2019年7月18日木曜日

IPO分析(ツクルバ)

【事業内容】
 cowcamo(カウカモ)事業及び、シェアードワークプレイス事業を展開しております。
(1) cowcamo(カウカモ)事業
 当事業では、ITを活用したリノベーション・中古住宅流通プラットフォーム「cowcamo」において、オンラインメディアを通じた物件情報流通サービス及び自社エージェントによる仲介サービス、顧客ニーズや物件のデータを活用した売主・事業者向け支援サービスを主なサービスとして提供しております。
 当事業の特徴は、中古住宅流通のバリューチェーンを、テクノロジーを用いて統合している点にあります。具体的には、リノベーション・中古マンション購入における一連の顧客体験の統合・刷新(特徴①-1)、住宅デザイン企画・メディア運営・エージェントサービスの一連のオペレーションの統合・最適化(特徴①-2)、顧客ニーズや物件のデザイン、物件の取引データなどの独自データの活用(特徴②)にあります。
 当事業では、リノベーションマンションに特化した住宅情報メディアサービスおよび自社エージェントによる仲介サービスを提供しております。主な収益源は、リノベーション・中古マンションの売買に関して売手及び買手から受領する売買仲介手数料、その他付随する手数料等、住宅取引の流通総額に対して課される手数料であり、広告掲載料等は受領しておりません。また、買主の要望等により、一部取引においては、在庫リスクをコントロールできる場合に限定して、当社が一時的に物件を仕入・販売する取引が発生するケースがありますが(再販取引)、取引は仲介取引の割合が多数を占める状況にあります。

特徴①-1:リノベーション・中古マンション購入における一連の顧客体験の統合・刷新
 オンラインの住宅情報流通メディアを中心に、リノベーション・中古マンションの購入体験の統合・刷新を図っております。具体的には、従来の店舗やチラシ、物件情報検索サイトを通じた画一的な物件情報流通に対して、ソーシャルメディア等のチャネルに特化し、独自に撮影した画像や取材記事を中心としたコンテンツ型メディアとしての物件情報流通モデルを確立しております。また、会員向けに、当社独自の物件情報データベースからユーザーの嗜好にあった物件を選定・提案するネイティブアプリ(※3)や、住宅購入検討プロセスにおける当社エージェントとのコミュニケーションをオンラインチャット上で行うことができるネイティブアプリを相次いで開発し、多数の会員を有する住宅購入サービスへと成長いたしました。
 なお、「cowcamo」における2019年4月時点での会員数は9.0万人に達しております。

特徴①-2:住宅デザイン企画・メディア運営・エージェントサービスの一連のオペレーションの統合・最適化
 一連の業務フローにおいて自社開発したシステムを活用することにより、高い生産性と顧客満足の両立を図っております。具体的には、顧客の個別的な嗜好性や住まい探しの状況を一元的に把握・管理することが可能な顧客管理システム、エージェントによる顧客への提案支援、顧客とのアポイントメント管理、業務の優先度管理等を支援する業務支援システム、顧客とのコミュニケーションを円滑化・効率化するチャットアプリなど、一連の業務フローが全て自社開発によりシステム化されております。これにより、各々の業務プロセスにおいて高い生産性を実現するとともに、非熟練者でもオペレーションを遂行できることから事業拡大に柔軟に対応可能な組織の拡張性を実現していると考えております。当社の組織的な能力である特徴①-2により当社サービスの価値である特徴①-1の提供が実現していると考えております。

特徴②:顧客ニーズや物件のデザイン、物件の取引データなどの独自データの活用
 売主・事業者向け支援サービスでは、前述したメディアサービス、エージェントサービスを通じて、顧客ニーズやリノベーションのデザイン、物件、取引情報等の多数のデータを蓄積しております。これらのデータを解析・活用することで、ユーザーのニーズの分析や、最適なリノベーション企画の立案、販売価格の推計等が可能となります。当事業ではこれらを応用し、当サービスを利用する売主・事業者に対してリノベーション物件の商品企画や販売支援などの業務支援サービスを提供しております。これにより、本サービスを利用する売主・事業主からの収益機会が拡大するとともに、cowcamoのユーザー・会員に適した物件の供給が増大し、サービス全体の価値向上に寄与するものと考えております。

(2) シェアードワークプレイス事業
 リノベーションしたオフィス空間に様々なサービスを組み合わせた「働く場」をサブスクリプション型のサービスとして提供するワークスペースのシェアリングサービスを中心とした事業展開を行っております。同事業では、スタートアップ、個人事業主、クリエイターなどの"チャレンジする人・組織"を主要な顧客としたコワーキングスペース「co-ba(コーバ)」、成長中のスタートアップ向けに企業の成長や変化に合わせて柔軟にオフィススペースをレンタルすることができる「HEYSHA(ヘイシャ)」の2つのサービスを提供するほか、ワークスペースの仲介・設計等の受託サービスも展開しております。

シェアードワークプレイス事業の特徴は以下の通りです。
① サブスクリプション型のビジネスモデル
 オフィスの床のみを貸し出して賃料を得る従来のオフィス賃貸と異なり、既に内装や家具が施された空間に様々なソフトサービスを統合した「働く場」を一定期間単位で利用可能としたサブスクリプション型のモデルを採用しております。なお、「co-ba(コーバ)」は月単位または一日単位でのサービス利用料、「HEYSHA(ヘイシャ)」は月額のサービス利用料という形で収益を得ております。

② コミュニティプラットフォーム
 「co-ba(コーバ)」「HEYSHA(ヘイシャ)」のメンバーは、オフィススペースの利用に加え、当社が運営する様々なイベントやメンバー向けオンラインサイトにて相互に交流することが可能となっております。

③ ネットワーク展開
 自社開発のみならず各地において他事業者と連携することにより、早期のネットワーク拡大を図っております。



【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 
(単独実績)2017.7 346 -105 -91 27 
(単独実績)2018.7 531 -485 -486 -401 
(単独予想)2019.7 1,496 5 1 0 
(単独3Q累計実績)2019.7 1,085 11 6 6 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(単独予想)2019.7 0.10 171.38  -  
調達資金使途 広告宣伝費、システム開発費、事業拠点開発費、人材採用費・人件費、本社拡張費、借入金の返済 

上場時発行済み株数 9,331,700株 (別に潜在株式1,277,000株) 
公開株数 2,202,200株(公募535,000株、売り出し1,380,000株、オーバーアロットメント287,200株) シンジケート 公開株数1,915,000株(別に287,200株)

PER:
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:45.1億
公募時時価:191億
    

【株主構成】 
村上浩輝 代表取締役CEO 2,281,300 23.43 
中村真広 代表取締役CCO 2,168,800 22.27 
(株)エイチ 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,000,000 10.27 
(同)エム 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,000,000 10.27 
(株)アカツキ 特別利害関係者など 624,000 6.41 
イーストベンチャーズ投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 600,000 6.16 
佐藤裕介 監査役 222,000 2.28 
筧智家至 顧問税理士 220,000 2.26 
(株)シーラホールディングス ベンチャーキャピタル(ファンド) 220,000 2.26 
北原寛司 取締役COO 189,200 1.94 

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ当社株主である村上浩輝、中村真広、株式会社アカツキ、イーストベンチャーズ投資事業有限責任組合、株式会社シーラホールディングス、及び佐藤道明、並びに当社株主である株式会社エイチ、合同会社エム、佐藤裕介、北原寛司、小池良平、合同会社PKSHA Technology Capital、電通ベンチャーズ1号グローバルファンド、みらい創造一号投資事業有限責任組合、福島良典、高野慎一、ANRI3号投資事業有限責任組合、中川綾太郎、株式会社ネクストフィールド、遠藤幸一郎、小泉文明、服部景子、手嶋浩己及び松本恭攝は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2019年10月28日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。
また、当社株主であるツクルバ従業員持株会は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2020年1月26日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。
さらに、当社の新株予約権を保有する村上浩輝、中村真広、佐藤裕介、北原寛司、小池良平、高野慎一及び服部景子は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2019年10月28日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等(ただし、新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。

【代表者】
代表者生年月日 1985年09月11日生まれ

代表者略歴
2009年04月 (株)コスモスイニシア入社
2009年12月 (株)ネクスト(現:(株)LIFULL)入社
2011年08月 当社 創業
2012年07月 当社 代表取締役CEO就任(現任)
2012年10月 (株)マチニワ 代表取締役就任(現任)
2013年10月 (株)アプト(現:(株)アカツキライブエンターテインメント)取締役就任


【幹事団】
主幹事証券 大和 - - 
引受証券 みずほ - - 
引受証券 いちよし - - 
引受証券 SBI - - 
引受証券 マネックス - - 
引受証券 楽天 - - 


【参考類似企業】 今期予想PER7/5現在 
3491  GATECH 49.6倍(連結予想 ) 
3929  ソーシャルワイヤ 32.2倍(連結予想 ) 
4437  GDH 24.5倍(連結予想 ) 
6037  ファーストロジ 11.1倍(単独予想 ) 


【私見】
   リビンテクノロジーの落ち込みからも人気がなくなったともいえる不動産テック銘柄。シェアリングも含めて同じような業種も数多くあるので優位性は特にないでしょう。黒字化で成長性はあると思いますが、来期の数字を織り込んでおり、規模的にも大きめなので公募やや上の動きが落ち着きどころでしょうか。


想定価額:2050円
仮条件上限:2050円
初値予想:2150円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

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