【事業内容】
(1) 当社グループの事業の概要
「科学技術の進歩を通して人類社会の発展に貢献する」を企業理念として、X線回折、蛍光X線分析、X線透過(イメージング)分析など、X線技術を中心とした最先端の分析ソリューションを研究開発や産業用途に提供している理科学機器の専門メーカーです。1951年の創業から70年を超えるグループの歴史を通して、国内のみならず、アメリカ、ヨーロッパ、中東、中国、アジアを網羅する世界各地の拠点をベースに、90ヵ国を超える世界各国においてX線技術を中心とした分析機器の開発、製造、販売、サービスなどの事業を展開し、お客さまとともに成長を続けております。
当社グループの製品は、物質構造の解析や含有元素の特定、条件変化に伴う物性変化の分析、表面からでは見えない内部構造の把握などを通じて、顧客が行う有機・無機の新たな材料の研究開発に寄与しているほか、企業の生産現場において不純物やキズなどの欠陥の検知に役立てられております。
日本国内において当社グループのX線回折装置(XRD)は75%(注1)の高い市場シェアを有し、国外に向けては海外売上高比率(注2)が69%(2023年12月期)に達しております。また、当社グループの製品の応用分野は、半導体や電子部品、電池、環境、エネルギー、ライフサイエンスなど、幅広く及んでおります。世界で約2,000名(2024年7月31日時点、平均臨時雇用人員数を含む。)の従業員が、日々「視るチカラで、世界を変える」イノベーションの推進に取り組んでおります。
(2) 当社グループが手掛けるX線について
① リガクのX線が視る世界 ~ Lab(ラボ)からFab(モノづくり)へ ~
X線を使うと、他の分析手法では難しい極めて小さなスケールで、試料を破壊することなく「視る」ことができます。X線分析専門のソリューション・パートナーであるリガクの高度な技術はさまざまな分野で必要とされ、活躍しています。研究(Lab(注1))から産業(Fab(注2))へ、必要とされる場を日々拡大し、人類社会の発展に貢献しています。
② Ⅹ線の特性とアプリケーションの広がり
X線には、可視光よりもさらに短い波長と強いエネルギーにより物質を透過し、またX線を照射した物質との相互作用により二次X線である散乱X線や蛍光X線を発生させる特性があります。X線が持つこれらの物理特性から得られる情報を計測・分析することで、マイクロスケール、さらにはナノスケールの微細構造を非破壊で解析し、物質の組成、結晶構造、含有元素などを特定・評価することができます。
X線技術を利用する計測・分析機器は、さまざまな材料の研究開発や生産プロセスでの品質管理、半導体製造におけるプロセス・コントロール、またライフサイエンスの発展に貢献する医薬品の研究開発など、アカデミア、産業分野を問わず幅広く利用され、市場が拡がっています。
豊かさや便利さ、健康や環境保全を追求し続ける人類社会では、新しいニーズに応えるための技術イノベーションがさまざまな活動分野で生まれています。例えば、半導体・電子部品材料の変化、電気自動車の普及に伴う蓄電技術の進化、半導体の微細化や積層化、抗体医薬品の探索技術の高度化、CO2排出削減のための新材料の開発といった、先端領域における市場ニーズの変化は、X線の特性を活かした新しいアプリケーションの開発を通じて当社グループがさらに成長と発展を続けて行くための好機となります。
(3) 当社グループの事業の内容
① 分析機器の開発、製造、販売及びサービス
X線技術を中心とした分析機器の開発、製造、販売、サービスなどの事業を展開しております。
自ら設計、開発した分析機器や分析機器に搭載する要素部品を製造するために機械部品や電子部品などを部品メーカーから直接あるいは商社を経由して仕入れをする一方、部品の製造や製品の一部ないし全ての組立てを協力会社に外注委託しております。当社グループは、これらの部品や製品の仕入れをするとともに、これらの購入品から分析機器を製造し、それらを大学や研究機関、企業の研究部門や品質管理部門に販売しております。また、販売後においては消耗部品の交換、製品の保守点検、故障箇所の修理などのアフター・サービスを提供しております。当社グループは、地域に応じて直接あるいは代理店を起用して、これらの顧客への製品の販売とアフター・サービスを提供しております。
なお、当社グループが提供している製品は基本的に精密機械であることから、高い精度を長く保持し、万一障害が発生した場合に迅速な対応を求める顧客の強いニーズに応えるため、既納製品に対する保守部品の供給や障害発生時の修理サービスの提供はもとより、サービス・スタッフが定期的に顧客を訪問し、メンテナンスを実施する予防保守契約を案内しております。これらの製品保守サービスをそのライフサイクルにわたって継続的に提供することを通じて長期的な顧客との信頼関係と定着率の高い顧客基盤を構築し、それによりストック型のビジネス・モデルを確立しております。
また、X線発生装置、X線光学素子、X線検出器など、各種要素部品の開発、製造リソースを自社内に保有し、開発から販売までを一貫して自社内で完結できることも当社グループの強みとなっております。
②事業の区分と各内容
「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントですが、事業の区分として、多目的分析機器事業、半導体プロセス・コントロール機器事業、部品・サービス事業の3つを設定しております。それぞれの事業の内容は以下に記載するとおりであります。
イ 多目的分析機器事業
多目的分析機器事業では、X線技術を利用する計測分析機器の開発と販売を行っています。
ロ 半導体プロセス・コントロール機器事業
半導体プロセス・コントロール機器は、蛍光X線(XRF)、X線反射率(XRR)、X線回折(XRD)などの分析手法を組み合わせて、半導体ウェーハの汚染検査、薄膜評価、膜厚・密度測定、組成・結晶性評価、3次元形状測定など、半導体の製造工程におけるさまざまな品質検査プロセスで利用されており、当社グループの製品は、世界大手の半導体製造メーカーのインライン品質検査や半導体製造装置メーカーの研究開発、品質管理などに役立てられています。
「Lab to Fab戦略」により半導体製造におけるプロセス・コントロールでその製品の採用が拡がり、半導体前工程向けX線計測機器市場におけるグローバル・リーダーとなっております。また、メモリ、ロジック、パワーデバイスなど、用途分野においてバランスの取れた売上高ポートフォリオを形成していることで、半導体業界のシリコンサイクルに対して強い耐性を有しています。
半導体プロセス・コントロール機器事業において開発・販売する主要な製品には、薄膜評価用蛍光X線分析装置WaferX 310、インラインX線膜厚・密度モニターXTRAIA MF-3000(MFM310)、透過X線CD計測ツールXTRAIA CD-3200T、ハイブリッドXRF・光計測FABツールONYX 3000などがあります。
【業績等】
決算期 種別 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益
2024/12 連結中間実績 42,779 8,672 8,445 6,508
2024/12 連結会社予想 88,500 17,394 17,012 11,909
2023/12 連結実績 79,887 15,256 14,826 10,904
2022/12 連結実績 62,701 6,331 3,088 911
決算期 種別 EPS BPS 配当
2024/12 連結会社予想 52.87 357.87 -
調整後 61.71
上場時発行済株数 225,268,600株(別に潜在株式7,425,200株)
公開株数 102,497,200株(売り出し89,128,000株(国内売出: 37,879,400株/海外売出:51,248,600株)オーバーアロットメント13,369,200株)
調達資金使途 -
PER:23.3
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:1260億
公募時時価:2771億
【株主構成】 以下180日
Atom Investment, L.P. 投資業(ファンド) 175,612,200 75.48% △19,035,500
志村晶 元代表取締役 49,051,800 21.08% △18,843,900
リガクグループ従業員持株会 特別利害関係者など 1,662,400 0.71%
川上潤 代表取締役社長など 494,000 0.21%
渡辺好章 取締役副社長など 460,400 0.20%
尾形潔 取締役副社長など 409,200 0.18%
池田俊幸 元代表取締役 314,600 0.14%
大神田等 子会社の常務執行役員 266,200 0.11%
真田佳幸 専務執行役員 256,800 0.11%
Kent Heath 執行役員 249,400 0.11%
長戸孝司 常務執行役員 229,400 0.10%
宮島孝行 子会社の取締役常務執行役員 212,400 0.09%
平塚俊治 専務執行役員 204,600 0.09%
林利昭 子会社の執行役員 196,600 0.08%
三木晃彦 専務執行役員 193,000 0.08%
和田高広 子会社の執行役員 169,800 0.07%
グローバル・オファリングに関連して、売出人及び貸株人であるAtom Investment, L.P.及び志村晶、当社の株主である川上潤、渡邉好章、尾形潔、池田俊幸、大神田等、真田佳幸、長戸孝司、宮島孝行、平塚俊治、林利昭、三木晃彦、和田高広、内田憲孝、池下昭弘、桜井和彦、若佐谷賢治、佐藤真一、横溝陽一及び村上隆並びに当社の新株予約権者であるKent Heath、Jeff Li、表和彦、四ヶ所昭彦、北浦二朗、Thomas Rabaut、Adrian Jones、Mathias Meyer、Michael Hippler、Markus Kuhn、Thomas van Elzakker、Adam Chong、Sam Chao、Mel Kitagawa、Paul Edmiston、Licai Jiang、Robert Bartek、Mark Benson、Ladislav Pina、Peter Oberta、Doron Reinis、廣瀬光雄、Robert Jan Stienissen、神澤裕、ANDREA KNOBLICH、田口倫彰及び江端貴子は、ジョイント・グローバル・コーディネーターに対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2025年4月22日(当日を含む。)までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、ジョイント・グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式の譲渡又は処分等(ただし、引受人の買取引受けによる国内売出し、海外売出し、オーバーアロットメントによる売出しのための当社普通株式の貸渡し及びグリーンシューオプションの行使に基づく当社普通株式の売却等を除く。)を行わない旨を約束する書面を2024年10月17日付で差し入れる予定であります。
また、グローバル・オファリングに関連して、当社は、ジョイント・グローバル・コーディネーターに対し、ロックアップ期間中、ジョイント・グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換されうる有価証券の発行又は当社普通株式を取得若しくは受領する権利を表章する有価証券の発行等(ただし、株式分割による新株式発行等を除く。)を行わない旨を約束する書面を2024年10月17日付で差し入れる予定であります。
【代表者】
代表者名 川上 潤(上場時61歳4カ月)/1963年生
本店所在地 東京都昭島市松原町
設立年 2020年
従業員数 127人 (2024/08/31現在)(平均46.2歳、年収927.8万円)、連結1811人
事業内容 X線技術などを用いた理科学機器の製造・販売
URL https://www.rigaku-holdings.com/
株主数 23人 (目論見書より)
資本金 473,192,000円 (2024/09/20現在)
代表者生年月日 1963年06月12日生まれ
代表者略歴
1987年04月 日本ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン㈱ 入社
2000年04月 日本ゼネラル・エレクトリック㈱ 取締役
2003年08月 GE メディカルシステム・インターナショナルアジアサービス セールス&マーケティングゼネラルマネージャー
2004年10月 GE横河メディカルシステム㈱(現 GEヘルスケア・ジャパン㈱) 常務取締役
2009年04月 同社 取締役副社長
2011年06月 同社 代表取締役社長 CEO、日本メジフィジックス㈱ 取締役
2017年07月 アルテリア・ネットワークス㈱ 代表取締役社長 CEO、11月:㈱つなぐネットコミュニケーションズ 代表取締役社長
2020年04月 JK & Company 合同会社 代表取締役社長、同4月:カーライル・ジャパン・エルエルシーシニア・ アドバイザー
【幹事団】
主幹事証券 野村 - -
主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -
主幹事証券 モルガン・スタンレーMUFG - -
主幹事証券 大和 - -
引受証券 みずほ - -
引受証券 SMBC日興 - -
引受証券 SBI - -
主幹事証券 BofA - -
主幹事証券 JPモルガン - -
【参考類似企業】今期予想PER(10/2)
255A ジーエルテクノ 10.6倍 (連結予想)
3446 JTECCORP 40.5倍 (連結予想)
6848 東亜DKK 13.7倍 (連結予想)
6856 堀場製 10.6倍 (連結予想)
6874 協立電機 6.9倍 (連結予想)
6894 パルステック 10.3倍 (連結予想)
6965 ホトニクス 23.4倍 (連結予想)
7701 島津製 23.9倍 (連結予想)
【私見】
X線技術等を用いた理科学機器の製造・販売で馴染みがなく理解しがたい業種ですが、半導体にも関連し、海外に強く業種妙味はあります。業績も大型ながら伸びており、PER23.3と、ホトニクス・島津と同程度で公募価額は妥当と判断できます。海外の類似業種ブルカーもPER22.1と同程度の水準(https://finance.yahoo.co.jp/quote/BRKR)。
問題はカーライル案件で、ファンドの売出しIPOなので毛嫌いされますが、直近では2021年のウイングアークが全く人気はなかったところ、割安感もあったので初値は25%と上昇し、その後も上昇しましたので必ずしも悪いというわけではありません。メトロの陰に隠れて人気はないですが、海外投資家次第ですが負けなしのプライムで失敗はなさそうな気はします。ブックで取るほどではないが、取っても損はないような位置でのスタートと予想します。
想定価額:1230円
仮条件上限:1260円
初値予想:1350円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価:3
0 件のコメント:
コメントを投稿