2020年10月18日日曜日

IPO分析(Retty)

【事業内容】

  当社は、「食を通じて世界中の人々をHappyに。」をビジョンに掲げ、各ユーザーの好みに合わせて個別最適化された飲食店情報を提供するよう、ユーザーの実名に基づく飲食店オススメ口コミ情報及び全国の飲食店情報等を蓄積した実名型グルメプラットフォーム「Retty」を運営しております。

 具体的には、「Retty」を利用するユーザーは全国の飲食店情報を閲覧できるほか、実際に飲食店を訪れたことがあるユーザーをフォローしオススメ口コミ情報を閲覧することができるようになっております。「Retty」では実名型のサービスとなっているため、当該オススメ口コミ情報の信頼性が高く、また、趣味嗜好が合うユーザー同士で情報提供ができるSNS機能を組み込んでいるため、点数評価では実現できない「人々がHappy」になる空間を提供していると考えております。飲食店側においても、点数評価ではないオススメ口コミ情報が掲載されることから「Retty」を受け入れやすい仕様となっており、当該オススメ情報を投稿するユーザーやフォローするユーザー数を確認できるほか、SNS機能を通じて当該ユーザーとの接点を持つことができるため、単なる一次集客のみならず、二次、三次集客へとつなげることが可能となっております。

 実名型グルメプラットフォーム「Retty」の月間利用者数が伸びを見せております。2020年5月は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で月間利用者数が減少しておりますが、緊急事態宣言が発令されて最も影響の大きかった4月の2,445万人から増加傾向に転じており、2020年8月末時点で4,393万人(前年同月比103.9%)まで増加しております。


(1)FRM

 多くの飲食店は稼働率の向上を通じた売上の増加及び採算の改善による利益率の向上を至上命題としており、当社は「Retty」を通じたオンラインでの販促を提供することで、飲食店から毎月定額のサービス利用料収入を得ております。具体的には、契約した飲食店(以下、「有料店舗」といいます。)に対して、「Retty」内で上位に表示される仕組みや有料店舗の広告を掲載するサービスを提供するほか、飲食店に訪れたことがあるユーザーや当該ユーザーのオススメ口コミ情報及び当該ユーザーをフォローしているユーザーなど、多種にわたるユーザー情報を管理できる顧客管理システムを提供しております。当該顧客管理システムでは、ユーザーとコミュニケーションをとることができる当社独自の仕様となっているため、単なる広告を掲載するのみの販促ではなく、双方向型の販促を提供し、常連客作りに資する継続的な送客を有料店舗に提供しております。

 「Retty」には多くのユーザー情報が蓄積されており、ユーザーに対しては最適化された飲食店情報を、有料店舗に対しては二次集客・三次集客につながる販促ツールを提供することで、飲食業界の大きな課題である低い利益率、及びそれに伴う高い廃業率などの改善に大きく貢献できるものと考えております。なお、その想いを込めて当該サービスを「FRM」(Fun Relationship Managementの略称)と名付けております。

 当該サービスは、毎月定額の料金を有料店舗より頂くサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、当社は持続的かつ継続的に売上が積み重なっていくストック型の売上と位置づけております。有料店舗数は以下のとおりの伸びを見せております。なお、2020年はCOVID-19の影響で減少しておりますが、4月から5月にかけて発令された緊急事態宣言の解除後、2020年7月から増加傾向に転じており、2020年8月末時点で有料店舗数は9,678店まで増加しております


(2)広告コンテンツ

 当社の広告コンテンツは、①実名型グルメプラットフォーム「Retty」を活用した広告ソリューション、②当社がこれまで実名型グルメプラットフォーム「Retty」を運営、拡大してきた中で蓄積してきたコンテンツを活用したコンテンツソリューションの2つから成り立っております。

① 広告ソリューションは「Retty」の利用者数を飲食店以外の顧客に送客するサービスです。具体的には下記の3つから成り立っております。

 タイアップ

 「Retty」を積極的に利用するユーザーを対象にブランド認知向上等のプロモーションを行いたい広告主に対して「Retty」内にタイアップ広告を掲載することで収入を得ております。


 アドテクノロジー

 「Retty」上の広告枠を、テクノロジーを活かして効率的に運用することで広告掲載収入を得ております。当社にはユーザーの属性データ及び行動データが蓄積されていることから、これを活かした効果的な広告配信が可能となっております。また、当社では専属のデータアナリストによるデータ分析の実施や、自社サーバーによる機械学習を活かした効率的な広告配信を追求しております。


 アライアンス

 「Retty」上において同業他社の飲食店予約サービス機能との連携をするなど他社とアライアンスを組むことで送客手数料収入を得ております。


② コンテンツソリューション

 当社には、79万店(2020年8月時点)に及ぶ店舗データや写真データ、実名口コミデータ、ユーザーログなどのコンテンツが蓄積されており、これをRettyのデータベースである「Food Data Platform」としてクライアントに継続的に提供することで、月額の利用料を頂いております。飲食業界以外の化粧品業界、アパレル業界、旅行業、不動産業といった幅広い業界のクライアントに向けて当社のコンテンツを提供することで、例えば自社の旅行サイトに当社の飲食店情報と口コミ情報を掲載する、当社の口コミ情報から外食トレンドの分析をするなど、自社サイトのコンテンツ制作、マーケティング、データ分析などに活用して頂いております。


 【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2018.9 1,690 -221 -221 -230

(単独実績)2019.9 2,268 100 99 155

(単独予想)2020.9 2,213 -286 -282 -332

(単独3Q累計実績)2020.9 1,711 22 20 -46


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2020.9 -34.10 - 0

調達資金使途 人件費・採用費用、代理店体制構築への投資、新商品開発、海外事業に向けた投資、長期借入金の返済


上場時発行済み株数 10,812,504株 (別に潜在株式1,495,384株)

公開株数 5,541,300株(公募200,000株、売り出し4,618,600株、オーバーアロットメント722,700株)


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:65.3億

公募時時価:127億

    

【株主構成】 

武田和也 代表取締役社長 3,560,000 29.40 180日

YJ2号投資事業組合 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,588,376 13.12 180日

JAPAN VENTURES I L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,249,610 10.32

AT-I投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 870,596 7.19 180日・1.5

WiL Fund I, L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 753,660 6.22

CAStartupsInternetFund1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 479,336 3.96

テクノロジーベンチャーズ3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 464,952 3.84

PC投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 405,784 3.35 180日

NTT IPF3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000 3.30

長束鉄也 取締役 384,000 3.17 180日

林正栄 特別利害関係者など 288,760 2.38

  

【代表者】

代表者名 武田 和也(上場時37歳1カ月)/1983年生

本店所在地 東京都港区三田

設立年 2010年

従業員数 132人 (8/31現在)(平均30.3歳、年収620.6万円)

株主数 17人 (目論見書より)

資本金 95,000,000円 (9/28現在)

代表者生年月日 1983年09月02日生まれ

代表者略歴

2007年04月 (株)ネットエイジ(現ユナイテッド(株))入社

2010年11月 当社設立 代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和  3,903,500 81.01

主幹事証券 SMBC日興  674,600 14.0

引受証券 SBI 120,400 2.5

引受証券 野村  48,100 1.0

引受証券 みずほ 24,000 0.5

引受証券 岩井コスモ 19,200 0.4

引受証券 いちよし 19,200 0.4

引受証券 エース 9,600 0.2


【参考類似企業】

参考類似企業 今期予想PER(10/7)

2371  カカクコム 40.8倍(連結予想 )

2440  ぐるなび 48.2倍(連結予想 )

4689  ZHD 37.3倍(連結予想 )

6098  リクルートHD 44.0倍(連結予想 )

7849  スターツ出版 12.6倍(単独予想 )


【私見】

 業種としては飲食の口コミサイトで、コロナ渦により利用客が減少していたかと思いますが、今回のGo TO Eatで盛り返しタイミングは良い上場だと思います。同業のぐるなびも株価下落から回復しつつあるのもプラス材料で、実名ということもあり、優位性はあります。利益はマイナスで先行きも不安点もありますが、一番のリスクはロックなしVCの多さです。ざっとロックなしVCの350万株と公募株550万株の売りを考えると怖さを感じます。


想定価額:1150円

仮条件上限:1180円

初値予想:1500円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5

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