2022年4月16日土曜日

IPO分析(ペットゴー)

 【事業内容】

(1) 事業環境

  人間の医療では医薬分業が一般的でありますが、ペットには医薬分業が存在せず、動物用医薬品、食事療法食、サプリメントなどの犬猫のペットヘルスケア商品は、大半が動物病院で購入されております。近年は特にペットの家族化を背景に、ペットの健康に対するペットオーナーの意識が高まっていることにより、犬猫の平均寿命が伸びており、犬猫のペットヘルスケア商品に対するニーズが拡大しております。

 そこで当社グループでは、動物病院以外の販売経路で動物用医薬品、食事療法食、サプリメントなどの犬猫のペットヘルスケア商品を販売することにより、動物病院へ行くことができないペットオーナーの負担を軽減し、「ペットのQOL向上」に貢献することを目指しております。また、動物病院のペットヘルスケア商品の流通に関わる負担軽減により、獣医師が医療に専念できる環境づくりが進み、さらなる高度医療の充実や夜間診療の充実などの獣医療のサービスと質が向上していくことにより、「ペットのQOL向上」がさらに図られるものと考えております。

 このような背景の中、当社グループは「ペットのQOL向上」に役立つ動物用医薬品や食事療法食、サプリメントなどの犬猫のペットヘルスケア商品を、自社オンラインサイト「petgo(ペットゴー)」のほか、複数の他社オンラインモールを通じて販売しております。


(2) 取扱商品について

 「ペットのQOL向上」に役立つ商品として、従来動物病院のみで販売されていたペットの健康管理に対応する動物用医薬品や食事療法食、サプリメントなど犬猫を対象としたペットヘルスケア商品を中心に販売しております。また、ナショナルブランド商品に加えて、D2Cブランド製品も取り扱っております。

 ① 動物用医薬品

 指定医薬品と要指示医薬品の2種類の規制区分があり、当社グループはいずれの区分にも指定されていないもののみを販売しております。販売中の主な医薬品にはノミ・マダニ駆除薬をはじめ、目薬、皮膚薬、外耳炎薬、胃腸薬等があります。


 ② 食事療法食

 犬猫のペットフードのうち、栄養成分の量や比率などを調節することによって、特定の疾病等に対していわゆる食事療法として使用されることを意図して作られたものを販売しております。


 ③ その他のペットヘルスケア商品

・総合栄養食

・サプリメント

・ケア用品など


(3) 事業の特徴

 「マルチコマース展開」「サブスクコマース(定期購入)展開」「D2Cブランド展開」の3つとなります。

① マルチコマース展開

 主な取扱商材は、犬猫の日々の健康をサポートするペットヘルスケア商品が大半を占めており、定期的に消費されるものであることから、できるだけ多くのペットオーナーが利用しやすいよう自社オンラインサイトに加え、他社オンラインモールにも複数出店し、ペットヘルスケアに特化したマルチコマースを展開しております。


現在、インターネット上に以下のオンライン店舗を展開しております。

自社オンラインサイト

・petgo(ペットゴー)

 

他社オンラインモール

・楽天市場支店

・楽天市場支店2号館

・楽天市場支店3号館

・Yahoo!ショッピング支店

・Yahoo!ショッピング支店2号館

・Amazon支店

・auPayマーケット支店

・Qoo10支店


マルチコマース展開により、顧客基盤を拡大し、ペットデータを蓄積することで顧客ニーズを的確に把握することに努めるとともに、特定のモールへの依存を軽減し、販売機会の損失防止を図っております。

 この結果、アクティブ購入者数は589,371人(2021年3月末時点)、累計ユニーク購入者数は1,727,880人まで拡大しており、当社グループの売上高に占めるオンライン店舗の売上高の割合は約90%となっております。また、オンライン店舗での売上高の約80%は、リピート顧客による売上高となっております。

 また、オフラインとしてホームセンター等への卸売も行っており、当社グループがホームセンター等から注文を受けた商品を一括して納入し、店舗内に当社グループの特設コーナーを設置し販売しております。


② サブスクコマース展開(定期購入)

 自社オンラインサイトにおける購入形態の1つである定期購入は、新型コロナウイルス感染症拡大による生活様式の変化もあり、2020年4月以降大きく成長しております。

 主な取扱商材は、定期的に消費されるものであり、定期購入とは比較的相性が良いものであります。自社オンラインサイトにおける定期購入は、購入タイミング及び配送日時を自由に設定でき、解約の自由度も高いため、その利便性の高さから、自社オンラインサイトの売上高に占める定期購入比率は、第16期で29.3%、第17期で33.1%、第18期第3四半期累計期間で40.7%と着実に増加しております。


③ D2Cブランド展開

 2021年3月期より、ペットヘルスケアD2Cブランド「ベッツワン」シリーズを発売しております。


主なD2Cブランドは以下となります。

・犬猫の食事療法食「ベッツワンベテリナリー」

・犬猫の総合栄養食「ベッツワンプレミアム」

・犬猫のノミ・マダニ駆除薬「ベッツワンプロテクトプラス」(ジェネリック動物用医薬品)


そのほか、犬猫の関節、目、下部尿路や腸内環境の健康維持に対応した各種サプリメント(栄養補助食)、歯磨きペースト、デンタルガムなどのデンタルケア製品、毎日のペットライフに欠かせないウェットティッシュやペットシーツ、猫砂等のD2Cブランド製品も展開しております。


また、当社グループは、マルチコマース展開を通じ、膨大なペットデータを蓄積しております。それらのペットデータは、顧客ニーズを的確に分析、把握するのに十分なデータ量を有しており、D2Cブランド製品の企画開発に活用しております。また、OEMパートナーを活用したファブレスでの製造体制を構築しており、メーカーや卸業者を介さないことで、お求めやすい価格を実現しております。


(4) 当社の強み

 当社の強みは、「膨大な量の付加価値の高いペットデータ」と「業務の大半をデジタル化するDXプラットフォーム」であると考えております。

① 膨大な量の付加価値の高いペットデータ

 創業以来付加価値が高いペットデータを蓄積し、事業に活用しております。テクノロジーを駆使し、マルチコマース展開によって収集されたペットデータを自社が開発、運用するプライベートDMP(*11)に蓄積し、それらのペットデータをマーケティングや製品企画に活用しております。

 特に、犬か猫か、小型犬か大型犬か、幼犬幼猫か高齢か、避妊去勢済か、どのような疾患や悩みか等のペットに関する付加価値の高い情報は、当社がペットヘルスケア事業を展開するにあたり、それぞれの顧客を識別し、最適な商品提供と製品企画を行う上で、重要な情報リソースとなっております。


具体的な活用事例は以下となります。

・購買動向分析

・顧客属性分析

・ブランドスイッチ分析

・ブランドや商品等の売れ筋分析

・疾患悩み分析

・顧客調査やモニター募集

・UI/UX(*12)最適化(レコメンド等)

・広告販促ターゲティング最適化


このように、当社グループは、付加価値の高いペットデータをそれぞれのペットに最適化されたEコマースの実現及びD2Cブランド製品の企画開発等に活用し、顧客の利便性、満足度、信頼度を高めることで「ペットのQOL向上」を推進しております。


② 業務の大半をデジタル化するDXプラットフォーム

 自社で開発・運用するDXプラットフォームによって、業務運営の大部分をデジタル化された仕組みにより完結しております。


<DXプラットフォームの主な機能>

・マルチコマース機能

複数のコマースに跨る各種データをリアルタイムで一元管理し、受発注処理、在庫引当、商品データ更新、販売価格設定、在庫調整等の一連のフローを自動化

 ・プライベートDMP機能


ペットデータを含めマルチコマース機能で収集された複数のコマースに跨る各種データを一元管理

 ・クラウドWMS機能


リアルタイムでデータ連携を行い、複数拠点の入出荷データや在庫データをクラウド上で一元管理


【業績等】

業績動向(単位:百万円)

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/03 連結予想 9,613 164 151 104

2022/03 連結3Q累計実績 7,127 119 109 74

2021/03 連結実績 9,455 99 112 71

2020/03 連結実績 8,131 -3 22 15


決算期 種別 EPS BPS 配当 

2022/03 連結予想 87.33 379.25 -


上場時発行済株数 1,746,200株(別に潜在株式332,200株)

公開株数 724,500株(公募550,000株、売り出し80,000株、オーバーアロットメント94,500株)

調達資金使途 ブランド製品の製造、広告販促、物流費


PER:6.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:4.0億

公募時時価:9.6億

​   


【株主構成】 

黒沢弘 代表取締役社長(CEO) 414,200 27.10% 180日

小出文彦 取締役(CTO) 140,200 9.17% 180日

SMBCベンチャーキャピタル2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 100,000 6.54% 90日・1.5倍

中谷将史 特別利害関係者など 97,200 6.36% 180日

サーラエナジー(株) 特別利害関係者など 76,000 4.97% 180日

(株)AMG 特別利害関係者など 75,400 4.93% 90日・1.5倍

アイペット損害保険(株) 特別利害関係者など 60,000 3.93% 180日

(株)コーポレート・アドバイザーズ 特別利害関係者など 50,200 3.28% 180日 

AGキャピタル(株) 特別利害関係者など 50,000 3.27% 90日・1.5倍

住友商事(株) 特別利害関係者など 40,000 2.62% 180日


 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である黒澤弘、当社株主である中谷将史、サーラエナジー株式会社、アイペット損害保険株式会社、株式会社コーポレート・アドバイザーズ、小出文彦、住友商事株式会社、エコートレーディング株式会社、株式会社ユーディーエル、百田功、平野正雄、高原利雄、松田和之、大久保靖及び当社新株予約権者である佐藤建史、藤池智則、浜田章子、坂野万理子、牛田洋子、株式会社TOLOT、水野達郎、元岡裕介、早川洋輔、細谷千恵美、新居真貴、小林重晴、向田紗弥、中村翼、和田裕史、高野紗奈江、伊藤三奈、江成由香、矢野隆久、袴田知春、鈴木麻未、今福真教、佐藤未香、村越裕子、渡邊円香、坂本沙那衣、野崎修一、藤橋大佑、武藤直子は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2022年10月24日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等を行わない旨合意しております。

 また、当社株主であるSMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合、株式会社AMG、AGキャピタル株式会社、NVCC7号投資事業有限責任組合、きぼう投資事業有限責任組合、静岡キャピタル6号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の2022年7月26日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、東京証券取引所における初値が形成された後に主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等を行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 黒沢 弘(上場時50歳10カ月)/1971年生

本店所在地 東京都中野区本町

設立年 2004年

従業員数 52人 (2022/02/28現在)(平均40.6歳、年収456.2万円)、連結52人

事業内容 Eコマース(電子商取引)を主としたペットヘルスケア事業

URL https://corp.petgo.jp/

株主数 22人 (目論見書より)

資本金 279,740,000円 (2022/03/25現在)

代表者生年月日 1971年06月25日生まれ

代表者略歴

1994年04月 住友商事(株)入社

2000年04月 McKinsey&Company入社

2004年11月 当社設立代表取締役社長就任(現任)

2017年05月 ペットゴープロダクツ(株)代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ 537,200 85.27%

引受証券 大和 27,800 4.41%

引受証券 SBI 22,600 3.59%

引受証券 楽天 22,600 3.59%

引受証券 松井 19,800 3.14%


【参考類似企業】今期予想PER(4/5)

7427 エコトレディン  13.0倍 (連結見込)

8113 ユニチャーム 33.8倍 (連結予想)


【私見】

 ペット関連で、同業も多く大きな優位性は感じられないので業種としては評価しがたいです。売上の伸びは大きくないものの、PERから割安感は感じるので、下値不安は少ないかと思います。1.5倍でロックが外れるVCはいるものの、吸収金額は小さく、時価総額も極端に少ないので、初値段階でそこそこは買われるでしょう。


想定価額:500円

仮条件上限:550円

初値予想:850円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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