2020年11月15日日曜日

IPO分析(クリーマ)

【事業内容】

 本事業は、「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を確立する」をコンセプトに、創作活動に取り組む全国のクリエイターと生活者(ユーザー)が、オンライン上で直接オリジナル作品を売買できるCtoCのハンドメイドマーケットプレイス「Creema」の運営を2010年より行ってまいりました。

 また2013年以降は、来場者数5万人を誇る、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」等の大型イベント開催や、常設ショップ「Creema Store(新宿・札幌)」「暮らしとクリーマ(二子玉川)」の運営等、「Creema」に出店するクリエイターにさらなる活躍の場を提供すると同時に、生活者(ユーザー)がリアルの場で作品に触れられる機会を数多く創出することで、日本のクラフト文化を創造・牽引しながら、クリエイターの活動支援に長年注力して参りました。

 上述のとおり、当社グループの事業活動はクリエイターの活動支援に注力してきた関係から、本業として作家活動を行うクリエイターや、これから本格的に作家としての活動を志望しているクリエイター等、プロ志向のクリエイターから支持を頂いております。品質の高いプロ志向のクリエイターの作品が多く集まるため、当社グループのマーケットプレイスでは高品質の作品を求める生活者(ユーザー)の安定的な集客が可能となっており、これが感度の高い良質なコミュニティの構築につながり、当社グループのサービスの明確な独自性・競争優位性のひとつとなっています。

 当社グループの収益は、マーケットプレイスサービスにおける「Creema」 上での販売手数料収入に加え、プラットフォームサービスにおける各種広告収入、イベント・ストアサービスにおける出店料・入場料、及び販売手数料収入、そして、クラウドファンディングサービスの成約手数料等から構成されています。


<具体的な製・商品またはサービスの特徴>

(1)マーケットプレイスサービス

「Creema」はオンライン上で個人が直接、オリジナルのハンドメイド作品を売買できるCtoCマーケットプレイスであり、当社の中心的なサービスです。「Creema」は日本国内におけるハンドメイドマーケットプレイスの先駆的サービスでもあり、2010年5月のリリース以降、多くのクリエイターの支持を獲得してきました。

「Creema」では、クリエイターが自身の作品を当社のマーケットプレイスに出品し、ユーザーがその作品を購入する際、当社が決済の仲介を行い、購入代金から一定の販売手数料を当社が差し引き、その残金を売上金としてクリエイターに入金するというビジネスモデルとなっています。

「Creema」では、各クリエイターのページに掲示板を設けており、掲示板を使ってユーザーがクリエイターに直接連絡を取ることができます。作品に関する質問をしたり、オーダーメイドや発注数の相談をしたりといったコミュニケーションも可能となっており、オンラインでの購買でありながら「つながる楽しさ」も提供しております。また、クリエイターはこうしたコミュニケーション機能を通じて、クリエイター自身のファン構築をすることもでき、本業としての活動を広げることが可能となっています。

 2016年7月には、海外展開の第一歩として、中国語版「Creema」をリリースするとともに、海外子会社「可利瑪股份有限公司」を台湾(台北市)に設立いたしました。中国語版「Creema」のリリースにより、日本国内で活動するプロ・セミプロのクリエイターが、台湾・香港のユーザーに向けて自身の作品を簡単に出品することが可能となりました。また、日本にいるユーザーも、台湾・香港のクリエイター作品を手軽に購入できるようになっております。国境を越えての出店はすべて事前審査制としているため、作品品質を維持しつつ、越境取引でもユーザーに安心してお買い物を楽しんでいただける仕組みとなっています。サイト、出品、取引メッセージまで、中国語版「Creema」はすべて中国語(繁体字)化しており、出品やメッセージのやりとりには自動翻訳機能が対応しているため、安心でスムーズな取引が可能です。さらに、日本語・中国語が堪能かつ、台湾・香港のECに精通したスタッフが、出品や取引に関するコミュニケーションに対して全面的なサポートを行っております。そのため、クリエイター・ユーザーともに、利用しやすい環境が実現されていると言えます。

 設立当初より「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を確立する」をコンセプトに、クリエイター支援を主軸として「Creema」を運営してきました。そうした企業姿勢・各種取り組みの結果、業界内でもプロ及びプロを目指すクリエイターの出品が出品作品の中心となっており、品質の高い作品が集まるハンドメイドマーケットプレイスとしての地位を確立、現在まで次表のとおり急成長を遂げております。   


(2)プラットフォームサービス

 「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援等を行うプラットフォームサービスも提供しております。その一環として、作品プロモーションと呼ばれる広告機能を2018年9月にリリースし、内部広告サービスの提供を開始しました。これにより、クリエイターは自身の作品の広告を「Creema」上にある所定の広告枠に表示することができるようになりました。本サービスにより、クリエイターは、自身の作品を効果的に多くのユーザーに認知させることが可能となり、「Creema」出店クリエイターの売上増に貢献しています。なお、本広告機能はクリック課金型の収益モデルとなっており、表示された広告作品をユーザーがクリックするごとに、設定されたクリック単価をクリエイターが当社に支払う仕組みとなっています。

 また、「Creema」のプラットフォーム上で蓄積された、巨大なユーザー基盤を活用し、企業や地方公共団体をクライアントとする広告サービスである外部広告サービスも提供しております。地方創生を目的として全国各地で市を開く「Creema Craft Caravan」や、Creemaプラットフォームを活用した伝統工芸士団体のデジタルシフト支援、また、玩具、ジュエリー、日用品等の様々な業種のメーカーとコラボレーションして当社のクリエイターが作品を制作する広告企画など、当社でしかできない独自性のある広告商品を多数提供しております。

 上記のほか、会員向けのサービスとして、「Creema」での売上金の受け取りを、通常の振込日である月末まで待たずに早期に行いたいというクリエイターのニーズに対応するスピード振込サービスを提供しております。本サービスは、振込対象金額に所定の料率を乗じた手数料をいただいております。また、クリエイターに対し、販売やプロモーションに留まらず、商品企画等創作活動全般に関するコンサルティングを行うプレミアムコンサルサービスも提供しております。なお、プレミアムコンサルサービスでは「Creema」での通常の販売手数料率に加え、サービス分を上乗せした料率での契約を、対象クリエイターと個別に締結しております。


(3)イベント・ストアサービス

 当社は、クリエイター作品の販路として、ハンドメイドマーケットプレイス(オンライン)の提供だけでなく、直接クリエイターとユーザーとをリアルの世界で結びつけるクラフトイベントやエディトリアルショップ(常設店舗)も積極的に展開しております。これらの展開は、当社サービスの認知度向上はもちろんのこと、クリエイターやユーザーとのエンゲージメント強化にも意味を持つと同時に、ハンドメイド市場やハンドメイドカルチャーの拡大にも貢献していると認識しています。そのため、イベント・ストアサービスは、クリエイターの支援、当社の収益源としての位置づけにとどまらず、PR活動のひとつとしても取り組んでおります。


 以下に当社が毎年定期的に開催している主要な2つのクラフトイベントを記載いたします。

(a) 「HandMade In Japan Fes'」

 2013年から「クラフトの市場/カルチャーを日本に確立するために、ミュージシャンにとっての音楽フェスと同様に、クリエイターにも祭典とよべるステージをつくりたい」という想いから、東京ビッグサイトにて「HandMade In Japan Fes'」を開催しております。イベント名称には「日本発のクリエイティブカルチャーを国内外に大きく 発信していこう」という想いが込められています。

 全国のクリエイターによる作品販売ブースやワークショップがあつまる「クリエイターエリア」、人気バンドのステージ等を楽しめる「ミュージック&プレイエリア」、手作りにこだわった「フードエリア」等で構成され、イベント出店者と来場者の感性が直接触れ合い、うねりを起こす、クリエイティブな2日間のフェスティバルとなっており、普段はオンライン上で作品の売買を行っているクリエイターとユーザーのリアルでの接点の場にもなっています。

 2013年の開催以降、動員数を着実に伸ばし続けており、2013年開催時点では出店数約1,960店、来場者数約26,000人でしたが、2019年夏の開催時には出店数で約3,000店、来場者数は約50,000人を記録しました。現在では日本最大級のクラフトイベントと呼べる規模にまで成長しております。


(b) 「Creema Craft Party」

 「Creema Craft Party」は、丁寧であたたかなクラフトの世界が感じられる空間で、ものづくりの魅力を体感できる大規模クラフトイベントであり、大阪・台北(台湾)の2箇所で継続的に開催しています。クリエイターがオリジナル作品を販売する「マーケットエリア」、手作りにこだわった焼き菓子やパン等を販売する「フードエリア」、人気クリエイターによる「ワークショップエリア」、実力派アーティストのライブパフォーマンスを楽しめる「ミュージック&プレイエリア」等を設けております。

 「Creema Craft Party」は、「HandMade In Japan Fes'」に続いて2014年冬に大阪で始まり、2018年は過去最大規模となる約3,000名の出店と約18,000人の来場となりました。今後も出店者・来場者ともに増加を見込んでおり、こちらも関西最大級のクラフトイベントとしての地位を確立しています。

 また、2017年と2019年には台湾でも同様のイベントを開催しており、日本のクラフト文化を世界に発信する象徴的なイベントとなっています。

 また、当社は「Creema」出店クリエイターの作品を展示販売する常設エディトリアルショップの企画、運営を行っております。クリエイターの作品出品料は無料とし、販売手数料を設定のうえ、当社にて販売受託を行っております。出店期間とテーマを決め、クリエイターからの出店の募集を実施。クリエイターの作品の世界観やクオリティ、価格等を重点的に評価した上で、出店の可否を決定しております。そのため、エディトリアルショップのテーマに沿った高品質な作品が常時ショップに並ぶ仕組みとなっています。

 エディトリアルショップでの作品の販売は当社スタッフがクリエイターに代わり行っておりますが、クリエイターからの要望がある場合には、クリエイターがエディトリアルショップのブースに立合い、接客を行うことも可能としております。

 2014年にアクセサリーを主軸とした「Creema Store 新宿」をオープン後、2018年9月には二子玉川ライズにて「暮らしとクリーマ」をオープンしました。「Creema Store 新宿」が女性向けのアクセサリーを中心に扱っているのに対し、「暮らしとクリーマ」では『物語と暮らす、世界にひとつのおうち時間』をコンセプトに、器や生活雑貨、インテリア、フード等、毎日を彩るハンドメイド作品がずらりと並ぶ当社グループ初のライフスタイル特化型エディトリアルショップとなっています。

 2019年3月には北海道にCreema Storeの2号店となる「Creema Store 札幌」をオープン。今後も、「Creema」で構築した豊富な作品基盤・ユーザー基盤を活用し、より一層リアルの世界での展開を強化してまいります。


(4)クラウドファンディングサービス

 当社では、2020年6月に、ハンドメイドに限定することなく、あらゆるジャンルのクリエイターの創造的な活動を応援することに特化した、購入型クラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」も開始しております。「Creema」にご登録いただいているクリエイターをはじめ、クリエイターが「新しいブランドをつくりたい」「工房・アトリエを作りたい」「海外で個展を開催したい」など様々なアイディアや夢、想いをかたちにするプロジェクトを発信し、その想いに共感する支援者(ユーザー)からプロジェクト実現のための資金を募ることができる場を提供しております。支援者は、自身が応援したいクリエイター・プロジェクトを見つけて資金提供を行い、そのリターンとして、複数のプランから任意に選択した作品・商品またはサービスの提供を受けることができます。

 本サービスは、目標金額に到達した場合のみプロジェクトの実施及び商品の提供が決定する「目標達成型」のプロジェクトと、目標金額に到達しない場合でもプロジェクトの実施及び商品の提供が行われる「実行確約型」プロジェクトの2つが存在しており、クリエイターは任意の方法で必要資金の調達が可能です。


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2019.2 1,150 -366 -372 -373

(連結実績)2020.2 1,517 48 45 -28

(連結予想)2021.2 1,937 162 144 198

(連結中間実績)2021.2 1,037 248 242 236


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2021.2 40.00 96.03 -

調達資金使途 運転資金、新規事業の開発・プロモーション費、オフィス移転費用など


上場時発行済み株数 6,089,000株 (別に潜在株式922,000株)

公開株数 1,839,900株(公募113,000株、売り出し1,559,700株、オーバーアロットメント167,200株)


PER:89.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:65.7億

公募時時価:217億

    


【株主構成】 

丸林耕太郎 代表取締役社長 2,200,000 31.89 180日

アニマリズムグループ(株) 代表取締役社長が議決権の過半数を所有する会社 628,000 9.10 180日

グロービス4号ファンド投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 591,000 8.57 90日・1.5倍

グローバル・ブレイン6号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 490,000 7.10 90日・1.5倍

大橋優輝 取締役 477,000 6.92 180日

KDDI新規事業育成2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 421,000 6.10 90日・1.5倍

KDDI新規事業育成投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000 5.80 90日・1.5倍

Globis Fund IV, L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 355,000 5.15 90日・1.5倍

日本郵政キャピタル(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 212,000 3.07 90日・1.5倍

SBI AI& Blockchain投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 212,000 3.07 90日・1.5倍

SMBCベンチャーキャピタル1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 200,000 2.90 90日・1.5倍

 

【代表者】

代表者名 丸林 耕太郎(上場時41歳3カ月)/1979年生

本店所在地 東京都港区北青山

設立年 2009年

従業員数 70人 (9/30現在)(平均30.7歳、年収402.6万円)、連結70人

株主数 18人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (10/23現在)


代表者生年月日 1979年07月31日生まれ

代表者略歴

年月 概要

2004年04月 (株)セプテーニ 入社

2006年10月 (株)セプテーニクロスゲート 転籍

2009年03月 赤丸ホールディングス(株)(現 当社) 設立、代表取締役社長(現任)

2016年05月 子会社 可利瑪股份有限公司 設立、董事長(現任)

2020年02月 アニマリズムグループ(株)  設立、代表取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 大和 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 エース - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 水戸 - -


【参考類似企業】 今期予想PER(10/30)

2769  ヴィレッジV -倍(連結予想 )

3633  GMOペパ 49.6倍(連結予想 )

4385  メルカリ -倍(連結予想 )

4477  BASE -倍(連結予想 )

4689  ZHD 36.3倍(連結予想 )

4755  楽天 -倍(連結予想 )


【私見】

 ハンドメイドマーケットという分野で、市場が思っていた以上に大きく、何といっても初物なので業種妙味があります。PERは高いものの、業績の伸びも良く、コロナ渦を考えると今後の成長性は大きいと思います。需給は吸収金額・時価総額共に大きめで、株主もVCが多く良くはありませんが、VCは全て条件付きロックなので初値比1.5倍が目標ラインだと思います。


想定価額:3250円

仮条件上限:3570円

初値予想:5000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価4

2 件のコメント:




  1. 連休中にクリーマの目論見書に目を通しました。
    こちらはアメリカのEtsyのような業態と考えてよろしいのでしょうか?
    Etsyは、コロナ禍、巣ごもり生活で、ここ一年で株価が3.5倍に急成長しております。

    KDDI・三井不動産・日本郵政キャピタルなど大手企業が出資して大株主なのと、
    2018年に電通から名古屋考平さんを GMとして招聘しているところも気になります。
    8月の第2四半期決算で売上高が好調のようですし、VCが多いのは気になりますが、
    KDDIは上場後もサポートしていくようなので、初値次第ですがマークしたいと思いました。

    返信削除
  2. まさにetsyの日本版でしょうね。
    需給面でやや心配ですが、初値で高騰しなければ参戦も考えています。

    返信削除