2022年2月7日月曜日

IPO分析(BeeX)

 【事業内容】

 当社は、企業の基幹システムの基盤環境をオンプレミスからクラウドへ移行するサービス並びにクラウド環境移行後の保守・運用サービスを提供することを主軸としたクラウドソリューション事業を展開しております。中でもSAPシステムのクラウド移行・環境構築及び移行後の運用については、創業当初から当社が特化してきたサービスであります。

(1)当社サービスの特徴

① クラウドインテグレーション

 SAPシステムを中心とした基幹システムの基盤環境をオンプレミス環境からクラウド環境(パブリッククラウド等の最新のIaaSやPaaS基盤)へ移行するための一連の業務を提供するサービスが主力であります。

 本主力サービスは、準備(調査・分析)、計画(設計)及び実行(構築・移行)のフェーズ毎に区分でき、各フェーズにおける主な内容は次のとおりであります。

 準備(調査・分析)には、顧客企業の既存システムをクラウド移行するにあたって、必要項目やリスクの洗い出し、検討項目の調査、クラウド基盤を最適化するための分析、コスト等も含めて網羅的に最適化された移行戦略の策定等のコンサルティングやサービスがあります。

 計画(設計)には、クラウド毎に特有なサービス・運用仕様に基づき、顧客企業向けに最適化された基幹クラウド基盤を設計するサービス及びクラウド移行を事前に実環境で検証するサービス等があります。

 実行(構築・移行)には、クラウドごとに特有なサービス・運用仕様に基づき、顧客企業向けに最適化された基幹クラウド基盤を構築するサービス、SAPシステム及び周辺システムを短期間で安全にオンプレミス環境からクラウド環境へ移行するサービス等があります。

 上記、クラウド移行の他、既存のSAP ERPシステムからSAP S/4HANAにコンバージョン(※8)するサービス、並びにクラウドの利点(俊敏性・拡張性)を生かしたアプリケーションを開発するサービスがあります。

 当社は、SAPシステムのクラウド化に携わってきたコンサルタントが集結しており、かつAWS、Microsoft、Google、SAPが提供する各種認定技術者資格を保有する数多くのエンジニアを育成しております。SAPシステム基盤とクラウド両方を理解し、かつ運用にも精通したエンジニアが細やかな技術対応を実施することから、勘所を押さえた提案ができることが当サービスの特徴でもあります。

 また、SAPシステム等の大規模基幹システム以外においても、顧客の事業用Webサービス等のクラウド移行並びにクラウド利用を前提とした「データ分析基盤構築」及び「クラウドアプリケーション開発」も手掛けております。加えて、当社は、取り扱えるパブリッククラウドがAWS、Azure及びGoogle Cloudの3種類あることから、企業のIT基盤のクラウド上での活用方法を最適な形でコンサルティングするサービスも得意としております。


② MSP(マネージドサービスプロバイダ)

 顧客企業がクラウド環境に構築したシステムの仮想サーバーやネットワークの監視及び運用保守等を顧客企業の代わりに行うサービスを提供しております。

 本サービスの監視は、単純なサーバーの監視だけでなく、CPU・メモリ・ディスク等の使用率やネットワークトラフィック量など各種リソース監視を行い、不足または不足の予兆が見られた場合は、改善策のご提案を行うサービスを提供しており、上位のミドルウエア、アプリケーションの監視にも対応しております。

 本サービスの運用保守は、24時間365日、リモート遠隔運用体制により、クラウド、オンプレミスを問わず、顧客企業の環境に合わせたフレキシブルな対応が可能となっております。また、各種クラウド基盤に精通したエンジニアが万全の体制で顧客企業のシステムをサポートするとともに、SAPシステムへの対応においては、SAP認定コンサルタントが対応に参加することで、インフラからSAPシステム基盤である「SAP BASIS」まで網羅的なサポートを提供しております。

 当社は、兄弟会社である「株式会社スカイ365」に、24時間365日対応の問い合わせ窓口の機能を業務委託している他、インフラからアプリケーション層をカバーする性能監視、障害監視・復旧、バックアップ等の運用サービスの業務も一部委託しており、当社とともに運用保守のサービスが提供できる体制を整えております。


③ クラウドライセンスリセール

a.クラウドライセンス販売

 顧客企業が利用するクラウド環境の提供元であるAWS社、Microsoft社及びGoogle社からライセンスを仕入れて、顧客企業に販売することで月額課金を代行する業務が主なサービスであります。当サービスには、単に再販するだけではなく、当社が提供する付加価値としての請求代行を行うサービスや問い合わせ対応サービスも含まれており、顧客企業は当サービス経由で各クラウドを利用することにより、従来ハードウエアの調達やその管理に費やしていた時間やコストを削減することができます。

 また、パブリッククラウドベンダーから課金されるクラウド利用料は外国通貨で請求されることが一般的でありますが、当サービスにおいては、当社が日本円建ての請求書を発行することにより、顧客企業は一般的な日本円での銀行振込による支払いが可能となります。

 AWS利用料、Azure利用料及びGoogle Cloud利用料は、基本的に初期費用が不要であり、顧客企業のクラウド利用時間に応じて顧客企業に課金されますが、顧客企業が利用するサーバースペックと利用期間を予約することにより大幅な割引を得ることのできるReserved Instance(リザーブドインスタンス)またはSavings Plansと呼ばれる取引形態が存在します。


b.ソフトウエアライセンス販売

 情報漏洩対策など顧客企業の関心が高いセキュリティ対策ソフトウエア・サービスは、クラウド環境を安全に運用し顧客企業の不安を払拭するうえで不可欠なものとなっております。当社は、顧客企業のクラウド環境を運用するうえで有効な各種ソフトウエア・サービスの仕入れ販売を行っております。


 (2)当社のビジネスモデルについて

 当社のサービスは、クラウドコンピューティングの中でもIaaS及びPaaSの領域に属しております。クラウドインテグレーションによる売上を「フロー売上」(主に、顧客企業へのコンサルティング、基盤設計、基盤構築、移行を行うサービスであり、主として顧客企業の検収時に売上が計上される一過性の売上)として位置付け、導入企業を開拓することによりフロー売上を拡大させるとともに継続利用企業を蓄積することで、「ストック売上」(クラウド上のサーバーの監視・バックアップ等の運用代行及び保守等に関するサービス(前述(1)② MSP)並びに顧客企業にパブリッククラウドやセキュリティソフトウエア等のライセンスを販売し月額課金を代行するサービス(前述(1)③ クラウドライセンスリセール)による継続的な売上)の拡大による安定収益化を図っております。ただし、「フロー売上」で獲得した顧客が「ストック売上」に移行しない場合もあります。

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【業績等】

業績動向(単位:百万円)

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/02 単独予想 4,239 204 184 125

2022/02 単独3Q累計実績 3,110 176 173 118

2021/02 単独実績 4,060 331 329 246

2020/02 単独実績 2,841 138 129 88


決算期 EPS  BPS 配当

2022/02 単独予想 64.75 576.55 0.00


上場時発行済株数 2,177,400株(別に潜在株式353,400株)

公開株数 362,200株(公募240,000株、売り出し75,000株、オーバーアロットメント47,200株)

調達資金使途 人材採用費・人件費、借入金返済


PER:24.7

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:5.8億

公募時時価:35億 


【株主構成】 以下180日

(株)テラスカイ 親会社 1,514,700 66.21%

広木太 代表取締役社長 363,300 15.88%

(株)サーバーワークス 特別利害関係者など 72,000 3.15%

(株)エヌ・ティ・ティ・データ 資本業務提携先 36,000 1.57%

TIS(株) 資本業務提携先 35,700 1.56%

星野孝平 従業員 33,600 1.47%

田代裕樹 取締役副社長 33,000 1.44%

竹林聡 取締役 30,000 1.31%

鮎沢達仁 執行役員 10,800 0.47%

杉山裕二 執行役員 10,500 0.46%

石井博和 従業員 9,600 0.42%

清野宏 従業員 9,300 0.41%

代継友 従業員 9,300 0.41%

岡本敬太 執行役員 9,000 0.39%

緒方裕康 執行役員 7,500 0.33%

長峯太郎 従業員 7,200 0.31%

池谷成弘 執行役員 7,200 0.31%

大友佑介 従業員 7,200 0.31%


  本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、当社の大株主である株式会社テラスカイ、当社の売出人かつ貸株人かつ株主である広木太、並びに当社株主である株式会社サーバーワークス、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、TIS株式会社、星野孝平、田代裕樹、鮎澤達仁、杉山裕二、石井博和、清野宏、代継友、岡本敬太、緒方裕康、長峯太郎、池谷成弘、大友佑介、青木成年、樋口龍也及び三笠真一郎は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2022年8月22日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得することを除く。)を行わない旨を合意しております。


【代表者】

代表者名 広木 太(上場時51歳0カ月)/1971年生

本店所在地 東京都中央区銀座

設立年 2016年

従業員数 120人 (2021/12/31現在)(平均39.5歳、年収728.1万円)

事業内容 企業の基幹システムの基盤環境をオンプレミスからクラウドへ移行するサービス、クラウドアプリケーション開発、クラウド環境移行後の保守・運用サービス

URL https://www.beex-inc.com/

株主数 21人 (目論見書より)

資本金 109,710,000円 (2022/01/20現在)

代表者生年月日 1971年01月31日生まれ

代表者略歴

1991年04月 日本ユニシス(株)入社

1997年10月 コンパック・コンピューター(株)(現:日本ヒューレット・パッカード(株))入社

2003年11月 デル(株)入社

2008年10月 (株)ザカティ・コンサルティング(現:(株)クニエ)入社

2015年01月 (株)エヌ・ティ・ティ・データグローバルソリューション入社

2016年03月 当社設立 取締役副社長

2017年03月 当社 代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和 293,200 93.08%

引受証券 アイザワ 5,300 1.68%

引受証券 岡三 5,300 1.68%

引受証券 東洋 5,300 1.68%

引受証券 SBI 3,100 0.98%

引受証券 楽天 2,800 0.89%


【参考類似企業】今期予想PER(1/25)

3844 コムチュア 36.7倍 (連結予想)

3915 テラスカイ 88.5倍 (連結予想)

4178 Sイノベション 30.7倍 (連結見込)

4261 アジアクエスト 30.0倍 (連結見込)

4434 サーバーワクス 56.3倍 (連結予想)


【私見】

 業種としてはテラスカイの子会社で、クラウド関連であることからも業種妙味はあります。業績も悪くなく、PERからは他社の30レベルは許容範囲だと思います。需給は良く、VCなしで完全ロック、吸収金額・時価総額共に小さく文句なしです。本来なら初値高騰銘柄ですが、高PERは許容されていない状況なので、大きくは上がらないと予想します。


想定価額:1690円

仮条件上限:1600円

初値予想:2800円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価:3.5

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