2018年10月13日土曜日

IPO分析(VALUENEX)


【事業内容】
 当社グループは、VALUENEX株式会社(当社・東京都文京区)と100%子会社のVALUENEX, Inc.(米国・カリフォルニア州メンロパーク市)の2社から構成されており、世界中に氾濫する大量の情報を「信頼性」「俯瞰性」「客観性」「正確性」「最適性」の5つの独自の視点で融合し価値を創造することを理念としております。
 当社グループの事業は当社の創業者代表取締役社長である中村達生が独自に開発したアルゴリズムを基盤にしたビッグデータの解析ツールの提供(ASP)サービス)とそれを用いたコンサルティングサービス及びレポート販売であり、これらはひとつのアルゴリズムから派生した事業であることから総称してアルゴリズム事業と称しております。したがい、当社グループは、アルゴリズム事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
各サービスの具体的な内容は以下のとおりであります。
(ASPサービス)
①ASPサービスの内容と販売形態
 ASP型ライセンスサービスであり、TechRadar® Scope (テックレーダー スコープ)、TechRadar® Vision (テックレーダー ビジョン)とDocRadar®(ドックレーダー)からなります。
 まず、TechRadar®ですが、特許専用の解析ツールであります。これは、指定した技術文書をもとに特許データベースに登録されている全ての特許文書同士を比較したうえで、最大10万件までの特許文献間の類似度(特許データの間のそれぞれの内容がどれだけ近いのか、遠いのか)を自動的に判断し、それを目で見えるようにすること(可視化)により、膨大な特許群を一望に見渡すこと(俯瞰)ができるものであります。この可視化、俯瞰というやりかたは、文字を読んで理解するより、一目見て理解する方が早いという発想によるものであります。また、一般的な特許検索ツールは単語による検索条件に基づき、類似の特許データを検索、集計する等の結果は出すものの、特許データ同士の関係をどのくらい近いのか、遠いのかといった解析は行えません。それに対し、当社グループの解析ツールは、入力条件も、単語のみならず、共通性が高い単語を用いている文書間の距離(どのくらい近いのか、遠いのか)を数量化することが可能であります。ここが当社グループの情報解析ツールの大きな強みであります。
 これらは1個のドット(点)が1つの特許を表しており、集合している領域は類似の特許が集中している分野であり、空白の領域は特許が存在していない分野というように可視化することができます。この読み解き方ですが、類似の特許が集中している場合は、競合が激しい分野であり、一方で特許が存在していないという場合は、何らかの理由(例えば、法の規制や技術的な制約あるいはまったく発想にないなど)により、競合がない分野であると読み解くことができます。この読み解きにより、例えば、将来の技術開発分野の特定(手つかずの領域に進出等)や買収先の技術領域の探索(強みの技術はどこで競争優位性があるのか等)あるいは潜在的なパートナー企業の探索(自社の技術領域とシナジーのある技術領域を有している企業はどこか)など様々な使い方ができます。
 TechRadar®には、TechRadar® ScopeとTechRadar® Visionがあります。TechRadar® Scopeは特許出願が既に出願されているものではないかの確認や新規事業や潜在市場のアイデアを練る場合に適したツールであり、概念検索で類似特許を上位最大1,000件まで表示します。一方TechRadar® Visionは大量の情報を分析するためのツールであり、最大100,000件の特許データを高精度に配置、表示します。
TechRadar®は、日本語、英語に対応しており、海外における特許解析も可能としております。
 一方、DocRadar®は基本的にはTechRadar®と同じく最大10万件のテキスト文書情報を類似度評価によって可視化することで、従来、整理が難しくビジネス活用ができなかった文書情報(たとえばアンケートの自由記述など)を、類似度評価によって整理・クラスタリング、さらに可視化し、文書情報の定量分析を可能にする解析ツールであります。
 TechRadar®との最大の違いでありますが、TechRadar®が日本、米国、欧州、その他の海外の特許データベースとリンクされているいわば特許のビッグデータ付属の解析ツールであるというのに対し、DocRadar®は、知財ビッグデータは付属されていない知財以外の多様なテキスト文書情報(たとえば、ニーズ・マーケット情報、社内文書、アンケート、インターネット情報、購買情報(POS)、判例情報、技術情報、研究情報など)を解析対象とする解析ツールという点であり、本質的には同じアルゴリズムを基盤としたツールであるといえます。
なお、DocRadar®は、日本語、英語に加え、中国語にも対応しております。
 現在、当社グループは、当社グループの存在価値を高めるべく、国内外にて各種セミナー、イベントに参加しており、その中で、ブース出展はもとより、代表取締役社長 中村達生自らもプレゼンテーションの機会を得ており、その機会をとらえて、新規顧客開拓がなされております。加えて、当社の100%子会社である
② 料金体系
 TechRadar®及びDocRadar®のサービス料金体系でありますが、月額固定料金の年間契約を基本としております。その対象とするデータの量と解析対象の範囲(日本のみか、海外も含むかなど)により、料金は異なります。
(コンサルティングサービス)
① コンサルティングサービスの内容と販売形態
 基本的に、TechRadar®とDocRadar®は、解析結果がどういう意味を示しているかを自ら読み解く必要がありますが、顧客の要望によっては、解析結果の読み解き結果をも求められる場合があり、その場合は、TechRadar®とDocRadar®を用いたコンサルティングという形で提供しております。
 顧客は現在、主として大手企業の研究開発部門や経営企画部門であり、コンサルティングサービスから始めて、TechRadar®や DocRadar®の利用へ結びつくことも多く、密接にかかわっているといえます。
 コンサルティングサービスには、大別して調査コンサルティングとコーチングの2つの提供形態があります。調査コンサルティングは、顧客の要望に応じた調査・解析を当社グループが、顧客に代わってTechRadar®、DocRadar®を用いて実施するものであり、コンサルティングの一環として、コーチングを行う場合もあります。コーチングは顧客の内部の情報解析人材を育成するという観点によるものであります。
② 料金体系
 顧客の要望される案件に対する当社グループの要員数と工数に単価を乗じて算定いたします。
(レポート販売)
① レポート販売の内容と販売形態
 TechRadar®とDocRadar®により、短期でかつ簡易なレポートを提出するものであります。
現在、日本経済新聞社の運営する日経テレコンというデータベースシステムを経由して、一般の顧客へ提供するものと直接、顧客へ提供しているものの2つがあります。
 前者は、そのときどきの時宜にかなった技術トピックスや投資トピックスを題材に当社グループがTechRadar®とDocRadar®を用いて、解析レポートを作成し、それを日経テレコンのサイトを通じて、販売するというものであり、対象は個人及び法人であります。
 また、後者は、顧客の有している企業情報やマーケット情報を材料に、当社グループがTechRadar®とDocRadar®を用いて、解析レポートを作成し、その顧客に提供するものであります。
② 料金体系
日経テレコンによるレポートは1件ごとの従量料金であります。また日経テレコン以外によるレポートも基本的に1件ごとの従量料金であります。

【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2016.7 349 7 8 2
(連結実績)2017.7 343 -56 -53 -54
(連結実績)2018.7 507 77 77 83
(連結予想)2019.7 690 107 106 121
1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当
(連結予想 )2019.7 46.81 342.92 0 
調達資金使途 研究開発費、人件費、外注費、採用費、本社拡張費、広告宣伝費
上場時発行済み株数 2,746,200株 (別に潜在株式269,400株)
公開株数 511,700株(公募420,000株、売り出し25,000株、オーバーアロットメント66,700株)シンジケート 公開株数445,000株(別に66,700株)
PER:39.3
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:9.4億
公募時時価:51億

参考類似企業 今期予想PER(10/4)
3655  ブレインP 90.1倍(連結予想 )
3905  データSEC 3,890.3倍(連結予想 )
3906  ALBERT 555.2倍(単独予想 )
3925  DS 69.6倍(連結予想 )
3984  ユーザローカル 78.3倍(単独予想 )
   
【株主構成】
早稲田1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,106,100 42.61
中村 達生 代表取締役社長 811,700 31.27
ウエルインベストメント(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 125,100 4.82
平沢 創 特別利害関係者など 120,000 4.62
日本アジア投資(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 97,500 3.76
工藤 郁哉 取締役 66,800 2.57
ChoiJiyoung 子会社の取締役 60,500 2.33
長谷川 智彦 特別利害関係者など 60,000 2.31
VALUENEX(株) 自己株式 54,000 2.08
石井 正純 特別利害関係者など 25,200 0.97
KIZUNA投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 22,500 0.87
 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人であり貸株人である中村達生並びに当社株主である工藤郁哉、本多克也、片桐広貴及び花堂靖仁は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の平成31年1月27日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等は行わない旨合意しております。
 また、当社株主である早稲田1号投資事業有限責任組合及びウエルインベストメント株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の平成31年1月27日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所における売却等は除く。)は行わない旨合意しております。
 加えて、当社は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の平成31年4月27日までの期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等は行わない旨合意しております。

【代表者】
代表者生年月日
1965年11月25日生まれ
代表者略歴
1991年04月 (株)三菱総合研究所入社
1994年10月 東京大学工学部助手
1997年10月 (株)三菱総合研究所復職
2006年08月 (株)創知(現当社)設立 代表取締役社長就任(現任)
2014年02月 VALUENEX, Inc.設立 Board of Director(CEO)就任(現任)
【幹事団】
主幹事証券 SBI 378,100 84.97
引受証券 みずほ 22,300 5.01
引受証券 大和 13,400 3.01
引受証券 岩井コスモ 8,900 2.00
引受証券 藍沢 6,700 1.51
引受証券 エース 4,500 1.01
引受証券 エイチ・エス 4,500 1.01
引受証券 極東 2,200 0.49
引受証券 東洋 2,200 0.49
引受証券 むさし 2,200 0.49

【私見】
 ビックデータ関連で、売上先の10数%がトヨタと、昨年のPAKSHや人気化したALBERTを彷彿させる銘柄です。業績はまだ小規模ですが、PERからは200くらいまでは許容範囲で、時価総額も200億を超えても問題はなさそうです。問題は需給で、筆頭VCなど売れるVCは数多く、最悪な場合はチームスピリットのような展開も考えれます。魅力ある銘柄でることには間違いありません。 

想定価額:1520円
仮条件上限:1840円
初値予想:5000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価4

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