2019年10月7日月曜日

IPO分析(インティメート・マージャー)

【事業内容】
(1)IM-DMPについて
 当社が提供するIM-DMPは、インターネット利用者の属性データベースとして、PC、スマートフォン、タブレット等で利用されるWebブラウザから得られる情報によって構築されております。1つのWebブラウザに1つのIDを割り当て、Webブラウザを最小構成単位としてインターネット利用者に関するデータベースを構築しています。IM-IDにデモグラフィックデータ、ジオグラフィックデータ、サイコグラフィックデータ等の属性情報を集積することで、Webブラウザをベースとした各ユーザーの特徴を、より鮮明なものにしております。なお、当社が保有する属性情報に個人情報は含まれておりません。
 このように、多様な属性情報を集積したIM-IDを分析・分類し、定期的に更新することで、IM-DMPにおいては、適切なターゲットに、適切なタイミングで、適切なマーケティング手法によりアプローチする提案を行うことができるのです。
(2)IM-DMPの特徴
 当社が提供するIM-DMPには、パブリックDMPとして、主に以下の2種類のデータベースが具わっております。
①インターネット利用者の属性データベース
 当社は、1つのWebブラウザに1つのIM-IDを割り当てており、そのIM-IDに様々な属性情報を集積しております。IM-IDに集積される情報は以下の2種類に分類されます。
a.確定情報
 インターネットリサーチ会社から購入するデモグラフィックデータ(性別、年齢、職業等)、データプロバイダーから購入するジオグラフィックデータ(居住地域等)が該当します。
 クッキーシンク(Cookie Sync)と呼ばれるIDを名寄せする技術を用いることで、インターネットリサーチ会社やデータプロバイダーから取得した情報をIM-IDと紐付け、同一ユーザー(厳密には同一Webブラウザ)として認識することが可能になります。デモグラフィックデータについては、インターネットリサーチ会社にパネルとして登録している調査対象者とIM-IDを対応させることで、年齢、性別等の情報を付加しています。また、ジオグラフィックデータについては、IPアドレスとIM-IDを対応させることで、Webサイトのアクセス元の地域情報等の情報を付加しています。
b.類推情報
 当社が提携するポータルサイト、ニュースサイト、まとめサイト等のWebメディアから取得するWebメディアへの接触情報をもとに、「このユーザーは何に興味がありそうか」を類推し、サイコグラフィックデータ(趣味、嗜好、興味、関心事項等)を抽出します。抽出するサイコグラフィックデータは、対象となるWebページの特徴を、例えば「旅行」「転職」等のキーワードに読み替えたもので、これがIM-IDに集積・更新されていきます。なお、当社が提携するWebメディアから取得する情報は、インターネット利用者が閲覧したWebサイトそのものを特定する情報ではなく、あくまで、閲覧したWebサイトに記載されている内容を抽出したものです。
②IM-IDを異なるIDに変換するためのデータベース
a.IM-IDを異なるIDに変換
 IM-DMPには、IM-IDをアドネットワークやDSP等の様々なデジタル広告の配信ツールで利用されているIDに変換するデータベースが具わっています。このデータベースを用いることで、IM-IDが付与されたユーザー群へのアプローチ方法に様々な手法を選択することが可能になります。
 デジタルマーケティングの領域においては、WebブラウザのCookieを利用した対象顧客の行動履歴をもとにターゲットを絞って行う「ターゲティング広告」と呼ばれるインターネット広告手法が広く利用されております。当社のデータベースを用いることで、ターゲティングの精度を高く保ちつつ、クライアント企業が望む適当な広告配信ツールを利用することが可能です。
 広告配信ツール以外にもIM-IDを活用することで、Googleアナリティクス、Adobeアナリティクス等のWebサイト分析ツール、サイト来訪者が訪れるWebサイトページの改善を行うLPOツール等に連携することが可能です。
b.IM-IDに付加された属性情報を異なるデータベースに付加
 会員情報を有するクライアント企業が、自社の会員情報とIM-IDを紐付けることで、会員情報にサイコグラフィックデータを付加することが可能になります。この手法を用いれば、例えば、全ての会員ではなく、特定の商品に興味を抱いている会員にだけダイレクトメールを送付することが可能になります。
(3)当社の提供するサービスの内容
 当社は、クライアント企業自身でデータを分析し、活用することが可能な場合には、IM-DMPが搭載するデータのみ提供しております。
 しかしながら、IM-DMPを継続的に有効活用するには、高度なデータ分析力とデータ活用先であるマーケティングツールに関する知識が必要です。このため、当社では、クライアント企業自身が持つデータとIM-DMPのデータを統合し、後述するフィルタリングやターゲティング等広告配信を効率的・効果的に行うために、高度な分析を提供するコンサルティングサービスを提供しております。これにより、クライアント企業は、マーケティング専門人材を自社内に置かなくとも、効率的且つ多様なマーケティング手法を採用することが可能になります。
 また、抽出されたデータは、オフラインマーケティングや効果測定等への活用や、リードジェネレーションへの活用、リスク管理といったデジタルマーケティング以外のデータ活用への展開も始めており、様々なソリューションを提供しております。
①データ活用コンサルティングサービス
 IM-DMPをデジタルマーケティングに活用することで、リターゲティングの効率化や、今までアプローチできていなかった新規顧客向けのターゲティングを行うことができます。
 クライアント企業のホームページ、キャンペーンサイト等にJavaScriptタグを設置し、来訪者のCookieを取得します。来訪者のCookieに保存されているIM-IDを、当社のデータベースに保存されているIM-IDと照合することで、来訪者の属性情報を視覚的に分析することが可能になります。当社では、来訪者の属性分析を行った後、主に以下の2つの技術を用いてデータ活用コンサルティングサービスを提供しております。
a.フィルタリング
 クライアント企業のWebサイトへの来訪者の中には、競合企業の社員、自社の社員、ボット等、コンバージョンしない可能性が非常に高いユーザー群が一定割合存在します。IM-DMPを活用することで、このようなユーザーを特定し、無駄な広告配信費用を削減することで、広告配信効率を改善しています。
b.ターゲティング
 IM-DMPを活用することで、コンバージョンが発生したユーザーがどのような属性情報をもっているかを分析することが可能になります。この分析結果をもとに、IM-DMPのデータから広告配信のターゲットとなるオーディエンスリストを抽出します。このオーディエンスリストをデジタル広告の配信ツールに連携することで、広告効果の高いユーザー群へ効率的な広告配信を実現しています。
上記のa.、b.の技術を用いたサービスは下記の通りです。
(ⅰ)データ活用広告配信サービス
 IM-DMPを利用したいクライアント企業に対し、効果的な広告配信を行うためのコンサルティングに加え、IM-DMPで保有しているデータを使った広告配信までワンストップでのサービス提供も行っております。より効果的な広告配信を行うためには、配信された広告を見た消費者が実際にコンバージョンに至ったかどうか確認し、その結果を踏まえて更にターゲットを選別するといった継続的な広告の運用が鍵となります。当社がIM-DMPを用いて潜在顧客の特定を行い、広告配信・運用まで担うことで、配信結果を踏まえた更なる潜在顧客の絞り込みが可能となり、より精度の高い広告配信へと繋がります。
(ⅱ)オフラインマーケティングサービス
 IM-DMPをオフラインマーケティングに活用することで、オフライン施策に、インターネット上のリアルタイムな行動データや対象ユーザーの様々な属性情報を利用することが可能になります。
 クライアント企業のホームページ、キャンペーンサイト等の来訪者のCookieに保存されているIM-IDを郵便番号への変換データベースと照合し、IM-IDと郵便番号データを紐付けることができます。オフライン施策においては、ターゲット選定の前提となるユーザー情報がリアルタイム情報ではないことが多く、情報が古い、あるいは粒度が粗い等の課題があります。IM-DMPを活用することで、インターネット上で取得できるデータを用いたリアルタイムのユーザーニーズを考慮できるようになるため、一定期間内に特定の商品に興味を示したユーザーを対象に、新聞の折り込みチラシやポスティングを実施する等、効率的なオフラインマーケティング施策を行うことが可能になります。
(ⅲ)ブランディング広告効果測定サービス
 IM-DMPをインターネットリサーチ会社のアンケートと組み合わせることで、ブランディング広告の効果計測に活用可能です。クリックやコンバージョンといったインターネット上で計測できる指標だけでなく、商品の認知率や購買意欲等の従来は計測できなかった指標が計測可能になり、ブランディング広告の効果を再評価できます。
 当社が設置したJavaScriptタグから広告接触者を判別し、当社の提携するインターネットリサーチ会社からアンケートを実施します。IM-IDをアンケートデータと紐つけることで、商品認知率、店舗来店実績の有無、実店舗での購買実績の有無等の指標を計測することができます。アンケートの設問項目をカスタマイズすることで、様々な指標を計測でき、クライアント企業が求めるブランディング広告の効果計測が可能になります。
②非マーケティング領域でのデータ活用サービス
 当社では、IM-DMPを用いてマーケティング以外の分野にも、効率的な意思決定を支援する取り組みを進めております。その中でも、特徴的なサービスは以下の通りです。
a.企業リスト生成サービス「Select DMP」
 IM-DMPにて保有しているオーディエンスデータを用いて、顧客企業の商品購入ニーズの高いキーワードを持つ企業群を抽出し、リアルタイムで購入ニーズの高い企業リストを提供しております。これによりクライアント企業は、自社商品に興味がある顧客を効率的に見つけ出し、的確なタイミングでアプローチすることが可能となります。また、クライアント企業の競合商品のキーワードを持つ企業群を抽出することで、自社商品の解約防止にも役立てることが可能です。
b.成果報酬型ディスプレイ広告運用サービス「Performance DMP」
 IM-DMPのフィルタリング技術を用いて、クライアント企業の商品に関するディスプレイ広告をコンバージョンし易いと推定されるユーザーを抽出、クリックや購買行動などの成果獲得を行うサービスです。成果指標の獲得件数に応じて課金されるサービスであるため、ダイレクトレスポンス領域における顧客獲得単価改善施策の一つとして活用することが可能です。

【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(単独実績)2017.9 1,366 141 141 96
(単独実績)2018.9 1,646 81 84 41
(単独見込)2019.9 2,140 136 134 91
(単独3Q累計実績)2019.9 1,639 143 141 96
1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当
(単独見込)2019.9 37.99 258.44 0
調達資金使途 教育採用費、人件費
上場時発行済み株数 2,660,000株 (別に潜在株式663,250株)
公開株数 299,000株(公募260,000株、オーバーアロットメント39,000株)

PER:50.0
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:5.7億
公募時時価:51億
    
【株主構成】 90or1.5
(株)フリークアウト・ホールディングス 親会社 1,692,700 55.26
簗島亮次 代表取締役社長 540,500 17.64
(株)電通 特別利害関係者など 300,000 9.79
MICイノベーション4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 128,550 4.20
YJ2号投資事業組合 ベンチャーキャピタル(ファンド) 100,000 3.26
久田康平 取締役 63,950 2.09
(株)新生銀行 特別利害関係者など 50,000 1.63
アイビス新成長投資事業組合第5号 ベンチャーキャピタル(ファンド) 42,900 1.40
SMBCベンチャーキャピタル4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 42,900 1.40
みずほ成長支援第3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 42,850 1.40

 本募集に関連して、貸株人である株式会社フリークアウト・ホールディングス並びに当社株主である株式会社電通、MICイノベーション4号投資事業有限責任組合、YJ2号投資事業組合、株式会社新生銀行、SMBCベンチャーキャピタル4号投資事業有限責任組合及びみずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合並びに新株予約権者である簗島 亮次及び久田 康平は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の2020年1月21日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、東京証券取引所における初値が形成された後に主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等を行わない旨合意しております。
 また、当社株主であるアイビス新成長投資事業組合第5号は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。

【代表者】
代表者生年月日
1984年04月23日生まれ
代表者略歴
2010年04月 グリー(株) 入社
2012年12月 (株)フリークアウト(現(株)フリークアウト・ホールディングス) 入社
2013年06月 当社設立 代表取締役社長就任(現任)

【幹事団】
主幹事証券 みずほ 234,000 90.00
引受証券 SMBC日興 7,800 3.00
引受証券 SBI 2,600 1.00
引受証券 マネックス 2,600 1.00
引受証券 いちよし 2,600 1.00
引受証券 岩井コスモ 2,600 1.00
引受証券 岡三 2,600 1.00
引受証券 香川 2,600 1.00
引受証券 極東 2,600 1.00

【参考類似企業】 今期予想PER 9/27
3655  ブレインP 46.6倍(連結予想 )
3906  ALBERT 104.9倍(単独予想 )
3925  DS 45.1倍(連結予想 )
6094  フリークアウト -倍(連結予想 )

【私見】
 業種としてはネット広告で人気業種ではあるものの類似業種も多く大きな優位性は見当たらず、更にフリークアウトの子会社ということで、親子上場でイメージはよくありません。成長性はそれなりはあると思いますが、PERも高めなので上値余地は大きくないと思います。需給は小型で良いものの、1,5倍でロックがきれるVCもいることから1.5倍以上での買いは入りにくくセカンダリーはやや厳しいと予想します。

想定価額:2320円
仮条件上限:1900円
初値予想:3500円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3.5

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