2024年6月5日水曜日

IPO分析(ライスカレー)

 【事業内容】

(1)  事業内容

 自社開発をしたコミュニティデータマネジメントツール群であるデータクラウドを基盤として、企業向けにサービスを提供するエンタープライズ領域と、一般消費者向けにブランドやサービスを提供するコンシューマ領域を展開しております。

 はじめに、事業基盤としてデータクラウド『CCXcloud』シリーズによって蓄積・分析された、SNSをはじめとするコミュニティに関連する資産、すなわちデータアセット(コミュニティデータ)が当社グループの事業の特徴として挙げられます。

 『CCXcloud』にはSNSをはじめとしたコミュニティから取得できるマーケティングデータやユーザーのインサイト、そしてEC等の購買データなど多様なコミュニティデータの蓄積・分析が可能となっており、当社グループが主にインターネット上で自社運営しているコミュニティ(自社コミュニティ)及び当社グループが支援する顧客のコミュニティには全て『CCXcloud』を導入しております。


 自社コミュニティとしてさまざまなテーマ、年齢層に向けたメディアコミュニティやクリエイターコミュニティを運営しており、累計400万人を超えるコミュニティ規模となっています(2024年3月31日時点)。それらの自社コミュニティより生まれ、『CCXcloud』に蓄積したコミュニティデータをもとに、一般消費者向けにさまざまなコミュニティブランドをはじめとした各種サービスを展開しています。また、『CCXcloud』に蓄積されたコミュニティデータから生み出されたマーケティングソリューションを顧客に提供する、コミュニティマーケティング関連サービスを展開しています。

 『CCXcloud』には、SNSフォロワー数10.2億ユーザー、SNSリアクション数49.4億回、連携アカウント数12,762アカウントのコミュニティデータが蓄積されており、コミュニティデータプラットフォームとしての規模を拡大し続けております。

 さらに、『CCXcloud』はジェネレーティブAI(生成AI)を活用したリコメンド(おすすめ)機能をはじめとした先進的な技術を取り入れております。

 上述の通り、当社グループはエンタープライズ領域とコンシューマ領域の両軸でデータドリブンでのコミュニティデータプラットフォーム事業に取り組んでおり、この事業展開並びに『CCXcloud』へのコミュニティデータの蓄積こそが当社グループならではの強みとなります。


① エンタープライズ領域

 展開するエンタープライズ領域は、まず顧客(クライアント企業)が主にオンライン上で運営するSNSを中心としたコミュニティに関連する運用、マーケティング、広告、キャンペーン企画等の戦略立案及び実行を総合的に支援する各種ソリューションを提供するマーケティング・DX※1と、次にSNS分析ツール『CCXsocial』や中小企業向けSNSコミュニティ集客ツール『アドスタ byCCXcloud』等から構成されるコミュニティデータマネジメントツール群である『CCXcloud』を提供するデータクラウドから成り立っております。


 マーケティング・DXは『CCXcloud』に蓄積される社内外の幅広いコミュニティデータの収集・分析に基づいた一気通貫したマーケティングソリューションであることが特徴です。SNS運用代行、インフルエンサーPR、デジタル広告、WEB制作といった幅広いソリューションの提供を行っています。SNSへの企業の関心が高まり、企業のSNSをはじめとしたデジタルマーケティング予算が拡大する昨今において需要が高まっております。また、当社グループが提供するデータドリブンのSNSコミュニティ運用手法は顧客から高く評価され、単発的なキャンペーン施策やインフルエンサーキャスティング施策の提供などとは異なり、クライアント企業の中長期的な企業価値向上につながる本質的な支援を行っております。結果、当社は継続性の高い取引を実現しており、2024年3月期における取引※2においては、12ヶ月のうち6ヶ月以上取引のあったクライアント企業数は全クライアント企業数の50.3%を占めており、3ヶ月~5ヶ月取引のあったクライアント企業割合は23.0%、1ヶ月~2ヶ月取引のあったクライアント企業割合は26.7%となりました。また、SNSを中心としたマーケティングの上流から下流まで幅広いソリューションを提供していることから、大手企業が求める総合的なマーケティング支援を直接行うことができるため、2024年3月期の主要な取引における代理店を挟まない直接取引を行う顧客数割合は60.0%、1,000億円以上の売上規模を持つ顧客企業が全体の33.3%となりました。さらに、コンシューマ領域において提供している自社のブランド・サービスから得られるマーケティングに関するデータやノウハウを活用することで、より質の高いソリューションの提供を実現しています。

 データクラウドにて展開している『CCXcloud』は、SNSを中心としたさまざまなコミュニティデータを取得・統合管理できるデータマネジメントツール群です。SNS分析ツール『CCXsocial』は、当社の運営するブランド・サービスやメディア、当社顧客など当社が関わるSNSコミュニティに無料で提供され、当社のSNS分析に関する基盤としての役割を果たしています。2024年3月期末には前期末と比較して累計契約アカウント数は578.0%増加しました。また、SNSコミュニティ集客ツール『アドスタ byCCXcloud』は、SNS広告を中心としたインターネット広告配信による集客ができるサービスです。インターネット広告業界で慣習的に設定されている配信金額の下限を廃止して低予算から広告を簡単に配信することを可能にしたツールです。低予算から広告を配信することが可能になったため、中小企業を中心にサービスの利用が拡大しており、2024年3月期末には前期末と比較して累計広告アカウント数が307.9%増加しました。


② コンシューマ領域

 『CCXcloud』へ蓄積されたコミュニティデータとノウハウを基に、消費者に対して価値あるサービスを提供する事業領域をコンシューマ領域としており、主力ブランドの『MiiS』や『RiLi』のほか、3つのコミュニティブランド・5つのコミュニティメディアを運営しております。

コミュニティブランド『MiiS』の場合、オーラル美容をコンセプトに、SNSなどをはじめとした美容関連コミュニティでの販売促進活動を行っております。さらには、自ら購入した『MiiS』商品を自身のSNSで紹介しているようなMiiS愛好インフルエンサーがアンバサダーとしてオーラル美容そのものの普及やホワイトニング歯磨きジェルなどの商品の販売に努めています。また、店舗での卸売販売、さらには『MiiS』のブランディング力を活用したデンタルクリニックのプロデュースをはじめとしたオフラインでのサービス提供まで行っております。

 子会社で運営するコミュニティブランド『RiLi』の場合、Z世代向けのSNS映えファッションをコンセプトに、アパレル商品の販売を行っております。『RiLi』に関しても『MiiS』同様に、RiLi愛好インフルエンサーがアンバサダーとして『RiLi』ブランドの普及に努めております。

 さらに、コミュニティブランド『HICAT』の場合、ゲームなどのサブカルチャーを好む消費者層を対象に、カフェインレスのエナジードリンク『HICAT Hi-ENERGY』の販売を行っております。また、ブランドの世界観を体現するVTuberのプロデュース、タイアップ商品の開発を行い、『HICAT』ブランドの普及に努めております。

 また、こうしたブランド開発を通じて得られた知見はエンタープライズ領域にも還元しており、新たなソリューションの開発や既存ソリューションの改善はもちろん、顧客やリード企業向けのセミナーに自社ブランド担当者が登壇するなど、営業における連携も行っております。

 今後もコミュニティデータを活用した熱量の高いコミュニティブランドの持続可能な成長や新しいコミュニティブランドの創出に継続的に挑戦していきます。


[オーラル美容ブランド『MiiS』のケース]

 当社のオーラル美容ブランド『MiiS』の商品開発においては、開発初期に、美容関連の自社メディアやインフルエンサーを通じて、消費者の課題やニーズに関するデータを収集・分析することで、美容コミュニティにある「オーラルケア×美容」というニーズと商品のマーケットポテンシャルを検証しました。これにより、ブランドの収益可能性が見込めるという示唆を得ることができたことに加え、パッケージデザインやコピーなどの具体的な方向性についても定量的に判断することが可能になりました。

 こうしたコミュニティデータを活用したブランドの展開は加速しており、「ホワイティエッセンス(歯の美容液)」を中心に自社ECや海外EC、モールEC、卸店舗、さらにはデンタルクリニックのプロデュースも行うなど、多様な販路を通じた収益化にも成功しております。


[ブランド・サービス一覧と収益化手法]

 特定の分野に絞られない再現性のあるブランド・サービスの展開を目指しています。例えば『MiiLabo』や『RiLi.tokyo』など、自社SNSメディアを通じて収集されたコミュニティデータは、オーラル美容ブランド『MiiS』や、Z世代など若年層コミュニティを抱えるアパレルブランド『RiLi』などの運営に活用されており、商品開発・マーケティングに関するノウハウの共通化に貢献しております。

 自社で提供する複数のブランド・サービスにおいて、共通したデータ分析基盤やブランド管理体制を整えており、『RiLi』のようにM&Aを通じた当社グループへの参画も実現しております。

 

【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/03 連結会社予想 2,841 320 319 269

2024/03 連結実績 2,374 87 89 109

2023/03 連結実績 1,833 -166 -166 -121

2022/03 単独実績 990 -88 -84 -88


2025/03 連結会社予想 92.32 404.18 0.00


上場時発行済株数 2,968,590株(別に潜在株式507,600株)

公開株数 812,000株(公募229,500株、売り出し476,600株、オーバーアロットメント105,900株)

調達資金使途 人材採用費・人件費、広告宣伝費、新規事業開発投資


PER:15.4

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:11.5億

公募時時価:42億

​   

【株主構成】 

大久保遼 代表取締役社長など 1,367,730 42.13% 180日  売出135,000

GMOベンチャー通信スタートアップ支援(株) 投資業(ファンド) 144,720 4.46% 90日・1.5倍 売出72,400

川上慶士 従業員 100,000 3.08% 180日 売出65,000

(株)丸井グループ 特別利害関係者など 94,000 2.90%

みずほ成長支援第3号投組 投資業(ファンド) 90,110 2.78% 90日・1.5倍 売出18,000

森岡祐平 取締役 90,000 2.77% 180日 売出15,000

GMOメイクショップ(株) 特別利害関係者など 87,260 2.69% 180日

岩片麻翔 子会社の代表取締役 75,240 2.32% 180日

匿名1 執行役員 75,000 2.31% 180日

匿名2 執行役員 71,800 2.21% 

大南洋右 取締役 66,710 2.06% 

中井咲希 特別利害関係者など 60,000 1.85% 売出15,000

(株)クボタヤス 特別利害関係者など 60,000 1.85%


その他売出

岩片 麻翔40,600株

電通ベンチャーズ1号グローバルファンド26,200株

フォーシーズホールディング株式会社21,000株

志水 馨20,000株

グリーキャピタルマネジメント株式会社19,000株

株式会社Super Crowds10,100株

株式会社クボタヤス6,000株

SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合5,000株

合同会社村山4,800株


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である大久保遼、売出人である川上慶士、森岡祐平、岩片麻翔、中井咲希、株式会社クボタヤス、フォーシーズホールディング株式会社、合同会社村山及び株式会社Super Crowds並びに当社株主(新株予約権者含む。)であるGMOメイクショップ株式会社、大南洋右、松隈剛、ライトアップベンチャーズ1号投資事業有限責任組合、D2C Investment有限責任事業組合、SBSホールディングス株式会社、株式会社AMG、シニフィアン株式会社、Uniforce株式会社、Iceblue Fund有限責任事業組合、シニフィアン・アントレプレナーズファンド投資事業有限責任組合、山田啓之及び村山利栄(戸籍上の氏名:志賀利惠)他27名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2024年12月15日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)等を行わない旨合意しております。

 また、売出人であるGMOベンチャー通信スタートアップ支援株式会社、みずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合、電通ベンチャーズ1号グローバルファンド、SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合、グリーキャピタルマネジメント株式会社及びSMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合並びに当社株主であるみずほ成長支援第4号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の2024年9月16日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、東京証券取引所における初値が形成された後に主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等を除く。)等を行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 大久保 遼(上場時35歳1カ月)/1989年生

本店所在地 東京都渋谷区道玄坂

設立年 2016年

従業員数 81人 (2024/04/30現在)(平均31.8歳、年収457.6万円)、連結88人

事業内容 自社のSNS(交流サイト)データ分析ツールを駆使した企業のマーケティング支援および自社のブランド販売事業

URL https://ricecurry.co.jp/

株主数 34人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2024/05/16現在)

代表者生年月日 1989年04月23日生まれ

代表者略歴

2012年04月     ゴールドマン・サックス証券株式会社 入社

2014年09月     Momentum株式会社 設立 代表取締役 就任

2016年04月     株式会社ライスカレー製作所(現 当社) 設立

2016年07月     当社 代表取締役 就任(現任)

2017年12月     マークドバイ株式会社(現 当社)設立 代表取締役 就任

2022年07月     株式会社RiLi 代表取締役 就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -

引受証券 極東 - -

引受証券 東海東京 - -


【参考類似企業】今期予想PER(5/22)

3680 ホットリンク 47.9倍 (連結予想)

6069 トレンダーズ 11.4倍 (連結予想)

6573 アジャイル - (連結予想)

7063 Birdman - (連結予想)

7069 サイババズ - (連結予想)

9254 ラバブルマケ 33.9倍 (連結予想)

9337 トリドリ 19.0倍 (連結予想)


【私見】

 ネットでのマーケティング支援ということで、類似業種も多く業種妙味はありません。業績は伸びており、PERから割高感はありませんが、25年3月期の予想ベースなので、上澄みを考えると公募やや上が妥当な水準と感じます。数は多くありませんが、VCのロックも1.5倍で外れ需給も良くなく、話題性といえば名前くらいなので初値以外は妙味はないでしょう。


想定価額:1420円

仮条件上限:1420円

初値予想:1800円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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