【事業内容】
従業員数100人以上1,000人未満の中規模から従業員数1,000人以上の大規模企業並びに健康保険組合向けに、健康診断・人間ドック等の予約、精算代行、健康診断結果一元化等を行うネットワーク健康診断サービス(以下、「NW健診」と記載の箇所あり)を提供する健診ソリューション事業、及び、 SaaS 型の健康管理クラウドサービス(以下、「Growbase」と記載の箇所あり)を提供する健康管理クラウド事業を展開しております。
主要事業で、それぞれのソリューションプラットフォームを推進し、健康診断を起点として、職域における健康管理(コーポレート・ウェルネス)の課題に対応するためのサービスを提供しております。当社は20年近く健康診断に関するサービスを専業として提供してきた実績があり、創業時からエンタープライズ企業を開拓しており、2025年3月末時点では、従業員数1,000~50,000人規模の大企業を中心に3,540社との取引を行っております。契約企業グループ数では、健診ソリューション事業が216企業グループ、健康管理クラウド事業が232企業グループとなります。健診ソリューション事業と健康管理クラウド事業別の2025年3月末時点での顧客規模は以下の通りです。
(1)健診ソリューション事業
企業・健康保険組合(以下、顧客)が行う健康診断の各種工程(医療機関との契約締結・健康診断の予約・医療機関への精算代行・健康診断結果のデータ化等)を当社が一括して受託することで、ワンストップでネットワーク健康診断サービスの提供を主に行う事業です。当社では、全国の2,164件の医療機関と業務提携契約を締結しており、顧客は、個別に医療機関と契約することなく、これらの医療機関より希望する医療機関を選択することが可能です。
当事業では、顧客向けに基幹システムに紐づけたi-Wellnessという健康診断のソリューションプラットフォームを用意しております。なお、i-Wellnessは、健康診断の予約・受診結果を確認することができる受診者用及び受診対象者の予約状況・各受診者の健康診断結果を確認できる顧客担当者用があります。
ネットワーク健康診断サービスの流れは、まず、当社が健康診断を行う受診対象者の全属性情報を顧客より預かり、健康診断の案内を送付します。その後、受診者からWEB(受診者用i-Wellnessのマイページ)もしくは電話により希望の日程・医療機関を受付け、医療機関と日程調整を行います。健康診断受診後2週間程で、医療機関から受診者宛に紙の健康診断結果が送付されますが、当社でも同じものを受領いたします。受領した健康診断結果を当社内でデータ化し、判定の標準化並びにデータのエラーチェックを行い有効化した上で、プラットフォーム上で顧客へ納品します。この健康診断結果データの標準化・有効化は、顧客が、従業員の健康管理のデジタル化・個別化を実現する上で、最も重要な役割・機能となります。一般的に医療機関から届く健康診断の結果は、医療機関毎に不規則な判定記号となっておりますが、当事業では、医療機関と契約締結時に各医療機関の判定基準と当社の判定基準の整合を行い、データ化した際に、各医療機関の同意のもと、健康診断結果の判定を当社の判定基準に変換しております。そのため、i-Wellnessの顧客担当者向けページに納品される健康診断結果は、全て統一基準に標準化されており、顧客内での有所見者・特定保健指導対象者の抽出、労働基準監督署への報告書の作成が容易になり、事後措置の対応強化が可能となります。なお当社では、AI-OCRを活用した独自の入力ツールを活用した体制を社内に構築しており、この標準化・有効化のオペレーションにより、精度が高い健康診断結果を迅速に顧客に納品することが可能となっております。
なお、当社にて予約調整を行っているため、顧客側では、i-Wellnessの顧客担当者向けページを通じ、予約の進捗状況をリアルタイムで把握可能であり、適時適切に未受診者に対し受診の勧奨を行うことで、受診率向上を図ることが可能となります。また、基幹システム上で医療機関からの健康診断結果の返却期日を管理することにより、受診後4週間程度での健康診断結果データの顧客納品を可能としています。
このように、プラットフォームを通して健康診断に関するワンストップ型のサービスを提供することにより、①健康診断結果の管理等煩雑な業務から解放することで顧客担当者の業務を効率化、②受診案内・受診勧奨により健康診断受診率向上、③担当者リソースの集中により健康診断後の事後措置対応強化が可能となり、「企業と健康保険組合、そこで働く従業員や家族」と「医療機関・健康診断センター」をつなぎ、利便性、生産性の向上に寄与していると考えております。ワンストップ型のサービスの提供を可能にするため、当社では、コールセンター業務、問診票の印刷・発送、システムの構築・保守をパートナー企業へ委託しております。
料金体系につきましては、顧客毎に健康診断コースや受診医療機関等を決定した上で、健康診断の受診費用(以下、健康診断費用)を算出し、受診者数に応じて発生する、i-Wellness利用を含む事務手数料(以下、i-Wellness費用)とともに、受診者一人あたりの年間サービス料を課金いたします。なお、データ化・判定の統一化後に、健康診断結果を出荷(システム上でデータを登録)した日が属する月の末日締めにて、各顧客に請求いたします。また、これとは別に、受診者数より多い人数の母集団に対して、健康診断の案内を送付することや、健康診断の未予約者(未受診者)に対する受診勧奨等を代行する場合があり、サービスの対象となる人数に応じた課金を行います。大別して2つの料金体系から、受診者一人に対して、年額で課金される健康診断費用とi-Wellness費用を基本利用料とするストック型課金、基本利用料の課金対象とは異なる数量の対象者に対して課金する受診案内や受診勧奨代行等の費用をアップセル利用料(フロー型課金)として区分しており、2025年3月末現在における当事業のストック売上高比率(※4)は98.4%となっております。また、同時期現在の契約継続率は99.5%(※5)となっていることから、基本利用料に関する売上高は安定的且つ継続的に伸長しております。
(2)健康管理クラウド事業
Growbaseは、企業(人事部・産業保健スタッフ及び企業とコラボヘルスを行っている一部健康保険組合向けのSaaS型健康管理クラウドサービスです。 企業においては、労働安全衛生法により、安全配慮義務の観点から長時間残業時の産業医が行う心身の状況把握及び面接指導や、健康診断受診後のフォローが必要な方への事後措置等を行う事が義務づけられております。健康保険組合においても、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防と改善を目的とした特定健康診査・特定保健指導が2008年から義務化され、また、2014年には、労働者の心理的な負担の程度を把握するストレスチェックが義務化されております。
これら諸制度に対応すべく、Growbaseは、健康診断結果、就労データ、ストレスチェックデータ及び各種面談の記録を個人単位にて紐づけ、心と身体に関するデータを一元管理・可視化できる機能を有しております。また、健康診断後の各種集計・抽出機能、労働基準監督署等への定期健康診断結果報告書等各種報告書の作成機能、産業医との面談(対面・オンライン)スケジュール管理のほか、従業員自身の健康診断結果を経年にて確認可能なマイページ機能も備えております。ダイバーシティの推進・働き方の多様化等により、変化・多様化する健康課題・ニーズに対して最適な打ち手をつなぐ健康管理プラットフォームを展開するため、法令対応や顧客要望に応じた機能充実を図っております。
また、Growbase上には、紙の健康診断結果をデータ化する無料の画像自動読み取り機能も付属しており、この機能もしくは別途料金にてお申込みいただくデータ化オプションを利用いただくことで、手元に届く紙の健康診断結果をGrowbaseに反映することが可能です。さらには、ネットワーク健康診断サービスと併せて利用いただくことにより、当社で標準化・有効化された健康診断結果の自動連携が可能になり、健康診断の案内から予約、経年でのデータ管理から事後措置に至るまで、健康診断に関する管理を一元化いただくことが可能になります。
システム利用に関する料金体系は、ストック売上として顧客企業の対象従業員数であるID数に応じた①システムの基本利用料、②従業員データの保管料、③産業保健スタッフが利用する管理者サイトへのセキュリティ認証利用料、フロー売上として④オプション機能利用料、⑤顧客の要望に応じて機能改修をする個別カスタマイズ料に大別されます。加えて導入時に、要求仕様や従業員数などの規模により変動するサーバセットアップ費用や過去データ移行などの初期設定費用が必要になります。なお、2025年3月末現在における当事業のストック売上高比率は90.9%、契約継続率は99.7%、CCRは、0.28%NRRは114.0%であります。
なお、当事業においては、事業拡大や資本業務提携も含めたアライアンスパートナーとの販売業務提携戦略を目的に、販売代理店として、ITを通じて社会課題の解決に取り組む伊藤忠テクノソリューションズ㈱、最新のテクノロジーを活用したヘルスケアサービスを提供するSOMPOヘルスサポート㈱、企業のメンタルヘルスケア対策を行う㈱アドバンテッジ リスク マネジメント、福利厚生や健康支援サービスを提供する㈱イーウェルと契約を締結しております。当社の営業部門による直販の増加に加えてアライアンスパートナー経由の契約も増加しており、当社の成長を後押ししております。なお、代理店各社はそれぞれ大規模企業や健康保険組合等をターゲット市場としております。
(3)医療機関等支援事業
その他のサービスとして医療機関等支援事業があります。主なサービスとしては、地域中核病院に対して当該病院敷地内にあるPET検査用の建物・装置などの賃貸借を行うPET関連事業、協会けんぽや総合健康保険組合に加入している企業を対象とした健康診断のBPOサービスです。
PET関連事業については、健診ソリューション事業拡大の一環として、2016年10月にIML㈱より譲り受けました。
BPOについては、健診ソリューション事業と同じ健康診断に関するサービスですが、単一健康保険組合及び単一健康保険組合加入企業を対象としたネットワーク健康診断サービスとは違い、協会けんぽ及び総合健康保険加入企業を対象とした健康診断の予約や精算代行等を行うサービスになります。また、ネットワーク健康診断サービスでは、当社オリジナルの健康診断コースを全国の医療機関と契約し、顧客に対しては、コース毎に統一した顧客毎の価格で提供を行っておりますが、協会けんぽ及び多くの総合健康保険組合では、健康診断コース及び価格(企業負担額)が決まっているため、各健康保険組合が元々医療機関と契約している内容を、そのまま引き継いで対応しております。さらに、健康診断をワンストップで代行するネットワーク健康診断サービスとは違い、BPOサービスでは、健康診断の予約のみ等、顧客が要望・必要とするサービスのみ対応が可能です。
また、2023年10月より、人間ドック及びPET検査の予約手配や健康相談等を行うコンシェルジュサービスを開始しました。
上記の通り、当社が行う健診ソリューション事業、並びに健康管理クラウド事業は、顧客における保健事業を支える基盤となっており、企業における健康経営の根幹となっております。また、かかる機能を有していることにより、継続利用をいただく顧客も多く、前段でも記載の通り、健診ソリューション事業及び健康管理クラウド事業における2025年3月末日時点での契約継続利用率の平均は99.6%です。それら継続利用による情報の蓄積も当社の強みとなっております。当社としましても、それら重責を担っている使命を理解し、顧客における健康増進に寄与すべく、サービスメニュー・機能の拡充を継続して行っております。また、今後も顧客企業の規模等に応じた新たなサービス体制構築なども見据え、顧客の健康管理の実践におけるニーズを的確に捉えるとともに、スピーディーな対応をしてまいります。
【業績等】
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2026/03 単独会社予想 14,790 1,239 1,213 855
2025/03 単独実績 14,057 1,109 1,102 776
2024/03 単独実績 13,266 967 955 680
2023/03 単独実績 10,748 824 811 560
決算期 種別 EPS BPS 配当
2026/03 単独会社予想 145.56 924.35 42.77
上場時発行済株数 5,998,200株(別に潜在株式440,000株)
公開株数 1,724,500株(公募550,000株、売り出し949,600株、オーバーアロットメント224,900株)
調達資金使途 システム開発費、人材採用・採用経費、システム利用費
PER:17.0
PBR:
配当利回り:1.7%
公募時吸い上げ資金:42.7億
公募時時価:149億
【株主構成】
SOMPOホールディングス(株) その他の関係会社 2,500,800 42.47% 売出501,600 180日
LHP Holdings,L.P. その他の関係会社 2,233,700 37.94% 売出448,000 180日
(株)アドバンテッジリスクマネジメント 販売代理店 272,400 4.63% 90日
(株)ベルシステム24ホールディングス 特別利害関係者など 201,700 3.43% 90日
伊藤忠商事(株) 元親会社 168,900 2.87% 90日
松田泰秀 代表取締役社長 160,000 2.72% 90日
伊藤忠テクノソリューションズ(株) 販売代理店 70,700 1.20% 90日
佐々木雅之 取締役 40,000 0.68% 90日
匿名1 委任型執行役員 30,000 0.51% 90日
匿名2 従業員 30,000 0.51% 90日
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人及び売出人であるSOMPOホールディングス株式会社及びLHP Holdings,L.P.は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2025年12月19日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。
さらに、当社株主である株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント、株式会社ベルシステム24ホールディングス、伊藤忠商事株式会社及び伊藤忠テクノソリューションズ株式会社並びに当社新株予約権者である松田泰秀、佐々木雅之及び当社従業員等62名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2025年9月20日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。
【代表者】
代表者名 松田 泰秀(上場時50歳2カ月)/1975年生
本店所在地 東京都港区赤坂
設立年 2006年
従業員数 121人 (2025/04/30現在)(平均39.1歳、年収546.4万円)
事業内容 健康管理SaaS(Software as a Service)などを用いたヘルスデータプラットフォームおよびソリューション事業
URL https://wellcoms.jp/
株主数 6人 (目論見書より)
資本金 408,615,000円 (2025/05/19現在)
代表者生年月日 1975年04月17日生まれ
代表者略歴
1998年04月 伊藤忠商事㈱ 入社
1999年04月 伊藤忠保険サービス㈱(現:伊藤忠オリコ保険サービス㈱) 出向
2006年07月 当社 出向 取締役
2008年02月 COSMOS AME 出向(シカゴ駐在)
2009年10月 IFS(ITOCHU Financial Services) 出向(ニューヨーク駐在)
2010年07月 伊藤忠商事㈱ ライフケア事業推進部
2012年04月 当社 取締役
2016年04月 当社 代表取締役社長(現任)
【幹事団】
主幹事証券 野村 - -
引受証券 SBI - -
引受証券 みずほ - -
引受証券 岩井コスモ - -
引受証券 松井 - -
引受証券 東海東京 - -
【参考類似企業】今期予想PER(6/5)
5619 マーソ 147.7倍 (連結予想)
6078 バリューHR 48.3倍 (連結予想)
8769 ARM 12.0倍 (連結予想)
8876 リログループ 11.9倍 (連結予想)
9218 メンタルヘルスT 12.0倍 (連結予想)
【私見】
健康診断などのワンストップサービスで、企業からの需要は高く、テーマ性もあり業種としては悪くないです。業種から急成長するほどではありませんが、利益規模も大きく、PERからは上値余地はありそうです。規模はそこそこ大きめですが、売り要素はなく、需給からも安定的な人気は出そうな銘柄で、初値が低ければセカンダリーも考えられそうです。
想定価額:2450円
仮条件上限:2480円
初値予想:3600円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価:3.5
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