2019年10月2日水曜日

IPO分析(ワシントンホテル)

【事業内容】
 (1) ホテルブランド
① ワシントンホテルプラザ
「ワシントンホテルプラザ」は1969年の1号店開業以来、50年の歴史があり、高度経済成長の時代の中、低料金で安全に泊まることができるスタイルがビジネスパーソンに支持をされ出店を伸ばしてまいりました。ビジネスホテルのチェーンとして、全国の多くのビジネスパーソンに認知していただいております。主要駅もしくは繁華街に近い「立地」と、老舗としての「安心感」が評価されており、部屋タイプは、シングル、ツイン、ダブルと各種タイプの部屋を保有しております。また、一部のワシントンホテルプラザには飲食店や宴会場を併設し、幅広い顧客ニーズに対応しております。利便性の高いビジネス・観光の拠点となるよう直営18ホテルをチェーン展開しております。

② R&Bホテル
「R&Bホテル」は宿泊特化型ホテルとして首都圏を中心に、全国で直営23ホテルのチェーン展開を行っております。毎朝、スタッフが焼き上げるあつあつの焼きたてパン、挽きたてのコーヒー、ジュース、スープ、味付けゆで玉子を無料で提供することで、付加価値の向上を目指しております。また、スタッフの95%以上が女性であり、細やかな配慮で、少しでもお客様のお役に立てるよう親切な応対を心がけており、女性のお客様でも安心してお泊りいただけます。客室はR&Bホテル八王子の16室のツインを除いて他はすべてシングルであります。さらに、チェックインの工程を細分化し、宿泊台帳記入や金銭授受には従業員の人手を介さず、宿泊台帳記入は館内の案内表示にてお客様を誘導することで対応し、金銭授受は自動精算機を導入して対応するなど少人数オペレーションを徹底し、業務効率を上げることでリーズナブルな価格での提供が可能となっております。

③ 名古屋国際ホテル
「名古屋国際ホテル」は、1964年に名古屋初の本格的都市型ホテルとして開業した、歴史と伝統ある老舗ホテルであり、飲食店舗と宴会場を付帯して運営しております。名古屋市の繁華街である栄の中心に位置し、立地の良さでビジネスをはじめ、観光客からも支持されております。
 2019年3月期の名古屋国際ホテルのADRは8,489円(前期比0.1%増加)、稼働率は69.6%(前期比7.1%ポイント減少)、RevPARは5,908円(前期比9.2%減少)となっております。なお、名古屋国際ホテルは2020年9月に営業終了を予定しております。

以上の計3ブランドのホテル事業で、運営するホテルは全国に42ホテル(2019年8月末現在)であり、ビジネス、観光等様々なお客様にご利用いただいております。2019年3月期の当社グループホテル全館の客室数は9,118室、ADRは6,317円、稼働率は78.6%となっております。当社グループの収益としては、「ワシントンホテルプラザ」「R&Bホテル」「名古屋国際ホテル」での収益が98%超となっており、ゴルフ場クラブハウス内レストランによる収益は僅少なものとなっております。

(2) ホテル運営
a 客室販売及び会員システム
 当社グループの客室販売は、直販である自社サイトの「宿泊ネット」のほか、オンライン旅行予約サイトをはじめとするインターネットによる宿泊予約の獲得、旅行会社の販売する旅行商品への客室提供を主要な経路としております。2019年3月期における販売経路の割合は、インターネット経由の販売が71.8%(自社サイト「宿泊ネット」経由の割合は24.2%)、電話などによる一般販売が20.5%、旅行代理店経由の販売が7.7%となっております。 

(a) 宿泊ネット
 宿泊ネットは25万人の会員がおり、年間延べ62万室が利用される、当社が運営する入会費・年会費無料の宿泊予約サイトであります。2019年3月期における客室販売の約4分の1が宿泊ネットによる販売であり、宿泊ネットのリピーター比率は61.4%と、宿泊ネット会員は安定顧客となっております。
 また、会員カードを発行せず、入会からポイントの加算、交換までを予約サイト上で実施するため、従業員の業務負荷低減にもつながっております。 
 会員にご登録いただくと宿泊ネットからのご予約・ご宿泊でポイント還元をご利用いただけます。また、当社グループホテル以外の提携ホテル・旅館等の加盟店ネットワークも全国に拡大中であり、当社グループホテルと加盟店合わせて日本国内に79拠点、台北に1拠点の提携ホテル・旅館が加盟店として参加しております。

(b) ワシントンレストランカード
 ワシントンレストランカードは、全国のワシントンホテルプラザ及び名古屋国際ホテルの直営飲食店でのご飲食に応じてポイント還元を行う無料会員システムです。シニア会員にはお得な特典を有しておりますので幅広いお客様にご支持をいただいております。

b 新規出店
 ホテルの出店地については、厳格な出店基準を設け、厳選した好立地に出店することで、高収益性を確保しております。全国主要都市への出店として、政令指定都市を中心に、流動人口の多い都市において200~300室規模のホテル出店を目指しております。また、出店にあたっては、最寄駅から徒歩5分程度、敷地面積150坪以上、建物延床面積1,000坪以上を基準としております。観光客・ビジネス利用客をバランスよく集客することにより、季節的又は一時的な要因による業績変動を極力抑える方針であります。
 また、優良な出店地を確保するべく、当社自社物件としての出店のほか、建物の賃貸借方式、土地の賃貸借方式、MC方式、フランチャイズ方式という計5つの出店形態を用意し、幅広く情報を収集しております。2019年8月末現在、土地と建物を自社が所有する自社物件によるホテル出店は5事業所、建物の賃貸借方式によるホテル出店は35事業所、土地の賃貸借方式によるホテル出店は2事業所であり、MC方式及びフランチャイズ方式によるホテル出店は該当無しとなっております。


【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 
(連結実績)2018.3 21,417 3,157 3,009 1,912 
(連結実績)2019.3 21,410 2,988 2,836 1,704 
(連結予想)2020.3 22,234 2,565 2,426 1,727 
(連結1Q実績)2020.3 5,506 801 787 505 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(連結予想)2020.3 158.35 1,297.02 28 
調達資金使途 新規店舗の出店および既存店舗のリニューアル 

上場時発行済み株数 11,900,000株 
公開株数 2,070,000株(公募1,800,000株、オーバーアロットメント270,000株) 

PER:8.3
PBR:1.01
配当利回り:2.1%
公募時吸い上げ資金:27.1億
公募時時価:156億
    

【株主構成】 180日
(株)丸栄 取引先 1,433,520 14.20 
藤田観光(株) 取引先 1,061,280 10.51 
(株)三菱UFJ銀行 取引先 503,000 4.98 
(株)みずほ銀行 特別利害関係者など 503,000 4.98 
(株)名古屋銀行 特別利害関係者など 503,000 4.98 
日本生命保険(相) 特別利害関係者など 495,000 4.90 
明治安田生命保険(相) 特別利害関係者など 440,000 4.36 
(株)近藤紡績所 特別利害関係者など 316,800 3.14 
名古屋中小企業投資育成(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 297,000 2.94 
朝日生命保険(相) 特別利害関係者など 275,000 2.72 
住友生命保険(相) - 275,000 2.72 

 本募集に関連して、貸株人である株式会社三菱UFJ銀行、当社株主である株式会社丸栄、藤田観光株式会社、株式会社みずほ銀行、株式会社名古屋銀行、日本生命保険相互会社、明治安田生命保険相互会社、株式会社近藤紡績所、名古屋中小企業投資育成株式会社、朝日生命保険相互会社、住友生命保険相互会社、サッポロビール株式会社、アサヒビール株式会社、松下不動産株式会社、ワシントンホテル役員持株会、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、東映株式会社、清水建設株式会社、農林中央金庫、株式会社トーホーフードサービス、株式会社ホクリョーリード、株式会社大丸松坂屋百貨店、瀧定名古屋株式会社、豊島株式会社名古屋本社、名古屋鉄道株式会社、中部電力株式会社、東海ラジオ放送株式会社、東邦瓦斯株式会社、ワシントンホテル従業員持株会、株式会社丸金、綿久リネン株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、内田和男、株式会社丸八真綿、大同特殊鋼株式会社、日本碍子株式会社、株式会社中日新聞社、浜口邦久、株式会社愛知銀行、オークマ株式会社、岡谷鋼機株式会社、住友林業クレスト株式会社、豊和工業株式会社、日笠豊昭、株式会社オーエンス、桑名東部開発株式会社、株式会社エース・ブレッド、イーダ株式会社、愛知時計電機株式会社、株式会社西日本綜合メンテナンスは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2020年4月14日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受けによる売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等は行わない旨合意しております。


【代表者】
代表者生年月日
1950年02月10日生まれ 

代表者略歴
1968年03月 当社入社 
1989年09月 鳥取ワシントンホテル総支配人 
2001年02月 総務人事部部長 6月 取締役 
2003年06月 常務取締役 
2005年06月 R&B事業部事業部長 
2008年06月 専務取締役 
2009年06月 代表取締役社長兼ワシントンホテルプラザ事業部事業部長 
2014年06月 代表取締役社長 社長執行役員(現任) 


【幹事団】
主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 1,566,000 87.00 
引受証券 みずほ 90,000 5.00 
引受証券 東海東京 36,000 2.00 
引受証券 岡三 36,000 2.00 
引受証券 SMBC日興 18,000 1.00 
引受証券 大和 18,000 1.00 
引受証券 SBI 18,000 1.00 
引受証券 マネックス 18,000 1.00 


【参考類似企業】 今期予想PER9/18 
3010  価値開発 73.4倍(連結予想 ) 
3258  ユニゾHD 5.4倍(連結予想 ) 
6076  アメイズ 8.0倍(単独予想 ) 
6547  グリーンズ 13.1倍(連結予想 ) 
6565  ABホテル 26.6倍(単独予想 ) 
9616  共立メンテ 16.8倍(連結予想 ) 
9722  藤田観 114.2倍(連結予想 ) 


【私見】
  業種としては時流に乗っておりますが、ホテル建築も一服することを考えると成長性は大きくはないと思います。PERは低いのですが、減益が続きアメイズとの比較ですとそこまで割安感はありません。需給はロックがかかっており、安定株主も多く安定感はあります。時価総額での比較となるとグリーンズ、アメイズ、ABホテルあたりとの比較では170億から200億あたりが妥当だと思いますので、公募やや上が落ち着きどころと考えます。最近の傾向から需給の良い割安株にはセカンダリーが活況なので、通常であれは短期でのマークは必要ない銘柄ですが、気にかけたほうが良いのかもしれません。


想定価額:1290円
仮条件上限:1310円
初値予想:1450円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

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