2021年7月3日土曜日

IPO分析(アシロ)

 【事業内容】

 法律・弁護士業界とインターネットを結びつけた事業を営んでおります。具体的には、当社グループが有するデジタル技術やウェブマーケティングノウハウを活用して、インターネット上で法律情報や弁護士情報等を提供する「リーガルメディア関連事業」を主要事業としております。また、当該事業を拡大する中で蓄積した弁護士業界のネットワークや知見、インターネット上での求職者の集客ノウハウを活かし、主に弁護士有資格者の人材紹介サービスを提供する「リーガルHR事業」を2020年より開始しております。

 「リーガルメディア関連事業」は、弁護士を主な顧客とする「リーガルメディア」と、弁護士以外の広告主を顧客とする「派生メディア」に分類されますが、収益の大部分は「リーガルメディア」が占めております。「リーガルメディア」の収益は主に月額定額の掲載料収入(サイト内の有料広告の掲載枠数に、月額定額の掲載枠単価を乗じた金額)であり、掲載枠数の増加に比例して収益が伸長するストック型の収益構造であることから、安定的な成長を目指すことが出来るビジネスモデルとなっております。


2.各事業の概要

(1)リーガルメディア関連事業

 弁護士へのマーケティング支援サービスを提供しているリーガルメディアと、弁護士以外の広告主へのマーケティング支援サービスを提供している派生メディアに分類され、運営する主要なサイトとその概要を図で示すと以下のとおりです。

 ユーザーはリーガルメディア・派生メディアとも原則として無料で閲覧することができ、メディアへ広告出稿をする弁護士・企業等の顧客から広告収入を頂くビジネスモデルとなっております。派生メディアの報酬体系はユーザーからの問合せ数に応じた成果報酬型でありフロー収益となりますが、リーガルメディアの報酬体系は、サイト内の有料広告の掲載枠数に月額定額の掲載枠単価を乗じた広告収入を得るストック収益となっていることから、安定した収益を見込むことが可能となっております。

 なお、当社運営サイトへのユーザー流入経路は大きく2通りに分けられ、1つはコラム記事等のコンテンツを制作することによる大手検索サイトでの自然検索経由での流入であり、もう1つは大手検索サイトにおいてリスティング広告等を出稿することによる広告経由での流入となります。


(リーガルメディア)

 リーガルメディアは、弁護士を主な顧客としているメディアサイトであり、「離婚弁護士ナビ」、「交通事故弁護士ナビ」等、弁護士が取り扱う個別の事件分野に特化した弁護士ナビシリーズにより主に構成されております。弁護士ナビシリーズは、離婚・交通事故・相続・労働問題・刑事事件・債権回収・債務整理・IT・企業法務の9つの事件分野で独立したサイトを運営しており、弁護士個人又は弁護士法人の広告の掲載を行っております。また、様々な事件分野を一つのサイト内で取り扱う総合ポータル型法律メディアサイト「あなたの弁護士」の運営も行っております。

 弁護士業界は、司法制度改革による弁護士数増加に伴い、案件獲得の競争が激化しております。各弁護士は得意分野や取扱い分野を明確化し、差別化を図ることが重要となっている中、当社が運営するリーガルメディアは個別の事件分野に特化したサイトであることから、弁護士にとって積極的に獲得したい事件分野の問合せが得られやすいサービスとなっております。また、ユーザーにとっては、悩みを抱えている事件分野を積極的に取り扱っている弁護士に相談できるサービスとなっており、ミスマッチが起こりづらい点が大きな特徴です。

 リーガルメディアの主要サイト(弁護士ナビシリーズ9サイトと「あなたの弁護士」)合計の各期の有料広告の掲載枠数(期末時点)、掲載枠数(期間平均)、サイト訪問者数、売上収益、掲載枠単価の推移は以下のとおりであります。なお、掲載枠数は、顧客である弁護士がサイト内で有料広告を出稿している枠の数であり、掲載枠数に月額定額の掲載枠単価を乗じた広告収入を顧客である弁護士から得ております。


 (派生メディア)

 派生メディアは、「キャリズム」という転職エージェントを顧客としたメディアサイトと、「浮気調査ナビ」「人探しの窓口」という探偵事務所を顧客としたメディアサイトにより主に構成されております。派生メディアは弁護士に相談・依頼するユーザーが有する派生ニーズに対応したメディアサイトであり、例として「キャリズム」については、労働問題で悩みを抱えるユーザーに対して、弁護士への相談を促すだけでなく、転職という選択肢も提供することがユーザーの潜在的なニーズを満たし、ユーザーの利益に資するという考えの下、サービスを開始いたしました。

 リーガルメディアの運営を行う中で培ってきたデジタル技術やウェブマーケティングノウハウを活用するとともに、リーガルメディアとの間でのユーザーの相互送客といった相乗効果の創出も図っております。

 本サービスは、ユーザーは無料で利用でき、ユーザーからの問合せ数に応じた成果報酬を掲載顧客より得ております。

 派生メディアの主要サイト(「キャリズム」「浮気調査ナビ」「人探しの窓口」)合計の年間の問合せ数、サイト訪問者数、売上収益は以下のとおりであります。なお、問合せ数は、ユーザーが顧客に対して電話、メール等による問合せを行った数であり、問合せ数に問合せ単価を乗じた広告収入を顧客から得ております。そのため、問合せ数が増加すれば広告収入が増加致しますが、問合せ数はGoogleの検索アルゴリズムなど外部環境の影響により増減し、フロー型の収益構造となっております。


(2)リーガルHR事業

 リーガルHR事業は、法律事務所や法務人材を必要としている企業に対して、弁護士有資格者を紹介し、双方の求人ニーズ及び転職ニーズをマッチングする人材紹介サービスを提供し、弁護士専門の転職サイト「NO-LIMIT」を運営しております。候補者の採用が決定し、入社することによって採用企業から紹介手数料を得る成果報酬型を採用しており、フロー型の収益構造となっております。

 リーガルメディア関連事業の運営を通じて培った、法律事務所とのネットワークやインターネット上での求職者集客ノウハウを活用することで求人企業・求職者のいずれもスムーズな開拓が可能となっており、また、弁護士業界の知見を活かすことで、精度の高い人材紹介サービスの提供を行っております。

 


【業績等】

業績動向(百万円) 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益

(単独実績)2019.10 1,156 254 246 156

(連結実績)2020.10 1,478 332 323 207

(連結予想)2021.10 1,482 341 336 222

(連結中間実績)2021.10 735 195 190 122


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2021.10 35.54 - 0

調達資金使途 広告媒体費、人材採用および人件費


上場時発行済み株数 6,829,000株 (別に潜在株式1,020,000株)

公開株数 4,833,600株(公募829,000株、売り出し3,374,200株、オーバーアロットメント630,400株)


PER:32.6

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:56.1億

公募時時価:79億

    

【株主構成】 

J-STAR二号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,755,500 39.25 90日・1.5倍

中山博登 代表取締役社長 1,836,000 26.15 90日

MIDWEST MINATO, L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,029,600 14.67 90日・1.5倍

Pacific Minato II, L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 954,900 13.60 90日・1.5倍

川村悟士 取締役CFO 165,000 2.35 90日

河原雄太 取締役 90,000 1.28

宮崎淳平 特別利害関係者など 60,000 0.85

竹田津惇 取締役 30,000 0.43

丸田泰広 従業員 30,000 0.43

増山雄大 元従業員 30,000 0.43


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるJ-STAR二号投資事業有限責任組合、MIDWEST MINATO, L.P.及びPacific Minato Ⅱ, L.P.は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年10月17日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨合意しております。

 当社の株主かつ新株予約権者である中山博登及び河原雄太は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年10月17日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。

 さらに当社の株主かつ新株予約権者である上記2名及び当社の新株予約権者である川村悟士及び竹田津惇については主幹事会社に対して、元引受契約締結日から2022年7月19日(当日を含む)までの期間中、主幹事会社の事前の書面の同意なしには、新株予約権の行使等を行わない旨合意しております。

 

【代表者】

代表者名 中山 博登(上場時38歳4カ月)/1983年生

本店所在地 東京都新宿区西新宿

設立年 2016年

従業員数 39人 (5/31現在)(平均29.9歳、年収516.9万円)、連結44人

株主数 6人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (6/16現在)

代表者生年月日 1983年03月16日生まれ

代表者略歴

2006年04月 (株)ワークポート入社

2007年04月 (株)幕末(現 イシン(株))入社

2009年11月 旧 (株)アシロ代表取締役社長就任

2015年05月 (株)保険コネクト代表取締役社長就任

2015年10月 (株)KANAMA代表取締役社長就任

2016年05月 当社代表取締役社長就任(現任)

2017年10月 (同)中山事務所代表社員就任


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 いちよし - -

引受証券 岩井コスモ - -


【参考類似企業】 今期予想PER(6/28)

6027  弁護士コム 598.6倍(連結予想 )


【私見】

 弁護士ドットコムとまではいかなくとも、類似業種は少なく業種妙味はあります。業績はそれほど伸びていはいませんが、上場を機に成長する可能性は高いかと思います。問題は需給で、VCの売出しが多く、更に1.5倍でロックが外れるのでセカンダリーには注意が必要そうです。VCの売出し案件でも、日本電解のように高騰する銘柄もあるので侮れないのすが、上がったのは安く寄ったことが要因で、ここも1.5倍以下で寄った場合は時価総額も大きくはないのでチャンスはあるかもしれません。逆に、野村主幹事でもあるので1.5倍以下で寄る可能性は低いのかもしれません。


想定価額:1120円

仮条件上限:1160円

初値予想:1700円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5

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