2024年6月6日木曜日

IPO分析(WOLVES HAND)

 【事業内容】

① 動物病院運営・・・動物病院における獣医療の提供

② ペットサロン運営・・・トリミングサービスの提供、ペットホテルの運営

③ 動物病院向けソフトウエアの提供・・・動物病院向け顧客管理システム「わん太郎」の開発・販売

④ 獣医療教育セミナーの配信・・・獣医師向け情報サイト「VMN」の運営、セミナーコンテンツの制作

⑤ 医療用機械器具の製造・販売・・・医療用機械器具、医療用具の研究、開発、製造、販売、リース及び輸出入


① 動物病院運営

 当社が運営する動物病院において、診察、検査、手術等の診療サービスを提供し、その対価として診療費を受領しております。当該事業は、当社グループ売上の80%以上を占めております。

 現在、関西エリア、関東エリア、九州・沖縄エリアの3エリアにおいて、CTやMRIなどの高度医療機器を備え、専門分野を持った獣医師が診療を行う『センター病院』と、かかりつけ病院として、診療や簡易的な手術等を行う『サテライト病院』をドミナントで複数配置しており、2024年3月31日現在における年間診療件数は345,012件(2023年7月から2024年3月までの実績に基づく年換算値)と豊富な診療実績を誇っております。

 一般的な動物病院では、かかりつけ診療と高度診療は別病院での対応となっており、高度診療は紹介によりペットの受け入れを行っているのが通例ですが、当社グループの各動物病院は、センター病院を中心に相互ネットワークを形成しており、爪切り等の身近なケアから脳神経外科等の高度医療まで、シームレスに提供することを可能としている点に大きな特徴があります。

 豊富な診療実績からノウハウを蓄積し、経験豊富な獣医師を育成するとともに、全拠点と共有することで、質の高い動物医療サービスを提供できる体制を構築しております。

② ペットサロン運営

 ペットサロンにおいて、トリミングやペットホテルなどのサービスを提供し、その対価としてサービス料を受領しております。

 動物病院に併設する形で運営することを基本としており、ペットの医療ニーズが顕在化していない潜在顧客との関係性構築に貢献しております。定期的なトリミングによってペットの体を清潔に保ち、ノミ・ダニの発生を抑制することや、皮膚などの健康チェックを行い、異常があれば併設する動物病院での診療を勧めることなど、ペットの健康管理にも重要な役割を果たしております。

③ 動物病院向けソフトウエアの提供

 2020年6月期に動物病院向け顧客管理システム「わん太郎」の開発及び販売会社であるわん太郎株式会社を買収し、利用ユーザーから初期費用や月額利用料を受領するサブスクリプション型の事業を行っております。

 「わん太郎」は、電子カルテや各種証明書の発行、顧客管理、会計管理など、動物病院を運営するうえで必要な機能を網羅的に有しており、2024年3月末時点で157の動物病院(当社グループ病院含む)で導入されております。オンプレミス型(サーバーやソフトウエアなどの情報システムを使用者が管理する設備内に設置し、運用する形態)のソフトウエアとして展開しておりますが、当社システム管理室を中心としたプロジェクトチームによりクラウド開発を進めており、かかりつけの小規模病院から高度医療に対応した大規模病院まで幅広く使いやすい形に改良を進めております。

 ④ 獣医療教育セミナーの配信

 小動物臨床獣医師向けに、さまざまな情報を提供するサイト「VMN(Veterinary Medical Network)」を運営しており、有料会員から会員種別に応じた月額利用料を受領するサブスクリプション型の事業であります。

 「世界標準を一次病院の獣医師へ」を理念として掲げ、若手獣医師の卒後教育を目的とした、実践的な情報を提供しており、2024年3月末時点で1,200名を超える有料会員に利用いただいております。

 オンデマンドによる動画配信、最新の獣医療情報(獣医療雑誌や文献)、各種コンサルティング、セミナーの開催、臨床現場の疑問をコンサルタントに質問できる「Vet to Vet Board」など、多様なコンテンツを有しております。


⑤ 医療用機械器具の製造・販売

 2023年6月期に医療用機械器具の製造・販売を手掛ける飛鳥メディカル株式会社に出資を行い、関連会社化致しました。同社は、主にレーザー医療に特化した動物用の製品の製造、販売を手掛けております。なお、同社の業績は、持分法投資損益(営業外損益)として当社連結業績に反映されこととなりますが、同社は利益計上をしているものの、現在では債務超過の状態にあることから、のれん相当額の償却部分を持分法投資損失として計上しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2024/06 連結3Q累計実績 3,523 516 508 310

2024/06 連結会社予想 5,048 863 830 546

2023/06 連結実績 4,651 803 800 506

2022/06 連結実績 4,295 720 713 316


決算期 種別 EPS BPS 配当

2024/06 連結会社予想 73.53 279.71 0.00


上場時発行済株数 7,974,000株(別に潜在株式398,000株)

公開株数 1,050,000株(公募50,000株、売り出し863,100株、オーバーアロットメント136,900株)

調達資金使途 獣医師などの採用活動資金


売出しを行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:10.5

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:7.9億

公募時時価:60億

​   

【株主構成】 

北井正志 代表取締役CEO 3,291,500 42.08% 180日

J-STAR No.3 SS, L.P. 投資業(ファンド) 1,588,298 20.31% 180日・1.5倍  売出356,000

J-STAR No.3 JF, L.P. 投資業(ファンド) 822,689 10.52% 180日・1.5倍 売出184,300

J-STAR No.3 jc, L.P. 投資業(ファンド)  680,451 8.70% 180日・1.5倍 売出152,500

J-STAR No.3 GF, L.P. 投資業(ファンド) 677,166 8.66% 180日・1.5倍 売出151,700

山下瞬 取締役COO 94,000 1.20% 180日

J-STAR(責)2016 特別利害関係者など 83,396 1.07% 180日・1.5倍 売出18,600

池原秀壱 執行役員、子会社の取締役 52,000 0.66% 180日

東野利武 執行役員、子会社の取締役 32,000 0.41% 180日

水野雄貴 執行役員 30,000 0.38% 180日


 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人であるJ-STAR No.3 SS, LP、J-STAR No.3 JF, LP、J-STAR No.3 JC, LP、J-STAR No.3 GF, LP及びJ-STAR有限責任事業組合2016は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2024年12月16日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

 当社株主である北井正志、山下瞬、池原秀壱、東野利武、水野雄貴、谷内圭一郎、岡田崇司、野田敏寛、肥下誠司、中筋雅志、栗原大、福山達也及びその他16名は、主幹事会社に対して、ロックアップ期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。


【代表者】

代表者名 北井 正志(上場時51歳0カ月)/1973年生

本店所在地 大阪府大阪市西区南堀江

設立年 2019年

従業員数 344人 (2024/03/31現在)(平均32.3歳、年収368.7万円)、連結383人

事業内容 一次診療から高度医療まで対応可能な動物病院運営、その他周辺事業(トリミングサロン運営、動物病院向けシステム開発、獣医療関係者向け教育コンテンツ配信など)

URL ttps://wolveshand.jp/

株主数 35人 (目論見書より)

資本金 90,000,000円 (2024/05/16現在)

代表者生年月日   1973年05月23日生まれ

1998年04月      新田谷動物病院入社

2000年01月      きたい動物病院開業

2002年10月      堀江動物医療センター有限会社(後に株式会社大冬希に組織変更)代表取締役就任

2007年07月      株式会社Vパワー代表取締役就任

2019年04月      株式会社大冬辰代表取締役就任

2019年05月      当社代表取締役CEO就任(現任)

       

【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

引受証券 野村 - -

引受証券 大和 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】今期予想PER(5/23)

6039 動物高医 11.9倍 (連結予想) 時価57億 売上50億 経常6億


【私見】

 動物病院ということで、上場会社での類似業種は日本動物高度医療センターですが、非上場では数多くあるので妙味はそこまでありません。大きな優位性はないので規模の勝負になりますが、動物高医が売上50億・経常6億(PER12)の時価総額60億なので、利益率で上回っている分、こちらの方が上の評価で良いでしょう。PER12を当てはめても最低880円の評価はでき、上場プレミアムを加味すればもう少し上の1000円の評価はできます。問題はVCの売出し案件で、ロックも1.5倍で外れることから警戒感は強く、需給面では買いが入りずらく、1155円に強いラインがあるでしょう。


想定価額:755円

仮条件上限:770円

初値予想:1000円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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