2019年7月2日火曜日

IPO分析(Link-U)

【事業内容】
(1)事業の概況 
 「世の中の課題を技術で解決する」という経営理念のもと、自社設計のオリジナルサーバーを基軸としたデータ配信と、そのデータを適切に蓄積・分析・処理するAIソリューションを併せてワンストップで提供するサーバープラットフォームビジネスを展開しております。その中で培ったサーバーインフラ技術、データ処理技術及びコンテンツ処理技術等を強みとして、事業規模を拡大してまいりました。 

(2)技術の特徴 
 当社のサーバープラットフォーム技術には、以下の特徴があります。 
①ユーザビリティ 
・高速配信が可能 
 ハウジングで利用しているデータセンターにおいて、インターネット回線が集積する東京都千代田区大手町から当社のみが利用する専用線を引き込んでおり、自社のみで使用できる環境にある高速なインターネット回線を通じて配信しているため、他社の利用状況の影響を受けず安定した高速配信により快適なユーザー体験を提供できる能力を有しております。 
 当社は高性能なサーバーを自社で保有していることを利点として、仮想化やルーティングによるオーバーヘッドなくサーバーを稼働させております。 
 ユーザーに快適な使用環境を提供することは、隙間時間の活用やサービスへの接触機会の増加につながり、ユーザー満足度の向上のために重要であると考えております。 

・コンテンツ処理 
 マンガに適した画像とするためのトーンをグラデーションにする処理技術、画像圧縮技術、ノイズリダクション技術及びアップコンバート技術を有しております。 
 その他、パソコン上のブラウザやスマートフォン上での快適な画面の閲覧が可能になる画像表示ソフトウェア(viewer)、データの大量配信に対応した電子認証システム等の技術を有しております。 
 動画につきましても、画像と同じく圧縮処理技術・ノイズリダクション等の技術を有しております。 

・通信量削減 
 ユーザーの読書履歴及びお気に入り登録などから、大量のデータにより学習した情報を基にユーザーが読むであろうコンテンツを予測し、充電中かつWi-Fiに接続しているユーザーの端末への事前の配信を可能にしております。これにより携帯電話回線接続時にダウンロードが不要になることから画像表示に要する時間及び通信量が削減され、電車の中など電波状態の悪い環境におけるコンテンツ閲覧に要する通信環境のハードルが下がり、パケット制限への抵触が回避しやすくなります。 

②安定した運用 
・サービス停止の防止策 
 当社ではサーバーを3重化、ネットワークを2重化した、単一障害点のない冗長化構成を基本としております。突発的なサーバーダウンが発生した場合においてもダウンしたサーバーを自動で除外し、残りの2台のサーバーが相互補完する仕組みとなっており、サービスを中断することなく提供することが可能な体制となっております。同様に、ネットワークダウンが発生した場合においても、予備のネットワークに自動で切り替える体制となっております。 

・耐障害性の高さ 
 データベースサーバーにおいて、マルチマスタ方式を採用しております。一般的にはマスタ・スレーブ方式が採用されておりますが、マスタデータを更新してからスレーブデータに更新されるまでにタイムラグが発生し、マスタサーバーに不具合が発生した場合、マスタ・スレーブの切替の処理が必要というデメリットがあります。マルチマスタ方式を採用することにより、マスタ・スレーブの切替の処理が不要となり、障害発生時に自動フェイルオーバーによるサービスの継続が可能となっております。 

③高コストパフォーマンス 
・低コストでの運用 
 コンテンツの電子配信事業者は、クラウドサーバー事業者を活用することが通常であるなかで、当社は用途、配信量に応じたサーバーハードウェアを自社設計する方針としており、画像・動画の高速大量配信に特化したオリジナルサーバーを高性能・低コストで調達することができます。通常、サーバーの台数が増加するほど、サーバー間の連携をとるためのシステムは複雑になり、サーバーの監視に要する人的コストは高まります。当社はサーバー1台の性能を高めることにより、少数のサーバーにより運営しております。それにより複雑なシステムを構築する必要がなく、また監視対象が少ないため、保守に要する労力も削減しております。 

・サーバーコスト抑制 
 当社は圧縮率の高いフォーマットであるWebPを採用しております。コンテンツの容量を削減することにより、サーバーを構築するうえで確保する必要のある容量を削減、サーバーに必要なコストを抑制しております。 

④マーケティング 
 迅速なフィードバック 
 当社は高速なデータベースの集計処理を可能とする技術を有しております。データの高速取得は、データ分析の容易さに直結するため、リアルタイムで取得したユーザーの動向を、サービスに対して迅速にフィードバックを行うことが容易となっております。 

⑤セキュリティ 
 著作権保護技術 
 動画コンテンツにおいては、DRMとしてGoogle Inc.が提供するWideVineを採用した実績があります。 

(3)サービスの内容 
①リカーリングサービス 

「リカーリングサービス」は、当社の持続的な収益基盤となるレベニューシェア)収益及び月額固定収益で構成されております。①サーバーの調達、システムの構築及びデータセンター設置のサーバー保守運用、②継続するスマートフォンアプリケーションの開発・アップデート並びに③サービス運用及び広告運用の組み合わせ、もしくは単体でこれらのサービスを提供しております。 

 事業領域としては、電子書籍配信サービスに注力しております。 
 電子書籍配信サービスでメインのサービスは、その配信者(コンテンツホルダー)または配信者からサービス運営を受託した企業とのレベニューシェア契約を締結しているサービスであり、株式会社小学館が提供するマンガアプリである「マンガワン」においては上記サーバー、アプリ開発及びサービス運用の3サービスをまとめて提供しており、株式会社スクウェア・エニックスが提供する「マンガUP!」及び株式会社白泉社が提供する「マンガPark」では、サーバーサービスを提供しております。 
 電子書籍配信サービスではマンガコンテンツをメインに配信しておりますが、その他に当社の技術を活用しながら動画コンテンツや小説コンテンツも配信し、他サービスとの差別化を図り、付加価値の向上に努めております。 
 マンガアプリの主な収益構造は、ユーザーからの課金及び広告収入となっております。 
 「マンガワン」については、ライフ、SPライフ、チケットの3種類のポイントがあり、それぞれのポイントを使用することでマンガを閲覧することが可能となっております。ライフは1日に2回4ポイントまで回復します。SPライフは広告の閲覧や、広告主の提供するサービスの利用、課金の際のおまけポイント等により入手可能です。チケットは、ユーザーがApple Inc.やGoogle Inc.といったプラットフォーム運営事業者による課金決済を通じて入手できるポイントになります。「マンガUP!」及び「マンガPark」も同様の構造となっております。また、コンテンツにより閲覧する際に使用できるポイントの種類が異なっております。 
 当社はもともとクラウドサーバーを独自の技術で効率的に運用することにより、顧客のサーバー費用の削減を提案し、収益化に繋げてきました。その成長により得た資金でオンプレミスサーバーでの管理が可能になり、ビジネス規模を拡大してまいりました。レベニューシェアのコンテンツ配信サービスはオンプレミスサーバーでの配信を核とし、画像処理技術やデータ分析を付加価値として提供することが評価され獲得した案件であり、今後も当社事業の中核をなしていくと考えております。しかしながら、クラウドサーバーからオンプレミスサーバー管理へ環境は変わりましたが、従来営んできたような顧客のサーバー費用の削減に貢献し、当社の収益化に繋がるサーバー保守運用サービスについても、ストック型のビジネスとして案件を拡大してまいります。その一例として、株式会社メディアシークが運営する、QRコードリーダーアプリ「ICONIT」のサーバー保守運用を行っております。 

②初期開発・保守開発サービス 
 「初期開発・保守開発サービス」は、リカーリングサービス案件獲得のための受託開発を提供するサービスです。取引先の新規サービス立ち上げ時、既存サーバーからの乗り換え時に、当社がその後のサービス保守運用も見据えたサーバープラットフォームやアプリケーション等をワンストップで提供します。またサービスのアップデートのための開発も請け負っております。 
 当社はリカーリングサービスの拡大による持続的な成長に努めております。そのためには初期開発においてクオリティの高い成果物、納期の遵守等の顧客ニーズを確実に満たす必要があります。また、その後の保守運用において、安定的なサービス運用及びユーザー動向をサービスに反映するための適時のアップデート対応なども必要となってまいります。今後も技術力を基礎とした開発サービスの提供により取引先からの信頼を獲得し、リカーリングサービス案件の獲得に努めてまいります。 

③その他サービス 
 「その他サービス」は、上記の2サービスには分類されないWebサイト開発などスポットの開発案件を主として構成されております。 
 サービスの収益構造としては、初期開発売上及び保守開発売上と、レベニューシェア収益及び月額固定収益から構成されるサーバープラットフォームの継続利用料になります。 


【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 
(単独実績)2017.7 628 278 279 166 
(単独実績)2018.7 610 207 211 149 
(単独予想)2019.7 1,068 394 378 269 
(単独3Q累計実績)2019.7 818 374 374 261 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(単独予想)2019.7 63.97 315.93 0 
調達資金使途 サーバー費用、人件費および人材採用教育費、オフィス増床、借入金の返済 

上場時発行済み株数 4,455,000株 (別に潜在株式216,100株) 
公開株数 589,900株(公募251,000株、売り出し262,000株、オーバーアロットメント76,900株) シンジケート 公開株数513,000株(別に76,900株) 

PER:44.1
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:16.6億
公募時時価:126億
    

【株主構成】 
松原裕樹 代表取締役社長 1,800,000 40.72   180
山田剛史 取締役CTO 1,800,000 40.72  180
(株)メディアシーク 特別利害関係者など 400,000 9.05  90.1.5
前田有幾 特別利害関係者など 120,000 2.71 180
(株)セレス 特別利害関係者など 42,000 0.95 
(株)ACCESS 特別利害関係者など 42,000 0.95 
井上裕貴 従業員 26,000 0.59   90
広畑壮一郎 従業員 26,000 0.59  90
村上航規 従業員 26,000 0.59  90
友野拓也 従業員 26,000 0.59 90
松田暁 従業員 26,000 0.59 90

本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である松原裕樹、売出人である山田剛史、当社株主である前田有幾、当社役員かつ当社新株予約権者である志村優太、池田裕、塚田英樹及び髙木伸學は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2020年1月13日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)の売却等を行わない旨を約束しております。 

 当社新株予約権者である井上裕貴、広畑壮一郎、村上航規、友野拓也、松田暁、光益義幸、土屋達示、矢ノ目亮、平藤燎、岡田卓也、中田雄太、山田彩実、加藤瞳、平文英徳、小林尚貴、星子恭平、南保大地、藁谷富次郎及び豊田智香は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2019年10月15日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)の売却等を行わない旨を約束しております。 
 当社株主である株式会社メディアシークは、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2019年10月15日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式の売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。 

【代表者】
代表者生年月日 1989年03月11日生まれ 

代表者略歴
2011年04月 楽天(株)入社 
2012年02月 (株)サイバーエージェント入社 
2013年04月 (株)電通入社 
2013年08月 当社設立 取締役 
2014年12月 当社代表取締役社長(現任) 


【幹事団】
主幹事証券 SMBC日興 456,900 89.06
引受証券 SBI 25,600 4.99
引受証券 野村 20,500 4.00
引受証券 極東 2,500 0.49
引受証券 いちよし 2,500 0.49
引受証券 エース 2,500 0.49
引受証券 岡三 2,500 0.49

【参考類似企業】今期予想PER(6/24)
3641  パピレス 16.8倍(連結予想 )
3678  メディアドゥ 50.6倍(連結予想 )
3776  ブロバンタワ -倍(連結予想 )
3778  さくら 94.7倍(連結予想 )
3788  GMOクラウド 35.0倍(連結予想 )
3938  LINE -倍(連結予想 )
3981  ビーグリー 10.3倍(単独予想 )
4348  インフォコム 25.4倍(連結予想 )
4424  Amazia 49.6倍(単独予想 )
7035  anfac 52.0倍(単独予想 )



【私見】
   業種としては悪くはないものの、真新しさはなく大きな優位性はないかと思います。ストックビジネスではあるため、利益の伸びは良く、高めのPERも容認はされるかと思います。需給は、規模は適度に大きめで、メディアシークが1.5倍でロックが外れることから注意は必要です。時価総額も適度に大きいので大きな上値はないかもしれませんが、二週間空くことにより直前のフィードフォース次第で上振れの可能性もあります。


想定価額:2580円
仮条件上限:2820円
初値予想:5000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3.5

0 件のコメント:

コメントを投稿