2025年6月11日水曜日

IPO分析(北里コーポレーション)

 【事業内容】

​ 人工授精及び体外受精、細胞凍結保存、再生医療における生殖工学技術に特化し、不妊治療を行うため、市場の期待に応えるべく製品を開発・製造し、日本、欧州、米国、中国、インド等の世界中のマーケットに自社製品を供給しております。

 会社別では、当社は不妊治療をサポートする医療機器や試薬などの主に消耗品の製造・販売、株式会社北里バイオサイエンスは医療機器の部品等の製造・販売、株式会社北里検査センターは遺伝子検査、株式会社北里ヘルスケアは高齢者向け医療機器の販売、Kitazato America, Inc.では、米国における輸入卸業、製品販売、市場調査・現地での許認可などの取得を行っております。また、株式会社北里クライオバンクは生体細胞の受託管理などに取り組むことを目的として設立し、事業開始に向けて準備中であります。

 当社グループが使命と捉え、重視しているのは「生殖医療における新たな可能性の追求」です。その使命のために、世界中の医師や研究者との共同研究を通じ、過去に蓄積された専門技術や知識を有効に活かし、既存技術の改善と新たな技術の創出に取り組んでいます。

 商流につきましては、外部の取引先や部材を製造している子会社から原材料を仕入れ、当社の工場で医療機器の製造等を行い、日本国内の医療機関や代理店(ディストリビューター方式)を通して海外の医療機関への販売を行っております。当社グループの製品は、国内では病院、クリニックを通じて「Cryotop」、「ETカテーテル」や「卵子・受精卵凍結用試薬」などの多くの製品を患者様にご利用いただいております。また、海外では世界約110ヵ国・地域で自社製品を販売するため、2025年4月30日時点において世界で約80社の代理店ネットワークを通じて供給が行われております。

 不妊治療は、基本的には以下の4つの方法が行われており、まずは①タイミング法を行い、妊娠に至らない場合は、②人工授精、③体外受精、④顕微授精へと進んでいくことが一般的です。

 扱う製品は、主に③体外受精、④顕微授精で利用する研究用試薬や医療機器になります。これらは高度生殖医療とも呼ばれており、一般的な不妊治療で使用する製品に比べて高度な専門性を必要とする製品となります。


当社グループの事業の特徴は以下のとおりとなっております。

① 不妊治療におけるすべての工程で製品を提供

 扱う主な製品は、「卵子採取・洗浄」、「精子採取・洗浄」、「受精」、「培養」、「移植」のフェーズで利用されますが、当社グループでは、不妊治療における卵子及び精子の採取、洗浄、培養、受精、卵子や胚の凍結保存及び融解に至るすべての工程にかかわる製品を静岡本社工場又は東京オフィスにて総合的に提供可能であることが強みとなっております。

② Made in Japanに裏付けされた技術力

 すべての製品の製造を静岡本社工場及び東京オフィスにおいて国内生産しており、Made in Japanに裏付けされた品質水準で、安心、安全な医療器具の提供を目指しております。当社グループの製品は、1本1本を手作業で作製しており、数mm又は数µm単位の差のカスタム製品の製造が可能な技術力を有しております。そのため、ユーザーニーズに見合った柔軟な製品の製造が可能になっております。

 また、特に凍結分野における開発を世界で先駆けて行ってきたことから、同分野において世界各国で当社の製品が使用されております。

 体外受精では卵子及び受精卵を凍結保存することで、より良いタイミングでの胚移植を実現し、妊娠率を高める凍結プログラムがあります。当社グループでは、超急速ガラス化法を用いて、卵子/受精卵(胚)を凍結保存する試薬及び保存機器の開発製造に携わり、医療施設における高い生存率の実現に貢献してきました。


③ グローバルでの販売力

 当社グループの製品を使用するユーザーは個人病院や大病院であり、国内では「Cryotop」、「ETカテーテル」や「卵子・受精卵凍結用試薬」などの多くの製品をご利用いただいております。また、海外では、世界約110ヵ国・地域で自社製品を販売するために、2025年4月30日時点において世界約80社の代理店(ディストリビューター方式)ネットワークを有しております。特に近年では、規模、成長性ともに大きい米国、中国を中心として顧客拡大に注力しております。

 これを可能としているのは、代理店や医療機関との連携による製品・サービスの使用状況の把握、また、それらに対する意見や評価に基づく的確なユーザーニーズの把握に拠るところが大きく、そのうえで、迅速に対応できる営業能力とそのユーザーニーズ等を製品に落とし込む確かな技術力や応用力が顧客拡大へつながっているものと考えております。このような技術力・応用力の裏付けとして、世界各国の大学病院やクリニックとの共同開発・共同研究の連携を行っていることが挙げられます。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2026/03 連結会社予想 10,602 5,374 5,267 3,498

2025/03 連結実績 10,302 5,782 5,767 3,788

2024/03 連結実績 10,080 5,912 5,995 3,972

2023/03 連結実績 9,348 5,128 5,117 3,370


決算期 種別 EPS BPS 配当

2026/03 連結会社予想 87.46 543.67 41.00


上場時発行済株数 40,000,000株

公開株数 16,100,000株(売り出し14,000,000株、オーバーアロットメント2,100,000株)


売出しを行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:15.3

PBR:

配当利回り:3.1%

公募時吸い上げ資金:230億

公募時時価:536億

​   

【株主構成】 

北里商事(株) 社長の資産管理会社 23,400,000 58.50% 180日

井上太綬(戸籍名:太) 代表取締役社長 14,000,000 35.00% 180日

H&Fパートナーズ(株) 社長の親族の資産管理会社 1,800,000 4.50% 180日

ナレツジイラア(株) 社長の親族の資産管理会社 800,000 2.00%


 引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人かつ売出人である井上 太綬(戸籍上の氏名:井上 太)、貸株人である北里商事株式会社並びに売出人であるH&Fパートナーズ株式会社は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2025年12月21日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を野村證券株式会社が取得すること等を除く。)を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 井上 太綬(上場時54歳7カ月)/1970年生

本店所在地 静岡県富士市柳島

設立年 2007年

従業員数 78人 (2025/04/30現在)(平均40歳、年収472.9万円)、連結86人

事業内容 不妊治療に関する医療機器などの製造販売

URL https://www.kitazato.co.jp/ja/

株主数 4人 (目論見書より)

資本金 10,000,000円 (2025/05/22現在)


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

主幹事証券 SMBC日興 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 静銀ティーエム - -


【参考類似企業】今期予想PER(5/27)

177A コージンバイ 10.0倍 (連結予想)

197A タウンズ 9.6倍 (単独予想)

4543 テルモ 28.0倍 (連結予想)

4571 NANO - (連結予想)

4595 ミズホメディ 8.9倍 (単独予想)

4880 セルソース 49.3倍 (連結予想)

4886 あすかHD 12.7倍 (連結予想)

7733 オリンパス 19.3倍 (連結予想)

7747 アサヒインテック 53.5倍 (連結予想)

7749 メディキット 12.5倍 (連結予想)


【私見】

 業種としては初物業種で、時代のテーマ性もあり評価はできます。業績は、売上・利益共に横ばい程度で物足りなさを感じますが、国内トップで、世界シェアも上位であることからも業績は後から付いてくる期待感もあります。吸収金額は大きいのですが、プライム上場という点も魅力で、配当利回りも悪くなく、海外からの評価も高そうなので初値でそこそこ上がる予想とします。


想定価額:1220円

仮条件上限:1340円

初値予想:1600円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立〜やや強気

総合評価:3.5

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