2020年7月20日月曜日

IPO分析(ティアンドエス)

【事業内容】
  システム開発及びその関連サービスの単一セグメントですが、事業の構成を「相対的に安定したベースロード的な利益体質の事業基盤:ソリューションカテゴリー」と「半導体工場内システムの運用・保守を支援する安定分野:半導体カテゴリー」及び「高度なソフトウエア技術により新市場を創出する成長分野:先進技術ソリューションカテゴリー」の3つのカテゴリーによる構造としております。

(1)ソリューションカテゴリー
  ソリューションカテゴリーは、大手企業顧客向けの請負(開発・運用保守)を中心としたサービスを展開しております。現在は、キオクシアグループ、東芝グループ、日立グループ等の大手企業グループを対象にサービス展開しており、その経験と実績をもとに他の大手企業や中堅企業への事業開拓を行っております。
 本カテゴリーでは、産業領域に特化せず製造業、サービス業など様々な業種のユーザ企業をターゲットとしてサービスを展開しており、請負(開発・運用保守)及び派遣の形態で提供しております。その割合は、売上比で「請負(開発・運用保守):派遣=3:1」であり、請負(開発・運用保守)が主な事業モデルとなっておりますが、お客様の要望にお応えして、どの形態でも対応できる社内体制と人材を用意するよう努めております。
 本カテゴリーの特徴としては、発注元を特定の業界に依存しないこと及び大手企業を取引先の軸としていること
です。開発だけではなく、コンサルティングから、要件定義、テスト、検証まで全てのバリューチェーンに対応する人材を用意するよう努めております。さらに、システム開発後の運用や保守の作業に従事できる社内体制を整備するよう努めておりますので、お客様から見て、ワンストップでの対応が優位性となっているものと認識しております。請負開発だけではスポット取引になり易いため、検証・運用・保守まで広く対応することで、継続的な受注に繋がるものと考えております。さらに、大手企業を軸にしているため、その子会社との取引にも繋がり、これらの実績と経験が、結果的に大手企業グループ以外のお客様にとって安心感となり、受注の継続と他の企業からの新規受注にも繋がっていると認識しております。
 このように、ソリューションカテゴリーは、大手企業とその関連会社を中心とした顧客戦略に基づき、事業領域を特定せず、コンサルティング、要件定義、設計、開発、テスト、検証までの全てのバリューチェーンを網羅し、お客様の要求する技術及び人材提供モデルに柔軟に対応しているため、安定的なサービスカテゴリーとして位置付けております。

(2)半導体カテゴリー
 半導体カテゴリーが提供するサービスは、半導体工場内のシステム運用やシステム保守であります。当社の前身である旧株式会社テックジャパンは、20年以上前から工場を建設する顧客との関係強化に努めてきており、安定的に人員を提供できる体制を整えております。半導体工場における当社の役割は、工場内システムの保守及び運用サービスや、ITヘルプデスク等半導体工場のITインフラストラクチャー運用支援を担当することであり、キオクシアグループ及び東芝グループ各社より受嘱しております。本事業の特徴は、工場に常駐する形態で工場システムの運用や保守業務に従事することであり、工場が存続する限り安定的に事業が継続できることと考えております。
① 工場内システム運用サービスは、お客様の日々の工場運用業務をシステム上のトラブルなくスムーズに稼働させるために、正常にシステム稼働を維持させる業務です。中でもシステム監視業務は工場内セキュリティ対策において重要性が高く、システム稼働状況の監視、データのバックアップ管理、不正アクセス管理・ウィルスチェック、工場内従業員のためのヘルプデスク業務などが含まれます。お客様が滞りなく安心して工場システムを利用するためには、日々継続的にシステムをチェックする当社の役目は極めて重要であると認識しております。
② 工場内システム保守サービスは、当社の技術者がお客様の工場内で稼働する生産システムや社内インフラシステム等の改良・改修や調整・修理を行う業務であります。工場内で実稼働しているシステムに対して、お客様からの仕様や要望に基づき、当社技術者が実際にプログラム上の変更や追加を加えることで、お客様の要望にお応えいたします。特に、不具合の修正やデータベースのチューニング作業等のように、不定型な不具合を運用段階から引き取り、根本解決にまで持っていくには高度なプログラミングスキルが必要であり、当社がソリューションカテゴリーで培った全領域網羅型のサービス体制が生きる分野であります。
 上記2つのサービスは、工場が稼働するためには極めて重要な業務であると認識しております。したがって、工場が稼働し存続する限り安定的に継続することを期待しております。今後も工場建設が継続的に行われることにより、工場の増加に伴い当社が供給する技術者数も増加し、継続的に売上が向上することを見込んでおります。

(3)先進技術ソリューションカテゴリー
 先進技術ソリューションカテゴリーでは、ネットワーク・画像認識・ハードウエア制御・メモリ高速化等最新の高度技術を駆使して、ソフトウエアの高機能化及び品質向上を実現するサービスを提供しております。現在はAIテクノロジー業務として論文調査、論文アルゴリズムの実装・評価、アノテーションサービス、メモリ高速化業務としてアルゴリズムレベルの最適化、ハードウエアレベルの最適化、さらには画像認識ソフトウエア開発などを行っておりますが、その事業規模は、2019年11月期実績で売上高の4.8%と他カテゴリーと比較すると小さい状況であります。そのため、さらなる事業規模の拡大を目指して、今後市場拡大が見込まれ、かつ高度なソフトウエア開発能力が必要とされる領域をターゲットに新規開拓を行っております。前述したソリューションカテゴリーが当社事業の安定的な基盤の位置付けであるのに対し、先進技術ソリューションカテゴリーは、高度なソフトウエア開発力を武器に、急成長が見込まれる産業領域(AI(人工知能:Artificial Intelligence)、画像処理・認識・機械学習、ロボット、自動運転、メモリ高速化等)にターゲットを置くもので、当社事業の急成長を狙うサービスカテゴリーであります。
 本カテゴリーのサービス形態は請負開発であり、先のソリューションカテゴリーと異なる点は機械学習や画像処理・認識、統計処理等、ソフトウエア専門家による高度ソフトウエア技術が必要であることです。この分野は、お客様にとって容易に開発できる分野ではないため、当社の技術力がお客様の課題を解決する付加価値になると期待しております。このため、当社では博士号又はそれに準ずる知識を有するソフトウエア技術者を積極的に採用しております。


【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(単独実績)2018.11 2,133 200 202 146
(単独実績)2019.11 2,297 269 269 184
(単独予想)2020.11 2,435 300 300 232
(単独中間実績)2020.11 1,110 164 167 112

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当
(単独予想)2020.11 142.00 624.66  - 
調達資金使途 研究開発費、人材採用費・人件費、設備資金

上場時発行済み株数 1,750,700株 (別に潜在株式157,300株)
公開株数 277,000株(公募170,000株、売り出し77,000株、オーバーアロットメント30,000株)

PER:19.7
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:7.8億
公募時時価:49億
    

【株主構成】  持株会以外は90日
武川義浩 代表取締役執行役員社長 693,000 39.87
渡辺照男 元代表取締役副社長 248,600 14.30
日下理 旧会社元代表取締役 187,000 10.76
遠藤玲 取締役執行役員 122,100 7.03
日下寛之 従業員 111,100 6.39
従業員持ち株会 特別利害関係者など 38,500 2.22
木村実 特別利害関係者など 37,400 2.15
福田悦生 取締役執行役員 28,600 1.65
日下藍子 特別利害関係者など 25,300 1.46
渡辺貴美子 特別利害関係者など 22,000 1.27
矢ノ下美樹 特別利害関係者など 22,000 1.27
渡辺一樹 特別利害関係者など 22,000 1.27
渡辺奈緒 特別利害関係者など 22,000 1.27


【代表者】
代表者生年月日 1961年08月12日生まれ
代表者略歴 
1984年04月 (株)ティーエスディー入社
1993年07月 (株)アイネット入社
1996年11月 (株)テックジャパン入社
1997年02月 同社代表取締役社長就任
1998年04月 (有)ソフトワールド代表取締役社長就任
2003年10月 (株)フィックスターズ取締役就任
2016年11月 当社代表取締役社長就任
2020年01月 当社代表取締役執行役員社長就任(現任)



【幹事団】
主幹事証券 いちよし 185,500 75.10
引受証券 野村 22,200 8.99
引受証券 SBI 12,300 4.98
引受証券 極東 7,400 3.00
引受証券 東洋 7,400 3.00
引受証券 マネックス 7,400 3.00
引受証券 岡三 2,400 0.97
引受証券 楽天 2,400 0.97

【参考類似企業】 今期予想PER 7/9現
2332  クエスト 12.5倍(単独予想 )
3988  SYSHD 21.5倍(連結予想 )
4769  インフォクリエ 11.0倍(連結予想 )
4826  CIJ 11.7倍(連結見込 )

【私見】
 業種としてはソフト関連で大手企業を取引先とし評価はでき、更に現段階では割合は小さいですがAIなどにも力を入れており評価できます。業績は伸びておりますが、グロース株として評価するにはもう一段の成長率がほしくAIが伸びるか否かにかかっています。需給は非情に良く、ロックは完全にかかっており、吸収金額も小さめで前後にIPOがないことからも初値高騰が見込まれます。AI期待で初値は高騰すると思いますが、高騰した初値には注意が必要そうです。

想定価額:2650円
仮条件上限:2800円
初値予想:8000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価4

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