理試験、安全性試験、初期臨床試験等までを実施し、医薬品開発の成功可能性と知的財産価値を高めたうえで、国内・海外の製薬企業に対して、製品の開発権、製造権、販売権等をライセンスアウトすることで、(a)契約一時金、(b)開発の進捗に応じて支払われるマイルストーン収入、(c)製品上市後に売上高の一定割合が支払われるロイヤリティ収入、(b)売上高に対する目標値を達成するごとに支払われる販売マイルストーン収入等を得る事業モデルを採用しております。
 また、パートナー企業とは、ライセンス契約に至る前の比較的早期の研究開発段階において、将来のライセンス契約を前提とした共同研究契約を締結することもあります(事業系統図の(共同研究))。この場合、当社は、パートナー企業から (a)契約一時金、(d)共同研究収入を得ることで、自社の費用負担を低減しつつ、かつパートナー企業の開発リソースも活用することで、研究開発を加速できるメリットを得られます。

② 再生誘導医薬について/新しい再生医療
「再生誘導医薬」とは、生きた細胞や組織を用いることなく、医薬品(化合物)の投与のみによって、再生医療と同等の治療効果を得られる医薬品です。
これまでは、怪我や病気で身体の臓器や組織に大規模な損傷や不可逆的な病変による機能不全が生じた場合、一般的な医薬品によってこれを根治することは難しく、その回復には、正常な臓器と取り換える移植医療(心臓移植や腎臓移植等の臓器移植や輸血等)をおこなう他に方法がありませんでした。しかしながら、このような移植医療は、難治性疾患に対する根治療法となり得る一方で、臓器提供者(ドナー)の慢性的な不足と他人の臓器に対する免疫拒絶反応、また倫理的な問題等から、すべての患者が享受できる、広く普及可能な一般医療にはなり得ません。
 この移植医療の限界を突破する技術として、近年注目を集めているのが再生医療/細胞治療です。再生医療/細胞治療は、患者本人若しくは健常なドナー(提供者)から採取した細胞を、生体外で大量に培養することで、治療に必要な十分量の移植用細胞を確保したうえで患者に移植する新しい移植医療技術です。この再生医療/細胞治療は、従来の移植医療が抱える普及への制約を解消し、かつ同等な治療効果を得ることが期待できる新しい再生医療と言えます。
 しかしながら、この再生医療/細胞治療についても、その実用化に向けては数多くの解決すべき課題があります。
再生医療/細胞治療は、最終製品として生きた細胞自体を用いる必要があることから、①製造工程における品質管理の難しさ(均質な細胞製剤を安定的に製造することが難しい)、②安全性への懸念(生体外で大量培養する工程で細胞が変質・癌化するリスクがある)、③治療可能時期の制約(自家の細胞を治療に用いる場合、採取から十分量の移植細胞を得るまでに数週間におよぶ細胞培養期間が必要となり急性期~早期治療の機会は失われる)、④免疫拒絶反応(他人から提供された細胞を培養して治療に用いる場合、免疫拒絶の問題が生じる)、⑤保管・流通の制約(冷凍・冷蔵により細胞を生きたまま運搬・保存する際に非常に手間がかかり、保存期間も限られる)など、数多くの構造的な課題を抱えており、一般医療として普及するためには更なる技術革新が必要な状況にあります。
 このような背景のもと、当社が大阪大学との共同研究を通じて先駆的な概念を構築し開発を進めてきた「再生誘導医薬」は、製品として生きた細胞を一切用いることなく、『物質(化合物)の投与によって、再生医療/細胞治療を実現する』をコンセプトとする、新しい『再生医療』であります。


【業績等】
業績動向(百万円) 事業収益 営業利益 経常利益 純利益 
(単独実績)2017.7 300 -160 -157 -123 
(単独実績)2018.7 200 -375 -327 -323 
(単独予想)2019.7 100 -725 -701 -701 
(単独3Q累計実績)2019.7 100 -506 -506 -505 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(単独予想)2019.7 -16.52 387.51 0 
調達資金使途 研究・実験施設の設立、研究開発のための運転資金、事業拡大に伴う人件費 

上場時発行済み株数 50,282,700株 (別に潜在株式8,792,700株) 
公開株数 9,660,000株(公募6,000,000株、売り出し2,400,000株、オーバーアロットメント1,260,000株) シンジケート 公開株数8,400,000株 (別に1,260,000株) 

PER:
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:164億
公募時時価:855億
    

【株主構成】 
玉井克人 外部協力者 10,500,000 19.78   180
玉井佳子 特別利害関係者など 5,400,000 10.17  180
冨田憲介 代表取締役会長CEO 5,025,000 9.47  180
大久保俊幸 特別利害関係者など 4,650,000 8.76  180
(株)SMBC信託銀行信託口08900027 塩野義製薬 180
(株)の受託者 2,850,000 5.37  180
山崎尊彦 取締役副社長 2,700,000 5.09  180
みやこ京大イノベーション投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,443,200 4.60 
大阪バイオファンド投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,433,300 4.58  180
大和日台バイオベンチャー投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,333,100 4.40 
金崎努 取締役 2,115,000 3.98 180

 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である冨田憲介、売出人かつ当社役員である山﨑尊彦、金崎努、当社株主である玉井克人、玉井佳子、大久保俊幸、大阪バイオファンド投資事業有限責任組合、臼井玲、西巻光平、公益財団法人加藤記念バイオサイエンス振興財団、有限会社イー・シー・エス、JAIC-ブリッジ2号投資事業有限責任組合、当社新株予約権者かつ当社役員である横田耕一、久渡庸二、行正秀文、津田和義は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2020年2月4日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)の売却等を行わない旨を約束しております。
 当社普通株式の管理を目的に委託した信託財産である株式会社SMBC信託銀行信託口08900027(以下「当該信託口」という。)における委託者兼受益者である塩野義製薬株式会社は、主幹事会社に対して、ロックアップ期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に当該信託口で保有する当社普通株式を当該信託口における受託者である株式会社SMBC信託銀行に譲渡又は売却を行わせないこと、当社普通株式の管理を目的として当該信託口以外の新たな信託口が設定された場合においてその受託者に譲渡又は売却を行わせないこと及び信託財産としての当社普通株式が受託者から当社に交付された場合において譲渡又は売却を行わない旨を約束しております。
 また、当社は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利あるいは義務を有する有価証券の発行又は売却(本第三者割当増資に係る新株式発行並びに株式分割による新株式発行等及びストック・オプションに係る新株予約権の発行を除く。)を行わないことに合意しております。


【代表者】
代表者生年月日 1949年01月08日生まれ

代表者略歴 
1974年04月 三共(株)(現第一三共(株)) 入社
1987年07月 日本イーライリリー(株) 入社
2000年06月 アンジェス エムジー(株)(現アンジェス(株)) 代表取締役社長(2001年4月 同社 取締役会長)
2004年05月 Sanbio,Inc. 取締役 8月 OMAb Parma(株)(現イムナス・ファーマ(株)) 代表取締役社長
2010年05月 オンコセラピー・サイエンス(株) 代表取締役会長
2013年07月 当社 取締役 10月 当社 取締役会長
2018年04月 当社 代表取締役社長
2019年03月 当社 代表取締役会長CEO(現任)


【幹事団】
主幹事証券 SMBC日興 - - 
引受証券 大和 - - 
引受証券 野村 - - 
引受証券 みずほ - - 
引受証券 SBI - - 
引受証券 いちよし - - 
引受証券 岡三 - - 
引受証券 楽天 - - 
引受証券 西村 - - 


【私見】
  再生誘導医薬という分野で詳しくは分かりませんが、将来性もありそうで魅力ある分野です。ペプチドは別として、想定ベースでの時価総額1500億超としてはそーせい・サンバイオ並みでなったので厳しいと思いましたが、仮条件を一気に下げヘリオス並みになったので中期で見れば妙味もありそうです。しかし、需給はロックなしVCやSOもあることから初値段階では厳しいスタートが予想されます。サンサンのような展開も考えずられるのでマークはしたい銘柄です。

想定価額:3050円
仮条件上限:1700円
初値予想:1700円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

4 件のコメント:

  1. IPOの地合が低調ですが、ここは割れスタートなら初値買い面白そうでしょうかね。

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  2. 割れスタートには興味ありますね。

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  3. ここまで来たら主幹事の引受価額なんて中途半端な初値はついてほしくないです。

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  4. このような価額設定は初めてですから、ある意味注目ですね。

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