2021年2月9日火曜日

IPO分析(室町ケミカル)

 【事業内容】

 1917年(大正6年)に売薬の製造販売を目的として設立されて以降、医薬品をはじめとしたさまざまな事業に取り組んでまいりました。その結果現在は、医薬品・健康食品・化学品の3つの事業を軸に、長年培ってきた化学技術を核とした技術を活かし、製品・サービスを提供しています。

 (1) 医薬品事業

 原薬(医薬品の有効成分)の販売・製造を主に行っております。

中国、インド、オランダなどの原薬メーカー等から国内の製薬会社や医薬品商社の求める原薬を調達するほか、自社での原薬合成、原薬の異物除去や精製などの加工を行い販売しています。自社内で日本薬局方に基づいた試験・分析ができる体制も持っており、原薬の輸入・製造・加工・分析・試験と、原薬のトータルサービスを提供しています。

 原薬商社としての機能と原薬メーカーとしての機能をあわせ持ちます。商社としての経験から、原薬製造のための原料や中間体を海外メーカーから直接調達でき、メーカーとしての経験から自社試験による時間短縮・コスト削減、開拓した調達先の品質向上指導などにより付加価値を高めることができます。


① 医薬品合成・精製等

 本社工場に医薬品合成工場を有し、原薬の製造を行っております。また、海外から輸入した原薬の精製や異物除去などの加工や医薬品と同等の環境で製造を必要とする化成品(医薬品の添加剤など)の製造も行っております。


② 輸入原薬

 中国、インド、オランダなどの原薬製造会社から国内製薬会社の求める原薬を調達し販売しております。


③ その他

 医薬品や農薬の研究等に使用されるラジオアイソトープ(放射性同位元素。放射線を出す性質のある元素であり、化合物の追跡や分析に使用される)の輸入販売や保管サービスを行っております。そのほか、医薬品ゼリーの製造や産業資材などの輸出入も行っております。


(2) 健康食品事業

 ゼリー

事業開始当初より、主にスティックゼリータイプの健康食品の企画・製造を行っております。健康食品の通信販売を行う会社や健康食品メーカーなどからの受託製造を主に行っており、商品設計から関わるODM、発注元企業のブランド名で販売される製品の生産のみを行うOEMに対し、が大多数を占めています。当社は、長年の経験から得た高度なマスキング技術を有しております。健康・美容成分は苦みや匂いのためそのままでは摂取しづらいケースもありますが、味や香り、食感などを調整し、食べやすく美味しい製品として提供しております。


(3) 化学品事業

 液体処理関連製品の販売・加工を主に行っており、主力製品はイオン交換樹脂および分離膜です。イオン交換樹脂や分離膜は、純水の製造をはじめ、液体の精製、濃縮、脱色、金属回収など様々な用途に活用されています。

 当社は、国内外のメーカーから様々な性能のイオン交換樹脂や分離膜を仕入れ販売するほか、用途に合わせて洗浄や加工などを行い、主に国内の化学メーカーや機械メーカー、商社などへ販売しています。また、イオン交換樹脂や分離膜の再生処理も行っています。

 

① イオン交換樹脂

 イオン交換樹脂はイオン交換機能を持つ合成樹脂であり、純水の製造や排水中の重金属除去など様々な分野に使用されています。DDPスペシャルティ・プロダクツ社製のデュオライト™やランクセス社製のレバチット®をはじめとした様々なメーカーのイオン交換樹脂に加え、顧客の要求に合わせ、当社で加工をしたイオン交換樹脂の販売を行っております。国内でも数少ないイオン交換樹脂の再生・乾燥・粉砕等の加工設備を保有しており、顧客のニーズにあった処理を行うことができます。


② 分離膜・水処理装置

 分離膜は細孔の空いた膜で、用途に合わせた孔径の膜を使用し濾過や濃縮などを行うことができます。各種メーカーの分離膜を販売するほか、分離膜の再生・洗浄も行っております。また、イオン交換樹脂や分離膜を組み込んだ水処理装置の販売も行っております。


③ 受託加工

 当社の製造設備を使用し、顧客から預かった溶液の精製処理のほか、ディーゼル車の排気ガスを浄化するAdBlue®の製造を行っております。また、機能性接着剤などの混合及び分散、使用する分量で小分けするなどのリパック加工も行っております。


④ その他

 水処理に使用される消耗品や試験用の部材の販売を行っております。また、工業用アロンアルフア®をはじめとした機能性接着剤の販売、主に電子産業向けに帯電防止フィルムやクリーンルームで使用する消耗品などの販売も行っております。 


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2019.5 5,420 117 90 28

(連結実績)2020.5 5,280 299 271 31

(単独予想)2021.5 4,786 348 301 202

(単独中間実績)2021.5 2,482 243 219 75

3Q 4月予定


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.5 74.33 - 15

調達資金使途 製造設備導入、借入金の返済


上場時発行済み株数 3,875,000株 (別に潜在株式430,950株)

公開株数 1,690,500株(公募970,000株、売り出し500,000株、オーバーアロットメント220,500株)


PER:11.0

PBR:

配当利回り:1.8%

公募時吸い上げ資金:13.8億

公募時時価:32億

    


【株主構成】 

村山哲朗 代表取締役会長 1,100,000 37.85 90日

村山ひとみ 代表取締役会長の配偶者 500,000 17.21

青木淳一 代表取締役社長 325,000 11.18 90日

従業員持ち株会 特別利害関係者など 225,000 7.74

服部英法 取締役副社長 150,000 5.16 90日

高宮一仁 常務取締役 107,500 3.70 継続

大辻正高 特別利害関係者など 75,000 2.58 90日

穂苅久美 特別利害関係者など 75,000 2.58 90日 

井内聡 取締役 45,000 1.55 継続

井ノ口浩俊 取締役 35,000 1.20 継続


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人である村山哲朗並びに当社株主である青木淳一、服部英法、大辻正高及び穗苅久美は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年5月26日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)を行わない旨合意しております。

 上記のほか、当社は、取引所の定める「有価証券上場規程施行規則」の規定に基づき、上場前の第三者割当等による募集株式等の割当等に関し、当社株式の割当を受けた者(室町ケミカルグループ従業員持株会、青木淳一、髙宮一仁、井内聡、井ノ口浩俊、中村弘、田中知樹及び髙橋智)及び当社新株予約権の割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っております。

 

【代表代表者名 青木 淳一(上場時55歳5カ月)/1965年生

本店所在地 福岡県大牟田市

設立年 1947年

従業員数 191人 (12/31現在)(平均39.5歳、年収427.3万円)

株主数 14人 (目論見書より)

資本金 60,000,000円 (1/21現在)者】


代表者生年月日 1965年08月30日生まれ

1986年04月 カネボウ(株)(現 (株)カネボウ化粧品)入社

2010年07月 当社入社

2011年10月 当社下妻事業部 工場長(部長)

2013年08月 当社執行役員 つくば工場長(部長)

2014年06月 当社執行役員 生産本部長

2015年08月 当社取締役就任

2016年08月 当社常務取締役就任

2019年12月 当社代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 1,323,000 90.00

引受証券 FFG 44,100 3.00

引受証券 みずほ 29,400 2.00

引受証券 SBI 29,400 2.00

引受証券 大和 14,700 1.00

引受証券 楽天 14,700 1.00

引受証券 岡三 14,700 1.00


【参考類似企業】今期予想PER(1/26)

2927  AFC-HD 14.6倍(連結予想 )

4118  カネカ 24.1倍(連結予想 )

4524  仁丹 42.2倍(連結予想 )

4577  ダイト 14.5倍(連結予想 )

6568  神戸天然 17.1倍(単独予想 )

9273  コーア商事H 16.2倍(連結予想 )


【私見】

 医薬・化学・健康食品事業で大きな優位性はなさそうですが、コロナ禍でマッチする商品がある可能性もあり、水処理関連で注目されることもあるかもしれません。また、大正から続く100年企業ということも注目はあるかもしれません。業績は減収増益傾向で、成長性からは評価できませんが、PERは11と低く割安感はあります。需給は小規模ですが、2位株主の創業家の配偶者にロックがかかっていないのは気になるところで、売却することは視野に入れたほうが良いかもしれません。安く寄れば多少上がるかもしれませんが、成長性から人気になる可能性は低いでしょう。


想定価額:770円

仮条件上限:820円

初値予想:1200円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

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