2024年6月17日月曜日

IPO分析(ロゴスHD)

【事業内容】

(当社グループ各社の役割等)

 株式会社ロゴスホーム、豊栄建設株式会社及び株式会社GALLERY HOUSEは、いずれも同じターゲット層(国土交通省「住宅市場動向調査報告書(2021年度)」一次取得者の世帯年収別の割合による、注文住宅購入者及び分譲住宅購入者の世帯年収割合がいずれも400~800万円を指しております。)に向けて住宅の設計・施工・販売及び不動産の売買・仲介・斡旋を行っております。しかし、各社独自の商品・ブランドを展開しております。具体的には、株式会社ロゴスホームは、北海道帯広市に本社を構えており、注文住宅を主軸に、分譲住宅と宅地販売等の事業を北海道・東北地方を中心に展開しております。北海道・東北地方を中心に出店している「ロゴスホーム」と北海道に出店している「ハウジングカフェ」の2業態を展開しており、主に「ロゴスホーム」では北海道にて注文住宅の『FORTAGE』、『ECOXIA』、東北地域にて企画住宅の『GUUUS』、「ハウジングカフェ」では企画住宅の『Hikaria』、『e-Hikaria』を販売しております。

 豊栄建設株式会社は、北海道札幌市に本社を構えており、注文住宅を主軸に、分譲住宅と宅地販売等の事業を北海道に展開して、「豊栄建設」にて主に『チャレンジ999』を販売しております。

 また、上記以外にも株式会社ロゴスホームと豊栄建設株式会社は、温度体験室や地震体験室など実際に体験できる施設や全6棟のモデルハウスを備えた北海道クラシアムを共同運営しております。

 株式会社GALLERY HOUSEは栃木県宇都宮市に本社を構え、注文住宅、分譲住宅、宅地販売及びその他(リノベーション・グループホーム等)の事業を栃木県に展開しており、「栃木建築社」として注文住宅及び分譲住宅の販売を行い、中古住宅に対してリノベーションを行う『VINJOY』及び障がい者グループホームの建設を請負う『ノマリス』等も展開しております。

 また、当社グループの主要な事業である住宅販売は、主に株式会社ロゴスホーム及び豊栄建設株式会社が担っております。当社グループは2023年の札幌市の住宅建築確認申請数No.1です。

当社グループの引渡棟数の推移は、次のとおりです。

149→170→215→247→332→376→430→503→814→924→937


(当社グループの特徴)

 主要な事業である住宅販売において、①商品開発力、②デジタルマーケティング及び③DXによる効率的なオペレーションの主に3つの特徴があり、当社グループの売上の構成要素は、主に注文住宅、分譲住宅、宅地販売及びその他(リノベーション・グループホーム・工務店支援・オフショア等)であり、2023年5月期連結ベースの売上比率は、注文住宅:72.1%、分譲住宅:7.1%、宅地販売:16.5%及びその他:4.3%となっております。


主な3つの特徴の詳細は以下の通りです。

(1)商品開発力

 全体で仕入・外注先の見直しや株式会社ロゴスホームにおいてMCB工法を用いてモジュールを生産する工場を活用等のコストダウン・人員不足の解決を図りながら、各事業会社の新商品開発を当社がサポートする体制を構築しております。


当社の商品開発に関する主な特徴は次の3つです。

①省エネ、CO2の削減

 省エネ・CO2削減に貢献する住宅の開発を継続しています。「ハウス・オブ・ ザ・イヤー・イン・エナジー」表彰制度において、株式会社ロゴスホームが3年以上連続受賞企業として「省エネ住宅優良企業賞」、また3年連続で同社の商品が「優秀賞」に選ばれました。当社の省エネ・CO2削減住宅への長期的な取り組みが評価されました。


②全棟太陽光パネル対応

 2018年に発生した北海道胆振東部地震では、北海道電力が復旧宣言するまで「約64時間」も要しましたが、太陽光パネルの発電時は電力を使用できました。当社グループでは、災害への備えとして、太陽光発電システムと併せて家庭用蓄電池の設置に対応しています。また、お引渡し後の設置も対応できます。


③最高等級の耐震性

 全国で頻発する地震災害に備えて全棟において、国土交通省で定められた住宅性能表示制度で最も高い耐震性を表す耐震等級3相当としています。


また、現在当社グループが販売する主な商品・ブランドは次の通りです。

a 『FORTAGE』

 提案力と技術力をコンセプトとした完全自社設計・施工の注文住宅です。木造住宅で厳しい自然にも耐えられる強さを兼ね備えた住宅性能を根底に、品質と価格のバランスのとれたメインブランド「TRES」、さらに高性能な住宅を求める顧客向けの「TESSERA」、多彩なラインナップの設備機器と仕上げ材を選べる「DUO」の3プランを展開しております。


b 『ECOXIA』

セミオーダー式のZEH対応する省エネ住宅です。太陽光発電と高い省エネ性能による光熱費の削減、内装デザインの自由性、セミオーダーならではの合理的な価格を特徴としております。


c 『Hikaria』・『e-Hikaria』

太陽光パネル×デザイン住宅がコンセプトになっております。ヒートポンプ冷暖房エアコン、LED照明、15年の長期製品保証のある太陽光パネル等の省エネ設備が標準装備となっており、予算・家族の規模に合わせて坪数・間取り・300プラン以上から選べる「豊富なプラン」を有している住宅であります。また、「e-Hikaria」は、Nearly-ZEHに対応した住宅のことです。


d 『チャレンジ999』

理想の住まいとは「価格」、「品質」、「サポート」が重要であるという考えのもと、分かりやすい料金設定に加えて、在来工法を用いた自由設計できる注文住宅を、宅地の提供から戸建住宅の請負、設計、施工、監理を自社で一貫して行うワンストップサービスを提供しております。


e 『VINJOY』

 中古戸建やマンションの1室を、コンセプトとデザインに特色を持たせたリノベーションを実施する「中古住宅×デザイン×品質保証」をコンセプトにした中古住宅であります。


(2)デジタルマーケティング

 当社グループは「住宅総合展示場への出展」はしておりません。当社グループは、主にWEB戦略を中心としたデジタルマーケティングによって集客活動を実施しております。必要に応じて現地や交通の看板、地元紙などの広告も活用しますが、営業及びマーケティング活動の安定、営業のコストダウン、営業の省人化などを目的とし、デジタルマーケティングやSNS公式アンバサダー制度を活用して、自社のショールームやモデルハウスに、効率良くピンポイントで集客しております。性別や年齢、地域、アクセスしたページなどの顧客情報を基に属性を分類することで、ターゲットを絞ってアプローチしやすくなり、自社サイトと連動させることなどにより、より効率的に集客するための活動に取り組んでおります。当社グループの顧客層は20~30代の若い世代が中心であり、このようなデジタルマーケティングによるアプローチが効果的であると考えております。


(3)DXによる効率的なオペレーション

 広大な北海道に本社がある当社は、移動コストの削減が重要な経営課題です。従前より「移動時間を0にする家づくり」をテーマに、DX・オンライン化を進めてきたことによりコストダウンと生産性向上を実現しています。具体的には、一般的な住宅会社においては、チラシやDMで集客し、営業社員が資料送付や電話掛けを行い、顧客宅へ訪問し打合せ、その後毎日現場で施工管理、点検も毎回訪問となりますが、当社グループにおいては、デジタルマーケティング(ホームページ、SNS、SEO、住宅系ポータルサイト、リスティング広告等)で効率的に集客し、インサイドセールスがアプローチ、希望者にはオンラインでも打合せを実施(移動時間削減により、他の商談への充当や労働時間の短縮が可能)、施工管理アプリを活用してタイムリーに情報共有、希望者にはオンラインでも点検対応するなど、DXによる効率的なオペレーションに取り組んでおります。

 

・中長期的な経営戦略として、次の4つの施策により成長を実現します。

①出店拡大

 株式会社ロゴスホームは、北海道内での出店拡大を経て、世帯数の少ないエリアでも採算が取れる出店形態を構築できているため、全国に出店可能エリアが多数存在します。株式会社ロゴスホームは今後も出店によって本州のエリア拡大を図り、成長し続けていきます。

 また、北海道のシェアを高める施策として、株式会社ロゴスホーム及び豊栄建設株式会社では、体験型ハウジングミュージアム「北海道クラシアム」を活用してまいります。


②新規事業の拡大

a 土地活用:ノマリス(障がい者グループホーム建築)

 障がい者向けの共同生活援助(グループホーム)とは、障害のある人が一軒家やアパートなどに定員10人以下で共同生活をする形態です。「世話人」や「支援員」と呼ばれる職員が利用者の食事の用意やお風呂、トイレなど介助といった日常生活上の援助を提供します。株式会社GALLERY HOUSEにて障がい者グループホームを建築しています。オーナーに運営事業者を紹介することで、賃借人が確定した投資案件となる点が特長です。


b 中古リノベーション:VINJOY(コンセプトデザイン中古住宅)

 中古戸建やマンションの1室を、コンセプトとデザインに特色を持たせたリノベーションを実施。デザインだけでなく、全棟品質保証をつけることにより、差別化しています。オーナー住宅のリノベーションのほか、空室の多い古いアパートを買い取り、入居者ターゲットに合わせたデザインリノベーションをして入居付けも行い、家賃を上げて再度販売するアパート買取再販事業も展開しています。

 VINJOYでは、第三者機関による品質保証を全棟に提供することにより、中古リノベーションの買取再販事業は今後も売上拡大が見込めると考えております。


③MCB工法(特許出願中)

 一般的に木造建築は、工事現場に材料を運んで建築します。当社のMCB工法は、自社工場にて住宅の壁や床を箱型のモジュールに生産して、トラックに積載して運び、工事現場にて基礎の上にクレーンで積み上げて設置していきます。


④M&A

 当社は今後も積極的なM&Aを進めます。M&Aを進めるための軸となるのが、工務店支援プラットフォームです。「工務店支援プラットフォーム」とは、当社のグループ会社である株式会社ROOTLINKが全国の工務店に対して提供するサービスの総称で、営業・顧客管理システムの導入支援、設計業務受託サービスを行います。CADオペレーションやDX支援など、各事業会社の現場で実践し、高い生産性を実現したノウハウを、 M&Aで取得した全国の住宅会社へ展開していくだけではなく、取得した会社の強みを吸い上げて、さらにプラットフォームを強化して参ります。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2024/05 連結3Q累計実績 20,257 380 357 181

2024/05 連結会社予想 32,725 1,468 1,426 910

2023/05 連結実績 28,025 -118 -139 -80

2022/05 連結実績 24,850 1,185 1,189 774


決算期 種別 EPS BPS 配当

2024/05 連結会社予想 236.09 1,065.96 259.19


上場時発行済株数 3,908,066株(別に潜在株式237,971株)

公開株数 1,605,800株(公募50,000株、売り出し1,346,400株、オーバーアロットメント209,400株)

調達資金使途 モデルハウス用地取得費用、モデルハウス建築費用、新店舗改修費用


売出しを行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:9.7

PBR:

配当利回り:1.1%

公募時吸い上げ資金:36.8億

公募時時価:89億

​   

【株主構成】 

エンデバー・ユナイテッド2号投組 投資業(ファンド) 3,451,252 84.26% 1.5倍

(株)チキンシープ 代表取締役社長の実質保有会社 305,653 7.46% 180日

池田雄一 代表取締役社長など 48,100 1.17% 180日

(株)BOSS 神山周市の資産管理会社 35,300 0.86% 180日

岩永武也 取締役など 26,160 0.64%

竹田純 取締役など 21,160 0.52% 180日

平山純太 取締役 15,360 0.38%

神山周市 取締役など 15,000 0.37%

谷口文弥 子会社の代表取締役 9,581 0.23% 180日

池田俊 執行役員 9,581 0.23% 180日

匿名 子会社の従業員 5,000 0.12%

三輪貴之 子会社の従業員 5,000 0.12% 180日

野嶽直樹 監査役など 4,440 0.11% 180日


 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、当社株主である株式会社チキンシープ、池田雄一、株式会社BOSS、竹田純、谷口文弥、池田俊、三輪貴之、野嶽直樹及び西槙裕範は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しにかかる元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2024年12月24日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 貸株人かつ売出人であるエンデバー・ユナイテッド2号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対して、ロックアップ期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

【代表者】

代表者生年月日 1967年12月20日生まれ

代表者略歴

1987年01月 ノア一級建築士事務所 入所

1990年04月 奥一級建築士事務所 入所

1994年04月 太平住宅株式会社 入社

2003年06月 株式会社ロゴスホーム 設立

2004年01月 同社 取締役 就任(現任)

2006年06月 同社 代表取締役 就任

2015年02月 Logos Creative Office Philippines. Inc. 代表取締役 就任(現任)、10月:株式会社チキンシープ 代表取締役社長 就任 (現任)

2016年09月 株式会社PLAPRO(現 株式会社ROOTLINK) 代表 取締役 就任

代表者名 池田 雄一(上場時56歳6カ月)/1967年生

本店所在地 北海道帯広市東三条南(実質上:札幌市中央区北5条西)

設立年 2020年

従業員数 84人 (2024/04/30現在)(平均40.7歳、年収440万円)、連結493人

事業内容 デジタルマーケティング集客およびDX(デジタルトランスフォーメーション)による効率的なオペレーションを活用した注文住宅事業

URL https://logos-holdings.jp/

株主数 10人 (目論見書より)

資本金 39,005,000円 (2024/05/24現在)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

引受証券 野村 - -

引受証券 大和 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 北洋 - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 静銀ティーエム - -

引受証券 ちばぎん - -


【参考類似企業】今期予想PER(5/29)

1449 FUJIJPN 12.2倍 (単独予想)

1840 土屋HD 10.5倍 (連結予想)

1873 日ハウスHD 8.2倍 (連結予想)

3465 ケイアイスター 7.2倍 (連結予想)

8999 グランディ 27.0倍 (連結予想)


【私見】

 北海道発の住宅事業で、業種妙味はなく、ファンドの売出し案件で人気は高くなさそうです。上場を機に東北方面にも拡大し、成長性はありそうです。同地区の土屋HDとの比較からも、PERと時価総額から公募やや上の価額の評価をしても良いかと思います。そうはいっても、ファンドの売出し案件で、吸い上げ規模もそこそこ大きいことから買い手不在で公募前後の動きと予想します。


想定価額:2290円

仮条件上限:2290円

初値予想:2290円

ブック申し込み度・・・やや弱気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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