2020年6月12日金曜日

IPO分析(エブレン)

【事業内容】
 当社グループは、これらのインフラシステムに使用される組込型コンピュータ(産業用コンピュータ)及びその周辺製品を事業の対象領域として捉え、当社グループが保有する技術力と生産力を全分野横断的に提供することを営業の基本として、これらに特化した製品の設計と製造を一筋に40有余年継続してきました。
 この間において、コンピュータの世界は半導体集積回路の技術革新と相まってコストパフォーマンスが向上し、その活用領域が飛躍的に拡大しました。
また、当社グループ製品の納入先である大手システムメーカー(産業用電子機器メーカーや機械装置メーカー等)の多くが、「選択と集中」を標榜した得意分野へのリソース重点配分政策を推進してきた結果、当社グループのような専門メーカーが果たす役割も重要視されるようになり、我々が活躍するチャンスも拡大の一途にあると考えております。
当社グループが設計・製造する製品は、従来から通信・医療・交通・半導体製造装置・FA機器・計測装置・セキュリティー等のシステムに組込まれるコンピュータが中心ですが、これらの分野に加えて、最近ではIoTやAI、HPC、及びエッジコンピューティング分野のコンピュータハードウェアの開発案件も増加しております。
   当社グループは、産業用機器や工業用コンピュータに使用されるバックプレーン、システムラックやコンピュータシャーシ(以下「ラック」と記載)、及びボードコンピュータを含むその他周辺機器等の開発、設計、製造、販売を行っております。
 バックプレーンには各種の規格が制定されており、当社グループではそれらの規格に準拠した標準製品も販売しておりますが、お客様である電子機器メーカーや機械装置メーカーの製造する最終製品は多岐にわたり、その要求仕様も異なるため、お客様の独自の仕様に合わせて設計したカスタム製品の販売が中心となっております。また、バックプレーン単体ばかりでなく、お客様の要望に合わせて製造したラックに組み込み、電源ユニットやファン等を取り付け、配線等を施したうえで、コンピュータ本体として完成した製品の販売も行っております。
バックプレーン及びラックは電子機器本体に固定的に組み込まれるため交換することが容易ではなく、かつシステムダウンの許されない社会インフラを支える電子機器に応用されることが多いため、極めて高い品質レベルを要求されております。加えて産業用コンピュータの設計・製造は新製品開発と密接に関わるため、大手システムメーカーは自社内で生産するか、当社グループのような独立系メーカーに委託する事となります。
 当社グループでは各種のコネクタ、並びに様々なサイズや厚さのプリント基板に対応できるようにした自動組立装置(プレスフィットマシン)及び検査装置(電気検査機)を自社で設計、開発し生産に使用しております。
 ボードコンピュータは、用途によりバックプレーンに接続して複数のボードコンピュータと一緒に動作を行うもののほか、1枚のボードコンピュータのみで動作するものがあります。バックプレーンを使用するボードコンピュータは半導体製造装置や鉄道車両など比較的大規模なシステムに使用される一方、1枚のボードコンピュータのみで動作するものは、IoTやエッジコンピューティングの分野など、比較的小規模な分野で使用します。CPUだけではコンピュータとして成り立たず、コンピュータとして動作させるためにはCPUの他に記憶装置、入出力装置、通信装置などを回路基板に組み込む必要があります。このようなケースにおいて、お客様はCPUの開発に専念し、ボードコンピュータとして動作させることは当社グループが行うケースが増えております。当社グループは、従来のバックプレーンを使用するボードコンピュータの製品開発で培った技術力、開発力を駆使し、IoTやエッジコンピューティングなど時代の流れに沿って様々なニーズに応じたサービスを提供しております。
    当社グループの事業系統として、当社は海外の仕入先から部材を仕入れるとともに、連結子会社である蘇州惠普聯電子有限公司との間で相互に部材を融通しております。このことにより、仕入の際のスケールメリットの享受や、安くて高品質な部材の調達を可能にしております。また、当社においては組み立て等の製造工程の一部を外注先に依頼しております。さらに、蘇州惠普聯電子有限公司から日本国内のお客様に販売することがありますが、その際は当社経由での販売となります。


【業績等】
業績動向(百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2018.3 3,603 345 361 255
(連結実績)2019.3 3,309 364 388 261
(連結実績)2020.3 3,183 283 303 200
(連結予想)2021.3 3,374 337 314 207

1株当たりの数値(円)EPS BPS 配当
(連結予想)2021.3 140.41  -  18

調達資金使途 設備資金、新規事業における運転資金
上場時発行済み株数 1,536,000株
公開株数 310,300株(公募142,900株、売り出し127,000株、オーバーアロットメント40,400株)

PER:9.6
PBR:
配当利回り:1.3%
公募時吸い上げ資金:4.2億
公募時時価:21億
    
【株主構成】 以下90日
上村正人 代表取締役社長 641,100 46.93
カーム(有) 役員らが議決権の過半数を所有する会社 250,000 18.30
熊谷尚登 監査役 77,000 5.64
小林寛子 特別利害関係者など 60,000 4.39
高橋武志 特別利害関係者など 50,000 3.66
藤野正美 特別利害関係者など 45,000 3.29
社員持株会 特別利害関係者など 40,100 2.94 180日
菊水電子工業(株) 特別利害関係者など 30,000 2.20
上村和人 取締役、代表取締役社長の血族 23,500 1.72
上村宏子 代表取締役社長の配偶者 23,500 1.72
上村愛 代表取締役社長の血族 23,500 1.72

【代表者】
代表者生年月日 1944年09月04日生まれ
代表者略歴 1963年04月 日本電気(株)入社
1973年10月 当社取締役
1984年05月 当社常務取締役
1986年09月 当社代表取締役常務
1987年05月 当社代表取締役社長(現任)
2002年02月 カーム(有)代表取締役社長(現任)
2002年09月 蘇州惠普聯電子有限公司 執行董事(現任)
2011年07月 (株)タンバック代表取締役社長

【幹事団】
主幹事証券 野村 264,700 98.07
引受証券 いちよし 2,600 0.96
引受証券 マネックス 2,600 0.96

【参考類似企業】今期予想PER6/1現
6430  ダイコク電 62.6倍(連結予想 )
6597  HPCシステ 32.5倍(単独予想 )
6639  コンテック 10.0倍(連結予想 )
6912  菊水電 11.8倍(連結予想 )

【私見】
 業種としてはHPCシステムに近く、派手さはなくJQ特有の堅実な印象を受けます。業績は売上が横ばいが続き、PERは低いものの成長性からは評価できません。一番の利点は需給で、吸収金額・時価総額共に小さく、ロックもかかっていることから売り物は少なく、地合い次第ですが需給のみで初値高騰が見込まれます。

想定価額:1050円
仮条件上限:1350円
初値予想:3100円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3.5

0 件のコメント:

コメントを投稿