2022年4月15日金曜日

IPO分析(クリアル)

 【事業内容】

(1) 事業の具体的内容

 資産運用プラットフォーム事業を有機的に一体となり運営しているため単一セグメントでありますが、①「CREAL」②「CREAL Partners」③「CREAL Pro」の3つのサービスにより構成されております。①当社が展開する、1万円から資産運用が可能なサービスである「CREAL」では、保育園などESG不動産からレジデンスに至るまで多様な不動産へ投資ができる不動産ファンドオンラインマーケットです。また、②連結子会社であるクリアルパートナーズ株式会社が展開する、1,000万円からの資産運用が可能な「CREAL Partners」は、ITを活用し効率的に実物不動産(主に首都圏の中古区分レジデンス)に投資ができる個人投資家向けの資産運用サービスです。そして、③当社が展開する、1億円からの資産運用となる「CREAL Pro」は、機関投資家・超富裕層向けの大型不動産への投資を通じた資産運用サービスです。なかでも、「CREAL」及び「CREAL Partners」はDXを大きく活用したサービスであり、当社の主軸成長事業です。


(2) 事業の特徴

①  「CREAL」

 クラウドファンディングを活用した不動産ファンドオンラインマーケットです。資産運用において重要な位置づけを占めるにも拘わらず、投資に必要な多額の資金と手間、専門的な知識が障害となり個人にとっては遠い存在であった不動産投資への門戸を広く個人に開放するサービスです。

 当社が予め設定した分配金リターンを目的として投資家が一口1万円からさまざまな不動産へ投資できるサービスであり、投資家登録から投資実行に至るまですべてオンラインで不動産投資を完結することができる仕組みです。また、投資後の物件の管理から運用、そして売却に至る全運用プロセスについて不動産投資ノウハウを有する当社に一任することができ、投資家は手間や高度な知識を要することなく不動産投資運用が可能となります。


「CREAL」の業務の流れは以下の通りであります。

a.  当社自社開発のAIを活用した物件仕入れ及び査定機能を持つ「CREAL buyer」や物件供給の業務提携契約締結先の会社、ホテルや保育園の運営者、仲介会社等から収集した投資物件情報からスクリーニングを行い投資適格物件の選定を行います。

b.  当社が選定した投資適格物件についてファンドの組成を行い、不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」上に公開します。

c.  投資家は掲載されたファンド情報及びファンドに応じて設定された利回りを考慮のうえ投資金額を決定します。

d.  ファンドが成立した場合には、当社が「CREAL」にて募集完了した投資金額を用いて対象不動産を売主より購入します。その際、当社はファンド組成費用として一定の手数料(アップフロント・フィー)を受領します。

e.  ファンド運用期間中に不動産を賃貸することにより賃借人から得られる賃料を基にして、投資家へ配当を行います。当社はファンド運用時に管理手数料(アセットマネジメント・フィー)を受領します。

f.  ファンド運用終了時に不動産を売却することにより得られた売却代金を基にして、投資家へ最終配当及び元本償還を行います。ファンド運用終了時においては不動産売却手数料(エグジット・フィー)を受領し、さらに当社が物件を売却して利益が生じた場合には、当社は当該売却利益または当該売却利益の一部(プロフィットシェア)を受領します。


②   「CREAL Partners」

 個人投資家向けに、実物不動産(主に首都圏の中古区分レジデンス)への投資を通じた資産運用サービスを提供しております。個人投資家向けに販売する投資用不動産を連結子会社であるクリアルパートナーズ株式会社が仕入れ、個人投資家に販売することにより売却利益を獲得します。また、「CREAL Partners」では不動産販売後、投資家にとって必要な各種管理業務サービスも提供し、集金代行手数料や契約事務手数料等の賃貸管理収入を継続して受領します。

 「CREAL Partners」では、不動産投資に関わる一連のプロセス各所でのDX化を通じ、業務改善やコスト削減、また顧客にとっての利便性が高まるような取り組みをしております。


 ・投資案件の物件評価・仕入システム「CREAL buyer」

 物件仕入れを効率的に行うために自社開発をしたAIを用いた物件評価・仕入システム「CREAL buyer」は、膨大なオンライン上の中古区分レジデンス不動産情報の中から、当社グループが仕入れるべき物件を自動的に収集・提案します。「CREAL buyer」のAIは、不動産に関わる膨大な量のデータを常時学習しており、ロケーションやエリア、面積・築年数・スペックに応じた適正な賃料や価格査定を可能としており、当社グループの購入する物件についての適切な価格査定を行っている他、割安な価格や賃料が設定されているハイパフォーマンスな物件をインターネット上で常に選別し、そのような物件がある際には仕入れの提案を担当者に通知します。「CREAL buyer」の機能のうち賃料査定機能の導入は2020年8月からとなりますが、インターネット上での自動仕入れ機能の導入は2021年9月となります。「CREAL buyer」の利用により、AIによる適正賃料・適正価格の提示を通じた効率の良い仕入れ業務を実現、投資商品の安定的な供給をサポートしています。


 ・不動産投資運用のDXを推進する「CREAL concierge」

 物件の収支や契約書がオンラインで一元管理できる「CREAL concierge」の利用により、いままで書面や対面でのやりとりに大きく依存していた不動産投資運用プロセスのDXを推進します。クリアルパートナーズ株式会社の顧客である不動産オーナーは、物件の賃貸状況や収支状況がオンラインでいつでも手軽に確認可能となります。また、顧客である不動産オーナーに対して最新の販売中の不動産を表示することも可能とすることにより、顧客の更なるロイヤルティ育成をし、物件の買い増しを促進します。


・物件管理業務効率化ツール「CREAL manager」

 物件の賃貸管理を一元化する「CREAL manager」の利用により、区分中古レジデンス不動産における賃貸管理業務を効率的に運用できる仕組みを構築しています。書面やエクセルなどで分散管理していた情報が一元化され、契約管理及び入出金管理を効率的に管理することはもちろん、オーナー向け明細の作成や希望者への郵送が自動化され効率的な作業を可能としております。


③   「CREAL Pro」

 1億円からの資産運用サービスである「CREAL Pro」は、機関投資家・超富裕層向けの資産運用サービスであり、大型不動産への投資を通じた資産運用サービス事業を展開しております。具体的には、当社が情報を入手した投資物件を基に仲介業務や私募ファンドを組成・運用する業務が中心となります。また、当社グループが固定資産として保有するホテルの運営事業も含まれております。


 【業績等】

業績動向(単位:百万円)

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/03 連結予想 10,452 264 218 154

2022/03 連結3Q累計実績 8,829 447 399 279

2021/03 連結実績 7,141 183 105 50

2020/03 連結実績 3,776 263 215 152


2022/03 連結予想 36.14 239.52 0.00


上場時発行済株数 5,015,000株(別に潜在株式484,800株)

公開株数 1,152,300株(公募743,000株、売り出し259,000株、オーバーアロットメント150,300株)

調達資金使途 社債償還資金、クラウドファンディング組成時の劣後出資資金


PER:24.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:9.8億

公募時時価:43億

​   

【株主構成】 

徳山明成 取締役会長 1,566,600 32.93% 180日

BRIDGE-C ADVISORY PTE. LTD. 役員らが議決権の過半数を所有する会社 780,000 16.40% 180日

横田大造 代表取締役社長 396,600 8.34% 180日

金子好宏 取締役副社長 318,600 6.70% 180日

桜井聖仁 特別利害関係者など 309,600 6.51% 180日

BRIDGE-C HOLDINGS PTE. LTD. 役員らが議決権の過半数を所有する会社 237,000 4.98% 180日

太田智彬 取締役 93,600 1.97%

渋谷賢一 子会社の取締役 78,000 1.64% 180日

Y´sキャピタル(同) 特別利害関係者など 60,000 1.26%

小高功嗣 - 50,100 1.05% 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である徳山明成、売出人である澁谷賢一、当社株主であるBRIDGE-C ADVISORY PTE. LTD.、横田大造、金子好宏、櫻井聖仁、BRIDGE-C HOLDINGS PTE. LTD.、櫻井恵子、櫻井杏子、当社株主かつ新株予約権者である小高功嗣、丸尾知弘、並びに当社新株予約権者である上田斉、天野義也、佐藤知紘、三上晃、本多一徳、松本理恵は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2022年10月24日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む)の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)等は行わない旨合意しております。 

 また、当社は主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の発行、当社株式に転換若しくは交換される有価証券の発行または当社株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行(ただし、本募集及び株式分割等は除く。) 等を行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 横田 大造(上場時46歳0カ月)/1976年生

本店所在地 東京都台東区東上野

設立年 2011年

従業員数 38人 (2022/02/28現在)(平均40歳、年収664.8万円)、連結59人

事業内容 資産運用プラットフォーム事業、ワンルームマンション投資、富裕層・機関投資家向け資産運用

URL https://corp.creal.jp/

株主数 30人 (目論見書より)

資本金 379,000,000円 (2022/03/25現在)

代表者生年月日 1976年04月09日生まれ

代表者略歴

2000年06月 アンダーセンコンサルティング(株)(現 アクセンチュア(株))入社

2005年09月 オリックス(株)入社

2007年12月 ラサールインベストメントマネージメント(株)(現 ラサール不動産投資顧問(株))入社

2011年10月 (株)新生銀行入社

2014年04月 ジャパン・シニアリビング・パートナーズ(株)(現 ケネディクス不動産投資顧問(株))出向 投資運用部長就任

2017年04月 当社代表取締役就任(現任)

2017年05月 (株)ブリッジ・シー・ホールディングス取締役就任

2020年06月 国土交通省主宰「不動産特定共同事業(FTK)の多様な活用手法検討会」委員就任


【幹事団】

主幹事証券 SBI 876,800 87.50%

引受証券 みずほ 25,100 2.50%

引受証券 大和 25,100 2.50%

引受証券 岡三 20,000 2.00%

引受証券 楽天 15,000 1.50%

引受証券 岩井コスモ 10,000 1.00%

引受証券 東洋 10,000 1.00%

引受証券 松井 10,000 1.00%

引受証券 マネックス 10,000 1.00%


【参考類似企業】 今期予想PER(4/7)

2987 タスキ 11.5倍 (単独予想)

3254 プレサンス 12.6倍 (連結予想)

3458 シーアールイー 9.4倍 (連結予想)

3475 グッドコムA 6.6倍 (連結予想)

3482 ロードスター 6.5倍 (連結予想)

3491 GATECH  - (連結予想)

3494 マリオン 15.3倍 (単独予想)


【私見】

 富裕層に特化はしているものの、不動産中心で、同業も多く大きな優位性はないと感じます。業績が伸びていることは評価できますが、PERからの割安感はなく、成長性を考えると上値余地は少ないと思います。VCなしで需給が良いことは評価できますが、ネット証券主幹事で買い材料は乏しく大きくは上がらないと予想します。


想定価額:900円

仮条件上限:850円→930円

初値予想:1000円→1100円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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