2024年10月6日日曜日

IPO分析(Schoo)

 【事業内容】

​ 社会人の「学び手」に向けては、法人向け研修サービス「Schoo for Business」、個人向け学習サービス「Schoo for Personal」を提供し、高等教育機関・社会人教育事業者の「教え手」に向けては、学習管理プラットフォームサービス「Schoo Swing」を提供しております。全社売上高に占める「Schoo for Business」の割合が90%を超えており、当社の主力サービスとなっております。(第3四半期累計期間)


<主要なサービスの概要>

(1)「学び手」に向けたサービス

・価値の源泉

 社会人の「学び手」に向けては、法人向けと個人向けの「Schoo」サービスを提供しております。その特徴の1つとして、法人向けと個人向けのサービスの基盤が同一であることが挙げられます。これにより、学習意欲の高い受講者のフィードバックにより最適化されたプロダクト及び今学ぶべき幅広い学習コンテンツを、学ぶ文化の醸成・浸透を課題とする法人顧客へ提供することが可能になり、「受講者視点での学習体験」による当社独自の価値を創造することができております。

 2024年8月末時点の「Schoo」サービス全体の有効会員数は約115万人となります。有効会員数は、当サービスに登録された全会員から退会した会員を差し引いた、当サービスの会員として有効な登録数であります。


・学習コンテンツの特徴

 創業以来蓄積してきた8,500本以上の豊富な学習コンテンツに加え、それらのコンテンツ企画・制作及び配信を可能にするノウハウは、当社の強みであります。

 学習コンテンツは「時代にリンクした学び」をテーマに掲げ、「ビジネス基礎力」「デジタルリテラシー」「AI時代の人間力」「リベラルアーツ」「デザイン力」という5つの大きな学習領域を定義し、新しい学びのコンテンツを企画開発しております。これらの5つの学習領域が統合され身についていくときに、大量消費・大量生産を原動力とした成長経済から、社会課題を原動力とする持続可能社会をつくり上げていく力が身につくと考えております。


・ビジネス基礎力

 基本的なデジタルツールを活用する力、ロジカルシンキングの基礎、企画書の作り方、ビジネスライティングなど、ビジネスの現場で「いま」求められるベーススキルを身につけます。


・デジタルリテラシー

 デジタル社会ではインターネット上に存在するデータや情報を、判断・活用・探求していく能力が重視されています。テクノロジーを正しく活用し、必要な情報を見極め、論理的に思考し、新しい価値を生み出す力を身につけます。


・デザイン力

 アイデアを形にし社会を豊かにする「デザイン力」を身につけます。あらゆるスキルと掛け合わせることで、課題を解決し、自ら未来を創造する「デザインの力」が今、注目されています。授業では「モノ」のデザインから「コト」のデザインまでを網羅します。


・AI時代の人間力

 社会のデジタル化が加速し、AIによる仕事の代替が進む中で、AI社会の人間の役割とは何かが問われています。創造力や高度なコミュニケーション、不確実な問題への対応力、イノベーションを生む思考など、人間ならではの能力を磨きあげていく学びを身につけます。


・リベラルアーツ

 未来に向かったイノベーションを生み出す時に底力となる基礎学力を身につけます。数学や自然科学からアート、歴史など、単純に広い知識を得るだけでなく、学ぶことを通じて問題解決のためのスキルや思考力、発想力を養います。

 動画制作・配信にあたっては、1本1本の学習動画の構成演出や台本等の作成、ベテランの放送技術スタッフによる動画制作スタジオでの生放送や収録を行っており、毎日約60分の生放送授業の配信と月50本以上のコンテンツ制作を実現する体制を構築しております。


■「Schoo for Business」(法人向け)

 当社の主力サービスである「Schoo for Business」は、自律型人材を育成するオンライン研修サービスです。

 法人向けの研修サービスでは、階層別研修や職種別研修等で業務に必要な知識やスキルを確実に学習しながら、社員が自らの意思で能動的に学習し成長する仕組み作りをサポートします。研修設計にあたっては、新入社員や中堅社員、管理職等に向けた200を超える研修テンプレートで体系化されたカリキュラムを用意しており、一人一人の社員の状況や課題にフィットした研修を提供することが可能です。第一線で活躍する現役のビジネスパーソンである講師陣による授業と最新トレンドも網羅した高品質な独自コンテンツにより、リアルな実体験による“生きた知見”とアクションプランまで踏み込んだ実践的な学びを得ることができます。さらに、オンライン集合学習機能(同時視聴、チャット、リアクション等)により、オンラインでも従来の集合型の研修のように社員同士でコミュニケーションを取りながら学習することができます。アーカイブの人気授業等を利用して社員同士で手軽に研修を実施することが可能で、部署内での勉強会や、部署を跨いだ学習コミュニティにも活用することにより、自発的に学ぶ輪を拡げ、学習文化を社内に創り出すことを促進します。

 研修管理者向けの視聴履歴の管理・分析機能やレポート提出機能は、個々の受講状況や学習傾向、興味やキャリア志向を可視化することで、今後の育成方針やキャリアプラン検討に活かすことができます。2023年12月に標準機能として追加されたDXスキル診断機能は、設問形式で経産省のデジタルスキル標準に準拠したスキルを診断します。個人や組織全体のDXに関する課題や強みをグラフで可視化し、診断結果に応じた授業をレコメンドすることで、DX意識の向上やデジタル人材の育成をサポートします。また、40ID以上の契約企業には専属のカスタマーサクセス担当が導入準備から振り返りまでの3ヶ月間のサポートを実施し、導入初期段階の課題解決と継続的な運用のために伴走いたします。

 利用にあたっては、月額利用料が1IDあたり税込1,815円(ボリュームディスカウント有り)及び初期費用が税込121,000円になります(本書提出日現在)。2015年3月のサービス開始時点より累計4,000社(注1)の法人企業で導入されております(2024年8月末時点)。さらには、「学び」を起点に多角的な側面から地方創生を実現することを目的として、地方自治体への導入を推進しております。その取り組みの1つとして、鹿児島県奄美市及び奄美大島内4町村と地方創生推進の包括的パートナーシップ協定を締結しております。「学び」により、地域に根付く地元企業の事業促進や拡大、個人の稼得能力の向上を実現し、地域社会の経済活性化に貢献していきたいと考えています。


 ■「Schoo for Personal」(個人向け)

 2012年1月から提供する「Schoo for Personal」は、『一生、学べる学校』をコンセプトとしたオンライン学習サービスです。

 当該サービスは、スマートフォンやタブレット、PCなどで受講できます。その特徴は生放送授業に対して受講生がチャット機能でタイムライン上にコメントを送り、講師や他の受講生とコミュニケーションをとれることです。授業中は講師への直接の質問や受講生同士で相談することが可能であり、リアルタイムで疑問点などを解決することができます。また、各授業には『受講生代表』と称する当社社員が参加しています。受講生代表は、「学びを伝えたい講師」と「学びたい受講生」の間に立ち、授業の進行をスムーズに、時に身近に感じてもらえるようにファシリテーターとして一緒に授業をデザインしています。誰もが主役になれるような安全な学びの場所をつくるとともに、学び続けたい一受講生の代表として、当社自身も学び、楽しみ方や乗り越える方法を模索しています。こうした双方向型の学習環境による講師・受講生代表・受講生の一体感が、オンライン環境においても「共に学び続ける仲間に出会う」ことができる当社独自の価値を生み出しております。

 利用にあたっては、無料のオープン会員と有料のプレミアム会員があります。オープン会員は、生放送授業への参加、受講生同士・講師とのコミュニケーション機能などが利用できます。プレミアム会員の月額利用料は税込980円(本書提出日現在)になり、オープン会員の機能に加え、全ての録画授業の視聴や限定の生放送授業への参加などの特典を設けております。


(2)「教え手」に向けたサービス

■「Schoo Swing」(高等教育機関・社会人教育事業者向け)

 大学をはじめとする高等教育機関等向けの「Schoo Swing」は、『「学修者本位の学び」を当たり前に』をコンセプトとしたクラウドベースの学習管理プラットフォームサービスです。2021年9月にリリースしてから現在までに累計25校の導入実績を有しております(2024年8月末時点)。

 「Schoo Swing」は、オンライン授業の配信ツール、授業などのコンテンツを管理するためのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)、学習管理のためのLMS(ラーニング・マネジメント・システム)が一体となっており、授業中はもちろん授業前から授業後までのオンライン教育フローを一元化いたします。その特徴は、①対面授業とオンライン授業を柔軟に組み合わせた「ハイブリッド教育」を一つのツールで実現可能なこと、②独自の双方向学習機能により、教員と学生の「双方向コミュニケーション」による授業の共創が実現可能なこと、③学修データを取得・分析し、可視化することにより「授業と経営の質を向上」が実現可能なこと、であります。

 当社は、オンラインを活用した良質な教育を提供することで、学生に、高等教育機関等での学びを武器に世の中に羽ばたいて欲しい(wing:翼)という願いと、社会に出て学びの重要性・尊さに気づいた時に再び大学に戻ってきて欲しい(swing:ブランコ)という思いを込めて、高等教育機関等のDX化を推進しております。

 

【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/09 単独会社予想 3,902 648 609 503

2024/09 単独会社予想 2,844 36 14 14

2023/09 単独実績 2,007 -623 -671 -680

2022/09 単独実績 1,317 -753 -766 -770


決算期 種別 EPS BPS 配当

2025/09 単独会社予想 43.61 129.64 0.00


上場時発行済株数 11,609,200株(別に潜在株式1,298,100株)

公開株数 6,237,100株(公募1,000,000株、売り出し4,423,600株、オーバーアロットメント813,500株)

調達資金使途 人件費・採用費、広告宣伝費


PER:15.8

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:43億

公募時時価:80億

​   

【株主構成】 

森健志郎 代表取締役社長 2,935,140 24.65% 360日 △319,160

IF Growth Opportunity Fund I 投資業(ファンド) 1,278,210 10.73% 360日

KDDI地方創生事業育成1号投組 投資業(ファンド) 1,116,060 9.37% △1,116,060

BIG2号投組 投資業(ファンド) 907,050 7.62% 360日

インキュベイトファンド2号投組 投資業(ファンド) 700,110 5.88% △700,110

ANRI1号投組 投資業(ファンド) 700,110 5.88% △700,110

あおぞらHYBRID2号投組 投資業(ファンド) 479,640 4.03% 360日

中西孝之 従業員 300,000 2.52%

土佐機工(株) 特別利害関係者など 253,800 2.13%

第一生命保険(株) 特別利害関係者など 253,770 2.13%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人及び売出人である森健志郎、売出人であるIF Growth Opportunity Fund I , L.P.及びBIG2号投資事業有限責任組合、当社株主であるあおぞらHYBRID2号投資事業有限責任組合、中西孝之、第一生命保険株式会社、創発の莟1号投資事業有限責任組合、UNICORNファンド投資事業有限責任組合、中国電力株式会社、GLIN Impact Capital 投資事業有限責任組合及びSMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合並びに当社新株予約権者である古瀬康介、上羽智文、中西勇介及び株式会社SBI新生銀行は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後360日目の日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。

 また、当社は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換される有価証券の発行または当社普通株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、株式分割、ストック・オプションとしての新株予約権の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、2024年9月17日開催の当社取締役会において決議された主幹事会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)を行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 森 健志郎(上場時38歳0カ月)/1986年生

本店所在地 東京都渋谷区鶯谷町

設立年 2011年

従業員数 169人 (2024/08/31現在)(平均35.1歳、年収610万円)

事業内容 個人・法人向けオンライン動画学習サービスの提供

URL https://corp.schoo.jp/

株主数 22人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2024/09/17現在)

代表者生年月日 1986年10月14日生まれ

代表者略歴 

2009年04月 株式会社リクルートメディアコミュニケーションズ(現:株式会社リクルート) 入社

2011年10月 当社設立 代表取締役社長(現任)

2020年04月 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 岡三 - -


【参考類似企業】今期予想PER(9/27)

2464 Aoba-BBT 15.3倍 (連結予想)

4267 ライトワークス 27.7倍 (連結予想)

4319 TAC 20.3倍 (連結予想)

5575 Globee 22.9倍 (単独予想)

5577 アイデミー 28.9倍 (連結予想)

6096 レアジョブ 57.1倍 (連結予想)

6200 インソース 26.8倍 (連結予想)

7043 アルー 21.4倍 (連結予想)

7353 KIYO 22.9倍 (単独予想)

9345 ビズメイツ 15.6倍 (連結予想)

9610 ウィルソンWLW - (連結予想)


【私見】

 社会人向けの学習サービスで、同業者も多く優位性は特に感じませんが、業種としては悪くはありません。売上の伸びは良く、赤字から脱却し、今期は僅かながらの利益ですが、来期は大幅な増益予想は評価できます。来期の業績予想からのPERでは、PER20越えが多い中では割安感はあります。吸収金額は多く、ファンドの売出しが多い案件ということはマイナスですが、その他のファンドについてはロックがかかっているのでそこまで心配する必要はないかと思います。ただし、売出し多い案件で買い手は多くないと思い公募前後の動きと予想します。


想定価額:580円

仮条件上限:690円

初値予想:750円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

0 件のコメント:

コメントを投稿