2022年2月8日火曜日

IPO分析(マーキュリーリアルテックイノベーター)

 【事業内容】

 「不動産ビッグデータ×Technology」を事業コンセプトとし様々なサービスを展開しております。当社は不動産マーケティングソリューションの単一セグメントですが、その中で「プラットフォーム事業」「デジタルマーケティング事業」の2つの事業とその他サービスを運営しております。

「プラットフォーム事業」はこれまで自社でマンションデベロッパー様より販売が行われるモデルルームやデベロッパー企業様のご担当を通じ物件のパンフレット等の情報収集し、新築分譲マンションのデータベース構築を続けて参りました。

 こうした環境下において新築分譲マンションの物件概要情報、新築分譲当時の販売価格情報、物件パンフレット情報などの不動産ビッグデータを活用したSaaS型マーケティングシステムの提供を行っており、新築マンション業界においてはマンションデベロッパーやマンション販売会社などに向け、マンション相場集計や販売事例一覧表示機能等が搭載された「サマリネット」、「リアナビ」というサブスク型収益モデルの不動産マーケティングシステムを提供しております。

 中古マンション業界では創業以来新築業界向けに蓄積してきた不動産ビッグデータを活用し、新築販売時の物件パンフレットの画像データや新築時の販売価格などの情報が取得できる「データダウンロードサービス」という従量課金型収益モデルのデータサービスを展開しております。

 「デジタルマーケティング事業」は主にマンション販売の集客に係る周辺マンション相場の把握や人気物件の分析ノウハウ等を活用してリスティング広告のキーワード選定や広告配信エリアの提案など行い、インターネット広告の運用やアクセス解析、Webサイト制作等を行っております。

 その他サービスでは、不動産データベースより間取りや販売価格などから世帯属性を想定し広告配布を行うダイレクトメールの配送サービス、システムの受託、リフォームなどのサービスを提供しております。


(1)プラットフォーム事業

 「プラットフォーム事業」では、「不動産ビッグデータ×Technology」を事業コンセプトとし、各種のサービスを展開しております。

 新築マンション業界向けには「サマリネット」、「リアナビ」など不動産に関連するデータベースを活用したSaaS型マーケティングシステムを提供しております。(現時点でSaaS型で提供しているサービスは、サマリネットのうちマンションサマリとリアナビであります。)

 当社の提供する「サマリネット」「リアナビ」は継続課金型の収益モデルとなっており、「サマリネット」及び「リアナビ」のARRは全体の47.1%(2022年2月期第3四半期累計期間)となっております。解約率は0.3%(2021年11月30日現在)と継続率が高く安定的な収益確保が可能である点が当サービスの強みとなっております。

 また、当社が保有する新築分譲マンションのデータについては、不動産ポータルサイト運営会社等にデータ提供をおこなっており、これらは不動産ポータルサイト内で過去販売物件の物件概要の掲載や行政区や駅別などエリアごとのマンション相場情報の掲載の為に活用頂いており、データの使用料を月額にて徴収する継続課金型の収益モデルとなっております。

 中古マンション流通業界向けには、新築マンション販売当時に配布されたマンションのコンセプトブック、間取り図面集及び価格表からなるパンフレットの画像データなどの情報が取得できる「データダウンロードサービス」を提供しております。

① サマリネット

 「サマリネット」は、首都圏・関西圏・東海圏の三大都市圏を対象とし、マンションデベロッパーやマンション販売会社等の新築分譲マンション事業に関わるユーザーがマンション市場の調査等を行う際に必要な過去の販売事例のデータ閲覧やマンション相場集計グラフの出力等が行えるマーケティングシステムです。

 現在最も利用者の多いマンションサマリは従来のクライアントサーバ型システムからのSaaS型システムへの移行が終了しており、今後賃貸サマリ、売買サマリ、統計サマリ、開発サマリ、用地サマリ、地質サマリについても2023年2月期中にSaaS型システムへの移行を進める計画となっております。

 収益モデルは以前のクライアントサーバ型システム同様に月額課金制が主な報酬形態となっており、一部集計レポート等の出力に応じて課金する従量課金も行っております。

 ② リアナビ

 「リアナビ」は、SaaS型の不動産マーケティングシステムです。

 新築分譲マンションの営業担当者をターゲットにリアルタイム性を追求したサービスで、相場情報のほか新規販売情報や完売情報、値引き情報等の販売動向などを即時にユーザーに情報配信することで、新築マンションの販売時に近隣の競合分析や販売戦略の立案等に活用いただいております。

 リアナビはユーザーが必要なサービスを選択し、システム利用ライセンス料として月額課金制による収益モデルとなっており、マンションカタログ等の一部従量課金サービスも行っております。

 なお、エリアポテンシャルはマップマーケティング株式会社、不動産市況の賃貸データ及びリセールプライスはアットホーム株式会社よりそれぞれデータ提供を受けており、その他は当社顧客より入手したデータとなっております。

③ データダウンロードサービス

 「データダウンロードサービス」は不動産仲介事業者に向けたコンテンツ提供サービスであり、マンション売買仲介業務における物件査定業務時やマンション購入検討者との商談時に必要な情報としてマンションの間取り図や物件の特徴を記載しているコンセプトブック等のデータが取得可能となっており、ご活用頂いております。

 当サービスは、株式会社ワンノブアカインドとの共同運営事業であります。当社はコンテンツの提供及び既存顧客に対するサービスの利用促進営業や今後予定している新たなサービスの提案を行い、株式会社ワンノブアカインドは新規顧客の開拓営業活動及びデータダウンロードサービスのサービス提供サイトのシステム開発及び保守を行っております。

 収益モデルはダウンロード数に応じた従量課金となっており、株式会社ワンノブアカインドとレベニューシェアを行っております。

④ データ提供

 「プラットフォーム事業」における「データ提供」は主に大手不動産ポータルサイトに対し、物件概要情報や相場情報などをAPIにて提供しております。


(2)デジタルマーケティング事業

 分譲マンション事業向けのマーケティングノウハウや当社保有の不動産データベースを活用して、インターネット広告の運用、アクセス解析及びバナーやランディングページなどクリエイティブ素材の提供、物件サイトの制作等を行っております。

 当社が取り扱うインターネット広告はクリック数に応じた課金形式が主流となっており、顧客より月額の運用費用を予算として預かり広告運用を行っております。


① リスティング広告運用

 分譲マンション及び分譲戸建て販売の集客に特化したインターネット広告の運用を行っており、広告運用実績やアクセス解析をもとにモデルルームや販売中物件等への集客促進を担っております。当社の強みとしては、不動産業界及びマンション販売についての知識があり、分譲マンションに関する豊富なデータを保有していることから、特にリスティング広告のキーワード、エリアの選定などを得意としています。Yahoo!プロモーション広告におけるスポンサードサーチ、YDA広告、GoogleAdwordsにおける検索ネットワーク、GDN広告だけでなく、Facebook広告、YouTube広告などのSNS広告や位置情報広告も扱っており、物件の完売までをサポートする広告運用代行としてサービス提供を行っております。

② サイト制作

 分譲マンション及び分譲戸建て販売に特化したサイト制作を行っております。広告の対象となる物件の訴求ポイントなどの抽出や販売好調だった物件のクリエイティブ戦略など、当社が長年にわたって蓄積した不動産に関するデータやノウハウを活用し、Webサイト制作やバナー制作などクリエイティブ素材を主に当社のリスティング広告運用の顧客向けに提供しております。

 

 (3)その他

 当社所有の不動産データベース及び顧客の社内システムやWebサービスとデータベースとの連携システムの開発経験等に基づき、以下のサービスを展開しております。

① タウンマンションプラス

 ターゲットを絞り込んでダイレクトメールの配送を行う当社独自のダイレクトメールの配送サービスです。他社のダイレクトメールとの最大の違いは、配布対象のセグメントの方法にあります。タウンマンションプラスでは、当社所有の不動産データベースより築年数や物件価格、間取りなどの物件特性から「世帯属性」や「生活志向」を導き出し、きめ細かく世帯をセグメントすることで、より高い確率で広告主が求めるターゲット顧客に訴求することが可能となり、取り扱う商品やサービスとターゲット顧客とのミスマッチが起こりづらくなる効率的なダイレクトメールの配送が可能となっております。

② システム開発

 サマリネットやリアナビ等の開発・運用実績やデータベース構築ノウハウ等を活かし、システムの受託開発を行っております。

③ リフォーム

 主に戸建ての外壁塗装のリフォームを行っております。営業の方法は、ホームセンターとの連携によりホームセンター内にて営業ブースを設け、来店される顧客に対して当社営業担当が直接商談を行っております。案件受注後は協力会社にリフォーム工事を発注して、当社では主に施工監理を行っております。

④ マンションバリュー

 マンションオーナーに向けた情報提供サービスです。現在は当社が所有する不動産データを元にしたマンションの相場情報を軸としながら、マンションオーナーに対し所有物件の間取り図、売却時や賃貸時のシミュレーション及びお役立ちコラムなど、マンションオーナーにとって有益な情報を提供しております。3年後を見据えマンションバリューで獲得したマンションオーナー、不動産仲介業者及び購入検討者等が自由にコミュニケーションできるプラットフォーム構築の実現に向けサービスの拡張を行って参ります。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/02 単独予想 1,355 207 185 121

2022/02 単独3Q累計実績 1,048 168 172 112

2021/02 単独実績 1,254 63 62 43

2020/02 単独実績 1,341 43 44 48


決算期 種別  EPS BPS  配当

2022/02 単独予想 50.65 - -


上場時発行済株数 2,735,000株(別に潜在株式242,500株)

公開株数 615,000株(公募335,000株、売り出し200,000株、オーバーアロットメント80,000株)

調達資金使途 システム人材採用費、システム開発費用、新規サービス開発費用、RPA(ロボットソフトによる業務自動化)導入費用


PER:25.0

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:7.8億

公募時時価:35億

​   


【株主構成】 

陣隆浩 代表取締役社長 1,360,000 51.65% 180日

(株)JINX 役員らが議決権の過半数を所有する会社 600,000 22.79% 180日

Zホールディングス(株) 特別利害関係者など 120,000 4.56% 180日

森山一郎 特別利害関係者など 110,000 4.18% 90日・1.5倍

(株)GA technologies 取引先 80,000 3.04%  180日

伊藤修一 監査役 78,000 2.96% 180日

大寺利幸 取締役 66,100 2.51% 180日

アットホームホールディングス(株) 取引先の統括会社 60,000 2.28% 180日

島田佳明 特別利害関係者など 30,000 1.14% 180日

米光清史 特別利害関係者など 12,000 0.46% 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である陣隆浩並びに当社株主である株式会社JINX、Zホールディングス株式会社、株式会社GA technologies、伊藤修一、アットホームホールディングス株式会社及び大寺利幸は、主幹事証券会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)180日後の2022年8月23日までの期間中、主幹事証券の事前の書面による同意なしには、当社株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む)の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等を行わない旨合意しております。

 また、当社株主である森山一郎は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含 む)後90日目の2022年5月25日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等は行わない旨合意しております。

 さらに、当社の新株予約権者である齊藤悟志、佐々木健、利根川純一、藤井和哉、廣谷嘉昭、飯岡利信、小林角栄、小浜和代、片平勝也、谷山昌隆、東城弘行、三橋淳一、伴友宏、森内俊一、柊澤康次、小山智史、高橋良介、宇家学、松井慎輔、義岡真人、東尾美沙希、伊藤有紀、岡香月、清水菜穂子、岩田和枝、土野絵梨香、仁木典子、小松卓也、玉井麻里奈、内山雄喜、山岸邦彦、矢澤隆志、渡辺塁、嶋佳那、砂野萌弓、山岸礼奈、前里愁佳、高橋順子、関口將樹、河村隆博及び川原愛美は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2022年8月23日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 陣 隆浩(上場時55歳2カ月)/1966年生

本店所在地 東京都新宿区西新宿

設立年 1991年

従業員数 51人 (2021/12/31現在)(平均39.2歳、年収525万円)

事業内容 不動産情報プラットフォーム事業

URL https://mcury.jp/

株主数 11人 (目論見書より)

資本金 45,400,000円 (2022/01/20現在)

代表者生年月日 1966年11月28日生まれ

代表者略歴

1986年04月 (株)明和住販(現 (株)明和)入社

1987年04月 (株)オリエント住販 入社

1992年03月 (株)東京都市開発 入社

1993年09月 (株)アルファプランナー 入社

1996年09月 (株)デジタルウェア 入社

2000年02月 (株)エクス 取締役就任

2003年03月 当社 代表取締役就任(現任)

2014年01月 (株)JINX 代表取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI 481,200 89.94%

引受証券 みずほ 13,400 2.50%

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 13,400 2.50%

引受証券 岡三 5,400 1.01%

引受証券 マネックス 5,400 1.01%

引受証券 松井 5,400 1.01%

引受証券 あかつき 2,700 0.50%

引受証券 極東 2,700 0.50%

引受証券 東海東京 2,700 0.50%

引受証券 むさし 2,700 0.50%


【参考類似企業】今期予想PER(1/26)

2120 LIFULL 40.5倍 (連結予想)

2980 SREHD 86.3倍 (連結予想)

3464 プロパティA 9.5倍 (連結予想)

3491 GATECH - (連結予想)

3796 いい生活 39.5倍 (連結予想)

4054 日本情報 39.2倍 (単独予想)

4445 リビンT 14.3倍 (単独予想)

6037 ファーストロジ 14.2倍 (単独予想)


【私見】

 一昔前は人気業種でしたが、類似業種も多い不動産テック銘柄。利益は伸びましたが、売上の伸びが大きくなく、成長性がもう少しほしいところです。PERも適度で、成長性がないと上値余地は期待できません。ZHDが株主であることは評価でき、需給も180日のロックがほぼかかっていることから大きな売りはなさそうです。現状地合いが良くないことからも、SBI銘柄で初値上昇は期待できないと予想します。


想定価額:1200円

仮条件上限:1270円

初値予想:1270円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

0 件のコメント:

コメントを投稿