2021年4月4日日曜日

IPO分析(サイバートラスト)

 【事業内容】

<トラストサービス事業の特長>

(1) 認証・セキュリティサービス

①パブリック証明書サービス

 当社グループは、認証局を国内に持つ認証事業者として、SSL/TLS証明書「SureServer」を提供しています。当社グループが提供する「SureServer」は、SSL/TLS証明書として3種の認証レベルが存在するうち、審査レベルが最も高く、ドメインの所有組織確認と対象組織の実在性審査を実施するEV証明書で、ブラウザ上で安全なWebサイトであることを視覚的に確認可能にします。

②デバイス認証証明書サービス 

 当社グループが提供しているデバイス証明書管理サービス「サイバートラスト デバイスID」は、デバイス認証証明書を使い、あらかじめシステム担当者が許可したモバイル端末だけを社内ネットワークにアクセスできるようにするサービスです。

 昨今のワークスタイル変革に伴って、スマートデバイスやクラウドを利用するテレワークが一般化し、いつでもどこからでも情報資産にアクセスでき業務を遂行できる環境が必須の要件になっています。同時に、リモートアクセス環境の安全を担保して業務データの情報流出を防ぎ不正アクセスから守るためのセキュリティ対策は、企業のシステム担当者にとっての重要な課題になっています。当社グループでは、「ユーザー認証」に「端末認証」を加えることで、強固な多重防御態勢を作り上げ、また、システム担当者が遠隔から管理、運用できるサービスにより、管理の負担や人的コストの削減を可能にします。

③電子認証サービス

 当社グループは、電子取引の信頼性を高めるための電子署名、eシール、タイムスタンプなどを含む包括的な本人確認・電子署名サービスを提供しています。

 当社グループは、世の中の大きな流れであるデジタルトランスフォーメーションの中でもビジネスプロセスのデジタル化において特に重要となる本人確認のデジタル完結、契約の電子化を含む電子文書の真正性確保を実現するための本人確認・電子署名サービス「iTrust」を提供します。

 「iTrust」は、犯収法などで求められる本人確認をデジタル完結する「iTrust本人確認サービス」、電子契約などでの電子署名で用いる「iTrust電子署名用証明書」、契約や書面の電子化で求められる真正性を保証する「iTrustリモート署名サービス」から構成されています。


(2) OSSサービス

サーバーOS

 当社グループは、Linux OS「MIRACLE LINUX Asianux Inside」を、企業向けLinuxサーバー用途に加え、産業用コンピューター、各種アプライアンス製品など特定業務用機器への組込み用途で提供しております。最近では製造業におけるファクトリーオートメーションや通信業での導入が加速していると判断しております。Linux OS「MIRACLE LINUX Asianux Inside」というソフトウエアの提供に加え、国内のエンジニアによる10年にわたる長期サポートも提供しており、基幹サーバーに求められる安定運用や、特定業務用機器への組込みに必須となる柔軟なカスタマイズまで対応しています。

 最新バージョンの「MIRACLE LINUX 8 Asianux Inside」は、信頼性、安全性、可用性、セキュリティ機能を重視した、アジアでのビジネス要件に最適化されたLinux OSで、主な特徴は、国内のエンジニアによるサポートを10年にわたって提供できるサポート体制により、基幹サーバーに厳格に求められる安定稼働やシステム障害に対する早期解決から、特定業務用機器への組込みに必須となる柔軟なカスタマイズまで、幅広く使用することができることです。最新のRHEL 8.1に対応しており、利用できるハードウエアの選択肢が広がっており、RHEL 8.1向けに開発されたアプリケーションソフトウエアを動作させることが可能です。

 なお、各OSSの分野ではコミュニティと呼ばれる、世界中に散在している利用者、開発者、企業などからなる組織によって、メンバー間でソースコードを共有し、共同開発や関連情報の発信、勉強会開催などを非営利目的で運営しています。当社グループが主に参加しているLinuxなどのOSSは、大手企業が積極的にコミュニティ活動に参加し、相互に協力しております。また、OSSはソースコードが広く公開されているため、いかなる企業・団体や個人も当社グループと類似の開発を行うことが可能ではありますが、この点がOSSの特徴であります。当社グループは、企業としてカーネルレベルの技術に精通したエンジニアを擁している優位性もあり、ライセンスのみならずサポートサービスやコンサルティングサービスの提供も評価され、当社サービスにおける重要な割合を占めております。

 技術に精通した自社のエンジニアによりOSSをパッケージ化してライセンス提供すること、迅速なサポートサービスを提供すること、さらに、製品導入時に導入支援及びカスタマイズなどが必要なお客様とは密にコミュニケーションをとりながらコンサルティングサービスを提供すること、これらが当社グループの優位性につながっております。


(3) IoTサービス

①EMLinux

 IoTなどの組込み機器の開発向けの組込みLinux「EMLinux」を提供しています。かつて組込みOSの主流であったリアルタイムOS(RTOS)と比較して組込みLinuxの不利な点とされていた、リアルタイム性、起動の高速化、省リソースなどの課題をLinuxのチューニングによって解決し、また、IoT・組込み機器の開発において今や必ず対策しなければならないデバイスレベルからのセキュリティソリューションも備えています。

 組込み機器がインターネットにつながりIoT化することによって、乗っ取りやデータの改ざん、盗聴などのサイバーセキュリティリスクが高まり、また国際的な経済活動や社会インフラのリスクが高まってきたことから、米国の連保政府や国防調達の基準としているサイバーセキュリティガイドライン SP800シリーズや、国際電気標準会議が標準化を行っている産業システム向けの制御システムセキュリティガイドラインIEC62443の対応が活発化し、自動車分野では国連法規としてWP29で型式認証基準が制定、2022年より施行されるなど、国際的にIoT機器のサイバーセキュリティ対策の強化及び、ソフトウエア更新機能などを義務化する法規制も進み、産業界でも継続的なサポートが求められています。IoT機器の耐用年数は15年に及ぶものもあり、PCなどに比べて長期のサポートが必要となりますが、個々のメーカーが長期サポートを提供するには莫大なコストがかかるため、関連する企業が協力して、OSSコミュニティが中心となり、CIP(Civil Infrastructure Platform)などで長期サポートの実現に取り組み、ユーザーが安心安全に利用できるよう支援しています。

 当社グループは、カーネルレベルの技術に精通した技術力を持つエンジニアを擁し、CIPなどのコミュニティと共同歩調をとることで、IoT・組込み機器には必須の長期サポートも実現します。組込みLinux「EMLinux」によって、お客様が組込みアプリケーションの開発に注力し、開発期間を短縮し開発コストを削減すると共にIoT機器の出荷後も長期にわたって安心・安全に使い続けることを可能にします。


②セキュアIoTプラットフォーム

 当社グループは、公開鍵基盤(PKI)と多角的な認証によるIoT機器や利用者の真正性の確保と、暗号化による機密性の保持、電子署名による改ざん防止・安全性確保等の機能を備え、OSやソフトウエアをセキュアに更新する仕組みを一括して提供するシステム基盤を提供しています。「セキュアIoTプラットフォーム」は、半導体設計時から廃棄処分工程まで、ライフサイクルを通じてIoT機器のセキュリティ状態を一気通貫で管理できます。


 ③EM+PLS

 長期間使用できるIoT・組込み機器専用のLinuxと、ライフサイクルを通してIoT機器の真正性を担保するプラットフォーム、IoT機器の脆弱性を検査するツールをメニュー化し、IoT製品の継続的な開発と長期利用を支援するサービス「EM+PLS(イーエムプラス)」を提供しています。産業機器、医療機器、自動車、事務機器、家電やウェアラブル端末など、インターネットに接続され、社会を支えるさまざまなIoT機器は多くの場合10年以上の長いライフサイクルが求められ、IoT機器のメーカーやサービス提供業者は、脆弱性リスクやIoT関連の法改正などに素早く対応する必要があり、IoT機器を出荷した後も長期のサポートが求められます。

「EM+PLS」は、組込み用Linux OS「EMLinux」及び産業機器の運用期間を想定した脆弱性パッチの長期提供と、IoTの安全性を担保しライフサイクル管理を実現する「セキュアIoTプラットフォーム」、IoT機器のファームウェアを解析し脆弱性を検知する脆弱性検査ツール「VDOO Vision」で構成する「EM+PLS」により、次世代の組込み開発のニーズに応えます。

 

④Warp!!

 当社グループ会社のリネオソリューションズ社によりIoT機器向けの高速起動製品を提供しています。組込み機器では自動車やスマート家電製品などバッテリーを使用している製品や、業務用コピー機など省エネの観点で待機電力の極小化を求められる製品が多く、電源投入時、あるいは待機状態からシステムが正常起動するまでの起動時間の短縮が課題になっています。「Warp!!」により、LinuxやAndroid OSで構成されているシステムを最短、1秒から数秒の高速での起動を実現します。コンシューマ機器や車載機器、産業機器などすでに、100種を超える製品での採用実績があります。


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2019.3 4,168 430 440 207

(連結実績)2020.3 4,421 537 535 350

(連結予想)2021.3 4,763 570 694 398

(連結3Q累計実績)2021.3 3,358 320 326 144


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2021.3 108.73 1,049.73  - 

調達資金使途 自社開発ソフトウエアや開発設備への投資


上場時発行済み株数 3,910,600株 (別に潜在株式400,000株)

公開株数 632,500株(公募250,000株、売り出し300,000株、オーバーアロットメント82,500株)


PER:15.2

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:10.5億

公募時時価:65億

    

【株主構成】 

SBテクノロジー(株) 親会社 2,632,600 64.83 180日

(有)SPCトラスト 新株予約権受託者 400,000 9.85

日本電気(株) 特別利害関係者など 224,000 5.52 180日

(株)オービックビジネスコンサルタント 特別利害関係者など 224,000 5.52 180日

(株)ラック 特別利害関係者など 224,000 5.52 180日

(株)エヌ・ティ・ティ・データ 特別利害関係者など 64,000 1.58 180日

(株)日立製作所 特別利害関係者など 64,000 1.58 180日

(株)サンブリッジコーポレーション 特別利害関係者など 64,000 1.58 180日

セコム(株) 特別利害関係者など 64,000 1.58 180日

大日本印刷(株) 特別利害関係者など 64,000 1.58 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるSBテクノロジー株式会社並びに当社株主である日本電気株式会社、株式会社オービックビジネスコンサルタント、株式会社ラック、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、株式会社日立製作所、株式会社サンブリッジコーポレーション、セコム株式会社、大日本印刷株式会社及び株式会社大塚商会は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2021年10月11日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等を行わない旨合意しております。

 また、当社は主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の発行、当社株式に転換若しくは交換される有価証券の発行または当社株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行(ただし、本募集、株式分割、ストックオプションとしての新株予約権の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、2021年3月12日開催の当社取締役会において決議された主幹事会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)等を行わない旨合意しております。

 また、当社は、当社の役職員及び業務委託契約を締結している者に対するインセンティブを目的として、有限会社SPCトラストを受託者とする信託に発行済株式総数の10.93%に相当する新株予約権を割り当てており、交付基準日に当社が指定した役職員等に交付されますが、交付基準日は、上場後半年が経過する日の翌営業日の正午となっております。

 

【代表者】

代表者名 真柄 泰利(上場時62歳9カ月)/1958年生

本店所在地 東京都港区六本木

設立年 2000年

従業員数 214人 (2/28現在)(平均40.6歳、年収680.6万円)、連結256人

株主数 11人 (目論見書より)

資本金 540,160,000円 (3/12現在)

代表者生年月日 1958年07月14日生まれ

代表者略歴 年月 概要

1983年10月 日本ソフトバンク(株)(現ソフトバンクグループ(株))入社

1993年10月 マイクロソフト(株)(現日本マイクロソフト(株))入社

2011年03月 当社(旧サイバートラスト(株))入社 取締役就任 執行役員 経営戦略管掌

2012年07月 当社 代表取締役社長就任

2013年01月 日本RA(株) 代表取締役社長就任(現任)

2014年11月 Cyber Secure Asia 代表取締役社長就任(現任)

2017年10月 当社 取締役 上級副社長

2018年04月 当社 代表取締役社長 CEO(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ 473,000 86.00

引受証券 大和 33,000 6.00

引受証券 SBI 33,000 6.00

引受証券 いちよし 5,500 1.00

引受証券 楽天 5,500 1.00


【参考類似企業】今期予想PER(3/26)

3777  FHTHD 172.7倍(連結予想 )

3788  GMOGSHD 104.8倍(連結予想 )

3817  SRAHD 10.9倍(連結予想 )

4726  SBテクノロジ 31.0倍(連結予想 )

6027  弁護士コム 397.5倍(単独予想 )

6836  ぷらっと -倍(単独予想 )


【私見】

 業種としては脱はんこの流れでど真ん中の銘柄で、ソフトバンクの子会社で非常に評価される銘柄です。業績は急拡大はしていませんが、安定した利益でPERも高くはなく、今後世の中の流れで成長はしていくでしょう。需給はほぼ3か月のロックがかかっており、吸収金額・時価総額も大きくはないので軽く200憶は突破し、500憶も夢ではないかと思ってます。


想定価額:1600円

仮条件上限:1660円

初値予想:5500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・やや強気

総合評価4.5

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