2020年11月30日月曜日

IPO分析(ビーイングホイールディングス)

 【事業内容】

 当社グループが顧客へ提供する物流改革の特徴として、メーカー、卸売、小売間でそれぞれ実施する拠点間配送、在庫管理、検品作業などを拠点物流センターに集約し、構内作業工程や配送業務の徹底した合理化により全体最適化する「運ばない物流」を提案・構築・運営しております。

 物流拠点の事業展開エリアとしては、設立以降、北陸地方を中心に事業を展開しておりましたが、その後、業務の評判や取引先等からの紹介により物流コンサルティングの引き合いを受けたことを契機に、東海・近畿地方へと事業エリアを拡大しました。また、2013年には顧客から積雪時の安全な輸送について相談を受けたことを契機に、関東・東北地方において物流事業を受託し、更なる事業エリアの拡大を実現しております。

 このように、当社グループでは、全国展開へ向けて物流拠点数の拡大を加速しており、2020年12月期第3四半期末時点では、北陸地方4県に17拠点、関東地方1都4県に15拠点、その他1府5県に11拠点の計43拠点を運営しております。

 当社グループでは、取り扱う商品を生活物資に特化しており、3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)の食品、医薬品、化粧品、日用品の小口物流に強みを持ち、卸売企業及びコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストアの物流センター運営を受託しております。

 また、当社グループでは、物流システムであるWMS(倉庫管理システム)、TMS(輸配送管理システム)及びPMS(生産性管理システム)を自社開発、又はメーカーと協働し開発しております。これらの情報システムの構築及び当社グループ独自の設備や機材により、顧客それぞれの特性に合わせたオリジナルの物流システムを構築できることが当社グループの最大の強みであります。

 生産性管理システムを言い、「勤怠」「業務」「作業」実績を計測・集計し、分析・予測データをリアルタイムで、物流センター全体から個人別に至るまでの生産性を管理する情報ツール。物量に合わせた適切な勤怠シフト作成、レイバー管理及び作業別・個人別の動態管理を行うことが可能であるほか、勤務シフトと連携しながら、日次から月次まで労働時間を管理していくことが可能であり、生産性の向上や労務管理に役立つ。


a.物流事業

 従来の物流業界は、運搬量に応じて収益を計上するシステムによるビジネスモデルが主流であります。その中において、当社グループでは、いかに「運ばない物流」を構築するかという技能、技術、マネジメントの手法を提供しております。拠点間に複数ある物流倉庫を1つにまとめ、生産者から消費者までの物流の作業行程を合理化して、顧客の管理コスト、保管コスト、移動コスト、配送コストを低減しております。メーカーやベンダーからの商品入荷管理及び小売店の発注から納品までの動きを可視化して、流通プロセスのボトルネックを発見し改善することで物流を全体最適化し、顧客の物流戦略に対する強力なサポートを実現しております。

 当社グループでは、物流サービスとして、顧客の「困っていること」を解決し、「求めていること」が実現できるように、「詳細な原価計算」に基づき、オーダーメイドで物流をデザインしております。当社グループの各物流センターでは、「自ら育つことを教える」という教育理念の下で経験を積んだ社員を配置しており、多種多様な物流現場の立ち上げ業務や改善業務に従事しております。

 物流センターの運営は、準備段階から高品質を維持するしくみを丁寧に構築しております。新規事業を受託する場合において、構内業務では、地域の雇用を考え、近隣で働く気持ちのある人を多く受け入れられるように、全自動化などの「人の代わり」ではなく、「人を補助する」しくみにこだわり、設備、道具、IT等をメーカーと共同開発し、「ヴォコレクト」「お化けリフト」「カゴ車用リフトアタッチメント」「ピッキング用台車」などを導入しております。また、人によるカゴ車等の搬送作業を大幅に軽減し、従業員がより重要で付加価値の高い作業工程に従事することを目的として、2020年12月期からマテハン機器のロボット化をメーカーと共同開発で行っております。

 配送業務では、事前に配送先となる全ての店舗を視察し、「店舗カルテ」を制作しております。「店舗カルテ」は、「物流のお医者様」という意味を込めております。カルテには、ルート、バックヤード位置、荷下ろし手順等は勿論、その配送先ひとつひとつのルールや要望、注意点が詳細に掲載されており、更に店舗周辺環境における注意点、通学路(当社グループでは運行ルートから外しています。)の状況まで掲載しております。「店舗カルテ」により、担当ドライバーを固定しなくても、常に高品質の配送を提供できるしくみを構築しております。

 当社グループは、物流センター内のWMSによる在庫量や入庫・出庫業務の進捗状況及びTMSによる配送の進捗状況などをⅠTシステムにより「見える化」しており、更にその情報を顧客側もインターネット経由で同時に確認し共有することができる「見せる化」するシステムを構築しております。


b.その他

当社グループでは、物流事業の補完及び事業の多角化を目的として、グループ子会社において以下の事業を営んでおります。

 株式会社オリエンタルは、旅客事業として、タクシーの運行、貸切バス・観光タクシーのサービス及び旅行プランの作成などを行っております。旅行プランニングは、顧客一人ひとりに合わせたオンリーワンの観光ツアー実現を手厚くサポートしております。

 貸切バス・観光タクシー事業では、36人乗り大型バス、28人乗り中型バス、21人乗り小型バス、24~28人乗りマイクロバス、13人乗りコミューター、9人乗りジャンボタクシー、3~4人乗り大型タクシー、4人乗り小型タクシー、6人乗りロンドンタクシー、6人乗りジャンボタクシーのほか、ユニバーサルデザイン車両や金沢観光用の企画型車種等、多種多様な車があり、顧客の人数、利用シーンなど幅広いニーズに応えることが可能となっております。

 株式会社Gappaは、当社グループの情報システムの保守、メンテナンス、カスタマイズ及び事業所のサポートを行っております。新システムの開発及び販売は、当社事業開発部が窓口となり統制・運営しておりますが、開発案件によって株式会社Gappaと連携・調整・分担をしております。

 株式会社ベプロは、多くのトラック、バス、タクシーを運用する当社グループと密接な業務として、一般、法人向けの保険代理店業務及び、グループ会社の管財物件や車両の各種保険を取り扱っております。

 株式会社田川自動車は、貨物用の大型自動車から軽自動車まで車検や一般整備等を行っており、また、顧客の新車・中古車の購入の相談についても、丁寧に専門家が対応しております。

 北陸物流効率化事業協同組合は、軽油・レギュラーの2種類を取り扱い、当社敷地内と石川県白山市内でガソリンスタンドの運営をしております。

上記のほか、当社では、不動産業として、当社が所有する物流センター等の一部を顧客に賃貸しております。 


【業績等】

業績動向(百万円) 営業収益 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2018.12 13,769 338 331 115

(連結実績)2019.12 16,219 540 552 409

(連結予想)2020.12 18,304 520 582 401

(連結3Q累計実績)2020.12 13,479 429 465 295


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2020.12 87.70 563.42 10

調達資金使途 設備資金、運転資金、借入金返済


上場時発行済み株数 5,675,000株 (別に潜在株式350,000株)

公開株数 1,731,900株(公募1,160,000株、売り出し346,000株、オーバーアロットメント225,900株)

シンジケート 公開株数1,506,000株 


PER:11.4

PBR:1.8

配当利回り:1.0%

公募時吸い上げ資金:17.3億

公募時時価:57億

    


【株主構成】 以下全て90日

(株)喜多商店 役員らが議決権の過半数を所有する会社 2,835,000 58.27

喜多甚一 代表取締役社長 1,145,000 23.54

喜多和行 専務取締役など、代表取締役社長の血族 150,000 3.08

喜多良枝 代表取締役社長の配偶者、従業員 125,000 2.57

高桑和浩 常務取締役など 110,000 2.26

松木正康 取締役など 77,500 1.59

桐原義浩 従業員 52,500 1.08

越峯均 従業員、子会社の取締役 52,500 1.08

山本元也 従業員 52,500 1.08

森本浩行 子会社の代表取締役社長 35,000 0.72

 

【代表者】

代表者名 喜多 甚一(上場時54歳3カ月)/1966年生

本店所在地 石川県金沢市専光寺町

設立年 1986年

従業員数 36人 (9/30現在)(平均45歳、年収538.5万円)、連結882人

株主数 29人 (目論見書より)

資本金 102,921,000円 (11/10現在)

代表者生年月日 1966年08月31日生まれ

代表者略歴

年月 概要

1985年04月 (株)新開トランスポートシステムズ入社

1986年09月 当社設立 代表取締役社長(現任)

1997年03月 (有)ドライ(2019年5月に(株)アクティーに吸収合併)設立 代表取締役社長

2000年09月 (有)ブロードライン(現(株)福井アクティー)設立 代表取締役社長

2002年02月 (有)コラビス(現(株)コラビス)設立 代表取締役社長

2005年01月 (有)コラビス東海(2018年1月に(株)コラビスに吸収合併)設立 代表取締役社長

2009年05月 (株)オリエンタルバス(現(株)オリエンタル) 代表取締役社長 9月:石陸急配協同組合(現北陸物流効率化事業協同組合) 代表理事

2012年03月 (株)Gappa設立 代表取締役社長 8月:(株)アクティー設立 代表取締役社長


【幹事団】

主幹事証券 野村 1,431,000 95.02

引受証券 今村 15,000 1.00

引受証券 みずほ 15,000 1.00

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 15,000 1.00

引受証券 SMBC日興 15,000 1.00

引受証券 SBI 15,000 1.00


【参考類似企業】参考類似企業 今期予想PER(11/11)

9029  ヒガシ21 12.0倍(連結予想 )

9034  南総通運 7.2倍(連結予想 )

9036  東部ネット 12.1倍(単独予想 )

9063  岡県運 8.2倍(連結予想 )

9069  センコーGHD 13.3倍(連結予想 )

9070  トナミHD 20.1倍(連結予想 )

9073  京極運 17.1倍(連結予想 )

9075  福山運 19.8倍(連結予想 )

9076  セイノーHD 27.8倍(連結予想 )

9078  エスライン 17.5倍(連結予想 )

9090  丸和運輸 105.9倍(連結予想 )


【私見】

 物流関係なので業種的には悪くはないものの優位性はなく、東証2部の地方の会社で成長性は期待できません。売り上げが伸びていることはプラス材料で、PERは低いものの同業と比べれば妥当だと思います。需給はVCは存在しないのはプラス材料で、規模も2部してはそこまで大きくないので安定的な動きはするでしょう。


想定価額:910円

仮条件上限:1000円

初値予想:1300円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

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