2021年11月5日金曜日

IPO分析(GRCS)

 【事業内容】

 (1)ソリューション部門

① GRCソリューション

 GRC領域においては、自社開発プロダクトを含めたGRC関連ツールの設計や構築等の導入支援を行い、全社的リスク、外部委託先、プライバシー保護、セキュリティインシデント等に係る情報管理の効率化を図り、全社横断的な把握・管理を可能にしております。

 具体的な事例としては、グローバルに展開する大手素材メーカーでは、事業展開に伴いリスク情報が増加・多様化しており、膨大なリスクに対する100名近い責任者の評価結果を手作業で集計して、リスクマネジメント委員会へ報告するという全社的リスク管理の運用に課題を抱えておりました。集計作業に時間を要し、調査・分析によるPDCAに費やす時間を確保できない状況でした。

 この課題に対して、当社は、自社開発した全社的リスクマネジメントツールである「Enterprise Risk MT」の導入支援を行い、この導入により顧客企業における各責任者がリスク情報に対する評価結果を直接データ入力することで自動的に可視化され、リスク管理担当者のデータ集計や各部署への連携に要する作業負担を低減することで、リスク分析を行う時間を確保いたしました。プロダクトの導入以降は、リスク管理担当者が調査・分析に多くの時間をかけることができ、全社的リスク管理が形骸化せずPDCAが運用される体制構築を実現いたしました。

 また、別の事例としては、欧州にてGDPR(各人が自身で自身の個人データをコントロールする権利を保障するという基本的人権の保護を目的とする法律)が施行されたことにより、個人情報の取扱いが厳格化されました。これにより、日本国内の企業においても海外からのアクセスがあり、個人情報を受け取る可能性があるWebサイト等ではGDPRへの準拠やCookie同意制御の対応等が必要となりました。対応が遅れることで、法律違反や制裁金を課せられる等のリスクを抱えることとなります。当社はこの課題に対して、プライバシー管理ツールである他社プロダクトの取扱いを開始し、Cookie同意管理への対応を可能としました。

 なお、これら事例のようにプロダクトに関しては、導入支援として一時点で計上される売上高とサブスクリプション契約等により継続的に計上される売上高があります。導入支援は課題解決策の一部であり、専門人材のノウハウを必要とすることからソリューション部門の売上高として認識しております。また、サブスクリプション契約等は、プロダクトの利用料やライセンス料であることからプロダクト部門の売上高として認識しております。


② セキュリティソリューション

 セキュリティ領域においては、多様化するサイバー攻撃、情報漏洩やセキュリティ事故等のリスクから企業を守るため、ITセキュリティの設計、規程・ポリシーの構築、分析・管理・監査・診断等の各種コンサルティングを行っております。また、セキュリティプロダクトの設計・構築等の導入支援やISMS認証等の規格認証の取得支援を併せて行っております。

 情報漏洩が社会に与える影響や損害は過去と比べて多大になっており、近年、上場企業及びその子会社が公表した個人情報漏洩・紛失事故事例をみると、2020年の事故件数は前年比19.7%増の103件と7年ぶりに100件を上回っております。また、企業数は前年比33.3%増の88社であり、調査を開始した2012年以降最多となりました。理由としてはウイルス感染・不正アクセスが最も多く挙げられております。

 サイバー攻撃の手法も巧妙かつ高度化されておりますので、当社は主にEDR、SIEM、CASBといった新たなテクノロジーを有した海外プロダクトをメインに展開しており、顧客の問題意識からプロダクト選定、プロダクト導入に至るまでを支援しております。

 具体的な事例としては、大手小売企業の金融グループ会社において、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いテレワーク導入への対応が必要となり、生産性の低下、コミュニケーション不足による業務への影響や情報漏洩等のセキュリティ上のリスクが懸念されておりました。当社はこの課題に対して、現状調査、GAP分析を行うことで課題を明確にし、テレワークに対応した規程及びガイドラインの策定、対象業務の特定、コミュニケーションツール等ICT(情報通信技術)の整備等を解決策として実施・支援いたしました。


(2)プロダクト部門

GRCプロダクト

 前述したように当社が今後深耕する領域は「GRC」と呼ばれ、欧米ではすでに認知されている領域であり、リスク管理、規制/ポリシー管理、内部監査、インシデント管理などの業務に対して専用ツールを導入することで、情報管理の効率化を図り全社横断的な把握・管理を実現しております。この領域に対して当社は自社開発プロダクト又は他社プロダクトにより、GRCに関わる「運用」課題の解決、個人情報の管理やセキュリティ事故の防止等、GRC及びセキュリティに特化したプロダクトを提供しております。

  

【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.11 1,101 -68 -70 -70

(単独実績)2020.11 1,431 26 22 46

(単独予想)2021.11 1,742 128 102 145

(単独3Q累計実績)2021.11 1,277 96 91 101


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.11 123.94 604.50 0

調達資金使途 採用関連費用


上場時発行済み株数 1,309,000株 (別に潜在株式108,790株)

公開株数 374,900株(公募150,000株、売り出し176,000株、オーバーアロットメント48,900株)


PER:29.0

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:13.4億

公募時時価:47億

    

【株主構成】 

(同)Trojans 役員らが議決権の過半数を所有する会社 450,000 35.49 90日

ニッセイ・キャピタル7号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 190,000 14.99 90日・1.5倍

佐々木慈和 代表取締役社長 119,000 9.39 90日

塚本拓也 取締役 83,000 6.55 90日

岩手新事業創造ファンド1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 66,000 5.21

コタエル信託(株) 新株予約権信託の受託者 63,500 5.01

板倉聡 特別利害関係者など 60,000 4.73 90日・1.5倍

田中郁恵 取締役 43,000 3.39 90日

ひまわりG4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 36,000 2.84 90日・1.5倍

イノベーション・エンジン産業創出投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 25,000 1.97 90日・1.5倍

稲津暢 特別利害関係者など 20,000 1.58

  

【代表者】

代表者名 佐々木 慈和(上場時45歳2カ月)/1976年生

本店所在地 東京都千代田区五番町

設立年 2005年

従業員数 121人 (9/30現在)(平均41.5歳、年収642.4万円)

株主数 17人 (目論見書より)

資本金 50,000,000円 (10/14現在)

代表者生年月日 1976年09月05日生まれ

2002年01月 日本ヒューレット・パッカード(株) (現 日本ヒューレット・パッカード(同))入社

2005年03月 Frontier X Frontier(株)(現 当社)設立 代表取締役社長(現任)

2013年02月 (一社)日本CISO協会代表理事

2020年11月 (同)Trojans設立 代表社員(現任)


【幹事団】

幹事証券 野村 293,600 90.06

引受証券 みずほ 16,300 5.00

引受証券 SBI 6,500 1.99

引受証券 あかつき 3,200 0.98

引受証券 岩井コスモ 3,200 0.98

引受証券 楽天 3,200 0.98


【参考類似企業】今期予想PER(10/18)

3040  ソリトン 17.6倍(連結予想 )

3692  FFRI 57.5倍(連結予想 )

3927  フーバーブレ -倍(連結予想 )

4288  アズジェント 38.3倍(単独予想 )

4704  トレンド 30.2倍(連結予想 )

4726  SBテクノロジ 22.5倍(連結予想 )


【私見】

 セキュリティ関連で、情報漏洩などがうるさい世の中でタイムリーな業種で評価はできます。小規模ですが、業績は伸びており成長性は高く、PERからも上値はありそうです。需給は小型で、多少の条件付きのVCなどがおりますが、需給が乱れるほどの量ではないのでそう心配はないでしょう。全体的にこの地合いで、初値は上がってもセカンダリーまであるかは微妙です。


想定価額:3270円

仮条件上限:3600円

初値予想:6500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5


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